【実施例】
【0084】
以下に、本発明にかかる疾病抑制剤の必須成分であるペプチド分子またはこれを含むコラーゲンペプチドの性能評価試験と、前記疾病抑制剤の配合例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「重量%」を「%」と記すことがある。
【0085】
〔特定構造のペプチド分子の準備〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子としては以下のものを用いた。
【0086】
すなわち、(POG)
5はペプチド研から入手し、EGDGHLGKPGROGEおよびEKDGHPGKPGROGE、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2および(POG)
2は、それぞれ、PHジャパンから入手した。
【0087】
〔他のペプチド分子の準備〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する比較用の他のペプチド分子は、前述の固相法により合成した。
【0088】
すなわち、まず、表面をアミノ基で修飾した直径0.1mm程度のポリスチレン高分子ゲルのビーズを固相として用い、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)10部を用いた脱水反応によってFmoc(fluorenyl−methoxy−carbonyl)基でアミノ基を保護したヒドロキシプロリン45部にグリシン45部を結合(ペプチド結合)させた後、固相を溶媒(エチルアルコール)でよく洗い、残ったヒドロキシプロリンなどを除去した。この後、固相に結合しているヒドロキシプロリン残基の保護基をトリフルオロ酢酸の温浸により除去(脱保護)することにより、OGを合成した。
【0089】
上記各ペプチド分子の合成には、Libertyペプチド合成システム(CEM社製)を使用した。
【0090】
同様にして、PO、Ala−Hyp、Leu−Hyp、Phe−Hyp、Ser−Hyp、POGを合成した。
【0091】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備1〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC)は、以下に示す方法に従って得た。
【0092】
すなわち、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4Lに溶解させ、60℃に温度調節した後、1次反応として、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行った。次いで、2次酵素反応として、これにアミノペプチダーゼP活性を有するAspergillus oryzae抽出酵素を終濃度1.5%で添加し、これを可溶化した後、50℃で2時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC)を得た。
【0093】
このPCを、薄層クロマトグラフィー(TLC)に供した。すなわち、TLCプレート(商品名「Cellulose F」、メルク社製)に、水に可溶化したPCを、10μg滴下し(スポット原点)乾燥させた後、溶媒(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)で展開した。イサチン−Zn発色液を噴霧し、青色スポットの発色Rf値が同一プレートでの合成ペプチド分子(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の各々のRf値と一致することを確認することにより、このPCがこれら各ペプチド分子を含むことを確認した。
【0094】
上記PCについて、さらに、MALDI−TOF/MS分析を行った。ただし、このPCにはペプチド分子が多種含まれていて解析が困難であったため、同サンプルを、Sep−PakC18カートリッジカラム(Waters社製)により逆相クロマト分画分取したのち、凍結乾燥したサンプルを20μLのMQ水で溶解し、MALDI−TOF/MS分析を行うようにした。
【0095】
MALDI−TOF/MS分析は、具体的には、マトリックス支援レーザーイオン化法(MALDI:matrix assisted laser desoption ionization)と飛行時間型質量分析法(TOF/MS:Time of flight/mass)の組み合わせにより質量を決定した。MALDIのためのマトリックスとして、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)を0.1%TFA含有50%アセトニトリルにごく微量加えた溶液の上清を用いた。これを分析試料と同量混合し、結晶を作った。短時間のレーザーを照射することにより、分析試料をイオン化した。全ての質量スペクトルは、337nm窒素レーザーを備え、イオンを6kVで加速するAutoflex TOF/TOF質量分析計(Bruker Daltonics社製)で得られた。得られた分子イオンピークとCID−LIFTでのイオンピークの解析を行った。
【0096】
上記解析から、このPCがペプチド分子EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0097】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記PCは、EGDGHLGKPGROGEを0.01%、EKDGHPGKPGROGEを0.01%、(POG)
5を0.01%、G(POG)
4を0.02%、(POG)
4を0.1%、G(POG)
3を0.2%、(POG)
3を1%、G(POG)
2を2%、(POG)
2を5%含むものであることが分かった。
【0098】
なお、上記イオンピーク解析において、EGDGHLGKPGROGEのm/zは1421.639、EKDGHPGKPGROGEのm/zは1476.706、(POG)
5のm/zは1354.6、G(POG)
4のm/zは1087.5、(POG)
4のm/zは1144.5、G(POG)
3のm/zは877.4、(POG)
3のm/zは820.5、G(POG)
2のm/zは610.3、(POG)
2のm/zは553.4である。
【0099】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備2〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する魚鱗由来のコラーゲンペプチド(FC)は、魚鱗由来ゼラチンを用いたこと以外は、前記PCの製造と同様の操作により得た。
【0100】
このFCを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、ペプチド分子(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の存在が確認された。
【0101】
さらに、MALDI−TOF/MS解析から、このFCがペプチド分子G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0102】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記FCは、(POG)
5を0.01%、G(POG)
4を0.02%、(POG)
4を0.1%、G(POG)
3を0.2%、(POG)
3を1%、G(POG)
2を2%、(POG)
2を5%含むものであることが分かった。
【0103】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備3〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC−CP)は、以下に示す方法に従って得た。
【0104】
すなわち、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させたのち、40℃に冷却し、1次酵素反応として、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で18時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで2次酵素反応として、この反応液にアミノペプチダーゼPおよびプロリルオリゴペプチダーゼ活性を併有するAspergillus niger抽出酵素を終濃度1.0%で添加し、これを可溶化した後、pH4.0、50℃で2時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−CPを得た。
【0105】
ここでは、2次酵素反応で用いる酵素としてプロリルオリゴペプチダーゼ活性を併有するものを用いることで、N末端側の不要部位を塊として切断除去することにより、特定構造のペプチド分子を、効率的に得るようにしている。
【0106】
このPC−CPを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、ペプチド分子EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の存在が確認された。
【0107】
さらに、MALDI−TOF/MS解析から、このPC−CPがペプチド分子G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0108】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記PC−CPは、EGDGHLGKPGROGEを0.01%、EKDGHPGKPGROGEを0.01%、(POG)
5を0.02%、G(POG)
4を0.04%、(POG)
4を0.2%、G(POG)
3を0.4%、(POG)
3を4%、(POG)
2を10%含むものであることが分かった。
【0109】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備4〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC−2)は、2次酵素反応を、アミノペプチダーゼN活性を有するAspergillus oryzae抽出酵素により行うこと以外は、前記PCの製造と同様の操作により得た。
【0110】
このPC−2を前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、ペプチド分子(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の存在が確認された。
【0111】
さらに、MALDI−TOF/MS解析から、このPC−2がペプチド分子G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0112】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記PC−2は、(POG)
5を0.01%、G(POG)
4を0.03%、(POG)
4を0.1%、G(POG)
3を0.3%、(POG)
3を1%、G(POG)
2を3%、(POG)
2を4%含むものであることが分かった。
【0113】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備5〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する魚鱗由来のコラーゲンペプチド(FC−2)は、2次酵素反応を、アミノペプチダーゼN活性を有するAspergillus oryzae抽出酵素により行うこと以外は、前記FCの製造と同様の操作により得た。
【0114】
このFC−2を前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、ペプチド分子(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の存在が確認された。
【0115】
さらに、MALDI−TOF/MS解析から、このFC−2がペプチド分子G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0116】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記FC−2は、(POG)
5を0.01%、G(POG)
4を0.04%、(POG)
4を0.1%、G(POG)
3を0.3%、(POG)
3を1%、G(POG)
2を2%、(POG)
2を3%含むものであることが分かった。
【0117】
〔特定構造のペプチド分子を含むコラーゲンペプチドの準備6〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子を含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC−CP−2)は、2次酵素反応を、アミノペプチダーゼNおよびプロリルオリゴペプチダーゼ活性を併有するAspergillus niger抽出酵素により行うこと以外は、前記PC−CPの製造と同様の操作により得た。
【0118】
このPC−CP−2を前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、ペプチド分子(POG)
5、(POG)
4、(POG)
3、(POG)
2の存在が確認された。
【0119】
さらに、MALDI−TOF/MS解析から、このPC−CP−2がペプチド分子G(POG)
4、G(POG)
3、G(POG)
2をも含むことを確認した。
【0120】
MALDI−TOF/MSのCID−LIFTでのイオンピーク解析から、前記PC−CP−2は、(POG)
5を0.02%、G(POG)
4を0.04%、(POG)
4を0.2%、G(POG)
3を0.4%、(POG)
3を2%、G(POG)
2を4%、(POG)
2を9%含むものであることが分かった。
【0121】
〔特定構造のペプチド分子を含まないコラーゲンペプチドの準備1〕
後述する性能評価試験や疾病抑制剤に使用する特定構造のペプチド分子のいずれも含有しない比較用のコラーゲンペプチド(PC−CP−Cont)は、以下に示す方法に従って得た。
【0122】
すなわち、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させたのち、40℃に冷却し、1次酵素反応として、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で18時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで、酵素加水分解処理で得られた溶液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−CP−Contを得た。
【0123】
また、このPC−CP−Contを前記PCの場合と同様にTLCにより分析し、さらに、MALDI−TOF/MS解析を行ったが、特定構造のペプチド分子のいずれの存在も確認できなかった。
【0124】
〔性能評価試験〕
上記各ペプチド分子、コラーゲンペプチド、および、比較のためのアミノ酸(プロリン、ヒドロキシプロリン)を用いて行った各性能評価試験の詳細を以下に示す。
【0125】
<評価試験1:破骨細胞の分化および活性化の抑制>
Kobayashi Y.らの破骨細胞分化培養法[J.Bone Miner.Metab.(2004)22:p.318−328]に準じて評価した。
【0126】
すなわち、EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2および(POG)
2を用い、それぞれをマウス初代骨髄細胞培養液に終濃度625μMとなるように添加し、培養から6日後にマーカー酵素である酒石酸耐性酸性リン酸エステル加水分解酵素(TRAP)の各抑制活性を調べた。同様にして、他のペプチド分子(PO、Ala−Hyp、Leu−Hyp、Phe−Hyp、Ser−Hyp、POG)、アミノ酸(Pro、Hyp)を用いたときのTRAP抑制活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのTRAP抑制活性も調べた。
【0127】
また、さらに、各種ペプチド分子、アミノ酸による破骨細胞の分化および活性化の抑制度を、次のPitアッセイにより評価した。すなわち、破骨細胞を象牙片上で培養するPitアッセイは、Kakudo S,et al(1996).J.Bone Miner.Metab.14:129−136に準じて実施した。具体的には以下のとおりである。
【0128】
若令マウス腸管骨由来の破骨細胞の前駆細胞と骨髄ストローマ細胞含有浮遊液を、10%DMSO存在下、−80℃で凍結保存して、成熟破骨細胞を死滅させた。
【0129】
この細胞2.0×10
5を、象牙片をセットした96ウエルプレートの各ウエルに播きこみ、各被験ペプチドを培養液に添加して37℃、5%CO
2で約1週間培養した。その後、シリコン製ラバーポリスマンで象牙片から細胞を除去した後、酸ヘマトキシリン溶液で象牙片を数分間染色した。この時、TRAP染色によりTRAP染色陽性多核巨細胞(破骨細胞)数を計測し、対照(ブランク)でのその細胞数に対する相対数を算出した。その後、顕微鏡下にて破骨細胞によるPit数(吸収窩の数)を計測し、ブランク(対照)に対する相対比によって各被験ペプチドの破骨細胞の活性抑制度を表示した。
結果を表1に示す。
【0130】
【表1】
【0131】
(試験数:n=6)
註) **:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.01)
*:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.05)
【0132】
<評価試験2:骨芽細胞の分化および活性化の亢進>
骨芽細胞株MC3T3−E1培養液に、デキサメタゾン(終濃度1nmol/L)、β−グリセロリン酸(終濃度5mmol/L)、アスコルビン酸(終濃度100μg/mL)をそれぞれ加えた後、EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2および(POG)
2を用い、これらを前記培養液に終濃度2.5mmol/Lとなるように添加し、培養から10日後に骨芽細胞の分化および石灰化のマーカー酵素であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の各亢進活性を調べた。同様にして、他のペプチド分子(PO、Ala−Hyp、Leu−Hyp、Phe−Hyp、Ser−Hyp、POG)、アミノ酸(Pro、Hyp)を用いたときのALP亢進活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのALP亢進活性も調べた。結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】
(試験数:n=6)
註) **:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.01)
*:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.05)
【0135】
<評価試験3:軟骨細胞の変性の抑制>
EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2、(POG)
2を用い、各ペプチド分子を前駆軟骨細胞株ATDC5培養液に終濃度2.5mmol/Lとなるように添加し、培養から5日後に肥大化軟骨および石灰化のマーカー酵素であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の各抑制活性を調べた。同様にして、他のペプチド分子(PO、Ala−Hyp、Leu−Hyp、Phe−Hyp、Ser−Hyp、POG)、アミノ酸(Pro、Hyp)を用いたときのALP活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのALP活性も調べた。結果を表3に示す。
【0136】
【表3】
【0137】
(試験数:n=6)
註) **:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.01)
*:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.05)
【0138】
<評価試験4:皮膚真皮中のトロポコラーゲン量の回復>
ウィスター系雄ラット(140g)を、3日間、市販固形食(TypeMF、オリエンタル酵母社製)により予備飼育した後、カゼイン食に切り替え、3日後に皮膚創傷を発症させた。
【0139】
前記皮膚創傷は、ラットの腹部に除毛処理を3日間施すことにより発症させるようにし、具体的には、ラットにネンブタール(4mg/0.08mL/100gBW)を腹腔内投与して麻酔した後、腹部(約3×5cm)に対しバリカンによる毛刈りを行った。さらに、市販の除毛剤(Epilat除毛クリーム、カネボウ社製)を塗付し、5分間放置した後、剃刀で丁寧に剃った。この処理は、皮膚試料の採取開始の3日前から1日1回、3日間連続して行った。
【0140】
試験群を、カゼイン食群、EGDGHLGKPGROGE群、EKDGHPGKPGROGE群、(POG)
5群、G(POG)
4群、(POG)
4群、G(POG)
3群、(POG)
3群、G(POG)
2群、(POG)
2群、PC群、FC群、PC−CP群、PC−2群、FC−2群、PC−CP−2群に分け、各群ごとに、除毛処理当日(除毛処理後0日目)、除毛処理から1日後、除毛処理から2日後、除毛処理から4日後における、皮膚創傷回復過程の皮膚コラーゲン量の推移(総コラーゲン量当たりの比率)を測定した。
各群の食餌組成を表4に示す。
【0141】
【表4】
【0142】
上記食餌組成でラットを飼育するようにし、飼育期間を通して食餌および水は自由摂取とした。
【0143】
さらに、EGDGHLGKPGROGE群、EKDGHPGKPGROGE群、(POG)
5群、G(POG)
4群、(POG)
4群、G(POG)
3群、(POG)
3群、G(POG)
2群、(POG)
2群、PC群、FC群、PC−CP群、PC−2群、FC−2群、PC−CP−2群では、食餌に配合した各特定のペプチド分子、PC、FC、PC−CP、PC−2、FC−2、PC−CP−2と同一のものを10g精秤し、蒸留水20mLで保温溶解したものを各試験群のラットに1日1回正午にゾンデを用いて胃内投与した。
【0144】
各群の皮膚創傷回復過程の皮膚コラーゲン量の推移(総コラーゲン量当たりの比率)の測定結果を表5に示す。
【0145】
【表5】
【0146】
(被験動物数:n=4)
註) 異なるアルファベット間で統計的に有意差あり(p<0.05)
(注釈):皮膚トロポコラーゲン比率(%)=X÷[X+Y+Z]×100
X:0.45M NaCl水溶液可溶性コラーゲン量:トロポコラーゲン量
Y:0.5M 酢酸水溶液可溶性コラーゲン量:酸可溶性コラーゲン量
Z:0.5M 酢酸水溶液不可溶性コラーゲン量:(酸不溶性コラーゲン=架橋化コラーゲン)量
【0147】
ここで、皮膚可溶性コラーゲンの定量は、下記のようにして行った。
皮膚下の脂肪を可能な限り除去しながら処理皮膚と未処理皮膚をトリミングした。解剖用はさみで丹念に細切し、約0.2から0.3gを精秤し、14mL容遠沈管に採取した。これに冷0.45M塩化ナトリウム溶液4mLを加えてポリトロンホモゲナイザー(speed No4)で20秒間、氷冷しながらホモゲナイズした。さらに、冷0.45M塩化ナトリウム溶液2mLを加えて、冷蔵室内で回転撹拌機(TAITEC社製)を用いて24時間の抽出を行った。抽出液を冷却遠心機で20,000g、20分間遠心して上清液を採取し、中性塩可溶性コラーゲン画分とした。遠心残渣に冷0.5M酢酸を6mL加え、同様に24時間の抽出を行った。0.5M酢酸抽出液を冷却遠心機で20,000g、20分間遠心して上清液を採取し、酸可溶性コラーゲン画分とした。その遠心残渣は不溶性コラーゲン画分とした。
【0148】
中性塩可溶性コラーゲン画分と酸可溶性コラーゲン画分の各5mLには同じ容積の濃塩酸5mLを加え、不溶性コラーゲン画分には濃塩酸1mLを加え60℃で5分間加温溶解させ、さらに6N塩酸2mLで3回洗浄しながらガラス製加水分解用試験管に移し、110℃で24時間、加水分解を行った。
【0149】
そして、各コラーゲン画分の加水分解液中に含まれるヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、各コラーゲン画分の定量を行い、これら各コラーゲン画分の総和に対する前記中性塩可溶性コラーゲン画分の相対比を算出した。
【0150】
上記ヒドロキシプロリン量の比色定量は、Firschein and Shill法により行い、具体的には、以下のようにして行った。
【0151】
試料溶液2mLに2−プロパノール2mLを加え、十分に撹拌した。ここに酸化剤であるクロラミンT液0.5mLを加えて正確に4分間放置した後、氷冷した。ここにp−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液5mLを加えて、十分に撹拌した後、沸騰水浴中で正確に2分間加熱した。その後、直ちに氷冷し、1時間放置した後、波長575nmで比色定量した。
【0152】
なお、クロラミンT液は、クロラミンT(5g)を蒸留水50mLに溶解調整し、冷蔵保存しておき、使用直前に酢酸緩衝液(pH6.0)で1:4に希釈して用いた。また、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液(エーリッヒ溶液)は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド粉末20gに濃塩酸22mLを加えて沸騰水中で加熱溶解し、直ちに氷水中にて冷却し、2−プロパノール122mLを加えて撹拌溶解し調製した。
【0153】
<評価試験5:腸管吸収性>
ウィスター系雄ラット(170g)を一晩絶食させて実験に供した。検体試料には、EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2、(POG)
2、OG、PO、Ala−Hyp、Ser−Hypを各215nmol/10mL用い胃内投与した。
【0154】
試験方法としては、ラットの心臓と門脈にカニューレを装着して1方向性灌流を行った。灌流液としては、NaCl 9.0g、5.75%KCl 8mL、10.55%KH
2PO
4 2mL、19%MgSO
4 2mL、NaHCO
3 2.73g、グルコース3.43g、水1255mLからなるクレブス−リンガー重炭酸液(KRB液、pH7.4)に、前記KRB液500mLに対して牛血清アルブミン10g、デキサメタゾン(0.123mg/mL)0.5mL、ノルアドレナリン(0.024mg/mL)0.5mLを加えたものを用いた。
【0155】
門脈から採取された灌流試料溶液5.0mLに30%スルフォサリチル酸を0.5mL加え、激しく撹拌し、冷蔵庫で一晩放置した。この試料を3000rpmで10分間遠心分離し、除タンパク質を行った。遠心上澄液について、その0.5mL中のヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、遊離型Hyp量を得た。
【0156】
さらに、前記遠心上澄液3.0mLをネジ口試験管に秤取し、これに当量の濃塩酸を加え、110℃で24時間加水分解した。エバポレーターで濃縮乾固し、塩酸を除去し、5mLの蒸留水に溶解し、飽和水酸化リチウム溶液を数滴加えてpH5〜7に調整し、10mLに定容した。この溶液2mLについて、ヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、総Hyp量を得た。加水分解後の総Hyp量から、加水分解前の遊離型Hyp量を差し引いて得られる値がペプチド態Hyp量となる。このペプチド態Hyp量から、検体試料の各ペプチド分子がラット門脈灌流液中に吸収された定量値をまず確認した。
【0157】
上記において、ヒドロキシプロリン量の比色定量は、評価試験4で具体的に説明したFirschein and Shill法により行った。
【0158】
さらに、ラット門脈灌流液中に回収されたペプチド分子、すなわち、腸管吸収された各EGDGHLGKPGROGE、EKDGHPGKPGROGE、(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2、(POG)
2の同定、定量を上述のMALDI−TOF/MS解析により行った。また、OG、PO、Ala−Hyp、Ser−Hypの同定、定量を下記によるHPLC分析および質量分析(LC/MS/MS)を用いて行った。
【0159】
(HPLC分析)
灌流液中のペプチド分子の分析を逆相HPLC分析により行った。HPLC装置としては、送液ポンプ、デ
ガッサ、オートサンプラ、カラムオープン、紫外部分光光度計、プリンター、システムコントローラーから構成される日本分光社製のLCSS−905システムを用いた。逆相カラムは、Nova Pak C18(3.9×150mm)を用いた。
【0160】
0.1%TFA含有アセトニトリル−水系のリニアグラディエント移動層を用い、試料注入量は70μL、流速は1mL/minであった。
【0161】
(LC/MS/MS分析)
HPLC装置としてはU980HPLC(日本分光社製)を用い、この装置はODS(C18)カラム(Mightysil RP−18,2×250mm、Kanto Chemical Co Ltd社製)を装着している。移動相溶媒としては、0.2%蟻酸含有アセトニトリル−水系とし、リニアグラディエントにより40分間で0%から40%アセトニトリルまで濃度を上昇させ、100%アセトニトリルで10分間洗浄を行った。試料注入量は10μLであり、カラム温度は40℃であった。
【0162】
MS分析は、4チャンネルのMultiple Reaction Monitoring法によるQuattro LC質量分光光度計(Micromass,Manchester,UK)によるMS/MS方式で行った。すなわち、HPLCからの溶出液を[M+H]
+であるm/zとそのフラグメントイオン種のm/sでモニターした。POについては[M+H]
+m/z:229.1>132.1を、Ser−Hypについては[M+H]
+m/z:219.1>132.1を、Ala−Hypについては[M+H]
+m/z:203.1>132.1を、OGについては[M+H]
+m/z:189.1>86.1を、それぞれ用いてモニターした。
【0163】
灌流液を最終濃度3%のスルフォサリチル酸処理し、除タンパク質を行った。上清液を凍結乾燥し、乾燥粉末10mgを蒸留水に溶解し、陽イオン交換樹脂カラム処理し、アンモニア溶出画分を得た。この画分の溶媒を除去し、蒸留水に溶解し、LC/MS/MS分析した。
結果は、表6に示すとおりであった。
【0164】
【表6】
【0165】
<評価試験6>
10週令のC57BL/6Jマウスに、下記表7に示す組成で各々飼料を経口摂取させた。
【0166】
【表7】
【0167】
マウスを3週間後に屠殺し、各群の大腿骨・脛骨関節部のμCT(卓上型マイクロCTスキャナ SKYSCAN1172、SKYSCAN社製)像から関節腔の幅を測定し、非脱灰ヘマトキシリン染色切片からマトリクス構造評価および細胞状態を評価した。
結果を表8に示す。
【0168】
【表8】
【0169】
(被験動物数:n=4)
註) *:N群と比較して統計的に有意差あり(p<0.05)
【0170】
<評価試験7>
(POG)
5、G(POG)
4、(POG)
4、G(POG)
3、(POG)
3、G(POG)
2、(POG)
2のそれぞれについて、終濃度5mmol/Lとなるように生理食塩水に可溶化したのち、濾過滅菌した。これらの溶液0.5mlを、10週令のC57BL/6Jマウスに上記表7の組成で飼料を3週間与えたC群に対して、その左大腿骨・脛骨関節腔に注射した。1週間後に屠殺し、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、病理評価した。同様にして、注射した後、3週間後に屠殺した場合についても、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、前記評価試験6でのN群の病理切片と比較して病理評価した。
結果を表9に示す。
【0171】
【表9】
【0172】
(被験動物数:n=4)
a):骨梁の増加あり。多くの骨芽細胞存在。
b):N群と同様な骨梁。骨芽および骨細胞数がN群と同等数存在。
【0173】
<性能評価試験の結果の考察>
上記結果に見るように、対照(ブランク)との比較から、特定構造のペプチド分子が、破骨細胞の分化と活性化を抑制し(表1)、骨芽細胞の分化と活性化を亢進し(表2)、軟骨細胞の変性を抑制してその分化を調節し(表3)、皮膚真皮中のトロポコラーゲン量を回復させる(表5)ことが分かる。そして、その効果は、OGを除く他のペプチド分子、アミノ酸よりも優れている。
【0174】
また、特定構造のペプチド分子は、ジペプチドには劣るものの、十分に迅速かつ安定的に(アミノ酸に分解されずに)腸管吸収されることが分かる(表6)。
【0175】
そして、表8,9に示す結果からは、特定構造のペプチド分子が、関節軟骨の変性を抑制したり、あるいは、関節軟骨の再生を促進したりすることが分かる。
【0176】
〔疾病抑制剤〕
上記特定構造のペプチド分子を用いて、本発明にかかる疾病抑制剤を得た。それらの配合例を以下に示す。
【0177】
<実施例1〜7>
表10に示す配合で、各材料を混合し、賦形剤としての結晶性セルロースを、表10に記載の配合全体に対して10部の割合で用いて、常法により打錠成形することにより、経口用として用いうる、実施例1〜7にかかる疾病抑制剤を得た。
【0178】
【表10】
【0179】
<実施例8>
上記PCを用いてチュアブルタイプのタブレットを製造した。
具体的には、下記配合成分を混合し、打錠成型器を用いて、一粒0.8gのチュアブルタイプのタブレットを調製した。このチュアブルタイプのタブレットは、全量を100%としたとき、EGDGHLGKPGROGEを0.005%、EKDGHPGKPGROGEを0.005%、(POG)
5を0.005%、G(POG)
4を0.01%、(POG)
4を0.05%、G(POG)
3を0.1%、(POG)
3を0.5%、G(POG)
2を1%、(POG)
2を2.5%含むものであった。
PC 50.0kg
アスコルビン酸 10.0kg
ミクロカルマグS(エスケーフーヅ社製) 4.6kg
マビット(林原社製) 19.0kg
結晶セルロース 10.0kg
乳化剤 3.2kg
アスパルテーム 0.5kg
発酵乳パウダー 1.4kg
粉末香料 1.0kg
クエン酸 0.3kg
【0180】
<実施例9>
上記PCを用い、下記配合成分を混合して、100〜140mLのお湯に溶解させて飲用する粉末コンソメスープ(1袋6.0g)を調製した。この粉末コンソメスープは、全量を100%としたとき、EGDGHLGKPGROGEを0.0035%、EKDGHPGKPGROGEを0.0035%、(POG)
5を0.0035%、G(POG)
4を0.007%、(POG)
4を0.035%、G(POG)
3を0.07%、(POG)
3を0.35%、G(POG)
2を0.7%、(POG)
2を1.75%含有するものであった。
PC 35.0kg
チキンエキスパウダー 25.0kg
食塩 18.0kg
ブドウ糖 7.7kg
乳酸カルシウム 7.0kg
グルタミン酸ナトリウム 4.0kg
オニオンエキスパウダー 1.0kg
HVP 1.0kg
ビーフフレーバー 0.5kg
5’−リボヌクレオチド2ナトリウム 0.5kg
ホワイトペッパー 0.2kg
ターメリック 0.1kg
【0181】
<実施例10>
上記PCを用い、下記配合成分を混合して、100〜150mLの水に溶解させて飲用する粉末ジュース(1袋13.0g)を調製した。この粉末ジュースは、全量を100%としたとき、EGDGHLGKPGROGEを0.004%、EKDGHPGKPGROGEを0.004%、(POG)
5を0.004%、G(POG)
4を0.008%、(POG)
4を0.04%、G(POG)
3を0.08%、(POG)
3を0.4%、G(POG)
2を0.8%、(POG)
2を2%含有するものであった。
PC 40.4kg
アスコルビン酸ナトリウム 1.2kg
エリスリトール 52.0kg
アセスルファムK 0.1kg
アスパルテーム 0.1kg
クエン酸ナトリウム 0.8kg
クエン酸(結晶) 4.6kg
マスカットフレーバー 0.8kg
【0182】
<実施例11>
上記PCを用い、下記配合成分に従い、精製水に他の配合成分を溶解し、pH3.5、B’×9.0%に調製したのち、110℃で30秒加熱殺菌処理を施し、10℃に冷却してから紙パックに無菌充填して、清涼飲料水(1パック125mL)を調製した。この清涼飲料水は、全量を100%としたとき、EGDGHLGKPGROGEを0.00025%、EKDGHPGKPGROGEを0.00025%、(POG)
5を0.00025%、G(POG)
4を0.0005%、(POG)
4を0.0025%、G(POG)
3を0.005%、(POG)
3を0.025%、G(POG)
2を0.05%、(POG)
2を0.125%含有するものであった。
PC 2.5kg
ビタミンミックスDN(BASFジャパン社製)0.1kg
エリスリトール 5.5kg
アセスルファムK 0.015kg
アスパルテーム 0.005kg
クエン酸 約0.6kg
フルーツミックスフレーバー 0.16L
ライチフレーバー 0.04L
精製水 残量(合計が100.0kgになるように設定)
【0183】
<実施例12>
まず、下記配合成分のうちの精製水(B)に上記PCおよびゼラチンを浸漬して30分間膨潤させたのち、80℃達温30分間加熱して完全に溶解させ、ゼラチン溶液とした。次に、下記配合成分のうちの精製水(A)にミルクオリゴ糖、粉末麦芽還元糖、エリスリトール、および難消化性デキストリンを溶解させ、煮詰めた後、アスパルテーム、前記ゼラチン溶液、予め精製水(A)の一部に溶解させたクエン酸(結晶)、ペパーミントフレーバー、ミントフレーバー、レモンフレーバー、およびベニバナ黄色素を添加し、B’×79〜81%に調製したのち脱泡し、スターチモールドに充填して室温で24時間乾燥させ、グミゼリー(1粒4g)を調製した。このグミゼリーは、全量を100%としたとき、EGDGHLGKPGROGEを0.0005%、EKDGHPGKPGROGEを0.0005%、(POG)
5を0.0005%、G(POG)
4を0.001%、(POG)
4を0.005%、G(POG)
3を0.01%、(POG)
3を0.05%、G(POG)
2を0.1%、(POG)
2を0.25%含有するものであった。
PC 5.0kg
ミルクオリゴ糖 41.0kg
粉末麦芽還元糖 31.0kg
エリスリトール 5.0kg
難消化性デキストリン 5.0kg
アスパルテーム 0.05kg
ゼラチン(APH250、新田ゼラチン社製) 7.0kg
クエン酸(結晶) 1.2kg
ペパーミントフレーバー 0.6L
ミントフレーバー 0.2L
レモンフレーバー 0.7L
ベニバナ黄色素 適量
精製水(A) 20.0L
精製水(B) 18.0L
【0184】
<実施例13〜17>
PCに代えて、PC−2を用いたこと以外は実施例8〜12と同様にして、各種疾病抑制剤を得た。
【0185】
<実施例18>
実施例1の(POG)
5を滅菌済みの生理的食塩水で2.5mMの濃度となるよう可溶化することにより、患部への注入用として用いうる、実施例18にかかる疾病抑制剤を得た。
【0186】
<実施例19〜27、比較例1〜3>
論文「Takeshita F,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2005;102:12177−12182」に準じて、疾病抑制剤の調製およびその試験を下記のとおりに行った。
【0187】
ルシフェラーゼを発現するヒト前立腺癌細胞株PC−3M(PC−3M−lu)をヌードマウス左心室から投与することで骨転移モデルを準備する。次に、ルシフェラーゼを特異的に抑制するGL3siRNAを各合成ペプチド(10μM)あるいは従来公知の一般的なDDS担体と混合後複合体化して、尾静脈から全身投与した。そのマウスをin vivoイメージングで解析することにより、骨転移巣でのルシフェラーゼの発光量を定量するIVIS(リアルタイムin vivoイメージングシステム)(Xenogen社:住商バイオサイエンス)によって評価した。
結果を表11に示す。
【0188】
【表11】
【0189】
(試験数:n=3)
註) **:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.01)
*:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.05)
註)
・PVA:ポリビニルアルコール (平均重合度約1500、和光純薬製)
・PEG:ポリエチレングリコール (平均分子量1500、和光純薬製)
・PLA:ポリ乳酸 (分子量1600〜2400、和光純薬製)
【0190】
表11に見るように、本発明の特定構造のペプチド分子を用いた場合には、siRNAのみ(対照)の場合や、従来の一般的なDDS担体を用いた場合と比べて、ルシフェラーゼ発現率が少なく、骨転移が抑制されていること、したがって、標的へのsiRNAの伝達が有効に働いていることが分かる。
【0191】
<実施例28〜36、比較例4〜6>
骨転移ヌードマウスに各合成ペプチド0.1gを0.5mLの蒸留水に可溶化して胃内投与し、投与30分後、ルシフェラーゼを特異的に抑制するGL3siRNAをこのマウスの尾静脈から全身投与した。このマウスについて、実施例19〜27と同様の評価を行った。
結果を表12に示す。
【0192】
【表12】
【0193】
(試験数:n=3)
註) **:対照と比較して統計的に有意差あり(p<0.01)
註)
・PVA:ポリビニルアルコール (平均重合度約1500、和光純薬製)
・PEG:ポリエチレングリコール (平均分子量1500、和光純薬製)
・PLA:ポリ乳酸 (分子量1600〜2400、和光純薬製)
【0194】
表12からは、本発明の特定構造のペプチド分子が、共投与によっても、標的へのsiRNAの伝達担体として有効に働いていることが分かる。