(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、長辺寸法の短い一方の建物ユニットと、長辺寸法の長い他方の建物ユニットとを短辺方向に隣接させて入隅部を形成する方法では、入隅部を形成するために、長辺寸法の異なる二つの建物ユニットが必要となる。
したがって、現場で、重量のある付属物を入隅部に固定する場合には、必ず両方の建物ユニットを設置して入隅部を形成してから付属物の取付作業をしなければならないし、必ず、入隅部のどちらか一方の壁面に付属物の取付作業を施さなければならない。このため、長辺寸法の異なる二つの建物ユニットによって入隅部を形成すると、付属物の取付作業に手間がかかる場合がある。
【0006】
さらに、特許文献1のように、長辺寸法の異なる二つの建物ユニットによって入隅部を形成する方法を、特許文献2のユニット式建物に適用すると、両方の建物ユニットは離し置きされ、長辺寸法の長い他方の建物ユニットによって構成される入隅部の他方の壁面が、一方の壁面から離間して配置されることになる。
そして、このように両方の建物ユニットが離し置きされた状態でも、各種付属物を、入隅部の従来通りの位置に強固に固定したい場合には、入隅部の他方の壁面を新たに形成するための補助的な柱梁構造等の設置が必要となる。しかし、このような補助的な柱梁構造等を設置するためには、当然、その分のコストや手間がかかってしまう場合がある。
そこで、建物ユニット同士が離し置きされて構築されるユニット式建物にも、建物ユニット同士を離し置きせずに組み合わせて構築されるユニット式建物にも適用でき、単体で、様々な付属物を強固に設置固定できる入隅部を形成することが可能な建物ユニットの開発が望まれていた。
【0007】
本発明の課題は、様々な付属物を強固に設置固定できる入隅部を形成でき、付属物の取り付けに係るコストや手間を省略することが可能な入隅用建物ユニットと、この入隅用建物ユニットを含んで構築されるユニット式建物とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図9に示すように、規定寸法L1a,L2aに基づく大きさに形成された略直方体状の建物ユニット2,10を複数組み合わせて構築されるユニット式建物に、入隅部13を形成するための入隅用建物ユニット10であって、
長辺寸法または短辺寸法が前記規定寸法L1a,L2aよりも短く設定された箱形に形成されることによって内部空間11aを有し、他の建物ユニット2とともに前記ユニット式建物の内部空間を形成するユニット本体部11と、
前記ユニット本体部11の
前記規定寸法L1a,L2aよりも短く設定された一辺に沿って延出することによって、該ユニット本体部11との間に、直交する二つの壁面13a,13bからなる入隅部13が形成される延出壁部12と、を備えており、
前記ユニット本体部11と前記延出壁部12とは、複数の柱21…(31…)と、これら複数の柱21…(31…)の上端部同士および下端部同士を結合する複数の梁22…,24…(32…,34…)とを骨組み20(30)として一体形成されており、
前記骨組み20(30)の長辺方向および短辺方向の最大寸法L1b,L2bが、前記規定寸法L1a,L2aと略等しい長さに設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記ユニット本体部11と前記延出壁部12とは、前記複数の柱21…(31…)と、前記複数の梁22…,24…(32…,34…)とを骨組み20(30)として一体形成され、前記延出壁部12と前記ユニット本体部11との間には前記入隅部13が形成されているので、一つの入隅用建物ユニット10に対して前記入隅部13を予め形成しておくことができる。
これによって、前記入隅部13を形成する前記二つの壁面13a,13bに、予め、例えばバルコニー14等の重量のある付属物を設置し、前記骨組み20(30)に対して強固に固定することができる。また、前記二つの壁面13a,13bのいずれか一方だけに付属物(例えば玄関ドア16等)を設置し、前記骨組み20(30)に対して強固に固定することができる。
さらに、一つの入隅用建物ユニット10に対して前記入隅部13が予め形成された状態となっているので、ユニット式建物を構築する際に、建物ユニット2,10が離し置きされているか否かに関わらず、前記ユニット式建物のコーナーに入隅部13を形成することができる。
したがって、例えば長辺寸法の異なる二つの建物ユニットで入隅部を形成する場合や、補助的な柱梁構造を採用して入隅部を形成する場合に比して、付属物を前記入隅部13に設置するためのコストや手間を省略することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1〜
図9に示すように、請求項1に記載の入隅用建物ユニット10において、
前記延出壁部12は、前記骨組み20(30)の長辺方向または短辺方向に沿って設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記延出壁部12が、前記骨組み20(30)の長辺方向に沿って設けられる場合は、入隅用建物ユニット10を、前記ユニット本体部11の長辺寸法を短く設定した形態とすることができる。また、前記延出壁部12が、前記骨組み20(30)の短辺方向に沿って設けられる場合は、入隅用建物ユニット10を、前記ユニット本体部11の短辺寸法を短く設定した形態とすることができる。
これによって、様々な形態の入隅用建物ユニット10を形成できるので、様々な形態の入隅部13を前記ユニット式建物のコーナーに形成することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1〜
図5に示すように、請求項1または2に記載の入隅用建物ユニット10において、
前記骨組み20(30)の柱21…(31…)は、少なくとも、前記延出壁部12の延出方向先端と、前記ユニット本体部11周囲の複数の出隅部11b…とに配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記骨組み20(30)の柱21…(31…)は、少なくとも、前記延出壁部12の延出方向先端と、前記ユニット本体部11周囲の複数の出隅部11b…とに配置されているので、入隅用建物ユニット10の外周のうち出っ張った箇所に前記複数の柱21…(31…)を配置することができる。
これによって、例えば四隅に柱を配置する状態に近づけることができるので、入隅用建物ユニット10自体の強度を高めるだけでなく、上部に他の建物ユニット2(10)を積層させたり、前記入隅部13に付属物を取り付けたりする際に、これら建物ユニット2(10)や付属物等を確実に支持することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば
図6〜
図9に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の入隅用建物ユニット10と、複数の前記他の建物ユニット2…(10)とを組み合わせて構築されるユニット式建物であって、
前記入隅用建物ユニット10と複数の前記他の建物ユニット2…(10)とからなる建物本体1A(1B,1C)を備えており、この建物本体1A(1B,1C)のコーナーに、前記入隅用建物ユニット10が配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記入隅用建物ユニット10を、前記建物本体1A(1B,1C)のコーナーに配置するだけで、この建物本体1A(1B,1C)のコーナーに前記入隅部13を形成することができる。
これによって、例えば長辺寸法の異なる二つの建物ユニットで入隅部を形成する場合や、補助的な柱梁構造を採用して入隅部を形成する場合に比して、付属物を前記入隅部13に設置するためのコストや手間を省略できるとともに、前記建物本体1A(1B,1C)のコーナーに前記入隅部13を容易に形成することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、例えば
図7および
図9(b)に示すように、請求項4に記載のユニット式建物において、
前記入隅用建物ユニット10と、この入隅用建物ユニット10に隣り合う前記他の建物ユニット10(2)とが離し置きされていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記入隅用建物ユニット10は前記入隅部13が予め形成された状態となっているので、前記入隅用建物ユニット10と、この入隅用建物ユニット10に隣り合う前記他の建物ユニット10(2)とが離し置きされていても、前記建物本体1Bのコーナーに前記入隅部13を確実に形成することができる。
また、使用する前記建物ユニット2,10の数を少なくすることができるので、ユニット式建物の構築にかかるコストを低減させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1,
図2,
図6〜
図9に示すように、請求項4または5に記載のユニット式建物において、
前記入隅用建物ユニット10の前記入隅部13に、予め付属物14,15,16が設置されており、この付属物14,15,16は前記骨組み20(30)に固定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、前記入隅用建物ユニット10の前記入隅部13に、予め付属物14,15,16が設置されており、この付属物14,15,16は前記骨組み20(30)に固定されているので、前記付属物14,15,16を前記骨組み20(30)に固定した状態で輸送したり、現場で施工したりすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一つの入隅用建物ユニットに対して入隅部を予め形成しておくことができる。これによって、入隅部を形成する二つの壁面に、予め、例えばバルコニー等の重量のある付属物を設置し、骨組みに対して強固に固定することができる。また、二つの壁面のいずれか一方だけにも付属物を設置し、骨組みに対して強固に固定することができる。さらに、一つの入隅用建物ユニットに対して入隅部が予め形成された状態となっているので、ユニット式建物を構築する際に、建物ユニットが離し置きされているか否かに関わらず、ユニット式建物のコーナーに入隅部を形成することができる。したがって、従来に比して、付属物を入隅部に取り付けるためのコストや手間を省略することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1,
図2は本発明に係る入隅用建物ユニット10の一例を示す斜視図である。この入隅用建物ユニット10は、
図6〜
図9に示すような、規定寸法L1a,L2aに基づく大きさに形成された略直方体状の建物ユニット2,10を複数組み合わせて構築されるユニット式建物の建物本体1A,1B,1C,1Dbに、入隅部13を形成するためのものである。
【0023】
なお、前記規定寸法L1aは、前記建物ユニット2,10の骨組みの長辺方向の長さ、すなわち長辺寸法を指しており、規定寸法L2aは、前記建物ユニット2,10の骨組みの短辺方向の長さ、すなわち短辺寸法を指している。
つまり、この規定寸法L1a,L2aは、前記入隅用建物ユニット10と前記他の建物ユニット2とが、同一の規格に基づいて設計・製造されたものであることを示すものである。そして、このように前記入隅用建物ユニット10は、前記他の建物ユニット2と同一の規格で形成されているため、前記他の建物ユニット2と同じように前記ユニット式建物に対して確実に組み込めるようになっている。延いては、前記ユニット式建物全体が、前記規定寸法L1a,L2aを定義する前記規格(モジュール)に基づいて設計・構築される。
【0024】
前記入隅用建物ユニット10は、ユニット本体部11と、延出壁部12と、を備える。
前記ユニット本体部11は、箱形に形成されることによって内部空間11aを有し、他の建物ユニット2とともに前記ユニット式建物の内部空間を形成するものである。すなわち、前記ユニット本体部11の内部には、居室等の部屋が設けられることになる。
前記延出壁部12は、前記ユニット本体部11から、前記ユニット本体部11の一辺に沿って延出するようにして設けられている。
前記延出壁部12と前記ユニット本体部11との間には、直交する二つの壁面13a,13bからなる入隅部13が形成される。また、前記入隅部13を構成する一方の壁面13aは、前記延出壁部12の入隅部13側面であり、他方の壁面13bは、前記ユニット本体部11の入隅部13側面である。
【0025】
また、前記ユニット本体部11と前記延出壁部12とは、
図1〜
図4に示すように、複数の柱21…と、これら複数の柱21…の上端部同士および下端部同士を結合する複数の梁22…,24…とを骨組み20として一体形成されている。
さらに、前記骨組み20の長辺方向および短辺方向の最大寸法L1b,L2bは、前記規定寸法L1a,L2aと略等しい長さに設定されている。
【0026】
また、本実施の形態の延出壁部12は、
図1〜
図4に示すように、前記骨組み20の長辺方向に沿って設けられている。
このように前記延出壁部12が、前記骨組み20の長辺方向に沿って設けられる場合は、前記入隅用建物ユニット10を、前記ユニット本体部11の長辺寸法を短く設定した形態とすることができる。
さらに、前記入隅部13を形成する他方の壁面13bを、前記骨組み20の長辺方向のどの位置に配置するかによって、設計段階で、前記延出壁部12の延出長さ変更調整できることになる。
【0027】
前記骨組み20は、より詳細には、
図3,
図4に示すように、前記複数の柱21…と、前記複数の柱21…の上端部同士を結合する天井梁22と、前記複数の柱21…の下端部同士を結合する床梁24と、を備える。
また、前記柱21の上端部と前記天井梁22、および、前記柱21の下端部と前記床梁24は、柱梁接合部材26a,26b,26cによって接合されている。
前記柱梁接合部材26aは、2方向から梁の端部が接合されるものであり、前記柱梁接合部材26bは、1方向から梁の端部が接合されるものであり、前記柱梁接合部材26cは、3方向から梁の端部が接合されるものである。
なお、本実施の形態においては前記柱梁接合部材26a,26b,26cを用いるが、これに限られるものではなく、他の接合部材を用いてもよいし、前記柱21と前記梁22,24とを直接、溶接等によって接合してもよいものとする。
【0028】
前記複数の柱21…は、少なくとも、前記延出壁部12の延出方向先端と、前記ユニット本体部11周囲の複数の出隅部11b…とに配置されている。つまり、前記複数の柱21…は、前記入隅用建物ユニット10の外周のうち出っ張った箇所に配置されることになる。
これによって、例えば略直方体状に形成された建物ユニット2の場合は、四隅に柱が配置されることになるが、前記骨組み20も、前記複数の柱21…を四隅に柱を配置した状態に近づけることができる。したがって、前記入隅用建物ユニット10自体の強度を高めるだけでなく、上部に他の建物ユニット2(10)を積層させたり、前記入隅部13に付属物を取り付けたりする際に、これら建物ユニット2(10)や付属物等を確実に支持することができる。
なお、前記柱21の位置は、前記延出壁部12の延出方向先端と、前記ユニット本体部11周囲の複数の出隅部11b…だけでなく、必要な箇所に適宜配置される。例えば付属物を前記入隅部に設置する際に、付属物を固定するための柱が必要であれば、適宜追加してもよいものとする。
【0029】
前記天井梁22は、前記骨組み20の長辺方向に配置される長辺天井梁22a,22aと、前記骨組み20の短辺方向に配置される短辺天井梁22b,22bとを有する。
また、前記一方の長辺天井梁22aと前記他方の長辺天井梁22aとの間には、複数の天井小梁23…が、前記骨組み20の長辺方向に間隔をあけて架設されている。なお、これら複数の天井小梁23…の下面には、図示しない天井板が固定される。
【0030】
前記床梁24は、前記骨組み20の長辺方向に配置される長辺床梁24a,24aと、前記骨組み20の短辺方向に配置される短辺床梁24b,24bとを有する。
また、前記一方の長辺床梁24aと前記他方の長辺床梁24aとの間には、複数の根太25…が、前記骨組み20の長辺方向に間隔をあけて架設されている。なお、これら複数の根太25…の上面には、図示しない床板が固定される。
【0031】
また、図示はしないが、前記骨組み20のうち、前記ユニット式建物の外周面を構成する外側面には、PALC(プレキャストオートクレーブド軽量気泡コンクリート)等の外壁材が取り付けられており、前記ユニット式建物の内部空間を構成する内側面には、石膏ボード等の内装材が取り付けられている。
【0032】
なお、
図3に示す骨組み20と、
図4に示す骨組み20との相違点について説明する。
図3に示す骨組み20は、前記一方の長辺天井梁22aおよび前記一方の長辺床梁24aが、前記他方の長辺天井梁22aおよび前記他方の長辺床梁24aよりも長尺に形成されている。
また、前記入隅部13側に位置する前記一方の短辺天井梁22bおよび前記一方の短辺床梁24bは、前記一方の長辺天井梁22aおよび前記一方の長辺床梁24aの中央付近において、該一方の長辺天井梁22aおよび一方の長辺床梁24aと直交する方向に配置されている。
さらに、前記一方の短辺天井梁22bの端部と前記一方の長辺天井梁22aとは、略L型に形成されたL型接合部材27によって接合されている。なお、このL型接合部材27は、前記一方の短辺天井梁22bの両側面側に設けられているものとする。前記一方の短辺床梁24bの端部と前記一方の長辺床梁24aも同じく、L型接合部材27によって接合されている。
【0033】
一方、
図4に示す骨組み20は、前記骨組み20の長辺方向に配置される双方の長辺天井梁22a,22aの長さが略等しく、前記骨組み20の長辺方向に配置される双方の長辺床梁24a,24aの長さも略等しくなるように形成されている。
そして、前記一方の長辺天井梁22aの延長線上には、前記延出壁部12を形成するための延長梁22cが設けられている。なお、前記一方の長辺天井梁22aと、前記延長梁22cと、前記入隅部13側に位置する一方の短辺天井梁22bと、これら各梁22a,22b,22cの下方に配置される柱21とが、前記柱梁接合部材26cによって接合されている。
また、前記延出壁部12の延出方向先端に配置される柱21と、前記一方の長辺床梁24aとの間には、上方に配置された前記延長梁22cに対応する梁が設けられておらず、空隙になっている。
【0034】
つまり、
図3に示す骨組み20と、
図4に示す骨組み20とには、前記骨組み20のうち、前記延出壁部12が形成される側の柱梁架構K1,K2に相違点がある。すなわち、この部位の柱梁架構は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、
図2に示す玄関ドア16のように、その取付位置を下方に下げる必要がある場合には、
図4に示すような前記柱梁架構K2を備えた骨組み20を採用すれば良い。
【0035】
ここで、
図5は、本実施の形態の骨組み20とは異なる形態の骨組み30を示す斜視図である。この骨組み30によって構成される入隅用建物ユニット10においては、前記延出壁部12は、前記骨組み30の短辺方向に沿って設けられている。
このように前記延出壁部12が、前記骨組み30の短辺方向に沿って設けられる場合は、前記入隅用建物ユニット10を、前記ユニット本体部11の短辺寸法を短く設定した形態とすることができる。
さらに、前記骨組み20と同様に、前記入隅部13を形成する他方の壁面13bを、前記骨組み30の短辺方向のどの位置に配置するかによって、設計段階で、前記延出壁部12の延出長さ変更調整できることになる。ただし、その調整範囲は、前記骨組み20の長辺方向に沿って調整する場合に比して短いものとされている。
【0036】
また、前記骨組み30も、前記骨組み20と略同様の要素によって構成されており、複数の柱31…と、長辺天井梁32a,32aおよび短辺天井梁32b,32bを有する天井梁32と、長辺床梁34a,34aおよび短辺床梁34b,34bとを有する床梁34と、を備える。
さらに、前記一方の長辺天井梁32aと前記他方の長辺天井梁32aとの間には、複数の天井小梁33…が架設されており、前記一方の長辺床梁34aと前記他方の長辺床梁34aとの間には、複数の根太35…が架設されている。
また、前記柱31の上端部と前記天井梁32、および、前記柱31の下端部と前記床梁34は、柱梁接合部材36a,36bによって接合されている。
また、前記一方の長辺天井梁32aの端部と前記一方の短辺天井梁32b、および、前記一方の長辺床梁34aの端部と前記一方の短辺床梁34bは、略L型に形成されたL型接合部材27によって接合されている。
【0037】
本実施の形態の入隅用建物ユニット10によれば、前記ユニット本体部11と前記延出壁部12とは、前記複数の柱21…と、前記複数の梁22…,24…とを骨組み20として一体形成され、前記延出壁部12と前記ユニット本体部11との間には前記入隅部13が形成されているので、該一つの入隅用建物ユニット10に対して前記入隅部13を予め形成しておくことができる。
これによって、前記入隅部13を形成する前記二つの壁面13a,13bに、予め、重量のある付属物を設置し、前記骨組み20に対して強固に固定することができる。また、前記二つの壁面13a,13bのいずれか一方だけに付属物を設置し、前記骨組み20に対して強固に固定することができる。
さらに、該一つの入隅用建物ユニット10に対して前記入隅部13が予め形成された状態となっているので、ユニット式建物を構築する際に、建物ユニット2,10が離し置きされているか否かに関わらず、前記ユニット式建物のコーナーに入隅部13を形成することができる。
したがって、例えば長辺寸法の異なる二つの建物ユニットで入隅部を形成する場合や、補助的な柱梁構造を採用して入隅部を形成する場合に比して、付属物を前記入隅部13に設置するためのコストや手間を省略することができる。
【0038】
次に、前記入隅用建物ユニット10と、複数の前記他の建物ユニット2…(10)とを組み合わせて構築されるユニット式建物について説明する。
【0039】
本実施の形態のユニット式建物は、前記入隅用建物ユニット10と、複数の前記他の建物ユニット2…とからなる建物本体1Aを備えており、
図6に示すように、この建物本体1Aのコーナーに、前記入隅用建物ユニット10が配置されている。
図6は、前記ユニット式建物の所定階における前記建物本体1Aの平面図であり、平面視において5つの建物ユニット2…と、1つの入隅用建物ユニット10とが用いられている。
【0040】
前記5つの建物ユニット2…のうち、3つの建物ユニット2,2,2は、互いの短辺方向に隣接して配置されており、これら3つの建物ユニット2,2,2の長辺方向に隣接して、2つの建物ユニット2,2と1つの入隅用建物ユニット10とが配置されている。
また、前記2つの建物ユニット2,2は、互いの短辺方向に隣接して配置されており、前記1つの入隅用建物ユニット10は、前記延出壁部12が前記2つの建物ユニット2,2側に位置するようにして、前記2つの建物ユニット2,2の一方に隣接して配置されている。
これによって、前記建物本体1Aのコーナーに前記入隅部13を形成することが可能となる。
【0041】
なお、前記ユニット式建物は、前記建物本体1Aを備えるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、
図7および
図8に示すような、他の形態の建物本体1B,1Cを採用してもよいものとする。
【0042】
図7に示す建物本体1Bは、平面視において2つの建物ユニット2,2と、2つの入隅用建物ユニット10,10とが用いられて構築されている。2つの入隅用建物ユニット10,10は、左右対称に形成されたものである。
前記2つの建物ユニット2,2は、互いの短辺方向に間隔をあけて隣り合うようにして配置されている。すなわち、これら2つの建物ユニット2,2は離し置きされている。さらに、前記2つの入隅用建物ユニット10,10も、互いの短辺方向に間隔をあけて隣り合うようにして配置され、離し置きされている。
すなわち、前記建物本体1Bは、中央に間隙が形成されており、この間隙を介して一方に、長辺方向に隣接する1つの他の建物ユニット2および1つの入隅用建物ユニット10が配置され、他方に、長辺方向に隣接する1つの他の建物ユニット2および1つの入隅用建物ユニット10が配置されている。
【0043】
前記間隙を挟んで隣り合う各建物ユニット2,2および各入隅用建物ユニット10,10は、梁やパネル等の連結部材によって連結される。
なお、
図7において二点鎖線によって囲まれた領域は、前記連結部材を設けるための連結領域3とされており、前記間隙の位置に相当している。
また、図示はしないが、前記連結領域3の上方には、前記間隙を挟んで隣り合う各建物ユニット2,2間および各入隅用建物ユニット10,10間に跨るようにして上階の建物ユニットを設置してもよいものとする。
【0044】
以上のような建物本体1Bによれば、前記入隅用建物ユニット10は前記入隅部13が予め形成された状態となっているので、前記入隅用建物ユニット10と、この入隅用建物ユニット10に隣り合う前記入隅用建物ユニット10とが離し置きされていても、コーナーに前記入隅部13を確実に形成することができる。
また、使用する建物ユニット2,10の数を少なくすることができるので、ユニット式建物の構築にかかるコストを低減させることができる。
【0045】
図8に示す建物本体1Cは、前記入隅用建物ユニット10が、前記延出壁部12とは反対側の側面が、前記他の建物ユニット2側に位置するようにして隣接配置されている。
これによって、前記建物本体1Cには、前記入隅用建物ユニット10によって形成される前記入隅部13と、前記入隅用建物ユニット10と前記隣接する他の建物ユニット2との間に形成される入隅部4aとの、2つの入隅を有する凹部4が形成されることとなる。したがって、前記入隅用建物ユニット10の設置位置次第で、前記建物本体1Aとは異なる形態の建物本体1Bを備えたユニット式建物を構築することができる。
【0046】
以上のように、いずれの建物本体1A,1B,1Cであっても、前記入隅用建物ユニット10を用いて前記入隅部13を簡単に形成することができる。
【0047】
なお、
図9(a)に示す建物本体1Daは、平面視において3つの建物ユニット2…と、これら3つの建物ユニット2…とは長さの異なる1つの建物ユニット2aとが用いられて構築されている。また、この建物本体1Daは、短辺方向に隣り合う建物ユニット同士が間隔をあけて配置されている。すなわち、離し置きされている。
この建物本体1Daの場合、入隅部は、長辺寸法の異なる建物ユニット2,2aによって形成されることになるが、これら建物ユニット2,2aが離し置きされているため、その分、入隅部の長さL3aが長くなってしまう場合がある。
これに対して、本発明の入隅用建物ユニット10を用いる場合は、
図9(b)に示すように、離し置き形式で建物本体1Dbを形成しても、入隅部13の一辺(壁面13b)の長さL3bが、必要以上に長くなることを抑制できる。
なお、
図9(a),(b)において二点鎖線によって囲まれた領域は、梁やパネル等の連結部材を設けるための連結領域3とされており、前記建物ユニット間2,10(2,2a)の間隙の位置に相当している。
【0048】
なお、本実施の形態において、前記入隅用建物ユニット10の前記入隅部13には、外壁材を始め、その他の付属物を予め工場等で設置しておいてもよいものとする。この場合、付属物は前記骨組み20に対して固定されている。
なお、前記付属物としては、例えば
図1および
図2に示すように、バルコニー14や、窓15および窓枠15a、玄関ドア16およびドア枠16a、図示しない庇・玄関ポーチ屋根等が挙げられる。
これにより、前記付属物14,15,16を前記骨組み20に固定した状態で輸送したり、現場で施工したりすることができる。
【0049】
なお、前記バルコニー14は、手摺壁14aと、図示しないバルコニー床とを備えており、これら手摺壁14aとバルコニー床は、前記入隅部13の一方の壁面13aと他方の壁面13bに当接するとともに前記骨組み20に対して固定された状態となっている。
前記窓15は、前記建物本体1Aの内部空間とバルコニー14との間の行き来を可能とする掃出し窓であり、前記窓枠15aを備える。この窓枠15aは、前記延出壁部12側に設置されるとともに前記骨組み20に対して固定された状態となっている。
前記玄関ドア16は、前記ドア枠16aを備えており、このドア枠16aは、前記延出壁部12側に設置されるとともに前記骨組み20に対して固定された状態となっている。
【0050】
本実施の形態のユニット式建物によれば、前記入隅用建物ユニット10を、前記建物本体1A,1B,1C,1Dbのコーナーに配置するだけで、この建物本体1A,1B,1C,1Dbのコーナーに前記入隅部13を形成することができる。
これによって、例えば長辺寸法の異なる二つの建物ユニットで入隅部を形成する場合や、補助的な柱梁構造を採用して入隅部を形成する場合に比して、前記バルコニー14等の付属物を前記入隅部13に設置するためのコストや手間を省略できるとともに、前記建物本体1A,1B,1C,1Dbのコーナーに前記入隅部13を容易に形成することができる。