(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1、第2及び第3のスイッチング装置は、1つ以上の金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを備えることを特徴とする請求項1に記載の反転型チャージポンプ。
前記第1のスイッチング装置及び前記第3のスイッチング装置の前記1つ以上のMOSトランジスタは、少なくとも1つの高オン抵抗金属酸化物半導体(MOS)トランジスタと、少なくとも1つの低オン抵抗金属酸化物半導体(MOS)トランジスタとを備えることを特徴とする請求項2に記載の反転型チャージポンプ。
前記第1のスイッチング装置に含まれる前記金属酸化物半導体(MOS)トランジスタのソース端子は、前記反転型チャージポンプの前記第2の端子に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の反転型チャージポンプ。
前記4相クロック信号は、前記第1、第2及び第3のプリドライバ回路と、前記負帰還制御装置とをそれぞれ駆動することを特徴とする請求項6に記載の反転型チャージポンプ。
前記第1、第2及び第3のプリドライバ回路は、1つ以上のクロックレベルシフタと、高電圧保護回路とを備えることを特徴とする請求項1に記載の反転型チャージポンプ。
【背景技術】
【0002】
DC−DC変換器は、直流電流(DC)の電源を、ある電圧レベルから別の電圧レベルに変換する電子回路である。ある種のDC−DC変換器は、所与の入力DC電圧源から、より高い電圧又はより低い電圧を生成するために、エネルギー蓄積及びエネルギー伝達素子である複数のコンデンサを備えるチャージポンプを使用する。チャージポンプを用いたDC−DC変換器は、単一の電源レール(例えば、正電圧を提供するバッテリ)から正電圧及び負電圧を得るために使用される。一般に、負電圧を生成するチャージポンプを「反転型チャージポンプ(inverting charge pumps)」と称する。反転型チャージポンプは、単一の電圧から正電圧及び負電圧の双方を生成する必要があるポータブルICにおいて、いくつかの用途に供される。
図1においてそのような一実現例を示す。
図1は、反転型チャージポンプ110を利用するモバイルハンドセットのオーディオサブシステム100を示す。
【0003】
一般にオーディオサブシステム100は、バッテリ駆動の1つ以上のオーディオ電力増幅器(APA)104a及び104bを有する。APA104a及び104bの出力コモンモードレベルは、一般に、標準的な外部コネクタとのインタフェースを容易にするために接地(0ボルト)であることが考えられる。APAの正のレールは、一般に、バッテリ電圧(V
bat)から得られた正電圧である。APAの負のレール(V
neg)は、一般に、チャージポンプ110を用いたDC−DC変換器102を使用して、バッテリ電圧(V
bat)から得られた負電圧である。APA104a及び104bは、ステレオ/モノラルオーディオ入力106を受信し、標準的なコネクタを介してオーディオサブシステム100(及びモバイルハンドセット)に接続されたスピーカ108に供給される出力信号を提供する。DC−DC変換器102は、一般に、誘導性DC−DC変換器と比較して減少した外部構成要素コスト及びエリアによって、V
batからV
negを生成する、容量性チャージポンプを用いた変換器である。
【0004】
そのような容量性チャージポンプを用いた、1つのDC−DC変換器200を、
図2に示す。DC−DC変換器200は、バッテリ204からの電圧V
batに対して、より低い中間正電圧を生成する調整器202を使用する。調整器202は、チャージポンプ206の外側のオンチップエリア及びコンデンサC
reg208を調整する追加のICピンを必要とする。ICにおけるオンチップエリアは非常に高価となり、追加のピン及び追加の外部コンデンサは、非常に大きなエリアとなり、小型移動デバイス及び最近のプリント回路基板(PCB)にはコストがかかる。
【0005】
また、チャージポンプ206の出力は、例えばチャージポンプ102をトリガするクロック信号をスキップする等の既知の方法によって、又は電流制御による線形調整によって調整される。クロックスキップによる調整の結果、負荷電流における変化に基づいて、チャージポンプ出力の可変周波数スペクトルが得られる。そのような可変周波数スペクトルは、高忠実度のオーディオ・アプリケーションにおいては非常に望ましくない。(非特許文献1において公開されているような)電流モード制御による線形調整は、限られた負荷電流範囲(I
max/I
min〜40)を有する。しかし、高効率のオーディオ・アプリケーションの場合、より高い負荷電流比(例えば、I
max/I
min〜1000)が望ましい。
【0006】
当技術分野において使用可能な別の解決方法は、高価な高電圧(HV:High Voltage)処理技術において設計された反転型チャージポンプである。しかし、チャージポンプのみに対してHV処理技術を使用することは、システムオンチップ(SoC)環境上での集積に適さない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
高耐圧(HV)調整反転型チャージポンプ回路の実施形態を開示する。既存の反転型チャージポンプは、より低い範囲の出力電流、可変出力電圧周波数スペクトル、並びにオンチップエリア及びオフチップエリアの双方についての望ましくない消費という、固有の制限を有する。以下の説明から明らかとなるように、開示された反転型チャージポンプは、中間電圧調整器(例えば、202)を有さずにDCバッテリから直接入力電圧を得る。開示された反転型チャージポンプは、追加のコンデンサ(例えば、調整コンデンサC
reg208)の必要性を更に除去することにより、外部ピン、部品数及びオンチップエリアを最小限に抑える。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係る反転型チャージポンプ回路300を示す。
図3に示されるように、回路300は、バッテリ又はDC電圧源304に直接接続された反転型チャージポンプ302を備える。反転型チャージポンプ302は、高電圧源(DCバッテリ)からの操作を可能にする高電圧回路を備える。当該回路は、高電圧DC電源の望ましくない影響からの保護をもたらす。また、高速のスイッチング速度を有しかつ小型であり、それにより所与の構成に対してオンチップエリアを最小限に抑える低電圧半導体デバイスを使用して、チャージポンプ302は実現される。
【0019】
バッテリ304は、任意の標準的なDC電圧源であり、例えば金属イオン電池、金属ポリ電池、鉛蓄電池、金属イオンポリ電池等であるが、それらに限定されない。なお、バッテリ304は、MP3プレーヤ、移動電話、携帯用無線電話機等のポータブルデバイスにおいて、及びバッテリ電源が正のレール電圧を提供し、反転型チャージポンプが正のレールから負電圧を提供する必要がある他の同様の演算装置において使用されるタイプのものであることが好ましい。
【0020】
回路300は、チャージポンプ302が必要とする種々の内部電圧(V
dd、V
ref、V
fgnd及びV
biasn等)を提供する電圧基準電源306を更に備える。内部電圧は、反転型チャージポンプ302のブロックのうちの1つ以上を駆動する。なお、チャージポンプ302及び電圧基準電源306はオンチップ構成要素である。
【0021】
回路300は、オンチップ構成要素に加え、オフチップ構成要素を更に備える。例えば、フライングコンデンサ(C
fly)308は、チャージポンプ302の2つの端子に接続され、出力コンデンサ(C
out)310は、チャージポンプ302の更に別の端子に接続される。
【0022】
フライングコンデンサ308は、制御された方法で、充電期間(charging phase)において予め定義された電圧まで充電され、ダンピング期間(dumping phase)において放電する。放電中のフライングコンデンサ308は、ダンピング期間中に出力コンデンサ310を充電し、このようにして出力コンデンサの両端間に形成された(developed across)電圧は、出力負電圧になる。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係る反転型チャージポンプ400を示す例示的なブロック図である。反転型チャージポンプ400は、少なくとも4つの端子402、404、406及び408を備える。チャージポンプ400の第1の端子402は、バッテリ304から直流(dc)入力電圧を受信するように構成される。チャージポンプ400の第2の端子404及び第3の端子406は、フライングコンデンサ308を接続するように構成される。チャージポンプ400の第4の端子408は、出力コンデンサ310を接続するように構成される。
【0024】
上述したように、フライングコンデンサ308は、充電期間中に、予め定義された電圧まで充電される。この目的のために、反転型チャージポンプ400は、フライングコンデンサ308を充電するための回路素子を有する充電経路410を備える。例えば、充電経路410は、第1のスイッチング装置414を駆動する第1のプリドライバ回路412を備える。第1のプリドライバ回路412は、
図4に示されるように、反転型チャージポンプ400をバッテリ304に直接接続できるようにする高耐圧回路である。第1のプリドライバ回路412の構成要素については、
図7及び
図8を参照して詳細に説明する。
【0025】
第1のスイッチング装置414は、一端において第2の端子404に接続し、他端において第1の電流制限デバイス416に接続する。第1の電流制限デバイス416は、一端において第1のスイッチング装置414に接続し、他端において接地される。
【0026】
充電経路410は、第2のスイッチング装置420を駆動する第2のプリドライバ回路418を更に備える。第2のスイッチング装置420は、一端において第1のカスコードデバイス422を介して第3の端子406に接続し、他端において第1の端子402に接続する。
【0027】
チャージポンプ400は、フライングコンデンサ308の放電及び出力コンデンサ310の充電を容易にするダンピング経路424を更に備える。ダンピング経路は、第3のスイッチング装置428を駆動する第3のプリドライバ回路426を備える。第3のスイッチング装置428は、一端において第2の端子404に接続し、他端において第4の端子408に接続する。
【0028】
ダンピング経路424は、一端において負帰還制御装置432及び第2のカスコードデバイス434に直列接続し、他端において接地される第2の電流制限デバイス430を更に備える。第2のカスコードデバイス434は、一端において第3の端子406に接続し、他端において負帰還制御装置432に接続する。
【0029】
例示的な一実施形態において、第1のスイッチング装置414、第2のスイッチング装置420及び第3のスイッチング装置428は、それぞれ、第1のプリドライバ回路412、第2のプリドライバ回路418及び第3のプリドライバ回路426によって駆動される1つ以上の金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを備える。
【0030】
また、第1のスイッチング装置414及び第3のスイッチング装置428は、少なくとも1つの高オン抵抗金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ及び少なくとも1つの低オン抵抗金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを備える。
【0031】
本発明の一実施形態に係る反転型チャージポンプ400は、第1のプリドライバ回路、第2のプリドライバ回路及び第3のプリドライバ回路(412、418及び426)を駆動するためのクロック信号を生成するように構成されたクロック生成器436を備える。クロック信号は、充電期間中に充電経路410における構成要素が導通(conduct)し、ダンピング期間中にダンピング経路424における構成要素が導通するように、提供される。また、生成されたクロック信号のうちの少なくとも1つは、出力負電圧を調整するように構成された負帰還制御装置432を駆動する。クロック生成器436は、4相信号を生成して反転型チャージポンプ400の構成要素を駆動することによって、チャージポンプの出力における可変周波数スペクトルを防止する。
【0032】
更に別の実施形態において、第1のプリドライバ回路、第2のプリドライバ回路及び第3のプリドライバ回路(412、418及び426)は、1つ以上のクロックレベルシフタ及び高電圧保護回路を備える。
【0033】
また、チャージポンプ400は、1つ以上の金属酸化物半導体(MOS)トランジスタデバイスにバイアス電圧を提供するBiasn生成器438を更に備える。第1のカスコードデバイス422及び第2のカスコードデバイス434は、金属酸化物半導体(MOS)トランジスタに相当する。Biasn生成器438は、チャージポンプ400に含まれた別個のブロックとして示されているが、別の一実施形態において、バイアス生成器438は、単一のモジュールとして電圧基準電源306と統合されてもよい。
【0034】
例示的な一実現例において、負帰還制御装置432は、帰還回路(feedback network)、誤差増幅器及び負帰還ループ補償器を備える。負帰還制御装置432の構成要素については、
図6を参照して詳細に説明している。
【0035】
図5は、例示的な一実施形態に係る反転型チャージポンプ500を示す詳細な回路図である。
図4のブロック図は
図5に対応し、
図5に示された回路素子は、
図3及び
図4に示されたチャージポンプの一例として示されている。本明細書の説明の範囲から逸脱せずに他の構成が可能であることは、当業者により理解されるであろう。
【0036】
一実施形態によれば、反転型チャージポンプ回路500は充電経路410を備える。当該充電経路によって、フライングコンデンサ308を、予め定義された電圧まで充電できる。予め定義された電圧は、反転型チャージポンプの出力において生成される必要のある負電圧の大きさに依存し、一実施形態ではチャージポンプへの高電圧直流(dc)入力と同一である。出力電圧は、出力コンデンサ310の両端間の電圧に相当する。
【0037】
充電経路410は、それぞれM
csw1502及びM
csw2504等の2つの金属酸化物半導体(MOS)トランジスタデバイス(例えば、NMOSトランジスタ)を駆動する第1の高電圧プリドライバ回路412を備える。2つのMOSデバイス502及び504は、
図4の第1のスイッチング装置414を形成する。
充電経路410は、Biasn生成器438によって駆動される(
図4の)第1の電流制限デバイス416として実装された電流制限MOSトランジスタデバイスM
c1416を更に備える。例示的な一実施形態において、Biasn生成器438は、電流制限MOSトランジスタデバイスM
c1416として実装されうるNMOSトランジスタに対するバイアス回路に相当する。
充電経路410は、
図4の第2のスイッチング装置420に対応するMOSトランジスタデバイスM
p420(例えば、PMOSトランジスタ)を駆動する第2の高電圧プリドライバ418を更に備える。MOSトランジスタデバイスM
p420は、一端においてV
batに接続され、他端において第1のカスコードデバイス422として実装された別のMOSトランジスタデバイスM
cascp422(例えば、PMOSトランジスタ)に接続される。
【0038】
反転型チャージポンプ回路500は、出力コンデンサ310を充電するために、フライングコンデンサ308からの充電のダンピングを容易にするダンピング経路424を更に備える。一実施形態によれば、ダンピング経路424は、
図4の第3のスイッチング装置428を形成する2つのMOSトランジスタデバイス(例えば、NMOSトランジスタ)M
dsw1506及びM
dsw2508を駆動する第3の高電圧プリドライバ426を備える。ダンピング経路424は、
図4の第2の電流制限デバイス430として実装された電流制限MOSトランジスタM
d1430を更に備える。電流制限MOSトランジスタM
d1430は、負帰還制御装置432から誤差フィードバック信号を導入する電圧調整トランジスタ(例えば、PMOSトランジスタ)M
reg510に直列接続する。電圧調整トランジスタM
reg510は、
図4の第2のカスコードデバイス434として実装されるカスコードMOSトランジスタデバイス(PMOSトランジスタ)434に接続する。
【0039】
反転型チャージポンプ回路500は、第1のプリドライバ412、第2のプリドライバ418、第3のプリドライバ426及び負帰還制御装置432を駆動するために必要なクロック信号を提供するクロック生成器436を更に備える。
【0040】
図5に示されたような高耐圧(HV)調整反転型チャージポンプ回路500は、低電圧MOSトランジスタを利用する。高耐圧プリドライバにより、チャージポンプは、バッテリ又はHV DC電圧源V
bat304から直接操作される。また、開示された出力電圧調整方式による反転型チャージポンプ500は、広い負荷電流範囲(例えば、I
max/I
min〜1000)にわたって操作されうる。それぞれ充電経路410及びダンピング経路424に含まれた2つのピーク電流制限トランジスタ416及び430は、ボンドワイヤ寄生(Z
bond)が存在する状態で信頼性の高い動作を確保し、更に、充電経路ドライバデバイス及びダンプ経路ドライバデバイスにおけるジュール加熱を制限し、関連する金属が相互接続する。
【0041】
電流制限トランジスタ430は、ダンプ期間誤差フィードバック調整ループの一部を更に形成する。第4の端子408が負帰還制御装置432に接続され、出力負電圧を調整する場合、ダンプ期間誤差フィードバック調整ループが形成される。ダンプ期間誤差フィードバック調整ループは、広範囲の負荷電流にわたりチャージポンプ出力電圧を調整するようにダンプ期間電流を制御する合成制御素子である調整制御トランジスタM
reg510とともに、電流制限トランジスタ430を直列で利用する。
【0042】
第1のスイッチング装置502、504及び第3のスイッチング装置506、508を形成する2つのMOSトランジスタデバイス(例えば、NMOSトランジスタ)は、高オン抵抗スイッチ及び低オン抵抗スイッチの2つの部分に分割される。例えば、NMOSトランジスタ502及び504は、トランジスタ特性の線形領域において動作する場合にM:1の比率の抵抗を有する。MOSトランジスタデバイス502及び504のゲート端子は、第1のプリドライバ412と接続され、MOSトランジスタデバイス506及び508のゲート端子は、第3のプリドライバ426と接続される。第1のスイッチング装置414の金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ502、504のソース端子は、充電経路410において第2の端子404に接続される。また、第3のスイッチング装置428の金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ506、508のドレイン端子は、ダンピング経路424において第2の端子404に接続される。
【0043】
動作:
例示的な一実施形態によれば、反転型チャージポンプ回路500の充電経路/期間は、それぞれ、第1のプリドライバ412及び第2のプリドライバ418と関連付けられた「充電マイナス」及び「充電プラス」経路/期間に分割される。同様に、チャージポンプ回路500のダンピング経路/期間は、それぞれ、負帰還制御装置432及び第3のプリドライバ426と関連付けられた「ダンププラス」及び「ダンプマイナス」経路/期間に分割される。例示的な実施形態について、プリドライバ出力における所望の電圧レベルを
図5に示す。
【0044】
クロック生成器436は、プリドライバブロック(412、418及び426)、並びに負帰還制御装置432への入力としてそれぞれ供給される4相クロックを、入力クロックから生成する。
図5には、一実施形態に従ってクロック生成器436によって生成されたクロック信号及び波形が示されている。その波形において示されるように、クロック生成器436は、充電経路とダンピング経路との非オーバラップ時間(t
3−t
4,t
6−t
1)を確保することで、(gnd
drv,V
neg)と(Vbat
drv,gnd
drv)との間の直接経路を除去する。
【0045】
例示的な一実装例において、
図5に示されたようなクロック信号CLK
chargem及びCLK
dumpmは、典型的には、クロック信号CLK
chargep及びCLK
dumppと比較してより長い期間にわたって高い(デジタル「1」又は「on」)。また、クロック信号CLK
chargem及びCLK
dumpmの期間は、それぞれクロック信号CLK
chargep及びCLK
dumppの前に開始する。実施形態のうちの1つにおいて、クロック信号CLK
chargem及びCLK
dumpmは、クロック信号CLK
chargep及びCLK
dumppがそれぞれ
図5に示されたように低くなった後で終了する(又は低くなる)。クロック信号CLK
chargem及びクロック信号CLK
chargep、並びにクロック信号CLK
dumpm及びCLK
dumppは、異なる時刻において終了するように示されているが、当然ながら、同一の時間において終了してもよい。
【0046】
クロック信号CLK
chargem及びクロック信号CLK
chargepは、チャージポンプ500の充電期間中にそれぞれMOSトランジスタデバイス502及び504をonにするように耐HVプリドライバを制御する。同様に、クロック信号CLK
dumpm及びクロック信号CLK
dumppは、チャージポンプ500のダンピング期間中にそれぞれMOSトランジスタデバイス506及び508をonにするように耐HVプリドライバを制御する
【0047】
充電プラス経路:
充電プラス経路は、ゲート酸化膜耐圧(GOI)ストレスがないようにそれぞれ[V
fgnd、Vbat
drv]電圧レベルでon及びoffされるPMOSスイッチデバイスM
p420を備える。充電プラス経路はPMOSカスコードデバイスM
cascp422を更に備え、そのゲートは、M
cascp422のソース端子がV
fgnd+V
t(M
cascpの閾値電圧)を決して下回らないことを保証する高電圧保護のために、V
fgnd(=V
bat−V
dd)にバイアスされている。カスコードデバイスM
cascp422は、V
cflypが「0」ボルトになる場合でもスイッチングMOSデバイスM
p420がGOIストレス及びホットキャリア注入(HCI)ストレスから保護されることを保証する。また、M
cascpは、[0,V
bat]の範囲にあるV
cflypに対して更に保護される。
【0048】
充電マイナス経路:
充電マイナス経路は、NMOSピーク電流制限デバイスである電流制限MOSトランジスタ「M
c1」416を備え、そのゲートは、gnd
drvに対してV
biasnにおいてバイアスをかけられる。V
biasnは、ピーク電流を所望のレベルに制限する「バイアス生成器」438において生成された適切なバイアス電圧である。同一のV
biasn電圧は、更に「ダンププラス」経路において電流制限トランジスタ「M
d1」430をバイアスするために使用される。ピーク電流制限は、ボンドワイヤ寄生Z
bondが存在する状態で充電経路及びダンプ経路において高周波数電圧のリンギング振幅を最小限にするために実現される。また、ピーク電流を制限することにより、チャージポンプ動作中のドライバにおけるジュール加熱が限度内であることを更に確保する。
【0049】
スイッチングデバイス502、504は、M
csw1:M
csw2=1:Mの比率に分割される。Mは、M
csw2に対するM
csw1のオン抵抗の比率に相当する。2つのスイッチングデバイス502、504は、それぞれ高オン抵抗スイッチ及び低オン抵抗スイッチとして動作する。従って、MOSトランジスタ502を「弱スイッチ」と呼び、MOSトランジスタデバイス504を「強スイッチ」と呼ぶ。
【0050】
スイッチングデバイス502のバックゲートは、ダンピング期間中にM
c1416と関連付けられた寄生PNウェル・ダイオードを介して、gnd
drvとV
negとの間の導電経路を除去するようにV
cflymに接続される。非オーバラップ時間間隔から充電期間(t
6〜t
1)に遷移する間、弱スイッチングデバイスM
csw1は、clk
chargem相によって時間t
1において最初にonにされるため、V
negからgnd
drvへのV
cflymの遷移は、ボンドワイヤ寄生Z
bondが存在する状態で高周波数振動、高振幅振動を除去するのに十分低速である。時間t
2において、V
cflymがgnd
drvに落ち着いた後、強スイッチングデバイスM
csw2は、フライングコンデンサC
fly308の充電を開始するclk
chargep相によってonにされる。
【0051】
ダンプマイナス経路:
ダンプマイナス経路において、スイッチングデバイス506、508は、M
dsw1:M
dsw2=1:Nの比率に分割される。Nは、M
dsw2に対するM
dsw1のオン抵抗の比率を示す。非オーバラップ時間間隔からダンプ期間(t
3〜t
4)に遷移する間、弱スイッチングデバイスM
dsw1は、clk
dumpm相によって時間t
4において最初にonにされるため、gnd
drvからV
negへのV
cflymの遷移は、ボンドワイヤ寄生Z
bondが存在する状態で高周波数振動、高振幅振動を除去するのに十分低速である。時間t
5において、V
cflymがV
negに定着した後、強スイッチングデバイスM
dsw2は、フライングコンデンサC
fly308から出力C
outコンデンサ310のへの充電のダンピングを開始するclk
dump相によってonにされる。
【0052】
ダンププラス経路:
ダンププラス経路において、V
negは、clk
dumppダンプ期間において「−V
ref」に調整するために、V
refと比較される。負帰還制御装置432は、アナログ誤差型デバイスである。ピーク電流制限デバイス「M
d1」430は、gnd
drvに対してV
biasnにバイアスされたゲートを有する。V
biasnは、所望のレベル内にピーク電流を制限するための適切な電圧であり、Biasn生成器438によって生成される。
【0053】
ダンププラス経路は、ゲート端子に対して調整制御電圧V
regが供給されるMOSトランジスタデバイスM
regを更に備える。M
d1とともにM
regは、ダンプ期間の負帰還制御ループにおいて合成制御素子及び最終段を直列形成する。提案された合成制御素子により、広範囲の負荷電流(例えば、I
max/I
min〜1000)にわたる出力電圧調整が可能になる。そのような大きな比率が可能であるのは、既存の解決方法のように、誤差増幅器出力と電源デバイス(ダンピング経路における回路部品)との間において大きな比率の電流ミラーリング・ブロック等を間接的に操作することなく、制御(電圧)が電源デバイス上で直接的に動作するためである。
【0054】
カスコードデバイスM
cascn434は、適切な電圧(V
dd)にバイアスをされたゲートを有する。V
cflypがV
batレベルの電圧になる場合、M
cascnは、HCI及びGOIストレスからM
reg及びM
d1を保護するように構成される。
【0055】
なお、動作中の既存のチャージポンプ(例えば、
図2の206)は、最新技術の回路素子により形成された充電プラス経路、充電マイナス経路、ダンププラス経路及びダンプマイナス経路を備えうる。また、チャージポンプ206は、フライングコンデンサC
flyを充電及び放電するための適切なクロック信号を生成するように構成されたクロック生成器を更に備える。しかし、開示されたチャージポンプ302は、少なくとも高耐圧プリドライバ回路と、プリドライバ回路及び負帰還制御装置432を駆動する4相クロック信号の使用とに起因して、既存の反転型チャージポンプ回路(例えば、206)とは異なる。
【0056】
負帰還制御装置
図6は、負帰還制御装置600の一実施形態の例を示す。なお、負帰還制御装置600は、(
図4及び
図5に示されたような)負帰還制御装置432の実施形態のうちの1つである。負帰還制御装置600は、
図6に示されるように、一端がV
refに接続され、他端がV
negに接続される、抵抗器コンデンサ(RC)を用いたフィードバック回路602を備える。誤差増幅器604において、中点電圧を「0」ボルトと比較する。誤差増幅器604は、単一利得(gm
1,R
1,C
1)段を備える。誤差増幅器の出力は、調整MOSトランジスタデバイスM
regのゲートを制御する前に単位利得段でバッファリングされる。
【0057】
負帰還ループ補償器432は、ダンプ期間制御ループを安定させて、チャージポンプ500の過渡的ループダイナミクスが制御されることを保証するために、V
negノードと誤差増幅器604の出力との間で使用される。clk
dumppが「ハイ」ロジックの場合、スイッチs1は閉じ、s2は開き、制御ループが有効化される。V
regノードは、Vnegから「−V
reg」までの電圧を調整するように制御される。clk
dumppが「ロー」ロジックの場合、スイッチs1が開き、s2が閉じ、V
regが「0」Vに接続され、それにより、ダンプ期間制御ループが無効化される。
【0058】
ダンプマイナス/充電マイナス経路に対する耐HVプリドライバ:
図7は、一実施形態に係るダンプマイナス/充電マイナス経路に対する耐HVプリドライバ700の一実施形態の例を示す。例示的な一実装例において、プリドライバ412及び426(充電マイナス及びダンプマイナス)のトポロジは同一であり、高電圧プリドライバ700は、高電圧プリドライバブロック412、418、426等の一例を示す。なお、トポロジは、種々の回路設計要求に適合するように異なってもよい。高耐圧プリドライバ回路は、1つ以上のレベルシフタ702、704及び高電圧保護回路706を有する。
【0059】
充電マイナスプリドライバ412の場合、V
ssは、チャージポンプ動作中に、スイッチング波形であるV
cflymに接続される。V
ssは、充電マイナス経路に対して交互にV
negかgnd
drvになる。また、ダンプマイナス経路において、V
ssはV
negに対応する。双方の場合において、それぞれの経路をon/offにするために、対応するプリドライバの出力は(V
ss+V
dd)/V
ssに等しい必要がある。出力電圧は、それぞれ、充電マイナス経路及びダンプマイナス経路において対応するNMOSスイッチングデバイス[M
csw1,M
csw2]及び[M
dsw1,M
dsw2]をon/offにする。予歪基準電流(pre-distorted reference current)は、V
ddが抵抗器「R」及び直列NMOSトランジスタにわたって印加され、ドレイン端子及びゲート端子が共に短くなり、ユニットサイズが「M」の状態で、生成される。このようにして生成された電流は、「α」だけ増加され、HV保護ブロックを通過した後にVbat
drvレベルに転送される。
【0060】
HV保護ブロックを通過した後のVbat
drvレベルからのミラー電流は、ドレイン端子及びゲート端子が短くなり、ユニットサイズが「αM」及びM1の状態で、抵抗器R/α、直列NMOSトランジスタの直列結合を流れる。
【0061】
ダンプマイナス/充電マイナス経路に対するプリドライバ回路700において、バイアス電圧V
s電圧は(V
ss+V
dd)に等しい。高インピーダンス基準電圧であるV
sは、ドレイン端子及びゲート端子が共に短くなる状態でMOSトランジスタM1を用いて実現されるクラスBソーシング段によって、バッファリングされる。MOSトランジスタM2のドレインは、HV保護ブロックを介してV
batに接続され、ソース端子は、局所的に示された供給電圧V
supply(〜V
ss+V
dd)をプリドライバに対して提供する。
【0062】
コンデンサC1は、プリドライバが動作可能であり、かつ、切り替わっている場合に、スイッチング過渡的キックバックを処理するように、M1、M2のゲートにおいて、V
ssについての基準電圧に対して低インピーダンスを提供する。コンデンサC2は、V
supplyにおいて低インピーダンスを提供することで、高周波数スイッチング電流を提供する。2つのレベルシフタは、[V
dd,0]電圧領域における2つのクロック位相を、[V
ss+V
dd,V
ss]電圧領域に変換するために使用される。
【0063】
レベルシフタ702及び704は、それぞれ充電マイナス経路及びダンプマイナス経路において、電源デバイス[M
csw1,M
csw2]及び[M
dsw1,M
dsw2]を更に駆動する局所供給電圧V
supply上で動作する、
図7においてバッファとして示された、適切な大きさのプリドライバを駆動するために使用される、レベルシフトクロック信号を提供する。
【0064】
充電プラス経路に対する耐HVプリドライバ:
図8は、充電プラス経路に対する耐HVプリドライバ800の一実施形態の例を示す。プリドライバ回路800に示されるように、PMOSスイッチデバイスM
p420をon/offにするために、P
gateが(V
fgnd/V
bat)間を変動するようにする。V
fgnd=(V
bat−V
dd)は、Biasn生成器438によって内部で生成されたバイアス電圧である。
【0065】
予歪基準電流は、V
ddが抵抗器「R」及び直列NMOSトランジスタにわたって印加され、ドレイン端子及びゲート端子が共に短くなり、ユニットサイズが「M」の状態で、生成される。生成された電流は「α」だけ増加される。ミラー電流は、ドレイン端子及びゲート端子が共に短くなり、ユニットサイズがVbat
drvに接続された「αM」及びM1の状態で、抵抗器R/α、直列NMOSトランジスタの直列結合を流される。
【0066】
提案されたバイアスV
s電圧は、Vbat
drv−V
ddである。この高インピーダンス基準電圧は、ドレイン端子及びゲート端子が共に短くなった状態のM1と、gnd
drvに接続されたドレイン、及び局所的に示された供給電圧V
supply(〜Vbat
drv−V
dd)をプリドライバに対して提供するソース端子を有するM2とによって実現された、クラスBシンキング段によってバッファリングされる。クラスBシンキング段の2つのブランチは、Vbat
drvとgnd
drvとの間で直接動作するために保護される。
【0067】
また、充電プラス経路に対する耐HVプリドライバ800は、プリドライバが動作可能であり、かつ、切り替わっている場合に、スイッチング過渡的キックバックを処理するように、M1及びM2のゲートにおいて基準電圧に対して低インピーダンスを提供するコンデンサC1を備える。コンデンサC2は、V
supplyにおいて低インピーダンスを提供することで、高周波数スイッチング電流を提供する。
【0068】
レベルシフタ(例えば、802)は、[V
dd,0]電圧領域におけるクロック位相clk
chargepを[Vbat
drv,V
fgnd]電圧領域に変換するために使用される。レベルシフトクロック信号は、充電プラス経路において、電源デバイスM
pのP
gateを更に駆動する局所供給電圧V
supply上で動作する、
図8においてインバータとして示された、適切な大きさのプリドライバを駆動するために使用される。
【0069】
当然ながら、以下の特許請求の範囲の主題は、種々の例及び本発明の原理を記述するために使用された文言に限定されず、その範囲から逸脱することなく特許請求の範囲を実施するため変形例が考えられうる。むしろ、本発明の実施形態は、本発明の構造的な均等物及び機能的な均等物の双方を包含する。
【0070】
本明細書では、本発明のある特定の好適な実施形態、並びに同様のものを実施するある特定の好適な方法及び回路について説明しかつ例示したが、当然ながら、本発明は、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内で種々に具体化されかつ実施されることは明らかである。