特許第5778618号(P5778618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778618
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】植栽具
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20060101AFI20150827BHJP
   A01G 1/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A01G9/02 B
   A01G9/02 F
   A01G9/02 103T
   A01G1/00 301C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-99099(P2012-99099)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-226061(P2013-226061A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】能町 真実
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−082102(JP,A)
【文献】 実公平04−008750(JP,Y2)
【文献】 実開昭57−117967(JP,U)
【文献】 特開2006−280285(JP,A)
【文献】 特開2011−101606(JP,A)
【文献】 特開2009−045015(JP,A)
【文献】 特開2008−113577(JP,A)
【文献】 特開平11−046592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 − 9/10
A01G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽用水を貯留可能な貯水部と、吸水性の植栽床材を載置可能な植栽用空間とを備え、少なくとも正面側に、前記植栽床材を露出させる開口部を形成するための開口部形成予定線が設けられている一つまたは複数の植栽容器、及び
前記一つまたは複数の植栽容器を囲むように着脱自在に支持可能なフレーム部材を有し、
前記植栽容器の外周の一部に突出部が形成されており、前記フレーム部材の外周に前記突出部と嵌合される係止開口部が設けられている植栽具。
【請求項2】
前記植栽容器には所定高さを超える植栽用水を排水するオーバーフロー管が一体形成されている請求項1に記載の植栽具。
【請求項3】
前記突出部が前記オーバーフロー管の下端である請求項2に記載の植栽具。
【請求項4】
前記オーバーフロー管は正面視において鉛直線に対して傾斜状に形成されている請求項2または3に記載の植栽具。
【請求項5】
前記植栽容器の少なくとも一方の側面に透明な水位確認窓が突出形成されており、該水位確認窓が前記突出部を構成する請求項1から4のいずれか一項に記載の植栽具。
【請求項6】
前記植栽容器は樹脂のブロー成形によって一体形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の植栽具。
【請求項7】
前記開口部が上下の中心よりも上方に変位配置されており、前記開口部の下方に前記植栽床材を前後方向から支持する一対の支持部が内面向きに突出形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の植栽具。
【請求項8】
前記植栽容器の両側面に前記植栽用空間に向かって突出する把手部が一体形成されており、前記把手部は前記植栽床材の横向きの移動を規制する規制手段を兼ねている請求項1から7のいずれか一項に記載の植栽具。
【請求項9】
前記植栽容器は前記正面側と対向する背面側を有し、前記背面側に前記開口部と対向した補助開口部を形成するための補助開口部形成予定線が設けられている請求項1から8のいずれか一項に記載の植栽具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面緑化に代表されるように概して縦向きに延設された面を生育中などの植物で覆うことを可能とする植栽具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の植栽具に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1では、正面視で四角形の表板と、同形の裏板との間に保水性の基盤を挟み込んでボルトとナットなどで固定し、表板の複数箇所には斜め上向きに開口した植栽用の棚部を設けた植栽容器とし、これをワイヤーなどによって壁面に取り付けることで、壁面緑化用の植栽具として使用可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−239878号公報(0041〜0043段落、図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された植栽具では、表板と裏板の間に保水性の基盤を挟み込んでボルトとナットなどで固定した大掛かりな形態を有するため、ユーザーなどが植栽具の構成形態を変更することなどは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術が与える課題に鑑み、植栽具の構成形態を比較的簡単に変更することが可能な植栽具を提供することにある。
【0006】
本発明による植栽具の特徴構成は、
植栽用水を貯留可能な貯水部と、吸水性の植栽床材を載置可能な植栽用空間とを備え、少なくとも正面側に、前記植栽床材を露出させる開口部を形成するための開口部形成予定線が設けられている一つまたは複数の植栽容器、及び
前記一つまたは複数の植栽容器を囲むように着脱自在に支持可能なフレーム部材を有し、
前記植栽容器の外周の一部に突出部が形成されており、前記フレーム部材の外周に前記突出部と嵌合される係止開口部が設けられている点にある。
【0007】
上記の特徴構成を備えた植栽具では、任意の外観色を持たせたフレーム部材によって植栽容器を囲むように支持させるだけで、意匠性の高い植栽具が簡単に得られるだけでなく、フレーム部材は植栽容器に対して着脱自在とされているので、色合いの異なる別のフレーム部材に取り替えるなどの使用方法が可能となり、或いは、必要に応じてフレーム部材を植栽容器から分離させて、植栽容器と植栽床材のみを組み合わせた形態で使用することも可能となるなど、植栽具の構成形態を比較的簡単に変更できるようになった。
【0008】
また、上記の特徴構成を備えた植栽具では、フレーム部材を植栽容器に取り付ける際に、フレーム部材の外周に形成された係止開口部を、植栽容器の外周の一部に形成された突出部と嵌合させることができるので、植栽容器がフレーム部材から不用意に脱落する事態が防止される。
【0009】
さらに、もしもフレーム部材を不透明でカラフルな素材などで形成した場合でも、フレーム部材の係止開口部を通して透視される植栽容器の透明な水位確認部を介して、植栽容器内の貯水部に貯留された植栽用水の水位を確認することができる。
【0010】
本発明の他の特徴構成は、前記植栽容器には所定高さを超える植栽用水を排水するオーバーフロー管が一体形成されている点にある。
【0011】
本構成であれば、貯水部に供給された所定高さを超える植栽用水を排水するオーバーフロー管が一体形成されているので、貯水部に過剰な植栽用水が貯留される事態を防止でき易い。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記突出部が前記オーバーフロー管の下端である点にある。
【0013】
本構成であれば、植栽容器をフレーム部材と組み合わせて用いる際に、オーバーフロー管の下端とフレーム部材の係止開口部とが互いに嵌合されるため、植栽容器がフレーム部材から不用意に脱落する事態が効果的に防止される。また、本構成であれば、オーバーフロー管を使用する場合に、オーバーフロー管を流下した植栽用水をフレーム部材の係止開口部から円滑に排出することができる。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記オーバーフロー管は正面視において鉛直線に対して傾斜状に形成されている点にある。
【0015】
もしも2つ以上の植栽容器を上下に重ね合わせ、上側の植栽容器に供給された余分な植栽用水がオーバーフロー管を介して、下側の植栽容器の上面に配置された開口部から下側の植栽容器に供給される形態で実施した場合でも、本構成であれば、オーバーフロー管は正面視において鉛直線に対して傾斜状に形成されているので、必然的に植栽容器の上面に配置された開口部とオーバーフロー管の上端付近とは左右方向で変位した位置に配置されることになり、植栽容器の上面に配置された開口部から供給された植栽用水が貯水部を迂回してオーバーフロー管から外に排出されるなどの事態が生じ難くなる。
【0016】
本発明の他の特徴構成は、前記植栽容器の少なくとも一方の側面に透明な水位確認窓が突出形成されており、該水位確認窓が前記突出部を構成する点にある。
【0017】
本構成であれば、もしもフレーム部材を不透明でカラフルな素材などで形成した場合でも、フレーム部材の係止開口部を通して透視される植栽容器の透明な水位確認部を介して、植栽容器内の貯水部に貯留された植栽用水の水位を確認することができる。
【0018】
また、本構成であれば、フレーム部材を植栽容器に取り付ける際に、フレーム部材の外周に形成された係止開口部を、植栽容器の側面に突出形成された水位確認部と嵌合させることができるので、植栽容器がフレーム部材から不用意に脱落する事態がさらに防止される。
【0019】
本発明の他の特徴構成は、前記植栽容器は樹脂のブロー成形によって一体形成されている点にある。
【0020】
本構成であれば、例えば射出成形によって成形される構成に比べると構造の簡単な割型を用いて成形でき、使用する樹脂の量も少なくて済むので軽量化でき、製作コストの低減化も図ることができる。また、本構成であれば、例えば射出成形によって成形される構成に比べて、植栽容器を構成する壁面部を十分に薄くすることができるので、販売者やユーザーがカッターナイフなどの簡便な器具を用いて簡単に開口部を形成することができる。
【0021】
また、本構成であれば、植栽容器を構成する壁面部を十分に薄くすることができるので、水位確認窓を側面の全体に対して弾性的に変位可能に設けることが可能となり、植栽容器のフレーム部材に対する着脱がより容易となる。
【0022】
本発明の他の特徴構成は、前記開口部が上下の中心よりも上方に変位配置されており、前記開口部の下方に前記植栽床材を前後方向から支持する一対の支持部が内面向きに突出形成されている点にある。
【0023】
本構成であれば、植栽容器の開口部の下方に内面向きに突出形成された一対の支持部によって植栽床材を前後方向から支持することができるので、植栽床材が植栽容器の内部でぐらついたり、植栽用空間で前後いずれかに倒れて植栽床材の一部が開口部から外に出たりして、植栽床材に植え付けた植物の体裁が損なわれる虞などが抑制される。
【0024】
本発明の他の特徴構成は、前記植栽容器の両側面に前記植栽用空間に向かって突出する把手部が一体形成されており、前記把手部は前記植栽床材の横向きの移動を規制する規制手段を兼ねている点にある。
【0025】
本構成であれば、植栽容器の両側面に植栽用空間に向かって突出した部位を一体形成することで、同部位に対して、植栽容器のハンドリングのための手段として使用可能な把手部と、植栽床材の横向きの移動を規制する規制手段との2つの機能を同時に果たさせることができる。
【0026】
本発明の他の特徴構成は、前記植栽容器は前記正面側と対向する背面側を有し、前記背面側に前記開口部と対向した補助開口部を形成するための補助開口部形成予定線が設けられている点にある。
【0027】
本構成であれば、開口部(補助開口部)を設ける位置を正面側と背面側との間で選択可能となるので、例えばオーバーフロー管などが植栽容器の左右いずれかの端部に設けてある場合に、正面側と背面側とのいずれに開口部(補助開口部)を設けるかで、オーバーフロー管の位置を左右いずれかの好都合な位置に配置することができる。また、本構成であれば、正面側と背面側との双方に開口部(補助開口部)を設けることで、植栽床材や植栽床材に植え込まれた植物を植栽容器の前後2面の双方から露出させるという使用形態も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る植栽具を示す斜視図である。
図2】本発明に係る植栽容器を示す斜視図である。
図3】植栽容器に開口部を設ける過程を示す斜視図である。
図4】植栽容器に植栽床材を収納する過程を示す斜視図である。
図5】植栽容器内の植栽床材に植物を植え込む過程を示す斜視図である。
図6】植栽容器を示す一部破断正面図である。
図7】植栽容器にフレームを外嵌する前の過程を示す斜視図である。
図8】植栽容器にフレームを外嵌する途中の過程を示す斜視図である。
図9】複数の植栽容器に大型のフレームを外嵌した状態を示す斜視図である。
図10】複数の植栽容器を組み合わせて壁面に取り付けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る植栽具の一例を示し、特に、矩形で透明樹脂製の植栽容器Aを一つだけ用いており、この植栽容器Aの内部に給水性の植栽床材Bが収納され、植栽容器Aの外周に比較的剛性の高い着脱自在なフレームCが外嵌固定され、植栽床材Bの植栽用貫通孔Hに植物Pが植栽されている状態を示している。
【0030】
植栽容器Aは、ポリスチレンなどの樹脂のブロー成形によって一体成形されており、図2に例示するように、ブロー成形直後の植栽容器Aは、互いに前後方向に離間しつつ平行に延びた正面壁部A1と背面壁部A2、正面壁部A1と背面壁部A2が形成する空間を下方から閉じる底壁部A3、同空間を上方から閉じる天壁部A4、同空間を左側方から閉じる第1側壁部A5、同空間を右側方から閉じる第2側壁部A6を有する。
【0031】
正面壁部A1と背面壁部A2は概して正方形を呈し、底壁部A3、天壁部A4、第1側壁部A5及び第2側壁部A6は、これらの正方形の四辺に沿って延設されている。
植栽容器Aの全体としては概して矩形板状であり、図2に示すように、正面壁部A1と背面壁部A2が概して鉛直状になるように植栽容器Aを正立させた状態では、底壁部A3、天壁部A4、第1側壁部A5及び第2側壁部A6の各幅は、正面壁部A1と背面壁部A2の1辺の数分の一(例えば1/5〜1/3の範囲)となる。
【0032】
ブロー成形では、底壁部A3、天壁部A4、第1側壁部A5、第2側壁部A6に沿って延びる合わせ面を有する2つの半割型(不図示)の間に樹脂のパリソンを挿入し、天壁部A4の左右端部付近に相当する2箇所の吹き込み口からパリソン内に圧縮空気を吹き込むことで、パリソンを半割型内のキャビテイ内面に押し付けられる。
【0033】
そのため、ブロー成形直後の天壁部A4の左右端部付近には、一点鎖線で示すように、パリソンの一部が2つの小さなドーム状の余端部3A,3Bとして残存しているが、半割型からの脱型後の任意の時点で余端部3A,3Bを基端部で切り取ることで、天壁部A4の左右端部付近には、2つの上面開口部4A,4Bが形成されている。
上面開口部4A,4Bの少なくとも一方は、植栽容器Aに収納された植栽床材Bを介して植物Pに植栽用水Wを供給するための給水口として利用される。
【0034】
底壁部A3、天壁部A4、第1側壁部A5、第2側壁部A6に沿って2つの半割型の境界面に由来するバリ痕Eが見られ、植栽容器Aは全体的に概してこのバリ痕Eに沿った平面を中心とする面対称形となっている。
【0035】
正面壁部A1(前後面の一例)の一部には横長な矩形の窓形成予定線5が設けられている。窓形成予定線5は、その矩形の全周に沿って、窓形成予定線5の径方向内側の部位がブロー成形体の内部に向かって約1〜2mm程度の深さで窪む段状の形態で形成されている。
【0036】
ブロー成形体は適切な薄さで形成されているので、例えば植栽容器Aの販売者やユーザーなどが、上記の段差などを利用してカッターナイフなどによって窓形成予定線5の全周に沿って切り込みを入れ、図3に示すように、窓形成予定線5の径方向内側の除去部5Aを取り去ると、正面壁部A1に矩形の植栽用窓部5B(開口部の一例)が形成される。
【0037】
尚、正面壁部A1の反対側の背面壁部A2(前後面の一例)にも全く同様の窓形成予定線5が設けられているので、販売者やユーザーの意図に応じて、正面壁部A1ではなく背面壁部A2(背面側の一例)に植栽用窓部5B(開口部に対して補助開口部の一例)を形成してもよく、或いは、正面壁部A1と背面壁部A2の双方に植栽用窓部5Bを形成することもできる。
【0038】
このようにして形成された植栽用窓部5Bの下縁部よりも下方に位置する植栽容器Aの内部空間は、上面開口部4A,4Bなどから供給された植栽用水Wを貯留可能な貯水部として、また、吸水性の植栽床材Bを載置可能な植栽用空間として作用する。
【0039】
図4に示すように、植栽床材Bは植栽用窓部5Bから収納されるが、図4に示す植栽床材Bは植栽用水によって約1.3倍に膨潤した後のサイズで示されており、したがって、膨潤前の植栽床材Bは植栽用窓部5Bから簡単に収納することができる。
【0040】
植栽床材Bは、ウレタンと粉砕された木屑などの混合物からなり、上部から下部までほぼ均一に水分と空気をバランスよく保持でき、且つ、根の生育に必要な空気が保たれ易い。
【0041】
植栽床材Bは幾らか縦長の矩形を呈し、膨潤後の植栽床材Bの高さが、植栽容器Aの底壁部A3の上面から天壁部A4の下面までの距離と略等しいか、同距離より僅かに小さくなるように、また、膨潤後の植栽床材Bの厚さが、植栽容器Aの正面壁部A1の内面から背面壁部A2の内面までの距離より幾らか小さくなるように設定されている。
【0042】
植栽容器Aの第1側壁部A5と第2側壁部A6の上下中心よりも僅かに上方には、植栽容器Aのハンドリングを容易にするめの操作凹部6が陥没状に形成されている。第1側壁部A5と第2側壁部A6の各々を見ると、2つの操作凹部6が縦に延びるバリの痕跡Eを挟んで左右対称に設けられており、膨潤後の植栽床材Bの幅は、第1側壁部A5の側に位置する操作凹部6の内面から第2側壁部A6の側に位置する操作凹部6の内面までの距離と略同等または同距離より僅かに小さくなるように設定されている。
【0043】
窓形成予定線5に沿って形成された植栽用窓部5Bは、正面壁部A1の上下方向の中心よりも上方に変位した位置に形成されている。
また、概して板状の植栽床材Bに対して前後方向に貫通形成された5つの植栽用貫通孔Hも、同様に全体として上下方向の中心よりも上方に変位した位置に配置されている。
その結果、図5に示すように、植栽容器Aに収納された植栽床材Bが植栽用水によって膨潤後の状態では、植栽床材Bに配置されている5つの植栽用貫通孔Hが、このように上方に変位した植栽用窓部5Bの内側に概して均等に配分される。
【0044】
尚、図4、5から理解されるように、植栽用窓部5Bの下縁よりも下方に配置される植栽床材Bの下方の部位には植栽用貫通孔Hが設けられておらず、この部位の左右の側部は正面視において下方に向かって次第に幅が狭くなるテーパ状とされることで、植栽用窓部5Bの下縁よりも下方に形成される貯水部の体積をより大きく確保する働きをしている。
【0045】
正面壁部A1と背面壁部A2の植栽用窓部5Bの下縁よりも下方の位置からは、水平に左右に細長く延びた支持突起8(支持部の一例)がブロー成形体の内部に向かってリブ状に突設されている。前後に離間して配置されたこれらの支持突起8は、内部に収納された膨潤後の植栽床材Bと前後から当接することで、植栽床材Bの姿勢を概して鉛直状に安定させる役割を果たす。
【0046】
図6に示すように、左側方の第1側壁部A5と底壁部A3との間に相当する位置には、本来の基準水位WLを超える植栽用水を自動的にオーバーフローさせるためのオーバーフロー部10が一体的に形成されている。
【0047】
オーバーフロー部10は、底壁部A3の右端付近から上向きに突出形成された堰部10Aと、堰部10Aの上端と第1側壁部A5の下端から下方に向かって側方に突出しないように滑らかに延出されたオーバーフロー管10Bとを有する。堰部10Aとオーバーフロー管10Bの間は薄板リブ状の補強部11によって連結されている。
【0048】
堰部10Aの上端は、植栽用窓部5Bの下縁よりも幾らか下方に設定された本来の基準水位WLに配置されている。
図6に示すように、ブロー成形直後の状態では、オーバーフロー管10Bの下端は盲管状に閉じられているため、そのままではオーバーフロー部10として機能せず、販売者やユーザーなどによってオーバーフロー管10Bの下端部が10Cの位置で概して水平に切り取られたときに初めて、堰部10Aを超える余分な植栽用水がオーバーフロー管10Bを介して下方にオーバーフローされる状態となる。
【0049】
例えば、フレームCを用いずに、2つの植栽容器Aをそのまま上下に積み重ねた状態で用いる場合には、これらの植栽容器Aがいずれも正面壁部A1に植栽用窓部5Bを形成した同じ形状であれば、植栽容器Aどうしの左右中心を一致させた時に、上方に配置された植栽容器Aのオーバーフロー管10Bの下端が、下方に配置された植栽容器Aの左側の上面開口部4Aに自然に挿通されるように設定されている。
【0050】
尚、前述したように、植栽用窓部5B(開口部、補助開口部)を設ける位置を正面壁部A1と背面壁部A2との間で選択可能とされているので、植栽用窓部5Bを正面壁部A1と背面壁部A2のいずれに設けるかで、オーバーフロー管の位置を左右いずれかのユーザーにとって好都合な位置に配置することができる。
【0051】
また、上面開口部4Aから真下向きに植栽容器Aの内部に供給された植栽用水が植栽容器Aの貯水部に供給されずにオーバーフロー管10Bを介して植栽容器Aの外部に排出されてしまう事態は生じ難い。これは、オーバーフロー管10Bは、堰部10Aの高さと一致する上端から下端に向けて次第に正面視において内側となるように傾斜しているので、オーバーフロー管10Bの上端と上面開口部4Aとは植栽容器Aの左右方向で変位した状態となっているためである。また、一般に、上面開口部4Aから植栽容器Aの内部に供給された植栽用水は植栽床材Bに吸収されるか、または、植栽床材Bの表面付近に沿って植栽容器Aの内部の底部に向かって流下するためである。
【0052】
図6に示すように、植栽容器Aの右側方の第2側壁部A6(外周の一例)には縦長形状の水位確認部14が突出形成されている。植栽容器Aは全体的に透明とされているため、後述するように、植栽容器Aと植栽床材Bのみを組み合わせて用いる場合には、植栽容器Aの任意の方向から実際の植栽用水Wのレベルを確認することができる。しかし、図1に示すように、一般に不透明な素材で形成されているフレームCを植栽容器Aに外嵌させて用いる場合には、フレームCの正面からは水位確認ができないため、フレームCの右側の側板部C4(外周の一例)に貫通形成されている水位確認窓24(係止開口部の一例)と、水位確認窓24と一致する前述の水位確認部14とを介して植栽用水Wのレベルを確認するように構成されている。
【0053】
フレームCは、矩形の窓部20を備えた概して正方形1枚の表板部C1と、表板部C1の四辺から直角に延設された4つの側板部C2,C3,C4,C5とを有する。
フレームCを植栽容器Aに外嵌装着させる際には、図7に示すように、植栽用窓部5Bを形成した正面壁部A1に表板部C1が重ね合わされるようにする。
フレームCの天面側の側板部C3には植栽用水を供給するための1つの上部貫通孔21が形成されており、フレームCの底面側の側板部C2にはオーバーフロー管10Bから流下した余分な植栽用水を植栽具の外に排水するための1つの下部貫通孔22が形成されている。
【0054】
植栽容器Aの外寸の横幅と高さは概してフレームCの内寸の横幅と高さと同等とされている。また、植栽容器Aの水位確認部14(突出部の一例)はフレームCの水位確認窓24と嵌合可能に形成されており、フレームCの底面側の下部貫通孔22(係止開口部の一例)はオーバーフロー管10Bの下端部(突出部の一例)と嵌合可能とされている。
【0055】
フレームCを植栽容器Aに外嵌装着させる際には、図8に例示するように、先ず、植栽容器Aをその水位確認部14がフレームCの水位確認窓24と近接するように、フレームCに対して平面視で傾斜した姿勢で進入させ、次に、水位確認部14を水位確認窓24に嵌合させるように、植栽容器Aを回転させながら、植栽容器Aの植栽容器Aの第1側壁部A5をフレームCの右側の側板部C5の内側に押し入れると、最終的にオーバーフロー管10Bの下端部がフレームCの下部貫通孔22と嵌合され、装着が完了する。
【0056】
尚、オーバーフロー管10Bの下端部が切断によって開口されていても、また、未切断状態で閉鎖されていても、オーバーフロー管10Bの下端部はフレームCの下部貫通孔22と嵌合可能とされており、オーバーフロー管10Bの下端部が開口されている場合には、この貫通孔22はオーバーフロー管10Bから流出する余分な植栽用水Wを排水するための排水口として機能する。
【0057】
フレームCの天面側の側板部C3の背面側の左右中央には吊下げ用の係止孔26が貫通状に形成されており、係止孔26に通した紐やフックによって、或いは、壁面から立設させた釘状の取付け手段の頭部などを係止孔26に係止させることで、図1に示す状態の植栽具を壁面に吊下げることが可能である。
【0058】
植栽容器Aの天壁部A4の左右中央には上記の紐やフックを通過させるための前後一対の回避凹部16が形成されているが、これら前後一対の回避凹部16は、植栽床材Bの上端付近を前後方向から支持する機能も果たす。
また、植栽容器Aの水位確認部14には、オーバーフロー部10の堰部10Aの高さと対応する基準水位を示す水平な直線状の指標14Aが突出形成されている。
【0059】
図9は、大型のフレームCXの内側に4個の植栽容器Aを上下左右にタイル状に並べた状態で係止させた使用例を示している。
ここでは、ここでは、向かって右側で上下に積み重ねた2つの植栽容器Aは正面壁部A1に植栽用窓部5Bを形成しているが、向かって左側で上下に積み重ねた2つの植栽容器Aは背面壁部A2に植栽用窓部5Bを形成している。したがって、4個の植栽容器Aは、いずれもオーバーフロー管10Bが左右の中央寄りに配置されることで、全体としてシンメトリー(左右対称)の形態とされている。
【0060】
フレームCXの天面側の側板部C3には植栽用水を供給するための2つの上部貫通孔21が形成されており、フレームCXの右側の側板部C4にはオーバーフロー管10Bの下端と嵌合される下部貫通孔22(不図示)が形成されている。
また、フレームCXの左右の側板部には、4個の植栽容器Aの各水位確認部14と嵌合する全部で4つの水位確認窓24が形成されている。
【0061】
少なくとも上側に位置する2つの植栽容器Aのオーバーフロー管10Bの下端を開放しておき、これら上側の植栽容器Aに上面開口部4Aから植栽用水Wを供給すれば、上側の植栽容器Aにとって余分な植栽用水Wはオーバーフロー管10Bを介して下側に位置する2つの植栽容器Aに供給され、4つの植栽容器Aに収納されている全ての植栽床材Bを保水状態にできる。
【0062】
尚、図5などから理解されるように、フレームCを用いずに、植栽容器Aと植栽床材Bのみを組み合わせた植栽具としても利用可能となっている。
図10は、フレームCを用いずに、4個の植栽容器Aを上下左右に並べて壁面に設置した状態を示す。ここでも、向かって右側で上下に積み重ねた2つの植栽容器Aは正面壁部A1に植栽用窓部5Bを形成しているが、向かって左側で上下に積み重ねた2つの植栽容器Aは背面壁部A2に植栽用窓部5Bを形成している。したがって、4個の植栽容器Aは、いずれもオーバーフロー管10Bが左右の中央寄りに配置されることで、全体としてシンメトリー(左右対称)の形態とされている。
【0063】
植栽容器Aは、例えば図10に示すように、専用の取付け手段30によって壁面に固定することが可能である。この取付け手段30は、壁面にアンカー状に打ち込まれる脚部と、植栽容器Aの左右の操作凹部6に側方から係入する頭部30Aとを備え、この方法によって任意の数量の植栽容器Aを壁面に固定することが可能である。
【0064】
図7に示すフレームCの他に、フレームCとは窓部20に対する給水用貫通孔21と排水用貫通孔22の配置が左右逆になった左右反転フレーム部材を用意してもよい。この場合、図7に示すように正面壁部A1に植栽用窓部5Bを形成した植栽容器Aを内嵌したフレームCと、図7とは異なり背面壁部A2に植栽用窓部5Bを形成した植栽容器Aを内嵌した左右反転フレーム部材とを、上下に積み上げた使用形態が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
植栽用水を貯留可能な貯水部と、吸水性の植栽床材を載置可能な植栽用空間とを備え、植栽床材を露出させる開口部を備えた植栽容器、及び、同植栽容器を囲むように支持可能なフレーム部材を有する植栽具に従来見られた課題を解決するための技術として利用可能な発明である。
【符号の説明】
【0066】
A 植栽容器
A1 正面壁部(前後面)
A2 背面壁部(前後面)
B 植栽床材
C フレーム
H 植栽用貫通孔
P 植物
W 植栽用水
5 窓形成予定線
5A 除去部
5B 植栽用窓部(開口部、補助開口部)
8 支持突起(支持部)
10 オーバーフロー部
10B オーバーフロー管(突出部)
14 水位確認部(突出部)
22 下部貫通孔(係止開口部)
24 水位確認窓(係止開口部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10