(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による光情報再生装置の一実施例のブロック図。
【
図3】ホログラム素子の領域分割パターンを表す図。
【
図9】本発明のトラックエラー信号の生成原理を説明する図。
【
図10】本発明のトラックエラー信号の生成原理を説明する図。
【
図11】トラックエラー信号のシミュレーション結果を示す図。
【
図12】記録マークとスペースに位相差がない場合に、オントラック時の信号光電場の位相を表す図。
【
図13】記録マークとスペースに位相差がない場合に、オフトラック時の信号光電場の位相を表す図。
【
図14】ホログラム素子の別の領域分割パターンの例を示す図。
【
図15】ホログラム素子の別の領域分割パターンの例を示す図。
【
図16】ホログラム素子を用いない場合の検出器の受光部の配置パターンの例を示す図。
【
図17】信号光と参照光の干渉光を検出する別の光学系の構成図。
【
図18】信号光と参照光の干渉光を検出する別の光学系における検出器の構成図。
【
図19】3種類の干渉光を生成する場合の光学系の模式図。
【
図20】トラックエラー信号のオフセットを除去する場合のホログラム素子の別の領域分割パターンの例を示す図。
【
図21】トラックエラー信号のオフセットを除去する場合のホログラム素子の別の領域分割パターンに対する検出器と信号処理部回路の概略図。
【
図22】信号光と参照光の光路長をフィードバック制御する実施形態の構成図。
【
図23】信号光と参照光の光路長をフィードバック制御する実施形態における検出器と信号処理回路の詳細図。
【
図24】信号光と参照光の光路長をフィードバック制御する実施形態における信号光の各領域の電場を表す図。
【
図25】信号光と参照光の光路長をフィードバック制御し、再生信号を信号光と参照光の干渉光から取得する場合の構成図。
【
図26】信号光と参照光の光路長をフィードバック制御し、再生信号を信号光と参照光の干渉光から取得する場合の、検出器と信号処理回路の詳細図。
【
図27】信号光と参照光の干渉光からフォーカスエラー信号を取得する実施形態の構成図。
【
図28】信号光と参照光の干渉光からフォーカスエラー信号を取得する実施形態における、ホログラム素子の領域分割パターンの例を示す図。
【
図29】信号光と参照光の干渉光からフォーカスエラー信号を取得する実施形態における、信号処理回路のブロック図。
【
図30】信号光と参照光の干渉光からフォーカスエラー信号を取得する実施形態における、ホログラム素子の別の領域分割パターンの例を示す図。
【
図31】信号光と参照光の干渉光からフォーカスエラー信号を取得する実施形態における、ホログラム素子の別の領域分割パターンの例を示す図。
【
図32】別々に検出する領域の数を減らした実施形態における、ホログラム素子の領域分割パターンの例を示す図。
【
図33】別々に検出する領域の数を減らした実施形態における信号処理回路のブロック図。
【
図34】別々に検出する領域の数を減らした実施形態における別の信号処理回路のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
(動作の概略)
図1は、本発明による光情報再生装置の一実施例のブロック図を示したものである。光ディスク112は、サーボ面サーボ光ディスクや体積型光ディスクなど、記録層に溝構造を有さないグルーブレス媒体である。なお、本明細書では、体積型光ディスクのトラックによって構成される仮想的な面も記録層と呼ぶ。
【0018】
まず、本実施例装置の再生時の動作について説明する。レーザドライバ101は、マイクロプロセッサ102の指示により、半導体レーザ104を発光させる。半導体レーザ104から出射した光束は、λ/2板105を通過する。ここで半導体レーザ104からの光束は垂直偏光(s偏光)であり、λ/2板105の光学軸方向は水平方向に対して22.5度に設定されており、光束の偏光方向が45度回転させられる。偏光の回転した光は、偏光ビームスプリッタ106によって、反射する垂直偏光の光束と透過する水平偏光の光束とに分割される。このうち反射した光束は、第一のコリメートレンズ107によって平行光とされたのち、球面収差を補正するリレーレンズ108とλ/4板(軸方向:水平偏光方向に対して45度)109を通過し、電磁アクチュエータ110に搭載されたNA0.85の対物レンズ111によって光ディスク112の内部の記録層に集光される。
【0019】
図2は、電磁アクチュエータ110の構成例を示す図である。電磁アクチュエータ110は、対物レンズ111が搭載された搭載部2901、電磁石2902、永久磁石2903からなり、電磁石2902に流す電流により搭載部2901の位置が変位する構成となっている。電磁石2902は複数設けられており、これらに流す電流の組み合わせにより、対物レンズ111を光軸方向及び水平方向に変位させることが可能である。
【0020】
光ディスク112からの反射光(以後、信号光と呼ぶ)は、照射時と逆の光路を辿り、λ/4板109を再び通過することにより水平偏光となり、偏光ビームスプリッタ106に入射する。一方、偏光ビームスプリッタ106を透過した光束(以後、参照光と呼ぶ)は、コリメートレンズ118で平行光束とされた後、ミラー119で正反対の方向に反射され、λ/4板120(軸方向:水平偏光方向に対して45度)を往復で通過することにより偏光方向を垂直偏光とされ、偏光ビームスプリッタ106に再び入射する。
【0021】
ここで信号光と参照光ともに特殊偏光ビームスプリッタ113が配置されている方向に出射されるため、偏光ビームスプリッタ106において信号光と参照光が、偏光が直交した状態で合波される。この合波光束は特殊偏光ビームスプリッタ(水平偏光の光を50%透過、50%反射し、垂直偏光の光を100%透過する)113に入射し、信号光成分である水平偏光成分のみが記録時と同様に50%の割合で反射され、残りは透過する。この反射光はシリンドリカルレンズ114を通過して4分割検出器115に集光され、検出される。4分割検出器115の出力信号から、フォーカスエラー信号が生成され、サーボ回路116を介して電磁アクチュエータ110の駆動電流としてフィードバックされる。これにより、対物レンズ111により集光された光束のスポット117が記録面上に形成されるように制御される。本実施例では、フォーカスサーボ制御として非点収差法を用いた。
【0022】
特殊偏光ビームスプリッタ113からの透過光束は、ホログラム素子121を通過し、光束内の複数の領域が別々の方向に回折される。ホログラム素子は
図3のような3つの領域A,B,Cに分割されており、Aが光ディスクからの反射光のうち+1次回折光を、Bが−1次回折光を含み、Cが0次光のみを含んでいる。これらの回折光は、それぞれ無偏光ビームスプリッタ122によって透過光、反射光に2分割される。
【0023】
透過光は、光学軸が水平方向に対して22.5度に設定されたλ/2板123を通過して偏光が45度回転し、偏光ビームスプリッタ124によってp偏光成分とs偏光成分に分離される。分離された光束はそれぞれ検出器125,126にそれぞれ入射し、各検出器においてホログラム素子の領域毎に別々の受光部によって検出され、強度に比例した電気信号が出力される。
【0024】
同様に、無偏光ビームスプリッタ122を反射した光束は、光学軸が水平方向に対して45度に設定されたλ/4板127を通過した後に偏光ビームスプリッタ128によって分離され、検出器129,130で検出される。後で述べるように、検出器で受光される光束は、いずれも信号光と参照光とが干渉した干渉光である。
【0025】
検出器125,126,129,130の出力は信号処理回路131に送られる。各検出器は上述のように、それぞれ領域A,B,Cからの光束を検出する受光部を有し、
図4に示すように各3チャンネルの出力が信号処理回路131に入力される。信号処理回路131は、入力された信号に基づき、再生信号とトラックエラー信号を出力する。得られた再生信号は、復調回路132で復調された後、復号回路133に送られてユーザデータに変換され、マイクロプロセッサ102を通して上位装置103に送られる。トラックエラー信号は、サーボ回路116を介して電磁アクチュエータ110の駆動電流としてフィードバックされ、スポット117のラジアル方向位置が記録トラックの中心となるよう制御される。
【0026】
(再生の原理)
ここで、上に述べた動作により干渉光が生成され、これによって再生信号、トラックエラー信号を生成する原理について述べる。無偏光ビームスプリッタ122に入射する光束は、p偏光成分として再生光を、s偏光成分として参照光を含んでいるため、この偏光状態をジョーンズベクトルで表すと次のようになる。
【0028】
ここでE
sは信号光の電場、E
r参照光の電場である。但しE
s,E
rはホログラム素子121のいずれの領域の電場と考えても良い。また、このベクトルの第一成分はp偏光を、第二成分はs偏光を表す。
【0029】
この光束が無偏光ビームスプリッタ122を透過し、λ/2板123を通過した後のジョーンズベクトルは次のようになる。
【0031】
偏光ビームスプリッタ124によってp偏光成分とs偏光成分に分離されるため、分離された光束の電場はそれぞれ
【数3】
となり、信号光と参照光の重ね合わせ、すなわち干渉光となっている。一方、無偏光ビームスプリッタ122を反射した光がλ/4板127を通過した後のジョーンズベクトルは
【数4】
となる。次に偏光ビームスプリッタ128によってp偏光成分とs偏光成分に分離されるため、分離された光束の電場はそれぞれ
【数5】
となり、やはり信号光と参照光の重ね合わせ、すなわち干渉光となっている。
【0032】
従って4つの干渉光の強度はそれぞれ、次式のようになり、これらに比例する電気信号がそれぞれ検出器125,126,129,130から出力される。
【0034】
実際は各検出器にホログラム素子121の領域A,B,Cに対応する3チャンネルの出力が得られ、計12チャンネルの出力信号が信号処理回路131に入力される。領域Aに対する式(8)、式(9)、式(10)、式(11)の出力をそれぞれA1,A2,A3,A4,領域Bに対する式(8)、式(9)、式(10)、式(11)の出力をそれぞれB1,B2,B3,B4,領域Cに対する式(8)、式(9)、式(10)、式(11)の出力をそれぞれC1,C2,C3、C4とする。式(8)、式(9)、式(10)、式(11)はそれぞれ第1項、第2項が信号光、参照光の強度成分を表し、第3項が信号光と参照光の干渉を表す項である。φは参照光の位相を基準とした信号光の位相である。
【0035】
信号処理回路131における信号処理のブロック図を
図5に示す。まず、検出器125,126の出力の差と検出器129,130の出力の差が演算され、それらがAD変換器によりデジタル信号に変換される。これらは、例えば領域Aに関する出力について表すと
【数7】
となり、上記の干渉を表す項に比例した出力となっている。領域B,Cについても同様の信号B
I,B
Q,C
I,C
Qが得られる。これらの信号から、領域A,B,Cにおける信号光の電場に対応する信号
【数8】
が得られる。これらの出力が信号光の電場に対応することは、簡単のために参照光電場E
rを1とすると、例えば領域Aについて
【数9】
と表されることから確認できる。再生信号は信号光電場の強度の変調信号のため、これらの電場より
【数10】
として出力される。トラックエラー信号は、信号光の左右の領域(領域A,B)の位相差に相当する信号として
【数11】
が出力される。
【0036】
ここで、信号光の左右の領域の位相差によりトラックエラー信号が得られる原理について詳細に説明する。光ディスクからの反射光は、記録マークが所定の間隔のトラックとして整列していることから、正反射光である0次光のほかに、左右に変位した+1次光と−1次光とが含まれる。この反射光は、対物レンズの開口制限により0次光の存在する範囲の外側では光量がゼロとなるため、
図6に示すように、円形の0次光の左右に、それぞれ+1次光と−1次光が重なる領域が存在する形となっている。
【0037】
ここで、0次光と+1次光、−1次光の電場をそれぞれE
0,E
+1,E
-1と表すと、領域A,B,Cの信号光電場はそれぞれE
0+E
+1,E
0+E
-1,E
0と表される。これを複素平面上に図示すると、
図7のようになる。+1次光と−1次光は、スポット117が記録マークで形成されるトラックの中心にあるときは同一であり、
図8に示すように領域A,Bの電場が等しくなる。スポット117がトラック中心からラジアル方向に変位すると、+1次光と−1次光は互いに逆符号の位相を生じ、結果的に領域A,Bの位相差が生じる。本実施例は、領域A,Bの位相を反映する値として電場の虚部を扱う。但し位相の値は0次光が基準となるため、E
A,E
BをE
Cで除算した後に虚部を取る。これらの値はスポットのトラック中心からの変位量(オフトラック)に対して
図9のように表され、これらの差である式(19)の出力は
図10のようにオフトラックが0のときに0となり、トラックエラー信号として理想的な出力となっている。
【0038】
(トラックエラー信号のシミュレーション)
本実施例におけるトラックエラー信号の振幅と、従来のプッシュプル法によるトラックエラー信号の振幅を、さまざまな記録マークに対して比較したシミュレーション結果を
図11に示す。本シミュレーションにおいて、対物レンズのNAは0.85、光源の波長は405nm、トラックピッチは0.32μm、リムインテンシティ(光束の中心部分の強度に対する周縁部分の強度の比)は40%とし、マーク形状は矩形(マーク幅0.16μm)の連続マークとした。
【0039】
本結果のうち、マーク、スペースの位相差が0又は半波長(0.5λ)の場合において、従来のプッシュプル法は振幅が0であるのに対し、本実施例では、マークが存在しない場合に相当するマーク相対反射率100%の場合を除いては、十分な振幅が得られた。このことは、次のようにして説明される。
【0040】
マーク、スペースの位相差が0又は半波長(0.5λ)の場合、オントラック時の0次光、+1次光、−1次光の位相が等しくなるため、
図12に示されるように、領域A,B,Cの信号光電場の位相が全て等しくなる。このためオフトラック時の領域A,Bの電場は、
図13のように互いに位相が逆向きで大きさ(すなわち強度)が等しくなる。従来のプッシュプル法によるエラー信号は、信号光の左右の領域(本実施例の領域A,B)の強度差であるため、左右の領域で強度差が生じないこのような状況下ではプッシュプル信号は生じない。一方、本実施例のエラー信号は左右の位相差に相当するため、左右で強度が等しくても位相の符号が逆転していることから、エラー信号を取得することができる。
【0041】
この性質により、
図11からもわかるように、本実施例のエラー信号は従来のプッシュプル法に比べ、マーク・スペースの位相差や反射率の変動に対し、振幅の変動が小さくなっている。従って、実際の状況下においてエラー信号が安定し、安定したトラックサーボ制御が可能となる。プッシュプル法の改良である差動プッシュプル法やアドバンスプッシュプル法、新アドバンスプッシュプル法などの方式においても、信号光の左右の強度差を取得するという点でプッシュプル法と本質的に同一である。これらの従来の方式に対し、本実施例において信号光の左右の位相差を取得する方式は、本質的に異なる方式であると言える。
【0042】
なお、特許文献1では、本実施例と同じように信号光と参照光の干渉信号からトラックエラー信号を取得している。しかし、取得する信号は信号光の左右の強度差に対応しており、従来の差動プッシュプル法と本質的に同一の信号であるため、本実施例の方式とは異なる。
【0043】
本実施例のトラックエラー信号は、光ディスクの偏芯などに伴う対物レンズのラジアル方向位置シフトに対してロバストであるという性質を持つ。このことは次のようにして理解される。対物レンズがラジアル方向にシフトした場合、領域A,Bにおける0次光の光量が変化する。しかし、本実施例のトラックエラー信号は、再び
図7を見れば明らかなように、0次光の大きさには無関係となっている。一方で+1次光、−1次光の光量は領域A,Bをはみ出さなければ一定であるため、結果的に対物レンズのラジアル方向位置シフトが生じてもトラックエラー信号にオフセットや振幅変化が生じない。
【0044】
本実施例においては、ホログラム素子121が
図3のように領域分割されていたが各領域の設定はこの例に限らず、+1次光が全て含まれる領域、−1次光が全て含まれる領域、0次光のみが含まれる領域の3領域が存在すればよい。例えば
図14、
図15のように領域が分割されたホログラム素子を用いてもよい。また、領域ごとに別々に信号出力を得るためにはホログラム素子121が必ずしも必要でなく、例えば検出器125,126,129,130を信号光・参照光の集光位置から光軸方向にずらした位置に配置し、それぞれの受光部が
図16に示すように3分割されているものを用いても、同様の動作が実現可能である。
【0045】
本実施例では、信号光と参照光の干渉光を生成する手段として無偏光ビームスプリッタ122、偏光ビームスプリッタ124,128、λ/2板123、λ/4板127などを用いたが、形態はこれに限られない。たとえばHideharu Mikami et al., “Ultra-Compact Optical Module of Homodyne Detection,” ISOM/ODS Tech. Dig., OMC3, Hawaii, Jun. 2011に述べられているように、
図17のような構成としてもよい。この場合、信号光と参照光が合波された光束はまず無偏光回折格子2601で±1次回折光に分岐される(無偏光ビームスプリッタに相当)。次にこれらの回折光は位相板2602を通過し、2つの回折光の間の信号光、参照光の位相差がπ/2だけ変化する(λ/2板、λ/4板に対応)、その後これらの光束はウォラストンプリズム2603により±45度偏光成分が分岐され、結果的に領域A,B,Cのそれぞれに対して4つの干渉光が生成される。これらの光束は同一の検出器2604で検出され、検出器2604は
図18に示すように分岐光束ごとに受光部を設け、別々のチャンネルの信号を出力する。
【0046】
本実施例では信号光の領域ごとに4種類の干渉光を生成し、これらから再生信号やトラックエラー信号を取得したが、信号光と参照光の干渉光を決めるパラメータは信号光強度、参照光強度、信号光と参照光の位相差、の3つであるため、原理的には3種類以上の干渉光を取得すれば同様の動作が可能である。
【0047】
図19は、3種類の干渉光を取得する場合のホログラム素子121通過後の光学系の模式図である。信号光と参照光の合波光束に対し、入射光束を無偏光ビームスプリッタ1201,1202によって3つの光束に分割し、そのうち1つの光束はs偏光がp偏光に対して120度の位相差を生じる位相板1203を、別の光束はs偏光がp偏光に対して240度の位相差を生じる位相板1204を通過させ、その後、3つの光束のいずれも45度偏光のみを透過する偏光子1205,1206,1207を透過させて、検出器1208,1209,1210によって検出する。これらの検出器はそれぞれ、領域A,B,Cの光束を検出する3つの検出器が備わっている。領域Aに対する出力はそれぞれ次のように表される。
【0049】
これらの出力から、信号光電場に対応する出力は、下記の演算により得られる。
【0051】
領域B,Cについても同様の出力が得られる。これらの出力から上記実施例と同様に再生信号、トラックエラー信号が得られる。
【0052】
本実施例ではトラックエラー信号と再生信号を信号光、参照光の干渉光から取得したが、再生信号の取得方法は本実施例の方法に限らない。例えば4分割検出器115において4つの受光部からの出力信号の総和(全信号光量に対応)を再生信号としてもよい。この場合、信号処理回路131において再生信号を取得する演算は省略される。
【0053】
本実施例では、信号光の左右の位相差に相当する信号として式(19)をトラックエラー信号としたが、信号の種類はこの限りではない。たとえば、+1次光と−1次光の位相差を直接計算する次式をトラックエラー信号としてもよい。
【0055】
ここで、kは所定の係数であり、領域A,B,Cに含まれる0次光電場の平均値より、式(24)における除算の分子、分母それぞれにおいて0次光電場が0となるよう算出される。実際には、トラックサーボを駆動した状態における再生信号の品質が最良となるよう最適化される。この場合、arg内の分子が+1次光の電場、分母が−1次光の電場となっており、これらの除算の偏角は+1次光と−1次光の位相差となっている。
【0056】
本実施例では、上に述べたように対物レンズのラジアル方向位置シフトが生じてもトラックエラー信号にオフセットが生じない構成となっているが、トラックエラー信号のオフセットを除去する構成はこの限りではない。たとえば、ホログラム素子121を
図20のごとく4分割構成にする。すなわち、領域A,Bは本実施例と同一であり、それぞれ+1次光と−1次光がすべて収まる領域とし、それ以外の領域をさらに左右の領域C,Dに2分割する。そして、これらの各領域が検出器125,126,129,130においてそれぞれ
図21のように別々の検出器で受光され、別々の出力信号を生成する構成にする。そして本実施例と同様に領域A,B,C,Dの電場に相当する信号E
A,E
B,E
C,E
Dを出力し、以下の演算によりトラックエラー信号を得る。
【0058】
但し、kは所定の係数であり、式(24)の場合と同様、領域A,B,C,Dに含まれる0次光電場の平均値より、式(25)における除算の分子、分母それぞれにおいて0次光電場が0となるよう算出される。実際はトラックサーボを駆動した状態における再生信号の品質が最良となるよう最適化される。この場合、対物レンズのラジアル方向位置シフト発生時にE
A,E
Cの0次光成分が減少し、E
B,E
Dの0次光成分が増加する。あるいはそのE
A,E
Cの0次光成分が減少し、E
B,E
Dの0次光成分が増加する。いずれの場合も、式(25)の演算の分子と分母において減算を行っていることから、0次光成分の増減がキャンセルされ、結果としてオフセットや振幅の変化を生じにくい構成となっている。
【0059】
このような構成と比較すると、本実施例の構成はホログラム素子121の分割数や検出器125,126,129,130の受光部の数が少ないため有利である。なお、本構成では再生信号は信号光の総光量のため、次式として得られる。
【0061】
なお、上記シミュレーション結果において、マーク・スペースの相対反射率や位相差のほとんどの組み合わせにおいて本実施例のトラックエラー信号が得られている(トラックエラー信号が得られないのは、マークとスペースの反射率差が無く位相差も波長の整数倍、すなわちマーク・スペース構造が実質的に存在しない場合のみ)ことから、本実施例が適用可能な記録媒体に特に制限はなく、例えば特開2011−076695号公報に示されるような、マイクロホログラム方式において位相多値変調により記録されている場合や、特許第2705330号のように、記録時の光強度に応じて反射層の界面が変形するものを用いても良い。もちろん、記録型BDやBD−ROMのような従来の記録媒体に対しても適用可能である。以下の実施例についても、同様の記録媒体に適用することが可能である。
【0062】
なお、本実施例では、フォーカスサーボ動作とトラックサーボ動作の双方を行うために、電磁アクチュエータ110は2つの方向(入射光軸方向とラジアル方向)に可動であるものを用いたが、本実施例のトラックサーボ動作を行うためにはラジアル方向のみ可動である電磁アクチュエータを用いればよいことは言うまでもない。
【0063】
[実施例2]
本実施例は、信号処理が簡素な別の実施例である。本実施例の光情報再生装置の構成図を
図22に示す。
【0064】
本実施例においては、参照光がミラー119で反射される前後でピエゾ素子1501に搭載されたミラー1502で反射され、またミラー119が電磁アクチュエータ1503に搭載されている。また、無偏光ビームスプリッタ122とその反射光を検出する光学系が省略されている。本実施例では、フォーカスエラー信号により対物レンズ111の光軸方向位置を制御すると同時に、ミラー119の光軸方向位置を同一のフォーカスエラー信号により変位させ、信号光と参照光の光路長がおおよそ等しくなるよう制御される。さらにピエゾ素子1501が位相エラー信号PESにより駆動され、信号光と参照光の位相が一定となるよう制御される。また、再生信号は4分割検出器115の総光量として出力され、信号処理回路131を介さずに復調回路132に入力される。
【0065】
本実施例の検出器125,126と、信号処理回路131の構成を
図23に示す。検出器125,126からの出力信号に対し、まず実施例1と同様に差信号A2−A1,B2−B1,C2−C1が演算され、差信号C2−C1は位相エラー信号としてサーボ回路116を通してピエゾ素子1501の駆動電圧としてフィードバックされる。また、差信号A2−A1とB2−B1の差、すなわちA2−A1−B2+B1が演算され、これがトラックエラー信号となり、サーボ回路116を介して対物レンズ110の駆動信号としてフィードバックされる。
【0066】
本実施例の動作原理を以下に説明する。位相エラー信号である差信号C2−C1は式(12)で表され、信号光の0次光成分と参照光の位相差φの余弦に比例する。従って本信号をエラー信号として信号光と参照光の位相差を制御することで、φが(余弦が0となるよう)π/2もしくは−π/2に保たれる。このことは、参照光を基準としたときの信号光の0次成分(領域Cの電場)の実部がゼロとなり、複素平面上で虚軸方向のベクトルで表されることを意味している。この様子を
図24に示す。ここで、参照光信号A2−A1,B2−B1はそれぞれ、領域A,Bの電場の実部成分を表すため、これらの差信号A2−A1−B2+B1は、
図24と
図7を比較すると明らかなように、実施例1におけるトラックエラー信号と同一である。このようにして、簡素な演算により実施例1と同様に信号光の左右の位相差を用いたトラックサーボ制御を行うことが可能となる。
【0067】
本実施例は、再生信号として信号光の総光量に相当する信号を、直接4分割検出器により生成したが、実施例1と同様に参照光との干渉光から生成することも可能である。この場合の構成を
図25に示す。この場合は無偏光ビームスプリッタ122が省略されず、検出器129,130は領域Cの光束のみを受光し、信号を出力する。この場合の信号処理回路は
図26のようになっており、本実施例の構成に加え、検出器129,130からの信号の差信号C3−C4をA/D変換したものが再生信号として出力される。差信号C3−C4は、
図24における領域Cの電場の虚軸成分、すなわち電場の長さ(強度)に対応するため、このように再生信号として用いることができる。
【0068】
なお、本実施例では参照光の光路長の制御機構として電磁アクチュエータ1503とピエゾ素子1501を用いたが、これは光路長制御に必要なストローク(制御範囲)を電磁アクチュエータ1503で確保し、ピエゾ素子で波長オーダの精密な光路長制御を行うという目的のために用いている。しかしピエゾ素子のストロークが光ディスクの面ぶれと同程度以上である場合は、電磁アクチュエータ1503を省略することも可能である。
【0069】
本実施例の光情報再生方法を再説すると、光束を第一の光束と第二の光束とに分割し、第一の光束を記録媒体上の所定の位置に集光し、第一の光束の記録媒体からの反射光を第二の光束と合波し、2種類以上の干渉光を生成し、干渉光を検出した検出信号の出力から、第一の光束のうち+1次回折光を含む領域Aの光束と、第一の光束のうち−1次回折光を含む領域Bの光束との位相差と、第二の光束の位相を基準に記録媒体から反射された第一の光束の位相を生成し、位相差をトラックエラー信号として第一の光束の集光位置をフィードバック制御し、第一の光束の位相を位相エラー信号として第一の光束と第二の光束の光路長差をフィードバック制御する方法である。
【0070】
[実施例3]
本実施例は、実施例1のトラックエラー信号に加え、フォーカスエラー信号を信号光と参照光の干渉光から取得する実施例である。本実施例の光情報再生装置の構成図を
図27に示す。
【0071】
本実施例の構成は、
図1で示される実施例1の構成と比較して、フォーカスエラー信号を取得するために用意された特殊偏光ビームスプリッタ113、シリンドリカルレンズ114、4分割検出器115が省略された構成となっており、代わりに信号処理回路131からフォーカスエラー信号が出力される構成となっている。また、ホログラム素子は
図28のごとく、実施例1と同様の領域A,Bのほかに、光束の中心部分の領域C、光束の上下部分の領域Dに分割されており、各領域が検出器125,126,129,130においてそれぞれ別々の受光部で受光され、別々のチャンネルの信号を出力する。信号処理回路131の構成を
図29に示す。実施例1の構成に加え、領域Dの電場E
Dが演算され、領域Cの電場E
Cの値と併せてフォーカスエラー信号が以下の演算出力として生成される。
【0073】
ここで、式(27)がフォーカスエラー信号となる理由について説明する。スポットが記録面上と異なる位置にある場合、信号光はデフォーカス収差を含むため、中心部分と周辺部分とで位相差が生じる。この位相差はスポットが記録面上にある時に0となり、記録面の奥にあるか手前にあるかによって符号が逆転する。すなわち、信号光の中心部分と周辺部分の位相差はフォーカスエラー信号として用いることができる。但し領域A,Bは記録トラックによる回折光を含むため、余分な位相が付加される。従って上記回折光を含まない周辺部分である領域Dと、中心部分である領域Cとの位相差を取得することにより、フォーカスエラー信号とすることができる。
【0074】
なお、本実施例においても実施例1と同様に、ホログラム素子121の領域分割の形状はこの限りではなく、+1次回折光を含む領域、−1次回折光を含む領域、中心部分を多く含む0次光のみの領域、周辺部分を多く含む0次光のみの領域、の4領域があれば同様の動作が実現可能である。たとえば
図30、
図31のような分割形状であっても構わない。
【0075】
[実施例4]
本実施例は、別々に検出する光束の領域の数を減らした別の実施形態である。本実施例の光情報再生装置の構成図は、実施例1と同様に
図1に示される。但し、ホログラム素子121は、
図32に示すように入射光束の左右に2分割されているのみであり、これら左右の領域A,Bが検出器125,126,129,130で別々の受光部により検出される。信号処理回路131の構成を
図33に示す。トラックエラー信号を生成する演算においては、実施例1の領域Cの電場E
Cの代わりに、領域A,Bの電場の和E
A+E
Bを用い、
【数18】
をトラックエラー信号とする。また、再生信号はE
Cが省略された
【数19】
が出力として用いられる。
【0076】
本実施例は、光ディスク112の記録マークとスペース(未記録)部分の位相差が0か非常に小さい場合に有効である。以下に動作原理を説明する。光ディスク112の記録マークとスペース(未記録)部分の位相差が0か非常に小さい場合、実施例1で説明したように、左右の領域の電場E
A,E
Bは複素平面上で互いに位相が逆向きで大きさが等しいベクトルとして表される。この場合、E
AとE
Bの和は常に0次光の方向を向く。すなわちE
A+E
Bは0次光と位相が等しくなる。この性質は実施例1において0次光のみを含む電場である領域Cの電場E
Cと同一であり、トラックエラー信号の演算においてE
CをE
A+E
Bで置き換えることが可能となる。本実施例においても、対物レンズのラジアル方向位置シフトに対してトラックエラー信号が変化しないという性質は保たれる。
【0077】
同様の考え方により、実施例2、3における領域の分割数を減らすことも可能である。たとえば実施例2においてホログラム素子を本実施例と同様に
図32のごとく左右に2分割された構造とし、信号処理回路の演算としては
図34に示すように、位相エラー信号をA2−A1とB2−B1の和信号A2−A1+B2−B1として用いることができる。
【0078】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0079】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部や全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。