(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間に一番近いタッチセンサ層の一のセンサ要素は、他のいずれか一のタッチセンサ層のいずれのセンサ要素からも位置がずれている
請求項1に記載の表示装置。
前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間から一番遠いタッチセンサ層を駆動する駆動信号は、他のいずれか一のタッチセンサ層を駆動する駆動信号よりも、振幅が大きい
請求項6に記載の表示装置。
前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間から一番遠いタッチセンサ層を駆動する第1の駆動信号は、他のいずれか一のタッチセンサ層を駆動する第2の駆動信号よりも、周波数が高い
請求項6に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
5.適用例
【0015】
<1.静電容量式タッチ検出の基本原理>
まず最初に、
図1〜
図3を参照して、本開示の表示パネルにおけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量式のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば
図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、
図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出回路)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数十kHz程度)の交流矩形波Sg(
図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、
図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述する駆動信号Vcomに相当するものである。
【0016】
指が接触(または近接)していない状態では、
図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば
図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0017】
一方、指が接触(または近接)した状態では、
図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば
図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0018】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものであり、(A)は側面図を示し、(B)は平面図を示す。この表示装置1は、静電容量式のタッチパネルと表示パネルを組み合わせた表示装置である。
【0019】
表示装置1は、表示パネル10と、タッチパネル20A,20Bと、カバーガラス30とを備えている。
【0020】
表示パネル10は、画像を表示するものであり、例えば、液晶表示パネルや、EL(Electro Luminescence)表示パネルが適用可能である。
【0021】
タッチパネル20A,20Bは、静電容量式のタッチパネルである。この例では、タッチパネル20A,20Bは、同じ構成のものである。タッチパネル20A,20Bは、互いに重ね合わされ、後述する処理部29と併せて、複合タッチパネル20を構成するようになっている。この複合タッチパネル20は、表示パネル10の表示面側に配置されている。
【0022】
カバーガラス30は、表示装置1のタッチ検出面Sを保護するものであり、複合タッチパネル20上に配置されている。カバーガラス30の裏面の外周部には、遮光部39が形成されている。この遮光部39は、例えば、ユーザが、タッチパネル20A,20Bの外周部に形成された配線49(後述)などを見えないようにするためのものである。
【0023】
表示装置1では、後述するように、互いに重ね合わされたタッチパネル20A,20Bにおける検出結果に基づいて、指などの外部物体を検出する。表示装置1は、
図4に示したように、外部物体がタッチ検出面Sに接触している場合(ケースC1)だけでなく、近傍にある場合(ケースC2,C3)でも、その外部物体を検出することができる。特に、表示装置1では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けているため、後述するように、外部物体が近傍にある場合に、その外部物体のタッチ検出面S内における位置(タッチ位置)や、その外部物体とタッチ検出面Sとの間の近接距離を、より高い精度で求めることができるようになっている。
【0024】
(複合タッチパネル20)
図5は、複合タッチパネル20の一構成例を表すものである。複合タッチパネル20は、タッチパネル20A,20Bと、処理部29とを備えている。
【0025】
タッチパネル20Aは、制御部21と、駆動部22と、タッチセンサ部40と、タッチ検出部24とを備えている。
【0026】
制御部21は、駆動部22およびタッチ検出部24に対して、それぞれ制御信号を供給し、これらが同期して動作するように制御するものである。
【0027】
駆動部22は、制御部21から供給される制御信号に基づいて、タッチセンサ部40に設けられた複数の駆動電極ED(後述)に対して、駆動信号Vcomを印加するものである。具体的には、駆動部22は、複数の駆動電極EDに対して、交流矩形波形の駆動信号Vcomを時分割的に順次印加するようになっている。
【0028】
タッチセンサ部40は、上述した静電容量式タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、駆動信号Vcomに基づくタッチ検出信号Vdetを出力するものである。
【0029】
図6は、タッチセンサ部40の一構成例を表すものである。
図7(A)は、
図6に示したタッチセンサ部40のVI−VI矢視方向の要部断面構成を表し、
図7(B)は、VII−VII矢視方向の要部断面構成を表すものである。
【0030】
タッチセンサ部40は、
図7に示したように、透明基板41と、複数の駆動電極EDと、複数のタッチ検出電極ETと、絶縁層42とを有している。透明基板41は、例えばガラスにより構成される支持基板である。駆動電極EDは、駆動部22から供給された駆動信号Vcomが印加される電極である。タッチ検出電極ETは、この駆動電極EDとの間に静電容量を形成する電極である。駆動電極EDおよびタッチ検出電極ETは、ともに、透明基板41上に形成されており、例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)により構成されている。そして、駆動電極EDおよびタッチ検出電極ETの上には、絶縁層42が形成されている。
【0031】
駆動電極EDは、
図6に示したように、一方向(この例では
図6の左右方向)に並設された、正方形の形状を有する複数の部分電極から構成されている。各部分電極は、対角線の一方がこの並設方向になるように配置されており、隣接する部分電極と互いに接続されている。同様に、タッチ検出電極ETは、駆動電極EDに係る部分電極の並設方向と交差する方向(この例では、
図6の上下方向)に並設された、複数の部分電極から構成されている。各部分電極は、対角線の一方がこの並設方向になるように配置されており、隣接する部分電極と互いに接続されている。駆動電極EDの部分電極間の接続部分は、
図6,7に示したように、タッチ検出電極ETに係る部分電極間の接続部分をブリッジするようになっている。
【0032】
駆動電極EDの一端、およびタッチ検出電極ETの一端には、配線49が形成されている。駆動電極EDは、この配線49を介して駆動部22と接続され、タッチ検出電極ETは、この配線49を介してタッチ検出部24と接続されている。
【0033】
この構成により、タッチセンサ部40では、駆動部22により駆動電極EDに対して印加された駆動信号Vcomが、駆動電極EDとタッチ検出電極ETとの間の静電容量を介してタッチ検出電極ETに伝わり、タッチ検出電極ETからタッチ検出信号Vdetとして出力される。つまり、駆動電極EDは、
図1〜
図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極ETは、タッチ検出電極E2に対応するものである。
図6に示したように、タッチセンサ部40では、複数の駆動電極EDと複数のタッチ検出電極ETとが形成されており、駆動電極EDのそれぞれと、タッチ検出電極ETのそれぞれとの間に、静電容量が形成される。よって、タッチパネル20Aは、タッチセンサ部40全体にわたって走査することにより、タッチ検出面Sにおける、外部物体の位置(タッチ位置)等を検出することができるようになっている。
【0034】
タッチ検出部24は、制御部21から供給される制御信号と、タッチセンサ部40から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、外部物体を検出するものである。具体的には、タッチ検出部24は、タッチ検出信号Vdetを、駆動信号Vcomに同期したタイミングでサンプリングし、その結果に基づいて、タッチ検出面Sにおけるタッチ信号Tのマップを生成する。ここで、タッチ信号Tは、外部物体がタッチ検出面Sから十分に離れている場合には0であり、近接するほど大きくなるものである。すなわち、タッチ信号Tの大きさは、外部物体とタッチ検出面Sとの間の距離に対応するものである。
【0035】
以上、タッチパネル20Aについて説明したが、タッチパネル20Bについても全く同様である。
【0036】
処理部29は、タッチパネル20Aが取得したタッチ信号T(タッチ信号TA)のマップ、およびタッチパネル20Bが取得したタッチ信号T(タッチ信号TB)のマップに基づいて、外部物体の位置(タッチ位置)等を求めるものである。具体的には、まず、処理部29は、マップ上の各位置におけるタッチ信号TAとタッチ信号TBの和を求め、合成マップを作成する。そして、処理部29は、その合成マップに基づいて、外部物体の位置(タッチ位置)や、外部物体とタッチ検出面Sとの間の近接距離を求め、出力データOutとして、後段の回路に供給するようになっている。
【0037】
ここで、タッチパネル20A,20Bは、本開示における「タッチセンサ層」の一具体例に対応する。処理部29は、本開示における「検出部」の一具体例に対応する。駆動電極EDは、本開示における「駆動電極」の一具体例に対応し、タッチ検出電極ETは、本開示における「センサ電極」の一具体例に対応する。透明基板41は、本開示における「支持基板」の一具体例に対応する。
【0038】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0039】
(全体動作概要)
まず、
図4,5を参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。表示パネル10は、画像を表示する。複合タッチパネル20は、指などの外部物体のタッチ位置や近接距離を求める。具体的には、複合タッチパネル20のタッチパネル20A,20Bにおいて、駆動部22は、駆動信号Vcomをタッチセンサ部40に供給する。タッチセンサ部40は、駆動信号Vcomに基づくタッチ検出信号Vdetを出力する。タッチ検出部24は、タッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ信号Tのマップを生成する。処理部29は、タッチパネル20A,20Bから供給されたタッチ信号T(TA,TB)のマップに基づいて、外部物体のタッチ位置や近接距離を求める。
【0040】
(複合タッチパネル20の詳細動作)
図8は、複合タッチパネル20の詳細動作を表すものであり、(A)は、タッチ信号TAを示し、(B)はタッチ信号TBを示し、(C)はタッチ信号TA,TBの和を示す。
図8において、ケースC1〜C3は、
図4に示したケースC1〜C3と対応している。すなわち、ケースC1は、外部物体がタッチ検出面Sに接触している場合を示し、ケースC2は、外部物体がタッチ検出面Sの近傍にある場合を示し、ケースC3は、ケースC2に比べて外部物体がタッチ検出面Sからやや離れている場合を示す。また、ハッチ部分は、ノイズ成分(ランダムノイズ)を示す。
【0041】
タッチパネル20Aは、ケースC1〜C3において、
図8(A)に示したようなタッチ信号TAを取得する。ケースC1では、外部物体がタッチ検出面Sに接触しているため、その接触している位置(面内位置)において、タッチ信号TAが大きくなる。ケースC2では、外部物体がタッチ検出面Sに接触していないものの近傍にあるため、タッチ信号TAがやや小さくなる。さらに、ケースC3では、外部物体がタッチ検出面Sからやや離れているため、タッチ信号TAがさらに小さくなる。その際、タッチ信号TAは、ノイズ成分が重畳されたものとなる。このノイズ成分は、例えば駆動信号Vcom、タッチセンサ部40、タッチ検出部24のランダムノイズに起因するものである。よって、タッチ信号TAの信号対雑音比(S/N比)は、これらのノイズ成分により低下してしまう。
【0042】
タッチパネル20Bは、
図8(B)に示したように、タッチパネル20Aと同様にタッチ信号TBを取得する。その際、タッチパネル20Bは、タッチパネル20Aに比べ、タッチ検出面Sから離れた位置に配置されているため、タッチパネル20Bが取得したタッチ信号TBは、タッチ信号TA(
図8(A))に比べ、やや小さいものとなる。
【0043】
処理部29は、このタッチ信号TAとタッチ信号TBとの和を求める(
図8(C))。その際、この加算動作により、S/N比が改善する。すなわち、この加算動作では、タッチ信号のうちノイズ成分を除いたタッチ成分については合計値となるが、ノイズ成分については、ランダムノイズであるため単なる合計値よりも低い値(2乗和の平方根)になる。このように、タッチ成分は大きくなるが、ノイズ成分は同様には大きくならないため、S/N比を高くすることができる。よって、処理部29は、このタッチ信号TAとタッチ信号TBの和に基づいて、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0044】
(比較例)
次に、比較例に係る表示装置1Rについて説明する。
【0045】
図9は、比較例に係る表示装置1Rの一構成例を表すものである。表示装置1Rは、表示パネル10と、タッチパネル20Aと、カバーガラス30とを備えている。すなわち、本比較例は、1つのタッチパネル20Aにより構成されたものである。
【0046】
本比較例に係る表示装置1Rでは、1つのタッチパネル20Aのみにより構成されるため、検出されるタッチ信号は、例えば
図8(A)に示したようなものになり、そのS/N比は低いものとなる。このようなタッチ信号に基づいてタッチ位置や近接距離を求めると、その精度が低くなるおそれがある。特に、外部物体が近傍にある場合(ケースC3など)では、タッチ成分T自体が小さいためS/N比が低くなり、これにより、タッチ位置や近接距離の精度はさらに低くなってしまうおそれがある。
【0047】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、2つのタッチパネル20A,20Bを設け、これらにより得られたタッチ信号TAとタッチ信号TBの和を求めるようにしたので、
図8(A)〜(C)に示したように、タッチ信号のS/N比を高くすることができ、外部物体が近傍にある場合でも、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0048】
[効果]
以上のように本実施の形態では、2つのタッチパネルを設け、これらにより得られたタッチ信号の和を求めるようにしたので、タッチ信号のS/N比を高くすることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、2つのタッチパネルにより得られたタッチ信号の和に基づいて、タッチ位置や近接距離を求めるようにしたので、外部物体が近傍にある場合でも、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0050】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、3つ以上のタッチパネルを設けてもよい。
図10に、3つのタッチパネル20A〜20Cを設けた場合の例を示す。この場合には、各タッチ信号の和を求めることによりさらにS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0051】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bは、同じ構成のものとしたが、これに限定されるものではない。以下に、いくつかの例を示す。
【0052】
図11は、本変形例に係るタッチパネル20A,20Bの一例を表すものであり、(A)はタッチパネル20Aのタッチセンサ部40の一構成例を示し、(B)はタッチパネル20Bのタッチセンサ部40の一構成例を示す。この例では、タッチ検出面Sに近い位置に配置されたタッチパネル20Aのタッチセンサ部40(
図11(A))では、駆動電極EDおよびタッチ検出電極ETを間引いて形成することにより、タッチ検出面Sから遠い位置に配置されたタッチパネル20Bのタッチセンサ部40(
図11(B))よりも、駆動電極EDおよびタッチ検出電極ETの数を少なくしている。このように構成することにより、タッチパネル20Bが生成した電界がタッチパネル20Aによりシールドされるおそれを低減することができる。
【0053】
図12は、本変形例の他の一例を表すものであり、(A)はタッチパネル20Aのタッチセンサ部40の一構成例を示し、(B)はタッチパネル20Bのタッチセンサ部40の一構成例を示す。この例では、タッチパネル20Aとタッチパネル20Bとで、駆動電極EDを重ならないように配置するとともに、タッチ検出電極ETを重ならないように配置している。これにより、タッチパネル20Bが生成した電界がタッチパネル20Aによりシールドされるおそれを低減することができる。
【0054】
[変形例1−3]
上記実施の形態において、タッチパネル20A,20Bの駆動信号Vcomが互いに同期するように構成してもよい。以下に、この場合の例をいくつか示す。
【0055】
図13は、本変形例に係るタッチパネル20A,20Bの駆動信号Vcomの波形を表すものであり、(A)はタッチパネル20Aの駆動信号Vcomの波形を示し、(B)はタッチパネル20Bの駆動信号Vcomの波形を示す。このように、タッチパネル20A,20Bにおいて、互いに同じ波形、振幅、周波数、位相の駆動信号Vcomを用いてもよい。特に、これらの駆動信号Vcomを同位相にすることにより、タッチパネル20Aが生成した電界とタッチパネル20Bが生成した電界が打ち消し合うことがないため、検出精度を高めることができる。
【0056】
図14は、本変形例の他の一例を表すものであり、(A)はタッチパネル20Aの駆動信号Vcomの波形を示し、(B)はタッチパネル20Bの駆動信号Vcomの波形を示す。この例では、これらの駆動信号Vcomは、周波数および位相は互いに等しいが、振幅が異なっている。つまり、タッチ検出面Sから遠い位置に配置されたタッチパネル20Bの駆動信号Vcom(
図14(B))の振幅は、タッチ検出面Sに近い位置に配置されたタッチパネル20Aの駆動信号Vcom(
図14(A))の振幅よりも大きい。このように構成することにより、タッチパネル20Bにより得られるタッチ信号を大きくすることができ、検出精度を高めることができる。すなわち、タッチパネル20Bは、タッチ検出面Sから遠い位置に配置されているため、タッチパネル20Bに係るタッチ信号TBは、例えば
図8(B)に示したように減少してしまうおそれがある。よって、タッチパネル20Bの駆動信号Vcomの振幅を大きくすることにより、このタッチ信号TBの減少を抑えることができ、検出精度を高めることができる。
【0057】
図15は、本変形例の他の一例を表すものであり、(A)はタッチパネル20Aの駆動信号Vcomの波形を示し、(B)はタッチパネル20Bの駆動信号Vcomの波形を示す。この例では、タッチパネル20Bの駆動信号Vcomの周波数は、タッチパネル20Aの駆動信号Vcomの周波数の1/3になっている。そして、タッチパネル20Bの駆動信号Vcomの立ち上がりが、タッチパネル20Aの駆動信号Vcomの立ち上がりと同じタイミングで生じ、タッチパネル20Bの駆動信号Vcomの立ち下がりが、タッチパネル20Aの駆動信号Vcomの立ち下がりと同じタイミングで生じるようにしている。この場合でも、タッチパネル20Aが生成した電界とタッチパネル20Bが生成した電界が打ち消し合うことがないため、検出精度を高めることができる。
【0058】
[変形例1−4]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図16に示したように、タッチパネル20Aを設ける代わりに、カバーガラス30の裏面にタッチセンサを形成してもよい。この表示装置1Dは、タッチセンサ付きカバーガラス30Dを備えている。タッチセンサ付きカバーガラス30Dの裏面には、センサ層31が形成されている。具体的には、
図6,7に示した駆動電極ED、タッチ検出電極ET、絶縁層42等が、センサ層31として形成されている。このように構成することにより、表示装置を薄くすることができる。
【0059】
また、このタッチセンサ付きカバーガラス30Dと、2つ以上のタッチパネルを設けてもよい。この場合には、変形例1−1と同様にS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0060】
[変形例1−5]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bをそれぞれ別体として設けたが、これに限定されるものではなく、1枚の透明基板上に、駆動電極などを複数層積層してもよい。以下に、2層積層する場合の例を説明する。
【0061】
図17は、本変形例に係る表示装置1Eの一構成例を表すものである。表示装置1Eは、1つのタッチパネル50を備えている。
【0062】
図18は、タッチパネル50に係るタッチセンサ部51の一構成例を表すものである。この
図18は、上記実施の形態における
図7(A)に対応するものである。タッチセンサ部51は、複数の駆動電極ED1,ED2と、複数のタッチ検出電極ET1,ET2と、絶縁層43とを有している。駆動電極ED1およびタッチ検出電極ET1は、ともに透明基板41上に形成されている。駆動電極ED2およびタッチ検出電極ET2は、駆動電極ED1およびタッチ検出電極ET1の上に、絶縁層42を挟んで形成されている。そして、駆動電極ED2およびタッチ検出電極ET2の上には絶縁層43が形成されている。
【0063】
このように、本変形例に係る表示装置1Eでは、タッチセンサを積層して構成したので、表示装置を薄くすることができる。
【0064】
また、この例では、透明基板の片側の面上に、駆動電極などを複数層積層したが、これに限定されるものではなく、透明基板の両側の面上のそれぞれに、1または複数層積層してもよい。この場合には、変形例1−1と同様にS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0065】
また、
図19に示したように、このタッチパネル50と、タッチセンサ付きカバーガラス30D(
図16)を組み合わせてもよい。この場合には、表示装置を薄くすることができるとともに、変形例1−1と同様にS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0066】
[変形例1−6]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bそれぞれに駆動部22等を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図20に示したように、駆動部62が2つのタッチパネル60A,60Bに対して駆動信号Vcomを供給するようにしてもよい。また、この例では、タッチパネル60A,60Bは、タッチパネル20A,20Bと同様に別体として設けたものであるが、タッチパネル50(
図17,18)のように一枚の透明基板上に積層して形成してもよい。
【0067】
[変形例1−7]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図21に示したように、タッチパネル20Bを設ける代わりに、表示パネル10の表示面上にタッチセンサを形成してもよい。この表示装置1Gは、タッチセンサ付き表示パネル10Gを備えている。タッチセンサ付き表示パネル10Gの表示面上には、センサ層11が形成されている。具体的には、
図6,7に示した駆動電極ED、タッチ検出電極ET、絶縁層42等が、センサ層11として形成されている。このように構成することにより、表示装置を薄くすることができる。
【0068】
また、さらに、
図22に示したように、タッチパネル20Aの代わりに、変形例1−4で説明したタッチセンサ付きカバーガラス30Dを用いてもよい。このように構成することにより、表示装置をさらに薄くすることができる。
【0069】
<3.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示装置2について説明する。本実施の形態は、液晶表示パネルと静電容量式のタッチパネルを一体化した、いわゆるインセル型の表示パネルを用いたものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0070】
図23は、本実施の形態に係る表示装置2の一構成例を表すものである。表示装置2は、タッチパネル20Aと、タッチセンサ付き表示パネル70とを備えている。すなわち、上記第1の実施の形態に係る表示装置1では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、本実施の形態に係る表示装置2では、このタッチパネル20Bを設ける代わりに、タッチセンサを表示パネルに内蔵したものである。このタッチセンサ付き表示パネル70は、液晶表示パネルと静電容量式のタッチパネルを一体化した、いわゆるインセルタイプの表示パネルである。
【0071】
図24は、タッチセンサ付き表示パネル70の一構成例を表すものである。このタッチセンサ付き表示パネル70は、制御部71と、ゲートドライバ72と、ソースドライバ73と、駆動電極ドライバ74と、タッチセンサ付き表示部100と、タッチ検出部70とを備えている。
【0072】
制御部71は、映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ72、ソースドライバ73、駆動電極ドライバ74、およびタッチ検出部77に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。
【0073】
ゲートドライバ72は、制御部71から供給される制御信号に基づいて、タッチセンサ付き表示部100の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ72は、後述するように、走査信号Vscanをタッチセンサ付き表示部100に供給することにより、タッチセンサ付き表示部100の液晶表示部75にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
【0074】
ソースドライバ73は、制御部71から供給される制御信号に基づいて、液晶表示部75の各画素Pix(後述)に画素信号Vpixを供給する回路である。具体的には、ソースドライバ73は、後述するように、画素信号Vpixを、表示駆動の対象として選択された1水平ラインを構成する各画素Pixにそれぞれ供給するものである。
【0075】
駆動電極ドライバ74は、制御部71から供給される制御信号に基づいて、タッチセンサ付き表示部100の駆動電極COML(後述)に駆動信号Vcomを供給する回路である。具体的には、駆動電極ドライバ74は、駆動電極COMLに対して、駆動信号Vcomを時分割的に順次印加する。そして、タッチセンサ付き表示部100のタッチセンサ部76は、複数のタッチ検出電極TDL(後述)から、その駆動信号Vcomに基づくタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出部77に供給するようになっている。
【0076】
タッチセンサ付き表示部100は、タッチセンサを内蔵した表示部であり、液晶表示部75と、タッチセンサ部76とを有する。液晶表示部75は、ゲートドライバ72から供給される走査信号Vscanに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うものである。タッチセンサ部76は、上述した静電容量式タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。
【0077】
図25は、タッチセンサ付き表示部100の要部断面構造の例を表すものである。このタッチセンサ付き表示部100は、画素基板80と、この画素基板80に対向して配置された対向基板90と、画素基板80と対向基板90との間に挿設された液晶層101とを備えている。
【0078】
画素基板80は、透明基板81と、駆動電極COMLと、画素電極83とを有している。透明基板81は、各種電極や配線、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)などが形成される回路基板として機能するものであり、例えばガラスにより構成されるものである。透明基板81の上には、駆動電極COMLが形成される。駆動電極COMLは、複数の画素Pix(後述)に共通の電圧を供給するための電極である。この駆動電極COMLは、液晶表示動作のための共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出動作のための駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLの上には絶縁層82が形成され、その上に画素電極83が形成される。画素電極83は、画素信号Vpixを供給するための電極であり、透光性を有するものである。駆動電極COMLおよび画素電極83は、例えばITOにより構成される。画素電極83の上には、配向膜84が形成されている。また、透明基板81の、駆動電極COMLなどが形成された面とは反対の面には、偏光板85が配設されている。
【0079】
対向基板90は、透明基板91と、カラーフィルタ92と、タッチ検出電極TDLと、偏光板95とを有している。透明基板91は、透明基板81と同様に、例えばガラスにより構成されるものである。透明基板91の上には、カラーフィルタ92が形成されている。このカラーフィルタ92は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。カラーフィルタ92の上には、配向膜93が形成されている。透明基板91のカラーフィルタ92などが形成された面とは反対の面には、タッチ検出電極TDLが形成されている。タッチ検出電極TDLは、例えばITOにより構成され、透光性を有する電極である。タッチ検出電極TDLの上には、絶縁層94を挟んで偏光板95が配設されている。
【0080】
液晶層101は、表示機能層として機能するものであり、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものである。この電界は、駆動電極COMLの電圧と画素電極23の電圧との電位差により生成される。液晶層101には、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。
【0081】
図26は、液晶表示部75における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示部75は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。各画素Pixは、3つのサブ画素SPixにより構成される。この3つのサブ画素SPixは、
図25に示したカラーフィルタ92の3色(RGB)にそれぞれ対応するものである。サブ画素SPixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
【0082】
サブ画素SPixは、走査信号線GCLにより、液晶表示部75の同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ72と接続され、ゲートドライバ72より走査信号Vscanが供給される。また、サブ画素SPixは、画素信号線SGLにより、液晶表示部75の同じ列に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、ソースドライバ73と接続され、ソースドライバ73より画素信号Vpixが供給される。
【0083】
さらに、サブ画素SPixは、駆動電極COMLにより、液晶表示部75の同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ74と接続され、駆動電極ドライバ74より駆動信号Vcomが供給される。
【0084】
この構成により、液晶表示部75では、ゲートドライバ72が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、ソースドライバ73が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。
【0085】
図27は、タッチセンサ部76の一構成例を斜視的に表すものである。タッチセンサ部76は、画素基板80に設けられた駆動電極COML、および対向基板90に設けられたタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、
図27の左右方向に延在する帯状の電極パターンを有している。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びる帯状の電極パターンを有している。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
【0086】
この構成により、タッチセンサ部76では、駆動電極ドライバ16により駆動電極COMLに対して印加された駆動信号Vcomが、駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとの間の静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetとして出力される。つまり、駆動電極COMLは、
図1〜
図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものである。
図27に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチセンサ部76全体にわたって走査することにより、外部物体の位置検出が可能となっている。
【0087】
タッチ検出部77は、制御部71から供給される制御信号と、タッチセンサ部76から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、外部物体を検出するものである。具体的には、タッチ検出部77は、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出部24と同様に、タッチ検出信号Vdetを、駆動信号Vcomに同期したタイミングでサンプリングし、その結果に基づいて、タッチ検出面Sにおけるタッチ信号Tのマップを生成するようになっている。
【0088】
このタッチ検出部77において得られたタッチ信号Tのマップは、上記第1の実施の形態の場合(
図5)と同様に、タッチパネル20Aにおいて得られたタッチ信号Tのマップとともに処理部29に供給される。そして、処理部29は、これらのタッチ信号Tの和を求めて合成マップを作成し、その合成マップに基づいて、外部物体のタッチ位置や近接距離を求める。
【0089】
以上のように本実施の形態では、タッチパネルとタッチセンサ付き表示パネルを設け、これらにより得られたタッチ信号の和を求めるようにしたので、タッチ信号のS/N比を高くすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0090】
[変形例2−1]
上記実施の形態では、タッチパネル20Aと、タッチセンサ付き表示パネル70を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図28に示したように、タッチパネル20Aの代わりに、変形例1−4で説明したタッチセンサ付きカバーガラス30Dを用いてもよい。このように構成することにより、表示装置を薄くすることができる。
【0091】
[変形例2−2]
上記実施の形態では、FFSやIPS等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示部とタッチセンサ部とを一体化したが、これに代えて、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶を用いた液晶表示部とタッチセンサ部とを一体化してもよい。このような液晶を用いた場合には、タッチセンサ付き表示部を、
図29に示したように構成可能である。
図29は、本変形例に係るタッチセンサ付き表示部100Bの要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板80Bと対向基板90Bとの間に液晶層101Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は
図23の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、
図12の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、対向基板90Bに形成されている。
【0092】
[変形例2−3]
上記実施の形態では、1つのタッチパネル20Aと、タッチセンサ付き表示パネル70を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、2つ以上のタッチパネルと、タッチセンサ付き表示パネル70を設けてもよい。この場合には、変形例1−1と同様にS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0093】
<4.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る立体表示装置3について説明する。本実施の形態は、立体視表示が可能な立体表示パネルを内蔵したものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1などと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0094】
図30は、本実施の形態に係る立体表示装置3の一構成例を表すものである。立体表示装置3は、バリア部200を備えている。バリア部201は、いわゆるパララックスバリアであり、複数の液晶バリア210,220(後述)を有するものである。この例では、表示パネル10は、立体視表示を行う場合において、複数(この例では4つ)の視点映像を表示するものである。
【0095】
図31は、バリア部200の一構成例を表すものである。バリア部200は、交互に配置された複数の液晶バリア210,220を有している。液晶バリア210,220は、図示しない制御信号に応じて、表示パネル10から射出した光を透過または遮断するものである。液晶バリア210,220は、XY平面における一方向(ここでは、例えば垂直方向Yから所定の角度θをなす方向)に延在して設けられている。角度θは、例えば18度に設定可能である。
【0096】
これらの液晶バリア210,220は、立体表示装置3が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、通常表示(2次元表示)の際には、液晶バリア210,220はともに透過状態になる。また、立体視表示の際には、液晶バリア210は遮断状態になり、液晶バリア220は透過状態になる。
【0097】
図32は、立体視表示を行う場合の表示パネル10およびバリア部200の一動作例を表すものである。この例では、液晶バリア220は、表示パネル10の4つの画素Pixに1つの割合で設けられている。
【0098】
立体視表示を行う場合には、液晶バリア210が遮断状態になるとともに、液晶バリア220が透過状態になる。表示パネル10では、この液晶バリア220に対応した位置に配置された互いに隣接する4つの画素Pixが、4つの視点映像に対応する表示を行う。表示パネル10の各画素Pixから出た光は、液晶バリア220によりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P2を、右眼で画素情報P3を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0099】
立体表示装置3では、上記第1の実施の形態の場合と同様に、処理部29が、タッチパネル20Aにおいて得られたタッチ信号TAのマップと、タッチパネル20Bにおいて得られたタッチ信号TBのマップに基づいて、合成マップを作成し、その合成マップに基づいて、外部物体のタッチ位置や近接距離を求める。
【0100】
その際、立体表示装置3が立体視表示を行う際には、ユーザが、その立体視表示を見ながら、指などにより操作することにより、例えば飛び出るように表示された表示物に触れるように操作することができるなど、より自由度の高いインターフェースを実現することができる。
【0101】
以上のように本実施の形態では、2つのタッチパネルを立体表示装置に適用したので、より自由度の高いインターフェースを実現することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0102】
[変形例3−1]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図33に示したように、タッチパネル20Bを設ける代わりに、バリア部200の表示面上にタッチセンサを形成してもよい。この立体表示装置3Aは、タッチセンサ付きバリア部200Aを備えている。タッチセンサ付きバリア部200Aには、センサ層201が形成されている。具体的には、
図6,7に示した駆動電極ED、タッチ検出電極ET、絶縁層42等が、センサ層201として形成されている。このように構成することにより、立体表示装置を薄くすることができる。
【0103】
[変形例3−2]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、
図34に示したように、タッチパネル20Aの代わりに、変形例1−4で説明したタッチセンサ付きカバーガラス30Dを用いてもよい。このように構成することにより、立体表示装置を薄くすることができる。
【0104】
[変形例3−3]
上記実施の形態では、2つのタッチパネル20A,20Bを設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、3つ以上のタッチパネルを設けてもよい。これにより、変形例1−1と同様にS/N比を高くすることができるため、より高い精度でタッチ位置や近接距離を求めることができる。
【0105】
<5.適用例>
次に、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置の適用例について説明する。
【0106】
図35は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0107】
上記実施の形態等の表示装置は、このようなテレビジョン装置の他、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、携帯型ゲーム機、あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示装置は、映像を表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0108】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびにそれらの具体的な応用例および電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0109】
例えば、上記の各実施の形態等では、駆動電極に印加された駆動信号Vcomに応じてタッチ検出電極から出力されるタッチ検出信号Vdetに基づいてタッチを検出する、いわゆる相互容量型のタッチパネルを例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば電極に交流電流を印加するとともに、その電極に生じる交流電圧を測定する、いわゆる自己容量型であってもよい。
【0110】
また、例えば、上記の各実施の形態等では、タッチパネルは静電容量式としたが、これに限定されるものではなく、例えば光学式など、外部物体が近傍にあることを検出できるタッチパネルであれば、どのようなものであってもよい。
【0111】
また、例えば、上記の各実施の形態等では、同じ種類(静電容量式)の2つのタッチパネルを設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、光学式と静電容量式の2つのタッチパネルを設けてもよい。
【0112】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0113】
(1)表示パネルと、
前記表示パネルに対して積層方向に配置された複数のタッチセンサ層と
を備えた表示装置。
【0114】
(2)前記複数のタッチセンサ層から得られたタッチ信号に基づいてタッチを検出する検出部を備え、
各タッチセンサ層は、面内に配置された複数のセンサ要素を含み、
前記検出部は、各タッチセンサ層における対応するセンサ要素から得られた前記タッチ信号の和を求め、その和に基づいてタッチを検出する
前記(1)に記載の表示装置。
【0115】
(3)前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間に一番近いタッチセンサ層は、他のいずれか一のタッチセンサ層よりもセンサ要素の密度が低い
前記(2)に記載の表示装置。
【0116】
(4)前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間に一番近いタッチセンサ層の一のセンサ要素は、他のいずれか一のタッチセンサ層のいずれのセンサ要素からも位置がずれている
前記(2)または(3)に記載の表示装置。
【0117】
(5)前記複数のタッチセンサ層は、同じ種類のものである
前記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0118】
(6)前記タッチセンサ層は、いずれも静電容量式のものある
前記(5)に記載の表示装置。
【0119】
(7)各タッチセンサ層は、
駆動信号が印加される複数の駆動電極と、
各駆動電極との間で静電容量が形成される複数のセンサ電極と
を有する
前記(6)に記載の表示装置。
【0120】
(8)前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間から一番遠いタッチセンサ層を駆動する駆動信号は、他のいずれか一のタッチセンサ層を駆動する駆動信号よりも、振幅が大きい
前記(7)に記載の表示装置。
【0121】
(9)前記複数のタッチセンサ層のうちの、検出対象空間から一番遠いタッチセンサ層を駆動する第1の駆動信号は、他のいずれか一のタッチセンサ層を駆動する第2の駆動信号よりも、周波数が高い
前記(7)または(8)に記載の表示装置。
【0122】
(10)前記第1の駆動信号および前記第2の駆動信号は、同時に遷移するタイミングでは、ともに立ち上がり、またはともに立ち下がる
前記(9)に記載の表示装置。
【0123】
(11)前記複数のタッチセンサ層のうちの、任意の2つのタッチセンサ層を駆動する駆動信号は、互いに同一位相である
前記(7)に記載の表示装置。
【0124】
(12)カバーガラスをさらに備え、
前記複数のタッチセンサ層のうちの一のタッチセンサ層は、前記カバーガラスの、検出対象空間とは反対の面上に形成されている
前記(1)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
【0125】
(13)支持基板をさらに備え、
前記複数のタッチセンサ層のうちの一のタッチセンサ層は、前記支持基板上に形成されている
前記(1)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
【0126】
(14)2以上のタッチセンサ層が、前記支持基板上に前記積層方向に形成されている
前記(13)に記載の表示装置。
【0127】
(15)前記複数のタッチセンサ層のうちの一のタッチセンサ層は、前記表示パネルの表示面上に形成されている
前記(1)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
【0128】
(16)前記表示パネルは液晶表示パネルであり、
前記液晶表示パネルは、
液晶層と、
複数の共通電極と、
複数の画素電極と、
各共通電極との間で静電容量を形成する複数の検出電極と
を有し、
前記複数の共通電極と前記複数の検出電極が、前記タッチセンサ層を構成する
前記(1)から(15)のいずれかに記載の表示装置。
【0129】
(17)前記表示パネルから射出する光の方向を制限するバリア部をさらに備え、
前記複数のタッチセンサ層のうちの一のタッチセンサ層は、前記バリア部の表面に形成されている
前記(1)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
【0130】
(18)積層方向に配置された複数のタッチセンサ層を備えた
タッチ検出装置。
【0131】
(19)表示装置と
前記表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
表示パネルと、
前記表示パネルに対して積層方向に配置された複数のタッチセンサ層と
を有する
電子機器。