特許第5778682号(P5778682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778682
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】物品陳列押出装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 1/12 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   A47F1/12
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-536151(P2012-536151)
(86)(22)【出願日】2011年7月22日
(86)【国際出願番号】JP2011004135
(87)【国際公開番号】WO2012042721
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2010-220175(P2010-220175)
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】竹入 浩之
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−069459(JP,U)
【文献】 特開平07−241227(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/037027(WO,A1)
【文献】 特開平08−052051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配列した状態で収容するケース本体と、該ケース本体の内部に前記物品の押出方向に沿って形成されたレール部と、該レール部に沿って前記ケース本体の内部を前記押出方向に沿って移動自在に設けられた案内部材と、巻き癖が付与された渦巻き状の板バネ片を備えた巻回部およびこの巻回部から引出自在であって前記板バネ片の弾性復元力により牽引される牽引体を含む板バネ機構と、を具備し、
前記案内部材は、前記牽引体の先端側と接続されて前記板バネ片の前記弾性復元力により前記押出方向に付勢され、
前記ケース本体の端部側に窓部が形成されており、前記ケース本体の外部から前記窓部を通じて前記板バネ片または前記牽引体の少なくとも一部が視認可能であり、
前記板バネ片または牽引体の長さ方向の任意の位置に前記板バネ片または牽引体の前記巻回部からの繰り出し量の目安となる表示部が形成され、前記窓部を介し前記表示部を視認することにより前記ケース本体に収容された前記物品の数量把握ができるように構成され、
前記巻回部は、前記表示部が形成されたテープ状の表示片と前記板バネ片との2重巻き構造とされてなることを特徴とする物品陳列押出装置。
【請求項2】
前記表示部が、前記ケース本体に収容された前記物品の残り数量を色彩により示す色表示部または前記残り数量を模様により示す模様表示部である請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項3】
前記色彩または前記模様が前記板バネ片または前記牽引体の一部の長さ領域に連続的に形成されており、所定の前記繰り出し量となったときに前記長さ領域の端部が前記窓部を介して視認されることを特徴とする請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項4】
前記表示部が、前記ケース本体に収容された前記物品の残り数量を示す数字である請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項5】
前記表示部が形成されたテープ状の表示片が、前記板バネ片のうち前記窓部に臨む表面に被着されている請求項からのいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項6】
前記表示片は前記板バネ片の基端側から先端近傍に亘って被着されており、
前記案内部材は前記表示片の先端側の端部を前記板バネ片に対して押圧するテープ押さえ部を備える請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項7】
互いに並行する一対の前記レール部を含み、
前記案内部材は、前記レール部を上下方向から挟持して前記押出方向に摺動する挟持部を幅両側にそれぞれ備え、前記挟持部が前記レール部に対して前記押出方向に摺動する請求項1からのいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項8】
前記レール部の上面または下面の少なくとも一方には前記押出方向に沿って延在する突条部が形成されており、前記突条部の頂部と前記挟持部とが前記押出方向に直交する横断面において点接触することを特徴とする請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項9】
前記突条部が、前記レール部の上面に形成された上突条と、前記レール部の下面に形成された下突条と、を含む請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項10】
前記上突条の頂部と前記下突条の頂部とが、前記横断面において幅方向の異なる位置に形成されている請求項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項11】
前記横断面において、前記上突条と前記下突条の曲率半径が互いに相違する請求項10に記載の物品陳列押出装置。
【請求項12】
前記上突条または前記下突条のうち前記曲率半径がより大きい一方の前記頂部が、他方の前記頂部よりも、前記横断面において幅方向の外方に位置している請求項11に記載の物品陳列押出装置。
【請求項13】
前記ケース本体の側面は、前記板バネ片の巻き量が最大であるときの前記巻回部の外周の下限位置よりも更に下方まで延出している請求項1から12のいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項14】
前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記筒型ケースの外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復元力により巻取自在にされてなることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
【請求項15】
前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの一部に延出形成された延長部と、該延長部の外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記延長部の外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復元力により巻取自在にされてなることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列された商品などの物品を取り出しやすいように構成した物品陳列押出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箱入りタバコ、箱入りの食料品、飲料缶、飲料ボトルなどの陳列商品の押出装置として種々の押出装置が開発されている。
例えば、特許文献1に記載の商品陳列ケースは、細長い箱型の商品収納ケースの両側板内にレールを設けてケース本体を構成し、レールに沿って移動する商品保持具に板バネを巻き付けてなる渦巻きバネを装着してなる。このケースは、板バネの弾性復元力を駆動力として利用し、商品保持具をケース本体の内部側においてスライド移動自在に保持した構造とされている。
また、特許文献2に記載の商品前出し陳列装置は、箱型のケースの相対向する側壁の内面側に縦方向に溝部を複数設け、レールを摺動する押し板、板バネ、および一対のレール部材からなる商品前出し器具を作成してなる。この装置は、レール部材の両端に係止ピンを設けて、これらの係止ピンをケース側壁の複数の溝部に挿入してレールの位置決めをなす構造とされている。
【0003】
更に、特許文献3、4には、商品を陳列方向(前後方向)に支持しながら移動する支持片に渦巻きバネを内蔵した商品押出装置が開示されている。この装置は、渦巻きバネの一端を繰り出して商品の収納ケースの一端側に取り付け、陳列した商品をケースから取り出す度に支持片が商品を順次前方側に押し出す構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−218113号公報
【特許文献2】特開2005−237566号公報
【特許文献3】米国特許第4303162号明細書
【特許文献4】米国特許第6964235号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商品の陳列装置においては、陳列在庫の管理確認や機会損失の低減の観点から、ケース本体に収容されている商品の補充のタイミングを把握できることが望ましい。一方で、商品の陳列効率を向上するためには商品同士を近接させて陳列することが求められるため、ケース本体に収容されている商品の残り数量を直接に目視確認することが困難な場合がある。
これに対し、従来のこの種の陳列装置において上述の要求を満たすものは提供されていないのが実情である。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、配列して収納された商品が取り出されて残数が少なくなったことの確認が可能な物品陳列押出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品陳列押出装置は、 物品を配列した状態で収容するケース本体と、該ケース本体の内部に前記物品の押出方向に沿って形成されたレール部と、該レール部に沿って前記ケース本体の内部を前記押出方向に沿って移動自在に設けられた案内部材と、巻き癖が付与された渦巻き状の板バネ片を備えた巻回部およびこの巻回部から引出自在であって前記板バネ片の弾性復元力により牽引される牽引体を含む板バネ機構と、を具備し、前記案内部材は、前記牽引体の先端側と接続されて前記板バネ片の前記弾性復元力により前記押出方向に付勢され、前記ケース本体の端部側に窓部が形成されており、前記ケース本体の外部から前記窓部を通じて前記板バネ片または前記牽引体の少なくとも一部が視認可能であり、前記板バネ片または牽引体の長さ方向の任意の位置に前記板バネ片または牽引体の前記巻回部からの繰り出し量の目安となる表示部が形成され、前記窓部を介し前記表示部を視認することにより前記ケース本体に収容された前記物品の数量把握ができるように構成され、前記巻回部は、前記表示部が形成されたテープ状の表示片と前記板バネ片との2重巻き構造とされてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、巻回部を有する板バネ片の弾性復元力を利用して案内部材をレール部に沿って付勢する。このため使用者は、押し出されてくる物品を、ケース本体における押出方向の前方側から取り出すことができる。このとき、窓部から板バネ片または牽引体を視認可能なため、これらの状態に基づいて物品の残り数量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】本発明に係る物品陳列押出装置の第一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す物品陳列押出装置の平面図である。
図3図3Aは、図1に示す物品陳列押出装置の側面断面図である。図3Bは、案内部材の正面図である。
図4図1に示す物品陳列押出装置に付設されるスペーサーの一例を示す側面図である。
図5図1に示す物品陳列押出装置の正面図である。
図6図1に示す物品陳列押出装置に対するスペーサーの取り付け状態の一例を示す断面図である。
図7図1に示す物品陳列押出装置に対するスペーサーの取り付け状態の他の例を示す断面図である。
図8図1に示す物品陳列押出装置に備えられる板バネ部材の一例を示す斜視図である。
図9】第一実施形態の変形例にかかる板バネ部材を示す斜視図である。
図10】第一実施形態の他の変形例にかかる窓部を示す正面図である。
図11】本発明に係る物品陳列押出装置の第二実施形態を示す側面断面図である。
図12】本発明に係る物品陳列押出装置の第三実施形態の板バネ部材を示す平面図である。
図13】本発明に係る物品陳列押出装置の第三実施形態の板バネ部材を示す断面図である。
図14図14Aは、図13のa−a線断面図である。図14Bは、図13のb−b線断面図である。
図15】本発明に係る物品陳列押出装置の第三実施形態のケース本体を示す正面図である。
図16】本発明に係る物品陳列押出装置の第三実施形態の一部を示す側面図である。
図17】本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態の板バネ部材を示す平面図である。
図18】本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態の板バネ部材を示す断面図である。
図19】本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態の板バネ部材を示す構成図である。
図20】本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態のケース本体を示す正面図である。
図21】本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態の一部を示す側面図である。
図22】本発明に係る物品陳列押出装置の第五実施形態の平面図である。
図23図23A図22のA−A線断面図である。図23B図23Aにおけるレール部の近傍の拡大図である。
図24図24Aは第五実施形態の案内部材の側面図である。図24B図23AのB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る物品陳列押出装置の第一実施形態について図面を参照しなから説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
図1は本発明に係る物品陳列押出装置1の第一実施形態を示す斜視図である。図2図1の平面図である。図3A図1の側面断面図であり、図3Bは案内部材5の正面図である。
【0012】
第一実施形態の物品陳列押出装置1は、ケース本体3、レール部7、案内部材5および板バネ機構6を具備する。
ケース本体3は、商品などの複数個の物品2を互いに配列した状態で収容する。レール部7は、ケース本体3の内部に物品2の押出方向に沿って形成されている。案内部材5は、レール部7に沿ってケース本体3の内部を押出方向に沿って移動自在に設けられている。板バネ機構6は、巻き癖が付与された渦巻き状の板バネ片12Aを備えた巻回部12B、およびこの巻回部12Bから引出自在であって板バネ片12Aの弾性復元力により牽引される牽引体を含む。
また、案内部材5は、巻回部12Bから引き出された牽引体の先端側(板バネ片12Aの先端部12a)と接続されて板バネ片12Aの弾性復元力により押出方向に付勢される。そして、物品陳列押出装置1は、ケース本体3の端部側に窓部20が形成されており、ケース本体3の外部から窓部20を通じて板バネ片12Aまたは牽引体(本実施形態では板バネ片12A)の少なくとも一部が視認可能である(図5を参照)。
【0013】
第一実施形態の物品陳列押出装置1は、たばこケース、菓子ケースなど、比較的軽量の物品2(図3Aに破線で図示)を好適に陳列することができる。ケース本体3は、これらの商品を縦一列に10個〜20個程度収納可能であり、押出方向に向かって細長い形状をなしている。ケース本体3はABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene共重合)樹脂やハイインパクト ポリスチレンなどの樹脂材料からなる。案内部材5は、このケース本体3の内部に移動自在に設けられた物品の前送り部材である。案内部材5はポリオキシメチレン(polyoxymethylene)などの、ケース本体3よりも硬質の樹脂材料からなる。板バネ機構6は、この案内部材5をレール部7に沿って移動させる付勢手段である。
【0014】
ケース本体3の幅寸法は、収容しようとする物品2の幅よりも若干幅広である。以下、物品2の押出方向を前後方向または長さ方向という場合がある。前後方向のうち、物品2の押出方向を前方といい、板バネ片12Aの引出方向を後方という。また、ケース本体3の深さ方向を上下方向といい、これらの方向に直交する方向を幅方向という場合がある。
【0015】
ケース本体3は、物品2の最大収容個数に応じた長さの底板3Aと、この底板3Aの幅方向の両側に立設された一対の側壁3B、3Bと、底板3Aの長さ方向の両側に立設された前面壁3Cおよび背面壁3Dを備えている。ケース本体3は、浅底型かつ上面開口型の細長いケース状である。一対の側壁3B、3B、前面壁3Cおよび背面壁3Dは、互いに一体的に連続している。
【0016】
ケース本体3の底板3Aの幅方向の中央側寄りの部分には、一対のレール部7、7が形成されている。一対のレール部7、7は、互いに所定の間隔をあけて並行している。一対のレール部7、7は長さ方向に延在する2本のスリットからなる。底板3Aにおいて、一対のレール部7、7の間の部分には貫通孔7Aが形成されている。これらのレール部7において、ケース本体3の背面壁3D側の端部は、背面壁3Dに近い部分まで延出形成されている。レール部7において、前面壁3C側の端部は、前面壁3Cから若干離れた位置まで延出形成されている。
【0017】
底板3Aの前面壁3C側の端部には、レール部7の一端部と前面壁3Cとの間に位置するように、底板3Aに下向きの凸型のアール部8が形成されている。底板3Aの上面側には、若干の間隙をあけて、一対のレール部7、7に沿って前後方向に延在する一対の支持壁9、9が立設されている。一対の支持壁9、9の間隙は、一対のレール部7、7の間隙よりも若干広い。一対の支持壁9、9の上方にはカバー壁10が形成されている。ケース本体3の前面側底部には、一対のレール部7、7とカバー壁10とアール部8とで囲まれた収容部14が形成されている。この収容部14には板バネ部材(牽引体)12の巻回部12Bが収容されている。
【0018】
板バネ部材12は、図8に示す如く長尺の板バネ片12Aを巻き付けてなる巻回部12Bを備えてなる。この巻回部12Bから板バネ片12Aを必要長さ引き出すことができる。板バネ片12Aには渦巻形になるように巻き癖が付与されていて、巻回部12Bから引き出した板バネ片12Aを引き出し方向に引っ張る力を弱くすると板バネ片12Aは自身の弾性復元力により巻回部12B側に自動的に巻き戻される。
【0019】
一対の支持壁9、9の間には、板バネ部材12の巻回部12Bを回転自在に支持する支持軸13が架設されている。カバー壁10は平行壁10Aと傾斜壁10Bを含む。平行壁10Aは、前面壁3Cの近傍の前縁部分である。平行壁10Aは、底板3Aと平行である。傾斜壁10Bは、前面壁3Cから離れた後縁部分である。傾斜壁10Bは、後方側が下向きに傾斜している。傾斜壁10Bの後方側の先端部と底板3Aとの間に、板バネ片12Aを挿通可能なスリット状の開口部15が形成されている。収容部14は、底板3Aのアール部8と一対の支持壁9、9とカバー壁10により囲まれてケース本体3の壁底部側に板バネ部材12の収容部14が構成されている。
【0020】
本実施形態において、板バネ部材12は、その巻回部12Bを一対の支持壁9、9の間の支持軸13により周回りに回転自在に軸支されている。巻回部12Bから引き出した板バネ片12Aを傾斜壁10Bの先端側の開口部15からケース本体3の内部側に引き出した状態で巻回部12Bはケース本体3の収容部14に収容されている。
【0021】
案内部材5は底板3Aの上に設置される。図3Bに示すように、案内部材5はスライド板5A、案内板5B、リブ片5C、および一対の突出片5D、5Dを備えている。
スライド板5Aは、一対のレール部7、7の上縁に接して摺動する。スライド板5Aは底板3Aよりも若干幅狭である。案内板5Bは、このスライド板5Aの上面側に立設され、上下方向に延在している。案内板5Bは、配列された物品2の最後尾を前方に付勢する。リブ片5Cは、スライド板5Aおよび案内板5Bと一体形成されて、板状の案内板5Bの曲げ剛性を補強する。一対の突出片5D、5Dは、幅方向に並んでスライド板5Aの底部側に立設されている。これら2本の突出片5D、5Dは、一対のレール部7、7の間隙に挿通される。突出片5Dは爪形をなし、それらの先端(下端)側にフック部5Eが形成されている。突出片5Dを一対のレール部7、7の間隙に挿通した状態において、フック部5Eはケース本体3の底板3Aの裏面側に突出して、突出片5Dの抜け止めをなす。これにより案内部材5はレール部7と係合する。また、案内部材5はレール部7からの脱離が規制された状態で、レール部7に沿ってスライド移動する。
【0022】
巻回部12Bから引き出された板バネ片12Aの先端部12aは案内部材5の底部側に取り付けられている。板バネ片12Aの弾性復元力により、案内部材5はレール部7に沿ってケース本体3の前面壁3Cに向かって付勢される。
【0023】
本実施形態では、板バネ片12Aの先端側の一部長さが案内部材5の牽引体を兼ねている。言い換えると、本実施形態の牽引体は巻き癖が付与されていて弾性復元力により自ら巻き戻る。ただし、第二実施形態として後述するように、牽引体と板バネ片とを別体とし、柔軟でバネ性を実質的に有さない可撓性材料で牽引体を作成してもよい。
【0024】
ケース本体3の底板3Aにおいて、背面壁3Dに近い後端部分においては、一対のレール部7、7間の貫通孔7Aが略されることにより、底板3Aの一部からなる舌型のストッパ片16が形成されている。前方から後方に案内部材5が後退するとき、レール部7に沿ってスライド移動したのち、突出片5Dがストッパ片16に当接して案内部材5の後退移動は規制される。
また、案内部材5は板バネ片12Aにより牽引されて前面壁3C側に前進移動する。案内部材5の前進移動は、カバー壁10の前面、または最後尾の物品2の背面に案内板5Bが当接した時点で停止される。
【0025】
図5に示す如く、ケース本体3の前面壁3Cの底部中央側には窓部20が設けられている。言い換えると、窓部20は、ケース本体3の前面または背面のうち巻回部12Bが取り付けられている側の壁に形成されている。すなわち窓部20は、本実施形態のようにケース本体3の前面壁3Cに設けられてもよく、または背面壁3Dに設けられてもよい。窓部20は、ケース本体3の内側に収容されている巻回部12Bを目視可能な大きさを有している。
【0026】
窓部20は、一例として、前面壁3Cを透明樹脂材料で形成し、前面壁3Cの底部側の表面をフロスト処理などによって粗面加工して不透明状態に加工し、窓部20に相当する樹脂の部分のみを透明樹脂のまま光透過できるようにすることで形成されている。このほか、窓部20は、前面壁3Cの全体を不透明な部材で構成し、前面壁3Cの底部中央側に窓孔をあけることにより形成してもよい。また、前面壁3Cのうち、窓部に相当する位置のみを透明樹脂製にして、他の位置を不透明材料で作成することにより窓部20を形成してもよい。また、前面壁3Cに窓孔を開口形成し、その開口部分にレンズ部材を配置することで、巻回部12Bの周面を外部側から視認し易くした構成としてもよい。
【0027】
本実施形態の物品陳列押出装置1においては、板バネ片12Aまたは牽引体(先端部12a)の長さ方向の任意の位置に、板バネ片12Aまたは牽引体(先端部12a)の巻回部12Bからの繰り出し量の目安となる表示部12Cが形成されている。窓部20を介し表示部12Cを視認することにより、ケース本体3に収容された物品2の数量把握ができるように構成されてなる。
【0028】
窓部20を通じて板バネ片12Aまたは牽引体の状態、例えば、巻回部12Bの板バネ片12Aが作る巻径の大きさから、板バネ片12Aの繰り出し量を把握することができる。すなわち、窓部20を介して板バネ片12Aを観察することで、ケース本体3に収容されている物品2の残数を把握することができる。
【0029】
また、本実施形態の板バネ部材12は、図8に示す如く、板バネ片12Aを巻回部12Bから繰り出して所定長さ直線状に引き延ばすことができる。本実施形態の表示部12Cは、ケース本体3に収容された物品2の残り数量を示す数字である。
板バネ片12Aの長さ方向に沿って形成する表示部12Cの位置および態様は特に限定されない。一例として、案内部材5をレール部7に沿って前面壁3Cから最も離れた位置まで移動させた場合に、窓部20を介して視認できる巻回部12Bの外周面の表示部12Cを、案内部材5と前面壁3Cとの間に陳列収納できる物品2の最大個数に示す数字とする。そして、案内部材5と前面壁3Cとの間に陳列収納されている物品2を1つ抜き取って案内部材5が移動する度に、窓部20を介して表示部12Cの数値が1つずつ減るような数字を印刷しておく。言い換えると、板バネ片12Aの長さ方向に、物品2の前後方向の寸法(厚み寸法)の間隔で数字が印刷されている。具体的には、板バネ片12Aの繰り出し量が物品2の厚み寸法のN個分にあたる位置に、Nを示す数字が印刷されている。これにより、板バネ片12Aまたは牽引体(先端部12a)に形成された表示部12Cは、ケース本体3内に陳列された物品2の残り数量を示す数字となる。
【0030】
この表示部12Cは、図8に示す如く、板バネ片12Aを巻回部12Bから繰り出して所定長さ直線状に引き延ばした状態において、巻回部12Bの外周面の所定位置に表示部12Cのいずれかが正立表示されるように形成されている。即ち、板バネ部材12から板バネ片12Aを必要長さ引き出した状態において前面壁3Cの窓部20を介して板バネ片12Aの表面に形成されている複数の表示部12Cのいずれかを正立表示状態で視認できる。
【0031】
一方、ケース本体3の底板3Aにおいて、側壁3Bに近い部分に底板3Aの長さ方向に沿ってスリット状の複数(図2の例では4個)の嵌合孔21が2列、合計8個ずつ形成されている。これらの嵌合孔21には、図4に示す板状のスペーサー22が装着される。このスペーサー22は、底板3Aよりも若干短く、側壁3Bよりも若干背の低い仕切板22Aと、この仕切板22Aの底部に間欠的に複数(図4の例では4個)突出形成された嵌合片22Bとから構成されている。嵌合片22Bを嵌合孔21に嵌め込むことで、スペーサー22は側壁3Bの内側に図6あるいは図7に示す如く立設される。
上記構造のスペーサー22はケース本体3の一対の側壁3B、3Bの間隔よりも幅の小さな物品2をケース本体3に対し陳列配置する場合に使用する。スペーサー22の嵌合孔21に対する嵌合位置を図6あるいは図7のように適宜変更することで、幅の異なる物品2の陳列配置に対応することができる。
【0032】
上記構造の物品陳列押出装置1にあっては、案内部材5をケース本体3の一番奥側までレール部7に沿ってスライド移動させ、前面壁3Cと案内部材5の間に形成された間隙に物品2を必要個数だけ配置して使用する。
ケース本体3に収容されている最前列の物品2を1つ取り出すと、案内部材5は板バネ部材12の板バネ片12Aによって前方に牽引されているため、残りの物品2の列を案内部材5が前面壁3Cに当接するまで押し出す。これにより、ケース本体3の最前列の物品2を1つ取り出しても、陳列配置された他の物品2をケース本体3の内部で倒すことなく前進させることができる。
【0033】
また、案内部材5をレール部7に沿ってケース本体3の後方にスライド移動させ、前面壁3Cと案内部材5の間に形成された間隙に所定個数の物品2を陳列配置した状態においては、板バネ片12Aに印刷されている表示部12Cとしての数字を窓部20から読み取ることができる。このとき、窓部20から視認される数字は、陳列されている物品2の総個数に対応している。
次に、ケース本体3の最前列の物品2を1つ取り出すと前面壁3Cの窓部20から読み取れる数字が1つ減り、ケース本体3に残る物品2の総数を把握できる。ケース本体3から物品2を取り出す度に窓部20から読み取れる数値は減少する。これにより、この数値が0に近付くことでケース本体3内の物品2の残り数量が減少した状態を認識することができる。したがって、窓部20から視認される数値に応じて、必要な時期に物品2の補充を行えばよい。
【0034】
上記構造の物品陳列押出装置1によれば、前面壁3Cの窓部20の内側の表示部12Cを覗くことで物品2の残り数を把握できる。このため、例えば、物品2がたばこの箱のように比較的軽量で小さい場合であっても、ケース本体3における物品2の残り数量の状態を容易かつ正確に把握できる。
また、上述の物品2がたばこの箱などの場合、上述の構造のケース本体3をたばこの種類と設置個数に応じて複数用意し、これらを複数並べて什器本体(図示せず)に収容して展示するとよい。これにより、ケース本体3の内部の物品2の個数を直接に目視確認できない程度にケース本体3同士が近接して並列されていても、各ケース本体3の窓部20を覗くことで、各ケース本体3の内部の物品2の残り数量を容易に把握することができる。
【0035】
本実施形態では、物品2の残り数量の大小に依らず、窓部20を通じて常に物品2の残り数量が確認できる態様の表示部12Cを例示した。しかしながら、本発明はこれに限らない。所定の残り数量(例えば、5個)以下に達したことのみを窓部20で視認できるようにしてもよい。具体的には、所定の残り数量に対応する位置に案内部材5が達したときに、窓部20を通じて目視される板バネ片12Aの色彩または模様を変化させてもよい。
【0036】
本実施形態の巻回部12Bは、板バネ片12Aと表示片(テープ片12D)の2重巻き構造である。板バネ片12Aの巻回部12Bからの繰り出し量の目安となる表示部12Cが表示片(テープ片12D)に形成されている。
【0037】
図9は、第一実施形態の変形例にかかる板バネ部材を示す斜視図である。本変形例の板バネ部材は、板バネ片12Aとテープ片(表示片)12Dの2重巻き構造である。本変形例の表示部は、テープ片12Dに印刷された色表示部12Eである。すなわち、第一実施形態の表示部12Cが数字であったのに代えて、本変形例では、色分け印刷した色表示部12Eがテープ片12Dに間欠的に形成されている。板バネ片12Aがバネ鋼などの材料であってその表面に印刷し難しい場合にも、親油性の樹脂からなるテープ片12Dと板バネ片12Aとを2重巻きにすることで、色表示部12Eを容易に形成することができる。
【0038】
例えば、色表示部12Eの一例として、ケース本体3の内部に収容されている物品2の個数が多い場合に窓部20を介して視認される位置の色表示部12Eを第一の色とする。そして、ケース本体3の内部に収容されている物品2の個数が少なくなった場合、例えば5個以下、3個以下などの場合に窓部20を介して視認される位置の色表示部12Eを、第一の色と異なる第二の色とする。このように、窓部20を介して色表示部12Eを、物品2の残り数量に応じて変化させることで、色表示部12Eの色に基づいて物品2の残り数量を把握することができる。第一の色と第二の色とは、明度、彩度、色相のいずれか一以上が相違している。すなわち、板バネ片12Aまたは牽引体に形成された本変形例の表示部は、ケース本体3内に陳列された物品2の残り数量を示す色表示部12Eである。一例として、案内部材5をレール部7に沿って前面壁3Cから最も離れた位置まで移動させた場合(即ち、ケース本体3の一番奥側まで案内部材5をスライドさせた場合)に、窓部20を介して視認できる巻回部12Bの外周面に、色表示部12Eとして薄い青色を印刷しておく。また、案内部材5と前面壁3Cとの間に陳列収納されている物品2を抜き取って案内部材5が移動する度に窓部20を介して色表示部12Eが示す色を同じ薄い青色として印刷しておく。更に、案内部材5と前面壁3Cとの間に陳列収納されている物品2の数が5個あるいは3個などように少なくなった時点で濃い青色の色表示部12Eを窓部20から視認できるように印刷しておくとよい。これにより、窓部20に臨む色表示部12Eの色彩を目視することで物品2の残り数量を把握することができる。なお、色表示部12Eの色表示はこの一例に限らず、物品2の残り数量が多い場合は青色、物品2の残り数量が少なくなった時点で黄色、物品2の残り数量が5個あるいは3個などのように少なくなった場合に赤色となるように色表示部12Eを設けても良い。
【0039】
以上の説明のように板バネ片12Aあるいはそれに2重巻きとするテープ片12Dに形成する表示部の例は、数字印刷や色表示部の印刷に限らず、他の絵や文字、記号などの模様であってもよい。すなわち表示部は、ケース本体3に収容された物品2の残り数量を色彩により示す色表示部12E、または残り数量を模様により示す模様表示部(図示せず)であってもよい。
【0040】
さらに表示部は板バネ片12Aの幅寸法の変化として実現されていてもよい。すなわち、板バネ片12Aの繰り出し量に応じて、窓部20を介して視認される板バネ片12Aの幅寸法を変化させてもよい。このように、ケース本体3に収容されている物品2の残り数が少なくなった場合に物品2の補充の時期を把握できるような表示形態であれば、表示部の具体的な形態は問わない。
【0041】
また、上記のほかに、物品2の個数が十分に残っている範囲では薄い色合いの色表示部としておき、物品2の残量が少なくなる程、濃い色合いまたは他の色彩の色表示部となるようなグラデーションが付いた色表示部を設けても良い。この場合、色表示部はテープ片12Dの表面全部に着色したり、テープ貼りによる色表示部としたりしても良く、窓部20から視認できる範囲のみを色表示部としても良い。
【0042】
さらに、物品2の個数が十分に残っている範囲では板バネ片12Aの素地の金属色が窓部20から目視され、物品2の残量が所定個数以下となったときに窓部20に所定の色彩の色表示部や模様表示部が表示されるよう構成してもよい。かかる表示部は、色彩または模様を板バネ片12Aまたは牽引体の一部の長さ領域に連続的に形成することにより実現される。具体的には、表示部が形成されたテープ状の表示片を、板バネ片12Aのうち窓部20に臨む表面に被着するとよい。そして、板バネ片12Aまたは牽引体が所定の繰り出し量となったときに、この長さ領域の端部が窓部20を介して視認されることで、物品2の残り数量が所定数に達したことが把握される。
【0043】
なお、第一実施形態およびその変形例に代えて、板バネ片12Aの先端側に、板バネ片ではない可撓性を有する樹脂製のテープなどの牽引体を設けてもよい。そして、牽引体の先端を案内部材5に取り付けて牽引する構成とすることもできる。
【0044】
図10は、第一実施形態の他の変形例にかかる窓部20を示す正面図である。本変形例の窓部20は、巻回部12Bの巻径の大小を視覚的に把握するための手段である。すなわち、本変形例の表示部は、数字や色表示部などの表示形態ではなく、巻回部12Bそのものの大きさ(外周面の位置)を認識することに基づいてケース本体3内の物品2の個数を把握するものである。
本変形例の構造では、前面壁3Cの透明な窓部20に基準線25が印刷されている。ケース本体3内の物品2の個数が減少してきた場合、板バネ片12Aが巻回部12Bに多く巻き付けられて巻回部12Bの外径が大きくなる結果、窓部20の基準線25を超えて巻回部12Bが大きくなる。基準線25を超えて巻回部12Bが大きくなった時点でケース本体3内の物品2の個数が減少して所定数に達したことを認識できる。
【0045】
本変形例のように板バネ部材12に特に表示部を設けることなく巻回部12Bの外径の大きさでケース本体3内の物品2の個数を認識できるような構造を採用しても良い。
この実施形態の場合、前面壁3Cに印刷やシール貼りなどを施して前面壁3Cを透視できない状態としておき、窓部20の部分のみ透過できる構造としておき、その部分に基準線25を形成しておくとよい。これにより、窓部20を介して巻回部12Bの外周面のみが見えるので、巻回部12Bの巻径を認識し易い。
【0046】
<第二実施形態>
図11は、本発明の物品陳列押出装置の第二実施形態の構造を簡略的に示す側面断面図である。この実施形態の物品陳列押出装置30は、ケース本体3の前面壁3C側に前述と同等構造の板バネ部材12を設けた上に、ケース本体3の背面壁3D側の底板3A上に板バネ部材12と同等構造の他の板バネ部材32を設けた構造をなしている。板バネ部材12は案内部材5を前方に付勢し、板バネ部材32は案内部材5を後方に付勢する。ただし、板バネ部材32は、その弾性力を板バネ部材12の弾性力よりも小さくしてある。このため、案内部材5に作用する付勢力は、板バネ部材12の付勢力の方が主体である。そして、板バネ部材32と板バネ部材12との合成の付勢力は案内部材5を前方に推進する。板バネ部材32の基本構成は板バネ部材12と同等であり、板バネ片32Aと巻回部32Bとから構成され、板バネ片32Aの長さ方向の所定位置には間欠的に数字などの表示部や着色部などの色表示部が形成されている。
【0047】
板バネ片32Aの先端部は案内部材5の底部側に取り付けられており、案内部材5のスライド移動に応じて板バネ部材12の板バネ片12Aと共同して板バネ部材32の板バネ片32Aが伸縮するようになっている。
この実施形態においては、ケース本体3の背面壁3D側に窓部を設けておき、この窓部を介してケース本体3の背面側から板バネ片32Aの表示部を視認できるので、ケース本体3の背面側から、ケース本体内の物品2の残り数量や残量を把握できる。
なお、物品陳列押出装置30において、前面壁3C側に配置されている板バネ部材12と背面壁3D側に配置されている板バネ部材32の両方に間欠的に数字や色分け部などの表示部を形成し、ケース本体3の前面側と背面側の両方から物品2の残り数量を把握できるように構成しても良いのは勿論である。
【0048】
本実施形態の物品陳列押出装置30は、背面側からケース本体内の物品2の残り数量を把握できる。これにより、例えば、物品の残り数量の把握は背面側から行い、物品2の補充を前面側から行う場合に有利である。または、物品の残り数量の把握は背面側から行い、物品2の補充もケース本体3の背面側から行う構造の場合に有利な構造を提供できる。加えて、上述の如くケース本体3の前後両方から物品2の残り数量を把握できる構造も提供できる。
【0049】
また、本発明において、板バネ部材12の取付位置は、ケース本体3の前面壁側、前面壁側と背面壁側の両方に限らない。
第一および第二実施形態ではケース本体3の前面壁3C側に板バネ部材12を設けたが、これに代えて、ケース本体3の背面壁3D側のみに収容部14を形成してもよい。背面壁3D側にのみ板バネ部材12を収容し、またケース本体3の前面壁3C側に滑車等を設けて、板バネ片12Aの延出方向を滑車を介して案内部材5側に向くように後方に変更してもよい。これにより、板バネ部材12の収容位置を背面壁3D側のみに設定したとしても、案内部材5をケース本体3の前面壁3C側に牽引する構造を実現できる。
【0050】
その場合、板バネ部材12の長さは第一実施形態の2倍程度必要となるが、全長を板バネ部材とする必要はなく、その半分程度、即ち、ケース本体3の長さ程度を、バネ性を有しないテープで代用することも可能である。即ち、巻回部12Bを構成する部分に板バネ片12Aを配置して板バネ片12Aの先端側にテープを接続し、滑車を介して案内部材5に接続する側の部分をテープで代用した構造とすることができる。そして、案内部材5が移動する距離(レール部7の長さに相当する距離)のみを板バネ片12Aが移動するように構成することができる。このようにすると、第一実施形態の構造と同等長さの板バネ部材12を用いてその板バネ部材と同等長さのテープを板バネ片12Aの先端側に延設して構成し、このテープを滑車を介して案内部材5側に接続すると、案内部材5の牽引ができる。
この構造の場合、板バネ部材12はケース本体3の背面壁3D側に収容されるので、ケース本体3の背面壁3D側に窓部20を設けてケース本体3の後部側から物品2の残り数量を把握することができる。
【0051】
<第三実施形態>
図12図16は本発明に係る物品陳列押出装置の第三実施形態を示すものである。第三実施形態の物品陳列押出装置50は、第一実施形態に適用されているケース本体3と同等構造のケース本体3を有している。本実施形態は、ケース本体3に収容されている板バネ部材52が第一実施形態の板バネ部材12と異なった構造である点に特徴を有する。その他の構造については第一実施形態の構造と同等である。そのため本実施形態の説明において、先に説明した第一実施形態の構造と同等部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0052】
この第三実施形態の構造において、板バネ機構62は、筒型ケース56、支持軸57、延長部58および牽引体59を具備している。
筒型ケース56は、渦巻き状の板バネ片53を収容し、この板バネ片53の外周端を係止する。支持軸57は、渦巻き状の板バネ片53の中心端に接続され、筒型ケース56の一部を貫通して、この筒型ケース56の外部側に延出されている。延長部58は、筒型ケース56の一部に延出形成されている。牽引体59は、延長部58の外周部に巻回されて繰り出し自在とされている。そして、支持軸57の一部はケース本体3の一部に軸支され、牽引体59は延長部58の外周部から繰り出し自在かつ板バネ片53の弾性復元力により巻取自在である。
【0053】
より具体的には、板バネ部材52は、図12図13に示す如く、巻回部55、筒型ケース56、支持軸57、延長部58、牽引体59を主体として構成されている。
巻回部55は、螺旋状に巻回された板バネ片53からなる。筒型ケース56は、この巻回部55を収容する。支持軸57は、この筒型ケース56の中心部を貫通するように配置されている。延長部58は、筒型ケース56の周壁56aの一側に設けられた側壁部56bの中心部から延出形成されている。牽引体59は、この延長部58の外周側に繰り出し自在に取り付けられて巻き付けられており、帯状をなしている。具体的には、テープ状の牽引体59の始端部を延長部58の周面の一部に接着して固定するか、または延長部58の一部にスリットを形成して、そのスリットに牽引体59を通し止めしてある。そして、牽引体59を延長部58に順次巻回することで、この牽引体59は延長部58より繰り出し自在に巻き付けられている。牽引体59の終端部59A(図14Bを参照)は、案内部材5のスライド板5Aに連結される。板バネ部材52の弾性復元力により牽引体59が延長部58に巻き付けられると、牽引体59の終端部59Aは案内部材5のスライド板5Aを前方に牽引する。
筒型の延長部58の外径は筒型ケース56の外径よりも小さく形成されている。これにより、延長部58の周面に牽引体59を全部巻き付けて巻回状態とした場合に、牽引体59の最外周部は筒型ケース56の周面位置と面一または筒型ケース56の周面よりも内側に位置する。牽引体59は、樹脂製あるいは金属製の薄いテープで構成する。一例として、樹脂にガラス繊維を配合してなるガラス繊維強化複合材料または強化繊維で編み込んだクロスを利用することができる。これらの繊維からなる牽引体59であるならば、切れ難く延び難いので良好である。また、ガラス繊維製あるいはガラス繊維を織り込んでなるテープ状の牽引体59の場合、牽引体59の表面に塩化ビニル樹脂を表面コーティングもしくは含浸させてから表示部を印刷するとよい。印刷によって、視認しやすい発色の色表示部または文字や絵柄などの模様表示部を好適に形成することができる。
【0054】
巻回部55の中心部を貫通するように配置されている支持軸57の先端側(図13における左方)には、巻回部55を構成する板バネ片53の内周端が取り付けられている。板バネ片53の外周端は筒型ケース56の周壁の一部に固定されている。また、筒型ケース56と延長部58を挿通して延長部58の外部側まで延出された支持軸57の他側端部には円板状のフランジ板60が一体化されている。フランジ板60の外側の面には、リブ状の突起部61が突出して形成されている。
更に、突起部61をケース本体3の支持壁9(図2を参照)に形成したスロット(図示略)に挿通してフランジ板60を周り止めした状態で板バネ部材52が支持される。このようにして、ケース本体3の一対の支持壁9、9間の収容部14に板バネ部材52が収容されている。また、帯状の牽引体59を筒型の延長部58から繰り出して傾斜壁10Bの先端側の開口部15からケース本体3の内部側に引き出す。そして、引き出された牽引体59の先端部は、案内部材5の底部側に固定される。
【0055】
本実施形態の板バネ機構62は、案内部材5をケース本体3のレール部7に沿ってスライド移動させた際に案内部材5に付勢力を付加できる点については第一実施形態と同様である。
案内部材5をケース本体3の内部においてレール部7に沿ってスライド移動させる際は、案内部材5をケース本体3の前面壁3Cから遠ざけるように使用者が手動により移動させる。これにより、牽引体59が延長部58から必要長さだけ繰り出される。それに伴って筒型ケース56が回転され、巻回部55を構成する板バネ片53が弾性変形される。板バネ片53の弾性復元力により、案内部材5には牽引体59を介して前面壁3C側に引き戻されるように付勢力が作用する。よって、使用者が案内部材5から手を離すと、案内部材5は物品2をケース本体3の内部側において前面壁3C側(前方)に付勢する。よって、案内部材5は物品2を抑えるとともに、ケース本体3の先端側から物品2を取り出した場合は残りの物品2を前出しすることができる。
【0056】
また、本実施形態においても、前面壁3Cの窓部20を介して、牽引体59に印刷されている数字、即ち、陳列された物品2の残り数量を読み取り把握することができる。第一実施形態の構造と同様、ケース本体3の最前列の物品2を1つ取り出すと前面壁3Cの窓部20から読み取れる数字が1つ減り、ケース本体3に残る物品2の数量を把握できる。ケース本体3から物品2を取り出す度に窓部20を介して読み取ることができる数値は減少するので、この数値が0に近付くことでケース本体3内の在庫が減少した状態を認識することができ、先の数値に応じて必要な時期に物品2の補充を行えばよい。本実施形態の構造において、この点についての作用効果について先の第一実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0057】
<第四実施形態>
図17図21は本発明に係る物品陳列押出装置の第四実施形態を示す。第四実施形態の物品陳列押出装置70は、第一実施形態に適用されているケース本体3と同等構造のケース本体3を有している。第四実施形態は、ケース本体3に収容されている板バネ部材72が第一実施形態の板バネ部材12と異なった構造とされている点に特徴を有する。その他の構造については第一実施形態の構造と同等である。そのため、本実施形態の説明において、先に説明した第一実施形態の構造と同等部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0058】
この第四実施形態の構造において、板バネ機構82は、筒型ケース76、支持軸77および牽引体79を具備してなる。
筒型ケース76は、渦巻き状の板バネ片73を収容し、この板バネ片73の外周端を係止している。支持軸77は、渦巻き状の板バネ片73の中心端に接続され、筒型ケース76の一部を貫通して筒型ケース76の外部側に延出されている。牽引体79は、筒型ケース76の外周部に巻回されて繰り出し自在とされている。そして、支持軸77の一部はケース本体3の一部に軸支され、牽引体79は筒型ケース76の外周部から繰り出し自在かつ板バネ片73の弾性復元力により巻取自在にされてなる。
【0059】
より具体的には、板バネ部材72は、図17図19に示す如く、巻回部75、筒型ケース76、支持軸77および牽引体79を主体として構成されている。
巻回部75は、螺旋状に巻回された板バネ片73からなる。筒型ケース76は、この巻回部75を収容する。支持軸77は、この筒型ケース76の中心部を貫通するように配置されている。牽引体79は、筒型ケース76の周壁部76aの外周部に繰り出し自在に取り付けられて巻き付けられており、帯状をなしている。具体的には、テープ状の牽引体79の始端部を筒型ケース76の周面の一部に接着して固定するか、または筒型ケース76の一部にスリットを形成して牽引体79をそのスリットに通し止めしてある。そして、牽引体79を筒型ケース76に順次巻回することで、牽引体79は筒型ケース76に繰り出し自在に巻き付けられている。
【0060】
巻回部75の中心部を貫通するように配置されている支持軸77の先端側には、巻回部75を構成する板バネ片73の内周端が固定されている。板バネ片73の外周端は筒型ケース76の内周面の一部に固定されている。また、筒型ケース76の周壁部76aを貫通してその外部側まで延出された支持軸77の他側端部には円板状のフランジ板80が一体化されている。フランジ板80の外側の面の中心部に、リブ状の突起部81が突出して形成されている。
更に、突起部81をケース本体3の支持壁9(図2を参照)に形成したスロット(図示せず)に挿通してフランジ板80を周り止めした状態で板バネ部材72が支持される。このようにして、ケース本体3の一対の支持壁9、9間の収容部14に板バネ部材72が収容されている。帯状の牽引体79を筒型ケース76の外周部から繰り出して傾斜壁10Bの先端側の開口部15からケース本体3の内部側に引き出す。引き出された牽引体79の先端部は、案内部材5の底部側に取り付けられている。
【0061】
本実施形態の物品陳列押出装置70は、案内部材5をケース本体3のレール部7に沿ってスライド移動できる点においては先の第一実施形態の構造と同様である。
案内部材5をケース本体3の内部においてレール部7に沿ってスライド移動させる際は、案内部材5をケース本体3の前面壁3Cから遠ざけるように使用者が手動により移動させる。これにより、牽引体79は筒型ケース76から必要長さ引き出される。それに伴って筒型ケース76も回転し、巻回部75を構成する板バネ片73が弾性変形される。このため、板バネ片73の弾性復元力により、案内部材5には牽引体79を介し前面壁3C側に引き戻されるように付勢力が作用する。よって、使用者が案内部材5から手を離すと案内部材5は物品2をケース本体3の内部側において前面壁3C側に付勢する。よって、案内部材5は物品2を抑えるとともに、ケース本体3の先端側から物品2を取り出した場合は残りの物品2を前出しすることができる。
【0062】
上述した実施形態にかかる物品陳列押出装置によれば、窓部を介し板バネ片の長さ方向任意の位置に設けた表示部を観察することで、ケース本体内の物品の残量を確実に把握することができる。よって、窓部を介し表示部を視認することにより、ケース本体に対する物品補充時期の把握ができ、確実に物品の補充ができる。
表示部を数字表記とするならば、物品の残り数を数字でもって簡便かつ正確に把握できる。また、表示部を色表示部または模様表示部としてケース本体内の物品の数量に応じて色が変わるように設けた表示部とするならば、窓部を介して表示部の色彩または模様を認識することにより、物品の残り数量を把握できる。
板バネ部材の板バネ片について、表示部を直接印刷することが困難な場合は、板バネ部材について、巻回部を板バネ片と表示片の2重巻き構造とするとよい。これにより、表示片に対し、数字、色彩または模様の印刷など、認識し易い表示部を確実に形成できる。
【0063】
<第五実施形態>
図22図24は本発明に係る物品陳列押出装置の第五実施形態を示す。図22は本実施形態の物品陳列押出装置90の平面図である。図23Aは、図22のA−A線断面図である。図23Bは、図23Aにおけるレール部7の近傍の拡大図である。図24Aは本実施形態の案内部材5の側面図である。図24Bは、図23AのB−B線断面図である。
図22では、背面壁3Dに近接する最も後方まで案内部材5が引き出された状態を実線で図示し、前面壁3Cに近接する最も前方に案内部材5が位置する状態、および前後方向の中間部に案内部材5が位置する状態を破線で図示している。
【0064】
図24Aおよび図24Bに示すように、案内部材5は、スライド板5A、案内板5B、リブ片5C、突出片5Dおよびフック部5Eを備えている。スライド板5Aはレール部7の上縁に当接して押出方向に摺動する。案内板5Bは、最後尾の物品2の背面を付勢する板状部材である。リブ片5Cは案内板5Bの曲げ剛性を補強する補強部である。突出片5Dは、スライド板5Aの下方に突出している。突出片5Dは、一対のレール部7、7の間隙に挿入されて、レール部7と係合する部位である。フック部5Eは、突出片5Dから外方に起立する爪部であり、レール部7の内側縁701に係合する。
【0065】
本実施形態のケース本体3は、第一実施形態と同様に、互いに並行する一対のレール部7、7を含む。案内部材5は、レール部7を上下方向から挟持して押出方向に摺動する挟持部5Lを、案内部材5の幅両側にそれぞれ備えている。挟持部5Lは、レール部7に対して押出方向に摺動する。
【0066】
案内部材5には、このほか、案内板5Bの下部に連続形成された起立片5Fと、起立片5Fの曲げ剛性を補強する補強リブ5Gと、挟持部5Lを挟んで上下に対向する上摺動壁5Mおよび下摺動壁5Nと、を備えている。
また、図24Bに示すように、案内部材5は、板バネ片12Aの先端部を掛止して板バネ片12Aから付勢力を受ける掛止部5Hを備えている。板バネ片12Aの先端部には円孔(図示せず)が穿設されており、掛止部5Hはこの円孔に挿入される。掛止部5Hの荷担には、後方に突出する返し部5Pが形成されている。板バネ片12Aは弾性復元力により常時前方に付勢されているため、その反対側に突出する返し部5Pによって板バネ片12Aの脱落が防止されている。
【0067】
また、掛止部5Hの前方、かつ掛止部5Hよりもわずかに高い位置にテープ押さえ部5Kが設けられている。本実施形態のテープ押さえ部5Kは、起立片5Fに設けられた開口5Jの下縁を構成している。開口5Jには板バネ片12Aの先端部が挿通される。開口5Jに挿通された板バネ片12Aの先端部は、上記の掛止部5Hに掛止される。
【0068】
表示片(テープ片12D)が板バネ片12Aの基端側から先端近傍に亘って被着されている。テープ片12Dは、板バネ片12Aのうち窓部20に臨む側の表面(図24Bでは下面)に被着されている。テープ押さえ部5Kは、表示片(テープ片12D)の先端側の端部12Fを板バネ片12Aに対して押圧する。板バネ片12Aの先端は掛止部5Hに掛止されているため、テープ片12Dの端部12Fは、テープ押さえ部5Kによって常時板バネ片12Aに押圧される。これにより、テープ片12Dが板バネ片12Aから剥離することが防止される。
【0069】
図23Aおよび図23Bに示すように、案内部材5の起立片5Fは、互いに並行する一対のガイド条702同士の間隙に嵌合する。これにより案内部材5は、図23Aに示す起立姿勢を保ったままレール部7に沿って摺動する。ガイド条702は、後記の上突条703および下突条704とともにレール部7を構成する。
【0070】
レール部7の上面または下面の少なくとも一方には、押出方向に沿って延在する突条部が形成されている。本実施形態ではレール部7の上面および下面の両方に突条部(上突条703および下突条704)が形成されている。すなわち、本実施形態の突条部は、レール部の上面に形成された上突条703と、レール部の下面に形成された下突条704と、を含む。
そして、突条部(上突条703、下突条704)の頂部と挟持部5Lとは、押出方向に直交する横断面(図23Aおよび図23B)において点接触する。具体的には、上突条703、下突条704は横断面形状が半円形である。上突条703の頂部は上摺動壁5Mの下面と接触し、下突条704の頂部は下摺動壁5Nの上面と接触する。このように、本実施形態では案内部材5ではなくケース本体3におけるレール部7に突条部を設けている。これにより、案内部材5とレール部7との接触面積が小さくなって、案内部材5の摺動性を良好にするとともに、突条部の耐摩耗性を十分に確保している。なぜならば、突条部をケース本体3のレール部7に設けることで、ケース本体3の前後方向の略全長に亘って、案内部材5の前後方向寸法よりも十分に長く突条部を形成することができるためである。
【0071】
上突条703の頂部と下突条704の頂部とは、横断面において幅方向の異なる位置に形成されている。これにより、案内部材5に対して横倒し方向の外力が付与された場合でも、上突条703の頂部と下突条704の頂部が幅方向の異なる位置で案内部材5をそれぞれ支持するため、案内部材5が側壁3Bに向かって横倒しになることが好適に防止される。
【0072】
横断面において、上突条703と下突条704の曲率半径は互いに相違している。そして、上突条703または下突条704のうち、曲率半径がより大きい一方(上突条703)の頂部は、他方(下突条704)の頂部よりも、横断面において幅方向の外方に位置している。ここで、曲率半径が小さい突条部(下突条704)は、これが大きい突条部(上突条703)に比べて、案内部材5との摩擦による損耗が大きい。したがって、案内部材5を繰り返し前進または後退移動させた場合、下突条704よりも上突条703の方が耐摩耗性に優れる。本実施形態では、このように耐摩耗性に優れる突条部(上突条703)を幅方向の外側に配置していることで、仮に下突条704が摩耗した場合でも上突条703によって案内部材5を安定して支持することが可能である。言い換えると、本実施形態の物品陳列押出装置90は耐久性に優れる構造である。
【0073】
ケース本体3の底板3Aの下面には、前後方向に延在する差込片3Eが形成されている。差込片3Eは、底板3Aの下面から下方に向かって突出している。差込片3Eの下端は側壁3Bの下端よりも下方に位置している。一方、本実施形態のケース本体3を設置する什器本体の棚板(図示せず)には、差込片3Eに対応する位置にスリットが形成されている。ケース本体3をこの棚板に載置する際には、スリットに対して差込片3Eを上方から差し込むことで、ケース本体3を棚板に係止することができる。このようにしてケース本体3を棚板に載置した場合には、ケース本体3の側壁3Bが棚板の上面に接地することとなる。このほか、ケース本体3の搬送時や保管時にも同様に、床面等に形成したスリットに差込片3Eを差し込んで、側壁3Bを接地させる場合がある。
ここで、本実施形態のケース本体3の側面(側壁3B)は、板バネ片12Aの巻き量が最大であるときの巻回部12Bの外周の下限位置よりも更に下方まで延出している。これにより、側壁3Bを接地させてケース本体3を棚板や床面等(以下、棚板等)に載置した場合に、巻回部12Bが棚板等に接触することがない。したがって、板バネ片12Aの巻き癖が棚板等によって経時的に消失することがなく、板バネ機構6の耐久性が向上する。
【0074】
本発明にかかる上記実施形態は、以下の技術的思想を包含する。
(1)商品などの物品を配列した状態で収容するケース本体と、該ケース本体の内部に物品の押出方向に沿って形成されたレール部と、該レール部に沿って前記ケース本体の内部を物品の押出方向に沿って移動自在に設けられた案内部材と、巻き癖が付与された渦巻き状の板バネ片を備えた巻回部とこの巻回部から引出自在にされた牽引体を具備してなる板バネ機構と、を具備し、前記巻回部から引き出した牽引体の先端側を前記案内部材に取り付けて前記巻回部の板バネ片の弾性復帰力により前記案内部材を前記牽引体を介して物品の押出方向に付勢してなり、前記板バネ機構を備えたケース本体の端部側に前記ケース本体の外部から前記板バネ片または前記牽引体の少なくとも一部を監視可能な窓部を形成したことを特徴とする物品陳列押出装置;
(2)前記板バネ片または牽引体の長さ方向任意の位置に前記板バネ片または牽引体の前記巻回部からの繰り出し量の目安となる表示部が形成され、前記窓部を介し前記表示部を視認することにより前記ケース本体内の物品の数量把握ができるように構成されてなる上記(1)に記載の物品陳列押出装置;
(3)前記板バネ片または牽引体に形成された表示部が前記ケース本体内に陳列された物品の残り数量を示す数字であることを特徴とする上記(2)に記載の物品陳列押出装置;
(4)前記板バネ片または牽引体に形成された表示部が前記ケース本体内に陳列された物品の残り数量を示す色表示部であることを特徴とする上記(2)に記載の物品陳列押出装置;
(5)前記板バネ機構の巻回部は前記板バネ片と表示片の2重巻き構造とされてなり、前記板バネ片の前記巻回部からの繰り出し量の目安となる表示部が前記表示片に形成されてなる上記(1)から(4)のいずれかに記載の物品陳列押出装置;
(6)前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記筒型ケースの外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復帰力により巻取自在にされてなることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の物品陳列押出装置;
(7)前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの一部に延出形成された延長部と、該延長部の外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記延長部の外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復帰力により巻取自在にされてなることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の物品陳列押出装置。
以下、参考形態の例を付記する。
1.物品を配列した状態で収容するケース本体と、該ケース本体の内部に前記物品の押出方向に沿って形成されたレール部と、該レール部に沿って前記ケース本体の内部を前記押出方向に沿って移動自在に設けられた案内部材と、巻き癖が付与された渦巻き状の板バネ片を備えた巻回部およびこの巻回部から引出自在であって前記板バネ片の弾性復元力により牽引される牽引体を含む板バネ機構と、を具備し、
前記案内部材は、前記牽引体の先端側と接続されて前記板バネ片の前記弾性復元力により前記押出方向に付勢され、
前記ケース本体の端部側に窓部が形成されており、前記ケース本体の外部から前記窓部を通じて前記板バネ片または前記牽引体の少なくとも一部が視認可能であることを特徴とする物品陳列押出装置。
2.前記板バネ片または牽引体の長さ方向の任意の位置に前記板バネ片または牽引体の前記巻回部からの繰り出し量の目安となる表示部が形成され、前記窓部を介し前記表示部を視認することにより前記ケース本体に収容された前記物品の数量把握ができるように構成されてなる1.に記載の物品陳列押出装置。
3.前記表示部が、前記ケース本体に収容された前記物品の残り数量を色彩により示す色表示部または前記残り数量を模様により示す模様表示部である2.に記載の物品陳列押出装置。
4.前記色彩または前記模様が前記板バネ片または前記牽引体の一部の長さ領域に連続的に形成されており、所定の前記繰り出し量となったときに前記長さ領域の端部が前記窓部を介して視認されることを特徴とする3.に記載の物品陳列押出装置。
5.前記表示部が、前記ケース本体に収容された前記物品の残り数量を示す数字である2.に記載の物品陳列押出装置。
6.前記表示部が形成されたテープ状の表示片が、前記板バネ片のうち前記窓部に臨む表面に被着されている2.から5.のいずれか一つに記載の物品陳列押出装置。
7.前記表示片は前記板バネ片の基端側から先端近傍に亘って被着されており、
前記案内部材は前記表示片の先端側の端部を前記板バネ片に対して押圧するテープ押さえ部を備える6.に記載の物品陳列押出装置。
8.前記巻回部は、前記表示部が形成されたテープ状の表示片と前記板バネ片との2重巻き構造とされてなる1.から5.のいずれか一項に記載の物品陳列押出装置。
9.互いに並行する一対の前記レール部を含み、
前記案内部材は、前記レール部を上下方向から挟持して前記押出方向に摺動する挟持部を幅両側にそれぞれ備え、前記挟持部が前記レール部に対して前記押出方向に摺動する1.から8.のいずれか一つに記載の物品陳列押出装置。
10.前記レール部の上面または下面の少なくとも一方には前記押出方向に沿って延在する突条部が形成されており、前記突条部の頂部と前記挟持部とが前記押出方向に直交する横断面において点接触することを特徴とする9.に記載の物品陳列押出装置。
11.前記突条部が、前記レール部の上面に形成された上突条と、前記レール部の下面に形成された下突条と、を含む10.に記載の物品陳列押出装置。
12.前記上突条の頂部と前記下突条の頂部とが、前記横断面において幅方向の異なる位置に形成されている11.に記載の物品陳列押出装置。
13.前記横断面において、前記上突条と前記下突条の曲率半径が互いに相違する12.に記載の物品陳列押出装置。
14.前記上突条または前記下突条のうち前記曲率半径がより大きい一方の前記頂部が、他方の前記頂部よりも、前記横断面において幅方向の外方に位置している13.に記載の物品陳列押出装置。
15.前記ケース本体の側面は、前記板バネ片の巻き量が最大であるときの前記巻回部の外周の下限位置よりも更に下方まで延出している1.から14.のいずれか一つに記載の物品陳列押出装置。
16.前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記筒型ケースの外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復元力により巻取自在にされてなることを特徴とする1.から15.のいずれか一つに記載の物品陳列押出装置。
17.前記板バネ機構が、前記渦巻き状の板バネ片を収容し該板バネ片の外周端を係止した筒型ケースと、前記渦巻き状の板バネ片の中心端に接続され前記筒型ケースの一部を貫通して筒型ケースの外部側に延出された支持軸と、前記筒型ケースの一部に延出形成された延長部と、該延長部の外周部に巻回されて繰り出し自在とされた牽引体とを具備してなり、前記支持軸の一部が前記ケース本体の一部に軸支され、前記牽引体が前記延長部の外周部から繰り出し自在かつ前記板バネ片の弾性復元力により巻取自在にされてなることを特徴とする1.から15.のいずれか一つに記載の物品陳列押出装置。
【0075】
この出願は、2010年9月30日に出願された日本出願特願2010−220175を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。
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