特許第5778585号(P5778585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5778585経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術の方法、システム及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778585
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術の方法、システム及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 19/00 20060101AFI20150827BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A61B19/00 502
   A61B17/00 320
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-550675(P2011-550675)
(86)(22)【出願日】2010年1月27日
(65)【公表番号】特表2012-518453(P2012-518453A)
(43)【公表日】2012年8月16日
(86)【国際出願番号】IB2010050354
(87)【国際公開番号】WO2010097719
(87)【国際公開日】20100902
【審査請求日】2013年1月25日
(31)【優先権主張番号】12/392,817
(32)【優先日】2009年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511204566
【氏名又は名称】フィリップス エレクトロニクス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】511205035
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ,アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー,デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】グロソップ,ニール デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,ブラッドフォード ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】タン,トーマス エス ワイ
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0220557(US,A1)
【文献】 特表2004−524893(JP,A)
【文献】 米国特許第05638819(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルアセンブリを使用して患者の生体構造の一部における第一の血管と目標とする血管との間での画像誘導による経血管の短絡術を支援するシステムの作動方法であって、
前記ニードルアセンブリは、ガイドニードル内にスライド可能に設けられた穿刺針であり、その表面に少なくとも1つの位置を示すエレメントを有する穿刺針と、前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報及び方向情報をサンプリングする追跡装置と、表示装置とを備え、
当該方法は、
前記システムのプロセッサによって、前記患者の生体構造の一部の1以上の画像を受けるステップと、
前記プロセッサによって、少なくとも前記1以上の画像を使用して、3次元において前記目標とする血管の経路を決定するステップと、
前記プロセッサによって、前記追跡装置から、前記ニードルアセンブリが前記第一の血管に誘導された後、前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報及び方向情報を受けるステップと、
前記プロセッサによって、前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関するサンプリングされた位置情報及び方向情報を使用して、前記目標とする血管に対する前記穿刺針の位置を決定するステップと、
前記プロセッサによって、前記表示装置に、
前記目標とする血管に対する前記穿刺針の位置、
前記穿刺針が前記ガイドニードルの遠位端の部分を過ぎて延出される場合に前記穿刺針が追跡する経路を含む前記穿刺針の投影される経路、
前記穿刺針の前記投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差する場合に、前記穿刺針が前記目標とする血管に交差する位置、
前記穿刺針の投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差しない場合に、前記穿刺針から前記目標とする血管への最も近い経路の指標、
前記穿刺針の前記投影される経路上のある点から、前記目標とする血管上のある点までの距離を表す、投影される目標とする距離に対する数値であり、前記穿刺針の前記投影される経路が前記目標とする血管に交差するときにゼロである数値、及び、
絶対の目標とする距離に対するさらなる数値であり、前記穿刺針が前記目標とする血管に交差するときに当該さらなる数値がゼロとなるように、前記穿刺針から前記目標とする血管までの実際の距離を表すさらなる数値、
を表示するステップと、
を含み、
前記数値及び前記さらなる数値が同時に表示される、方法。
【請求項2】
前記目標とする血管の経路を決定するステップは、
前記プロセッサによって、前記患者の生体構造の一部に関する患者の空間データを受けるステップと、
前記プロセッサによって、前記1以上の画像を前記患者の空間データと位置合わせするステップと、
を更に含み、
前記1以上の画像は、1以上の基準マークに関するデータを含み、さらに、前記患者の空間データは、前記1以上の基準マークに関するデータを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記患者の生体構造の一部の1以上の画像は、超音波装置を使用して得られ、
1以上の位置を示すエレメントは、前記超音波装置と関連され、
前記超音波装置に関連される前記1以上の位置を示すエレメントは、前記追跡装置により追跡される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサによって、3次元において前記目標とする血管の経路を決定するステップは、前記プロセッサによって、複数の画像のそれぞれにおいて、前記目標とする血管を、存在する場合には識別するステップ、並びに、前記プロセッサによって、前記超音波装置の走査平面の調整情報、及び、前記超音波装置に関連される前記1以上の位置を示すエレメントを使用して、前記追跡装置の基準のフレームにおいて、3次元で前記目標とする血管の経路を決定するステップを更に含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記プロセッサによって、3次元において前記目標とする血管の経路を決定するステップは、前記プロセッサによって、前記目標とする血管の経路を区分するステップを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサによって、3次元において前記目標とする血管の経路を決定するステップは、前記プロセッサによって、前記目標とする血管の中心線を形成する複数の点を決定するステップを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
3次元における前記目標とする血管の経路は、区分的な直線又は双三次スプラインにより平滑化又は連結される一連の点を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントは、前記穿刺針の遠位の先端部分に位置される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
患者の生体構造の一部における第一の血管と目標とする血管との間での画像誘導による経血管の短絡術を実行するシステムであって、
その遠位の先端に向けて曲りを有する中空の管を有する第一の細長い針の部分、
その先端で少なくとも1つの位置を示すエレメントを含む第二の細長い針の部分であり、前記第二の細長い針の部分の遠位の先端が、前記第一の細長い針の部分の遠位の先端における開口部から、前記第一の細長い針の部分の前記曲りの末端部の接線方向に延びることができるように、前記第一の細長い針の部分の中空の管内でスライド可能に設けられる第二の細長い針の部分、及び
液体流の管部の遠位の先端とニードルアセンブリの外側部分との間で液体の流れを可能にする液体流の管部、
を有するニードルアセンブリと、
前記患者の生体構造の一部の1以上の画像を使用して、3次元において前記目標とする血管の経路を決定する、及び、
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報と方向情報と、前記決定された目標とする血管の経路とに少なくとも基づいて、
前記目標とする血管に対する前記第二の細長い針の部分の位置、
前記第二の細長い針の部分が前記中空の管の遠位端の部分を過ぎて延出する場合に前記第二の細長い針の部分が追跡する経路を含む、前記第二の細長い針の部分の投影される経路、
前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差する場合に、前記第二の細長い針の部分が前記目標とする血管に交差する点、
前記第二の細長い針の部分の投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差しない場合に、前記第二の細長い針の部分から前記目標とする血管への最も近い経路の指標、
前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路上のある点から、前記目標とする血管上のある点までの距離を表す、投影される目標とする距離に対する数値であり、前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路が前記目標とする血管に交差するときにゼロである数値、及び、
絶対の目標とする距離に対するさらなる数値であり、前記第二の細長い針の部分が前記目標とする血管に交差するときに当該さらなる数値がゼロとなるように、前記第二の細長い針の部分から前記目標とする血管までの実際の距離を表すさらなる数値、
を表示するように構成される1以上の処理装置と、
を備え、
前記数値及び前記さらなる数値が同時に表示される、システム。
【請求項10】
前記液体流の管部は、前記第二の細長い針の部分の中空部分により形成され、前記少なくとも1つの位置を示すエレメントは、前記第二の細長い針の部分の周りに巻かれたコイル線を有する、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記液体流の管部は、前記第二の細長い針の部分の周囲のカテーテル部を有し、
前記第二の細長い針の部分は、液体が前記液体流の管部を通して流れるのを可能にするように前記カテーテル部から移動され、
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントは、前記第二の細長い針の部分に設けられる、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記1以上の処理装置は、前記目標とする血管の経路を区分するようにさらに構成される、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記1以上の処理装置は、前記目標とする血管の中心線を形成する複数の点を決定するようにさらに構成される、請求項9記載のシステム。
【請求項14】
前記3次元における目標とする血管の経路は、区分的な直線又は双三次スプラインにより平滑化又は連結される一連の点を含む、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
前記第一の細長い針の部分は、投影されるニードルアセンブリを方向づけるようにユーザにより成形可能である、請求項9記載のシステム。
【請求項16】
患者の生体構造の一部における第一の血管と目標とする血管との間での画像誘導による経血管の短絡術を支援するシステムであって、
その遠位の先端に向けて曲りを有する中空の管を有する第一の細長い針の部分、
その先端で少なくとも1つの位置を示すエレメントを含む第二の細長い針の部分であり、前記第二の細長い針の部分の遠位の先端が、前記第一の細長い針の部分の遠位の先端における開口部から、前記第一の細長い針の部分の前記曲りの末端部の接線の方向に延びることができるように、前記第一の細長い針の部分の前記中空の管内でスライド可能に設けられる第二の細長い針の部分、及び、
液体流の管部の遠位の先端とニードルアセンブリの外側部分との間で液体の流れを可能にする液体流の管部、
を有するニードルアセンブリと、
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントの位置情報と方向情報とをサンプリングする追跡装置と、
患者の生体構造の一部の1以上の画像を使用して、3次元において前記目標とする血管の経路を決定する、
前記追跡装置から、前記ニードルアセンブリが前記第一の血管に誘導された後に、前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報と方向情報とを受ける、
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報と方向情報とを使用して、前記目標とする血管に対する前記第二の細長い針の部分の位置を決定する、さらに、
前記少なくとも1つの位置を示すエレメントに関する位置情報と方向情報と、決定された前記目標とする血管の経路とに少なくとも部分的に基づいて、
前記目標とする血管に対する前記第二の細長い針の部分の位置、
前記第二の細長い針の部分が前記中空の管の遠位端の部分を過ぎて延出する場合に前記第二の細長い針の部分が追跡する経路を含む前記第二の細長い針の部分の投影される経路、
前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差する場合に、前記第二の細長い針の部分が前記目標とする血管に交差する点、
前記第二の細長い針の部分の投影される経路が前記目標とする血管の決定された経路に交差しない場合に、前記第二の細長い針の部分から前記目標とする血管への最も近い経路の指標、
前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路上のある点から、前記目標とする血管上のある点までの距離を表す、投影される目標とする距離に対する数値であり、前記第二の細長い針の部分の前記投影される経路が前記目標とする血管に交差するときにゼロである数値、及び、
絶対の目標とする距離に対するさらなる数値であり、前記第二の細長い針の部分が前記目標とする血管に交差するときに当該さらなる数値がゼロとなるように、前記第二の細長い針の部分から前記目標とする血管までの実際の距離を表すさらなる数値、
を表示する、
ように構成される1以上の処理装置と、
を備え、
前記数値及び前記さらなる数値が同時に表示される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像誘導による経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS: Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt)を支援又は実行する方法、システム及び装置に関する。
米国の政府は、以下に開示される発明及び特許請求の範囲において所定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)は、門脈圧亢進症(すなわち肝臓の門脈系の高血圧)を低減するため、門脈と肝静脈を接続する試みとして典型的に行われる。TIPSを行う典型的なシステム及び方法は、手術に関連する中心の問題を解決しない欠点を有する。手順は、蛍光透視像を使用して“Colapinto”針と呼ばれる長い針を肝静脈に導入することで現在行われている。ひとたび実施されると、2つの血管を接続するため、ブラインドニードルスティックが門脈に向けて肝静脈の壁、肝実質を貫通する。
【0003】
従来のTIPSシステムは、大部分のTIPSについて適する角度で曲げられる大きな中空のガイドニードルに入れられる穿刺針を使用する。目標となる結果の知覚される方向において穿刺針を無分別に通過させ、穿刺針又はその中空のカニューレに取り付けられた注射器に負の圧力を印加する間に穿刺針をゆっくりと後退させ、血液が戻るかをチェックし、血管がストライキを起こしていることを示すことで、正しい短絡経路が決定される。この処置は、穿刺針を通してガイドワイヤを配置し、蛍光透視法を使用してその経路を確認することで継続する。ひとたび確認されると、ガイドワイヤを通して一連の拡張器及び/又はバルーンが膨張され、永続的な接続を確立するためにステントが挿入されて膨張され、これにより過度の緊張状態が軽減される。
【0004】
接続又は「短絡」は、兆候を軽減し、適切な肝臓のドナーが手配されるか又は他の措置が必要に応じて取られるまで寿命を延ばすことができる。TIPSは、侵襲が少ないが、高い蛍光透視及び造影剤の投与量を使用して、一式の介入放射線装置で一般に行われる。さらに、TIPSは、手術が本質的に「ブラインド」であるときに、延長された時間を要する可能性があり、TIPSの針を正しい位置に正確に向ける最低限の可能性を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TIPSを行うために使用される“Colapinto”針は、2つの自由度を有しており、すなわち頭側(cranial)−尾側(caudal)すべり運動と、その長軸に関する針の軸方向の回転を有する。穿刺針は、“Colapinto”針の終わりから幾らかの距離で延ばされ、第三の自由度を追加することとなる。TIPSは、針の軌道が正しくないことがある点が要求されている。高い頻度で、多数の針の経路が形成される場合があり、これは、経験豊かな医師でさえ、延長された時間量を要する可能性がある。幾つかの場合、短絡を確立することは不可能な場合がある。さらに、(たとえば蛍光透視装置からの)X線の使用は、患者及び医師の両者に対して大量の放射線の投与を生じさせる。また、TIPSの間に大量の造影剤の投与が患者に与えられ、これは、腎臓機能と干渉し、他の副作用を有する場合がある。また、係る治療は、かなりの病院の資源を使用して、費用がかかる場合がある。
【0006】
従って、有害な放射線量及び/又は造影剤を軽減又は最小限し、これらの手術の精度を改善し、係る手術を行うために必要とされる時間を低減するTIPSのシステム、方法及び装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像誘導による経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)の方法、システム及び装置を提供することで、当該技術分野におけるこれらの問題点及び他の問題点を解決する。幾つかの実施の形態では、本発明は、電磁的な追跡技術を使用してTIPSの間に門脈管に正確に狙いをつける機器及び方法に関する。
【0008】
幾つかの実施の形態では、経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を行う本発明に係る装置、方法及びシステムは、穿刺針の位置及び軌跡を判定する位置センサを利用する。
【0009】
幾つかの実施の形態では、本発明は、患者の肝臓における肝静脈と門脈との間の接続を確立するために使用される穿刺針に埋め込まれるか又は取り付けられる位置を指示するエレメントを含む、TIPSを行う装置を含む。
【0010】
幾つかの実施の形態では、本発明は、画像誘導による(TIPS)を行うシステムを含む。本システムは、コンピュータエレメント、追跡装置、画像形成装置、ニードルアセンブリ及び/又は他のエレメントを含む。
【0011】
コンピュータエレメントは、1以上のプロセッサ、メモリ装置、電源、制御アプリケーション、1以上のソフトウェアモジュール、1以上の入力/出力、表示装置、ユーザ入力装置、及び/又は他のエレメントを含む。幾つかの実施の形態では、1以上のプロセッサは、本実施の形態で記載される本発明の1以上の特徴又は機能を実行する。幾つかの実施の形態では、メモリ装置又は他のメモリ又はデータストレージエレメント又は方法は、1以上のプロセッサに対する命令を記憶及び/又はさもなければ提供する。
【0012】
幾つかの実施の形態では、追跡装置は、入力/出力を介してコンピュータエレメントに接続され、又はさもなければ、コンピュータエレメントにデータを送出し、コンピュータエレメントからデータを受信する。幾つかの実施の形態では、追跡装置は、電磁的な追跡装置、グローバルポジショニングシステム(GPS)が使用可能な追跡装置、超音波追跡装置、光ファイバ追跡装置、光追跡装置、レーダ追跡装置、又は他のタイプの追跡装置を含む。追跡装置は、3次元の場所、位置、座標に関するデータ、及び/又は患者の解剖の領域内又は領域の周囲のエレメントを示す1以上の位置に関する他の情報を取得するために使用される。
【0013】
幾つかの実施の形態では、ニードルアセンブリは、Colapinto針及び穿刺針を含む。本明細書においてニードルアセンブリは「Colapinto針」を含むとして記載されるが、本明細書において示される「Colapinto」針に帰する特徴を有する「ガイド」針又は他の長く伸びた空洞の器具が使用される。幾つかの実施の形態では、Colapino針の針の本体部分の遠位端は、先端が針の本体部分の主軸に関して45°の角度となるように曲げられる。幾つかの実施の形態では、角度は、およそ45°である。幾つかの実施の形態では、曲げの角度が医師又は他のオペレータによりカスタマイズ可能であるように、Colapinto針は、可鍛性の材料から形成される場合がある。幾つかの実施の形態では、曲げは、緩やかであり、針の本体部分の遠位端/先端において曲線を形成する。Clapinto針の遠位端を穿刺針が出ることができるように、穿刺針は、製造技術及び材料を使用して形成される。幾つかの実施の形態では、Colapinto針の外側に延びる穿刺針の部分は、少なくとも最初は、Colapinto針の先端に対して接線の方向に進む経路に沿って抜け出る。
【0014】
幾つかの実施の形態では、穿刺針は、たとえば超弾性状態において直線となるように処理される、たとえばニチノールのような形状記憶合金を使用して形成される。これにより、穿刺針がColapinto針の先端に存在するとき、穿刺針がその規定された経路(すなわちColapinto針の曲線に対して正接)に従う。
【0015】
幾つかの実施の形態では、穿刺針は、穿刺針の遠位端又は先端に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。
【0016】
幾つかの実施の形態では、穿刺針は、穿刺針の遠位端又は先端に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。幾つかの実施の形態では、Colapinto針は、Colapinto針の遠位端又は先端(或いは他の部分)に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。幾つかの実施の形態では、Colapinto針に挿入されるカニューレ、ニードル、カテーテル及び/又は器具の1以上は、カニューレ、ニードル、カテーテル又は他の機器の遠位端又は先端(又は他の部分)に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。
【0017】
幾つかの実施の形態では、本発明は、患者の門脈又は他の「目標とする血管」のデジタルマップを決定することを含む画像誘導によるTIPSを実行するシステムを利用した方法を含む。門脈のマップは、患者の生体構造の画像を使用して作成される。門脈のマップは、目標とする結果(たとえば門脈)の3次元の経路を決定/確立する画像形成システム及び技術を使用して確定される。この画像形成は、CTA(コンピュータ断層撮影血管造影法)の調査、MRA(磁気共鳴血管造影法)の調査、回転蛍光透視血管造影(Rotational Fluoroscopic Angiographic)による判定、較正されたバイプレーン血管造影(calibrated biplane angiogram)、門脈の超音波検査、及び/又は他の画像形成モダリティを行うことを含む。画像形成の目的は、(たとえばセグメント化により)門脈及びその関連する支流の幾何学的な経路を決定することである。幾つかの実施の形態では、患者の生体構造の画像形成は、造影剤を患者の門脈系に注入することを含む。次いで、門脈系及び周囲の生体構造の画像を取得するため、画像形成モダリティによりスキャンが実行される。次いで、結果として得られる画像が調べられる。
【0018】
自動化された技術又は手動による技術の何れかを使用して、門脈の幾何学的な経路が決定/確定され、その座標は、画像の座標系(すなわち「画像空間」)に記録される。このプロセスを支援するため、平滑化及び他の幾何学的な演算が実行される。幾つかの実施の形態では、この門脈のマッピング手順(すなわち門脈の経路を画像形成及び決定すること及び/又は他の演算)は、TIPSニードルアセンブリの患者の生体構造への挿入の前に行われる。
【0019】
幾つかの実施の形態では、ニードルアセンブリの挿入前に取得された患者の生体構造の画像を使用して門脈(又は他の目標となる血管)の幾何学的な経路が決定される必要がないように、門脈のマップは、術内の超音波(intra-procedural ultrasound)を使用して確定される。
【0020】
TIPS介入の実行のためにニードルアセンブリを挿入するときに、たとえば電磁的な追跡装置、GPS装置、光ファイバ追跡装置、光追跡又は他の追跡システムのような位置センサ/追跡装置は、患者の近くでセットアップされる。次いで、ニードルアセンブリは、患者の生体構造に導入される(TIPSのため、ニードルアセンブリは、患者の血管系に導入され、肝静脈に送られる)。
【0021】
次いで、前に取得された画像の画像空間情報は、患者に関する位置センサの空間情報に対して位置合わせされる。たとえばペアポイントマッチング(paired point matching)、パスマッチング(path matching)、超音波マッチング、又は他のレジストレーション技術のような1以上の一般的に知られているレジストレーション技術を使用して、2つの座標系が位置合わせされる。たとえば、ペアポイントレジストレーションは、画像空間において目に見る事ができる自然又は人工的に適用される基準が画像空間に配置され、(たとえば追跡装置と関連付けされる1以上の位置を示すエレメントを有するプローブを使用して)位置センサの空間において識別される基準に基づくマッチングのような技術を使用して行われる。ひとたび少なくとも3つの基準の位置が位置センサ空間及び画像空間において位置されると、患者の生体構造の画像情報を追跡装置の座標系に関連付ける変換行列が計算される。
【0022】
目標とする血管の経路が追跡及び較正された超音波を使用して決定された場合、レジストレーション動作が必要とされない。これは、血管の経路は患者と自動的に共に位置合わせされ、経路は位置センサの空間で知られているからである。
【0023】
(必要とされる場合)位置合わせに続いて、Colapinto針が肝静脈に導入される。肝静脈へのColapinto針の最初の配置は、頸静脈に最初のアクセス、次いで肝静脈へのアクセスを確立するため、たとえば超音波のような1以上の各種の画像形成装置を使用して、TIPSの従来のやり方で確立される。従来のアクセスシステムで使用される同じカテーテル及びシース(sheaths)は、Colapinto針が肝臓の肝静脈に配置される位置まで同じやり方で適用される。また、これは、針が静脈に進むときに、蛍光透視法の使用を含む場合がある。
【0024】
次いで、追跡される穿刺針は、(たとえばColapinto針の近位端で位置されるポートを介して)Colapinto針に導入され、穿刺針の先端はColapinto針の先端で同一平面にあるような位置に配置される。穿刺針が固体である実施の形態では、カテーテルは、穿刺針に沿ってColapinto針に導入される。
【0025】
本明細書で記載されるように、穿刺針の1以上の位置を示すエレメントは、システムのコンピュータエレメントに位置及び/又は方向データを送出する。穿刺針の位置を示すエレメントの位置及び/又は向きに関するデータは、コンピュータエレメントに中継される。コンピュータエレメントは、このデータを使用して、この治療を実行する医師にとって見る事ができる表示装置に(たとえば前にマッピングされた門脈及び/又は他の血管或いは臓器を含めて)患者の生体構造と相対的な機器の現在の場所/位置を表示する。コンピュータエレメントは、1以上の機器が同じ方向で進み続ける場合に、機器が進む前方を投影することで(穿刺針、カテーテル、及び/又はColapinto針を含む)1以上の機器の潜在的な将来の経路を更に計算する。ディスプレイは、穿刺針を実際に延ばして血液の戻りを検査する前に穿刺針の現在の位置及び軌跡が門脈上のある点に「ヒット」するかを、この治療を実行する医師に示す。
【0026】
穿刺針はその先端及びその位置で追跡され、且つ軌跡は既知であるため、この治療を実行する医師は、医師が穿刺針をColapinto針から肝静脈の壁を通して肝実質に伸張すると何が起こるかをシミュレートすることで、穿刺針が門脈に正しくヒットしているかを判定する。この動作の間、穿刺針の経路/軌道は、ディスプレイ上で継続して観察され、(たとえば針をねじる、回転する又は移動させる、或いは内部のステアリングメカニズムを作動させる等といった)エクステンションの間に潜在的に調節される。穿刺針が門脈に交差しないことをこの治療を実行する医師が判定した場合、医師は、穿刺針が門脈に交差すると判定されるまで、たとえばハウジングをねじる、伸張する、後退する、又はさもなければ操作することで、Colapinto針のハウジングを調節し直す。また、医師は、針を全く延ばさないことを選択し、医師は、短絡を正しく確立することができる可能性がないと判定する。
【0027】
ひとたび血液の接続が確立されると、門脈と肝静脈とに橋を架けるためにステントが最終的に配置される。
【0028】
本発明の様々な目的、特徴及び利点は、詳細な説明及び本明細書に添付される図面を通して明らかとなるであろう。また、以下の詳細な説明は例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSの統合されたシステムを例示する図である。
図2A】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSにおいて使用されるColapinto針及び穿刺針を例示する図である。
図2B】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSにおいて使用されるColapinto針及び穿刺針を例示する図である。
図3A】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSにおいて使用される穿刺針の遠位の先端を例示する図である。
図3B】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSにおいて使用される穿刺針の遠位の先端を例示する図である。
図3C】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSにおいて使用される穿刺針の遠位の先端を例示する図である。
図4A】本発明の様々な実施の形態に係る、画像誘導によるTIPSのプロセスを例示する図である。
図4B】本発明の様々な実施の形態に係る、追跡及び較正される超音波を使用した目標となる血管の3次元経路を構築するプロセスを例示する図である。
図5】本発明の様々な実施の形態に係る、患者の生体構造の一部の表示を例示する図である。
図6】本発明の様々な実施の形態に係る、穿刺針に対する目標とする血管を含む患者の生体構造の一部の表示を例示する図である。
図7】本発明の様々な実施の形態に係る、穿刺針に対する目標とする血管を含む患者の生体構造の一部の表示を例示する図である。
図8】本発明の様々な実施の形態に係る、穿刺針に対する目標とする血管を含む患者の生体構造の一部の表示を例示する図である。
図9】本発明の様々な実施の形態に係る、穿刺針に対する目標とする血管を含む患者の生体構造の一部の表示を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、画像誘導による経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を支援又は実行する装置、システム及び方法を提供する。
【0031】
図1は、画像誘導によるTIPSを支援又は実行するシステムの例である、システム100を例示する。システム100は、コンピュータエレメント101、追跡装置121、画像形成装置123、ニードルアセンブリ125、及び/又は他のエレメントを含む。
【0032】
コンピュータエレメント101は、1以上のプロセッサ103、メモリ装置105、電源107、制御アプリケーション109、1以上のソフトウェアモジュール111a〜111n、1以上の入力/出力113a〜113n、表示装置115、ユーザ入力装置117及び/又は他のエレメントを含む。幾つかの実施の形態では、1以上のプロセッサ103は、本実施の形態で記載される本発明の1以上の特徴及び機能を実行する。幾つかの実施の形態では、メモリ装置105又は他のメモリ或いはデータ記憶エレメント又は方法は、データを記憶し、及び/又はさもなければ1以上のプロセッサ103への命令を提供する。
【0033】
コンピュータエレメント101は、1以上のサーバ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、又は他のコンピュータ装置であるか、或いは、1以上のサーバ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、又は他のコンピュータ装置を含む。幾つかの実施の形態では、コンピュータエレメント101は、プロセス、計算、画像フォーマット化、画像表示、又は本実施の形態で記載される他の動作の何れかを実行するのに必要なデータを受信、送出、記憶及び/又は操作する。幾つかの実施の形態では、コンピュータエレメント101は、装置、エレメント、命令、又は本実施の形態で記載される装置の機能に必要な何れかのプロセス、計算又は動作を実行する。
【0034】
幾つかの実施の形態では、コンピュータエレメント101は、制御アプリケーション109を主催する。制御アプリケーション109は、1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nを有効にするコンピュータアプリケーションを有する。1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nは、患者の生体構造又は1以上のオブジェクトに関するデータ、及び/又は他のデータを、プロセッサ103が(たとえばデータ受信モジュールを介して)受信、送出、及び/又は操作するのを可能にする。このデータは、メモリ装置105又は他のデータストレージの場所に記憶される。幾つかの実施の形態では、1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nは、1以上の位置を示すエレメント(たとえばセンサコイル又は他の位置を示すエレメント)の場所、位置、向き及び/又は座標に関するデータを、プロセッサ103が(たとえばデータ受信モジュールを介して)受信、送出、及び/又は操作するのを可能にする。このデータは、メモリ装置105又は他のデータストレージの場所に記憶される。
【0035】
幾つかの実施の形態では、たとえばディスプレイモジュールのような1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nは、画像空間データ、場所/向き/位置データ、及び/又は他のデータからの1以上の画像を、プロセッサ103が生成、フォーマット、及び再フォーマットするのを可能にする。幾つかの実施の形態では、画像空間データ、場所/向き/位置データ、他のデータ、或いはそれらの組み合わせから生成された画像は、表示装置115に表示される。幾つかの実施の形態では、たとえばディスプレイモジュールのような1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nは、画像誘導の治療において使用するため、(患者の生体構造における追跡される機器の動きが重ねあわされた画像上に示されるように)リアルタイムで重ね合わされる(たとえば1以上の位置を示すエレメントを有する機器といった)追跡される機器の位置及び/又は向きで、患者の生体構造の画像の生成及び表示を可能にする。幾つかの実施の形態では、たとえばディスプレイモジュールのような1以上のソフトウェアモジュール111a〜111nは、患者の生体構造の1以上の画像に1以上のマーク、ライン、円、球、文字、数字又は他の指標をプロセッサ103が生成するのを可能にする。幾つかの実施の形態では、たとえばマッピングモジュールのような1以上のモジュール111a〜111nは、目標とする血管(たとえば門脈)又は患者の生体構造の他の部分をプロセッサ103がマッピングすること、及び/又は目標とする血管又は患者の生体構造の一部のマップに関連する他の動作をプロセッサ103が実行するのを可能にする。幾つかの実施の形態では、たとえばディスプレイモジュールのような1以上のモジュール111a〜111nは、目標とする血管に対する穿刺針の相対的な位置、穿刺針がガイドニードルの遠位端の部分を過ぎて延出される場合に従う穿刺針の経路を含む穿刺針の投影される経路、穿刺針の投影される経路が目標とする血管の決定された経路に交差する場合に穿刺針が目標とする血管に交差する点、穿刺針の投影された経路が目標とする血管の決定された経路に交差しない場合に穿刺針から目標とする血管への最も近い経路のインジケータ、を生成して(たとえば表示装置115に)表示する。
【0036】
幾つかの実施の形態では、表示装置115は、たとえばLCDディスプレイ、プラズマスクリーンディスプレイ、陰極線管ディスプレイ、又は他の表示装置のようなコンピュータモニタ又は他のビジュアルディスプレイを含む。幾つかの実施の形態では、入力装置117は、1以上のマウス、スタイラス、キーボード、(表示装置115に関連されるか表示装置115と統合される)タッチスクリーンインタフェース、(マイクロフォン及び関連される音声処理ソフトウェアを含む)音声作動式の入力装置、及び/又は他の装置を含み、(たとえなTIPSを行う医師又はアシスタントといった)ユーザは、システム100又はそのコンポーネントに入力を供給することができる。
【0037】
幾つかの実施の形態では、追跡装置121は、入力/出力113を介してコンピュータエレメント101に接続される。幾つかの実施の形態では、追跡装置121は、コンピュータエレメント101に直接接続される必要はないが、追跡装置121とコンピュータエレメント101との間でデータが送出及び受信される。追跡装置121は、電磁的な追跡装置、グローバルポジショニングシステム(GPS)が使用可能な追跡装置、超音波追跡装置、光ファイバ追跡装置、光追跡装置、レーダ追跡装置、又は他のタイプの追跡装置を含む。追跡装置121は、3次元位置、場所、座標に関するデータ、及び/又は患者の生体構造の領域内又は生体構造の周辺の1以上の位置を示すエレメントに関する他の情報を取得するために使用される。追跡装置121は、このデータ/情報をコンピュータエレメント101に供給する。幾つかの実施の形態では、追跡装置121により追跡される位置を示すエレメントは、ニードルアセンブリ125及び/又は他のエレメント上に配置されるか、ニードルアセンブリ125及び/又は他のエレメントと統合される。
【0038】
幾つかの実施の形態では、画像形成装置123は、x線撮影装置、コンピュータ断層撮影(CT)装置、ポジトロン放出断層撮影(PET)装置、磁気共鳴画像形成(MRI)装置、蛍光透視撮影装置、超音波撮影装置、アイソセントリック蛍光透視撮影装置、回転蛍光透視再構成システム、マルチスライスコンピュータ断層撮影装置、血管内超音波画像形成装置、光コヒーレンス断層撮影(OCT)装置、光画像形成装置、単光子放出コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像形成装置、又は他の画像形成/スキャニング機器を含む。
【0039】
幾つかの実施の形態では、ニードルアセンブリ125は、Colapintoニードル及び穿刺針を含む。ニードルアセンブリ125は、本実施の形態では「Colapinto針」を含むように記載されているが、本実施の形態で示される「Colapinto針」に帰する特徴を有する「ガイド」ニードル又は他の細長い中に空洞がある器具を使用することができる。図2Aは、分離されたニードルアセンブリを例示し、Colapintoニードル201及び穿刺針203を含む。Colapinto針201は、その長さに沿って中空(又はさもなければ管腔)である細長い針本体部分を有する標準的なColapinto針を含む。幾つかの実施の形態では、Colapinto針は、ガイドニードルと呼ばれる場合がある。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201の針本体部分は、たとえば16ゲージ(16G)直径をもつ60cmの長さである。他の長さ及び/又は直径が使用される場合がある。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201の針本体部の遠位端/先端(たとえば遠位5cm)の部分は、曲げられている。たとえば、幾つかの実施の形態では、Colapinto針201の針本体部の遠位端は、先端が針本体部の主軸に関して45°の角度であるように曲げられる。幾つかの実施の形態では、角度は、およそ45°である。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201は、曲げの角度が医師又は他のオペレータによりカスタマイズ可能であるように、可鍛性の材料から構成される。幾つかの実施の形態では、曲げは、緩やかであり、針本体部の遠位端/先端において曲線を形成する。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201は、たとえば針本体部の近位端にあるエレメント(たとえばハブ、バルブ、又はColapinto針201の中空の本体にカテーテル又は他の針を導入するポート、及び/又は他のエレメント)のような他のエレメントを含む。
【0040】
幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、Colapinto針201の中空の本体内でスライド可能に適合するようにサイズ指定される細長い針本体部分を含む。幾つかの実施の形態では、本実施の形態で記載されるように、穿刺針203は、中が空洞であるか、又はさもなければその長さを形成する管腔を有する。幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、固体であり、及び/又は、カテーテル又はその外側表面で他の管腔を受ける装置を収容する。幾つかの実施の形態では、穿刺針203の針本体部は、たとえば65cmの長さであり、18ゲージ(18G)の直径を有する。図2Bは、穿刺針203と組み立てられるColapinto針201を含むニードルアセンブリ125を例示し、穿刺針203は、Colapinto針201の外側に配置及び延出される。
【0041】
穿刺針203は、Colapinto針201の遠位端205に存在するように、製造技術及び材料を使用して形成される。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201の外側に延出される穿刺針203の一部は、少なくとも最初は、Colapinto針201の先端205(又は遠位端205)に接線方向に進む経路に沿って存在する。幾つかの実施の形態では、これは、Colapinto針の曲線の接線として方向が維持されることを保証する穿刺針203の先端に近くでスプリングエレメントを利用することで達成される。たとえば、穿刺針203のセクション207は、ワイヤ又はチューブに近位であって且つ鋭い先端に遠位で溶接されるスプリングエレメントを含むか、又は該スプリングエレメントから構成される。幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、超弾性状態において直線となるように処理される、たとえばニチノールのような形状記憶合金を使用して形成され、これにより、穿刺針203は、Colapinto針201の先端205に存在するとき、その所定の経路(すなわちColapinto針201の曲線の接線方向)に従う。ニチノールは、比較的ねじれの耐性があるという利点を有し、これにより形成されるチューブ又はワイヤの完全性に影響を及ぼさない極端な角度に曲げられるのを可能にする。また、その超弾性状態にアニールされ、直線の形状に形成されたとき、塑性的に変形されないが、たとえ曲がりくねって曲げられたときでさえ、その直線の形状に常に戻る。これは、カニューレに含まれたとき、カニューレの傾斜の端部に接線方向に常に存在する針を提供する。従って、穿刺針203は、適切に処理されたニチノールを使用して作成され、且つColapinto針201に含まれた場合、穿刺針203の先端は、Colapinto針201の遠位の先端の方向に常に存在し、(別の材料のような)Colapinto針201の曲げられた先端により引き起こされる偏差を受けない。これは、穿刺針203がColapinto針201の遠位端に存在するとき、曲げを受けやすい穿刺針203の経路を予測することが可能でないとき、TIPSの実行を支援する。
【0042】
幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、穿刺針203の遠位端又は先端に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。図3Aは、位置を示すエレメント301を有する穿刺針203の先端の位置の細長い外観を示し、位置を示すエレメントは、追跡装置(たとえば追跡装置121)と強調して位置センサ空間における穿刺針203の先端部分の位置及び向きを提供するワイヤコイル又は他のエレメントである。穿刺針203は、位置を示すエレメント301から穿刺針203の長さにまで延びるリードワイヤ303を含む。
【0043】
幾つかの実施の形態では、Colapinto針201は、Colapinto針201の遠位端又は先端(又は他の部分)に関する位置センサの空間データを供給する1以上の位置を示すエレメントを含む。幾つかの実施の形態では、1以上のカニューレ、針、カテーテル、及び/又はColapinto針201に挿入される器具は、カニューレ、針、カテーテル又は他の器具の遠位端又は先端(又は他の部分)に関する位置センサの空間データを提供する1以上の位置を示すエレメントを含む。
【0044】
穿刺針203が固体である実施の形態では、中空のカニューレ又はカテーテルは、血流のパイプが提供されるように、穿刺針203の外側に配置される。たとえば、カテーテルにより層をなす固体の穿刺針が使用され、TIPSを実行して門脈と肝静脈とを橋を架ける場合、固体の穿刺針の部分は、アセンブリから抽出され、これにより血液の戻りの検査を可能にするカテーテルのみが残される。血液が戻る場合、門脈の成功した横断が確認される。このように、幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、ロッシュ−ウチダシステムと同様にカテーテルにより覆われている(たとえばカテーテル305が穿刺針203を覆う図3Bを参照)。係るシステムでは、位置を示すエレメントは、穿刺針又はカテーテルの外側に巻かれる。幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、たとえば鋭い先端を中空の管の部分に溶接又は成形することで形成される。係るケースでは、位置を示すエレメントは、鋭い先端に隣接する中空の管の部分の遠位の部分内に配置される。位置を示すエレメントに関連されるリードワイヤは、中空の管の部分の内部を通り抜け、必要に応じて外部に移動する。
【0045】
幾つかの実施の形態では、穿刺針203は、中空であり、従って、そこを通して血液の流れを可能にする。中空の穿刺針が使用される例では、位置を示すエレメントは、中空の穿刺針の外側にまかれるか、又は針に隣接して取り付けられる。図3Cは、穿刺針203を例示しており、位置を示すエレメント307を備えるワイヤは、針203の外側に巻かれており、リードワイヤ309は、システムにおける何処かの接続点まで針203の外側に巻かれている。中空の穿刺針の使用により、血液(又は他の液体)が穿刺針の中空内部を直接に形成するので、ユーザは、個別のカニューレ又はカテーテルを使用しないですむことができる。幾つかの実施の形態では、中空の穿刺針は、位置を示すエレメント307のリードワイヤ(たとえばリードワイヤ309)が針の長さに沿って進むように、中空のスプリング材料から構成される。幾つかの実施の形態では、穿刺針は、都合の良い点で針の内側に繋がるか、又は針の外側に沿って進むリードワイヤによる外側の巻きコイルを含む。リードワイヤが針の外側に沿って進む実施の形態では、熱収縮、pyralene、又は他のコーティングのような保護コーティングが適用される場合がある。
【0046】
幾つかの実施の形態では、画像誘導によるTIPSは、たとえばシステム100又はシステムの一部のような本発明のシステムを使用して患者に支援/実行される。図4Aは、画像誘導によるTIPSを支援/又は実行するプロセスの例である、プロセス400を例示する。幾つかの実施の形態では、画像誘導によるTIPSは、患者の門脈又は他の「目標とする血管」のデジタルマップを利用する。門脈のマップは、患者の生体構造の画像を使用して作成される。係るように、プロセス400は、患者の1以上の画像又はイメージスキャンが取得される動作401を含む。幾つかの実施の形態では、コンピュータエレメント101の1以上のモジュール111a〜111n(たとえばデータ受信モジュール)は、1以上の画像、イメージスキャン及び/又は他の画像データをコンピュータエレメント101が受信するのを可能にする。門脈は、目標とする血管(たとえば門脈)の3次元の経路を決定/確立するため、画像形成システム(たとえば画像形成システム123)及び技術を使用して確立される。この画像形成は、CTS(コンピュータ断層撮影血管造影法)の調査、MRA(磁気共鳴血管造影法)の調査、回転蛍光透視血管造影による判定、較正されたバイプレーン血管造影、門脈の超音波検査、及び/又は他の画像形成モダリティを行うことを含む。画像形成の目的は、門脈及びその関連する支流の幾何学的な経路を(たとえばセグメント化により)決定することである。幾つかの実施の形態では、患者の生体構造の画像形成は、造影剤を患者の門脈系に注入することを含む。次いで、門脈系及び周囲の生体構造の画像を取得するため、画像形成モダリティ(たとえば画像形成装置)によりスキャンが行われる。次いで、結果として得られる画像が検査される。
【0047】
動作403で、自動化された技術又は手動による技術の何れかを使用して、門脈の幾何学的な経路が決定/確定され、その座標は、画像の座標系(すなわち画像空間)に記録される。幾つかの実施の形態では、このプロセスを支援するため、平滑化及び他の幾何学的な動作が実行される。幾つかの実施の形態では、この門脈のマッピング手順(すなわち門脈の経路の画像形成及び判定、及び/又は他の動作)は、TIPSニードルアセンブリ125を患者の生体構造に挿入する前に行われる。
【0048】
幾つかの実施の形態では、門脈系のマップは、手術内超音波(intra-procedural ultrasound)を使用して確立される。門脈(又は他の目標とする血管)の幾何学的な経路がニードルアセンブリ125の挿入前に取得される患者の生体構造の画像を使用して決定される必要がない。図4Bは、プロセス450を例示し、追跡され、較正された超音波は、門脈(又は他の目標とする血管)の3次元マップを確定するために使用される。「追跡される」超音波トランスデュサーは、その位置及び向きが追跡システム(たとえば追跡システム121)により位置センサ空間で決定することができる位置を示すエレメントが取り付けられた超音波トランスデューサを示す。用語「較正された」超音波トランスデューサは、トランスデューサの2次元画像平面における位置が、(位置を示すエレメントにより既知である)トランスデューサの画像平面の空間的な位置及び向きと結合されたとき、走査平面における任意の点での位置センサ空間における空間的な位置を決定するために十分な情報を提供するように、人間の組織をシミュレートする媒体で事前に較正された超音波トランスデューサを示す。係るように、ある位置が、超音波の画像平面における点u,v(“u”及び“v”は、スキャン平面の座標系におけるある点の“x”及び“y”の位置に対応する)に現われ、超音波トランスデューサの向き及び位置が位置センサ空間で知られている場合、この情報は、位置センサ空間における位置(u,v)を決定するために結合される。
【0049】
プロセス450は、動作451を含む、追跡され、較正された超音波は、門脈(又は他の目標とする血管)が位置される患者の生体構造の一部の画像を取得するために使用される。動作453では、画像における患者の欠陥(又は他の目標とする血管)は、手動の技術又は自動化された技術の何れかを使用して識別される。動作453は、超音波トランスデューサの走査平面における門脈の「超音波座標」(u,v)を決定することを含む。動作455では、超音波のスキャン平面における門脈(又は他の目標とする血管)の識別された部分の位置X,Y,Zは、位置センサ空間において決定される。これは、超音波トランスデューサにおける位置を示すエレメントにより決定され、超音波座標(u,v)は、較正情報と共に位置センサ空間座標に変換される。動作457では、門脈(又は他の目標とする血管)に関する十分な情報が得られたかが判定される。十分な情報が得られていない場合、プロセス450は、門脈(又は他の目標とする血管)の更なる部分の画像を取得するために動作451に戻り、この更なる部分の画像は、視覚化され、位置センサ空間におけるそれらの座標が決定される。十分な情報が得られた場合、プロセス450は、動作459に進み、この情報は、門脈(又は他の目標とする血管)の経路の完全な3次元センサ空間の表現を構築するために使用される。追跡された超音波に関する更なる情報については、引用により本明細書に盛り込まれる“Device and Method for Trackable Ultrasound”と題された米国特許出願公開20070167787(米国特許出願11/471629)を参照されたい。
【0050】
目標とする血管の経路を判定するために使用される方法を問わず、目標とする血管の経路をセグメント化し、たとえば血管の中心線を形成する点のような血管内/上の特定の点を識別/判定することが望まれる場合がある。さらに、目標とする血管の空間座標が(たとえば術前の画像形成を使用したときに)画像空間において既知であるか、又は(たとえば術内の画像形成を使用したときに)位置センサ空間において既知であるように、一連の座標として経路が確定される。経路は、たとえば区分的な直線又は双三次のスプライン(bicubic spline)により平滑化又は連結される一連の点を含む。目標とする血管の空間座標が画像空間においてはじめに既知である場合、位置センサの空間座標との後続するレジストレーションにより、患者の空間における血管の経路が確定され、この場合、全ての他の測定が行われる。
【0051】
幾つかの実施の形態では、コンピュータエレメント101の1以上のモジュール111a〜111nは、コンピュータエレメント101により使用され、たとえば画像空間における目標とする血管の幾何学的な経路の決定、平滑化又は他の幾何学的な処理、目標とする血管のセグメント化、目標とする血管のセンターラインの点の決定、区分的な双三次のスプラインによる点の平滑化又は連結、及び/又は患者の生体構造の目標とする血管又は他の部分の画像空間におけるマップの作成に関連する他の処理のような、患者の生体構造の門脈又は他の部分のマップを作成することに関して本実施の形態で記載された動作を支援及び/又は実行する。
【0052】
TIPSの介入の実行についてニードルアセンブリ125を挿入したとき、電磁的な追跡装置、GPS装置、光ファイバ追跡装置、光追跡又は他の追跡装置のような、たとえば位置センサ/追跡装置(たとえば追跡装置)は、患者の近くにセットアップされる。追跡システム121は、コンピュータシステム(たとえばコンピュータエレメント101)が、電子感知コイル、GPSエレメント、又は位置センサのボリューム内の他の位置を示すエレメントのような位置を示すエレメント(たとえば位置を示すエレメント301又は309)の位置及び向きを決定するのを可能にする。これらの位置を示すエレメントは、本実施の形態で記載されるように(たとえば穿刺針203に接して又は内部といった)、及び/又は患者の生体構造に接して又は内部に、システムの1以上のエレメントに取り付けられる。追跡システム121は、「位置センサの空間」又は「患者の空間」として以下では同じ意味で呼ばれる、それ自身の座標系における位置を指示するエレメントの位置及び向きを決定する。係るように、プロセス400は、動作405を含み、ニードルアセンブリは、患者の生体構造に導入される(TIPS手順について、ニードルアセンブリは、患者の血管系に導入され、肝静脈に送られる)。動作407では、(たとえばニードルアセンブリ125との関連を介して)患者の生体構造内に配置される1以上の位置を示すエレメントは、追跡システムによりサンプリングされ、ニードルアセンブリ及び/又は患者の生体構造の一部に関する位置センサの空間情報が取得される。本実施の形態で記載されるように、本方法/機器は、患者の生体構造に関する位置センサの空間情報を収集するために使用される。
【0053】
動作409において、画像の画像空間情報は、位置センサの空間情報と位置合わせされる。2つの座標系は、たとえばペアドポイントマッチング、パスマッチング、超音波マッチング、又は他のレジストレーション技術のような1以上の一般に知られているレジストレーション技術を使用して位置合わせされる。たとえば、ペアドポイントレジストレーションは、画像空間において目に見る事ができる自然に又は人工的に適用された基準が画像空間に位置され、(たとえば追跡システム121に関連する1以上の位置を示すエレメントを有するプローブを使用して)位置センサ空間においても識別される基準に基づくマッチングのような技術を使用して実行される。ひとたび少なくとも3つの基準の位置が位置センサ空間及び画像空間に配置されると、患者の生体構造の画像情報を追跡装置121の座標系に関連付けする変換マトリクスが計算される。レジストレーション方法に関する更なる情報は、その全体が引用により本明細書に盛り込まれる“Method and Apparatus for registration, Verification, and Referencing of Internal Organs”と題された米国特許出願公開20050182319(米国特許出願11/059336)で発見することができる。肝臓の動きのため、肝臓の動きを考慮するか又はスキャンの時間から治療介入の時間までの臓器の位置を維持する方法は、所定の利点を提供する。さらに、ダイレクトトラッキング又は画像に基づく訂正技術を含む方法は、門脈のマップが位置センサ空間と位置合わせされていることを補償するための手順の間に、肝臓の動きを追跡するために利用される。
【0054】
肝臓の動きを考慮したレジストレーションの方法は、超音波又は蛍光透視法のような手術中の画像形成に基づいている。他の方法は、埋め込みされたニードル、基準、送信機、及び/又は、スキャンの時間から肝臓の形状保存変換又は形状非保存変換を確定又は決定するために使用される他のエレメントを使用して、たとえば臓器のダイナミックリファレンスのような直接的な肝臓の追跡を含む。ダイナミックリファレンス方法に関する更なる情報は、“Method and Apparatus for Registration, Verification, and Referencing of Internal Organs”と題された米国特許出願公開20050182319(米国特許11/059336)で発見される。肝臓の追跡及び動きを考慮したモデリング技術は、治療を通して臓器を追跡するために使用される。
【0055】
本明細書で記載されるように、幾つかの実施の形態では、追跡され、較正された超音波トランスデューサは、画像空間情報を手術中に取得するために使用される。このように、門脈(又は患者の生体構造の他の部分)の患者の空間座標は、直接的に決定される。追跡され、較正された超音波トランスデューサは、生成した画像を位置センサ空間に自動的に相関付けすることができるので、追跡された超音波からの画像情報を患者空間の情報に位置合わせする必要がない。
【0056】
本実施の形態で記載されるように、TIPSの治療介入は、Clapinto針を肝静脈(又は他の血管又は目標とする血管に近い領域)に導入することを含む。プロセス400に関して、Colapinto針201が動作405において肝静脈に未だ導入されていない場合、動作411で、Colapinto針201が肝静脈に導入されるようにニードルアセンブリ125が誘導される。肝静脈へのColapinto針201の最初の配置は、頸静脈、その後に肝静脈への最初のアクセスを確立するため、たとえば超音波のような1以上の各種画像形成装置を使用して、TIPSの治療介入の従来のやり方で確立される。従来のアクセスシステムで使用される同じカテーテル及びシースは、Colapinto針201が肝臓の頸静脈に配置される点まで同じやり方で適用される場合がある。これは、針が静脈に進むときに、蛍光透視法の使用を含む。
【0057】
動作413において、追跡される穿刺針203は、Colapinto201に導入され、(使用される場合に)カテーテル305の先端及び穿刺針203がColapinto針201の先端と同一平面にあるような位置に配置される。穿刺針203が固体である実施の形態では、カテーテル305は、穿刺針203と共にColapinto針201に導入される。幾つかの実施の形態では、Colapinto針201のハブと穿刺針203のハブとの間に配置される穿刺針203及び/又はスペーサの様々なマーキングは、穿刺針203の先端について適切な位置を確立するために使用される。
【0058】
先に記載されたように、システム100の穿刺針203及び追跡システム121の1以上の位置を指示するエレメント(たとえば位置を示すエレメント301)は、システム100のコンピュータエレメント101に接続されるか、さもなければシステム100のコンピュータエレメント101にデータを送出する。従って、位置を示すエレメント301(及び/又は位置センサのアクティブボリューム内に位置されるシステム100に関連する他の位置を示すエレメント)の位置及び/又は向きに関するデータは、コンピュータエレメント101に中継される。コンピュータエレメント101は、このデータを使用して、治療を行っている医師が目に見ることができる表示装置(たとえば表示装置115)に(たとえば前にマッピングされた門脈及び/又は他の血管又は臓器を含む)患者の生体構造に関する機器の相対的な現在の位置/場所を表示する。コンピュータエレメント101は、1以上の機器が同じ方向に進み続ける場合に機器が進む前方を投影することで、(穿刺針203、カテーテル205、及び/又はColapinto針201を含む)1以上の機器の製剤的な将来の経路を(たとえばディスプレイモジュールを使用して)更に計算する。係るように、プロセス400は、動作415を含み、動作415では、穿刺針203の位置及び軌道が生成され、投影され、及び/又は門脈の位置合わせされた画像がロードされるコンピュータディスプレイ(たとえば表示装置115)に表示される。ディスプレイは、(Colapinto針201内に含まれる)穿刺針203の現在の位置及び軌道が、穿刺針203を実際に延ばして血液の戻りを検査する前に門脈上のある点でぶつかるかを治療を行っている医師に示す。
【0059】
穿刺針203は、その先端及びその位置で追跡され、且つ軌道は既知であるので、治療を行っている医師は、穿刺針203が門脈に正しくぶつかるかを判定する。動作417において、医師は、Colapinto針から肝静脈の壁を通して肝実質に、肝静脈にぶつかるまで穿刺針203を延ばす。この動作の間、穿刺針203の経路/軌道は、ディスプレイ上で継続して観察され、(たとえば斜めにされた場合に針をねじり、又は内部ステアリングメカニズムを作動することで)エクステンションの間に潜在的に調節される。TIPSの治療を行っている医師が、穿刺針203が門脈に交差しないと判断した場合、医師は、たとえば穿刺針201が門脈に交差したと判定するまで、Colapinto針201のハウジングをねじり、伸張、後退又はさもなければ操作することで、Colapinto針201のハウジングを調節し直す。幾つかの実施の形態では、動作417は、ロボット制御で実行される。
【0060】
動作419において、門脈と肝静脈とに橋を架けるためにステントが最終的に留置される。
【0061】
本実施の形態で記載される幾つかの実施の形態では、門脈上の通過地点は、超音波装置を使用して画像形成される。穿刺針203及びColapinto針201は、超音波装置の走査平面との穿刺針203の交差の位置が血管の位置で生じるように予測されるまで、集合的に操作される。図5は、ディスプレイ500を例示し、図5は、超音波画像(すなわち本発明のシステムと共に使用される超音波トランスデューサの走査平面により捕捉される画像)の例であり、門脈との穿刺針の交差点は、円として可視化される。図1の直線501は、超音波の走査平面への穿刺針203の投影を例示する。円503は、針が走査平面を交差することが期待される点を例示する。円503の上の直線501の部分は、穿刺針が走査平面を超えて通過するときの穿刺針203の経路の投影を表す。穿刺針203又はニードルアセンブリ125の他のエレメントの他の表現が表示される場合もある。
【0062】
典型的なColapinto針は、長手方向の動きとねじりの動きとの2つのみの自由度を一般に有する。これは、ある血管上の特定の位置を刺すのを困難にする。しかし、別の自由度が実際に利用可能である。すなわち、血管における刺した位置は、幾分任意である。幾つかのシナリオに関して、たった1つの位置での門脈が画像形成され、門脈への入口点が制約される場合がある。穿刺針の潜在的な入口の多数の点を監視することは、利点がある。係るように、目標とする血管のより大きな部分を可視化すること及びアクセスすることは、利点がある。幾つかの例では、門脈及びその支流における全ての潜在的な交差の位置は、門脈を画像形成する間、患者の生体構造の周りの超音波トランスデューサを走査することで監視される場合がある。しかし、この生体構造の走査は、退屈であり、全体の目標とする領域を可視化することは困難である。係るように、本実施の形態で開示されるシステム、プロセス及び特徴は、有効な入口点として、門脈及びその支流上の複数の位置に対する可視化及びアクセスを有利にも可能にするために使用される。
【0063】
門脈のマップが確定されているため、コンピュータエレメント101は、穿刺針203の現在の軌跡が任意の位置で門脈の経路に接近するか、任意の位置で門脈の経路に交差するかを判定する。軌跡と任意の交差点との間の距離が決定され、TIPSの治療を行っている医師に表示される。
【0064】
先に記載されたように、幾つかの実施の形態では、(たとえば治療403)治療の前又は間に決定された門脈の経路は、穿刺針203の軌跡と共に表示装置115に表示される場合がある。穿刺針203の軌跡は、穿刺針が門脈に交差するかを判定するため、TIPSを行っている医師により調べられる。交差の位置が発見された場合、穿刺針203は、肝静脈から門脈に交差するように計算されるまで、(たとえば動作417において)延出される。ひとたび交差が行われると、医師は、(中空である場合)穿刺針203又は穿刺針203を囲んでいる中空のカニューレ又はカテーテル(たとえばカテーテル305)を通して血液が抽出されるかを調べることで、静脈間の接続を確認する場合がある。
【0065】
幾つかの実施の形態では、マッピングされた門脈に対する穿刺針203の相対的な位置を表示すると共に、コンピュータエレメント101は、門脈に最も近い経路を計算して、それを血管への距離と共に表示する。図6は、表示600を例示するものであり、門脈(又は他の目標とする血管)及び穿刺針203の表現の表示の例である。表示600における血管601は、門脈を表す。円603は、たとえば2mmの経路である門脈への予め定義された距離を表す。先に述べたように、項目203は、穿刺針203の先端の現在の位置を表す。破線605は、穿刺針203の軌跡を表す。直線607は、門脈に最も近い経路を表す。表示600に例示される例は、穿刺針203の現在の軌跡により、門脈が刺されないことを示す。
【0066】
図7は、表示700を例示するものであり、図6に示された情報の複数の描写を例示する。表示700は、穿刺針203、幾つかの投影されるビュー上の門脈の表現601に対して相対的なその位置及び軌跡を同時に示す。図7に表示される画像のうちの右下の4分の1の図は、進展が調べられる生の超音波画像を示す。この画像は、図7の他の4分の1の図に示される針の軌跡及び血管の経路の随伴して起こる画像に直接関連しない。右下の4分の1の図における円は、超音波の生の走査平面との穿刺針203の軌跡との予測される交差点を示す。これは、穿刺針の位置を示すエレメント(たとえば位置を示すエレメント301)穿刺針203の軌道の情報、超音波トランスデューサに関連する1以上の位置を示すエレメントによる位置センサ空間で知られる走査平面の方向の結果として計算される。これらの位置を示すエレメントからの情報は、走査平面と穿刺針の交差点の位置を生成及び表示するため、追跡された超音波の調整情報及び画像情報と共に使用される。実線は、走査平面から導入される穿刺針203の投影を表し、点線は、走査平面とのその交点の後の(走査平面からの)穿刺針203の予測される軌跡を表す。穿刺針が走査平面に実際に交差するとき、走査平面に交差する穿刺針203の一部の生の超音波エコーは、右下の4分の1つの画像に表示される。
【0067】
表示700の左下部に示される投影され且つ絶対の目標とする距離は、投影される最も接近した経路と現在の穿刺針の先端から、門脈への最も接近した経路までの距離を示す。投影される目標とする距離は、針の先端がその現在の軌道にどの位接近するかを示す(すなわち図7の例では14.3mm)。TIPSの治療を行っている医師は、投影される目標とする距離(すなわち第一の数)がゼロになるまで穿刺針203を操作し、次いで、門脈への先端の絶対の目標とする距離(すなわち第二の数)がゼロになるまで穿刺針203により前進する。その後、穿刺針203及び門脈の先端が交差することになる。
【0068】
図8は、表示800を例示するものであり、図6及び図7で表示される情報の包括的な画像の例であり、(使用される場合に)追跡され、較正される超音波トランスデューサの走査平面、及び超音波トランスデューサが示すものを例示している。弧801及びその関連する辺803は、超音波トランスデューサの画像平面又は「走査平面」を示す。
【0069】
図9は、図8で表示される情報の拡大された画像の例である表示900を例示する。表示900は、ある平面を形成するアーチ801及び辺803による超音波トランスデューサの画像形成平面及び穿刺針203を例示する。球901は、門脈からの閾値となる距離(たとえば2.5mm)を示す。円903は、超音波トランスデューサの走査平面がどこで門脈を画像形成するかを示す。円905は、穿刺針の現在の軌跡が走査平面とどこで交差するかを示す。
【0070】
本実施の形態で開示されるシステム、プロセス及び特徴は、患者の肝静脈と門脈とをブリッジするTIPSの治療と共に使用される発明を説明したが(この場合、門脈は「目標とする血管」と考えられる)、本実施の形態で開示されたシステム、プロセス及び特徴は、患者の生体構造の他のエレメントが「目標」として考えられる、患者の生体構造における他の治療のために使用される場合がある。
【0071】
幾つかの実施の形態では、本発明は、本発明の動作、特徴、及び/又は機能の一部又は全部を1以上のプロセッサ(たとえばプロセッサ103)に実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。
【0072】
システム100は、例示的なシステム構成である。他の構成が存在する場合がある。たとえば、1以上のコンピュータエレメント、プロセッサ、メモリ装置、表示装置、入力装置、追跡装置、画像形成装置、ニードル、カテーテル、カニューレ、及び/又は他のエレメントが使用される場合がある。当業者であれば、本実施の形態で記載された発明は様々なシステム構成により動作することを理解されるであろう。上述されたシステムコンポーネントよりも多くの又は少ないシステムコンポーネントが様々な実施の形態で使用及び/又は結合される場合がある。幾つかの実施の形態では、理解されるように、本実施の形態で記載される機能は、ソフトウェアに加えて、又はソフトウェアの代わりに、ハードウェア及び/又はファームウェアの組み合わせで実現される場合がある。幾つかの実施の形態では、本実施の形態で記載されるプロセスの動作は、本実施の形態で記載された順序とは異なる順序で実行される場合がある。幾つかの実施の形態では、1以上の動作が省略又は組み合わされる場合がある。幾つかの実施の形態では、1以上の更なる動作が追加される場合がある。
【0073】
本発明の他の実施の形態、使用及び利点は、本実施の形態で開示された本発明の仕様及び実施を考慮して当業者にとって明らかとなるであろう。明細書は、例示的に考慮されるべきであって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9