(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容器本体及び前記カード保持部材のうち少なくとも一方には、前記本体部の上端部を、前記側壁部において形成された前記膨出部の外面よりも外方に位置させる突部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の箱型容器。
前記側壁部の厚み方向において、前記側壁部の内面に対する前記収容凹部の形成深さは、上方に向けて次第に深くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の箱型容器。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の運搬等に使用される箱型容器は、略矩形状の底壁部と、底壁部の4つの側辺部から上方に延出する側壁部と、側壁部の上辺部から外方に突出するフランジ部とを備えており、上方の開口部から物品を出し入れする構成となっている。また、フランジ部の下方に対し、収容された物品の名称や数量等が記載されたカードを保持可能なカード保持部を有するカード保持部材が吊り下げられて取付けられるものがある(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
さらに、側壁部が上方に向けて外方に傾斜し、箱型容器同士を積み重ねた場合に上側の箱型容器の大部分を下側の箱型容器の内側に収めることのできる(ネスティング可能な)箱型容器が知られている。また、
図13に示すように、ネスティング可能な箱型容器61に対して、上記カード保持部材70を取付けた場合でも、ネスティングに際して、上側の箱型容器61のカード保持部材70が下側の箱型容器61に引っ掛かってしまうといった事態を回避するべく、側壁部62に対して外方に膨出する膨出部63が形成されることで、その内側に、ネスティング時に上側の箱型容器61のカード保持部材70を収容する収容凹部64が設けられたものがある(例えば、特許文献2等参照。)。
【0004】
ところで、上記特許文献2に開示されている箱型容器61は、箱型容器61を同じ向きで積み重ねることでスタッキングする(物品を収容した状態でも段積みする)ことができ、箱型容器61を交互に180度回転させて積み重ねることでネスティングすることができる構成となっている。このため、上記収容凹部64は、上記カード保持部材70が取付けられる側壁部62の向かいの側壁部62において形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示されている技術事項を、
図14に示されるような、同じ向きで積み重ねることでネスティングすることができる箱型容器71に適用しようとする場合には、カード保持部材70が取付けられる側壁部72に対して収容凹部74を形成する必要がある。この場合、カード保持部材70を係止する係止部75の位置が外方にずれるため、カード保持部材70が該係止部75に吊り下げられるようにして取付けられると、カード保持部材70の下端部が側壁部72から離間してしまう(浮いてしまう)ことが懸念される。このように、カード保持部材70の下端部が浮いてしまうと、ネスティングに際してカード保持部材70が下側の箱型容器71の収容凹部74の周縁部に干渉してしまったり、カード保持部材70自体が変形し易くなってしまい、カードを保持する機能が低下してしまったりすることが懸念される。
【0007】
本発明は上記問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、カード保持部材の干渉のおそれなくネスティングすることのできる箱型容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.略板状の底壁部、前記底壁部の側縁部から上方に延出する側壁部、及び、前記側壁部の上辺部から外方に延出する張り出し部を具備する容器本体と、
前記側壁部の外面側に取付けられ、カードを保持可能なカード保持部材とを備える箱型容器において、
前記カード保持部材は、
前記側壁部の外面に並設される略板状の本体部と、
前記本体部に対して設けられ、カードを保持可能なカード保持部と、
前記本体部の上端部において当該本体部に対して交差する方向に延びる取付板とを備え、
前記容器本体は、
前記カード保持部材の上部を係止して、少なくとも前記カード保持部材の下方への相対変位を規制する係止部と、
前記カード保持部材が取付けられる前記側壁部に対して外方に膨出する膨出部を形成することで当該側壁部の内面側に形成され、箱型容器同士を同じ向きで積み重ねることで、上側の箱型容器に取付けられた前記カード保持部材の少なくとも下部を内側に収容可能な収容凹部と、
前記張り出し部から下方に突出して前記カード保持部材の前記取付板の上面に当接し、前記取付板を、前記張り出し部の上面に比して、外方かつ下方に傾斜させる付勢凸部とを備え、
前記取付板の上面と前記付勢凸部との圧接に伴う応力が前記本体部に作用して、前記本体部の下端部と、前記側壁部の外面のうち前記膨出部よりも下方の部位とが圧接されることを特徴とする箱型容器。
【0010】
手段1によれば、側壁部に対して収容凹部を形成するべく膨出部が形成されることに起因して、膨出部のない場合に比べて、カード保持部材の上部位置がより外方に位置するものの、張り出し部の下面側において、カード保持部材の取付板の上面に当接して当該取付板を外方かつ下方に傾斜させる付勢凸部が設けられることで、本体部の下端部が側壁部の外面のうち膨出部よりも下方の部位に圧接させられる。このため、カード保持部材が取付けられる側壁部の上部が下部よりも外方に位置する場合でも、本体部の下端部が側壁部から離間すること(浮き上がり)を防止することができる。従って、本体部の下端部の浮き上がりに起因して、本体部やカード保持部が変形し易くなってしまうといった事態を回避することができる。結果として、本体部等の変形に起因して、カードが保持し難くなったり、カードが視認し難くなったり、本体部やカード保持部が破損し易くなったりするといった事態を防止することができる。
【0011】
さらには、カード保持部材を取付ける側壁部に対して収容凹部が形成されるとともに、カード保持部材の下端部が、側壁部のうち膨出部の下方の部位に圧接していることにより、箱型容器を同じ向きで積み重ねることで、上側の箱型容器のカード保持部材を、下側の箱型容器の収容凹部へ確実に収容させることができる。従って、本手段の箱型容器は、カード保持部材を備えるものであるが、同じ向きで積み重ねることでスムースにネスティングすることができる。
【0012】
尚、ここで言う「同じ向きで積み重ねることでネスティングすることができる箱型容器」とは、箱型容器を同じ向きで積み重ねることでネスティングすることができ、箱型容器を交互に180度回転させて積み重ねることでスタッキングすることができる箱型容器や、線対称及び点対称形状をなし、外縁を揃えるようにして積み重ねるだけでネスティングされる箱型容器等が挙げられる。
【0013】
手段2.前記容器本体及び前記カード保持部材のうち少なくとも一方には、前記本体部の上端部を、前記側壁部において形成された前記膨出部の外面よりも外方に位置させる突部が設けられていることを特徴とする手段1に記載の箱型容器。
【0014】
手段2によれば、カード保持部材の本体部の上部を膨出部の外面よりも外方に位置させることができる。これにより、収容凹部を極力大きく構成した場合(例えば、上下方向において、側壁部のうち膨出部の一部の角度がその下方の部位の角度よりも鉛直に近い場合等)でも、本体部の上下方向中間部位が側壁部に極力当接しないように(圧接しないように)構成することができる。従って、付勢凸部で取付板を下方に押さえることによる応力をより確実に本体部の下端部に作用させることができ、本体部の下端部をより好適に側壁部に圧接させることができる。
【0015】
尚、「前記係止部は、前記側壁部の上部から外方に突出する係止突起により構成され、前記係止突起は、前記カード保持部材の前記本体部の上部に形成された孔又は凹部に挿入状態とされて、当該孔又は凹部の上縁部を下側から支持し、前記突部は、前記係止突起の直上方において前記側壁部から外方に突出する支持凸部により構成されていること」としてもよい。
【0016】
手段3.前記側壁部の厚み方向において、前記側壁部の内面に対する前記収容凹部の形成深さは、上方に向けて次第に深くなっていることを特徴とする手段1又は2に記載の箱型容器。
【0017】
手段3によれば、ネスティングに際して収容凹部にカード保持部材を挿入し易くなり、作業性の向上等を図ることができる。
【0018】
手段4.前記収容凹部は、外方に凸となるようにして湾曲形成されていることを特徴とする手段3に記載の箱型容器。
【0019】
手段4によれば、ネスティング時における上側の箱型容器のカード保持部材と、下側の箱型容器の収容凹部との間の隙間を極力大きく確保することができる。従って、カード保持部材の下部の厚みを比較的大きく形成することも可能となり、カード保持部材の設計の自由度を向上させること(例えば、より肉厚なカードを保持可能とする等)ができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜
図4等に示すように、箱型容器1は、相対する一対の長辺部と相対する一対の短辺部とを備える略矩形板状の底壁部2と、底壁部2の周縁部全周域から上方に延出する周壁部3と、周壁部3の上縁部全周域から周壁部3の外周方向に突出するフランジ部4とを具備する容器本体1aを備えている。本実施形態では、容器本体1aはポリプロピレンによって一体成形されている。
【0022】
周壁部3は、底壁部2の相対する長辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部5と、底壁部2の相対する短辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部6とを備えている。また、周壁部3(各側壁部5、6)は、上方に向けて周壁部3の外周側に若干傾斜して延びている。さらに、容器本体1aは、基本的に、いずれの部位においても肉厚がほぼ一定である。加えて、容器本体1aは、底壁部2の中央部を中心とした点対称形状であり、かつ、長手方向及び短手方向の中央線をそれぞれ中心とした線対称形状(面対称形状)である。そして、
図7、
図8に示すように、容器本体1a(箱型容器1)同士を、長手方向の向きを揃えて(外縁を揃えて)積み重ねることでネスティング可能に構成されている。
【0023】
図2、
図3、
図6等に示すように、フランジ部4は、各側壁部5、6の上縁部から周壁部3の外周側に向けて略水平に延出する張り出し部7と、張り出し部7の先端縁から下方に向けて略鉛直に延出する折り返し部8とを備えている。以下、便宜上、周壁部3の外周側を「外方」とし、周壁部3の内周側を「内方」として説明する。
【0024】
また、
図7、
図8に示すように、長辺側側壁部5の外面側には、上下方向に延びる載置リブ9が設けられている。載置リブ9は、張り出し部7の下面から長辺側側壁部5の上下方向中央部よりも若干下方位置にまで延びている。そして、容器本体1a(箱型容器1)をネスティングすると、上側の箱型容器1の載置リブ9の下辺部と、下側の箱型容器1の張り出し部7の上面とが当接するまで、上側の箱型容器1を下側の箱型容器1の内側に挿入させることができる。
【0025】
さて、
図8等に示すように、本実施形態の箱型容器1は、短辺側側壁部6の外面側において、カードを保持可能なカード保持部材11を備えている。
図5等に示すように、カード保持部材11は、短辺側側壁部6の外面に並設される略板状の本体部12と、本体部12の下部から上方に折り返されるようにして設けられ、本体部12との間にカードを挟持可能なカード保持部13と、本体部12の上端部から外方に向けて延出する取付板14とを備えている。本実施形態のカード保持部材11は、ポリプロピレンにより構成されており、適度な弾性を有している。また、本体部12の上部には、厚み方向に貫通する係止孔15が形成されている。係止孔15の上縁は、取付板14の下面と同じ高さとなるように構成されている。
【0026】
その一方で、短辺側側壁部6の上部には、
図6等に示すように、外方に突出する係止部としての係止突起21が設けられている。そして、カード保持部材11の係止孔15に係止突起21が相対的に挿通されることで、係止突起21によりカード保持部材11の下方への相対変位が規制され、カード保持部材11が短辺側側壁部6の外面側に取付けられている。これによって、容器本体1aとカード保持部材11とを備える箱型容器1が構成されている。また、本実施形態では、上下方向における係止突起21の係止面(上面)と、張り出し部7の下面との間の距離は、取付板14の厚みよりも若干広く構成されている。尚、張り出し部7には、係止突起21の上方位置において、係止突起21を成形する金型の抜き孔22が形成されている。
【0027】
さらに、短辺側側壁部6の内面側には、箱型容器1同士を積み重ねることで、上側の箱型容器1のカード保持部材11の下部を内側に収容可能な収容凹部23が設けられている。これにより、
図8、
図9等に示すように、カード保持部材11が取付けられた状態のままでも、箱型容器1同士のネスティングが許容されることとなる。また、上記のように、容器本体1aの肉厚は基本的に一定であって、収容凹部23は、短辺側側壁部6の上部に対して外方に膨出する膨出部24を形成することによって、その内面側に形成されている。本実施形態の膨出部24は、短辺側側壁部6のうち、その上辺部から、短辺側側壁部6全体の上下幅の三割強の長さだけ下方に変位した位置までの範囲に形成されている。また、前記係止突起21は、膨出部24の外面に形成されている。尚、
図7では、右方の短辺側側壁部6にだけカード保持部材11が取付けられているが、左方の短辺側側壁部6にもカード保持部材11を取付けることができる。
【0028】
加えて、
図9に示すように、カード保持部材11の本体部12の上下幅は、膨出部24の上下幅よりも長く、かつ、短辺側側壁部6全体の上下幅よりも短く(短辺側側壁部6の上下幅の六割強の長さ)となっている。このため、カード保持部材11が係止孔15において係止突起21に係止された状態では、本体部12の下端部が膨出部24よりも下方、かつ、底壁部2よりも上方に位置している。
【0029】
さらに、本体部12の外面と取付板14の下面とでなす角度は、短辺側側壁部6の外面と張り出し部7の下面とでなす角度よりも若干大きく構成されている。このため、カード保持部材11を容器本体1aに取付ける際には、カード保持部材11を弾性変形させる必要がある。
【0030】
特に、本実施形態では、張り出し部7の下面側において、下方に突出して取付板14の延出方向先端側の上面に当接し、(張り出し部7の上面に比して)取付板14を外方かつ下方に傾斜させる付勢凸部25が設けられている。当該付勢凸部25によって、取付板14の先端側が下方に押下げられることで、カード保持部材11には、係止孔15の上縁を中心に傾動(回動)させられるような力が加えられるとともに、その応力が本体部12の下端部にまで伝わり、該下端部が、短辺側側壁部6のうち膨出部24よりも下方の部位の外面に対して比較的強く圧接されることとなる。尚、本実施形態では、張り出し部7に厚肉部を形成することで付勢凸部25を設けることとしているが、例えば、付勢凸部25を下方に突出させた分だけ、その上側が下方に凹むように構成してもよい。
【0031】
また、本実施形態では、係止突起21の直上方において短辺側側壁部6から外方に突出する突部としての支持凸部26が設けられている。当該支持凸部26により、本体部12の上端部が、膨出部24の外面よりも外方に位置させられることとなり、本体部12と膨出部24との間には隙間が形成されることとなる。尚、上記のように、係止孔15の上縁は取付板14の下面と略同じ高さであるため、支持凸部26についても取付板14と同じ高さ位置にあり、取付板14の本体部12との連接部に対し水平方向において当接可能に構成されている。
【0032】
また、短辺側側壁部6の厚み方向において、短辺側側壁部6の内面に対する収容凹部23の形成深さは、上方に向けて次第に深くなっている。さらに、収容凹部23は、外方に凸となるようにして湾曲形成されている。但し、膨出部24の外面と本体部12とが基本的に接触しないように構成されており、本実施形態では、係止突起21と支持凸部26との連接部と、本体部12の下端部と短辺側側壁部6との当接部とを結ぶ仮想直線が膨出部24と交わらないように設計されている。
【0033】
尚、張り出し部7の下面側には、下方に突出してカード保持部材11の取付板14の先端縁(外方の端縁)に当接可能な抜け止めリブ27が設けられている。これにより、取付板14の外方への相対変位、ひいては、係止突起21が係止孔15から相対的に抜け出すことが防止されている。また、取付板14や抜け止めリブ27等のカード保持部材11の取付けに関する構成の大部分は、折り返し部8の下辺部よりも上方に配置されている。このため、かかる構成が視認され難く、意匠性の向上が図られる上、かかる構成への不用意な接触が抑制され、カード保持部材11の脱落等のリスクを低減させることができる。
【0034】
加えて、
図5(a)に示すように、カード保持部材11の上辺部の横幅方向中間位置には切欠き部17が形成されている。すなわち、当該切欠き部17に対応する部位には取付板14が形成されておらず、取付板14は左右に分かれた格好となっている。このような構成により、短辺側側壁部6の横幅方向中央を含む位置に対応するフランジ部4を作業者が「持ち手」として利用しようとしても、作業者の指先が取付板14の下面を押圧してしまうことがない。このため、取付板14等に悪影響を及ぼしてしまうことがない。しかも、取付板14のうち一方が損傷したとしても他方が損傷していなければ、カード保持部材11が知らぬ間に脱落してしまうといった事態をも抑止することとができる。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば、短辺側側壁部6に対して収容凹部23を形成するべく膨出部24が形成されることに起因して、膨出部24のない場合に比べてカード保持部材11の上部位置がより外方に位置するものの、張り出し部7の下面側において、カード保持部材11の取付板14の上面に当接して当該取付板14を外方かつ下方に傾斜させる付勢凸部25が設けられることで、本体部12の下端部が短辺側側壁部6の外面に対してより確実に圧接させられる。このため、カード保持部材11が取付けられる短辺側側壁部6の上部が下部よりも外方に位置する場合でも、本体部12の下端部が短辺側側壁部6から離間すること(浮き上がり)を防止することができる。従って、本体部12の下端部の浮き上がりに起因して、本体部12やカード保持部13が変形し易くなってしまうといった事態を回避することができる。結果として、本体部12等の変形に起因して、カードが保持し難くなったり、カードが視認し難くなったり、本体部12やカード保持部13が破損し易くなったりするといった事態を防止することができる。
【0036】
さらには、カード保持部材11を取付ける短辺側側壁部6に対して収容凹部23が形成されるとともに、カード保持部材11の下端部が、短辺側側壁部6のうち膨出部24の下方の部位に圧接していることにより、箱型容器1を同じ向きで積み重ねることで、上側の箱型容器1のカード保持部材11を、下側の箱型容器1の収容凹部23へ確実に収容させることができる。従って、本実施形態の箱型容器1は、カード保持部材11を備えるものであるが、同じ向きで積み重ねることでスムースにネスティングすることができる。尚、カード保持部材11に関しては、従来からある既製品も使用可能であり、コストの増大を防止するとともに、在庫品が使用できなくなってしまうといった事態を回避することができる。
【0037】
また、本体部12の上端部を、膨出部24の外面よりも外方に位置させる支持凸部26が設けられている。このため、収容凹部23を極力大きく構成した場合(例えば、本例のように、膨出部24を外方に凸となるようにして湾曲形成した場合)でも、カード保持部材11の本体部12の上下方向中間部位が短辺側側壁部6に圧接しないように構成することができる。従って、付勢凸部25で取付板14を下方に押さえることによる応力をより確実に本体部12の下端部に作用させることができ、本体部12の下端部をより好適に短辺側側壁部6へ圧接させることができる。
【0038】
加えて、支持凸部26は、取付板14と同じ高さ位置に設けられ、取付板14の内方への変位を規制している。このため、例えば、支持凸部26が係止孔15よりも下方部位に当接したり、係止孔15、係止突起21、及び支持凸部26が本例の位置よりも下方(取付板14から所定距離を隔てた下方)に設けられたりする場合に、本体部12のうち支持凸部26によって位置決めされた部位よりも上方の部位が内方に変形してしまい、取付板14を支持凸部26で押下げても、本体部12の下端部が短辺側側壁部6に圧接させられるような応力が作用しないといった事態を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、短辺側側壁部6の厚み方向における短辺側側壁部6の内面に対する収容凹部23の形成深さが、上方に向かうにつれて次第に深くなるように構成されている。このため、ネスティングに際して収容凹部23にカード保持部材11を挿入し易くなり、作業性の向上等を図ることができる。さらに、収容凹部23は、外方に凸となるようにして湾曲形成されている。このため、ネスティング時における上側の箱型容器1のカード保持部材11と、下側の箱型容器1の収容凹部23との間の隙間を極力大きく確保することができる。従って、カード保持部材11の下部の厚みを比較的大きく形成することも可能となり、カード保持部材11の設計の自由度を向上させること(例えば、より肉厚なカードを保持可能とする等)ができる。
【0040】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0041】
(a)上記実施形態では、収容凹部23を形成する膨出部24は、外方に凸となるようにして湾曲形成されているが、例えば、
図10に示すように、収容凹部23の上縁部と下縁部とを直線状に連結するようにして形成されてもよいし、湾曲ではなく途中で屈曲していてもよい。但し、上記実施形態のように、膨出部24を外方に凸となるように湾曲させることで、膨出部24が本体部12に触れない程度に収容凹部23の容積を極力大きくすることができる。
【0042】
(b)また、カード保持部材11の形状は特に限定されるものではなく、容器本体の側壁部の外面に並設される本体部12と、カードを保持可能なカード保持部13と、本体部12の上端部において当該本体部12に対して交差する方向に延びる取付板14とを備えていればよい。例えば、
図11、
図12に示すように、カード保持部材41の取付板44を短辺側側壁部6の横幅方向(側方)にも延ばすとともに、張り出し部7の下面側において、当該取付板44を側方に延ばした部位を係止する板係止部45を設けることとしてもよい。この場合にも、張り出し部7から下方に突出して取付板44の上面に当接し、取付板44を外方かつ下方に傾斜させる付勢凸部25を設けることで、本体部42の下端部を短辺側側壁部6により強く圧接させることができる。さらに、取付板44を内方にも延出させて、本体部42よりも内方に突出する支持突部48(
図11参照)を形成することで、本体部42の上端部を膨出部24から外方に離間させることができる。これにより、膨出部24を湾曲形成する等して収容凹部23を極力大きく形成しても、膨出部24と本体部42とが基本的に当接しないように(圧接しないように)構成することができる。
【0043】
尚、当該(b)の構成においては、取付板44から内方に突出する支持突部48が、突部を構成する。また、当該(b)の構成において、支持突部48に代えて、又は、加えて、短辺側側壁部6の上部から外方に突出して本体部42の上部を膨出部24から離間させる支持凸部26を設けることとしてもよい。さらに、上記実施形態において、支持凸部26に代えて、又は、加えて、カード保持部材11に支持突部48を設けることとしてもよい。
【0044】
(c)また、カード保持部材11は、必ずしも本体部12、カード保持部13、及び、取付板14が一体成形されたものでなくてもよい。但し、本体部12の下端部と短辺側側壁部6の外面との好適な圧接を図るべく、本体部12及び取付板14のうち少なくとも一方は、弾性を有する素材で構成されることが望ましい。尚、上記実施形態では、本体部12の下端部と短辺側側壁部6との圧接力を高めるべく、本体部12のうち下端部以外の部位は膨出部24と当接しない構成とされることが望ましいが、本体部12の下端部と短辺側側壁部6との圧接が維持される範囲であれば、本体部12のその他の部位が膨出部24等に接触していてもよい。また、上記実施形態では、本体部12の外面と取付板14の下面とでなす角度が、短辺側側壁部6の外面と張り出し部7の下面とでなす角度よりも大きく構成されているが、ほぼ同じとしてもよい。
【0045】
(d)上記実施形態では特に言及していないが、各短辺側側壁部6の上部に対して、コの字の両端を内側に折返したような形状のハンドルが、短辺側側壁部6の横幅方向を回転軸線方向として回転可能に取付けられ、一対のハンドルを内向きに回転させてそれぞれ一対の長辺側側壁部5の上辺部間に横架することで、一対のハンドル上に箱型容器1を積み重ねる(スタッキングする)ことができるように構成されていることとしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、長手方向の向きを揃えて積み重ねることでネスティングを行うことのできる箱型容器1に具体化されているが、同じ向きで積み重ねることでネスティングを行え、異なる向き、例えば、交互に180度回転させた向きで積み重ねることでスタッキングを行うことのできる箱型容器(所謂、SNコンテナ)に適用することも可能である。また、底壁部2の形状は略矩形状に限定されるものではなく、例えば、略正方形状であってもよいし、略円形状(略円筒状の側壁部のうちカード保持部材11に対向する部位が略平坦面)であってもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態では、短辺側側壁部6にカード保持部材11を取付可能に構成されているが、当該構成に代えて、又は、加えて、長辺側側壁部5に対してカード保持部材11を取付可能に構成してもよい。また、上記実施形態では、相対する一対の短辺側側壁部6に対してそれぞれカード保持部材11を取付可能に構成されているが、どちらか一方にだけ取付可能としてもよい。
【0048】
(e)尚、カード保持部材11の下端部が短辺側側壁部6から離間してしまうといった問題は、カード保持部材11が取付けられる側壁部が上方かつ外方に向けてある程度傾斜している構成、さらに言えば、カード保持部材11が取付けられる側壁部の上部が下部よりも外方に位置する構成であれば生じる可能性がある。このため、特に収容凹部23として区別される部位はないがネスティング可能な構成や、収容凹部23は形成されているが、対応する側壁部の上辺部から下辺部にかけて形成されている構成や、ネスティング自体が行えない構成のものに対して、上記実施形態の付勢凸部25等の構成を適用してもよい。
【0049】
尚、カード保持部材11が取付けられる側壁部の外面が平坦面である場合には、本体部12が該側壁部外面に面当たりし、付勢凸部25で取付板14を下方に付勢しても、本体部12の下端部に対して側壁部に圧接させるような力が及ばない可能性がある。このため、支持凸部26等の突部によって本体部12の上部を側壁部から離間させることが望ましい。また、収容凹部23を側壁部の下部にまで形成してしまうと、カード保持部材11の下部も外方に突出してしまい、その分だけ収容凹部23の上部を深くする、或いは、カード保持部材11の下部の厚みを薄くする必要が生じる。このため、上記実施形態のように、収容凹部23の形成範囲は、側壁部のうち本体部12の下端部が当接する部位よりも上方であることが望ましい。
【0050】
(f)上記実施形態では、箱型容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、カード保持部材11がポリプロピレンにより構成されているが、その他の弾性を有する樹脂材料又は金属材料により構成されることとしてもよい。