(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加湿された空気を前記内燃機関に導入する工程において、前記加湿された空気を加圧することで、前記加湿された空気を前記内燃機関に導入する、請求項1に記載の窒素酸化物の削減方法。
水蒸気透過膜と、前記水蒸気透過膜を収納するケースとを備え、前記ケース内には、前記水蒸気透過膜で仕切られた第一の空間と第二の空間とが形成され、前記ケースは、前記第一の空間に大気圧以下の空気が供給される空気供給口と、前記第一の空間から前記空気が排出される空気排出口と、前記第二の空間に液体状態の水が前記空気の圧力以上の圧力で供給される水供給口と、前記第二の空間から前記水が排出される水排出口と、を備える膜モジュールと、
前記膜モジュールの前記水供給口に接続される給水部と、
前記空気の温度に対して−10℃〜+30℃となるように前記水の温度を制御する温度制御部と、
を有し、
前記水蒸気透過膜が、ポリオレフィン系微多孔膜、ポリスルホン系微多孔膜、ポリエーテルスルホン系微多孔膜、及びポリテトラフルオロエチレン系微多孔膜からなる群より選ばれるいずれか一つの微多孔膜であり、前記微多孔膜の表面の少なくとも一部が、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)ホモポリマー、又はパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)とテトラフルオロエチレンとのコポリマーを含む、厚さ1μm以下の層により被覆された膜であり、
前記膜モジュールにおいて、前記第一の空間に流される空気の流れと、前記第二の空間に流される水の流れとが対抗するように、前記空気供給口と前記空気排出口と前記水供給口と前記水排出口とが配置されており、かつ、加湿された空気の湿度が、78.2%RH以上90.0RH%以下となるように制御する、
窒素酸化物の削減装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。また、添付図面は実施形態の一例を示したものであり、これに限定して解釈されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減方法は、内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物の削減方法であって、大気圧以下の空気を水蒸気透過膜の一方の面に接触させ、水を前記水蒸気透過膜のもう一方の面に沿って流すことで、前記空気を加湿する工程(加湿工程)と、前記加湿された空気を内燃機関に導入する工程(導入工程)と、を有する。内燃機関に導入される空気を加湿することにより、内燃機関での燃焼時に発生する窒素酸化物を削減することができる。
【0017】
上記加湿された空気を内燃機関の給気として用いることで、NOxの発生を低減できる。その作用については定かではないが、下記(1)及び(2)によって、NOxの発生を低減できると推測される(但し、本実施形態の作用はこれに限定されない)。
(1)燃焼に用いられる空気中に水蒸気が含まれることにより、空気の酸素濃度が低下し、燃焼反応を抑制することで、燃焼温度を下げることができる。そのため、NOxが生成する副反応を抑制できる。
(2)三原子分子である水は、相対的に比熱が大きく、燃焼時の発熱温度を下げることができる。そのため、NOxが生成する副反応を抑制できる。
(3)内燃機関に用いられる作動流体の比熱が大きくなる結果、燃焼時の温度が低下して、圧縮時の圧力が低下するが、着火前の圧縮圧力も低下するので、燃料消費は増加せず、燃費の悪化を抑制することができる。
【0018】
まず、本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減方法では、大気圧以下の空気を水蒸気透過膜の一方の面に接触させ、水を前記水蒸気透過膜のもう一方の面に沿って流すことで、前記空気を加湿する工程(加湿工程)を行う。
【0019】
本実施形態では、大気圧以下の空気を用いる。大気圧以下の空気は、後述する水蒸気透過膜の一方の面に接触させる。その際、水蒸気透過膜の反対側の面で通水されている水が水蒸気透過膜から浸透することにより、空気が加湿される。本実施形態では、大気圧以下の空気を水蒸気透過膜の面に沿って流すともに、水を水蒸気透過膜のもう一方の面に沿って流すことで、膜の水蒸気透過性能を高く維持しつつ空気を効率よく十分に加湿できる。そのため、本実施形態では、加湿しようとする空気を加圧する必要はなく、加湿工程の前に過給機等の空気加圧装置を設置する必要もない。本実施形態の方法は、簡便な方法でありながら、NOxの発生を十分に低減することができる。
【0020】
また、水蒸気透過膜を用いて加湿する際、水の圧力は空気の圧力と同等か若干高い条件を選択することが好ましい。これは、水蒸気透過膜から空気が水側に透過して損失することを防ぐためである。本実施形態では、空気が加圧されておらず大気圧以下であるため、水(水蒸気)をより低圧で流して加湿することができる。液体の水の場合、流す水の圧力を低く抑えることができ、加圧にかかるエネルギーやコストを抑えることができる。特に、使用する水が水蒸気である場合、圧力は温度に依存するため、より低温で加湿することができ、加圧にかかる熱エネルギーを抑えることができる。つまり、大気圧以下の空気を用いることで、加湿する際にかかるエネルギーやコストを抑えることができるという利点がある。
【0021】
また、本実施形態では、大気圧以下の空気を加湿して、内燃機関に導入する方法であるため、空気を加圧しない自然吸気エンジンや、低負荷で過給機が実質的に作動しない運転に対しても有効である。さらに、大気圧以下の空気を水蒸気透過膜に接触させて加湿を行うため、水蒸気透過膜やこれを有する装置に特段に高い耐圧性や耐熱性を付与する必要がないため、これらの構造を簡素にすることができる。また、通常、エンジンの周辺はスペースが限られていることが多いため、水蒸気透過膜やこれを有する装置をコンパクトにできるメリットは非常に大きい。さらに、水蒸気透過膜やこれを有する装置に使用する材料等の選択の自由度が広がるという利点もある。
【0022】
空気の圧力は大気圧以下であればよいが、給気に要するエネルギー損失を少なくする観点から、好ましくは−50kPa以上、大気圧(0kPa)以下、より好ましくは−20kPa以上、大気圧以下、更に好ましくは−10kPa以上、大気圧以下である。
【0023】
使用する空気中の成分やその濃度については、特に限定されない。例えば、酸素、窒素、炭酸ガス、一酸化炭素等の成分の濃度は特に限定されず、大気に排気ガス等を混合して成分調整した空気等も使用可能である。
【0024】
本実施形態の窒素酸化物の削減方法は、水蒸気透過膜を通して空気を加湿するので、加湿された空気には水滴が含まれないようにすることができる。加湿された空気が僅かな温度変化で結露することを防ぐ観点から、加湿された空気の湿度は100%RH未満が好ましく、95%RH以下がより好ましい。本実施形態の窒素酸化物の削減方法では、流す水の温度と流量を制御することで、水蒸気透過膜を通して加湿する空気の湿度を高精度に制御できる。
【0025】
従来から検討されてきた、水を噴霧することによって空気を加湿する方法では、加湿された空気中の水滴を除去することが難しく、また湿度を任意に制御することが困難であった。これに対して本実施形態の方法では、水滴の発生を防止することができ、任意の湿度となるよう容易に制御できるため、加湿された空気の僅かな温度変化によって起こる結露を防止することができる。また、一般的に、海水を噴霧する等して加湿する場合は、加湿空気の脱塩のために淡水洗浄が必要であるが、本実施形態の方法では、海水により加湿を行っても水蒸気透過膜は塩を透過させないので、加湿された空気の脱塩は不要である。したがって、本実施形態の方法は、信頼性及び安定性が高い。
【0026】
本実施形態の窒素酸化物の削減方法では、水蒸気透過膜を通して加湿するため、流す水又は水蒸気として、海水や、電解質、特に塩化ナトリウムを含むものも用いることもできる。従来、内燃機関の給気を加湿する方法として、SAM法(Scavenge Air Moisturizing)が知られている。この方法は、主に、船舶用ディーゼルエンジンから排出される窒素酸化物を削減するために用いられる方法であり、給気である加湿する前の空気を海水で加湿した後に、淡水で処理して、気体中に含まれる海水ミストを除去する脱塩工程を経て、加湿する方法である。脱塩が不十分である場合は、内燃機関に塩が入り、内燃機関の故障の原因となるため、脱塩を入念に行う必要があった。それに対して、本実施形態の窒素酸化物の削減方法は、水蒸気透過膜を用いて加湿を行うため、液体の水が透過せず、加湿される空気中に塩が移行(混入)しない方法である。したがって、加湿に用いる水としては、高度に脱塩された水以外に、低水準に脱塩された水や、海水も用いることが可能である。海水を用いた場合であっても、脱塩工程は不要であり、極めて簡易な装置構造で、内燃機関の窒素酸化物を削減することができる。
【0027】
本実施形態で用いる水蒸気透過膜とは、少なくとも空気を加湿できる膜であればよい。具体的には、液体の水を透過させず、水蒸気を透過させる性質を少なくとも有する膜である。水蒸気透過膜の構造や材料については特に限定されず、用途や使用環境に応じて適宜好適なものを選択できる。水蒸気透過膜としては、上記した性質を有するものであればよく、その種類は限定されず、疎水性微多孔膜や、気体透過膜を用いたものが挙げられる。
【0028】
疎水性微多孔膜とは、疎水性である微多孔膜であり、液体の水は透過しないが、水蒸気は透過する膜をいう。ここで、疎水性とは、ポリマーとしての吸水率が0.5質量%以下のものを指す。吸水率は0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。ここで、ポリマーとしての吸水率は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0029】
疎水性微多孔膜の孔は、微多孔膜を構成する材料(例えば、樹脂等)が液体の水をはじくため、液体の水は透過しないが、水蒸気は透過することができる程度であることが好ましい。特に、窒素透過速度に対する酸素透過速度の比(酸素透過速度/窒素透過速度)が1以下である細孔を有する疎水性の微多孔膜がより好ましい。
【0030】
ここで、窒素透過速度に対する酸素透過速度の比とは、酸素(あるいは窒素)の単位時間での透過量を単位面積・単位圧力当たりに換算(例えば、GPU=10
−6cm
3(STP)/cm
2/s/cmHg)し、その比をとったものである。
【0031】
具体的な測定方法について以下述べる。膜を直径47mmの円形に切り取り、ステンレス製ホルダー(アドバンテック社製、「KS−47Fホルダー」)に固定する。ホルダーの一次側から99.9%以上の酸素、もしくは99.9%以上の窒素を所定の圧力で加圧する。2次側の雰囲気が酸素99%以上、もしくは窒素99%以上に置換されていることを酸素濃度計で確認した後、透過した気体の量を石鹸膜流量計で測定する。透過した気体量、気温、大気圧から標準状態における気体透過速度(GPU:Gas permeation unit=10
−6cm
3(STP)/cm
2・sec・cmHg)を計算し、酸素と窒素の気体透過速度の比から酸素透過速度/窒素透過速度を求めることができる。
【0032】
疎水性微多孔膜の種類は、特に限定されず、例えば、フッ素樹脂系微多孔膜等が挙げられ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系微多孔膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系微多孔膜、ポリイミド系微多孔膜、ポリオレフィン系微多孔膜、ポリスルホン系微多孔膜、ポリエーテルスルホン系微多孔膜等公知の様々な微多孔膜を用いることができる。さらには、限外ろ過膜(UF膜)として使用されるポリスルホン系微多孔膜やポリエーテルスルホン系微多孔膜等も挙げられる。
【0033】
気体透過膜とは、実質的に気体が透過することができる程度の孔が無く、膜中で気体が溶解又は拡散することにより透過する膜をいう。気体透過膜の種類としては、特に限定されず、有機系高分子又は無機系の気体透過膜が挙げられる。本実施形態において、酸素透過速度/窒素透過速度が1より大きい気体透過膜であることが好ましい。
【0034】
有機系高分子の気体透過膜としては、特に、疎水性の有機系高分子の気体透過膜であることが好ましい。ここでいう疎水性は、上記で述べたとおりである。有機系高分子の気体透過膜としては、例えば、フッ素樹脂系気体透過膜、ポリイミド系気体透過膜、シリコン系気体透過膜等が挙げられる。それらの中でも、水蒸気が透過する速度が速いという観点から、フッ素樹脂系、ポリイミド系の気体透過膜が好ましく、フッ素樹脂系の気体透過膜がより好ましい。
【0035】
フッ素樹脂系気体透過膜としては、非晶質の含フッ素重合体を用いたものが好ましい。このような非晶質の含フッ素重合体としては、例えば、主鎖に含フッ素脂環構造を有する重合体が挙げられる。主鎖に含フッ素脂環構造を有する重合体を得るための単量体としては、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)、パーフルオロ(2−メチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2−エチル−2プロピル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−4メチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロジオキソール類、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等のフッ素置換アルキル基を有するパーフルオロジオキソール化合物類、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)(MMD)、パーフルオロ(2−メチル−1,4−ジオキシン)等の含フッ素脂環構造を有する単量体が例示できる。
【0036】
他の単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)等が挙げられる。主鎖に含フッ素脂環構造を有する重合体も用いることもできる。これらの単量体を単独又は組み合わせて重合し、気体透過膜として使用できるフッ素系高分子化合物が得られる。これらは市販品を用いることもでき、例えば、商品名「テフロン(登録商標)AF1600」(デュポン社製)、商品名「テフロン(登録商標)AF2400」(デュポン社製)、商品名「HYFLON AD」(アウジモント社製)等が挙げられる。また、水蒸気透過膜の表面の水接触角としては、90°以上が好ましく、より好ましくは95°以上、更に好ましくは100°以上である。水接触角は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0037】
無機系の気体透過膜としては、窒化ケイ素系、炭素系等の気体透過膜が挙げられる。上記水蒸気透過膜、(以下、単に「膜」と総称する場合がある。)は、支持層を有していてもよい。これによって、膜の機械的強度を向上させることができる。支持層の材質は、膜が加湿機能を発揮することができるものであれば特に限定されず、様々なものを用いることができる。例えば、織布、不織布、微多孔膜等を用いることができる。支持層として用いられる微多孔膜としては、ポリイミド系微多孔膜、PVDF系微多孔膜、PTFE系微多孔膜、ポリオレフィン系微多孔膜、限外ろ過膜(UF膜)として使用されるポリスルホン系微多孔膜やポリエーテルスルホン系微多孔膜等が挙げられる。平膜の場合、支持層の上に膜が形成された形態等が挙げられる。中空糸膜の場合、支持層である中空糸膜の内側の表面又は外側の表面に、膜が形成された形態等が挙げられる。
【0038】
支持層を有する膜のその他の例としては、ポリイミド系の膜である場合、膜そのものを湿式で製膜した非対称構造の膜が挙げられる。さらに、無機系の気体透過膜である場合、支持層であるセラミック膜の上に気体透過膜を水熱合成で形成したものや、化学蒸着(CVD)により薄膜形成したものが挙げられる。
【0039】
水蒸気透過膜は、薄膜であるほど水蒸気透過性能が高い。実用上の強度と水蒸気透過性能を兼ね備える観点から好ましい水蒸気透過膜としては、フッ素系樹脂を基本骨格とする微多孔膜;この微多孔膜の表面の少なくとも一部が、PDDホモポリマー、又はPDDとTFEのコポリマーを含む、厚さ1μm以下の層により被覆された微多孔膜が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリオレフィン系微多孔膜、ポリスルホン系微多孔膜、ポリエーテルスルホン系微多孔膜、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系微多孔膜からなる群より選ばれるいずれか一つの微多孔膜であり、前記微多孔膜の表面の少なくとも一部が、PDDとTFEのコポリマーを含む、厚さ1μm以下の層により被覆形成された膜であることがより好ましい。また、上記したポリオレフィン系微多孔膜、ポリスルホン系微多孔膜、ポリエーテルスルホン系微多孔膜、ポリテトラフルオロエチレン系微多孔膜は、その表面の少なくとも一部がPDDポリマーやPDDとTFEのコポリマーを含む層により被覆されていればよいが、処理すべき空気と接触する表面(空気との接触面)が上記層により被覆されていることが好ましい。前記微多孔膜は、孔の大きさが小さく、かつ孔の個数が多い微多孔膜であり、微多孔膜を透過する気体流はクヌーセン流となるため、酸素透過速度/窒素透過速度が1以下であって、かつ耐久性が高いため、支持層として好ましい。
【0040】
また、前記微多孔膜を被覆する層として好ましいものは、PDDのホモポリマー、又はPDDとTFEのコポリマーを含むものであればよいが、PDDのホモポリマー、又はPDDとTFEのコポリマーの層であることがより好ましい。PDDのホモポリマー、又はPDDとTFEのコポリマーは、気体透過速度が大きいため好ましい。(コ)ポリマーにおけるPDD/TFEの質量比は、好ましくは100/0〜1/99であり、より好ましくは、100/0〜20/80である。加えて、この水蒸気透過膜には貫通孔がないので、長期使用によっても液体の水が透過する恐れがないという利点も有する。
【0041】
本実施形態では、水(水蒸気も含む)を水蒸気透過膜に沿って流すことで、空気を加湿するため、上記した各水蒸気透過膜の性能に合わせて、水の流量及び温度を制御することにより、加湿された空気の湿度を容易に調整できる。加えて、水(水蒸気を含む)が流れていることにより、物資交換と熱交換が効率的に行われるので、低エネルギーで加湿したり、空気を加熱したりすることができる。
【0042】
水蒸気透過膜を用いて加湿を行う場合、加湿に用いる水は、特に限定されず、純水、上水、中水等であってもよく、イオンや微粒子を夾雑物として含む水であってもよい。本実施形態で用いる水は、電解質を含むものであっても優れた加湿効果を得ることができ、例えば、塩化ナトリウムを含む水(例えば、海水等)であっても優れた加湿効果を得ることができる。特に、イオン性官能基を持たない有機系高分子を用いた水蒸気透過膜では、これらの夾雑物が空気供給側に漏れることを効果的に抑制できるので、よりクリーンな加湿が可能である。
【0043】
本実施形態で用いる水の状態は特に限定されず、液体であってもよいし、気体(水蒸気)であってもよい。水が水蒸気である場合は、必要に応じて他の物質をキャリアーとして併用してもよい。特に、空気をキャリアーとして用いることが好ましい。かかるキャリアーを用いることにより、水蒸気の流量や温度をより正確に制御できる。また、内燃機関の排気ガスをキャリアーとして用いてもよい。また、水の流す方向としては、空気の流れと対向させる方法と、空気の流れと並行させる方法があるが、対向させる方法が、水の熱エネルギーを効率的に空気に与えることができる観点から好ましい。
【0044】
空気の圧力(空気圧)と水の圧力(水圧)の関係については、水が空気以上に高い圧力であることが好ましい。空気と水が水蒸気透過膜により隔てられており、水の圧力を空気の圧力より高くすることで、空気が、水蒸気透過膜を通して抜けるのを防ぐことができ、空気量及びエネルギーの損失を抑えることができる。なお、実際の運転においては、加湿される側の空気圧と同じ、あるいはそれ以上の圧力を維持しながら水を流すことが好ましい。そのため、加湿を行う膜モジュールの前後どちらかにおいて供給又は排出する際の、空気及び/又は空気の圧力を計測し、水圧が空気圧(大気圧以下)より高くなるように、圧力を調整することが好ましい。
【0045】
水を流すことで、空気に対して、常に一定の熱量を供給でき、空気の湿度及び温度の制御を容易にできる。流す水の温度は、膜モジュールに供給される空気の温度に対して、−10℃〜+30℃と設定することが好ましい。この温度範囲とすることで、空気を一層効率的に加湿することができ、NOxの削減に一層有効である。
【0046】
本実施形態の窒素酸化物の削減方法では、湿度50%RH以上の加湿された空気を得ることができる。加湿された空気の湿度は、70%RH以上であることが好ましく、80%RH以上であることがより好ましく、90%RH以上であることが更に好ましい。かかる湿度の空気を内燃機関の運転に用いた場合、内燃機関の排気ガス中のNOxの含有量を大幅に削減できる。また、加湿された空気の湿度は、結露しない程度であればよく、湿度は100%RH未満であることが好ましく、95%RH以下であることがより好ましい。これによって、僅かな温度変化で結露することを防ぐことができる。
【0047】
本実施形態の窒素酸化物の削減方法では、加湿された空気中における水の含有量が1mol%以上であることが好ましい。加湿された空気中の水分子の量が多いほど、内燃機関におけるNOx発生を抑制できるため好ましい。より好ましくは3mol%以上であり、更に好ましくは6mol%以上であり、より更に好ましくは9mol%以上であり、より一層好ましくは10mol%以上である。
【0048】
水の含有量の上限は、湿度が上記した上限を超えない程度の含有量であることが好ましい。ある温度において、水の含有量が増加すると、水の蒸気圧が増加し、飽和蒸気圧に対する蒸気圧の割合である湿度(%RH)も増加する。したがって、内燃機関の運転温度において、湿度が100%RH未満となるような水の含有量に調整することが好ましい。そのため、加湿された空気の温度によって水の含有量の上限は異なるが、湿度が100%RH未満である含有量が好ましい。
【0049】
本実施形態では、水を循環させて使用してもよい。水の中には微量あるいは多量に塩類が含まれるため、水蒸気透過膜を用いて加湿を行うことで、水分のみが蒸発することにより、これらの塩類が濃縮される。水を循環させる場合は、濃縮された塩類を含む水を、連続的あるいは定期的に系外に排出させることが好ましい。具体的には、後述する給水部(水タンク等)に排水口を設けることにより、塩類が濃縮された水を排出することによって、循環させている水に含まれる塩類の濃度を一定に保つことができる。なお、水を循環させない場合は、膜モジュールから出た水は、熱交換器により熱を回収してから系外に排出することが好ましい。
【0050】
本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減方法では、上述した加湿工程で得られた、加湿された空気を内燃機関に導入する工程(導入工程)を行う。
【0051】
一般に、内燃機関は、空気を燃焼室に導入する前に加圧されるものが多い。そのため、本実施形態において、導入工程で、加湿された空気を加圧することが好ましい。特に、本実施形態において、加湿された空気を内燃機関に接続された過給機のコンプレッサで加圧することが好ましい。過給機のコンプレッサで加圧するとき、空気を取り込むことになるため、過給機のコンプレッサに入る手前で、効率よく大気圧以下の圧力にすることができる。したがって、過給機のコンプレッサで加圧する手前に、水蒸気透過膜を適宜設置することにより、大気圧以下の空気を水蒸気透過膜の面に一層効率よく接触させることができる。また、加圧する場合、断熱圧縮により加湿された空気の温度が上がることで、給気中の水蒸気が凝縮されることを防ぐことができる。過給機のコンプレッサを出た空気は、通常の場合充分に温度が上がり、その後のインタークーラーで、水蒸気が凝集しない、適切な温度に調整されてエンジンに供給される。なお、加圧は、内燃機関の過給機を用いて、内燃機関から排出される排気ガスのエネルギーをタービンで回収して行うか、エンジンの軸動力を用いて機械的に行うことが好ましい。加圧する際の圧力は、内燃機関に応じて適宜設定される。
【0052】
次に本実施形態の窒素酸化物の削減装置について説明する。
本実施形態の窒素酸化物の削減装置は、水蒸気透過膜と、前記水蒸気透過膜を収納するケースとを備え、前記ケース内には、前記水蒸気透過膜で仕切られた第一の空間と第二の空間とが形成され、前記ケースは、前記第一の空間に空気を供給する空気供給口と、前記第一の空間から前記空気を排出する空気排出口と、前記第二の空間に水を供給する水供給口と、前記第二の空間から前記水を排出する水排出口と、を備える膜モジュールと、前記膜モジュールの前記水供給口に接続される給水部と、を有する。本実施形態では、上記膜モジュールにより加湿された空気を、内燃機関の燃焼室に供給する。これにより、内燃機関から排出される排気ガス中のNOxの含有量を大幅に削減できる。
【0053】
膜モジュールとしては、上記した水蒸気透過膜を用いて空気を加湿できるものであればよく、その形態等は特に限定されないが、水蒸気透過膜と、前記水蒸気透過膜を収納するケースと、を有する膜モジュールであって、前記ケース内には、前記水蒸気透過膜で仕切られた第一の空間と第二の空間とが形成され、前記ケースは、前記第一の空間に空気を供給する空気供給口と、前記空気を排出する空気排出口と、前記第二の空間に水を供給する水供給口と、前記水を排出する水排出口とを備えるものを好適に用いることができる。かかる構成の膜モジュールを用いることで、空気と水が膜を介して直接接触しないので、水に含まれる溶解性分、分散性分、イオン成分等の不純物による空気の汚染を一層効果的に防止することができる。
【0054】
膜モジュールは、水蒸気透過膜を組み込み、装置化(モジュール化)したものである。膜モジュールの第一の空間は、空気を供給する開口部である空気供給口を有し、水蒸気透過膜により加湿された空気を取り出す開口部である空気排出口を有する。この第一の空間は上記した空気が流れる空間である。膜モジュールの第二の空間は、水を流すための開口部である水供給口と水排出口を備えている。この第二の空間は上記した水が流れる空間である。各開口部の数は、特に限定されず、膜モジュールの使用形態等を考慮して好適な数だけ設けることができる。
【0055】
膜モジュールの形態としては、特に限定されず、中空糸型膜モジュール又は平膜型膜モジュール等が挙げられる。例えば、平膜を用いたプレート・アンド・フレーム型、プリーツ型、あるいは中空糸型、チューブラー型等の膜モジュールが挙げられる。例えば、プリーツ型には、箱型にプリーツを重ねた形状のものや、プリーツを円筒に巻きつけた形状のもの等が挙げられる。
【0056】
図1は、本実施形態の膜モジュールの一実施形態の斜視図である。膜モジュールαは、箱型にプリーツを重ねた形状の膜モジュールである。水蒸気透過膜α1は、蛇腹状に連続して折りたたまれ、山折りの部分と谷折りの部分が重なり合って形成された複数のひだ部(プリーツ)を有している。プリーツ加工によって、特定のピッチで山折り谷折りを繰り返す構造になっているため、接触面積を向上させることができ、効率がよい。
【0057】
図2は、本実施形態の膜モジュールの別の一実施形態の斜視図である。膜モジュールβは、プリーツを円筒に巻きつけた形状の膜モジュールである。水蒸気透過膜β1は、円筒の中心軸に対して側面視した状態で、中心から放射線状に伸びる構造となっているため、接触面積を向上させることができ、効率がよい。
【0058】
図3は、本実施形態の膜モジュールの別の一実施形態の斜視図である。膜モジュールγは、プリーツを円筒に巻きつけた形状の膜モジュールであるが、水蒸気透過膜γ1は、円筒の中心軸に対して側面視した状態で、反時計回りにプリーツを傾けた(ねじった)構造となっているため(スパイラル形状)、接触面積を向上させることができ、効率がよい。
【0059】
上記膜モジュールの中でも、特に単位容積あたりの膜面積(比表面積)が大きいという観点から中空糸型膜モジュールや、圧力損失が小さいプリーツ型が好ましい。中空糸型膜モジュールは、中空糸の外面側に空気を導入し、内面に水を導入する方式であってもよいし、中空糸の内面に空気を導入し外面に水を導入する方式であってもよい。
【0060】
図4は、本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減方法で用いる中空糸型膜モジュールの一実施形態を示す概念図である。膜モジュール1は、水蒸気透過膜11と、水蒸気透過膜11を収容するケース12とを備えている。膜モジュール1は、筒状の中空糸型膜モジュールであり、その内部に中空糸膜である水蒸気透過膜11が組み込まれている。ケース12は、空気供給口121と、空気排出口122と、水供給口123と、水排出口124とを備えている。ケース12内では、水蒸気透過膜11により仕切られた、第一の空間a1と、第二の空間b1とが形成されている。中空糸型膜モジュールの場合、膜(水蒸気透過膜11)の内径側に第一の空間a1が形成され、外径側に第二の空間b1が形成されている。第一の空間a1は処理される空気が流れる空気領域であり、第二の空間b1は水が流れる水領域である。
【0061】
空気は、空気供給口121から水蒸気透過膜11に供給され(矢印F1参照)、加湿された空気は、空気排出口122から排出される(矢印F2参照)。その際、空気を加湿する水は、水供給口123からケース12内へ供給され(矢印F3参照)、水排出口124からケース外へ排出される(矢印F4参照)。
図4では、空気の流れと水の流れが対向するように、空気供給口121、空気排出口122、水供給口123、及び水排出口124が膜モジュール1に設けられている。膜モジュール1は、空気供給口121、空気排出口122、水供給口123及び水排出口124を夫々1ずつ有する形態であるが、本実施形態では必要に応じてこれらの数を2以上とすることもできる。例えば、空気の流速や、空気の加湿の効率の観点から、空気供給口121、空気排出口122、水供給口123及び水排出口124の夫々を2以上とすることもできる。
【0062】
図5は、本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減方法で用いる平膜型膜モジュールの一実施形態を示す概念図である。ここでは、
図4で説明した事項と共通する事項については説明を省略し、
図4と相違する点を中心に説明する。膜モジュール2は、水蒸気透過膜21と、水蒸気透過膜21を収容するケース22とを備えている。膜モジュール2は、箱型膜モジュールであり、その内部に平膜である水蒸気透過膜21が組み込まれている。ケース22は、空気供給口221と、空気排出口222と、水供給口223と、水排出口224とを備えている。ケース22内では、水蒸気透過膜21により仕切られた、第一の空間a2と、第二の空間b2とが形成されている。箱型膜モジュールの場合、平膜(水蒸気透過膜21)の一方の表面側(
図5では上方)に第一の空間a2が形成され、平膜の他方の表面側(
図5では下方)に第二の空間b2が形成されている。第一の空間a2は処理される空気が流れる空気領域であり、第二の空間b2は水が流れる水領域である。
【0063】
空気は、空気供給口221から水蒸気透過膜21に送り込まれ(矢印F1参照)、加湿された空気は、空気排出口222から排出される(矢印F2参照)。その際、空気を加湿する水は、水供給口223からケース22内へ供給され(矢印F3参照)、水排出口224からケース外へ排出される(矢印F4参照)。
図5では、空気の流れと水の流れが対向している状態である。
【0064】
図4及び
図5では、一例として、膜として水蒸気透過膜を有する膜モジュールについて説明したが、本実施形態では、使用条件や使用環境等に応じて膜の種類や構成を選択することができる。
【0065】
本実施形態では、給水部によって、膜モジュールの水供給口に水を供給する。給水部は、膜モジュールの水供給口に水を供給できるものであれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、膜モジュールの水供給口に水槽から水を供給する方法が挙げられる。水は空気が流れる側(空気側)よりも高い圧力で加圧することが好ましい。これにより、空気が、空気側から水が流れる側(循環水側)に膜を透過して抜け、給気量が減少することを防止できる。例えば、水を加圧し、水供給口に導入する方法としては、水供給口の手前に、又は水排出口の後ろに加圧ポンプを設置して、水又は水蒸気を導入する方法等が挙げられる。また、上記した膜モジュールの第二の空間(空気領域)を減圧することにより、水を水供給口から第二の空間に導入することが可能である。その具体例としては、水排出口の後ろに自給式ポンプやエジェクターを設置して第二の空間に水を導入する方法等が挙げられる。
【0066】
給水部は、膜モジュールの水排出口から排出される水を、再び膜モジュールの水供給口に供給する送液部を有することが好ましい。これにより、膜モジュールに供給する水を循環させることができ、節水できる。例えば、膜モジュールにおいて、第二の空間の少なくとも2個の開口部が水槽に接続され、その開口部のうちの1個が水供給装置を経由することにより、水又は水蒸気を循環させることができる。開口部が2個の場合、1個の開口部が水供給ポンプを経て水槽に接続され、もう1個の開口部が水槽に直接接続される構成が挙げられる。開口部が複数個の場合、複数個の開口部が水供給ポンプを経て水槽に接続され、それ以外の複数個の開口部が水槽に接続される構成が挙げられる。この構成によって、水槽から水供給装置を経由して、膜モジュールに水又は水蒸気が供給され、さらに水排出口から排出され、水槽に戻る経路が確保できるので、水又は水蒸気が循環することができる。水蒸気のときは、排気をキャリアーとしてもよく、内燃機関から排出される排気ガスを水蒸気が通る経路に連結してもよい。
【0067】
水を循環させる場合は、加湿により循環水中に塩類が蓄積するので、間歇的にあるいは連続的に循環水を排出(プローダウン)して塩濃度を一定に維持することが好ましい。水を循環させない場合は、膜モジュールから排出される水に取り出せる熱エネルギーがある場合は、熱交換器によりその熱エネルギーを回収することが好ましい。
【0068】
本実施形態では、空気加圧部によって、膜モジュールで加湿された空気を加圧して、内燃機関の燃焼室に供給することが好ましい。空気加圧部は、内燃機関の燃焼室に空気を供給できるものであれば、特に限定されず、過給機による加圧、ブロアーによる加圧を行うことができる。空気加圧部の具体例としては、コンプレッサやタービンポンプ等が挙げられる。特に、内燃機関の過給機を用いることが好ましい。過給機とは、内燃機関に空気を圧縮して強制的に送り込む装置をいい、その種類は特に限定されない。例えば、ターボチェージャー、スーパーチャージャー、リショルム・コンプレッサ、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー等が挙げられる。膜モジュールによって、加湿された空気が過給機の空気取り入れ口に接続されることで、加湿された空気が加圧されて、内燃機関に供給されることとなる。また、膜モジュールで加湿された空気を、温度調整を行ってから、上記方法で加圧することもできる。当該加湿された空気を、温度調整により加熱することで、結露をより効果的に防止することができる。
【0069】
本実施形態では、水の温度を制御する温度制御部、水の流量を制御する流量制御部、あるいはその両方を更に備えることが好ましい。水槽又は水供給装置に接続される水の温度制御部又は水の流量制御部により、水の温度や流量を好適な条件に制御できる。装置構成等は特に限定されず、例えば、水温モニターにより測定された水温に基づいて水を加熱又は冷却する水温制御部と、流量モニターにより測定された流量に基づいて水の流量を調節する流量制御部とを備える構成等が挙げられる。水温モニターと流量モニターを用いて、水をリアルタイムにモニタリングすることで、流す水の水温及び流量を自動制御することが好ましい。加えて、水を加熱する際に、内燃機関の排熱を利用することが好ましい。排熱は、内燃機関から排出される排気ガスやエンジンオイルから得ることができる。
【0070】
本実施形態の窒素酸化物の削減装置に供給する水を加熱する場合は、熱交換器により内燃機関の廃熱を集めこの熱を有効に利用することが好ましい。本実施形態の装置では、前処理として、空気から塵埃を除去するためにプレフィルターを、膜モジュールの前に設けてもよい。
【0071】
図6は、本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減装置の一実施形態を示す概念図である。窒素酸化物の削減装置3は、上記中空糸型の膜モジュール1を有している。膜モジュール1の空気供給口(
図4参照)には、矢印F5から大気圧以下の空気が供給される。膜モジュール1の空気排出口(
図4参照)には、温度計31、圧力計32、流量計33、湿度計34及び酸素濃度計35が接続されている。さらに、温水バス36と、循環水ポンプ37と、循環水流量計38と、循環水圧力計39とが膜モジュール1の水供給口(
図4参照)と水排出口(
図4参照)の間に接続されている。
【0072】
温水バス36は、水の温度を制御する温度制御部として、温度計とヒータを備えるものを用いることが好ましい。このような温度制御部を有することで、水(循環水)の温度を制御することができる。さらに、水の流量を制御する流量制御部として、循環水ポンプ37、循環水流量計38及び循環水圧力計39を備えることにより、膜モジュール1に通水する水量を制御することができる。その結果、NOxの低減効果を一層向上させることができる。温水バスには、水供給配管361と水排出配管362が接続されている。水供給配管361により、加湿された水量分程度の水が供給される。水の中には通常塩類やその他の水溶性成分・分散性成分等の不純物が含まれており、加湿をしながら水を供給すると循環水中にこれらの塩類やその他の水溶性成分・分散性成分が濃縮される。これら成分の濃度を一定に保つには、水排出配管362より連続的にあるいは定期的に循環水が排出(プローダウン)することが好ましい。
【0073】
また、運転する内燃機関の負荷に応じて内燃機関に供給する給気の最適な酸素濃度と湿度を制御する観点から、循環水の圧力及び流量をバルブV1及びV2で制御することが好ましい。あるいは、循環水ポンプ37をインバータ等で制御することもできる。
【0074】
大気圧以下の空気は、上記矢印F5から膜モジュール1に供給され、加湿された空気として矢印F6から取り出すことができる。水は、循環水ポンプ37によって、温水バス36に貯蔵されている温水が矢印F7から膜モジュール1に送り込まれ、矢印F8に向けて循環している。
【0075】
図7は、本実施形態の内燃機関の窒素酸化物の削減装置の別の一実施形態を示す概念図である。窒素酸化物の削減装置4は、上記平膜型の膜モジュール2を有している(
図5参照)。膜モジュール2の空気供給口(
図5参照)には、矢印F5から空気が供給される。膜モジュール2の空気排出口(
図5参照)には、温度計41と、圧力計42と、流量計43と、湿度計44と、酸素濃度計45とが接続されている。さらに、温水バス46と、循環水ポンプ47と、循環水流量計48と、循環水圧力計49とが膜モジュール2の水供給口(
図5参照)と水排出口(
図5参照)の間に接続されている。
【0076】
大気圧以下の空気は、上記矢印F5から膜モジュール2に供給され、加湿された空気として矢印F6から取り出すことができる。水は、循環水ポンプ47によって、温水バス46に貯蔵されている温水が矢印F7から膜モジュール2に送り込まれ、矢印F8に向けて循環している。温水バスには、水供給配管461と水排出配管462が接続されており、
図6での説明と同様である。
【0077】
内燃機関の負荷に応じて吸気の最適な湿度を制御するため、循環水の圧力及び流量をバルブV1及びV2で制御できる。あるいは、循環水ポンプ47をインバータで制御することもできる。循環水の温度は、温水バス46にて制御することができる。
【0078】
なお、内燃機関に供給される空気の量は内燃機関に供給される燃料の量に対して適宜好適な比率となるように制御することが好ましい。また、燃料に対する給気中の水(水蒸気)の比(水/燃料比)は、適宜好適な比率となるよう制御することが好ましい。なお、ここでいう水/燃料比とは、エンジンに供給した燃料供給速度(g/s)に対する、供給した吸気中の水分量の供給速度(g/s)の比を意味する。具体的には、水/燃料比は1以上であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましい。
【0079】
本実施形態の内燃機関装置は、上記窒素酸化物の削減装置と、内燃機関装置とを有し、上記窒素酸化物の削減装置の空気加圧部は、膜モジュールの空気排出口と、内燃機関との間に配置されている。かかる構成とすることで、窒素酸化物の削減装置により得られる加湿された空気を加圧して内燃機関に送り込むことができる。
【0080】
内燃機関の種類は特に限定されず、例えば、ディーゼルエンジン等が挙げられる。ディーゼルエンジンとしては、その用途は特に限定されず、船舶、自動車、発電機、飛行機、列車、各種重機、タービン等の動力源として用いられているものが挙げられる。内燃機関の中でも、ディーゼルエンジンは熱効率に優れ、軽油や重油等の一般的燃料の他にも、種々の液体燃料が使用可能であり、汎用性が高い。かかるディーゼルエンジンの排気ガス中のNOxの含有量を低減できることは、環境面において大きな意義がある。本実施形態では、上記したように加湿に使用する水は塩化ナトリウム等の塩やその他の不純物を含有するものであっても使用できる。この観点から、例えば、海水等を容易に入手できる船舶等のディーゼルエンジンにも用いることができる。ディーゼルエンジンの種類としては、2ストローク低速機関、4ストローク中速機関、4ストローク高速機関が本実施形態の好適な例として挙げられる。
【0081】
図8は、本実施形態の内燃機関装置の一実施形態を示す概念図である。内燃機関装置5は、内燃機関の過給機と内燃機関の燃焼室とを有し、過給機の前(上流)に上記窒素酸化物の削減装置を設置した構成である。内燃機関装置5は、上記膜モジュール1を有しており、過給機(ターボチャージャー)51に空気が取り込まれることによって、大気圧以下の空気を、膜モジュール1の空気供給口121に一層効率よく供給することができる。大気圧以下の空気は、膜モジュール1を通過し、空気排出口122より加湿された空気として得られる。加湿された空気の排出口である空気排出口122は、過給機51に接続されている。過給機51の空気排出口には、インタークーラー(図示せず)と、吸気マニホールド52と、排気マニホールド54とを有する内燃機関の燃焼室53が接続されている。矢印F18から過給機51に供給された空気は圧縮された後、インタークーラーで所定の温度に調整(通常冷却)されて、吸気マニホールド52を経て、内燃機関の燃焼室53に供給される。そして、排気マニホールド54を経て、排気が系外に排出される(矢印F20参照)。加湿に用いられる水は、循環水ポンプ56によって、温水バス55の温水が膜モジュール1に供給され(矢印F21参照)、系内を循環している(矢印F22参照)。かかる装置構成とすることにより、加湿前に空気を加圧する必要なく、十分に加湿された空気を内燃機関に送り込むことができる。本実施形態の内燃機関装置の構成は、上記構成を含むものであればよく、内燃機関の用途や使用環境等に応じて適宜に設計することができる。
【0082】
温水バスには、水供給配管551と水排出配管552が接続されている。水供給配管551により、加湿された水量分の水が供給される。水の中には通常塩類やその他の水溶性成分・分散性成分が含まれており、加湿をしながら水を供給すると、循環水中にこれらの塩類やその他の水溶性成分・分散性成分が濃縮される。これら成分の濃度を一定に保つため、水排出配管552より連続的にあるいは定期的に循環水が排出(プローダウン)される。
【0083】
図8では、膜モジュールの一例として、
図4に示した中空糸型膜モジュール1を用いているが、本実施形態の内燃機関はかかる膜モジュールを用いたものに限定されない。例えば、膜モジュール1に替えて、
図5に示した平膜型膜モジュール2等を用いることも可能である。また、空気供給口121より供給される空気は、通常酸素濃度の空気だけでなく、酸素濃度が大気よりも高い空気や低い空気も使用可能である。
【0084】
図9は、本実施形態の内燃機関装置の別の一実施形態を示す概念図である。
図8と異なる部分を中心に説明を行う。内燃機関装置6は、上記膜モジュール1を有しており、過給機61に空気が取り込まれることよって、大気圧以下の空気を、膜モジュール1の空気供給口121に一層効率よく供給することができる。大気圧以下の空気は膜モジュール1を通過し、空気排出口122より加湿された空気として得られる。加湿された空気の排出口である空気排出口122は、過給機61に接続されている。過給機61の空気排出口には、インタークーラー(図示せず)と、吸気マニホールド62と、内燃機関の燃焼室63と、排気マニホールド64と、が接続されている。矢印F18から過給機61に供給された空気は、圧縮されて内燃機関の燃焼室63に供給される。そして、排気マニホールド64を経て、排気が系外に排出される(矢印F20参照)。
【0085】
図9では、水は水供給配管651より供給され、熱交換器67,68で所定の温度に昇温された後、循環水ポンプ66によって、加湿用の水として膜モジュールに供給される(矢印F21参照)。膜モジュール1から排出された水(矢印F22参照)は、熱交換器67で、水供給配管651から供給された水と熱交換し、水排出配管652から系外へ排出される。この形式の水供給方法は、海水等の塩濃度が高い水を加湿用の水として使用するときに採用することが好ましい。
【0086】
本実施形態の方法は、本実施形態の効果の範囲内で、他の加湿方法を併用、あるいは適宜変形して、実施することができる。例えば、水を噴霧した給気を供給する方法、燃料中に水を添加し、W/O型(Water/Oil型)エマルションとしてエンジンに供給する方法、シリンダー内に水を噴射する方法等と併用することも可能である。さらには、本実施形態の効果の範囲内で、他のNOx削減方法、例えば、排気ガスを給気に循環する方法(排気の循環位置は本装置の上流(給気)側、下流(加湿空気給気側)いずれも可能である)、排気を後処理する方法等と併用することが可能である。本実施形態の方法は、空気中の水蒸気の量や、空気の温度を制御し易いため、様々な方法と組み合わせて用いることもできるのである。
【実施例】
【0087】
以下の実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0088】
[実施例1]
図10に示す内燃機関装置7を運転し、その排気ガス中のNOx濃度を測定し、内燃機関に給気した空気の加湿量とNOx発生量の関係を検討した。内燃機関装置7は、空気供給配管71、三方弁721,723、コンプレッサ(過給機)73、インタークーラー(図示せず)、循環水ポンプ74、温水発生機75、膜モジュール1(
図4参照)、サンプリング弁76、ディーゼルエンジン77が接続されている。
【0089】
膜モジュール1は、中空糸型膜モジュールである。膜モジュール1に装填した膜エレメントは、内径0.7mmφ、外径1.0mmφのポリエーテルスルホン製の中空糸限外ろ過膜(UF膜)を支持層として、その外側に水蒸気透過膜としてフッ素系樹脂である「テフロン(登録商標)AF1600」(商品名、デュポン社製)を厚さ1μm以下となるようにコーティングし、これを芯棒の周りに綾巻にすることで作製した。この膜エレメントは1本当たりの膜面積が10m
2、外径175mmφ、長さ430mmの円筒形状であり、これを4本使用した。なお、上記水蒸気透過膜の吸水率は、0.01%以下であり、水との接触角は104°であった。吸水率は、ASTM D570に従って、サンプルを23℃の水に24時間浸漬した条件で測定した。水との接触角は、サンプルの表面に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で1分間放置した後、接触角測定装置(協和界面科学社製、「CA−X150型接触角計」)を用いて測定した。
【0090】
ディーゼルエンジンの仕様は、定格2400rpm(100%負荷時)、出力103kW、ボア110mm、ストローク125mm、Pme1.08Mpaであり、軽油燃料を使用した。エンジンの運転は「舶用ディーゼルエンジンからのNOx排出規制に関するテクニカルコード(2008)」(日本海事協会)に規定されているE3型テストサイクルに準じて行った。エンジンの運転は、エンジン負荷率75%で行い、給気圧力を65kPaGとした。
【0091】
空気は、空気供給配管71から三方弁721を経由して膜モジュール1の内側(空気供給口)に供給されて、加湿される。その後、加湿された空気は、三方弁722を経由して、コンプレッサ(過給機)73で加圧され、ディーゼルエンジン77に供給される。また、水源78から温水発生機75に水が供給されて温水とし、循環水ポンプ74を経由して膜モジュール1の外側(水供給口)に供給され、水蒸気透過膜を通して空気を加湿する。残りの水は、弁791を経由して再び温水発生機75に戻る。水中の不純物や塩類の濃度が高くなった場合、温水発生機75に接続される水排出配管751より系外へと排出される。なお、弁792は、空気や水が過剰な圧力となったときの安全弁の役割を果たす。
【0092】
実施例1では、水として水道水を循環させた。膜モジュール1の空気供給口における空気の圧力は0kPaG(ゲージ圧)、温度は25℃、酸素濃度は20.9%であった。酸素濃度は、酸素濃度計(ジコー社製、「JKO−25LJII」)を用いて測定した。
【0093】
膜モジュール1の空気供給口における空気の圧力を大気圧とし、空気排出口における空気の圧力を−2kPaG(ゲージ圧)とし、膜モジュール1の水供給口における水の温度を51℃と設定した。また、空気が水蒸気透過膜から透過しないように、膜モジュール1の水供給口における水の圧力を20kPaG(ゲージ圧)とした。膜モジュール1から排出される加湿された空気の温度は46.5℃、相対湿度85%であった。実験の結果、NOxの発生量は3.72g/kWhであった。また、本実験によるディーゼルエンジンの腐食は認められなかった。
【0094】
[実施例2]
使用する給気の湿度及び相対湿度を表1の条件に変更し、給気圧力を80kPaGに変更した以外は、実施例1と同様にして実験を行い、表1に示す結果を得た。
【0095】
[実施例3]
実施例1の内燃機関装置の膜モジュール1を下記に示す平膜型膜モジュールに換えた内燃機関装置を運転させた。支持層としてポリエチレン微多孔膜(水銀ポロシメーターによるモード径は90nm)を用い、ポリエチレン微多孔膜を幅300mmに裁断した後、ポリエチレン微多孔膜の片表面のみに、「テフロン(登録商標)AF1600」(デュポン社製)を、マイクログラビア塗工機(康井精機製)を用いて厚さ1μm以下となるようにコーティングし、水蒸気透過膜を得た。
【0096】
次に、スペーサーを2枚用意し、その間に上記水蒸気透過膜を挟み、プリーツ機を用いて、プリーツ高さ40mmの条件でプリーツ加工を行った後、幅120mmに裁断してひだ部の枚数450枚(長さ約380mm)のプリーツ積層体を得た。この端部をエポキシ樹脂で接着し、膜エレメントを得た。スペーサーには、直径約126μmの複数の糸からなるポリエステル製撚糸で作製した平織物であって、糸の交点が熱融着により固定された、厚さ:183μm、オープニング(糸間距離):1mm、幅300mmの平織物を用いた。この膜エレメントを装填して、平膜型膜モジュールとした。この平膜型膜モジュールを用いて、膜モジュール1の水供給口における水の温度を51℃と設定し、内燃機関装置の運転を行った。その他は、実施例1と同様に、表1に示す条件で水の温度と流量を調節して運転を行った。
【0097】
[実施例4]
給気の温度及び相対湿度を表1の条件に変更し、給気圧力を80kPaGに変更した以外は、実施例3と同様にして実験を行い、表1に示す結果を得た。
【0098】
[比較例1]
実施例1と同じ内燃機関装置を運転した。その際、三方弁721,722を調整することにより、膜モジュール1を経由せずに、コンプレッサ73からの空気をディーゼルエンジン77に直接供給した。実験の結果、NOx発生量は13.26g/kWhとなった。
【0099】
[比較例2]
膜モジュール1をコンプレッサ73とディーゼルエンジン77の間に設置した。コンプレッサ73を膜モジュール1の空気供給口に接続し、膜モジュール1の空気排出口をディーゼルエンジン77に接続したこと以外は、実施例1と同様の内燃機関装置を用いた。比較例2では、膜モジュール1の空気供給口の圧力は65kPaGであり、大気圧を超える圧力に加圧した空気を加湿して、内燃機関に導入する実験を行った。実施例1と同じ条件で水を流したところ、加湿が不十分であった。
【0100】
[比較例3]
膜モジュール1をコンプレッサ73とディーゼルエンジン77の間に設置した。コンプレッサ73を膜モジュール1の空気供給口に接続し、膜モジュール1の空気排出口をディーゼルエンジン77に接続したこと以外は、実施例3と同様の内燃機関装置を用いた。比較例3では、膜モジュール1の空気供給口の圧力は65kPaGであり、大気圧を超える圧力に加圧した空気を加湿して、内燃機関に導入する実験を行った。実施例2と同じ条件で水を流したところ、加湿が不十分であった。
【0101】
実施例1〜4及び比較例1の結果を表1に示す。なお、表中、酸素過剰率とは、燃料を燃焼するのに必要な酸素量に対して、供給した吸気中の酸素量の比率(倍率)である。水/燃料比とは、エンジンに供給した燃料供給速度(g/s)に対する、供給した吸気中の水分量の供給速度(g/s)の比である。給気温度とは、エンジンに供給される加湿された空気の温度である。
【0102】
【表1】
【0103】
続いて、内燃機関内における燃焼経過を詳しく検討するため、実施例2と比較例1のシリンダー内の挙動について更に検討した。
図11は、実施例2と比較例1のシリンダー内の指圧線図と熱発生率曲線をプロットしたグラフである。熱発生率は、それぞれの実験条件において150サイクルの指圧線図の平均をクランク角度で0.1°間隔で、算出した結果である。燃焼解析には小野測器社製、「DS−200 series 燃焼解析システム」(「DS−0228定常燃焼解析ソフトウェア」使用)を使用した。
【0104】
加湿を行っていない比較例1の場合、圧縮圧力(シリンダー内圧)の平均値は約6.8MPaであり、圧縮圧力の最大値が9.9MPaであった。加湿を行っている実施例2の場合、圧縮圧力(シリンダー内圧)の平均値は約6.5MPaであり、圧縮圧力の最大値は約9.5MPaであった。一方、着火遅れの違いは小さかった。実施例2の圧縮圧力と最高圧力が、比較例1よりも低いのは、実施例2の作動流体の比熱が加湿により増大したためと考えられる。作動流体の比熱が大きくなると、圧縮温度が低下し、圧縮圧力も低くなる。また、着火後の最高圧力が減少するということは、着火後の熱の上昇が抑えられているからであり、その結果NOxの発生が大きく抑制されたものといえる。これにより一サイクル当りの膨張仕事(正の仕事量)は、最高圧力の低下分だけ減少するが、圧縮圧力の低下により圧縮仕事(負の仕事量)が減少するため、燃料の消費量はあまり増加していない。このことにより、実施例2の結果をうまく活用することにより、燃費の悪化を招くことなくNOxの低減が達成できる。
【0105】
すなわち、作動流体の加湿によりその比熱が上昇したために、燃焼による温度上昇が抑制され最高圧力が低下して膨張仕事(正の仕事)は減少したが、圧縮による温度上昇も抑制されたため圧縮仕事(負の仕事)も減少したために、両者相殺して、燃費にあまり大きな変化が無かったと考えられる。作動流体の加湿による比熱上昇は、エンジンの圧縮仕事(負の仕事)を軽減させるのに有効であり、着火後の膨張仕事(正の仕事)をいかに効率よく取り出すかは、噴霧燃焼技術により改善できる可能性がある。一般的には、最高燃焼温度を低下させる燃焼制御でのNOx低減手法(EGR、NEM、水噴射等)では、燃費とNOx発生がトレードオフの関係にあると言われるが、加湿により作動流体の比熱を上げることでこのトレードオフ曲線を改善できる。
【0106】
以上より、各実施例において内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を簡便かつ効果的に低減できたことが確認された。
【0107】
本出願は、2010年8月24日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2010−187671)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。