【文献】
Biol. Pharm. Bull.,2006年 5月,Vol.29, No.3,p.903-906
【文献】
N. Engl. J. Med.,2005年,Vol.353,p.1793-1801
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
miR−21遺伝子産物の発現のレベルが、転写されたポリヌクレオチドまたはその一部の存在を検出することにより評価される、ここで当該転写されたポリヌクレオチドはmiR−21遺伝子産物のコード領域を含んでなる、請求項1に記載の方法。
化学療法が、以下:5−フルオロウラシル;ウラシルを伴うテガフール;フルオロウラシル薬;フルオロウラシル薬−レバミゾール投与計画;及び、フルオロウラシル薬−ロイコボリン投与計画;から選択される、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の方法。
試験サンプル中の少なくとも一つの追加のmiR遺伝子産物のレベルを測定することをさらに含んでなる、ここで当該miRは以下:miR−181b;let−7g;miR−16b;miR−106a;miR−103−2;miR−203;miR−29a;およびmiR−10a;からなる群より選択される、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の方法。
試験サンプル中の少なくとも二つまたはそれより多くの追加のmiR遺伝子産物のレベルを測定することをさらに含んでなる、ここで当該miRは以下:miR−181b;let−7g;miR−16b;miR−106a;miR−103−2;miR−203;miR−29a;およびmiR−10a;からなる群より選択される、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の方法。
試験サンプル中の少なくとも三つまたはそれより多くの追加のmiR遺伝子産物のレベルを測定することをさらに含んでなる、ここで当該miRは以下:miR−181b;let−7g;miR−16b;miR−106a;miR−103−2;miR−203;miR−29a;およびmiR−10a;からなる群より選択される、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の方法。
【実施例】
【0146】
実施例1
マイクロRNA発現パターンは結腸腫瘍において変化する
我々は、マイクロRNAマイクロアレイ
30を使用して、結腸腫瘍性及び隣接する非腫瘍性組織の84対のマイクロRNAプロファイルを比較した。これら84対象は、発症結腸腺癌を有するグレーターボルチモア、メリーランド地区から採用された患者であり、メリーランド試験コホートと称される(表1)。
【0147】
【表1】
【0148】
腫瘍マイクロRNAプロファイルは、非腫瘍プロファイルと明瞭に異なっていた。37の独立したマイクロRNAが腫瘍において異なって発現されていることが発見された(p<0.001、偽発見率<0.5%);表2。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
26のマイクロRNAがより高いレベルで腫瘍中に発現され、miR−21の富化は最も高いもので1.8倍であった。グローバルマイクロRNAプロファイルは、3近傍か又は近傍セントロイドクラス予測アルゴリズム(10−ホールドクロスバリデーション(fold cross validation)、反復100回)を使用し、腫瘍及び対をなす非腫瘍組織間を8
9%の正確度で区別し、発癌の間にマイクロRNA発現パターンの系統的変化を示唆している。
【0152】
我々は、腫瘍及び対となった非腫瘍組織間の発現差違と組み合わされた悪い生存率へのそれらの関連性に基づき、検証のためにmiR−20a、miR−21、miR−106a、mtR−181b及びmiR−203を選択した。検証のため、独立したコホートからの腫瘍及び対となった非腫瘍組織において、これらのマイクロRNAの発現レベルをqRT−PCRで測定した。検証コホートは、発症結腸癌を有する香港、中国から採用された113人の患者から成っている(表1)。
【0153】
MiR−20a(2.3倍)、miR−21(2.8倍)、miR106a(2.4倍)、miR−181b(1.4倍)及びmiR−203(1.8倍)は腫瘍中でより高いレベルで全て発現された(p<0.001、ウィルコクソンマッチドペア検定)(表3a)。
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】
ほとんどの腫瘍(miR−20aについて89%、miR−21について87%、miR−106aについて90%、miR−181bについて71%及びmiR−203について74%)は対となった非腫瘍組織よりも高発現のこれらのマイクロRNAを有していた。これら5つのマイクロRNAについての発現パターンは、3近傍又は近傍セントロイドアルゴリズムに基づくと(10−ホールドクロスバリデーション、反復100回)、それぞれ96%又は98%の正確さで腫瘍に対して対となった非腫瘍組織を識別した。
【0157】
腫瘍及び隣接する非腫瘍組織におけるmiR−21発現を可視化するために、インサイチュハイブリダイゼーションを使用した(図la〜fを参照されたい)。
miR−21は、隣接する非腫瘍組織と比較し、ヒト腫瘍組織中の結腸上皮細胞の核及び細胞質の両方において高レベルで発現される。これらの結果は、qRT−PCR及びマイクロアレイデータと一致し、発癌におけるマイクロRNAの役割を支持している。
【0158】
MiR−21は結腸腺腫中でより高いレベルで発現される
腺腫は、結腸腺癌の前躯体ステージを表す
3。18対の腺腫及び隣接する非腺腫組織において、qRT−PCRによりmiR−20as miR21、miR−106a、miR−181b及びmiR−203発現レベルを試験した。5つのマイクロRNAの内の4つが腺腫組織において増加したレベルを示したが、miR−21のみが1.6倍より高く有意に富化された(p=0.006、ウィルコクソンマッチドペア検定)(表3b参照)。
【0159】
腺腫組織は、15/18の対応対においてより高いレベルのmiR−21を発現した。より進行したステージの腫瘍はより高いレベルのmiR−21を発現する。対象は、腺腫の診断及びTNM病期に基づいて分類し、腺腫が最も進行しておらず、及びTNMステージIVが最も進行していると考えられた。腺腫は、検証コホートからの腫瘍よりも低いレベルのmiR−21しか発現しなかった(p<0.001、マンホイットニー検定)。もり進行した腫瘍は、より高いレベルのmiR−21を発現した(傾向分析、p<0.00l)(
図Ig参照)。
【0160】
この傾向は、メリーランド試験コホートからのマイクロRNAマイクロアレイデータを使用しても観察された(p=0.04)(
図2参照)。
【0161】
高miR−21発現は2つの独立したコホートにおいて予後不良を予測する
個々のマイクロRNA腫瘍/非腫瘍(T/N)発現比を分析し、いずれが予後不良と関係があるかどうかを決定した。T/NマイクロRNA発現比は、最高三分位値に基づいて高いと分類した。高TIN比が癌生存率と関係していた(p<0.05)いずれのマイクロRNAも探索した。これらから、腫瘍中で異なって発現されていた(p<O.001)マイクロRNAを選択した。
【0162】
5つのマイクロRNAがこれらの基準を満足した。カプラン・マイヤー分析は、miR−20a(ρ=0.02)、miR−21(p=0.004)、miR−106a(p=0.01)、miR−181b(p=0.04)及びmiR−203(p=0.004)についての高T/N比は各々悪い生存率と関連していた。これら5つのマイクロRNAをさらなる分析のために選択した。
【0163】
この研究の対象の89〜93%からの結腸腺癌は典型的組織構造を有していた。少数の腫瘍は、粘液腺癌、腺扁平上皮癌、又は印環細胞癌組織構造であった(表1参照)。腺癌の異なったサブタイプは、生存予後を含む異なった臨床結果と関連し得る
31。組織構造と関連する交絡(confounding)の可能性を除去するため、粘液腺癌、腺扁平上皮癌及び
印環細胞癌を有するすべての対象を初期分析から除外した。
【0164】
T/N比と悪い生存率の関連性は、腫瘍組織、取り囲んでいる非腫瘍組織、又は両方の組み合わせにおけるマイクロRNA発現が原因かもしれない。これらの可能性を区別するため、腫瘍及び対となった非腫瘍におけるマイクロRNA発現の関連を別々に分析した。miR−20a、miR−21、miR108a、miR−181b及びmiR−203についての腫瘍中の高現レベル(最高三分位値に基づいて)は、メリーランド試験コホートにおける悪い生存率と各々関連していた(
図3a参照、示されていないデータからも)。該5つのマイクロRNAのいずれについても、非腫瘍組織においてマイクロRNA発現と有意な関連は観察されなかった。
【0165】
一変量及び多変量Cox比例ハザード分析を使用し、腫瘍発現レベルと典型的腺癌を有する個体における予後との関連性を評価した(表4a)。
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
高レベルのmiR−21を発現している腫瘍を有する個体は、一変量(HR=2.5[1.2−5.2]、p=0.01)及び多変量(HR=2.9[1.4−6.1]、p=0.004)分析の両方において有意により高い結腸癌からの死のリスクがあった。
【0169】
これらの発見を検証するため、qRT−PCRを使用し、香港検証コホートにおけるこれら5つのマイクロRNAについての腫瘍及び非腫瘍発現レベルを測定して予後との関連性を分析した。高miR−21腫瘍発現は、香港検証コホートにおいて予後不良を予測し(p=0.001、カプラン・マイヤーログランク検定)、一方、非腫瘍組織では予測できなかった(
図3b参照)。
【0170】
このコホートにおいて、予後とmiR−20a、miR−106a、181b又はmiR−203の発現では、統計的に有意な関連性を発見できなかった。
香港検証コホートにおいて、腫瘍中の高miR−21発現は、年齢、性、腫瘍組織構造、又は腫瘍位置とは有意に関連していなかった(フィッシャーの正確確率検定)。すべての共変量は、Cox比例ハザード分析により試験した(表4b)。
【0171】
腫瘍における高miR−21発現(HR=2.4[1.4−3.9]、p=0.002)及びTNM病期(HR=4〜7[2.4−9.5]、p0.00l)は、一変量モデルにおいて生存率と有意に関連していた。多変量Cox回帰分析は、腫瘍における高miR−21発現が他の臨床的共変量とは独立して悪い生存率予後を予測し(HR=2.4[1.4−4.1]、p=0.002)、メリーランド試験コホートにおける我々の発見と一
致した。
【0172】
腫瘍組織構造にかかわらず、すべての対象を含んだ分析を繰り返した。両方のコホートにおいて、高miR−21発現と予後との関連が残っていた(
図4参照、表5参照)。
【0173】
【表8】
【0174】
【表9】
【0175】
MiR−21発現レベル及び療法への応答
アジュバント化学療法への応答に関連するバイオマーカーを同定することは、医師が療法の利点をより良く予測することを可能にする。この目的のため、ステージII及びIII癌患者におけるmiR−21発現とアジュバント化学療法への応答の関連性を分析した。アジュバント化学療法の投与についての情報は、メリーランド試験コホートにおける65人のステージIl又はIII対象の内の47人及び香港検証コホートにおける全対象について利用可能であった。
【0176】
両方のコホートにおいて、化学療法投与計画は、主としてフルオロウラシルに基づいており(静脈内5−フルオロウラシルか又はウラシルと共にテガフールを含んでいる経口薬剤[UFT]の形態で)、レバミゾール又はロイコボリンは含まれているか又は含まれていない。典型的腺癌組織構造を有する対象のみをこの分析では使用し、メリーランドコホートで化学療法を受けた42人のステージ1I/III個体の内の20人を残した。化学療法を受けたこれらについて、腫瘍中の高miR−21発現は、一層悪い全生存を予測し(p=0.01、カプラン・マイヤーログランク検定)、高miR−21がアジュバント化学療法への応答不良に関連するという予備的支持を与えている。
【0177】
香港検証コホートについて、典型的腺癌組織構造を有するステージII/III癌の77個体をこの分析に使用した。アジュバント化学療法を受けたステージII/III対象は、受けなかったものよりも良好な生存予後を有していた(p=0.02、カプラン・マイヤーログランク検定)。アジュバント化学療法を受けたこれらの対象間では(n=36)、腫瘍中の高miR−21発現は治療に対する応答不良と関連しており(p=0.03、カプラン・マイヤーログランク検定)、メリーランドコホートにおいての観察と一致した(
図5a参照)。
【0178】
このコホートにおいて、アジュバント化学療法を受けたすべてのステージII対象(n=11)が生存したが(
図5b参照)、アジュバント化学療法を受けたすべてのステージIII対象(n=25)については、高miR−21発現は悪い生存率と関連していた(p=0.02、カプラン・マイヤーログランク検定)(
図5c参照)。
【0179】
これらの観察を分析するために多変量Cox回帰分析が使用され、高miR−21発現が予後不良を予測し(HR=3.1[1.5−6.1];p=0.001)、及び化学療法を受けることは、他の臨床共変量とは独立して改善された生存における転帰survival outcome)を予測する(HR=0.3[0.1−0.5];p0.001)ことが示された(表6a)。
【0180】
【表10】
【0181】
【表11】
【0182】
癌死の代わりのエンドポイントとして癌再発を使用する分析は、腫瘍中の高miR−21発現が、より速い疾患再発を予測するという類似の関連性を生じた(データは示されていない)。
【0183】
両方のコホートを結合した分析は類似の関連性を生じた。カプラン・マイヤー分析は、高miR−21発現がステージII(p=0.02)又はステージIII(p=0.004)対象における予後不良を予測することを実証した(
図6参照)。
【0184】
高miR−21発現は、ステージII/III対象(p=0.003)又はステージIII対象単独(p=0.007)において化学療法に対する応答不良を予測した。多変量Cox回帰分析は、高miR−21発現は予後不良を予測し(HR=3.0[1.7−5.4];p<0.001)、及びアジュバント化学療法での治療が他の臨床共変量とは独立して改善された生存を予測する(HR=0.4[0.2−0.8];p=0.004)ことを実証した(表6b)。
【0185】
議論
2つの独立したコホートを使用し、結腸癌組織中のマイクロRNAプロファイルを分析した。マイクロRNAマイクロアレイ分析によると、37のマイクロRNAが腫瘍組織中では異なって発現された。5つすべての試験されたマイクロRNAの発現パターンを香港
コホートにおいて検証した。腫瘍及び非腫瘍組織間を区別する5マイクロRNAの識別力は、発癌の間にマイクロRNA発現パターンの予測可能な及び系統的変化が起こり、散発性結腸腺癌の大多数を代表するようであることを示している。
【0186】
miR−20a、miR−21、miR−106a、miR−181b及びmiR−203はすべて結腸腫瘍中でより高いレベルで発現されていることが観察された。マイクロRNA発現パターンにおけるこれらの変化は、結腸癌又は癌の組織学的進行の原因と単に関連することができる。マイクロRNA発現パターンにおける変化が腫瘍形成を促進するという強い証拠がある(特にmiR−20a及びmiR−21について)。miR−20aはmiR−17−92ポリシストロニックマイクロRNAクラスターの一部である
32。
【0187】
このクラスターの過剰発現は、インビトロで細胞増殖を増強し
33、動物モデルにおいて腫瘍形成を促進する
16。miR−17−92クラスターの強制された発現は、抗血管新生Tsplタンパク質を負に調節することにより、マウスにおいて増加した腫瘍サイズ及び血管形成を引き起こす
24。実験的証拠は、増加したmiR−21発現は腫瘍発育を促進することも示唆している。miR−21は、ほとんどの固形腫瘍中で高レベルで発現される
19,34。miR−21の過剰発現は、ヒト神経膠芽腫細胞において抗アポトーシス因子として作用する
13。miR−21の抑制は、インビトロで細胞増殖を抑制し、抗アポトーシス因子Bcl−2
35の間接下方調節を介して異種移植片マウスモデルにおける腫瘍増殖を抑制する
35。ヒト細胞株での研究は、miR−21が腫瘍抑制遺伝子PTEN
36及びTPM1
37も標的とし得ることを示した。これらのデータを一緒にすると、発癌の間に改変されたRNA発現の因果的役割が支持される。
【0188】
腺腫は腺癌の前躯体ステージを表す。腺腫は高レベルのmiR−21を発現する。もし、増加したmiR−21発現が結腸腫瘍進行を促進するならば、腺腫における増加した発現は、癌への進行における早期の細胞事象であることができる。miR−21活性を抑制することは、家族性腺腫様ポリープ症
38を有する個体のような、結腸癌について高いリスクの集団において腫瘍促進を予防することの助けとなることができる。
【0189】
従って、マイクロRNA発現パターンと、結腸癌予後及びアジュバント化学療法に対する応答との関連を実証する証拠が本明細書に提示される。より進行した腫瘍は、より高いレベルのmiR−21を発現する。腫瘍中の高miR−21発現と悪い生存率との強い関連性が、メリーランド試験コホート及び香港検証コホートで別々に観察された。
【0190】
各コホートにおいて、これらの関連性は、他のすべての臨床共変量とは独立しており、miR−21発現は有用な予後指標であることができることを示しており、TNM病期及び他の臨床的指標に加えて、最終的な癌のより高いリスクにある患者を同定する助けとなる。これらの観察は、非常に異なる人種及び地理的構成を有する2つの独立したコホートでなされた。それ故、我々の観察は他の集団に広く応用可能と思われる。
【0191】
腫瘍中の高miR−21発現は、両方のコホートにおいて、アジュバント化学療法に対する応答不良と関連していた。これらの結果は、miR−21発現状態が既知である個体における療法の利点を予測する助けとなり得る。加えて、もし高miR−21発現が、結腸癌患者の悪い生存率の原因であるならば、miR−21を標的とするantagomir
29,
39又は他のアンチセンス療法剤は、高miR−21発現腫瘍を有する対象において療法的利点を有し得る。これらは生存における転帰を改善する現行療法に加えて使用することができる。
【0192】
本発明者はここに、結腸腫瘍及び対となる非腫瘍組織間の、マイクロRNA発現パター
ンの系統的差違を発見した。腫瘍中の高miR−21発現は、病期及び他の臨床的共変量とは独立して、悪い生存における転帰及びアジュバント化学療法に対する応答不良を予測し、結腸腺癌及び療法への応答を含む生存予後のための有用な診断バイオマーカーであることができることを示唆している。
【0193】
方法
組織採取及びRNA単離:
原発性結腸腫瘍及び隣接する非腫瘍組織の対は、1993年から2002年の間に、University of Maryland Medical Center で採用された84人の患者、及び1991年から2000年の間に、香港のQueen Mary Hospital で採用された113人の患者である。年齢、性、臨床病期、腫瘍位置、診断からの生存時間及びアジュバント化学療法の受け取りを含む各組織ドナーについての詳細な背景を集めた。腫瘍組織構造は、World Health Organization Classification of Tumor System
1に従って分類した。腺腫組織はCooperative Human Tissue Network から得た。この研究は、Institutional Review Board of the National Institutes of health、Institutional Review Board of the University of Hong Kong/Hospital Authority Hong Kong West Cluster 及びInstitutional Review Board
for Human Subject Research at the University of Maryland により承認された。
【0194】
RNA単離及びマイクロRNAプロファイリング:
RNAは標準TRIZOL(Invitrogen,Carlsbad)法を使用し、組織から抽出した。マイクロRNAマイクロアレイプロファイリングは、以前に記載されているように実行した
30。簡単には、5lagの全RNAを標識し、およそ400ヒトマイクロRNAプローブの四つ組を含有する各各マイクロRNAマイクロアレイにハイブリダイズさせた。スライドはPerkinElmer ScanArray LX5Kスキャナーを使用してスキャンした。マイクロRNAのqRT−PCRは、Taqman MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems,Foster City)
を使用し、製造元の説明書に従い、7500リアルタイムRT−PCRシステム(Applied Biosystems,Foster City)で実施した。全qRT−PCR実験において、U6Bが規格化対照であった。全アッセイは、二重(miR−20a、miR−203)又は三重(miR−21、miR−106a、miR−181b)に行った。miR−21、miR−106a及びmiR−181bについてのqRT−PCRは、その時点で生存における転帰及び検証コホートのメンバーについての臨床データを教えられていないAJSにより実施した。
【0195】
マイクロアレイ分析:
この出願で議論されたデータはNCBIs Gene Expression Omnibus (GEO,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/) にすでに寄託されており、GEO Series accession number GSE7828
を介して利用できる。LOESS規格化マイクロアレイデータは、BRBアレイツール3.5.0(http://linus.nci.nih.gov/.BRB-ArrayTools.html) 内に移入されており、すべての
続いてのマイクロアレイ分析はこのソフトウェアで実施した。
【0196】
マイクロアレイ分析を実施した。アレイの>20%が失われている値を有するプローブは本分析から除去され、230のプローブが残った。ペア、クラス比較分析は、腫瘍中で異なって発現されたマイクロRNAを同定した(p<0.001)。
【0197】
悪い生存率に関連するマイクロRNAについての探索を開始するため、マイクロアレイデータを使用し、メリーランドコホート中で、腫瘍/非腫瘍(T/N)マイクロRNA発現比を分析した。マイクロRNAについてのTN発現比は、log
2腫瘍発現値からlog
2非腫瘍を差し引くことにより作製される。>25%のT/N比が失われているマイクロRNAをフィルター除去し、208が残った。T/N発現比を2つに分け、最高三分位値は高と分類されより低い2つは低と分類された(追加の方法参照)。この高/低カット
オフはこの研究を通して普遍的に使用された。腫瘍及び非腫瘍マイクロRNA発現レベルは、生存率との関連についての全ての分析のため、マイクロアレイ実験の日付に基づいてバッチ規格化された。
【0198】
インサイチュハイブリダイゼーション:
インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)は、ヒトmiR−21、スクランブル及びU6(Exiqon、Wobum)に対するプローブを用い、ヒト結腸組織に対してW. Kloosterman(http://www.exiqon.eom/uploads/.LNA 52- FFPE miRNA in situi.rotocol.pdf) により記述されたホルマリン−固定パラフィン−包埋(FFPE)組織のための製造元によるプロトコールに修正を加えて実施した。修正には、ポリクローナルウサギ抗DIG/HRP結合抗体及びDakoCytomation GenPoint Tyramid Signal Amplication System (DakoCytomation、Carpinteria)、及び VECTOR
RNovaRed(商標)基質(Vector Laboratories、Burlingame)の使用が含まれる。イメージはOlympus DP70デジタルカメラ及びDP制御ソフトウェア(Olympus、Champaign)を使用するOlympus BX40 顕微鏡で撮影した。
【0199】
統計分析:
統計分析を実施した。ウィルコクソンマッチドペア試験を使用し、すべての全qRT−PCRデータについての、腫瘍及び対となる非腫瘍組織間のマイクロRNA発現の相違、ならびに腺腫及び対となる非腺腫組織間の相違を分析した。報告されているすべての傾向分析は、順序群にわたる傾向に対するノンパラメトリック検定である。すべてのカプラン・マイヤー分析は、WINSTAT 2001(R. Fitch Software) を使用して実施した。多変量Cox回帰分析はIntercooled Stata 9.2(StataCorp LP、College Station) を使用して実施
した。最終多変量モデルは、一変量モデルにおいて悪い生存率と関連する(p<0.10)ことが観察された臨床共変量の段階的追加及び除去に基づいていた。p<0.05のワルド統計を、最終多変量モデルにおける包含の基準として使用した。すべてのp値は両側である。ハザード比は括弧内の95%信頼区間で報告されている。発現グラフは、Graphpad Prism 4.0 (Graphpad Software Inc.、San Diego)を使用して作製した。
【0200】
追加のマイクロアレイ分析
この分析に使用されたマイクロアレイは、ピン−スポッテッド(pin-spotted)マイク
ロRNAマイクロアレイ(Ohio State University Comprehensive Cancer Center、version 2.0 から)であった。各スポットの強度はフォアグラウンドの中央値強度であった。
この研究に使用された170マイクロアレイの各々は、11520スポットを含んでいた。フォアグラウンド強度がバックグラウンドより低い場合、すべてのスポットはNAと再び割り当てられた(NAは失われたデータスポットの印となる)。スキャナーにより欠損していると警告されたすべてのスポットもNAと再び割り当てられた。高いフォアグラウンド強度を有するすべてのブランク(オリゴなし)スポットはNAと再び割り当てられた。各マイクロRNAオリゴは、2つの隣接するスポットの2つの離れた対として、これらアレイ上の四元のスポットにより表される。もしオリゴ四元について0又は1NAがあり、及び離れたオリゴ対の平均値がlog
2スケールで>1異なっていれば、該四元のスポットのすべてがNAと再び割り当てられた。もし、四元について3NAスポットがあれば、最終スポットはNAと再び割り当てられた。総計で、1,958,400スポットの1,082,689がこれらの方法を使用してNAと再び割り当てられた。LOESS(Locally Weighted Scatterplot Smoothing)規格化は、Rソフトウェアパッケージを使用して実施した。すべてのデータを分析のためにBRBアレイツールバージョン3.5.0に移入し、すべての反復スポットを平均した。使用したアレイには本来85対(腫瘍及び対となる非腫瘍組織)があった。本来偶発結腸癌患者と同定された1つのケースが、後に原位置癌腫と診断されていたことが判明したため、分析から除かれ、84対象の研究集団が残った。マイクロRNAリストをフィルターにかけ、389ヒトhsa−miRプローブセットのみが含まれるようにした。これらをさらにフィルターにかけ、アレイの25%よ
り多くが失われているプローブセットを除去し、230ヒトマイクロRNAプローブセットを残した。ペアードクラス比較分析を使用し、腫瘍及び対となる非腫瘍組織間で異なって発現されているマイクロRNAを同定した。2つのマイクロRNA(miR−181b及びmiR−338)に対しては、2つの独立したプローブで測定すると各々反対の結果を与え、各々のマイクロRNAについて1つのプローブは腫瘍中でより高い発現を示し、1つのプローブは腫瘍中でより低い発現を示した。各々に対して、より有意ではない結果を廃棄し、miR−181b及びmiR−388両方が腫瘍において富化されたとした。加えて、qRT−PCRで、miR−181bが腫瘍において富化されていることを確認した。
【0201】
我々は最初に各マイクロRNAについての腫瘍/非腫瘍(T/N)発現プロファイルを使用し、悪い生存率と関連するマイクロRNAを探索した。この分析のため、すべての発現データを普遍的高/低カットオフで2分することを決定し、悪い生存率との関連性を捜した。どのような普遍的高/低カットオフを使用するべきかを決定するため、T/N発現データを3つの別々の方法で2分し、どの方法が試験コホートにおいて最大の有意な結果を与えるかを決定した。高発現を中央値、最高三分位値又は最高四分位値より高いかに基づいて分類し、一変量Cox回帰分析を使用し、これらのカットオフと悪い生存率との関連を試験した。腫瘍中で異なって発現された37のマイクロRNAの内、中央値より高いに基づくと4の高発現が、最高三分位値に基づくと5が、及び最高四分位値に基づくと2が悪い生存率と関連していた(p<0.05、データは示されていない)。最高三分位値に基づいた2分化が、メリーランド試験コホートにおいてこれらの基準に基づいて悪い生存率と関連する最も多いマイクロRNAを与えた;それ故、メリーランド試験コホート及び香港検証コホート両方における、マイクロRNA発現レベル及び予後不良間の関係を分析するため、この研究を通して最高三分位値に基づいた分類を普遍的に使用した。
【0202】
マイクロRNAマイクロアレイを使用し、腫瘍中のmiR−21発現レベルと予後を比較した。この分析に使用したマイクロアレイプローブは、hsa−miR−21−precl7Nolであった。この分析はマイクロアレイ実験の日付に基づいたデータのバッチ規格化を要求する。日付により規格化するため、所与のマイクロRNAの最高1/3を発現するアレイを、別々に各日について高いと分類した。いずれの所与の日でも、組織の12対までプロファイルした。10対未満のマイクロアレイが実施されたいずれの日についても、これらの日に実施されたアレイは廃棄され、5つのアレイの損失を生じた。これらのデータは次ぎに、生存における転帰との関連の分析のため結合させた。我々はチェックし、そしてマイクロアレイ実験の日付に基づいて分類した群間で、年齢、性、人種、腫瘍部位、TNMステージ又は癌生存率の頻度分布には有意な相関がないことを見出した(フィッシャーの正確確率検定)。
【0203】
統計分析
Cox比例ハザード回帰を使用し、患者生存率に対するmir−21発現レベル及び他の臨床変数の影響を分析した。臨床変数に含まれるのは、年齢、性、人種、腫瘍部位、腫瘍組織学、アジュバント療法の受け取り及びTNM病期である。これらのモデルに対し、結腸癌について推奨されるスクリーニング年齢が50歳であるので、年齢>50対年齢<50の2分化年齢を選択し;腫瘍部位は、もし腫瘍が脾湾曲部内又は近位に位置していれば近位と、もし腫瘍が下行結腸内又は遠位に位置していれば遠位と定義し;TNM病期は転移性対非転移性疾患に基づいて2分化し、ステージI−II対III−IVを結果として生じた。メリ−ランドコホートの1人の患者は手術当日に死亡し、0ヶ月の生存期間を生じた。この場合はカプラン・マイヤー分析には含まれたが、
図2の腫瘍中のmiR−21発現間のケースに相違を生じるCox回帰分析(n=72)及び表4のCox回帰分析のケースの数(n=71)については除かれた。一変量Cox回帰が各臨床共変量において実施され、各患者生存に対する影響を試験した。最終多変量モデルは、一変量モデルに
おいて悪い生存率と関連する(p<0.10)ことが観察された臨床共変量の段階的追加及び除去に基づいていた。p<0.05のワルド統計を、最終多変量モデルにおける包含の基準として使用した。最終多変量モデルのため、最も簡潔なCox回帰モデルを使用した。
【0204】
実施例2−初期結果
miRNAは結腸腫瘍中で異なって発現される
miRNAマイクロアレイを使用し、85対の癌性及び隣接する非癌性結腸組織のmiRNAプロファイルを分析した。腫瘍のmiRNA発現プロファイルは正常組織とは全く異なっていたことが発見され、miRNAが結腸発癌に重要な役割を果たすことができることを示唆している。ペアードクラス比較分析は、これらの腫瘍中で異なって発現された27の独立したmiRNAを同定した(表7)。
【0205】
表7−対となる正常組織と比較し、27のmiRNAが結腸腫瘍中で異なって発現された。BRBアレイツール3.4でのペアードクラス比較を使用し、27のmiRNAが腫瘍中で異なって発現されることが発見された。p<0.001の有意値を異なって発現された基準として使用し、それは0.08%の推定偽陽性率を生じた。上方は、腫瘍中でより高いレベルで発現されたmiRNAを示しており、一方、下方は、miRNAレベルが腫瘍中でより低かったことを示している。
【0206】
【表12】
【0207】
偽陽性率(多重比較検定を説明する)はおよそ0.8%であり、これらほとんどの(全部ではないにせよ)miRNAが異なって発現されており、多重比較検定の結果ではないことを示している。11のmiRNAが腫瘍中で上昇した発現レベルを有していることが観察され、一方、16のmiRNAが腫瘍中で減少有していることが観察された。加えて、miRNAプロファイルは、組織が腫瘍又は非腫瘍であったかを92%の正確度で予測するために使用できた。2000のランダム順列に基づくと、偶然により生じるこれらの予測の確率は極めて低かった(p<0.0005)。これらの結果は、腫瘍及び正常組織間のmiRNA発現プロファイルに系統的な相違があり、miRNA発現プロファイルが結腸発癌の間に変わってくることを示している。
【0208】
グローバルmiRNA発現プロファイルは結腸癌生存予後を予測する
miRNA発現プロファイルが患者生存を予測するかどうかを決定した。この分析のため、各個体の各miRNAについて、腫瘍対正常miRNA発現比(TIN比)を計算した。すべてのmiRNA TIN比の非介在的(Unsupervised)階層的クラスタリングは、任意に名付けたグループA及びグループBの2つのグループに個体をグループ化した(
図7)。
【0209】
これら2つのグループは、臨床病期(p=0.009;
図Ib)及び生存予後(p=0.026;
図7c)の両方が有意に異なっている。
このことは、グローバルmiRNAプロファイルは臨床病期を、及びより重要なことには、生存予後を予測することを示している。
【0210】
一変量及び多変量Cox回帰分析を使用して、この関係をさらに詳細に調べた(表8)。
一変量(上)及び多変量(下)Cox回帰分析が行われ、miRNAグループBに分類された個体が結腸癌で死亡するより高リスクあることが示された。年齢、性又は人種のどれも生存リスクには寄与していなかった。これらの分析の目的のため、年齢は50以上及び未満に2分化し、人種をアフリカ系アメリカ人(AA)及び白人に2分化した。
【0211】
【表13】
【0212】
グループB個体は、結腸癌で死亡する有意により高いリスクを有していた(ハザード比[HR]=2.6;p=0.04)。このリスクは、年齢、民族性及び性で調整後も有意に高く残っていた(HR=2.7;p=0.03)。これらの結果は、予後を予測するため、結腸腫瘍のmiRNAプロファイルを使用できる可能性を示している。これらの結果は、miRNAが結腸発癌に役割を果たすことができることも示唆する。
【0213】
miR−21、miR−106a、miR−181b、miR−16h、miR−203、lct−7tg、miR−29a、miR−103−2及びmiR−10aのプロファイルは結腸癌予後を予測する
その発現レベルが結腸癌予後の生存を予測する個々のmiRNAを同定した。悪い生存予後と関連しているmiRNA発現パターンを同定するため、TIN比にカプラン・マイヤー生存プロット及び多変量Cox回帰分析を使用した。悪い生存率に相関するTIN比を同定するためBRBアレイツールを使用した(データは示されていない)。我々はこれらのmiRNAをさらに詳細に分析することを選んだ。腫瘍中で異なって発現された(p<0.01)いずれのmiRNAも分析した。各個体についてのTIN比を、中央値及び最高四分位値TIN比に基づいて2分化した。TIN比が18個体より多くで失われている場合、分析からいずれのmiRNAも除いた。そのTIN比が結腸癌予後を示す、miR−21、miR−106a、miR−181b、miR−16h、miR−203、let−7g、miR−29a、miR−103−2及びmiR−10aを含む少なくとも
9のmiRNAを同定した(
図8、表9)。
【0214】
個々のmiRNAについてのTIN比のCox回帰分析
個々のmiRNAが結腸癌で死亡するより高リスクの個体を分類するために使用できることを示すため、一変量及び多変量Cox回帰分析を実施した。これら9miRNAについてのTIN比は、TNM病期、年齢、性及び人種とは独立して、生存予後の重要な予測項目であった。miR−16b、miR−21、miR−29a、miR−103−2、miR−106a及びmiR−203についての高/低識別は、中央値TIN比に基づいて分類され、一方、let−7g、miR−10a及びmiR−181bは最高四分位値TIN比に基づいて分類されたことに注意されたい。
【0215】
【表14】
【0216】
【表15】
【0217】
【表16】
【0218】
【表17】
【0219】
【表18】
【0220】
【表19】
【0221】
【表20】
【0222】
【表21】
【0223】
【表22】
【0224】
miR−21発現は腫瘍で上昇される(表7)。miR−21 TIN比は、同様に結腸癌患者の臨床病期及び生存予後にも関連している(表9、
図8a)。
より進行したTNM病期を有する個体は、より高いTIN比を有する傾向があった(p=0.034)。TIN比は、データを有する80の個体の各々についての中央値に基づいて2分化した。高miR−21 TIN発現比を有する個体は、カプラン・マイヤー分析(p=0.004)に基づくとより悪い生存予後を有しており、高レベルのmiR−21を発現している腫瘍は予後不良を示すことを示唆している。これらの結果は、Cox回帰分析でさらに分析した。
【0225】
高TIN比のmiR−21を有する個体は、一変量(HR=3.0;p=0.01)及び年齢、性、人種及びTNM病期について調整した多変量(HR=2.8;p=0.02)分析の両方でより高いリスクにあった(表9)。
【0226】
この結果は、miR−21発現レベルが予後予測法として有用であり得ること、及びTNM病期単独よりも生存予後についてのより良い予測値を提供できることを示唆している。mir−21は多くの腫瘍タイプで異なって発現されていることが観察されている
12〜18。
【0227】
高レベルのmiR−21が神経膠芽腫細胞においてアポトーシスの阻害を導くことができ
5、一方、miR−21の阻害がヒーラ細胞において増加した細胞増殖を導くことができること
19も研究で示されている。
【0228】
本発明者は、本明細書において、miR−21が同様の様式で結腸発癌に寄与していると信じられることを発見した。
我々は、腫瘍中で上昇されたmiR−106a(表7)、及びmiR−106a TIN比が生存予後と相関することを見出した(表9、
図8b)。
【0229】
miR−106aは、miR−17、miR−20、miR−106a及びmiR−106hを含むパラロガスmiRNAのクラスのメンバーである
20。これらのmiRNAは、1〜2ヌクレオチドのみが異なっていること以外はお互いに非常に類似している。それらの類似性のため、それらは類似した標的を有しているようである。興味深いことに、これらのmiRNAの4つすべてが、発現及び予後との関連に類似パターンを示す(データは示されていない)。miR−106aについての関連は、他のmiRNAパラログのいずれか又はすべてがこの関連に寄与しているという可能性を正式に除外するものではない。MiR−106a TIN比は、データを有する82の個体の各々についての中央値に基づいて2分化した。高miR−106a TIN発現比を有する個体は、カプラン・マイヤー分析に基づくとより悪い生存予後を有していた(p=0.013;
図8b)。
【0230】
このことは、高レベルのmiR−106aを発現している腫瘍は、悪い生存率予後を予測することを示唆している。高TIN比のmiR−106aを有する個体は、一変量(FIR=2.6、p=0.01)及び年齢、性、人種及びTNM病期について調整された多変量(HR=2.4;p=0.05)分析の両方でより高いリスクにあった(表7)。それ故、miR−106aは、TNM病期とは独立して、結腸癌予後の有用な予後を予測するものであることができる。興味深いことに、網膜芽細胞腫抑制因子遺伝子が、miR−106aの機能的標的であることが示されており
12、どのようにmiR−106aが結腸発癌に機構的に寄与できるについての機構を支持している。
【0231】
miR−106aのパラログを含有するmiR−17−92クラスターの過剰発現は、マウスにおける腫瘍発育を促進する
10。このことは、miR−106aファミリーのmiRNAが発癌に影響できることを実験的に示し、さらに、miR−106aが発癌及び腫瘍進行に寄与できるという仮説を強化している。
【0232】
7つの追加のmiRNAの発現パターンが、臨床病期及び悪い予後生存に関連していた(表9、
図8c〜8i)。
より進行したTNM病期を有すると診断された個体は、より高いTIN比を有する傾向があった;let−7a(p=0.010)、miR−l0a(p=0.008)、miR−16h(p=0.048)、miR−29a(p=0.005)、miR−103−2(p=0.033)、miR−181h(p=0.016)及びmiR−203(p=0.016)(
図8)。
【0233】
TIN比は、中央値(miR−16h、miR−29a、miR−103−2、miR−203)又は最高四分位値(let−7g、miR−10a、miR−181h)に基づいて2分化され、カプラン・マイヤー分析は、各々の高TIN比が、悪い生存予後を予測するものであることを明らかにした(
図8c〜8i)。
【0234】
一変量及び多変量Cox回帰分析は、これらのmiRNAのいずれか一つの高TIN比が、TNM病期とは独立して、悪い結腸癌予後を予測することを確認した(表9)。年齢、性、人種及びTNM病期について調整された多変量Cox回帰モデルは、miR−16b(HR=5.1;p=0.003)、let−7g(HR=2.5;p=0.03)、miR−10a(HR=3.4;p=0.003)、miR−29a(HR=3.2;p=0.01)、miR−103−2(HR=3.1;p=0.01)、miR−181h(HR=3.2;p=0.01)及びmiR−203(HR=3.2;p=0.03)についての高TIN比が、各々悪い生存予後を予測したことを示した。これらの結果は、これらのmiRNAのいずれかの高いレベルを発現している腫瘍を有する患者は、増加した結腸癌で死亡するリスクにあることを示唆している。それ故、これらのmiRNAのいずれかの発現レベルは、TNM病期とは独立して、結腸癌患者についての生存リスクを予測する助けとなり得る、有用なバイオマーカーであることができる。
【0235】
9miRNAのmiRNA発現シグニチャーは生存予後を予測する:
結腸癌予後を予測し得るmiRNAシグニチャーを開発するため、以前に記述した9つすべてについてのTIN比を使用した。これらの値の9の内の2より多くを失った個体はこの分析から除外した。9miRNAのTIN比の階層的クラスタリングは、残りの78患者のグループ分けで2つのグループを生じた(
図9a)。
【0236】
これらのグループは、有意に異なった生存予後を有していた(
図9b;p=0.004)。一変量(HR=3.2;p=0.008)及び多変量(HR=2.8;p=0.04)Cox回帰分析は、miRNAシグニチャーは、TNM病期とは独立して、悪い生存予後と関連していた(表10)。
【0237】
【表23】
【0238】
一変量(上)及び多変量(年齢、性、人種及び病期について調整;下)Cox回帰分析を実施し、9miRNAシグニチャーを使用して、グループBに分類された個体は結腸癌で死亡するより高リスクにあることが示された。年齢、性又は人種のいずれも、生存リスクには有意に寄与しなかった。クラスター帰属に関連するこのリスクは、病期とは独立していた。
【0239】
これらの結果は、miRNAシグニチャーが、結腸癌患者の生存予後を予測するためのバイオマーカーとして使用できることを示している。
【0240】
議論
個々のmiRNAは結腸腫瘍中で異なって発現され
12.13、これらのmiRNAの変化した発現は、結腸発癌の原因となる細胞性変化の一部であることができることを示唆している。これらの発見に加え、我々は本明細書において、miRNA発現プロファイルが結腸癌病期及び予後に関連していることを示した。それ故、miRNA(個々に分析された、又はmiRNAシグニチャーの一部としての)は、医師が患者の生存リスクをより正確に予測することを可能にするであろうバイオマーカーとして使用し得る。
【0241】
miRNA TIN比と生存予後の強い相関は、変化したmiRNA発現が結腸発癌及び進行においての原因となる経路の一部であることができることを示唆している。もし、これらのmiRNAのいずれかの変化した発現が発癌の原因であるとすれば、癌を治療するために使用し得るantagomir様医薬を設計することが可能である。miRNA プロフ
ァイリング及びmiRNAに基づいた療法を使用し、これら9つのmiRNAが変化されたことに基づいた、個人的薬剤治療戦略を設計することが可能である。加えて、これらの戦略は、遺伝的に受け継がれたリスク又は以前に癌履歴を有するために高リスクである人々において結腸癌を予防することにおいても有用であることができる。
【0242】
実施例3
結腸癌関連疾患を診断、病期分類、予後診断、モニタリング及び治療するための方法、試薬及びキット
一つの態様において、患者が結腸癌関連疾患を有するか、又は結腸癌関連疾患を発症する正常よりも高いリスクを有するかどうかを評価する診断法が提供され、患者サンプル中のマーカーの発現レベルと、対照(例えば、結腸癌関連疾患を有していない患者からのサンプル)における該マーカーの正常レベルを比較する工程を含んでなる。正常レベルと比較し、該患者サンプル中の該マーカーの有意により高いレベルの発現は、該患者が結腸癌関連疾患に罹患しているか、又は結腸癌関連疾患を発症する正常よりも高いリスクを有することの指標である。
【0243】
該マーカーは、本方法の陽性予測値が少なくとも約10%、及びある非制限的態様においては、約25%、約50%又は約90%であるように選択される。該方法での使用に好ましいのは、正常細胞と比較し、少なくとも2倍で少なくとも約20%、及びある非制限的態様においては、約50%又は約75%異なって発現されるマーカーである。
【0244】
患者が結腸癌関連疾患を有するかどうかを評価する一つの診断法において(例えば、新規検出(「スクリーニング」)、再発の検出、反射試験)、該方法は:患者サンプル中のマーカーの発現レベル、及びb)対照非結腸癌関連疾患サンプル中の該マーカーの発現の正常レベル;を比較することを含んでなる。正常レベルと比較し、患者サンプル中のマーカー発現の有意に高いレベルは、該患者が結腸癌関連疾患に罹患していることの指標である。
【0245】
患者の結腸癌関連疾患を抑制するための療法の効力を評価する診断法も提供される。こうした方法は、a)該患者に療法の少なくとも一部を提供することに先立って、該患者から得られた第一のサンプル中のマーカーの発現、及びb)療法の少なくとも一部を提供した後、該患者から得られた第二のサンプル中のマーカーの発現、を比較することを含んでなる。第一のサンプル中のレベルと比較して、第二のサンプル中の該マーカーの発現の有意により低いレベルは、該患者の結腸癌関連疾患を抑制することにおいて、療法が有効で
あることの指標である。
【0246】
これらの方法において、「療法」は結腸癌関連疾患を治療するためのいずれの方法でもあることができ、限定されるわけではないが、医薬組成物、遺伝子治療及び抗体及びケモカインの投与のような生物学的療法が含まれる。それ故、本明細書に記載された方法は、例えば、疾患状態の軽減を評価するため、療法の前、途中及び後で患者を評価するのに使用することができる。
【0247】
ある側面において、該診断法は、化学的又は生物学的剤を使用する療法が指示される。これらの方法は、患者から得られ、及び化学的又は生物学的剤の存在下で維持された第一のサンプル中の該マーカーの発現、及び患者から得られ、及び該剤の不存在下で維持された第一のサンプル中の該マーカーの発現、を比較することを含んでなる。第一のサンプル中のレベルと比較して、第二のサンプル中の該マーカーの有意により低い発現レベルは、該剤が該患者の結腸癌関連疾患を抑制することにおいて有効であることの指標である。一つの態様において、第一及び第二のサンプルは、患者から得られた単一サンプルの一部、又は患者から得られたプールされたサンプルの一部であり得る。
【0248】
患者の結腸癌関連疾患の進行を評価するためのモニタリング法も提供され、該方法は:a)マーカーの発現を、第一の時点において患者サンプル中で検出すること;b)時間内の続いての時点で工程a)を繰り返すこと;及びc)工程a)及びb)で検出された発現のレベルを比較すること、及びそれらから、患者の結腸癌関連疾患の進行をモニタリングすることを含んでなる。第一の時点でのサンプルのレベルより、続いての時点におけるサンプル中のマーカーの有意により高い発現レベルは。結腸癌関連疾患が進行したことの指標であり、一方、発現の有意により低い発現レベルは、結腸癌関連疾患が退行したことの指標である。
【0249】
結腸癌関連疾患が悪化したか、又は将来悪化しそうであるかどうかを決定するための診断法がさらに提供され:a)患者サンプル中のマーカーの発現レベル、及びb)対照サンプル中の該マーカーの発現の正常レベル、を比較することを含んでなる。正常レベルと比較して、患者サンプル中での有意により高い発現レベルは、該結腸癌関連疾患が悪化したか、又は将来悪化しそうである指標である。
【0250】
患者の結腸癌関連疾患を抑制するための組成物を選択するための試験法も提供される。この方法は:a)該患者から細胞を含んでなるサンプルを得ること;b)多数の試験組成物の存在下、サンプルの一定分量を別々に維持すること;c)該一定分量の各々におけるマーカーの発現を比較すること;及びd)他の試験組成物の存在下での該マーカーの発現のレベルに比べ、試験組成物を含有する一定分量中の該マーカーの発現のレベルを有意に減少させる試験組成物の一つを選択すること;の工程を含んでなる。
【0251】
結腸癌関連疾患を引き起こすことにおいて化合物の有害な可能性を評価する試験法がさらに提供される。この方法は:a)該化合物の存在及び不存在下、細胞の一定分量を別々に維持すること;及びb)該一定分量の各々のマーカーの発現を比較すること;の工程を含んでなる。化合物の不存在下で維持された該一定分量のレベルと比べ、該化合物存在下で維持された該一定分量における該マーカーの発現の有意により高い発現レベルは、該化合物がこうした有害な可能性を所有することの指標である。
【0252】
加えて、患者の結腸癌関連疾患を抑制する方法がさらに提供される。この方法は:a)該患者からの細胞を含んでなるサンプルを得ること;b)多数の組成物の存在下、サンプルの一定分量を別々に維持すること;c)該一定分量の各々におけるマーカーの発現を比較すること;及びd)他の組成物の存在下でのマーカーの発現レベルと比べ、組成物を含
有する該一定分量においてマーカーの発現レベルを有意に低くする組成物の少なくとも一つを該患者に投与すること;の工程を含んでなる。
【0253】
サンプル中のマーカーの発現レベルは、例えば、対応するマーカータンパク質又は該タンパク質の断片(例えば、タンパク質又は該タンパク質断片に特異的に結合する、抗体、抗体誘導体、抗体断片又は一本鎖抗体のような試薬を使用することにより)、対応するマーカー核酸(例えば、ヌクレオチド転写体又はそれらの相補体)又は核酸の断片(例えば、サンプルから得られた転写ポリヌクレオチドと、該核酸配列の全部又はセグメント又はそれらの相補体を有する一つ又はそれより多くの核酸が加えられている基質と接触させることにより)、直接(即ち、触媒される)又は対応するマーカータンパク質により間接的に産生される代謝物の、該サンプル中の存在を検出することにより評価し得る。
【0254】
上記の方法のいずれも、結腸癌関連疾患マーカーを含む、少なくとも一つの又は多数(例えば、2、3、5又は10又はそれ以上の)の結腸癌関連疾患マーカーを使用して実施することができる。
【0255】
こうした方法において、多数のマーカー(その少なくとも一つがマーカーである)の各々のサンプル中での発現レベルを、結腸癌関連疾患に罹患していない対照のヒトから得られた、同一タイプのサンプル中の、多数のマーカーの各々の発現の正常レベルと比較する。マーカーの対応する正常又は対照レベルと比べ、一つ又はそれより多くのマーカーの、又はそれらのいくつかの組み合わせの該サンプル中で有意に変化した(即ち、単一マーカーを使用する上記の方法において明記したように増加した又は減少した)発現のレベルは、該患者が結腸癌関連疾患に罹患していることの指標である。すべての上記の方法について、マーカー(単数又は複数)は、該方法の陽性予測値が少なくとも約10%であるように選択される。
【0256】
別の側面において、多様な診断及び試験キットが提供される。一つの態様において、キットは、患者が結腸癌関連疾患に罹患しているかどうかを評価するために有用である。該キットは、マーカーの発現を評価するための試薬を含んでなる。別の態様において、キットは患者の結腸癌関連疾患を抑制するための化学的又は生物学的剤の適性を評価するために有用である。こうしたキットは、マーカーの発現を評価するための試薬を含んでなり、及び一つ又はそれより多くのこうした剤も含んでなることができる。
【0257】
さらなる態様において、該キットは、結腸癌関連疾患細胞の存在を評価するため、又は結腸癌関連疾患を治療するために有用である。こうしたキットは、マーカータンパク質又は該タンパク質の断片に特異的に結合する、抗体、抗体誘導体又は抗体断片を含んでなる。こうしたキットは、多数の抗体、抗体誘導体又は抗体断片を含んでいてもよく、該多数の抗体剤は、マーカータンパク質又は該タンパク質の断片に特異的に結合する。
【0258】
追加の態様において、該キットは、結腸癌関連疾患細胞の存在を評価するために有用であり、該キットはマーカー核酸又は該核酸の断片に特異的に結合する、核酸プローブを含んでなる。該キットは多数のプローブを含んでいてもよく、該プローブの各々がマーカー核酸又は該核酸の断片に特異的に結合する。
【0259】
さらなる側面において、結腸癌関連疾患に罹患している又は結腸癌関連疾患を発症するリスクを有する患者を治療するための方法が提供される。こうした方法は、発現を減らすこと及び/又はマーカーの生物学的機能を妨害することを含んでなることができる。一つの態様において、該方法は、マーカー核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、又はそれらのセグメントを該患者に提供することを含んでなる。例えば、アンチセンスポリヌクレオチドは、マーカー核酸又はそれらの断片の抗センスポリ
ヌクレオチドを発現するベクターの送達を介して提供することができる。別の態様において、該方法は、マーカータンパク質又は該タンパク質の断片に特異的に結合する、抗体、抗体誘導体又は抗体断片を該患者に提供することを含んでなる。
【0260】
広範な側面において、少なくとも一つの結腸癌関連疾患の評価のための非ヒト動物モデルを提供するための方法が提供される。該方法は、結腸癌を起こすと信じられている少なくとも一つの化学物質を反復投与して該動物を暴露する。ある側面において、該方法はさらに、該動物から一つ又はそれより多くの選択されたサンプルを採取すること;及び潜在的結腸癌開始又は発育の一つ又はそれより多くの兆候と集めたサンプルを比較すること;を含む。
【0261】
広範な側面において、動物モデルを製造するための方法が提供され、それは:該動物を、特異的化学物質を含んでいない環境に維持すること、及び該動物を、結腸癌を起こすと信じられている少なくとも一つの化学物質で感作することを含む。ある態様において、該動物の結腸の少なくとも一部が多数回の逐次的暴露により感作される。
【0262】
別の広範な側面において、少なくとも一つの結腸癌関連疾患に対する剤の有効性についてのスクリーニングの方法が提供される。該方法は一般的に:該動物に少なくとも一つの剤を投与すること;該剤が結腸癌関連疾患の一つ又はそれより多くの症状を軽減する又は悪化させるかどうかを決定すること;一つ又はそれより多くの症状の軽減と該結腸癌関連疾患に対する剤の有効性を関連づけること;又は一つ又はそれより多くの症状の軽減がないことと該剤の無効性を関連づけること;を含む。
【0263】
該動物モデルは、少なくとも一つの結腸癌関連疾患の開始、進行、重症度、病態、攻撃性、グレード、活性度、能力障害、死亡率、罹患率、疾患細分類又は他の根底にある発症又は病理学的特徴の少なくとも一つのに寄与する一つ又はそれより多くの代謝経路を評価するために有用である。分析は:階層的クラスタリング、シグニチャーネットワーク構築、質量分析、プロテオーム分析、表面プラズモン共鳴法、線形統計学的モデル化、部分的最小二乗法判別分析及び多線形回帰分析;の少なくとも一つによりなし得る。
【0264】
特定の側面において、該動物モデルは、一つ又はそれより多くのマーカー又はそれらへの機能的均等物の発現レベルを試験することにより、少なくとも一つの結腸癌関連疾患について評価される。
【0265】
特に規定しない限り、本明細書で使用されたすべての技術及び科学的用語は、当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術及び生化学)。標準技術を分子、遺伝子及び生化学法に使用し、それらは当業者の範囲内である。こうした技術は、文献中に十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989); DNA Cloning, Volumes I and II (Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis(Gait ed., 1984); Mullis et al. 米国特許番号: 4,683,195 号; NUcleic Acid Hybridization(Hames & Higgins
eds., 1984); Transcription And Translation(Hames & Higgins eds., 1984); Culture
Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); 論文, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N. Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (Miller and Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods In Enzymology, VoIs. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (Weir and Bla
ckwell, eds., 1986); The Laboratory Rat, editor in chief: Mark A. Suckow; authors: Sharp and LaRegina. CRC Press, Boston, 1988 (本明細書において援用される)及
び化学的方法を参照されたい。
【0266】
本明細書に記載されているのは、多様な細胞の結腸癌誘発状態に関連した新規に発見されたマーカーである。これらのマーカーのいずれか又はこれらのマーカーの組み合わせの正常よりも高い発現レベルが、患者中の結腸癌関連疾患の存在と相関することはすでに発見されている。方法は、サンプル中の結腸癌関連疾患の存在;サンプル中の不存在;結腸癌関連疾患のステージ;及び患者の結腸癌関連疾患の評価、予防、診断、特徴付け及び療法に関係のある結腸癌関連疾患の他の特徴を検出するために提供される。結腸癌関連疾患を治療する方法も提供される。
【0267】
定義
本明細書で使用される以下の用語の各々は、この節に関連する意味を有する。
本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語の一つ又は一つより多く(即ち、少なくとも一つ)を指す。例として、「an element」は一つの要素又は一つより多くの要素を意味する。
【0268】
「マーカー」は、正常又は健康な組織又は細胞中の発現レベルから、組織又は細胞中での発現のレベルが変化されている遺伝子又はタンパク質であり、疾患状態に関連している。
【0269】
マーカーの発現の「正常」レベルとは、ヒト対象又は結腸癌関連疾患に罹患していない患者の結腸系細胞におけるマーカーの発現のレベルである。
マーカーの「過剰発現」又は「有意により高いレベルの発現」とは、発現を評価するために用いられたアッセイの標準誤差よりも大きく、ある態様では、対照サンプル(例えば、マーカー関連疾患を有していない健康な対象からのサンプル)中のマーカーの発現レベルの少なくとも2倍、他の態様では、3、4、5又は10倍、及びある態様においては、いくつかの対照サンプル中のマーカーの平均発現レベルである、試験サンプル中の発現レベルを指す。
【0270】
マーカーの「有意により低いレベルの発現」とは、対照サンプル(例えば、マーカー関連疾患を有していない健康な対象からのサンプル)中のマーカーの発現レベルの少なくとも2分の1、及びある態様では、3、4、5又は10分の1、及びある態様においては、いくつかの対照サンプル中のマーカーの平均発現レベルである、試験サンプル中の発現レベルを指す。
【0271】
キットは、マーカーの発現を特異的に検出するための少なくとも一つの試薬、例えば、プローブを含んでなる、いずれかの製品(例えば、パッケージ又は容器)である。該キットは、本発明の方法を実施するために、宣伝し、流通させ、又は販売することができる。
【0272】
「タンパク質」は、マーカータンパク質及びそれらの断片;変異体マーカータンパク質及びそれらの断片;マーカー又は変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸セグメントを含んでなるペプチド及びポリペプチド;マーカー又は変異体マーカータンパク質、又はマーカー又は変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸セグメントを含んでなる融合タンパク質を包含する。
【0273】
本明細書に記載された組成物、キット及び方法は中でも以下の使用を有する:1)患者が結腸癌関連疾患に罹患しているかどうかを評価すること;2)ヒト患者の結腸癌関連疾患のステージを評価すること;3)患者の結腸癌関連疾患のグレードを評価すること;4
)患者の結腸癌関連疾患の性質を評価すること;5)患者の結腸癌関連疾患の発症の可能性を評価すること;6)患者の結腸癌関連疾患に関連する細胞の組織型を評価すること;7)結腸癌関連疾患を治療する及び/又は患者が結腸癌関連疾患に罹患しているかどうかを評価するために有用である抗体、抗体断片又は抗体誘導体を作製すること;8)結腸癌関連疾患細胞の存在を評価すること;9)患者の結腸癌関連疾患を抑制するための一つ又はそれより多くの試験化合物の効力を評価すること;10)患者の結腸癌関連疾患を抑制するための療法の効力を評価すること;11)患者の結腸癌関連疾患の進行をモニタリングすること;12)患者の結腸癌関連疾患を抑制するための組成物又は療法を選択すること;13)結腸癌関連疾患に罹患している患者を治療すること;14)患者の結腸癌関連疾患を抑制すること;15)試験化合物が有害な可能性を評価すること;及び16)結腸癌関連疾患を発症するリスクを有する患者において、結腸癌関連疾患の発症を予防すること。
【0274】
スクリーニング法
本明細書に記載された方法により作り出された動物モデルは、結腸癌関連疾患を治療する又は予防するために有用な療法剤のスクリーニングを可能にするであろう。従って、本方法は結腸癌関連疾患を治療する又は予防するための療法剤を同定するために有用である。本方法は、本明細書に記載された方法により作製された動物モデルに候補剤を投与すること、候補剤が投与されていない対照動物モデルと比較し、動物モデルにおける少なくとも一つの結腸癌関連疾患応答を評価すること含んでなる。もし、少なくとも一つの結腸癌関連疾患応答の症状が軽減され又は発症が遅延されたならば、その候補剤は結腸癌関連疾患を治療する又は予防するための剤である。
【0275】
該候補剤は、当該技術分野ですでに公知である薬理的剤であってもよく、又は何らかの薬理学的活性を有する以前には知られていなかった剤でもよい。該剤は、天然に生じたものでも又は実験室で設計されたものでもよい。それらは、微生物、動物又は植物から単離されたものでもよく、又は組換え的に産生された、又は適した化学合成法により合成されてもよい。それらは、小分子、核酸、タンパク質、ペプチド又はペプチド模倣物であることができる。ある態様において、候補剤は、50以上及び約2,500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物である。候補剤は、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基も含んでなる。候補剤は、限定されるわけではないが:ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はそれらの組み合わせを含む生体分子間でも発見された。
【0276】
候補剤は、合成又は天然化合物のライブラリーを含む広範囲の起源から得られる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む、広範囲の有機化合物及び生体分子の無作為及び方向付けられた合成に、多数の手段が利用可能である。もしくは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるか又はすでに産生されている。加えて、天然に又は合成的に産生されたライブラリー及び化合物群は、慣用的な化学的、物理的及び生化学的手段を介して容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを産生するために使用することができる。ある態様において、該候補剤は、非制限例として:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「一ビーズ一化合物」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法によるものを含む、コンビナトリアルライブラリー法分野における多数のアプローチのいずれかを使用して得ることが可能である。
【0277】
あるさらなる態様において、ある薬理学的剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化のような無作為の又は方向付けられた化学修飾にかけることができ、構造類似体が生成される。
【0278】
結腸癌関連疾患を治療するための療法剤を同定するためと同じ方法を、インビトロ研究から発生されたリード化合物/剤を検証するために使用し得る。
該候補剤は、一つ又はそれより多くの結腸癌関連疾患応答経路を上方又は下方調節する剤であることができる。ある態様において、該候補剤は、こうした経路に影響するアンタゴニストであることができる。
【0279】
結腸癌関連疾患を治療する方法
本明細書において結腸癌関連疾患応答を治療する、抑制する、救済する又は逆行させるための方法が提供される。本明細書に記載された方法において、シグナル伝達カスケードを妨害する剤が、限定されるわけではないが、こうした合併症はまだ明白ではない、及びすでに少なくとも一つの結腸癌関連疾患応答を有する個体のような、それを必要とする個体に投与される。
【0280】
前の例において、こうした治療は、こうした結腸癌関連疾患応答の発生を予防するため及び/又はそれらが生じる程度を軽減するために有用である。後の例において、こうした治療は、こうした結腸癌関連疾患応答の程度を軽減する、それらのさらなる発生を予防する、又は結腸癌関連疾患応答を逆行させるために有用である。
【0281】
ある態様において、結腸癌関連疾患応答カスケードを妨害する剤は、こうした応答に特異的な抗体であることができる。
【0282】
マーカーの発現
マーカーの発現は、多くの方法で抑制することが可能であり、非制限例として、マーカー(単数又は複数)の転写、翻訳又は両方を抑制するため、結腸癌関連疾患細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供できることが含まれる。もしくは、マーカータンパク質に特異的に結合し、適切なプロモーター/調節因子領域と機能可能なように連結する抗体、抗体誘導体又は抗体断片をコードするポリヌクレオチドを、該タンパク質の機能又は活性を抑制するであろう細胞内抗体を発生させるために提供し得る。マーカーの発現及び/又は機能は、マーカータンパク質に特異的に結合する抗体、抗体誘導体又は抗体断片で結腸癌関連疾患細胞を治療することによっても抑制することができる。本明細書に記載された方法を使用し、多様な分子(特に、細胞膜を通過可能な十分に小さい分子を含んで)を、マーカーの発現を抑制する又はマーカータンパク質の機能を抑制する分子を同定するためにスクリーニングすることが可能である。そうのようにして同定された化合物を、患者の結腸癌関連疾患細胞を抑制するために該患者に提供し得る。
【0283】
いずれのマーカー又はマーカーの組み合わせ、ならびに該マーカーと組み合わされたいずれの特定のマーカーも、本明細書に記載された組成物、キット及び方法で使用することができる。一般に、結腸癌関連疾患細胞中のマーカーの発現のレベル及び正常結腸系細胞中の同じマーカーの発現のレベル間の相違が可能な限り大きなマーカーを使用するのが望ましい。この相違はマーカーの発現を評価するための方法の検出限界ほど小さい可能性があるが、相違は少なくとも評価法の標準誤差よりも大きく、及びある態様において、正常組織中の同一マーカーの発現のレベルよりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、100、500、1000倍またはそれ以上の相違が望ましい。
【0284】
ある種のマーカータンパク質が細胞を取り巻く細胞外空間に分泌されることが認められている。こうしたマーカータンパク質は、組織バイオプシサンプルよりもヒト患者からより容易に集めることができる結腸癌関連体液サンプル中で検出することができるので、これらのマーカーが、組成物、キット及び方法のある態様で使用された。加えて、マーカータンパク質の検出のためのインビボ技術には、該タンパク質に対して方向付けられた標識
抗体を対象内へ導入することが含まれる。例えば、放射性マーカーで標識された抗体は、対象中でのその存在及び位置を標準イメージング技術により検出し得る。
【0285】
どの特定のタンパク質が分泌されたタンパク質であるかを決定するため、マーカータンパク質が、例えば、ヒト結腸株のような哺乳類細胞中で発現され、細胞外液を集め、細胞外液中のタンパク質の存在又は不存在を評価した(例えば、該タンパク質に特異的に結合する標識抗体を使用して)。
【0286】
結腸細胞を含んでいる患者サンプルを本明細書に記載された方法において使用できることが理解されるであろう。これらの態様において、該マーカーの発現のレベルは、サンプル中の量(例えば、絶対量又は濃度)を評価することにより評価し得る。該細胞サンプルは、もちろん、サンプル中のマーカー量を評価することに先立って、多様な収集後調製及び保存技術(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離など)にかけることができる。
【0287】
該マーカーは、細胞から消化器系、血流及び/又は間質腔内へ排出することもできることも理解されるであろう。該排出マーカーは、例えば、血清又は血漿を試験することにより試験し得る。
【0288】
本組成物、キット及び方法は、それが発現される細胞の表面上に提示された少なくとも一つの部分を有するマーカータンパク質の発現を検出するために使用し得る。例えば、全細胞上のこうしたタンパク質を検出するために免疫学的方法を使用することができ、少なくとも一つの細胞外ドメインの存在を予測するために、コンピューター支援配列分析法を使用することができる(即ち、分泌されたタンパク質及び少なくとも一つの細胞表面ドメインを有するタンパク質の両方を含んで)。細胞の表面上に提示されている少なくとも一つのタンパク質を有するマーカータンパク質の発現は、細胞を溶解する必要なく検出することができる(例えば、該タンパク質の細胞表面ドメインに特異的に結合する標識抗体を使用して)。
【0289】
マーカーの発現は、転写された核酸又はタンパク質の発現を検出するためのいずれかの多様な方法により評価することができる。こうした方法の非制限例には、
分泌された、細胞表面、タンパク質の細胞質又は核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質機能又は活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法及び核酸増幅法が含まれる。
【0290】
特定の態様において、マーカーの発現は、全て又は一部がその正常翻訳後修飾を受けたマーカータンパク質を含むマーカータンパク質又はそれらの断片と特異的に結合する、抗体(例えば、放射標識された、発色団標識された、フルオロフォア標識された又は酵素標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質又はタンパク質リガンド対のタンパク質又はリガンドとコンジュゲートされた抗体)又は抗体断片(例えば、一本鎖抗体、単離された抗体高頻度可変ドメインなど)を使用して評価される。
【0291】
別の特定の態様において、マーカーの発現は、患者サンプル中の細胞からmRNA/cDNA(即ち、転写されたポリヌクレオチド)を調製することにより、及びmRNA/cDNAとマーカー核酸又はそれらの断片と相補的である参照ポリヌクレオチドをハイブリダイズすることにより評価される。cDNAは、参照ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに先立って、いずれかの多様なポリメラーゼ連鎖反応法を使用して増幅されてもよい;好ましくは、増幅されない。一つ又はそれより多くのマーカーの発現も同様に、定量的PCRを使用して検出することが可能であり、マーカー(単数又は複数)の発現のレベルが評価される。もしくは、マーカーの突然変異又は変異体(単一ヌクレオチド多型
性、欠失など)を検出するいずれかの多くの方法を患者におけるマーカーの出現を検出するために使用することができる。
【0292】
関連する態様において、サンプルから得られた転写されたポリヌクレオチドの混合物を、マーカー核酸の少なくとも一部(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500、又はそれ以上のヌクレオチド残基)を有する相補的ポリヌクレオチド又は相同体が固定されている基質と接触させる。もし、相補的又は相同的ポリヌクレオチドが基質上で別個に検出可能ならば(例えば、異なる発色団又はフルオロフォアを使用して、又は異なって選択された位置に固定されて検出可能)、複数のマーカーの発現のレベルを、単一基質(例えば、選択された位置に固定されたポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を使用して同時に評価し得る。一つの核酸と別の核酸のハイブリダイゼーションを含んだマーカー発現の評価方法が使用された場合、ハイブリダイゼーションはストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で実施されるべきである。
【0293】
ある態様において、バイオマーカーアッセイは、質量分析法又は表面プラズモン共鳴法を使用して実施される。多様な態様において、結腸癌関連疾患に対して活性な剤を同定する方法は:a)一つ又はそれより多くのマーカー又はそれらの誘導体を含んでいる細胞のサンプルを提供すること;b)前記細胞からの抽出物を調製すること;c)前記抽出物とマーカー結合を含んでいる標識核酸プローブを混合すること;及び、d)試験剤の存在又は不存在下でマーカー及び核酸プローブ間の複合体形成を決定すること;を含むことが可能である。決定工程は、前記抽出/核酸プローブ混合物を電気泳動移動度シフトアッセイにかけることを含むことが可能である。
【0294】
ある態様において、該決定工程は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光に基づいたアッセイ及び超高スループットアッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴法(SPR)又は蛍光相関分光法(FCS)アッセイから選択されるアッセイを含んでなる。こうした態様において、SPRは金属誘電性表面での小さな屈折率変化に敏感であるので、SPRセンサーは二分子相互作用の直接リアルタイム観察に有用である。SPRは、およそ200nmのSPRセンサー/サンプルインターフェース内の10
5〜10
6屈折率(RI)単位の変化に感度がよい表面技術である。従って、SPR分光法は、センシング層上に堆積された薄い有機フィルムの成長のモニタリングのために有用である。
【0295】
本組成物、キット及び方法は、一つ又はそれより多くのマーカーの発現レベルの相違の検出に依存しているので、マーカーの発現のレベルは、少なくとも一つの正常細胞及び結腸癌病的細胞中での発現を評価するために使用される方法の最小検出限界よりも有意に大きなことが望まれる。
【0296】
一つ又はそれより多くのマーカーを使用する追加の患者のルーチンスクリーニングにより、ある種のマーカーが、特異的結腸癌関連疾患を含む、多様なタイプの細胞中で過剰発現されることが見出され得ることが理解される。
【0297】
加えて、非常に多くの患者サンプルがマーカーの発現について評価され、及びサンプルが得られた個々の患者の結果が関連付けられるので、ある種のマーカーの変化した発現が結腸癌関連疾患と強く関連付けられること、及び他のマーカーの変化した発現が他の疾患と強く関連付けられることも確認されるであろう。本組成物、キット、及び方法はそれ故、患者のステージ、グレード、組織学的型、及び結腸癌関連疾患の性質の一つ又はそれより多くを特徴付けるために有用である。
【0298】
本組成物、キット、及び方法が、患者のステージ、グレード、組織学的型、及び結腸癌
関連疾患の性質の一つ又はそれより多くを特徴付けるために使用される場合、マーカー又はマーカーのパネルは、少なくとも約20%で、及びある態様においては、少なくとも約40%、60%又は80%で、及び対応するステージ、グレード、組織学的型、又は性質で結腸癌関連疾患に罹患している実質的にすべての患者で陽性結果が得られるように選択される。該マーカー又はマーカーのパネルは、一般集団については約10%より大きな陽性予測値が得られるように選択される(非制限例において、80%より大きなアッセイ特異性と相まって)。
【0299】
複数のマーカーが組成物、キット及び方法で使用される場合、患者サンプル中の各マーカーの発現レベルは、単一反応混合物(即ち、各マーカーについて異なった蛍光プローブのような試薬を使用して)か又は一つ又はそれより多くのマーカーに対応する個々の反応混合物中で、同一タイプの非結腸癌サンプルにおける、複数のマーカーの各々の発現の正常レベルと比較し得る。一つの態様において、対応する正常レベルと比べ、サンプルにおける複数のマーカーの一つより多くの発現の有意に増加したレベルは、該患者が結腸癌関連疾患に罹患していることの指標である。複数のマーカーが使用される場合、2、3、4、5、8、10、1、2、15、20、30又は50又はそれ以上の個々のマーカーを使用し得る;ある態様において、より少ないマーカーの使用が望ましいであろう。
【0300】
本組成物、キット及び方法の感度を最大にするため(即ち、患者サンプル中の非結腸系起源に起因する妨害による)、ここで使用されるマーカーは、限定された組織分布を有する、例えば、非結腸系組織では通常発現されないマーカーであることが望ましい。
【0301】
本組成物、キット及び方法は、結腸癌関連疾患を発症する増強されたリスクを有する患者及びその医学的アドバイザーに対して特に役に立つであろうことが認められる。結腸癌関連疾患を発症する増強されたリスクを有すると認められる患者には、例えば、結腸癌関連疾患の家族歴を持つ患者が含まれる。
【0302】
正常ヒト結腸系組織中のマーカーの発現レベルは、多様な方法で評価し得る。一つの態様において、この発現の正常レベルは、正常と思われる結腸系細胞の一部におけるマーカーの発現のレベルを評価することにより、及びこの発現の正常レベルを、異常であると疑われている結腸系細胞の一部における発現のレベルと比較することにより評価される。もしくは、及び特に、さらなる情報が本明細書に記載されたルーチン検査の結果として入手可能であるので、該マーカーの正常発現についての集団平均を使用することができる。他の態様において、マーカーの発現の「正常」レベルは、非結腸癌罹患患者から得られた患者サンプル、患者に結腸癌関連疾患の発症が疑われる以前の患者サンプル、保存された患者サンプルなどのマーカーの発現を評価することにより決定することができる。
【0303】
サンプル(例えば、保存された組織サンプル又は患者から得られたサンプル)中の結腸癌関連疾患細胞の存在を評価するための組成物、キット及び方法も提供される。これらの組成物、キット及び方法は、上記のものと実質的に同一であるが、但し必要な場合、該組成物、キット及び方法は、患者サンプル以外のサンプルでの使用に適用される。例えば、使用されるべきサンプルがパラフィン処理されたヒト組織サンプルである場合、該サンプル中でのマーカー発現のレベルを評価するため、組成物中、キット中、又は方法中の化合物の比を調節する必要があろう。
【0304】
キット及び試薬
該キットは、サンプル(例えば、患者サンプルのような)中の結腸癌関連疾患細胞の存在を評価するために有用である。該キットは、複数の試薬を含んでなり、その各々は、マーカー核酸又はタンパク質と特異的に結合することが可能である。マーカータンパク質との結合に適した試薬には、抗体、抗体誘導体、抗体断片などが含まれる。マーカー核酸(
例えば、ゲノムDNA、mRNA、スプライスされたmRNA、cDNAなど)との結合に適した試薬には、相補的核酸が含まれる。例えば、該核酸試薬は、基質に固定化されたオリゴヌクレオチド(標識又は非標識)、基質と結合されていない標識オリゴヌクレオチド、PCRプライマーの対、分子指標プローブなどを含むことができる。
【0305】
該キットは、本明細書に記載の方法を実行するために有用な追加の成分を場合により含んでいてもよい、例としては、該キットは、相補的核酸のアニーリングのため、抗体とそれが特異的に結合するタンパク質との結合のために適した液体(例えば、SSC緩衝液)、一つ又はそれより多くのサンプル区画、該方法の実施を記述している使用説明書、正常結腸系細胞のサンプル、結腸癌関連疾患細胞のサンプルなどを含むことができる。
【0306】
抗体を産生する方法
患者が結腸癌関連疾患に罹患しているかどうかを評価するために有用な抗体を産生する、単離されたハイブリドーマを作製する方法も提供される。この方法において、マーカータンパク質の全体又はセグメントを含んでなるタンパク質又はペプチドが合成され又は単離された(例えば、それが発現される細胞からの精製により、又はインビボ又はインビトロで、該タンパク質をコードする核酸の転写翻訳により)。脊椎動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ又はヒツジのような哺乳類を、タンパク質又はペプチドを使用して免疫化した。該脊椎動物がタンパク質又はペプチドに対して強い免疫応答を示すように、少なくとも追加の一回、場合により(及び好ましくは)免疫化してもよい。免疫化された脊椎動物の脾臓細胞を単離し、多様な方法のいずれかを使用して、不死化細胞株と融合させてハイブリドーマを形成させた。このようにして形成されたハイブリドーマは、標準法を使用してスクリーニングし、該マーカータンパク質又はそれらの断片と特異的に結合する抗体を産生する、一つ又はそれより多くのハイブリドーマを同定した。この方法により作製されたハイブリドーマ、及びこうしたハイブリドーマを使用して作製された抗体も本明細書で提供される。
【0307】
有効性評価の方法
結腸癌関連疾患細胞を抑制するための試験化合物の効力を評価する方法も本明細書において提供される。上記のように、該マーカーの発現のレベルの相違は、結腸系細胞の異常状態と相関する。ある種のマーカーの、発現のレベルの変化は結腸系細胞の異常状態により生じたようであるが、他のマーカーの、発現のレベルにおける変化が、これらの細胞の異常状態を誘導し、維持し及び促進することも同様に認められている。それ故、患者の結腸癌関連疾患を抑制する化合物は、一つ又はそれより多くの該マーカーの発現のレベルを、そのマーカー発現の正常レベルにより近いレベル(即ち、正常結腸系細胞におけるマーカの発現レベル)への変化を起こすであろう。
【0308】
この方法は従って、試験化合物の存在下で維持された第一の結腸細胞サンプルにおけるマーカーの発現、及び試験化合物の不存在下で維持された第二の結腸細胞サンプルにおけるマーカーの発現を比較することを含んでなる。試験化合物の存在下におけるマーカーの有意に減少した発現は、試験化合物が結腸癌関連疾患を抑制することの指標である。結腸細胞サンプルは例えば、患者から得られた正常結腸細胞の単一サンプルの一部、患者から得られた正常結腸細胞のプールされたサンプル、正常結腸細胞株の細胞、患者から得られた結腸癌関連疾患細胞の単一サンプルの一部、患者から得られた結腸癌関連疾患細胞のプールされたサンプル、結腸癌関連疾患細胞株の細胞などであることができる。
【0309】
一つの態様において、サンプルは患者から得られた結腸癌関連疾患細胞であり、多様な結腸癌関連疾患を抑制することについて有効であると信じられている複数の化合物を、患者の結腸癌関連疾患を最もよく抑制するであろう化合物を同定するために試験した。
【0310】
この方法は同様に、患者において結腸癌関連疾患を抑制するための療法の効力を評価するために使用することができる。この方法において、対(一方は療法を受けさせ、他方は療法を受けさせなかった)のサンプル中の一つ又はそれより多くのマーカーの発現のレベルを評価した。試験化合物の効力を評価する方法のように、もし該療法がマーカーの発現の有意に低いレベルを誘導すれば、該療法は結腸癌関連疾患を抑制について有効である。上記のように、選択された患者からのサンプルがこの方法で使用されるなら、該患者の結腸癌関連疾患を抑制するために最も有効であるらしい療法を選択するため、代替療法をインビトロで評価することが可能である。
【0311】
上記のように、ヒト結腸細胞の異常状態は、該マーカーの発現のレベルにおける変化と相関する。試験化合物の有害な可能性を評価する方法も提供される。この方法は、試験化合物の存在下又は不存在下でヒト結腸細胞の分離した一定分量を維持することを含んでなる。各一定分量中のマーカーの発現が比較される。試験化合物の存在下で維持された一定分量におけるマーカー発現の有意に高いレベル(試験化合物の不存在下で維持された一定分量と比べて)は、試験化合物が有害である可能性を有する指標である。多様な試験化合物の相対的有害可能性は、発現のレベルは、関連マーカーの発現レベルの増強又は抑制の程度を比較することにより、増強された又は抑制されたマーカーの数を比較することにより、又は両方を比較することにより評価し得る。
【0312】
多様な側面が、以下の副節により詳細に説明されている。
単離されたタンパク質及び抗体
一つの側面は、単離されたマーカータンパク質及びそれらの生物学的に活性な部分、ならびに、マーカータンパク質又はそれらの断片に対して方向付けられた抗体を上昇させるための免疫原として使用するのに適したポリペプチド断片に関する。一つの態様において、天然のマーカータンパク質は、標準タンパク質精製技術を使用する、適切な精製スキームにより、細胞又は組織源から単離し得る。別の態様において、マーカータンパク質の全体又はセグメントを含んでなるタンパク質又はペプチドが、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代わりに、こうしたタンパク質又はペプチドは、標準ペプチド合成技術を使用して化学的に合成し得る。
【0313】
「単離された」又は「精製された」タンパク質又はそれらの生物学的に活性な部分とは、タンパク質が誘導された細胞又は組織源からの細胞材料又は他の夾雑タンパク質を含んでいないか、又は化学的に合成された場合、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含んでいない。言語「実質的に細胞材料を含んでいない」とは、該タンパク質が単離された又は組換え的に産生された細胞の細胞性成分から分離されたタンパク質の調製物を含む。従って、実質的に細胞材料を含んでいないタンパク質には、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量による)未満の異種タンパク質(本明細書において夾雑タンパク質とも称される)を有するタンパク質の調製試料が含まれる。
【0314】
タンパク質又はそれらの生物学的に活性な部分が組換え的に産生される場合、培養培地を実質的に含んでいないのが好ましい、即ち、培養培地は、タンパク質調製試料の約20%、10%、又は5%未満の量に相当する。タンパク質が化学合成により生成される場合、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含んでいないのが好ましく、即ち、それは、該タンパク質の合成に関与した化学的前駆体又は他の化学物質から分離されている。従って、こうしたタンパク質の調製試料は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の、化学的前駆体又目的のポリペプチド以外の化合物しか含んでいない。
【0315】
マーカータンパク質の生物学的に活性な部分には、マーカータンパク質のアミノ酸配列と十分に同一である又はマーカータンパク質のアミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドが含まれ、それは、完全長タンパク質よりも少ないアミノ酸を
含み、及び対応する完全長タンパク質の少なくとも一つの活性を示す。典型的には、生物学的に活性な部分は対応する完全長タンパク質の少なくとも一つの活性を有するドメイン又はモチーフを含んでなる。マーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、10、25、50、100又はそれ以上のアミノ酸長であるポリペプチドであり得る。さらに、マーカータンパク質の他の領域が欠損する他の生物学的に活性な部分は、組換え技術により調製することが可能であり、マーカータンパク質の天然形態の機能活性の一つ又はそれより多くを評価する。ある態様において、有用なタンパク質は、これらの配列の一つと実質的に同一であり(例えば、少なくとも約40%、及びある態様において、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%)、天然のアレル変異又は変異発生によりアミノ酸配列は異なっているが、対応する天然に存在するマーカータンパク質の機能的活性を保持している。
【0316】
加えて、マーカータンパク質のセグメントのライブラリーを、スクリーニング及び続いての変異体マーカータンパク質又はそれらのセグメントの選択のためのポリペプチドの変化に富んだ集団を発生させるために使用し得る。
【0317】
予測医薬
予測医薬の分野における動物モデル及びマーカーの使用も本明細書において提供され、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス及び臨床治験のモニタリングが予後(予測)目的のために使用され、それにより個体を予防的に治療する。従って、個体が結腸癌関連疾患を発症するリスクを有するかどうかを決定するため、一つ又はそれより多くのマーカータンパク質又は核酸の発現のレベルを決定するための診断アッセイも本明細書において提供される。こうしたアッセイは、予後の又は予測目的のために使用され、それにより結腸癌関連疾患の発症に先立って個体を予防的に治療する。
【0318】
別の側面において、該方法は少なくとも同一個体の定期的スクリーニングに有用であり、彼/彼女の発現パターンを変化させる化学物質又は毒物に、個体が暴露されたかどうかが判る。
【0319】
さらに別の側面は、臨床治験におけるマーカーの発現又は活性に対する剤(例えば、結腸癌関連疾患を抑制するために又はいずれか他の障害を治療するため又は予防するために投与された薬剤又は他の化合物、例えば、こうした治療が有することができる何らかのシステム効果を理解するために)の影響をモニタリングすることに関する。
【0320】
薬理ゲノミクス
該マーカーは、薬理ゲノミクスマーカーとしても有用である。本明細書で使用される「薬理ゲノミクスマーカー」は、その発現レベルが、患者の特異的臨床薬剤応答又は感受性と相関する客観的な生化学的マーカーである。薬理ゲノミクスマーカー発現の存在又は量は、患者の予測応答、及びより特定的には、特異的薬剤又は薬剤のクラスによる療法に対する患者腫瘍の予測応答に関連する。患者における一つ又はそれより多くの薬理ゲノミクスマーカーの発現の存在又は量を評価することにより、患者に最も適切である、又はより大きな成功度を有すると予測される薬剤療法を選択することができる。
【0321】
臨床治験のモニタリング
マーカーの発現のレベルに対する剤(例えば、薬剤化合物)の影響をモニタリングは、基礎的薬剤スクリーニングのみでなく、臨床治験においても適応し得る。例えば、マーカー発現に影響する剤の有効性は、結腸癌関連疾患の治療を受けている対象の臨床治験でモニターし得る。
【0322】
一つの非制限態様において、本発明は剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプ
チド模倣剤、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、又は他の薬剤候補)による対象の治療の有効性をモニタリングするための方法を提供し、(i)剤の投与に先だって、対象から投与前サンプルを得ること;(ii)投与前サンプル中の、一つ又はそれより多くの選択されたマーカーの発現のレベルを検出すること;(iii)対象から一つ又はそれより多くの投与後サンプルを得ること;(iv)投与後サンプル中のマーカー(単数又は複数)の発現のレベルを検出すること;(v)投与前サンプル中の、マーカー(単数又は複数)の発現のレベルと投与後サンプル中の、マーカー(単数又は複数)の発現のレベルを比較すること;及び(vi)それに合わせて、対象への剤の投与を変化させること;の工程を含んでなる。
【0323】
例えば、治療の過程間のマーカー遺伝子(単数又は複数)の増加した発現は、有効ではない用量を示し、望ましくは用量を増加させる。反対に、マーカー遺伝子(単数又は複数)の減少した発現は、有効な治療を示し、用量を変化させる必要はない。
【0324】
電子装置可読媒体、システム、配列及びそれを用いた方法
本明細書で使用される「電子装置可読媒体」はデータ又は情報の読み出しおよび電子装置により直接的にアクセスし得る、いかなる適した記憶、保持又は維持媒体も指す。こうした媒体は以下のものに限定されるわけではないがフロッピー(登録商標) ディスク、
ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープのような、磁気記憶媒体、コンパクトディスクのような光学記憶媒体、RAM、ROM、EPROM、EEPROMなどのような電子記憶媒体、及び一般的なハードディスク及び磁気/光学記憶媒体などのこれらのカテゴリーの混成物を含み得る。媒体は本明細書に記載された通り、それにマーカーが記録されるよう適合又は設定した。
【0325】
本明細書で使用される、用語「電子装置」はいかなる適切な演算又は処理装置、又は他のデータ又は情報を貯蔵するよう設計および適合した装置を含む意味である。本発明で用いるに適した電子装置は、独立型コンピューター装置、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)インターネット含むネットワーク、インターネット、イントラネット及びエクストラネット、個人用デジタル補助装置のような電子機器(PDAs)、携帯電話、ポケベルなど、ローカル及び分散型処理システムを含む。
【0326】
本明細書で使用される、「記録」は、電子装置可読媒体上に情報を貯蔵又はエンコードするプロセスを指す。当事者はいかなる方法で媒体上の記録された情報を即座に採択し、本明細書に記載されたマーカーを含んでなる物質を生成し得る。
【0327】
さまざまなソフトウエアプログラム及びフォーマットは、本発明のマーカー情報を電子装置可読媒体上に貯蔵するために使用し得る。無数のデータ処理装置を構成するフォーマット(例えば、テキストファイル又はデータベース)を、その上にマーカーを記録できる媒体を得る又は作製するために採用することができる。マーカーを可読なフォームで供給することで、マーカー配列情報にさまざまな目的でごく普通にアクセスし得る。例えば、当事者はヌクレオチド又はアミノ酸配列を可読なフォームで取り出し、ターゲットの配列又はターゲットの構造モチーフと貯蔵された配列情報をこのデータ貯蔵手段の中で比較し得る。特定のターゲット配列又はターゲットモチーフに一致する、配列の断片又は領域を同定するために検索手段を用いる。
【0328】
従って、実行することで、ここに対象が結腸癌関連疾患あるいは素因結腸癌関連疾患か決定する方法、どのようにしてその方法がマーカーの存在又は不在を決定する段階を含んでなるか、対象は結腸癌関連疾患又は結腸癌関連疾患への素因体内動態及び/又は結腸癌関連疾患又は素因結腸癌関連疾患状態に対する特定の治療を推奨する、保持命令のための媒体を提供する。
【0329】
対象が結腸癌関連疾患又はマーカーに関連する結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定するための、電子システム及び/又はネットワーク中の、方法も本明細書において提供され、該方法は、マーカーの存在又は不存在を決定する工程、及びマーカーの存在又は不存在に基づいて、該対象が結腸癌関連疾患又は結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定し、及び/又は結腸癌関連疾患又は前結腸癌関連疾患状態についての特定の治療を推奨する工程を含んでなる。該方法はさらに、対象に関連する表現型情報を受け取る、及び該対象に関連する表現型情報をネットワークから獲得する。
【0330】
対象が結腸癌関連疾患又はマーカーに関連する結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定するための、ネットワーク、方法も本明細書において提供され、該方法は、マーカーに関連する情報を受け取ること、対象に関連する表現型情報を受け取ること、マーカー及び/又は結腸癌関連疾患に対応する情報をネットワークから獲得すること、及び一つ又はそれより多くの表現型情報、マーカー、及び獲得した情報に基づいて、対象が結腸癌関連疾患又はマーカーに関連する結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定すること、の工程を含んでなる。該方法は、結腸癌関連疾患又は前結腸癌関連疾患状態についての特定の治療を推奨する工程をさらに含んでなる。
【0331】
対象が結腸癌関連疾患又は結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定するためのビジネス方法も本明細書において提供され、該方法は、マーカーに関連する情報を受け取ること、対象に関連する表現型情報を受け取ること、マーカー及び/又は結腸癌関連疾患に対応する情報をネットワークから獲得すること、及び一つ又はそれより多くの表現型情報、マーカー、及び獲得した情報に基づいて、対象が結腸癌関連疾患又はマーカーに関連する結腸癌関連疾患の素因を有するかどうかを決定すること、の工程を含んでなる。該方法は、結腸癌関連疾患又は前結腸癌関連疾患状態についての特定の治療を推奨する工程をさらに含んでなる。
【0332】
アレイ中の一つ又はそれより多くの遺伝子の発現をアッセイするために使用し得るアレイも本明細書において提供される。一つの態様において、該アレイは、組織における遺伝子発現をアッセイするために使用することが可能であり、アレイ中の遺伝子の組織特異性が確認される。このようにして、約7000までの又はそれ以上の遺伝子が発現について同時にアッセイし得る。このことは、一つ又はそれより多くの組織で特異的に発現された遺伝子の集団を示しているプロファイルが展開されるのを可能にする。
【0333】
こうした定性的決定に加え、遺伝子発現の定量化が本明細書において提供される。 従って、組織特異性のみならず、組織中の遺伝子の集団の発現レベルも確認可能である。従って、遺伝子は、それらの組織発現それ自体及びその組織中での発現のレベルに基づいてグループ化し得る。このことは、例えば、組織間又は組織のうちでの遺伝子発現の関係を確認することにおいて有用である。従って、一つの組織を撹乱させることが可能であり、そして第二の組織中の遺伝子発現に対する効果を決定し得る。これに関連して、生物学的刺激に応答した、別の細胞タイプに対する一つの細胞タイプの影響を決定し得る。
【0334】
こうした決定は、例えば、遺伝子発現レベルでの細胞間相互作用の効果を知る上で有用である。もし一つの剤が、一つの細胞タイプを治療するために療法的に投与されて、別の細胞タイプに望まれない効果を有しているならば、本方法は、望まれない効果の分子基盤を決定するアッセイを提供し、及びそれ故、相殺する剤を同時投与する、さもなければ望まれない効果を治療する機会を提供する。同様に、単一細胞タイプ内でも、望まれない生物学的効果を分子レベルで決定し得る。それ故、標的遺伝子以外の発現に対する、一つの剤の効果を確認及び相殺することが可能である。
【0335】
別の態様において、該アレイは、アレイにおける一つ又はそれより多くの遺伝子の発現の時間経過をモニターするために使用し得る。このことは、本明細書に開示したように、多様な生物学的状況で起こることができる;例えば、結腸癌関連疾患の発症、結腸癌関連疾患の進行、及び結腸癌関連疾患に関連する細胞形質転換のようなプロセス。
【0336】
該アレイは、同一細胞における、又は異なった細胞における遺伝子の発現又は他の遺伝子の発現の効果を確認するために有用である。このことは、例えば、もし最終又は下流標的を調節できないならば、治療介入のための代替分子標的の選択を提供する。
【0337】
該アレイは、正常及び異常細胞における一つ又はそれより多くの遺伝子の差次的発現パターンを確認するためにも有用である。このことは、診断又は治療介入のための分子標的として働くことができない遺伝子の集団を提供する。
【0338】
代理マーカー
該マーカーは、一つ又はそれより多くの障害又は疾患状態のための、又は結腸癌関連疾患状態を導く条件のための代理マーカーとして働くことができる。本明細書で使用される「代理マーカー」は、疾患又は障害の不存在又は存在に、又は疾患又は障害の進行に相関する、客観的生化学的マーカーである。それ故、これらのマーカーは、治療の特定の経過が、疾患状態又は障害の軽減することに有効であるかどうかを示すために働くことができる。代理マーカーは、疾患状態又は障害の存在又は程度が標準方法論ではアクセスすることが困難である場合、又は危険な臨床的エンドポイントに到達する可能性がある前に疾患進行の評価が望まれる場合に特別に使用される。
【0339】
該マーカーは、薬力学的マーカーとしても有用である。本明細書で使用される「薬力学的マーカー」は、薬剤効果と特異的に相関する客観的生化学的マーカーである。薬力学的マーカーの存在又は量は、薬剤が投与された疾患状態又は障害とは関係していない;それ故、該マーカーの存在又は量は、対象中の薬剤の存在又は活性の指標である。例えば、薬力学的マーカーは、生物学的組織中の薬剤の濃度の指標であることができ、そこでマーカーは、薬剤のレベルと関連して、発現され又は転写されるか、又はその組織中で発現されず又は転写されない。この様式で、薬剤の分布又は取り込みが薬力学的マーカーによりモニターすることができる。同様に、力学的マーカーの存在又は量は、該マーカーの存在又は量が、インビボでの薬剤の相対分解速度の指標であるように、薬剤の代謝生成物の存在又は量に関連させることができる。
【0340】
薬力学的マーカーは、薬剤効果の検出の感度を増加させることにおいて、特に薬剤が低用量で投与される場合に特別に使用される。少量の薬剤でさえも、マーカー転写又は発現の多数の経路を活性化するのには十分であることができるため、増幅されたマーカーは多量にあり、それは薬剤それ自身よりも容易に検出可能である。また、該マーカーはマーカーそれ自身の性質のため、より容易に検出することができる;例えば、本明細書に記載した方法を使用し、抗体をタンパク質マーカーのための免疫に基づいた検出システムで用いることができ、又はマーカー特異的放射標識プローブをmRNAマーカーの検出に使用することができる。さらに、薬力学的マーカーの使用は、可能な直接観察を超えた薬剤治療によるリスクの機構に基づいた予測を与えることができる。
【0341】
試験のプロトコル
結腸癌関連疾患の試験法は、例えば、対象由来の生体サンプル中の、各マーカー遺伝子の発現レベルを時間とともに測定すること、および対照生体サンプル中のマーカー遺伝子とレベルを比較することを含んでなる。
【0342】
マーカー遺伝子が本明細書に記載された遺伝子の内の一つで、発現レベルは異なった形
で現れる場合(例えば、対照の場合より高い又はより低い)、対象は結腸癌関連疾患の影響を受けたと判断される。マーカー遺伝子の発現レベルが許容範囲内に落ちる場合は、対象結腸癌関連疾患の影響を受けない傾向がある。
【0343】
対照に対する標準値は、発現レベルを比較するために、対照中マーカー遺伝子の発現レベルを測定することで前もって決定できる。例えば標準値は、上述した対照中マーカー遺伝子の発現レベルに基づいて決定し得る。例えば特定の態様において、許容範囲を標準値に基づいて±2S.D.とする。一度標準値が決定されると、試験法は対照由来生体サンプル中の発現レベルの測定を行い、その値と対照に対して決定された標準値を比較できる。
【0344】
マーカー遺伝子の発現レベルはマーカー遺伝子からmRNAへの転写、およびタンパク質への翻訳を含む。したがって、結腸癌関連疾患の試験法はマーカー遺伝子に相当するmRNAの発現強度、またはマーカー遺伝子がコードするタンパク質の発現レベルの強度を比較し、それに基づいて行なう。
【0345】
結腸癌関連疾患に対する試験中のマーカー遺伝子の発現レベル測定は、様々な遺伝子解析法に基づいて行なうことができる。具体的には、例えばそれらの遺伝子とハイブリダイゼーションする核酸をプローブとして用いるハイブリダイゼーション技術、あるいはマーカー遺伝子とハイブリダイズするDNAをプライマーとして用いた遺伝子増幅技術を使用し得る。
【0346】
試験に用いるプローブ又はプライマーは、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて設計し得る。それぞれのマーカー遺伝子のヌクレオチド配列に対する識別番号は、本明細書に記載されている。
【0347】
さらに、高等生物はほとんどの場合、高い頻度で遺伝子多型を伴うことが理解されるべきである。また、スプライシングプロセスの間、相互に異なるアミノ酸配列を含んでなるアイソフォームを産生する分子がある。マーカー遺伝子と同様の活性を有する結腸癌関連疾患に関連するいずれの遺伝子も、たとえヌクレオチド配列が遺伝子多型による相違又はアイソフォームを有しても、マーカー遺伝子に含まれる。
【0348】
マーカー遺伝子はヒトに加え他の種の相同体も含むことができると理解されるべきである。従って、特に規定しない限り、「マーカー遺伝子」発現は、種に固有のマーカー遺伝子、又は個々に導入された外来のマーカー遺伝子の相同体を指す。
【0349】
「マーカー遺伝子の相同体」はストリンジェント条件下でプローブとしてヒトマーカー遺伝子とハイブリダイズできるヒト以外の種由来の遺伝子も指すと理解されるべきである。こうしたストリンジェント条件は、実験的に又は経験的に同様のストリンジェンシーを産生する適切な条件を選択できる当業者において公知である。
【0350】
マーカー遺伝子のヌクレオチド配列又は少なくとも15のヌクレオチドを有するマーカー遺伝子のヌクレオチド配列の相補鎖に相補的なヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドは、プライマー又はプローブとして使用し得る。従って、「相補鎖」は他の一本鎖に対して二本鎖DNAの一本鎖を意味し、A:T(RNAに対してはU)およびG:C塩基対から構成される。
【0351】
さらに、「相補的」は少なくとも15の連続したヌクレオチド領域に対して完全に相補的なもののみでなく、場合によってはヌクレオチド配列相同性少なくとも40%、場合によっては50%、場合によっては60%、場合によっては70%、少なくとも80%、9
0%、及び95%又はそれ以上のものも意味する。ヌクレオチド配列間の相同性の程度はBLASTなどのアルゴリズムによって決定し得る。
【0352】
こうしたポリヌクレオチドはマーカー遺伝子を検出するプローブ又はマーカー遺伝子を増幅するプライマーとして有用である。プライマーとして用いる場合は、ポリヌクレオチドは通常15bp〜100bp、及び特定の態様においてヌクレオチドの15bp〜35bpを含んでなる。プローブとして用いる場合は、DNAはマーカー遺伝子の全ヌクレオチド配列(又はそれの相補鎖)、又は少なくとも15bpのヌクレオチドを有するそれの部分的配列を含んでなる。プライマーとして用いる場合は、3’領域はマーカー遺伝子に対して相補的でなくてはならなく、一方5’領域は制限酵素認識配列又はタグと連結し得る。
【0353】
「ポリヌクレオチド」はDNA又はRNAのどちらでもよい。これらのポリヌクレオチドは合成又は天然起源のどちらでもよい。また、ハイブリダイゼーション用のプローブとして用いるDNAは通常標識化されている。当事者は直ちにこうした標識化法を理解する。ここに、用語「オリゴヌクレオチド」は、相対的に低い重合度のポリヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドはポリヌクレオチドに含まれる。
【0354】
ハイブリダイゼーション法を用いた結腸癌関連疾患試験は、例えばノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、又はDNAマイクロアレイ技術などを用いて実施し得る。さらに、RT−PCR法のような遺伝子増幅技術も使用できる。RT−PCRの遺伝子増幅段階でのPCR増幅モニタリング法 を使用することで、マーカー遺伝子の発現のより定量的な解析を成し得る。
【0355】
PCR遺伝子増幅モニタリング法において、検出ターゲット(DNA又はRNAの逆転写体)は蛍光色素及び蛍光体に吸着する消光剤で標識したプローブとハイブリダイゼーションする。PCRが進行してTaqポリメラーゼが5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性有するプローブを分解すると、蛍光色素及び消光剤は互いに引き離れ、蛍光が検出される。蛍光はリアルタイムで検出される。標的のコピー数が不明な標準サンプルを同時に測定することにより、PCR増幅が直線状の場合、対象サンプル中の標的のコピー数をサイクル数と共に求めることができる。また、当事者はPCR増幅モニタリング法がどの適切な手法を用いて実行できるものか認識し得る。
【0356】
結腸癌関連疾患の試験法はマーカー遺伝子でコードしたタンパク質を検出することでもまた、実行し得る。下文に、マーカー遺伝子でコードしたタンパク質を「マーカータンパク質」として記載する。こうした試験法として、例えば、各マーカー遺伝子に結合する抗体を用いたウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、及びELISA法が採用できる。
【0357】
検出に用いるマーカータンパク質に結合する抗体は、どの適切な技術でも産生できる。また、マーカータンパク質を検出するために、こうした抗体を適切に標識できる。代わりに、抗体を標識せずに、抗体に特異的結合する物質、例えば、タンパク質A又はタンパク質Gを標識化してマーカータンパク質を間接的に検出できる。より具体的に言うと、こうした検出法はELISA法を含み得る。
【0358】
抗原として用いたタンパク質又はそれの部分的ペプチドを、例えば、マーカー遺伝子又はその一部を発現ベクターに挿入し、構成物を適切な宿主細胞に導入して形質転換細胞を産生し、形質転換細胞を培養して組み換えタンパク質を発現し、その発現した組み換えタンパク質を培地または培地の上清から精製した。代わりに、遺伝子でコードしたアミノ酸配列、又は全長のcDNAでコードしたアミノ酸配列の一部を含んでなるオリゴペプチドを免疫源として用いるために化学合成した。
【0359】
さらに、結腸癌関連疾患の試験はマーカー遺伝子の発現レベルの指標のみならず、生体サンプル中のマーカータンパク質の活性の指標として使用し得る。マーカータンパク質の活性はタンパク質への生物学的固有活性を意味する。多様な方法が、各タンパク質の活性を測定するために使用し得る。
【0360】
たとえ患者が定期試験で症状が示されているにも関わらず結腸癌関連疾患に罹患していないと診察されても、こうした患者が結腸癌関連疾患に苦しんでいようがいまいが、本明細書に記載された方法によれば、試験を行なうことで容易に決定し得る。
【0361】
より具体的に言うと、特定の態様において、マーカー遺伝子が本明細書に記載された遺伝子の一つの場合、症状が結腸癌関連疾患を示すと少なくとも疑わしい患者の、マーカー遺伝子の発現レベルの増加又は減少は、症状が主に結腸癌関連疾患によるものであることを示している。
【0362】
加えて、本試験は結腸癌関連疾患が患者内で進行しているかどうか決定する上で有用である。言い換えると、本明細書に記載された方法は結腸癌関連疾患に対する処置の治療効果を判断し得る。さらに、マーカー遺伝子が本明細書に記載された遺伝子の一つの場合、結腸癌関連疾患に罹患した症状を有する患者のマーカー遺伝子の発現レベルの増加又は減少は、疾病がより進行していることを暗示する。
【0363】
結腸癌関連疾患に対する重症度及び/又は感受性はまた、発現レベルの違いに基づいて決定することができる。例えば、マーカー遺伝子が本明細書に記載された遺伝子の一つの場合、マーカー遺伝子の発現レベルの増加は、結腸癌関連疾患の存在及び/又重症度と関連する。
【0364】
動物モデル
別の側面において、結腸癌関連疾患のための動物モデルが本明細書において提供され、一つ又はそれより多くのマーカー遺伝子又はマーカー遺伝子の機能的に均等な遺伝子の発現レベルは該動物モデルにおいて上昇されている。本明細書で使用される「機能的に均等な遺伝子」とは、一般的に、マーカー遺伝子によりコードされたタンパク質の既知の活性と同様の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。機能的に均等な遺伝子の代表的例には、該動物に固有である対象動物のマーカー遺伝子のカウンターパートが含まれる。
【0365】
結腸癌関連疾患についての動物モデルは、結腸癌関連疾患による生理学的変化を検出するために有用である。ある態様において、該動物モデルは、マーカー遺伝子の追加の機能を明らかにするため、及び標的がマーカー遺伝子である薬剤を評価するために有用である。
【0366】
一つの態様において、結腸癌関連疾患のための動物モデルは、カウンターパート遺伝の発現レベルを制御することにより、又はカウンターパート遺伝子を投与することにより作製し得る。該方法は、本明細書に記載した遺伝子のグループから選択される遺伝子の発現レベルを制御することにより、結腸癌関連疾患のための動物モデルを作製することを含み得る。別の態様において、該方法は、本明細書に記載された遺伝子によりコードされたタンパク質を投与することにより、又は該タンパク質に対する抗体を投与することにより、結腸癌関連疾患のための動物モデルを作製することを含み得る。ある他の態様において、該マーカーが適切な方法を使用して測定できるように、該マーカーを過剰発現させることが可能であることも理解すべきである。
【0367】
別の態様において、結腸癌関連疾患のための動物モデルは、遺伝子のこうしたグループから選択される遺伝子を導入することにより、又はこうした遺伝子によりコードされたタンパク質を投与することにより作製し得る。
【0368】
別の態様において、結腸癌関連疾患は、遺伝子のこうしたグループから選択される遺伝子の発現を、又はこうした遺伝子によりコードされたタンパク質の活性を抑制することにより誘発することが可能である。アンチセンス核酸、リボザイム、又はRNAiが該発現を抑制するために使用し得る。タンパク質の活性は、抗体のような、活性を抑制する物質を投与することにより効果的に制御し得る。
【0369】
該動物モデルは、結腸癌関連疾患の根底にある機構を評価するため、及びスクリーニングにより得られた化合物の安全性を試験するために有用である。例えば、動物モデルが結腸癌関連疾患の症状を発症した場合、又はある種の結腸癌関連疾患に関与する測定値が動物中で変化した場合、疾患を寛解する活性を有する化合物を探索するため、スクリーニングシステムを構築し得る。
【0370】
本明細書で使用される表現「発現レベルの増加」とは、以下のいずれか一つを指す:外来遺伝子として導入されたマーカー遺伝子が人工的に発現された場合;対象動物に固有のマーカー遺伝子の転写及びタンパク質へのそれらの翻訳が増強された場合;翻訳生成物であるタンパク質の加水分解が抑制された場合。本明細書で使用される表現「発現レベルの減少」とは、対象動物のマーカー遺伝子の転写、及びタンパク質へのそれらの翻訳が抑制された状態、又は翻訳産物である該タンパク質の加水分解が増強された状態を指す。遺伝子の発現レベルは、例えば、DNAチップ上のシグナル強度の相違により決定し得る。さらに、翻訳産物(タンパク質)の活性は、正常状態のものと比較することにより決定し得る。
【0371】
該動物モデルはトランスジェニック動物を含むことも企図された範囲内であり、例えば、マーカー遺伝子が導入されており、そして人工的に発現される動物;マーカー遺伝子ノックアウト動物;及び別の遺伝子でマーカー遺伝子が置換されているノックイン動物。マーカー遺伝子のアンチセンス核酸、リボザイム、RNAi効果を有するポリヌクレオチド、又はデコイ核酸として機能するDNA、が導入されているトランスジェニック動物がトランスジェニック動物として使用できる。こうしたトランスジェニック動物には、例えば、遺伝子のコード領域内に突然変異を導入すること、又はアミノ酸配列が修飾されて加水分解に対して抵抗性又は感受性となることにより、マーカータンパク質の活性が増強されている又は抑制されている動物が含まれる。アミノ酸配列中の突然変異には、置換、欠失、挿入及び付加が含まれる。
【0372】
加えて、マーカー遺伝子の発現それ自身を、該遺伝子の転写調節領域中に突然変異(単数又は複数)を導入することにより制御し得る。当業者はこうしたアミノ酸置換を理解している。また、活性が維持されている限り、変異されたアミノ酸の数は特に制限されない。通常、それは50アミノ酸以内、ある非制限態様においては30アミノ酸以内、10アミノ酸以内又は3アミノ酸以内である。突然変異の部位は、活性が維持されている限り、いずれの部位であってもよい。
【0373】
さらに別の側面において、結腸癌関連疾患を治療する療法剤のための候補化合物についてのスクリーニング法が提供される。一つ又はそれより多くのマーカー遺伝子が本明細書に記載した遺伝子の群から選択された。結腸癌関連疾患のための治療薬は、マーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルを増加させる又は減少させることが可能な化合物を選択することにより得ることが可能である。
【0374】
表現「遺伝子の発現レベルを増加させる化合物」は、遺伝子転写、遺伝子翻訳又はタンパク質活性の発現の工程を促進する化合物を指す。一方、本明細書で使用される表現「遺伝子の発現レベルを減少させる化合物」は、これらの工程のいずれか一つを阻害する化合物を指す。
【0375】
特定の側面において、結腸癌関連疾患の療法剤についてのスクリーニング法は、インビボか又はインビトロで実施し得る。このスクリーニング法は、例えば、(1)候補化合物を動物対象に投与すること;(2)動物対象からの生物学的サンプル中のマーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルを測定すること;又は(3)候補化合物に接触されていない対照中のレベルと比較し、マーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルを増加させる又は減少させる化合物を選択すること、により実施することが可能である。
【0376】
さらに別の側面において、動物対象と候補化合物を接触させ、そして該動物対象に由来するサンプル生物学的サンプル中のマーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルに対する化合物の効果をモニタリングすることにより、マーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルに対する医薬品のための候補化合物の効力を評価する方法が本明細書において提供される。該動物対象に由来するサンプル生物学的サンプル中のマーカー遺伝子(単数又は複数)の発現レベルにおける変動は、上記の試験法に使用した同一技術を使用してモニターすることが可能である。さらに、評価に基づいて、医薬品のための候補化合物をスクリーニングにより選択することが可能である。
【0377】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願及び参照文献は、その全体が本明細書において援用される。本発明は当業者がそれを作製する及び使用するのに十分に詳細に説明され及び例示されてきたが、本発明の精神及び範囲から離れることなく、多様な変更、修飾及び改善ができるのは明らかなはずである。本発明は、課題を実行し、そして記述した目的及び利点、ならびにここに固有のものを得るためにうまく適用されることを、当業者は容易に理解する。
【0378】
本明細書に記載された方法及び試薬は、好ましい態様を代表するものであり、例示であり、本発明の範囲の制限を意図するものではない。その中の修飾及び他の使用が当業者には生じるであろう。これらの修飾は本発明の精神内に包含されており、特許請求の範囲により規定されている。本発明の精神及び範囲から離れることなく、様々な置換および修飾をここに開示した発明に行えることができることが、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0379】
本発明は好ましい態様及び任意選択の特色により具体的に開示されてきたが、本明細書で開示された概念の修飾及び変形は、当業者に依存することができ、及びこうした修飾及び変形は、付随する特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内であると考えられる。
【0380】
実施例1の参照文献
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