(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テストステロンエステルが、オクタン酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、デカン酸テストステロン、ウンデカン酸テストステロン、及びパルミチン酸テストステロンからなる群より選択される中鎖(C7〜C13)脂肪酸エステルである、請求項2に記載の医薬組成物。
前記親油性界面活性剤が、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
前記可消化油が、ダイズ油、ベニバナ種子油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、綿実油、ラッカセイ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、ヤシ油、ナタネ油、月見草油、グレープシード油、麦芽油、ゴマ油、アボカド油、アーモンド核油、ルリヂサ核油、ハッカ核油及び杏仁油からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
前記一以上の更なる脂溶性治療薬が、合成プロゲスチン、I型又はII型5α−レダクターゼの阻害薬、フィナステライド、デュタステライド及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
リン酸緩衝液中で、あるパーセンテージのインビトロ溶解プロファイルを示し、前記インビトロ溶解プロファイルが、可溶化されたテストステロンエステルのすべてを前記組成物から1時間以内に放出することを示す、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、疎水性薬物のドラッグデリバリーシステム、好ましくは、経口ドラッグデリバリーシステム、を提供する。したがって、本明細書では、本発明の一部を、経口デリバリーシステムに関して記載するが、本発明は、局所的及び筋内注射にも適している。更に、本明細書では、疎水性薬物には、本質的に疎水性(即ち、logPが少なくとも2を有する)である薬物と、適切な修飾(例えば、脂肪酸又は脂質と結合)がなされて疎水性が与えられた他の親水性薬物と、を含むと定義する。(LogPは、オクタノール/水又は緩衝液分配係数のlogであって、当業者であれば種々な方法から決定することができるものである。logPの値が大きいほど、親油性が高く、つまり、その化学物質の脂溶性が高くなる。)
【0018】
本発明の一実施形態では、テストステロン又はテストステロン分子C17位におけるエステル類は、単独又は他の有効成分との組み合わせにより、本発明のデリバリーシステムを用いて、経口で送達される。本発明の多くの実施形態では、テストステロンのパルミチン酸エステル(以降、「パルミチン酸テストステロン」又は「TP」と記載する。)について例示的に記載するが、本発明の範囲は単にTP又はテストステロン自体の送達であると解釈又は限定されるものではない。実際、本明細書の記載により、本発明によるドラッグデリバリーシステム及びその組成物は、他のテストステロンエステル(例えば、テストステロンの短鎖(C
2〜C
6)、中鎖(C
7〜C
13)、長鎖(C
14〜C
24)脂肪酸エステル、好ましくは、テストステロンの長鎖脂肪酸エステル)及び多くの疎水性薬物の経口デリバリーにも適することは、本発明の属する技術分野における当業者であれば容易に明らかである。本発明に従って調製される、このような薬物として適したものには、以下の薬物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
鎮痛薬及び抗炎症薬として、アロキシプリン(aloxiprin)、オーラノフィン(auranofin)、アザプロパゾン(azapropazone)、ベノリレート(benorylate)、ジフルニサル(diflunisal)、エトドラク(etodolac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェノプロフェンカルシウム(fenoprofen calcim)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、ケトプロフェン(ketoprofen)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefenamic acid)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ピロキシカム(piroxicam)、スリンダク(sulindac)。
【0020】
駆虫薬として、アルベンダゾール(albendazole)、ベフェニウムヒドロキシナフトエート(bephenium hydroxynaphthoate)、カンベンダゾール(cambendazole)、ジクロロフェン(dichlorophen)、アイバメクチン(ivermectin)、メベンダゾール(mebendazole)、ニタゾキシアミド(nitazoxamide)、オキサムニキン(oxamniquine)、オクスフェンダゾール(oxfendazole)、オキサンテルエンボネート(oxantel embonate)、プラジカンテル(praziquantel)、ピランテルエンボネート(pyrantel embonate)、チアベンダゾール(thiabendazole)。
【0021】
抗不整脈薬として、塩酸アミオダロン(amiodarone HCl)、ジソピラミド(disopyramide)、酢酸フレカイニド(flecainide acetate)、硫酸キニジン(quinidine sulphate)。
【0022】
抗菌薬として、ペニシリンベネタミン(benethamine penicillin)、シノキサシン(cinoxacin)、塩酸シプロフロキサシン(ciprofloxacin HCl)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クロファジミン(clofazimine)、クロキサシリン(cloxacillin)、デメクロサイクリン(demeclocycline)、ドキシサイクリン(doxycycline)、エリスロマイシン(erythromycin)、エチオナミド(ethionamide)、イミペネム(imipenem)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、リファンピシン(rifampicin)、スピラマイシン(spiramycin)、スルファベンザミド(sulphabenzamide)、スルファドキシン(sulphadoxine)、スルファメラジン(sulphamerazine)、スルファセタミド(sulphacetamide)、スルファダイアジン(sulphadiazine)、スルファフラゾール(sulphafurazole)、スルファメトキサゾール(sulphamethoxazole)、スルファピリジン(sulphapyridine)、テトラサイクリン(tetracycline)、トリメトプリム(trimethoprim)。
【0023】
抗凝血薬として、ジクマロール(dicoumarol)、ジピリダモール(dipyridamole)、ニクマロン(nicoumalone)、フェニンジオン(phenindione)。
【0024】
抗うつ薬として、アモキサピン(amoxapine)、塩酸マプロチリン(maprotiline HCl)、塩酸ミアンセリン(mianserin HCl)、塩酸ノルトリプチリン(nortriptyline HCl)、塩酸トラゾドン(trazodone HCl)、マレイン酸トリミプラミン(trimipramine maleate)。
【0025】
抗糖尿病薬として、アセトヘキサミド(acetohexamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリクラジド(gliclazide)、グリピジド(glipizide)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)。
【0026】
抗てんかん薬として、ベクラミド(beclamide)、カルバマゼピン(carbamazepine)、クロナゼパム(clonazepam)、エトトイン(ethotoin)、メトイン(methoin)、メトスクシミド(methsuximide)、メチルフェノバルビトン(methylphenobarbitone)、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)、パラメタジオン(paramethadione)、フェナセミド(phenacemide)、フェノバルビトン(phenobarbitone)、フェニトイン(phenytoin)、フェンスクシミド(phensuximide)、プリミドン(primidone)、スルチアム(sulthiame)、バルプロ酸(valproic acid)。
【0027】
抗真菌薬として、アンホテリシン(amphotericin)、硝酸ブトコナゾール(butoconazole nitrate)、クロトリマゾール(clotrimazole)、硝酸エコナゾール(econazole nitrate)、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン(flucytosine)、グリセオフルビン(griseofulvin)、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ミコナゾール(miconazole)、ナタマイシン(natamycin)、ナイスタチン(nystatin)、硝酸スルコナゾール(sulconazole nitrate)、塩酸テルビナフィン(terbinafine HCl)、テルコナゾール(terconazole)、チオコナゾール(tioconazole)、ウンデセン酸(undecenoic acid)。
【0028】
抗痛風薬として、アロプリノール(allopurinol)、プロベネシド(probenecid)、スルフィピラゾン(sulphin-pyrazone)。
【0029】
降圧薬として、アムロジピン(amlodipine)、ベニジピン(benidipine)、ダロジピン(darodipine)、塩酸ジルチアゼム(dilitazem HCl)、ジアゾキシド(diazoxide)、フェロジピン(felodipine)、酢酸グアナベンズ(guanabenz acetate)、イスラジピン(isradipine)、ミノキシジル(minoxidil)、塩酸ニカルジピン(nicardipine HCl)、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、塩酸フェノキシベンザミン(phenoxybenzamine HCl)、塩酸プラゾシン(prazosin HCl,)、レセルピン(reserpine)、塩酸テラゾシン(terazosin HCl)。
【0030】
抗マラリア薬として、アモジアキン(amodiaquine)、クロロキン(chloroquine)、塩酸クロルプログアニル(chlorproguanil HCl,)、塩酸ハロファントリン(halofantrine HCl)、塩酸メフロキン(mefloquine HCl)、塩酸プログアニル(proguanil HCl)、ピリメタミン(pyrimethamine)、硫酸キニーネ(quinine sulphate)。
【0031】
抗片頭痛薬として、メシル酸ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine mesylate)、酒石酸エルゴタミン(ergotamine tartrate)、マレイン酸メチセルジド(methysergide maleate)、マレイン酸ピゾチフェン(pizotifen maleate)、コハク酸スマトリプタン(sumatriptan succinate)。
【0032】
抗ムスカリン薬として、アトロピン(atropine)、塩酸ベンズヘキソール(benzhexol HCl)、ビペリデン(biperiden)、塩酸エトプロパジン(ethopropazine HCl)、ヒヨスチアミン(hyoscyamine)、臭化メペンゾレート(mepenzolate bromide)、塩酸オキシフェンシクリミン(oxyphencylcimine HCl)、
トロピカミド(tropicamide)。
【0033】
抗腫瘍薬及び免疫抑制薬として、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アムサクリン(amsacrine)、アザチオプリン(azathioprine)、ブスルファン(busulphan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロスポリン(cyclosporin)、ダカルバジン(dacarbazine)、エストラムスチン(estramustine)、エトポシド(etoposide)、ロムスチン(lomustine)、メルファラン(melphalan)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、メトトレキサート(methotrexate)、マイトマイシン(mitomycin)、ミトーテン(mitotane)、ミトキサントロン(mitozantrone)、塩酸プロカルバジン(procarbazine HCl)、クエン酸タモキシフェン(tamoxifen citrate)、テストラクトン(testolactone)。
【0034】
抗原虫薬として、ベンズニダゾール(benznidazole)、クリオキノール(clioquinol)、デコキナート(decoquinate)、ジヨードヒドロキシキノリン(diiodohydroxyquinoline)、ジロキサニドフロエート(diloxanide furoate)、ジニトルミド(dinitolmide)、フルゾリドン(furzolidone)、メトロニダゾール(metronidazole)、ニモラゾール(nimorazole)、ニトロフラゾン(nitrofurazone)、オルニダゾール(ornidazole)、チニダゾール(tinidazole)。
【0035】
抗甲状腺薬として、カルビマゾール(carbimazole)、プロピルチオウラシル(propylthiouracil)。
【0036】
抗不安薬、鎮静薬、睡眠薬及び神経弛緩薬として、アルプラゾラム(alprazolam)、アミロバルビトン(amylobarbitone)、バルビトン(barbitone)、ベンタゼパム(bentazepam)、ブロマゼパム(bromazepam)、ブロムペリドール(bromperidol)、ブロチゾラム(brotizolam)、ブトバルビトン(butobarbitone)、カルブロマル(carbromal)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロールメチアゾール(chlormethiazole)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、クロバザム(clobazam)、クロチアゼパム(clotiazepam)、クロザピン(clozapine)、ジアゼパム(diazepam)、ドロペリドール(droperidol)、エチナメート(ethinamate)、フルナニゾン(flunanisone)、フルニトラゼパム(flunitrazepam)、フルオプロマジン(fluopromazine)、デカン酸フルペンチキソール(flupenthixol decanoate)、デカン酸フルフェナジン(fluphenazine decanoate)、フルラゼパム(flurazepam)、ハロペリドール(haloperidol)、ロラゼパム(lorazepam)、ロルメタゼパム(lormetazepam)、メダゼパム(medazepam)、メプロバメート(meprobamate)、メタクワロン(methaqualone)、ミダゾラム(midazolam)、ニトラゼパム(nitrazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、ペントバルビタール(pentobarbitone)、パーフェナジンピモジド(perphenazine pimozide)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、スルピリド(sulpiride)、テマゼパム(temazepam)、チオリダジン(thioridazine)、トリアゾラム(triazolam)、ゾピクロン(zopiclone)。
【0037】
ベータ遮断薬として、アセブトロール(acebutolol)、アルプレノロール(alprenolol)、アテノロール(atenolol)、ラベタロール(labetalol)、メトプロロール(metoprolol)、ナドロール(nadolol)、オクスプレノロール(oxprenolol)、ピンドロール(pindolol)、プロプラノロール(propranolol)。
【0038】
強心薬として、アムリノン(amrinone)、ジギトキシン(digitoxin)、ジゴキシン(digoxin)、エノキシモン(enoximone)、ラナトシドC(lanatoside C)、メジゴキシン(medigoxin)。
【0039】
コルチコステロイドとして、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデソニド(budesonide)、酢酸コルチゾン(cortisone acetate)、デゾキシメタゾン(desoxymethasone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、酢酸フルドロコルチゾン(fludrocortisone acetate)、フルニソリド(flunisolide)、ジフルコルトロン(flucortolone)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、トリアムシノロン(triamcinolone)。
【0040】
利尿薬として、アセタゾラミド(acetazolamide)、アミロライド(amiloride)、ベンドロフルアザイド(bendrofluazide)、ブメタニド(bumetanide)、クロロチアジド(chlorothiazide)、クロルタリドン(chlorthalidone)、エタクリン酸(ethacrynic acid)、フルセミド(frusemide)、メトラゾン(metolazone)、スピロノラクトン(spironolactone)、トリアムテレン(triamterene)。
【0041】
抗パーキンソン病薬として、メシル酸ブロモクリプチン(bromocriptine mesylate)、マレイン酸リスリド(lysuride maleate)。
【0042】
胃腸薬として、ビサコジル(bisacodyl)、シメチジン(cimetidine)、シサプリド(cisapride)、塩酸ジフェノキシレート(diphenoxylate HCl)、ドンペリドン(domperidone)、ファモチジン(famotidine)、ロペラミド(loperamide)、メサラジン(mesalazine)、ニザチジン(nizatidine)、オメプラゾール(omeprazole)、塩酸オンダンセトロン(ondansetron HCl)、塩酸ラニチジン(ranitidine HCl)、スルファサラジン(sulphasalazine)。
【0043】
ヒスタミンH受容体拮抗薬として、アクリバスチン(acrivastine)、アステミゾール(astemizole)、シンナリジン(cinnarizine)、シクリジン(cyclizine)、塩酸シプロヘプタジン(cyproheptadine HCl)、ジメンヒドリネート(dimenhydrinate)、塩酸フルナリジン(flunarizine HCl)、ロラタジン(loratadine)、塩酸メクリジン(meclozine HCl)、オキサトミド(oxatomide)、テルフェナジン(terrenadine)。
【0044】
脂質調整薬として、ベザフィブラート(bezafibrate)、クロフィブレート(clofibrate)、フェノフィブレート(fenofibrate)、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、プロブコール(probucol)。
【0045】
硝酸塩及び他の抗狭心症薬として、硝酸アミル(amyl nitrate)、トリニトログリセリン(glyceryl trinitrate)、イソソルビドジニトレート(isosorbide dinitrate)、一硝酸イソソルビド(isosorbide mononitrate)、三硝酸ペンタエリスリトール(pentaerythritol tetranitrate)。
【0046】
栄養薬として、ベータカロチン(betacarotene)、ビタミン A(vitamin A)、ビタミン B2(vitamin B
2)、ビタミン D(vitamin D)、ビタミン E(vitamin E)、ビタミン K(vitamin K)。
【0047】
オピオイド鎮痛薬として、コデイン(codeine)、デキストロプロポキシフェン(dextropropyoxyphene)、ジアモルヒネ(diamorphine)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、メプタジノール(meptazinol)、メサドン(methadone)、モルヒネ(morphine)、ナルブフィン(nalbuphine)、ペンタゾシン(pentazocine)。
【0048】
性ホルモンとして、クエン酸クロミフェン(clomiphene citrate)、ダナゾール(danazol)、エチニルエストラジオール(ethinyloestradiol)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、メストラノール(mestranol)、メチルテストステロン(methyltestosterone)、ノルエチステロン(norethisterone)、ノルゲストレル(norgestrel)、エストラジオール(oestradiol)、抱合卵胞ホルモン(conjugated oestrogen)、プロゲステロン(progesterone)、合成プロゲスチン(synthetic progestins)(プロゲストゲンとも呼ばれる。)、スタノゾロール(stanozolol)、スチボエストロール(stiboestrol)、チボロン(tibolone)、テストステロン(testosterone)、テストステロンのエステル類(esters of testosterone)、(以下の酸によるエステルを含む。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、カプリン酸又はデカン酸オクタン酸又はカプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、これら酸の分岐鎖環状類似体、メチルノルテストステロン(methyl-nortestosterone)等のテストステロン類似体、及びこれらの組み合わせ)。合成プロゲスチンは、例えば、以下を含む。レボノルゲストレル(levonorgestrel)、レボノルゲストレルブタノアート(levonorgestrel butanoate)、ドロスピレノン(drospirenone)、ノルエチステロン(norethisterone)、デソゲストレル(desogestrel)、エトノルゲストレル(etonorgestrel)及びメドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)。
【0049】
経口で有効な生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬。
【0050】
興奮薬として、アンフェタミン(amphetamine)、デキサンフェタミン(dexamphetamine)、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、フェンフルラミン(fenfluramine)、マチンドール(mazindol)。
【0051】
疎水性薬物の混合物は、当然ながら治療効果が得られうる場合において用いられる。例えば、幾つかの実施形態においては、パルミチン酸テストステロンと経口阻害薬又はI型若しくはII型5α‐レダクターゼとの組み合わせが、又はパルミチン酸テストステロンと合成プロゲスチンとの組み合わせが、好ましい。
【0052】
本発明のドラッグデリバリーシステム及びその組成物は、親油性界面活性剤及び親水性界面活性剤に溶解された単一又は複数の疎水性薬物を含んで構成される。親油性界面活性剤は、本明細書においては、親水親油バランス(HLB、hydrophilic-lipophilic balance)が10未満、好ましくは5未満であると定義する。親水性界面活性剤は、本明細書においては、HLBが10を超えると定義する。(ここで、HLBは、界面活性剤などの界面活性両親媒性分子の親水基と疎水基との関係を示す経験式である。これは、界面活性剤の指標として用いられ、その値は約1〜約45の値をとる。HLBが高いほど、その界面活性剤の水溶性は高くなる。)
【0053】
本発明の一態様によれば、デリバリーシステムの成分(即ち、親油性及び親水性界面活性剤)は、それぞれが個々に溶媒特性を有し、有効成分の溶解に部分的に寄与する。薬物の溶解に実質的に寄与するこの親油性界面活性剤を、本明細書においては、「主(primary)」溶媒と定義する。主溶媒は更に、ドラッグデリバリーシステムに「徐放」又は「放出制御」特性を提供することができる。「副(secondary)」溶媒は、主溶媒よりも程度は小さいながら薬物を溶解する親水性界面活性剤である。副溶媒は、薬物の溶解に加え、水性媒体又は腸液におけるデリバリーシステムの分散と、その後の薬物放出とを容易にする。また、副溶媒が高融点親水性界面活性剤である場合は、親油性界面活性剤と相乗的に働いて、薬物の徐放性を提供することもできる。
【0054】
親油性界面活性剤成分は、薬物を製剤から望ましく放出させる目的で必要とされてもよい。つまり、親水性界面活性剤は、薬物を脂質単体マトリックス又は主溶媒内から自由にする目的で必要とされてもよい。この点においては、Cremophor RH40などの高HLB界面活性剤が適当である。高レベルの可溶化TPを包含するある製剤では、高HLB界面活性剤の非存在下では、親油性界面活性剤の単独混合物からの薬物の放出は実質的に起こらない可能性があることが、発明者らによって観察されている。高HLB界面活性剤のレベルは、有効成分の可溶化を損なうことなく最適な薬物放出が提供されるように調整される。
【0055】
一実施形態において、親油性界面活性剤成分は、更に「放出制御」界面活性剤を含んで構成される。即ち、親油性界面活性剤は、薬物の溶媒であると共に、半固体及び徐放性(SR)マトリックスを提供する。当業者であればこの他にも多くの半固体・SR賦形剤が入手可能ではあるが、本発明においては、薬物の良溶媒でもあるこの界面活性剤が望ましい。したがって、薬物に対して高可溶化ポテンシャルを有する半固体脂質賦形剤が選択されることが好ましい。一態様では、「放出制御」親油性界面活性剤の融点は、約25℃〜約80℃、好ましくは約35℃〜約65℃、より好ましくは40℃〜約60℃である。
【0056】
しかしながら、「放出制御」界面活性剤は、親油性界面活性剤のみに限定されるものではない。実際には、いくつかの親水性界面活性剤も、本発明の組成物において、親油性界面活性剤と協働して放出制御特性を提供することができる。
【0057】
本発明のドラッグデリバリーシステムに適した親油性界面活性剤としては、以下のものが含まれる。
【0058】
脂肪酸(C
6〜C
24、好ましくはC
10〜C
24、より好ましくはC
14〜C
24)、例えば、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸。ステアリン酸及びパルミチン酸が好ましい。
【0059】
脂肪酸のモノ‐又はジ‐グリセリド、例えば、Imwitor 988(モノ‐/ジ‐カプリル酸グリセリル)、Imwitor 742(モノ‐ジ‐カプリル酸/カプリン酸グリセリル)、Imwitor 308(モノカプリル酸グリセリル)、Imwitor 191(モノステアリン酸グリセリル)、Softigen 701(モノ‐/ジ‐リシノール酸グリセリル)、Capmul MCM(カプリル酸/カプリン酸グリセリル)、Capmul MCM(L)(液体Capmul MCM)、Capmul GMO(モノオレイン酸グリセリル)、Capmul GDL(ジラウリン酸グリセリル)、Maisine(モノリノール酸グリセリル)、Peceol(モノオレイン酸グリセリル)Myverol 18-92(ヒマワリ油の蒸留モノグリセリド)及びMyverol 18-06(硬化ダイズ油の蒸留モノグリセリド)、Precirol ATO 5(パルミトステアリン酸グリセリル(glyceryl palmitostearate))及びGelucire 39/01(半合成グリセリド、即ち、C
12〜18モノ‐、ジ‐及びトリ‐グリセリド)。親油性界面活性剤のこの種のメンバーでは、オレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の部分グリセリド並びにこれらの混合物が好ましい。
【0060】
脂肪酸のモノ‐又はジ‐グリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸又は酒石酸エステル、例えば、Myvacet 9-45(蒸留アセチル化モノグリセリド)、Miglyol 829(コハク酸(カプリル酸/カプリン酸)ジグリセリル)、Myverol SMG(モノ/ジコハク酸化モノグリセリド)、Imwitor 370(クエン酸ステアリン酸グリセリル)、Imwitor 375(乳酸/クエン酸/モノステアリン酸グリセリル)及びCrodatem T22(モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)。
【0061】
脂肪酸のプロピレングリコールモノ‐又はジ‐エステル、例えば、Lauroglycol(モノラウリン酸プロピレングリコール)、Mirpyl(モノミリスチン酸プロピレングリコール)、Captex 200(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)、Miglyol 840(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)及びNeobee M-20(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)。
【0062】
脂肪酸のポリグリセロールエステル、例えば、Plurol oleique(オレイン酸ポリグリセリル)、Caprol ET(混合脂肪酸ポリグリセリル)、Drewpol 10.10.10(オレイン酸ポリグリセリル)。低エトキシレート含有量のヒマシ油エトキシレート(HLB<10)、例えば、Etocas 5(ヒマシ油1モルに対してエチレンオキシド5モルの反応物)及びSandoxylate 5(ヒマシ油1モルに対してエチレンオキシド5モルの反応物)。
【0063】
エチレンオキシドと脂肪酸又は脂肪酸のグリセロールエステルとを反応させて生成した酸及びエステルのエトキシレート(HLB<10)、例えば、Crodet 04(ラウリン酸ポリオキシエチレン(4))、Cithrol 2MS(ステアリン酸ポリオキシエチレン(2))、Marlosol 183(ステアリン酸ポリオキシエチレン(3))及びMarlowet G12DO(ジオレイン酸12EOグリセリル)。脂肪酸のソルビタンエステル、例えば、Span 20(モノラウリン酸ソルビタン)、Crill 1(モノラウリン酸ソルビタン)及びCrill 4(モノオレイン酸ソルビタン)。
【0064】
天然又は硬化植物油トリグリセリドのエステル交換生成物及びポリアルキレンポリオール(HLB<10)、例えば、Labrafil M1944CS(ポリオキシエチル化杏仁油)、Labrafil M2125CS(ポリオキシエチル化トウモロコシ油)及びGelucire 37/06(ポリオキシエチル化硬化ココナッツ)。Labrafil M1944CSが好ましい。
【0065】
アルコールエトキシレート(ethyoxylate)(HLB<10)、例えば、Volpo N3(ポリオキシエチル化(3)オレイルエーテル)、Brij 93(ポリオキシエチル化(2)オレイルエーテル)、Marlowet LA4(ポリオキシエチル化(4)ラウリルエーテル)。
【0066】
Pluronics、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びブロック共重合体(HLB<10)、例えば、Synperonic PEL42(HLB=8)及びSynperonic PEL61(HLB=3)。
【0067】
必要に応じて、上述したような適切な親油性界面活性剤の混合物を用いてもよく、場合によっては用いることで有利に働くこともある。例えば、パルミチン酸グリセロール及びステアリン酸グリセロールのエステルの単独又はこれらの混合物が、親油性界面活性剤及び放出制御マトリックスとして好ましい。
【0068】
上述の親油性界面活性剤のうち「放出制御」成分として適したものには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。ステアリン酸、パルミチン酸及びそのグリセロール及びPEGエステル、Precirol ATO5、Imwitor 191、Myverol 18-06、Imwitor 370、Imwitor 375、Caprol ET、Cithrol 2MS、Marosol 183、Gelucire 39/01及びこれらの混合物。
【0069】
薬理学的に許容される親水性界面活性剤(即ち、HLB値が10を超えるもの)を、本発明に用いてもよい。限定を意図しない例としては、以下が含まれる。
【0070】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸誘導体、例えば、Tween 20(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20))、Tween 80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20))、Crillet 4(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20))及びMontanox 40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20))。Tween 80(ポリソルベート80)が好ましい。
【0071】
ヒマシ油又は硬化ヒマシ油エトキシレート(HLB>10)、例えば、Cremophor EL(ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油)、Cremophor RH40(ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油)、Etocas 40(ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油)、Nikkol HCO-60(ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油)、Solutol HS-15(ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール‐8グリセリド)、α‐トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸(TPGS)及び6‐パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl-6 palmitate)。Cremophor RH40が好ましい。
【0072】
Gelucires、好ましくは、Gelucires 50/13(パルミチン酸及びステアリン酸のPEGモノ‐及びジエステル)。(Geluciresに関しては、頭番号(即ち50)は物質の融点に対応し、次の番号(即ち13)はHLB値に対応する。)
【0073】
脂肪酸エトキシレート(HLB>10)、例えば、Myrj 45(ステアリン酸ポリオキシエチレン(8))、Tagat L(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(30))、Marlosol 1820(ステアリン酸ポリオキシエチレン(20))及びMarlosol OL15(オレイン酸ポリオキシエチレン(15))。Myrj 45が好ましい。
【0074】
アルコールエトキシレート(HLB>10)、例えば、Brij 96(ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル)、Volpo 015(ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル)、Marlowet OA30(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル)及びMarlowet LMA20(ポリオキシエチレン(20)C
12〜C
14脂肪酸エーテル)。
【0075】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体及びブロック共重合体(HLB>10)。これらは、例えばPoloxamers 188及び407のように、商品名Pluronics又はPoloxamersとして市販されており、それぞれSyperonic PE L44(HLB=16)及びSyperonic F127(HLB=22)としても知られている。
【0076】
陰イオン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム。
【0077】
アルキルフェノール界面活性剤(HLB>10)、例えば、Triton N-101(ポリオキシエチレン(9‐10)ノニルフェノール)及びSynperonic NP9(ポリオキシエチレン(9)ノニルフェノール)。
【0078】
上述の親水性界面活性剤のうち、「放出制御」界面活性剤として適したものには、高HLB値Gelucires(例えばGelucire 50/13)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0079】
本発明の一態様では、上述のように、デリバリーシステムの成分(親油性及び親水性界面活性剤)は、それぞれが個々に溶媒特性を有し、有効成分の溶解に部分的に寄与している。このように、理論にとらわれる又は縛られることを意図するものではないが、本発明は、他の溶媒(例えば、他の可消化油又は共溶媒)を必要としない。しかしながら、本発明によるシステム及び製剤に任意に含んでもよい。
【0080】
可消化油は、本明細書では、正常生理条件下の膵臓リパーゼの存在下in vivoでエステル分解又は加水分解が可能な油と定義する。特に、可消化油は、中鎖(C
7〜C
13)又は長鎖(C
14〜C
22)脂肪酸と、低分子量(最大でC
6)一価、二価又は多価アルコールと、のグリセロールトリエステルであってもよい。本発明で用いられる可消化油の幾つかの例として、以下のものが含まれる。植物油(例えば、ダイズ油、ベニバナ種子油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、綿実油、ラッカセイ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、ヤシ油、ナタネ油、月見草油、グレープシード油、麦芽油、ゴマ油、アボカド油、アーモンド核油、ルリヂサ核油、ハッカ核油及び杏仁油)並びに、動物油(例えば、魚肝油、サメ肝油及びミンク油)。
【0081】
本発明に適した任意の共溶媒は、例えば、水、短鎖一価、二価及び多価アルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、炭酸プロピレン、平均分子量が約200〜約10000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(例えばTranscutol HP)、及びこれらの組み合わせ。
【0082】
本発明の組成物には、他の任意の含有物を含んでもよく、これには、油性ドラッグデリバリーシステムに従来から用いられているもので、例えば以下のものがある。抗酸化薬(例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及び没食子酸プロピル)、pH安定剤(例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リジン及びリン酸水素カリウム)、増粘薬・懸濁薬(例えば、硬化植物油、蜜ろう、コロイド状二酸化ケイ素、マンニトール、ゴム、セルロース、ケイ酸塩、ベントナイト)、香料添加剤(例えば、チェリー、レモン及びアニス香料)、甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン及びシクラマート)、等。
【0083】
一般に、決定的なものではないが、本発明の好ましい疎水性薬物キャリアーシステムにおける親油性界面活性剤と親水性界面活性剤の組成比は、疎水性薬物の可溶化や、疎水性薬物のin vitro及びin vivoにおける放出に必要な親油性及び親水性界面活性剤の濃度を抑えることができる。つまり、本発明の幾つかの実施形態では、1つの疎水性薬物が、他成分の脂質賦形剤として働いてもよい。具体的には、例えば、テストステロンエステルが、テストステロンの賦形剤として働いてもよい。更に具体的には、TPが、テストステロンの脂質賦形剤として働いてもよい。尚、TPが、幾つかの実施形態において自らの「放出制御」賦形剤として働いてもよく、これにより付加的な上述の「放出制御」脂質を不必要としてもよい。
【0084】
一般に、以下の相対濃度(重量あたり)が好ましい(パーセンテージは親水性界面活性剤及び親油性界面活性剤の全量を基にするものとする)。
親水性界面活性剤は、5〜60%、より好ましくは、15〜45%、より更に好ましくは、30〜40%である。
親油性界面活性剤は、10〜90%、より好ましくは、20〜80%、より更に好ましくは、30〜60%である。
親油性「放出制御」界面活性剤は、1〜40%、より好ましくは、2.5〜30%、より更に好ましくは、5〜25%である。
【0085】
最終医薬製剤中の薬物濃度は、当該薬物による所望の治療効果を得るために必要な値であり、一般に、最終組成物の重量の、0.1重量%〜50重量%、より好ましくは約10重量%〜30重量%、より更に好ましくは、約10重量%〜20重量%の範囲に含まれ。しかしながら、多くの場合、本発明による組成物は、当該薬物の既知の組成物よりも良いバイオアベイラビリティを有しているため、治療効果を落とすことなく、薬物濃度を従来の調合よりも減らすことができる。テストステロン治療について、具体的に言及すると、本発明の発明者らは、テストステロンのパルミチン酸エステルの使用がとりわけ望ましいことがわかってきた。事実、一旦吸収されると、T(テストステロン)の脂肪酸が、その長く十分に飽和した鎖によりエステル結合の加水分解速度を小さくし、TP、したがってT、の循環を持続させることができる。例えば、本発明の製剤(例えば、下記製剤No.50及び54)は、約8〜9時間のT半減期を有するTPを含んで構成される。比較すると、Tの半減期は約30分であり、ウンデカン酸塩のT半減期は約1.5時間である。
【0086】
他の実施形態では、本発明の製剤は、in vivoで水性媒体又は腸液に希釈された時に良好なエマルジョンを形成する自己乳化特性を有していても良い。すなわち、この製剤は、水性媒体との混合時に適当な分散を示すように設計された高い含有量の界面活性剤及び脂質を有してもよい。本発明による製剤の自己乳化特性の定性的な記述は、その製剤のin vitroにおける溶解において視覚的に観察できる。一方、定量的測定は、溶解溶媒中のレーザー光散乱又は濁度測定をUV/VIS分光光度計を用いて、乳化液滴の粒径により行ってもよい。これらの手法は当業者であれば利用可能であり、周知である。
【0087】
本発明による医薬組成物は、室温で液状、半固形、固形であってもよく、好ましくは液状又は半固形である。固形製剤とは、粉末賦形剤と混合され、硬カプセル並びにセルロースカプセルに直接充填された固形粉末薬剤、又は錠剤に圧縮された固形粉末薬剤と定義する。しかしながら、本発明では、好ましくは、脂質界面活性剤賦形剤(例えば、上述の親油性及び親水性界面活性剤による任意の組み合わせ)の存在下で可溶化する固形粉末薬剤(例えば、TP)を含んで構成される。したがって、使用される界面活性剤の融点がファクターの1つとなり、得られる組成物が室温で液状であるか半固形であるかが決定される。本発明による特に好ましい組成物は、液状又は半固形の経口単位投与形態であり、より好ましくは、硬又は軟カプセル(例えば、ゼラチン又はセルロースカプセル)に充填される。脂質ベース医薬製剤をカプセル化する技術は、当業者であれば周知である。本明細書に記載される本発明のデリバリーシステム及び製剤は、カプセル化法の何れかに限定されるものではないため、ここでは特定のカプセル化技術についてこれ以上の言及は行わない。
【0088】
本発明によるドラッグキャリアーシステム及び医薬製剤は、脂質ベースのドラッグキャリアーシステムに用いられる従来技術により調製されてもよい。本発明による好ましい送達システムの調製を行う代表的な方法では、親油性界面活性剤を適当なステンレス製容器に秤量し、その後、親水性界面活性剤を秤量して、この容器に加える。これら二成分を、ホモジナイジングミキサ又は他の高せん断装置を用いて混合する。このとき、材料が室温で固形であれば、化学分解させずに融解及び流動させるだけの十分な熱を加える。
【0089】
その後、必要であれば、親油性「放出制御」界面活性剤を、ステンレス製容器中の他の二成分に加え、適当な装置を用いて混合する。その後、親水性薬物を秤量し、複合脂質混合物に加え、均質液が調製されるまで混合する。ここで、得られた製剤を、軟又は硬カプセルへのカプセル化前に脱気してもよい。例として、処理を助けるために、適当なジャケット付き容器を用いて高温で製剤調合を行ってもよい。
【0090】
ここから、テストステロンのデリバリーに話を戻す。本発明の一実施形態では、本発明のドラッグデリバリーシステムは、テストステロン治療に適したものとすることができる。テストステロンは、男性の主要な内因性アンドロゲンである。精巣内のライディッヒ細胞は、テストステロンを毎日約7mg生産し、その血清中濃度を約300〜100ng/dLの範囲としている。女性も、卵巣及び副腎でテストステロンを合成するが、その量は、性腺機能正常な男性に見られる量の約10分の1である。循環テストステロンの大多数(約98%)は、グロブリンに結合した性ホルモンに結合しており、放出されて遊離型となったときにだけ生物活性を有する。したがって、用語「遊離(free)」とは、例えば、生体分子、細胞や本明細書に記載した本発明による製剤の脂質マトリックスに結合していないか、又は閉じ込められていないことと定義する。一般に、本明細書に記載される「遊離(free)」薬剤とは、血清中を循環する代謝酵素に到達しやすい薬剤をも含むものである。
【0091】
本発明は、テストステロン又はその任意の特定のエステルのデリバリーに限定されるものではない。TPは、特有の化学的及び物理的特徴を示すことが認められており、これによりTPは、幾つかの実施形態において好ましく使用される。本発明の発明者らは、特にテストステロンのパルミチン酸エステルが、他の同様のエステル類(例えば、ウンデカン酸テストステロン(TU))と比較して優れたバイオアベイラビリティを示しうることを学んできた。理論にとらわれる又は縛られることを意図するものではないが、TPが他のテストステロンエステルよりも一部で優れているのは、TPが同様の類似化合物と比較してとりわけ高いlogPを有しているからであると考えられる。(TPのlogPは、TUのlogPである約6.5と比較して9より大きい。)
【0092】
したがって、血流中に吸収されたTPは、血液中を循環する赤血球(RBCs)に受動的に拡散する。具体的には、パルミチン酸はRBC膜の有意成分であり、この膜を越えて輸送される。このため、TPは、前記膜で平衡となり、また前記膜を通過する上でより適している。このように、遊離TPの全濃度の幾らかが、任意の時間において、RBC中に見られるようになる。更に、RBCに閉じ込められると、その中の任意のTPは、血清中に見られるエステラーゼから遮蔽されるようになる。TPのテストステロンへの変換は、エステラーゼ活性の直接的な結果である。そのため、TPの半減期を延ばすためには、エステラーゼにより近づきにくいことが望まれる。したがって、TPの血中残留時間は、他の短炭化水素鎖長の飽和エステル類において見込まれるよりも長くなると考えられる。
【0093】
更に、TPの使用は、経口投与テストステロンエステルの使用と比較して、血清ジヒドロテストステロン(DHT)を、生理的濃度(一般的には性腺機能正常な男性のテストステロン(即ち約30〜100ng/dL)の約10分の1)を越えるほど劇的に高めることはない。テストステロンは、直接的に又は5α‐レダクターゼの作用を介したDHTへの変換を経て、それぞれのアンドロゲン受容体と相互に作用する。DHTはテストステロンよりも強力なアンドロゲンであり、DHTが増加すると前立腺癌のリスクが高くなると一部の科学者の間では考えられている。DHTの増加は、例えばTUの投与に伴う大きな問題点となっている。このように、TPは、他のテストステロンエステルに勝る、予期しない他のアドバンテージをも更に有している。
【0094】
ここからは、本発明の具体的な実施形態を限定を意図しない実施例により記載する。表1は、本発明の記載に関連して、テストステロン(T)又はテストステロンエステル(T‐エステル)による種々の製剤の組成詳細を示している。計算の目的で、Tの1mgは以下に等しい。エナント酸‐Tの1.39mg、ウンデカン酸‐Tの1.58mg、T‐シピオネートの1.43mg、及びパルミチン酸‐Tの1.83mg。TPは、以下に挙げる製剤の幾らかにおいて好ましいT‐エステルである。表1の組成詳細(mg/カプセル及び重量%)は、“00”硬ゼラチンカプセルあたり800mgの充填量に基づいている。しかしながら、テストステロンエステル量が約100mg/カプセルよりも少ない場合は、製剤を、より小さな硬ゼラチンカプセル(例えば、“0”サイズ)を用いことができるようなより少ない全充填量に比例的に調整してもよい。
【0095】
尚、当業者であれば明らかであるが、あるカテゴリ(例えば、親油性、親水性など)に含まれる、全てではないが多くの界面活性剤は、同じカテゴリの他の界面活性剤と置き換えてもよい。したがって、表1(表1a及び表1b)には、Labrafil M1944CS(HLB=3)及びプPrecirol ATO5(HLB=2)を含んで構成される製剤が記載されているが、当業者であれば、他の親油性界面活性剤(例えば前述のもの)も同様に適当であることが理解されるであろう。同様に、表1には、Cremophor RH40(HLB=13)及びLabrasol(HLB=14)を含んで構成される製剤が記載されているが、当業者であれば、他の親水性界面活性剤(例えば、前述のもの)も適当であることが理解されるであろう。
【0096】
【表1a】
【0097】
【表1b】
【0098】
表2(表2a及び表2b)は、本発明の記載に関連して、種々のTP製剤の組成詳細を示している。
図9は、ここで選択された製剤のインビトロ(in vitro)溶解を示している。TPは、アセトン/ピリジン混合液中でテストステロンを塩化パルミトイルとエステル化して合成してもよい。粗パルミチン酸テストステロンは、ろ過により精製し、メタノール/塩化メチレン混合液から結晶化させ、メタノールで洗浄する。必要であれば、ヘプタンから再結晶化を行い、その後メタノールで洗浄することもできる。
【0099】
【表2a】
【0100】
【表2b】
【0101】
本発明による、好ましいTP製剤を、次の表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
幾つかの実施形態では、テストステロン又はそのエステルの絶対濃度を減らして、これにより脂質賦形剤からのテストステロン又はそのエステルの放出を促進してその放出を相対的に早くすることが望ましい。驚いたことに、TP濃度の減少により、幾つかのケースで、より早い放出キネティックスが与えられることがわかってきている。例えば、約2時間でTPを有意に放出するためのTP濃度は、約23重量%未満である。幾つかの実施形態では、重量%が約20未満であることが好ましく、より好ましくは約18未満、更に好ましくは約15未満である。理論にとらわれる又は縛られることを意図するものではないが、実際に、約23重量%よりも大きなTPは、自己の放出を遅延(retard)させるものと考えられる。例えば、TPを約23重量%未満含んで構成される本発明による製剤は、薬物の50〜70%を1時間で、また80〜100%近くを2時間で、放出することができる。一方、TPを23重量%より多く含んで構成される本発明による製剤では、1時間では薬物の5%未満の、また6時間では70%未満の放出にとどまる。
【0104】
表4(表4a及び表4b)は、本発明の記載に関連し、場合によってはTP濃度が表2よりも低い種々のTP製剤の組成詳細を示している。
図10は、表4で選択された製剤のインビトロ溶解を示している。
【0105】
【表4a】
【0106】
【表4b】
【0107】
製剤番号50、51及び54は、好ましい実施形態である。また、表4に示される製剤において種々の溶剤が有用であるが、以下の特性を有する溶剤が好ましい。C
4〜C
24脂肪酸又はそのグリセロール‐、プロピレングリコール‐、ポリエチレングリコール、ソルビタン‐モノ/ジエステルの単独及び混合物。ここで、C
8〜C
18の飽和及び不飽和の脂肪酸及びエステルが好ましい。加えて、溶剤には、低級アルコールとの脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル及びリノール酸イソプロピル、が含まれる。
【実施例】
【0108】
製剤50及び54を、6人の患者に投与した。50番製剤は、投与量あたり2カプセル剤の形態(100mgT当量/カプセル)で1日1回(QD)投与し、54番製剤は、投与量あたり3カプセル剤の形態(66mgT当量/カプセル)で1日1回及び1日2回(BID)投与した。これら3つの投与計画のそれぞれ1つを、治療7日後の平均(mean)定常状態プロファイルを
図11に示す。製剤54BIDの薬物動態プロファイルは、全24時間にわたって相対的に一定であり、また、平均プロファイルのピークの約70%にあたる、平均プロファイルの谷(trough)を示した。製剤54は、この他に以下のデータを含む。
・平均(average)血清中T値が、ベースラインである275ng/dLから上昇。
・平均(mean)血清中Tレベルが、正常範囲の下端、即ち325ng/dLにある。
・相対的に早い放出(約一時間でTmax)。
・Tの定常状態での概算最終半減期は、約8〜9時間。
・7日間の治療期間にわたり、血清中Tベースラインレベルにおいて用量依存性の連続上昇が認められた。
・定常状態血清中の平均DHTレベルが、114ng/dL。(
図12)
【0109】
BID投与による製剤50の薬物動態プロファイルのシミュレーションを行い、BID投与した製剤54で観測されたプロファイルと比較した。このシミュレーションでは、製剤50では、C
avgが、24時間にわたり製剤54よりも上昇し、384ng/dLになることが予測される。(
図13)
【0110】
本発明による他の実施形態では、(1)TP吸収、(2)TPのTへの代謝、(3)TのDHTへの代謝を、生化学的に調節しうる成分を組み込んで、利用可能な血清中テストステロンの速度を調節(即ち、持続)する方法及び組成物を提供する。例えば、中鎖乃至長鎖の脂肪酸エステルに取り込むことで、TPの吸収を増進することができる。理論にとらわれる又は縛られることを意図するものではないが、本発明の発明者らは、有効量の脂肪酸エステル、とりわけパルミチン酸エステル(例えばパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸レチニル、パルミチン酸ソルビタン及びこれらの組み合わせ)、を使用することで、前述のエステルとTPとの間で内因性エステラーゼ活性について競合作用が起こると考えている。実際に、テストステロンエステルの代謝は、一般に、中鎖乃至長鎖脂肪酸のエステルの有効量を投与することで、遅延させることができると考えられている。(例えば、以下に挙げる酸のエステル。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、カプリン酸又はデカン酸オクタン酸又はカプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、及びこれらの酸の分岐鎖環状類似体)。このように、より多くのTPが、消化管における加水分解を回避し、血流に入るようになる。すなわち、脂肪酸エステルは、TPを代謝してしまうエステラーゼを、競合的に阻害することができる。表5は、テストステロンエステル代謝の阻害因子の有効量を示す。他のエステル又はその組み合わせの例としては、植物抽出物又は食品添加物として使用される無害なエステル(例えば、プロピルパラベン、酢酸オクチル及び酢酸エチル)が含まれる。
【0111】
TP吸収を調節する他の成分には、腸細胞に存在してTからDHTへの変換を触媒する5α‐レダクターゼの「天然」及び合成の阻害因子が含まれる。この変換を完全に又は部分的に阻害することにより、血清中DHTレベルを減少させると同時に、TPとして経口投与された後のTの血清中レベルを増加させ又その増加を持続させることができる。5α‐レダクターゼ阻害因子ガンマ‐リノール酸(GLA)を多量に含むルリヂサオイルが、TP調節の「天然」調節因子の例である。当然ながら、ルリヂサオイルの他にも、本明細書に記載されるTP製剤の別の成分として、GLAを直接加えてもよい。当技術分野においては、5α‐レダクターゼの多くの天然阻害因子(例えば、主に緑茶や、ノコギリヤシ種の実から抽出されるノコギリパルメットに由来するカテキンである没食子酸エピガロカテキン)が周知であり、それらの全てを本発明に適用することができる。本発明に適した5α‐レダクターゼの合成阻害因子については、限定を意図しない例として、フィナステライド及びデュタステライドが含まれる。
【0112】
5α‐レダクターゼ阻害因子に加え、本発明は、他の機構を介したT代謝阻害因子の使用も意図している。このような阻害に関しては、シトクロムP450イソ酵素CYP3A4が挙げられる。この酵素は、腸細胞及び肝細胞に存在し、したがってテストステロンを代謝することができる。したがって、幾つかの実施形態において、本発明の製剤は、CYP3A4を阻害する因子を含んでいることが知られるハッカ油を含んで構成される。
【0113】
表5は、TP吸収を調節する成分(例えば、パルミチン酸アスコルビル、ルリヂサオイル及びハッカ油)を含んで構成される種々のTP製剤の組成詳細を示している。
図14及び15は、それぞれリン酸緩衝液(PBS)及び摂食時腸液モデル液(FeSSIF)における、選択TP製剤についての代表的なインビトロ溶解プロファイルを示している。
【0114】
【表5】
【0115】
本発明の他の実施形態では、本明細書で開示されるドラッグデリバリーシステムは、男性避妊薬による副作用の幾つかを改善する上でも適している。例えば、プロゲスチン系の男性避妊薬は、実質的に黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)を抑制し、それにより精子形成を抑制するため、結果として臨床的な無精子症(これは、2ヶ月連続で約百万精子/精液ml未満であることと定義される。)を起こす。しかしながら、プロゲスチンの投与は、定常状態の血清中テストステロンレベルが有意に減少するという望ましくない副作用を伴う。
【0116】
ここで、例えば、プロゲスチンの製剤をテストステロン又はテストステロン誘導体(例えば、TP)と同時に提供することが好ましい。更に、本発明による医薬製剤は、LH及びFSHを実質的に抑制するのに十分な量のプロゲスチンを含んで構成され、テストステロンと組み合わせて、提供されることがより好ましい。幾つかの実施形態では、医薬製剤は、1日1回経口デリバリーとして構成される。
【0117】
本発明の一形態では、ドラッグデリバリーシステムは、所望の薬物動態プロファイルを実現できるような柔軟性を有する。具体的には、この製剤は、相対的に早い血清中濃度ピーク(Tmax)またはその後に現れるピークで薬物を送達するように仕立ることができる。
図1、3、5及び7と、
図2、4、6及び8とをそれぞれ比較されたい。同様に、この製剤は、Tmax時に、薬物の血清中濃度が相対的に急速な又は緩やかな下降を示すように仕立てることができる。
図1、3、5及び7と、
図2、4、6及び8とをそれぞれ比較されたい。したがって、本発明の医薬製剤は、例えば患者の好みや都合によって、1日1回、1日2回又は1日に複数回投与されてもよい。
【0118】
製剤を変更してこれらの変化を起こす方法の1つとしては、親油性界面活性剤の割合を調節することが挙げられる。Tmaxの大きさやタイミングは、例えば、使用する脂質の種類だけでなくこれら脂質の割合にも影響される。例えば、相対的に早いTmaxを得るために又はデリバリーシステムからの薬物の放出を早くするために、「放出制御」親油性界面活性剤(例えば、Precirol)の濃度を他の親油性溶剤(例えば、Labrafil M1944CS)の濃度に対して小さくしてもよい。一方、Tmaxの遅延を実現するために、組成物中の「放出制御」親油性界面活性剤のパーセンテージを大きくしてもよい。
図9及び10は、本発明による、TritonX-100を界面活性剤として含むリン酸緩衝液溶解溶媒中における、3つの製剤のそれぞれのTPインビトロ溶解曲線を示している。
【0119】
理論にとらわれる又は縛られることを意図するものではないが、本明細書に記載される、本発明による製剤は、一態様において、その製剤中の薬物の腸リンパ系による吸収を増進すると考えられる。これにより、本発明のドラッグデリバリーシステムは、テストステロンを数時間にわたって血清中に送達できる徐放製剤を提供することができる。男性のテストステロンの血清中半減期は、リンパ系吸収に有利な形態(即ち、TU)でのテストステロン投与範囲の上側において、10〜100分の範囲であると考えられる。しかしながら、本発明の経口投与は、テストステロン治療の必要性に応じて、テストステロンの所望の血清中レベルを維持するために約12時間毎に、患者によって行われてもよい。より好ましい実施形態では、経口投与はテストステロン治療の必要性に応じて約24時間ごとに患者によって行われてもよい。一般に、「所望の」テストステロンレベルは、テストステロン欠乏症を有さないと位置づけられるヒト被験体に観測されるレベルをいう。
【0120】
本発明は、その具体的な実施形態に関して記載されている。したがって、更なる変更が可能であること、本出願は本発明の如何なる変更、使用又は改変も包含するものであること、が理解できるであろう。一般には、本発明の原理に加え、本発明の属する技術分野において周知なまたは慣習的に行われる、本明細書に記載した本質的な特徴が適用される、また特許請求の範囲にしたがう、本開示からの逸脱をも含むものである。