(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778603
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
A47J27/00 103Q
A47J27/00 103J
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-50365(P2012-50365)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-183848(P2013-183848A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】倉 拓海
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−113279(JP,A)
【文献】
特開平03−254713(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0219724(US,A1)
【文献】
特開平10−201616(JP,A)
【文献】
特開平08−308747(JP,A)
【文献】
特開平09−037935(JP,A)
【文献】
特開平08−243014(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0314258(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0149717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口に外向きに突出するフランジ部を有し、前記フランジ部に取手部材を配設した内鍋と、
外装体の内側に前記内鍋を着脱可能に収容する上端開口の内鍋収容部を有するとともに前記内鍋を加熱する加熱手段を有し、前記取手部材を配置する取手配置部を設けた調理器本体と、
前記調理器本体に開閉可能に配設され、前記内鍋の上端開口を密閉する蓋体と、
を備えた加熱調理器において、
前記取手部材に、前記取手配置部の外側部を覆う把手部を設け、
前記把手部を、前記取手配置部の外方を覆う下向きに位置した断熱位置から、横向きに位置した取出操作位置にかけて、前記取手部材に回動可能に配設するとともに、
前記把手部を前記取出操作位置に保持する保持手段を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記取出操作位置とした前記把手部は、前記取手配置部を通って前記外装体から外方に突出した状態をなし、前記蓋体は、前記内鍋を臨む面に前記内鍋の上端開口を密閉する着脱可能な内蓋を有し、
前記内蓋に、前記取出操作位置に保持された前記把手部を前記断熱位置に回動させる断熱操作部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器や電磁調理器などの加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図6および
図7に示す加熱調理器1が記載されている。この加熱調理器1は誘導加熱方式の炊飯器であり、内鍋2を着脱可能に収容する調理器本体3と、この調理器本体3に収容した内鍋2の上端開口を閉塞する蓋体4とを備えている。調理器本体3には、外装体5の内側に内鍋2を配置するための内鍋収容部6が設けられ、これら外装体5と内鍋収容部6との間に、内鍋2を加熱する加熱手段や制御基板等の部品が収容されている。
【0003】
内鍋2には、内鍋収容部6の上端の開口部上に載置されるフランジ部7が径方向外向きに突設されている。また、内鍋2には、内鍋収容部6から内鍋2を取り出す際の利便性を向上するために、外向きに突出する樹脂製の取手部材8が配設されている。そして、外装体5および内鍋収容部6には、取手部材8を外部に露出させることが可能な取手配置部9が設けられている。取手部材8の外端部は、外装体5の外表面と面一に位置する。また、取手配置部9は、内鍋収容部6の上端に位置する挿通凹部9aと、この挿通凹部9aに連通する差込凹部9bとを備える。この差込凹部9bは、取手部材8の下側に使用者が手を差し込むため、内側かつ下向きに大きく窪ませた形状をなす。
【0004】
しかし、この加熱調理器1は、内鍋2を加熱することにより昇温した内鍋収容部6内の熱気が、取手配置部9(挿通凹部9a)と取手部材8との隙間から外部に放出される。しかも、内鍋収容部6内の空気と外装体5外の空気が、取手配置部9を通して温度平衡することにより、内鍋収容部6内の温度が低下してしまう。その結果、無駄な電力が消費されるばかりか、保温効率等も悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−113279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、内鍋収容部からの放熱を確実に防止できる加熱調理器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の加熱調理器は、上端開口に外向きに突出するフランジ部を有し、前記フランジ部に取手部材を配設した内鍋と、外装体の内側に前記内鍋を着脱可能に収容する上端開口の内鍋収容部を有するとともに前記内鍋を加熱する加熱手段を有し、前記取手部材を配置する取手配置部を設けた調理器本体と、前記調理器本体に開閉可能に配設され、前記内鍋の上端開口を密閉する蓋体と、を備えた加熱調理器において、前記取手部材に、前記取手配置部の外側部を覆う把手部を設け
、前記把手部を、前記取手配置部の外方を覆う下向きに位置した断熱位置から、横向きに位置した取出操作位置にかけて、前記取手部材に回動可能に配設するとともに、前記把手部を前記取出操作位置に保持する保持手段を設けた構成としている。
【0008】
この加熱調理器は、内鍋の取手部材に調理器本体の取手配置部の外側部を覆う把手部を設けているため、取手部材と取手配置部との隙間を通した内鍋収容部からの放熱を抑制できる。しかも、把手部により内鍋収容部との間に断熱空間が形成されるため、外装体内と外部との熱交換作用による温度低下をも抑制できる。そのため、無駄な電力消費を確実に抑制し、加熱効率を向上できる。
また、前記把手部を、前記取手配置部の外方を覆う下向きに位置した断熱位置から、横向きに位置した取出操作位置にかけて、前記取手部材に回動可能に配設するとともに、前記把手部を前記取出操作位置に保持する保持手段を設けるようにしたので、内鍋を取り出す際の利便性を向上できる。
【0009】
この加熱調理器では
、前記取出操作位置とした前記把手部は、前記取手配置部を通って前記外装体から外方に突出した状態をなし、前記蓋体は、前記内鍋を臨む面に前記内鍋の上端開口を密閉する着脱可能な内蓋を有し、前記内蓋に、前記取出操作位置に保持された前記把手部を前記断熱位置に回動させる断熱操作部を設けることが好ましい。このようにすれば、蓋体を閉塞するだけで把手部を断熱位置に動作させることができる。しかも、蓋体を閉塞した際に内蓋の把手部が取出操作位置に位置している場合、内蓋を装着し忘れていると判断できる。よって、使用者の利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加熱調理器では、取手部材と取手配置部との隙間を通した内鍋収容部からの放熱を抑制できる。しかも、把手部によって断熱空間を形成できるため、外装体の内外での熱交換作用を抑制できるため、無駄な電力消費を確実に抑制し、加熱効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の炊飯器を示す縦断面図である。
【
図3】蓋体を開放して内蓋を取り外した状態を示す縦断面図である。
【
図5】(A)は内鍋を取り出した状態を示す断面図、(B)は蓋体を開放した炊飯器本体に内鍋を配設した状態を示す断面図、(C)は内蓋を配設した蓋体の閉塞過程の状態を示す断面図、(D)は内蓋を配設していない蓋体を閉塞した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1および
図2は、本発明の実施形態に係る加熱調理器である炊飯器20を示す。この炊飯器20は、平面視円形状をなす内鍋21と、内鍋21を着脱可能に収容する炊飯器本体32と、炊飯器本体32に回動可能に取り付けた蓋体56とを備えている。
【0014】
内鍋21は、
図3に示すように、略円筒状の外周壁部22の下端を閉塞し、上端を開口した有底筒状をなし、その内部に調理物である飯米を水と一緒にセットして炊飯器本体32に収容されるものである。この内鍋21は、後述する誘導加熱コイル49に高周波電流を流すことにより、発生した磁界によって渦電流が流れて電磁誘導加熱される。内鍋21には、炊飯器本体32への収容状態で内鍋収容部37の開口部36上に載置されるフランジ部23が、径方向外側に突出するように設けられている。
【0015】
また、
図4に示すように、内鍋21には、径方向の対向位置に一対の取手部材24が配設されている。この取手部材24は、フランジ部23を下面から上面にかけて挟み込むように配置される横U字形状の取付基部25と、取付基部25から水平方向外向きに突出した挿通部26とを有する。取手部材24は、取付基部25をフランジ部23に配置した状態で、下側からネジ止めすることにより固定される。挿通部26の外端は、炊飯器本体32の外側面より内側に位置する直線状の縁26aである。
【0016】
取手部材24の挿通部26の外端縁26aにはヒンジ接続部27が設けられ、このヒンジ接続部27により把手部28が回動可能に設けられている。この把手部28は、ヒンジ接続される端が挿通部26の外端縁26aと同様の直線状の縁により構成される。そして、取手配置部43の外側部を覆うように垂直(下向き)に位置させた断熱位置(
図2参照)から、挿通部26に沿って水平(横向き)に位置させた取出操作位置(
図5(B)参照)にかけて回動可能である。取出操作位置では、挿通部26の外端縁26aが回動を停止するストッパ部の役割をなす。また、把手部28には、ヒンジ接続部27から最も離れた頂部に、指を挿入して取出操作位置に回動操作するための半円状の差込穴29が設けられている。
【0017】
本実施形態では、把手部28を取手部材24に対して取出操作位置に保持するための保持手段として、挿通部26に係止凹部30が設けられ、把手部28に係止凸部31が設けられている。なお、保持手段は係止凹部30と係止凸部31に限定されず、希望に応じて変更が可能である。また、構造的なものに限られず、ヒンジ接続部27にキックバネを配設する構成など、機構的なものであってもよい。この場合には、差込穴29は設けなくてもよい。
【0018】
炊飯器本体32は、
図1および
図3に示すように、外装体33の内側に内鍋21を着脱可能に収容する内鍋収容部37を備えている。具体的には、外装体33は、前後方向の奥行き寸法より左右方向の幅寸法が小さい平面視略長円形状をなし、受け皿状をなす底体34の上方に、胴体35を配設したものである。胴体35の上面は閉塞され、その中央に内鍋21を着脱可能に配置するための開口部36が設けられている。そして、この開口部36の下側に内鍋収容部37が形成されている。
【0019】
内鍋収容部37は、開口部36の下側に配設される内胴40と、この内胴40の下端に配設さる保護枠41とを備えている。そして、本実施形態では、内鍋収容部37の上端を構成する上枠部38が胴体35に一体成形されている。この上枠部38は円筒状をなし、その下端縁に内胴40の上端外周部を支持するための上側支持部39が設けられている。内胴40は、ステンレス板を湾曲加工することにより円筒状に形成される。保護枠41は樹脂(非導電性材料)製であり、内胴40の下端部を閉塞する受皿形状に形成されている。この保護枠41の上端縁には、内胴40の下端外周部を支持するための下側支持部42が設けられている。
【0020】
そして、炊飯器本体32の左右両側部には、
図2および
図5(A)に示すように、外装体33および内鍋収容部37にかけて内鍋21の取手部材24を配置し、この取手部材24を外部に露出させる取手配置部43が設けられている。この取手配置部43は、上枠部38の上端の一部を下向きに窪ませた挿通凹部44と、取手部材24の挿通部26および断熱位置とした把手部28の側面視形状と略一致する扇形状の差込凹部45とを有する。
【0021】
この取手配置部43は、内鍋収容部37に内鍋21を配置することにより、挿通凹部44に取手部材24の挿通部26が挿通され、差込凹部45に挿通部26と把手部28とが配置される。そして、把手部28は、水平方向に延びる取出操作位置にすると差込凹部45から外向きに突出した状態になる。また、垂直方向に延びる断熱位置にすると差込凹部45内に位置し、差込凹部45の外側開口部46を覆う。これにより、把手部28と差込凹部45の壁面で囲まれた差込凹部45内が、外装体33の内外の熱交換作用を防ぐ断熱空間47を構成する。
【0022】
図1に示すように、外装体33と内鍋収容部37との間の空間は、炊飯処理および保温処理を実行するための各部品を収容する部品収容部48を構成する。この部品収容部48には、内鍋収容部37の下部に位置するように加熱手段である誘導加熱コイル49がフェライトコア50を介して配設されている。また、部品収容部48の後側には、内鍋21の温度を検出するための温度センサ51が配設されている。さらに、部品収容部48の前側の広い空間には制御基板52が配設され、その前側に冷却ファン53が配設されている。そして、外装体33の前側上部には操作パネル54が設けられ、その内部に位置するように操作基板55が配設されている。
【0023】
蓋体56は、内鍋収容部37の上方を閉塞するように、炊飯器本体32に対して開閉可能にヒンジ接続されている。この蓋体56には、閉塞状態で内鍋21を臨む面に放熱板57が配設され、この放熱板57の下側に内蓋61が着脱可能に配設されている。また、蓋体56には、内蓋61を介して内鍋21内と外部とを連通する排気通路58が設けられている。さらに、蓋体56には、前側に開放操作用の操作部材59が配設され、その内部に炊飯器本体32に対して閉塞状態に維持するためのロック部材60が配設されている。
【0024】
内蓋61は、金属製の内蓋本体62と、この内蓋本体62の外周部に配設した蓋パッキン63とを備えている。蓋パッキン63は、内鍋21の上端開口の内周壁に密着してシールするもので、外周部に樹脂枠64を配設することにより、内蓋本体62に対して離脱不可能に装着されている。本実施形態の樹脂枠64には、取出操作位置に保持された把手部28を断熱位置に回動させるための断熱操作部65が設けられている。この断熱操作部65は、
図4に示すように、樹脂枠64から径方向外向きに突設されたアーム部66と、このアーム部66の外端から下向きに突設された押圧部67とを有するL字形状のものである。この押圧部67は、内鍋収容部37に配置した内鍋21の取手部材24の挿通部26より外側に位置し、取出操作位置とした把手部28に当接可能な突出寸法で形成されている。
【0025】
内蓋61の上面側には、蓋体56への装着により排気通路58の入口側に配置されるリード弁68が配設されている。このリード弁68は、ソレノイド69の駆動によりロッドが後退されると、ボール部材68aが転動により通気孔68bを閉塞して、排気通路58を遮断状態する。これにより、内鍋21内を大気圧より高い圧力に昇圧可能とする。一方、ソレノイド69のロッドが進出されると、ボール部材68aを通気孔68bから離反させ、排気通路58を開放(連通)状態とする。これにより、内鍋21内の圧力と大気圧とを平衡させる。
【0026】
このように構成した炊飯器20は、制御基板52に実装したマイコンにより、温度センサ51の検出値に基づいて誘導加熱コイル49およびソレノイド69を制御して、飯米への吸水が促進する予熱温度に維持する予熱工程、内鍋21内を沸騰させる昇温(中ぱっぱ)工程、内鍋21内を沸騰温度に維持する沸騰維持工程、および、炊き上げた米飯を蒸らすむらし工程を有する炊飯処理を実行する。また、炊飯処理が終了すると、引き続いて米飯を設定された保温温度に維持する保温処理を実行する。
【0027】
ここで、炊飯処理および保温処理の実行中には、誘導加熱コイル49によって内鍋21を加熱することにより内鍋収容部37内が昇温し、この昇温も伴って炊飯および保温が行われる。しかし、内鍋収容部37の内部と外装体33の外部とは、取手配置部43を通して連通しているため、内鍋収容部37内の熱が外装体33の外部へ放出される。ここで、取手配置部43の上側、即ち内鍋21の上側は、内蓋61の蓋パッキン63によって閉塞されているため、外装体33の外部への放熱は殆どない。一方、取手配置部43の下側は、取手部材24の挿通部26と取手配置部43の隙間を通して、内鍋収容部37内の熱が外装体33の外部へ放出される。
【0028】
しかし、本実施形態では、内鍋21の取手部材24に、取手配置部43の外側開口部46を覆う把手部28を設けているため、取手部材24と取手配置部43との隙間を通した内鍋収容部37からの放熱を抑制できる。しかも、把手部28によって取手配置部43内に断熱空間47が形成されるため、外装体33内(内鍋収容部37内)と外部との熱交換作用による温度低下をも抑制できる。そのため、無駄な電力消費を確実に抑制し、加熱効率を向上できる。また、把手部28は、保持手段を構成する係止凹部30と係止凸部31により、水平方向に延びる取出操作位置に保持可能であるため、内鍋21を取り出す際の利便性を向上できる。
【0029】
しかも、蓋体56に着脱可能に配設する内蓋61には、蓋体56の閉塞により把手部28を取出操作位置から断熱位置に回転させる断熱操作部65を設けているため、使用者の利便性を大幅に向上できる。具体的には、
図5(A)に示すように、炊飯器本体32に対して蓋体56を開放した状態で、内鍋収容部37に内鍋21を配置すると、
図5(B)に示すように、取手部材24の挿通部26が取手配置部43の挿通凹部44内に配置され、取出操作位置とした把手部28が取手配置部43を挿通して外装体33から外方に突出した状態をなす。
【0030】
そして、把手部28を取出操作位置としたまま内蓋61を装着した蓋体56を閉塞すると、
図5(C)に示すように、内蓋61の断熱操作部65が把手部28に当接する。そして、蓋体56の閉塞操作により断熱操作部65が把手部28を下向きに押圧することにより、係止凹部30と係止凸部31との係止を解除し、
図2に示すように、把手部28を断熱位置に回動させる。このように、本実施形態では、蓋体56を閉塞するだけで把手部28を断熱位置に動作させることができる。
【0031】
一方、使用者が蓋体56に内蓋61を装着し忘れている場合、
図5(D)に示すように、蓋体56を閉塞しても把手部28には何ら干渉する部材がない。よって、図示のように蓋体56を閉塞しても把手部28は、外装体33の外表面から外方へ突出した取出操作位置の状態を保持する。その結果、蓋体56を閉塞したにも拘わらず、内蓋61の把手部28が取出操作位置を保持する場合、内蓋61を装着し忘れていると判断できる。よって、使用者が誤使用状態で炊飯処理を実行することを防止できる。
【0032】
なお、本発明の加熱調理器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、取手配置部43は、挿通凹部44と差込凹部45とを有し、取手部材24を外部に露出させる構成としたが、差込凹部45は設けない構成として、取出操作位置とした把手部28は外装体33の外部に露出しないようにしてもよい。この場合、断熱位置とした把手部28による断熱空間47に加え、把手部28の外側に外装体33によって断熱空間を更に形成できるため、一層断熱効果を高めることができる。
【0034】
また、前記実施形態では、内蓋61を装着し忘れた状態で蓋体56を閉塞すると、把手部28が外方に突出した取出操作位置を維持することにより、誤使用状態を使用者が判断できるようにしたが、把手部28に蓋体56との干渉部を設けることにより、蓋体56を閉塞できないように構成してもよい。
【0035】
そして、前記実施形態では、本発明の調理炊飯器として炊飯器20を例に挙げて説明したが、電磁調理器、もちつき機および製パン機などの加熱調理器であれば、いずれでも適用が可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
20…炊飯器(加熱調理器)
21…内鍋
23…フランジ部
24…取手部材
28…把手部
30…係止凹部(保持手段)
31…係止凸部(保持手段)
32…炊飯器本体(調理器本体)
33…外装体
36…開口部
37…内鍋収容部
43…取手配置部
44…挿通凹部
45…差込凹部
46…外側開口部
47…断熱空間
49…誘導加熱コイル(加熱手段)
56…蓋体
61…内蓋
62…内蓋本体
63…蓋パッキン
64…樹脂枠
65…断熱操作部