(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加工プログラムを解析し補間する数値制御部および回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量を作成する並進回転誤差補正量作成装置を有し、少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機を制御する数値制御装置において、
前記並進回転誤差補正量作成装置は、
前記多軸加工機における少なくともテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差をあらかじめ設定する組付け誤差設定部と、
前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置による演算式によって前記並進誤差補正量を、および前記回転軸2軸の位置による前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の正しい方向ベクトルと回転誤差補正量と前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置による前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の実際の方向ベクトルによる方程式を解く演算式によって前記回転誤差補正量を、演算する並進回転誤差補正量演算部と、
前記演算された前記並進誤差補正量および前記回転誤差補正量を数値制御部に入力する並進回転誤差補正量入力部とからなる前記並進回転誤差補正量作成装置であることを特徴とする数値制御装置。
前記回転軸2軸はテーブル回転用回転軸2軸であり、前記多軸加工機はテーブル回転型多軸加工機であり、前記組付け誤差はテーブル面の組付け誤差および前記テーブル回転用回転軸2軸の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置。
前記回転軸2軸は工具ヘッド回転用回転軸2軸であり、前記多軸加工機は工具ヘッド回転型多軸加工機であり、前記組付け誤差は主軸旋回中心線の組付け誤差および前記工具ヘッド回転用回転軸2軸の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置。
前記回転軸2軸はテーブル回転用回転軸1軸および工具ヘッド回転用回転軸1軸であり、前記多軸加工機はテーブル回転用回転軸1軸および工具ヘッド回転用回転軸1軸を有する混合型多軸加工機であり、前記組付け誤差はテーブル面の組付け誤差、テーブル回転用回転軸1軸の組付け誤差、工具ヘッド回転用回転軸1軸の組付け誤差および主軸旋回中心線の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている技術は三角関数を使用した行列演算を多用するため、部分的には現実的に実行することは可能であるが、高速に制御を行わなければならない数値制御装置では演算に時間がかかるため全面的には現実的に実行することが困難であった。また、特許文献1にはテーブル面の組付け誤差、つまりテーブル面中心線とテーブル回転軸回転中心線との誤差、より詳細に言うと、テーブル面がテーブル回転軸(後述のC軸)回転中心線に垂直でなくかつテーブル面中心線がテーブル回転軸(C軸)回転中心線から乖離している誤差は考慮されていないという問題点もあった。
特許文献2に開示されている技術は行列演算を行うが、特許文献1に記載された技術ほど演算時間を必要としない。そのため、特許文献2に開示される技術によって数値制御装置において現実的に補正を行うことができる。
しかし、補正量の求め方としては、回転軸2軸の2次元座標系を格子状に分割し各格子点において並進誤差補正量と回転誤差補正量を設定しておき、回転軸位置に対してその回転軸位置を囲む格子点の各補正量からその回転軸位置に対する補正量を計算するものであった。つまり、組付け誤差から補正量を得る方法ではなかった。
そのため、組付け誤差を特許文献2に開示される技術によって補正しようとすると、組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換してそれらの補正量を設定する必要があるが、特許文献2ではそのような変換技術は開示されていない。
【0008】
非特許文献1に開示される技術では、テーブル面の組付け誤差は考慮されていない。そのため、非特許文献1においてもテーブル面の組付け誤差は考慮されていない。
また、非特許文献1の「技術の詳細」の最後に、「本実施例ではテーブル回転型5軸加工機において説明したが、他の図−6のような回転軸2軸によってヘッドが回転するヘッド回転型5軸加工機や、図−7のようなヘッド、テーブルともに回転する混合型5軸加工機においても同様な方法が可能である。」と記載されている。
しかし、非特許文献1に開示される技術をそのまま工具ヘッド回転型5軸加工機や混合型5軸加工機には適用するのでは不十分であることがわかった。(なお、本文献の図−6、図−7は本明細書における
図10、
図14に対応する。)その理由は、次の通りである。
【0009】
テーブル回転型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差に対応する工具ヘッド回転型多軸加工機における組付け誤差は、回転体の上に装着された部材の誤差という観点で、主軸旋回中心線の組付け誤差、つまり主軸旋回中心線と工具ヘッド傾斜軸(後述のA軸)の回転中心線が直交していない誤差である。特許文献1には主軸旋回中心線の組付け誤差は考慮されているが、上記のように、非特許文献1においてはテーブル回転型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差は考慮されていない。したがって、非特許文献1の技術を特許文献1に開示される工具ヘッド回転型多軸加工機に適用しても主軸旋回中心線の組付け誤差は補正されない。混合型多軸加工機についても同様である。
【0010】
そこで本発明は、回転テーブルを有するテーブル回転型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換する、または工具ヘッド回転型多軸加工機における主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換する、または混合型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差および主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換することにより、少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機を制御する数値制御装置において、より短時間で現実的にテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を補正することを可能にする、並進回転誤差補正量作成装置、および、数値制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1に係る発明は、少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機における回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量を作成する並進回転誤差補正量作成装置において、前記多軸加工機における少なくともテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差をあらかじめ設定する組付け誤差設定部と、前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置による演算式によって前記並進誤差補正量
を、および
前記回転軸2軸の位置による前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の正しい方向ベクトルと回転誤差補正量と前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置による前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の実際の方向ベクトルによる方程式を解く演算式によって前記回転誤差補正量を
、演算する並進回転誤差補正量演算部と、前記演算された前記並進誤差補正量および前記回転誤差補正量を前記多軸加工機を制御する数値制御装置に入力する並進回転誤差補正量入力部を有することを特徴とする並進回転誤差補正量作成装置である。 請求項2に係る発明は、前記回転軸2軸の位置は数値制御装置から補間周期毎に得る回転軸2軸の位置であることを特徴とする請求項1に記載の並進回転誤差補正量作成装置である。
請求項3に係る発明は、加工プログラムを解析し補間する数値制御部および回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量を作成する並進回転誤差補正量作成装置を有し、少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機を制御する数値制御装置において、前記並進回転誤差補正量作成装置は、前記多軸加工機における少なくともテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差をあらかじめ設定する組付け誤差設定部と、前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置による演算式によって
前記並進誤差補正量
を、および
前記回転軸2軸の位置による前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の正しい方向ベクトルと回転誤差補正量と前記組付け誤差および前記回転軸2軸の位置によると前記テーブル面または前記主軸旋回中心線の実際の方向ベクトルによる方程式を解く演算式によって前記回転誤差補正量を
、演算する並進回転誤差補正量演算部と、前記演算された前記並進誤差補正量および前記回転誤差補正量を数値制御部に入力する並進回転誤差補正量入力部とからなる前記並進回転誤差補正量作成装置であることを特徴とする数値制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記回転軸2軸の位置は数値制御部から補間周期毎に得る回転軸2軸の位置であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記回転軸2軸はテーブル回転用回転軸2軸であり、前記多軸加工機はテーブル回転型多軸加工機であり、前記組付け誤差はテーブル面の組付け誤差および前記テーブル回転用回転軸2軸の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置である。
請求項6に係る発明は、前記回転軸2軸は工具ヘッド回転用回転軸2軸であり、前記多軸加工機は工具ヘッド回転型多軸加工機であり、前記組付け誤差は主軸旋回中心線の組付け誤差および前記工具ヘッド回転用回転軸2軸の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置である。
請求項7に係る発明は、前記回転軸2軸はテーブル回転用回転軸1軸および工具ヘッド回転用回転軸1軸であり、前記多軸加工機はテーブル回転用回転軸1軸および工具ヘッド回転用回転軸1軸を有する混合型多軸加工機であり、前記組付け誤差はテーブル面の組付け誤差、テーブル回転用回転軸1軸の組付け誤差、工具ヘッド回転用回転軸1軸の組付け誤差および主軸旋回中心線の組付け誤差であることを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れか1つに記載の並進回転誤差補正量作成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、回転テーブルを有するテーブル回転型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換する、または工具ヘッド回転型多軸加工機における主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換する、または混合型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差および主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換することにより、少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機を制御する数値制御装置において、より短時間で現実的にテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を補正することを可能にする、並進回転誤差補正量作成装置を提供できる。
【0014】
この変換の演算は、後述の実施形態で説明するように、非特許文献1に記載されたテーブル回転型多軸加工機におけるテーブル面の組付け誤差を含まない組付け誤差を回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量に変換する演算に比べて、遥かに複雑である。ここで、回転軸依存の並進誤差補正量を特許文献2の表記に合わせて(ΔXR,ΔYR,ΔZR)、同じく回転誤差補正量を(ΔIR,ΔJR,ΔKR)と表記する。
【0015】
なお、ここで補正するとは、本来の指令におけるテーブルと工具先端点の相対位置関係が、実際の(組付け誤差を持っている)テーブルと補正された工具先端点位置の相対関係と同じになるように、直線軸機械座標位置を補正することである。
【0016】
なお、ここではテーブル回転型多軸加工機または混合型多軸加工機においては、テーブル面の組付け誤差、つまりテーブル回転軸回転中心線に対するテーブル面(後述のテーブル中心線)の並進誤差と回転誤差を含む組付け誤差の、回転軸依存の並進誤差補正量および回転誤差補正量への変換を対象としているが、ワーク(加工物)設置時の設置誤差(後述のワーク中心線の並進誤差と回転誤差)もテーブル面の組付け誤差(並進誤差と回転誤差)とみなすこともできる。そのため、本発明はワーク設置時の誤差に対しても適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
●第1実施形態
<1> 対象機械と誤差
図1に組付け誤差のないテーブル回転型多軸加工機(5軸加工機)を示す。ここでは、テーブル2がA,C軸で回転し、工具先端点8を有する工具6を装着した工具ヘッド4がX,Y,Z軸で移動する。テーブル2が回転軸2軸で回転する加工機であれば他の軸構成であってもよい。
【0019】
A=0の時、回転テーブルは
図1のように水平とする。Ca
-T(本来のA軸回転中心線)とCc
-T(本来のC軸回転中心線)は直交し、Cc
-TとCt
-T(本来のテーブル中心線)は一致する。ここで「C」は「Correct」の意味であり、後出のAt
-T(ずれたテーブル中心線)などの「A」は「Actual」の意味である。また、「
-T」はテーブルの誤差を構成するデータであることを意味する。回転軸A,Cに対する位置指令を(a,c)とする。
【0020】
テーブル面の組付け誤差を含む組付け誤差は、
図2のように、回転軸回転中心線(A,C軸回転中心線)の誤差およびテーブル中心線(C軸回転中心線)に対するテーブル面の組付け誤差(並進誤差と回転誤差)として表される。実際の誤差は小さいが
図2では誤差を誇張して描いている。
【0021】
ここで、各誤差を次のように表す。これらの誤差はあらかじめ測定され組付け誤差設定部が設定している。
1) At
-T(ずれたテーブル中心線)のCt
-T(本来のテーブル中心線)に対する誤差
・ δt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)
T :本来のA,C軸回転中心線の交点であるCo
-T におけるA=0, C=0の時のCt
-TからAt
-Tへの乖離距離のX,Y,Z各成分である。これがテーブル面の組付け誤差の並進誤差である。「
T」は転置を表すが、以降自明の場合特に記載しない。
・ (αt
-T,βt
-T,γt
-T):A=0, C=0の時、At
-TがCt
-Tから、X軸周りにαt
-T、Y軸周りにβt
-T、Z軸周りにγt
-T回転誤差を持って傾斜していることを示す。これがテーブル面の組付け誤差の回転誤差である。ラジアン単位である。以降、角を表すデータは特に断らないかぎりラジアン単位である。
・ n
T-T :At
-Tの方向ベクトルである。したがって、実際の(ずれた)テーブル面に垂直である。
【0022】
2) Ac
-T(ずれたC軸回転中心線)のCc
-T(本来のC軸回転中心線)に対する誤差
・ δc
-T(δcx
-T,δcy
-T,δcz
-T):Co
-T におけるA=0の時のCc
-TからAc
-Tへの乖離距離のX,Y,Z各成分である。これがC軸の組付け誤差の並進誤差である。
ここでAc
-T はC軸位置によってコマのように変化することもある。その場合、δc
-T はcによって変化するδc
-T(c)(δcx
-T(c),δcy
-T(c),δcz
-T(c))とする。
さらに、Ac
-T は他の軸位置の影響を受けることもある。A軸位置の影響を受ける場合、δc
-T は(a,c)によって変化するδc
-T(a,c)(δcx
-T(a,c),δcy
-T(a,c),δcz
-T(a,c))とする。
図3では回転軸回転中心線のみに着目してAc
-T および次項のAa
-T が変化する様子を図示している。
【0023】
・ (αc
-T,βc
-T,γc
-T):A=0の時、Ac
-TがCc
-Tから、X軸周りにαc
-T、Y軸周りにβc
-T、Z軸周りにγc
-T回転誤差を持って傾斜していることを示す。これがC軸の組付け誤差の回転誤差である。δc
-T と同様、Ac
-T がC軸位置によって変化する場合、(αc
-T,βc
-T,γc
-T)はcによって変化する(αc
-T(c),βc
-T(c),γc
-T(c))とする。さらに他の軸(A軸)位置の影響を受ける場合、(αc
-T,βc
-T,γc
-T)は(a,c)によって変化する(αc
-T(a,c),βc
-T(a,c),γc
-T(a,c))とする。(
図3を参照)
・ n
C-T :Ac
-Tの方向ベクトルである。
【0024】
3) Aa
-T(ずれたA軸回転中心線)のCa
-T(本来のA軸回転中心線)に対する誤差
・ δa
-T (δax
-T,δay
-T,δaz
-T):Co
-T におけるCa
-TからAa
-Tへの乖離距離のX,Y,Z各成分である。これがA軸の組付け誤差の並進誤差である。δc
-T と同様、Aa
-T がA軸位置によって変化する場合、δa
-T はaによって変化するδa
-T(a)(δax
-T(a),δay
-T(a),δaz
-T(a))とする。(
図3参照)
・ (αa
-T,βa
-T,γa
-T):Aa
-TがCa
-Tから、X軸周りにαa
-T、Y軸周りにβa
-T、Z軸周りにγa
-T回転誤差を持って傾斜していることを示す。これがA軸の組付け誤差の回転誤差である。δa
-T と同様、Aa
-T がA軸位置によって変化する場合、(αa
-T,βa
-T,γa
-T )はaによって変化する(αa
-T(a),βa
-T(a),γa
-T(a))とする。(
図3参照)
・n
A-T :Aa
-Tの方向ベクトルである。
【0025】
<2> 回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量
ワークはテーブル上に載っているため、テーブルの組付け誤差(並進誤差δt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)、回転誤差(αt
-T,βt
-T,γt
-T))に着目すると、A=0,C=0の時の、回転軸(A,C軸)依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)と回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)は、それぞれ δt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)、(αt
-T,βt
-T,γt
-T)である。なお、テーブルにおける誤差に対してそれを追いかけるように補正を行うので、テーブルにおける誤差は補正量でもある。
【0026】
A=aおよびC=cの時、A軸およびC軸回転によってδt
-Tおよび(αt
-T,βt
-T,γt
-T)は次のように変化する。A=aおよびC=cとなるようテーブルが回転する時、テーブル自体としては C軸周りに−cおよびA軸周りに−aだけ回転するので、実際のC軸(ずれたC軸、Ac
-T)周りに−c、および実際のA軸(ずれたA軸、Aa
-T)周りに−a回転した時の計算を行う。並進回転誤差補正量演算部42(
図6参照)がこの計算を行う。計算において誤差や誤差補正量の2乗項は無視する。また、回転誤差について、誤差をeとすると|e|<<1であるので、sin(e)=e, cos(e)=1と近似する。これは以降の実施形態においても同様である。
【0027】
<2−1> 並進誤差補正量
Ac
-Tを中心にしてテーブルの並進誤差 δt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)を−cだけ回転し、さらにAa
-Tを中心にして−aだけ回転する。
A=0の時のAc
-Tの方向を示すベクトルn
C-Tを中心にして、−cだけ回転するマトリックスをMc
-T とする。Aa
-Tの方向を示すベクトルn
A-Tを中心にして、−aだけ回転するマトリックスをMa
-T とする。
Ac
-Tを中心にしてテーブルの並進誤差δt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)を−cだけ回転し、さらにAa
-Tを中心にして−aだけ回転するとは、δc
-Tにおけるn
C-Tを中心にしてδt
-T(δtx
-T,δty
-T,δtz
-T)を−cだけ回転し、さらにδa
-Tにおけるn
A-Tを中心にして−aだけ回転することである。したがって、A軸位置(a)およびC軸位置(c)に対応する、つまり回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)は数1式のようになる。
【0029】
<2−2> 回転誤差補正量
テーブルの回転誤差(αt
-T,βt
-T,γt
-T)がAc
-Tを中心にして−cだけ回転しさらにAa
-Tを中心にして−aだけ回転する。A=a,C=cの時の正しいテーブル中心線方向のベクトルをnz
-T とする。A=aかつC=cの時にその位置に対応する、つまり回転軸依存の回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)による回転マトリックスM
Iは数2式のようになる。
【0031】
nz
-Tに対して回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)による補正を行った方向が、Ac
-Tを中心にしてn
T-Tを−cだけ回転しさらにAa
-Tを中心にして−aだけ回転した方向であることを考慮すると数3式が成り立つ。
【0033】
数3式の第2、3要素から数4式が得られる。
【0035】
ΔJR,ΔKRは数3式の第1要素から求めるが、一意には決定しない。そこで、aは傾斜軸であり−85度<a<85度程度(cos(a)は0近傍の値をとらない)の可動範囲であると想定すると、0.0871<cos(a)≦1となるので、ここでは数5式のようにする。このように回転軸依存の回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を求めた。もちろん、数3式を満たす他の解もあり得る。
【0037】
ここで、
図4のように、ずれたテーブルの上にワークがずれて設置されることを想定する。つまり、
図4のように、
図2のずれたテーブルの上におけるずれたワーク設置面12の上にワークが設置されることを想定する。ずれたワーク設置面12にはずれたワーク10が載置される。この時、「<1> 対象機械と誤差」で述べた「1) At
-T(ずれたテーブル中心線)のCt
-T(本来のテーブル中心線)に対する誤差」と同様に次の誤差が存在する。
【0038】
4) Aw
-T(ずれたワーク中心線)のCw
-T(本来のワーク中心線)に対する誤差
・ δw
-T(δwx
-T,δwy
-T,δwz
-T):Co
-T におけるA=0, C=0の時のCw
-TからAw
-Tへの乖離距離のX,Y,Z各成分である。これが、ワーク設置時の設置誤差の並進誤差である。
・ (αw
-T,βw
-T,γw
-T):A=0, C=0の時、Aw
-TがCw
-Tから、X軸周りにαw
-T、Y軸周りにβw
-T、Z軸周りにγw
-T回転誤差を持って傾斜していることを示す。これが、ワーク設置時の設置誤差の回転誤差である。
【0039】
・ n
w-T :Aw
-Tの方向ベクトルである。したがって、実際の(ずれた)ワーク設置面に垂直である。
この時、「4」 Aw
-T(ずれたワーク中心線)のCw
-T(本来のワーク中心線)に対する誤差」を「1」 At
-T(ずれたテーブル中心線)のCt
-T(本来のテーブル中心線)に対する誤差」の代わりとして、<2−1> 並進誤差補正量および<2−2> 回転誤差補正量で述べた処理を行えば、「発明が解決しようとする課題」,「発明の効果」で述べたように、ワーク設置時の設置誤差(並進誤差と回転誤差)もテーブル面の組付け誤差(並進誤差と回転誤差)とみなすことができる。また、テーブル面の組付け誤差(並進誤差と回転誤差)およびワーク設置時の設置誤差(並進誤差と回転誤差)の合成誤差をテーブル面の組付け誤差(並進誤差と回転誤差)とみなすこともできることは自明である。したがって、本発明のテーブル面の組付け誤差とは、ワーク設置時の設置誤差(並進誤差と回転誤差)をも含むものである。
【0040】
<3> 並進誤差補正量、回転誤差補正量の入力
<3−1> 数値制御装置内並進誤差補正量、回転誤差補正量データテーブルへの入力
特許文献2のように装置内に並進誤差補正量と回転誤差補正量のデータテーブルを持つ数値制御装置がある。そのような数値制御装置に対して、本発明によって演算された回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量を入力しその数値制御装置のデータテーブルに設定する。
【0041】
データテーブルは
図5のように格子状に構成されており、各格子点(ai,cj)(i=1,2,,,、j=1,2,,,)に対応する並進誤差補正量(VnX,VnY,VnZ)、回転誤差補正量(VnI,VnJ,VnK)を数値制御装置に入力して設定するようになっている。
【0042】
ここで(ai,cj)は数値制御装置においてあらかじめ指定されている各格子点に対応したA,C軸の位置であり、nは(i,j)の組合せに対応した格子点番号である。したがって、各(ai,cj)における(ΔXR,ΔYR,ΔZR)および(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を求め、並進誤差補正量(VnX,VnY,VnZ)、回転誤差補正量(VnI,VnJ,VnK)として入力して設定する。つまり、(a,c)=(ai,cj)として、<2−1> 並進誤差補正量および<2−2> 回転誤差補正量で述べた処理によって(ΔXR,ΔYR,ΔZR)および(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を求め、数6式によって(ai,cj)における並進誤差補正量(VnX,VnY,VnZ)、回転誤差補正量(VnI,VnJ,VnK)として数値制御装置に入力して設定する。
【0044】
この場合、ブロック図としては
図6のようになる。つまり、数値制御装置30は、指令解析部31で入力される加工プログラム20を解析し、解析したデータにもとづいて補間部32で補間を行うとともに、並進誤差補正量、回転誤差補正量データテーブル33と現在位置にもとづいて補正を行い、各軸サーボ34X,34Y,34Z,34A,34Cを駆動する。そのことによって、数値制御装置30は少なくとも回転軸2軸を有する多軸加工機を制御する。なお、数値制御装置30の指令解析部31および補間部32を数値制御部と称する。
【0045】
補正は補間部32で行われるが、補正方法は特許文献2にも記載されている従来技術なので特に説明しない。ここで、並進回転誤差補正量作成装置40においては、組付け誤差設定部44によって少なくともテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差43が設定されており、並進回転誤差補正量演算部42が組付け誤差43と回転軸2軸の位置(ai,cj)に対応した回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)および回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を、上記処理において(a,c)=(ai,cj)とすることによって演算し、並進回転誤差補正量入力部41がそれらの並進誤差補正量と回転誤差補正量を数値制御装置30に入力する。
また、ここで
図7のように並進回転誤差補正量作成装置40は数値制御装置30内に存在する構成としてもよい。
【0046】
<3−2> 数値制御装置への並進誤差補正量、回転誤差補正量の直接入力
特許文献2のように並進誤差補正量と回転誤差補正量にもとづいて補正を行う数値制御装置がある。そのような数値制御装置から回転軸2軸の位置(a,c)を得、本発明によって演算された回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)と回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)をその数値制御装置50に入力しその数値制御装置が補正を行う。
【0047】
この場合、ブロック図としては
図9のようになる。つまり、数値制御装置50は、指令解析部51で入力される加工プログラム20を解析し、解析したデータにもとづいて補間部52で補間を行うとともに、並進誤差補正量、回転誤差補正量と現在位置にもとづいて補正を行い、各軸サーボ34X,34Y,34Z,34A,34Cを駆動する。補正は補間部52で行われるが、補正方法は特許文献2にも記載されている従来技術なので特に説明しない。
【0048】
ここで、並進回転誤差補正量作成装置40においては、組付け誤差設定部44によって少なくともテーブル面の組付け誤差または主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差43が設定されており、数値制御装置50から補間周期毎に回転軸2軸の位置(a,c)を得、並進回転誤差補正量演算部42が組付け誤差43と回転軸2軸の位置(a,c)に対応した回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)および回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を演算し、並進回転誤差補正量入力部41がそれらの並進誤差補正量と回転誤差補正量を数値制御装置50に入力する。
また、ここで
図7と同様に並進回転誤差補正量作成装置40は数値制御装置50内に存在する構成としてもよい。図は自明なので省略する。
【0049】
図8は第1実施形態における並進回転誤差補正量演算部と並進回転誤差補正量入力部のフローチャートを示す図である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]数値制御装置30においてあらかじめ指定されている(ai,cj)に対して、a=ai,c=cjとする。
●[ステップSA02]数1式によって、(ΔXR,ΔYR,ΔZR)を演算する。
●[ステップSA03]数2式〜数5式によって、(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を演算する。
●[ステップSA04]数6式によって、(VnX,VnY,VnZ)、(VnI,VnJ,VnK)を数値制御装置30に入力し、処理を終了する。
ここで、ステップSA01〜ステップSA03は並進回転誤差補正量演算部42、ステップSA04は並進回転誤差補正量入力部41に対応する。
【0050】
●第2実施形態
<1> 対象機械と誤差
図10に組付け誤差のない工具ヘッド回転型多軸加工機(5軸加工機)を示す。ここでは、工具ヘッドがA,C軸で回転し、さらにX,Y,Z軸で移動する。工具ヘッドが回転軸2軸で回転する加工機であれば他の軸構成であってもよい。
A=0の時、工具ヘッドの工具方向は
図11のようにZ軸方向とする。Ca
-H(本来のA軸回転中心線)とCc
-H(本来のC軸回転中心線)は直交し、Cc
-HとCs
-H(本来の主軸旋回中心線)は一致する。「
-H」は工具ヘッドの誤差を構成するデータであることを意味する。回転軸A,Cに対する位置指令を(a,c)とする。
【0051】
主軸旋回中心線の組付け誤差を含む組付け誤差は、
図12のように、回転軸回転中心線(A,C軸回転中心線)の誤差および主軸旋回中心線の誤差(並進誤差と回転誤差)として表される。実際の誤差は小さいが
図12では誤差を誇張して描いている。なお、
図12において、δc
-Hと(αc
-H,βc
-H,γc
-H)とは本来は別のベクトルであるが、スペースが無いので簡略化して1本のベクトルで表記している。
【0052】
ここで、各誤差を次のように表す。これらの誤差はあらかじめ測定され組付け誤差設定部が設定している。
1) As
-H(ずれた主軸旋回中心線)のCs
-H(本来の主軸旋回中心線)に対する誤差
・ δs
-H(δsx
-H,δsy
-H,δsz
-H ):本来のA,C軸回転中心線の交点であるCo
-H におけるA=0, C=0の時のCs
-H からAs
-H への乖離距離のX,Y,Z各成分である。これが主軸旋回中心線の組付け誤差の並進誤差である。
・ (αs
-H,βs
-H,γs
-H ):A=0, C=0の時、As
-H がCs
-H から、X軸周りにαs
-H 、Y軸周りにβs
-H 、Z軸周りにγs
-H 回転誤差を持って傾斜していることを示す。これが主軸旋回中心線の組付け誤差の回転誤差である。
・ n
S-H :As
-H の方向ベクトルである。したがって、実際の(ずれた)主軸旋回中心線方向を示す。
【0053】
2) Ac
-H(ずれたC軸回転中心線)のCc
-H(本来のC軸回転中心線)に対する誤差
・ δc
-H(δcx
-H ,δcy
-H ,δcz
-H ):Co
-H におけるA=0の時のCc
-H からAc
-H への乖離距離のX,Y,Z各成分である。これがC軸の組付け誤差の並進誤差である。ここで第1実施形態と同様、Ac
-H はC軸位置によってコマのように変化することもある。その場合、δc
-H はcによって変化するδc
-H(c)(δcx
-H(c),δcy
-H(c),δcz
-H(c))とする。
図13では回転軸回転中心線のみに着目してAc
-H および次項のAa
-H が変化する様子を図示している。
・ (αc
-H ,βc
-H ,γc
-H ):A=0の時、Ac
-H がCc
-H から、X軸周りにαc
-H 、Y軸周りにβc
-H 、Z軸周りにγc
-H 回転誤差を持って傾斜していることを示す。これがC軸の組付け誤差の回転誤差である。δc
-H と同様、Ac
-H がC軸位置によって変化する場合、(αc
-H,βc
-H,γc
-H)はcによって変化する(αc
-H(c),βc
-H(c),γc
-H(c))とする。(
図13参照)
・ n
C-H :Ac
-H の方向ベクトルである。
【0054】
3) Aa
-H(ずれたA軸回転中心線)のCa
-H(本来のA軸回転中心線)に対する誤差
・ δa
-H (δax
-H ,δay
-H ,δaz
-H ):Co
-H におけるCa
-H からAa
-H への乖離距離のX,Y,Z各成分である。これがA軸の組付け誤差の並進誤差である。δc
-H と同様、Aa
-H がA軸位置によって変化する場合、δa
-T はaによって変化するδa
-H(a)(δax
-H(a),δay
-H(a),δaz
-H(a))とする。さらに、Aa
-H は他の軸位置の影響を受けることもある。C軸位置の影響を受ける場合、δa
-H は(a,c)によって変化するδa
-H(a,c)(δax
-H(a,c),δay
-H(a,c),δaz
-H(a,c))とする。(
図13参照)
・ (αa
-H ,βa
-H ,γa
-H ):Aa
-H がCa
-H から、X軸周りにαa
-H 、Y軸周りにβa
-H 、Z軸周りにγa
-H 回転誤差を持って傾斜していることを示す。これがA軸の組付け誤差の回転誤差である。δa
-H と同様、Aa
-H がA軸位置によって変化する場合、(αa
-H ,βa
-H ,γa
-H )はaによって変化する(αa
-H(a) ,βa
-H(a) ,γa
-H(a) )とする。さらに、Aa
-H は他の軸(C軸)位置の影響を受ける場合、(αa
-H ,βa
-H ,γa
-H )は(a,c)によって変化する(αa
-H(a,c) ,βa
-H(a,c) ,γa
-H(a,c) )とする。(
図13参照)
・ n
A-H :Aa
-H の方向ベクトルである。
【0055】
<2> 回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量
主軸旋回中心線の組付け誤差(並進誤差δs
-H(δsx
-H ,δsy
-H ,δsz
-H )、回転誤差(αs
-H ,βs
-H ,γs
-H ))に着目すると、A=0,C=0の時の、回転軸(A,C軸)依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)と回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)は、それぞれ −δs
-H(−δsx
-H ,−δsy
-H ,−δsz
-H )、(−αs
-H ,−βs
-H ,−γs
-H )である。
なお、工具ヘッドにおける誤差に対してそれを引き戻すように補正を行うので、工具ヘッドにおける誤差を符号反転した値が補正量である。A=aおよびC=cの時、A軸およびC軸回転によってδs
-H および(αs
-H ,βs
-H ,γs
-H )は次のように変化する。
A=aおよびC=cとなるよう工具ヘッドが回転する時、実際のA軸(ずれたA軸、Aa
-H )周りにa、および実際のC軸(ずれたC軸、Ac
-H )周りにc回転した時の計算を行う。並進回転誤差補正量演算部42(
図9参照)がこの計算を行う。
【0056】
<2−1> 並進誤差補正量
Aa
-H を中心にして主軸旋回中心線の並進誤差 δs
-H(δsx
-H ,δsy
-H ,δsz
-H )をaだけ回転し、さらにAc
-H を中心にしてcだけ回転する。
Aa
-H の方向を示すベクトルn
A-H を中心にして、aだけ回転するマトリックスをMa
-H とする。
A=0の時のAc
-H の方向を示すベクトルn
C-H を中心にして、cだけ回転するマトリックスをMc
-H とする。Aa
-Tを中心にして主軸旋回中心線の並進誤差δs
-H(δsx
-H ,δsy
-H ,δsz
-H )をaだけ回転し、さらにAc
-Tを中心にしてcだけ回転するとは、δa
-H におけるn
A-H を中心にしてδs
-H(δsx
-H ,δsy
-H ,δsz
-H )をaだけ回転し、さらにδc
-H におけるn
C-H を中心にしてcだけ回転することである。さらに並進誤差補正量は誤差の符号反転値である。したがって、A軸位置(a)およびC軸位置(c)に対応する、つまり回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXR,ΔYR,ΔZR)は数7式のようになる。
【0058】
<2−2> 回転誤差補正量
(αs
-H ,βs
-H ,γs
-H )がAa
-H を中心にしてaだけ回転しさらにAc
-H を中心にしてcだけ回転する。
A=a,C=cの時の正しい主軸旋回中心線方向のベクトルをnz
-H とする。
A=aかつC=cの時にその位置に対応する、つまり回転軸依存の回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)による回転マトリックスM
Iは第1実施形態と同様数8式のようになる。
【0060】
Aa
-Hを中心にしてn
S-H をaだけ回転しさらにAc
-H を中心にしてcだけ回転した方向に対して回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)による補正を行った方向がnz
-H であることを考慮すると数9式が成り立つ。
【0062】
第1実施形態と同様−85度<a<85度とすると、数9式から数10式が得られる。このように回転軸依存の回転誤差補正量(ΔIR,ΔJR,ΔKR)を求めた。数9式を満たす他の解もあり得る。
【0064】
「<3> 並進誤差補正量、回転誤差補正量の入力」以降は第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0065】
●第3実施形態
<1> 対象機械と誤差
図14に対象機械である混合型多軸加工機(5軸加工機)を示す。ここでは、工具ヘッドがA軸で回転するとともにX,Y,Z軸で移動し、テーブルがC軸で回転する。工具ヘッドが回転軸1軸で回転しテーブルが他の回転軸1軸で回転する加工機であれば他の軸構成であってもよい。
工具ヘッドについて工具ヘッドが回転軸2軸でなく回転軸1軸で回転する点を除けば第2実施形態と同じであり、テーブルについてテーブルが回転軸2軸でなく回転軸1軸で回転する点を除けば第1実施形態と同じであるので、本実施形態の説明は簡略化して行う。
図14において、例えばδa
-Hと(αa
-H,βa
-H,γa
-H)とは
図12のδc
-Hと(αc
-H,βc
-H,γc
-H)同様に本来は別のベクトルであるが、スペースが無いので簡略化して1本のベクトルで表記している。
【0066】
<2> 回転軸依存の並進誤差補正量と回転誤差補正量
第1実施形態におけるC軸のみの計算を行う。つまり、a=0,αa
-T=0,βa
-T=0,γa
-T=0,δax
-T=0,δay
-T=0,δaz
-T=0として第1実施形態における回転軸(C軸)依存の並進誤差補正量(ΔXC,ΔYC,ΔZC)および回転誤差補正量(ΔIC,ΔJC,ΔKC)を求める。
【0067】
第2実施形態におけるA軸のみの計算を行う。つまり、c=0,αc
-H=0,βc
-H=0,γc
-H=0,δcx
-H=0,δcy
-H=0,δcz
-H=0として第2実施形態における回転軸(A軸)依存の並進誤差補正量(ΔXA,ΔYA,ΔZA)および回転誤差補正量(ΔIA,ΔJA,ΔKA)を求める。
【0068】
<3> 並進誤差補正量、回転誤差補正量の入力
<3−1> 数値制御装置内並進誤差補正量、回転誤差補正量データテーブルへの入力
従来技術として、
図15のようなC軸用、A軸用それぞれに1次元のデータテーブルがある。各格子点(ai)(i=1,2,,,)に対応する並進誤差補正量(ViX,ViY,ViZ)、回転誤差補正量(ViI,ViJ,ViK)を入力して設定するようになっている。
したがって、各(ai)における(ΔXA,ΔYA,ΔZA)および(ΔIA,ΔJA,ΔKA)を求め、並進誤差補正量(ViX,ViY,ViZ)、回転誤差補正量(ViI,ViJ,ViK)として入力して設定する。つまり、並進回転誤差補正量作成装置は、a=aiとして、上記のように回転軸(A軸)依存の並進誤差補正量(ΔXA,ΔYA,ΔZA)および回転誤差補正量(ΔIA,ΔJA,ΔKA)を求め、数11式によって(ai)における並進誤差補正量(ViX,ViY,ViZ)、回転誤差補正量(ViI,ViJ,ViK)として数値制御装置に入力して設定する。
【0070】
また、各格子点(cj)(j=1,2,,,)に対応する並進誤差補正量(VjX,VjY,VjZ)、回転誤差補正量(VjI,VjJ,VjK)を入力して設定するようになっている。したがって、同様に、各(cj)における(ΔXC,ΔYC,ΔZC)および(ΔIC,ΔJC,ΔKC)を求め、並進誤差補正量(VjX,VjY,VjZ)、回転誤差補正量(VjI,VjJ,VjK)として入力して設定する。
ブロック図としては
図6および
図7と同じであるので説明を省略する。
【0071】
<3−2> 数値制御装置への並進誤差補正量、回転誤差補正量の直接入力
特許文献2のように並進誤差補正量と回転誤差補正量にもとづいて補正を行う数値制御装置がある。並進回転誤差補正量作成装置40は、そのような数値制御装置50から回転軸2軸の位置(a,c)を得、上記のように求められた回転軸依存の並進誤差補正量(ΔXA,ΔYA,ΔZA)(ΔXC,ΔYC,ΔZC)と回転誤差補正量(ΔIA,ΔJA,ΔKA)(ΔIC,ΔJC,ΔKC)をその数値制御装置50に入力しその数値制御装置50が補正を行う。ブロック図としては
図9と同じであるので説明を省略する。また、第1実施形態と同様、この並進回転誤差補正量作成装置40は数値制御装置内に存在する構成としてもよい。