(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メダル払出信号PAYがLレベルになると、払出モータが回転を始めるので、この関係を悪用して、接続コネクタの部分でメダル払出信号の信号ラインをグランドに落とす違法行為が懸念されるところである。例えば、一旦、外した接続コネクタに、極細の短絡片を配置した後、再度、元の状態に戻すなどの違法行為が考えられる。ここで、特許文献1に記載の発明も提案されているが、簡易性にかけるので必ずしも適切な対策とはいえない。
【0007】
ここで、直流モータを回転させるための駆動電源を、払出動作時にだけ供給する構成を採ることもできるが(例えば、特許文献2)、このような構成を採ると、営業時間中に電源のON/OFF動作を何度も繰り返すことになるので、電源投入時のラッシュ電流による回路素子の疲弊が問題となる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、簡易な回路構成であって、且つ、安定して動作して回路素子に負担のかからない防犯回路を設けた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、他の回路基板から、払出制御信号を共通して受けるインタフェイス素子及びスイッチ回路を有し、正当な払出制御信号に基づいて
払出モータが回転して、有価物を払出す払出制御部を有し、インタフェイス素子は、有価物を払出すべき正常払出時に、他の回路基板と閉回路を形成してON動作するよう構成され、前記スイッチ回路は、前記閉回路を通してインタフェイス素子がON動作する払出時だけでなく、前記閉回路が形成されない払出停止時にも、インタフェイス素子を経由してON動作するよう構成され、前記閉回路が形成されることなく、インタフェイス素子がグランドレベルの信号を受けてON動作する異常時には、前記スイッチ回路がOFF動作することで、前記払出モータの駆動が禁止されるよう構成されている。
【0010】
本発明では、定常的にはON状態である開閉回路が、払出信号がグランドレベルとなる異常時にはOFF状態となる。そのため、異常時には電流ラインが遮断されることで、違法行為を確実に排除することができる。
【0011】
電源ラインに開閉回路を配置する場合には、好ましくは、DCモータを回転させるための直流電源(実施例では24V)を、異常時に遮断すべきである。但し、電子素子を動作させるための直流電源(実施例では5V)を遮断したのでも良い。なお、本発明の電源ラインは、好ましくは、直流電源ラインを意味するが、交流電源ラインを排除する趣旨ではない。
【0012】
また、グランドラインに開閉回路を配置すれば、複数の電源ラインを一気に遮断できるので、簡易性及び確実性において優れている。
【0013】
前記開閉回路は、好ましくは、MOS型トランジスタで構成され、前記MOS型トランジスタは、払出制御信号をゲート端子に受けている。また、払出制御部に配置されたインタフェイス素子と、他の回路基板に配置されたスイッチ回路と、他の回路基板に配置された電流制限抵抗とが直列接続されて構成されるのが好ましく、前記インタフェイス素子がON動作することに起因して有価物が払出される。この場合には、前記インタフェイス素子をON動作させるアクティブレベルの払出制御信号は、ON状態のスイッチ回路と電流制限抵抗との直列回路の両端電圧として生成されているのが好適である。
【0014】
前記インタフェイス素子は、特に限定されないが、フォトカプラであるのが好ましく、フォトカプラのフォトダイオードが、払出制御信号を受けるのが簡易的である。例えば、フォトカプラのように、電流値に対応してON/OFF動作をする回路素子を使用すると、グランドレベルより高い第1レベルと第2レベルの間で二値的にレベル変化する払出制御信号で制御するのが容易である。
【0015】
前記払出制御部は、好ましくは、有価物を払出す払出モータを駆動する第1電源と、インタフェイス素子に供給される第2電源と、前記インタフェイス素子をON動作させる払出制御信号と、グランド信号とを、他の回路基板から受けるよう構成されている。
【0016】
なお、払出モータに流れる駆動電流が所定値を超えると、飽和状態への移行動作を開始する正帰還ループを形成した2つのスイッチング素子を設けるのが動作安定上、好ましく、2つのスイッチング素子は、NPN型トランジスタとPNP型トランジスタとで構成され、全体としてサイリスタ構造を実現していると更に好ましい。また、前記インタフェイス素子がON状態からOFF状態に遷移するとON動作する短絡素子が、前記払出モータの入力端子間に設けられていると制動動作が容易である。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明によれば、簡易な回路構成であって、且つ、安定して動作して回路素子に負担のかからない遊技機を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
図1〜
図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(
図2)。そして、
図1は前面パネル2の正面図、
図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、
図3は前面パネル2の背面図、
図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
【0020】
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMOと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサSE(
図5)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMOの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
【0021】
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
【0022】
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示ユニット7が配置され、その下部には、回転リール4a〜4cに対応する3つの表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
【0023】
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
【0024】
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cが設けられている。その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿19と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口20とが設けられている。なお、メダル導出口20の左右にはスピーカSPが配置されている。
【0025】
図3に示すように、前面パネル3の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置21と、メダル選別装置21により不適正と判別されたメダルをメダル導出口20に案内する返却通路22とが設けられている。また、前面パネル3の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース23が配置されている。そして、メダル選別装置21の上部には、
図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
【0026】
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドに基づいて演出動作を実現する演出制御基板51と、交流電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62とを中心に構成されている。
【0027】
主制御基板50は、演出制御基板51に対して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示ユニット7による図柄演出を実現するための制御コマンドを出力している。そして、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通して、液晶制御基板61に接続されており、液晶制御基板61は、液晶表示(LCD)ユニット7における図柄演出を実現している。
【0028】
演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52と共に、LED基板59やインバータ基板60や回胴LEDドライブ基板58を経由して、各種のLEDや冷陰極線管放電管におけるランプ演出を実現している。また、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通してスピーカSPを駆動して音声演出を実現している。
【0029】
主制御基板50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド31、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
【0030】
また、主制御基板50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
【0031】
主制御基板50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサSEと、払出モータMOとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御基板50からのメダル払出信号PAYに基づいて払出モータMOを回転させて、所定量のメダルを払出している。なお、払出モータMOは、ブラシモータなどのDCモータであり、DC24Vを受けている限り回転を継続する。
【0032】
その他、主制御基板50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御基板50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
【0033】
図6は、主制御基板50と、払出中継基板63と、メダル払出制御基板55との接続関係を図示した概略図である。図示の通り、メダル払出制御基板55は、払出中継基板63を経由して、主制御基板50から、メダル払出信号PAYと、DC5Vと、DC24Vとを受けている。ここで、接続コネクタCN3,CN4において、メダル払出信号PAYの隣に、DC5Vが配置されており、グランドラインGNDは配置されていない。なお、当然ながら、メダル払出制御基板55のグランドラインGNDは、主制御基板50と共通である。
【0034】
メダル払出信号PAYは、払出すべきメダル枚数に対応するパルス幅τを有し、出力トランジスタQaと、出力トランジスタQaのコレクタに接続されたコレクタ抵抗Raとを経由して主制御基板50から出力される。コレクタ抵抗Raは、メダル払出制御基板55に配置されたフォトカプラPC及び抵抗R1を経由して、電源電圧Vcc=5Vに接続されている(
図7)。したがって、出力トランジスタQaのON動作時、メダル払出信号PAYの電圧レベルは、アクティブレベルのI
on*Ra+V
CE[V]となる。
【0035】
ここで、V
CEは、出力トランジスタQaのコレクタ−エミッタ飽和電圧であり、0.3V程度である。また、抵抗Ra,R1は、トランジスタQaとフォトカプラPCに対する電流制限抵抗であり、100〜150Ω程度に設定されて、トランジスタのオン電流I
on=(5−V
F−V
CE)/(R1+Ra)を14mA程度に制限している。また、V
Fは、フォトカプラPCの発光ダイオードの順方向電圧降下でありV
F≒1.2Vであるので、結局、アクティブレベルのメダル払出信号PAY(=I
on*Ra+V
CE)は、例えば、2.5V程度となる。
【0036】
一方、出力トランジスタQaのOFF動作時には、メダル払出信号PAYは、電源電圧Vccに対応してほぼ5Vの非アクティブレベルとなる。なお、違法行為者がコネクタCN1〜CN4の部分を悪用して、メダル払出信号PAYを、グランド電位に落とした場合には、当然ながら、メダル払出信号PAYは0Vとなる。
【0037】
図7は、メダル払出制御基板55の回路構成を具体的に図示したものである。
図6に関して説明した通り、メダル払出制御基板55は、コネクタCN4を通して払出中継基板63に接続され、主制御基板50から、DC24V、DC5V、及びメダル払出信号PAYを受けている。そして、メダル払出制御基板55のコネクタCN5には、払出モータMOが接続されて、メダル払出信号PAYがアクティブレベルであれば、払出モータMOがDC24Vを受けて連続して回転するようになっている。
【0038】
メダル払出制御基板55には、フォトカプラPCによる信号伝送回路80と、MOSトランジスタQbによる開閉回路81と、バイポーラトランジスタQ3,Q4による電流制限回路82と、MOSトランジスタQ5による駆動制御回路83と、MOSトランジスタQ6による動作禁止回路84とが設けられている。
【0039】
信号伝送回路80は、電流制限抵抗R1と、フォトカプラPCとの直列回路で構成されている。そして、フォトカプラPCの発光ダイオードDと、抵抗R1と、主制御基板の電流制限抵抗Raと、出力トランジスタQaとで、DC5Vを受ける電流閉回路が構成される。そのため、出力トランジスタQaがON動作すると、フォトカプラPCの発光ダイオードに、I
on=(5−V
F−V
CE)/(R1+Ra)の順方向電流が流れる。この点は前記した通りである。
【0040】
開閉回路81は、NチャンネルMOSトランジスタQbと、ゲート抵抗Rbとで構成されている。図示の通り、ゲート抵抗Rbは、トランジスタQbのゲート端子に接続されると共に、トランジスタQaのコレクタ抵抗Raと、フォトカプラPCの発光ダイオードDとに接続されている。したがって、トランジスタQbのゲート端子は、アクティブレベル又は非アクティブレベルのメダル払出信号PAYを、受けることになる。
【0041】
また、トランジスタQbのソース端子とドレイン端子とは、メダル払出制御基板55のグランドラインをON/OFF制御する位置に接続されている。すなわち、トランジスタQbのソース端子は、メダル払出制御基板のグランドに接続され、トランジスタQbのドレイン端子は、抵抗R13とトランジスタQ5とを経由して払出モータMOの(−)端子に接続されている。そのため、トランジスタQbがOFF状態であれば、他の素子の動作状態に拘らず、払出モータMOに電流が流れず、払出動作が実現されることはない。
【0042】
電流制限回路82は、PNP型トランジスタQ3と、コレクタ抵抗R4、バイアス抵抗R10と、払出モータMOの電流検出抵抗R13と、バイアス抵抗R5と、コンデンサC1と、NPN型トランジスタQ4と、電流制限抵抗R8と、逆方向電流阻止用のダイオードD2とで構成されている。
【0043】
トランジスタQ3のエミッタ端子は、フォトカプラのトランジスタTrのエミッタ端子と、電流制限抵抗R8とに接続されている。そして、トランジスタQ3のエミッタ端子とベース端子の間には、電流制限抵抗R8とダイオードD2とが直列接続され、ダイオードD2のカソード端子が、トランジスタQ3のベース端子に接続されている。また、ダイオードD2のカソード端子は、トランジスタQ4のコレクタ端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。トランジスタQ4のベース端子は、並列接続されたコンデンサC1及び抵抗R5を通して、グランドに接続されている。
【0044】
また、トランジスタQ4のベース端子は、抵抗R10を通して、NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子に接続されている。NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子とグランドとの間に、抵抗R13が接続されて、払出モータMOの駆動電流を監視している。なお、電流検出抵抗R13は、0.51Ω程度である。
【0045】
駆動制御回路83は、NチャンネルMOSトランジスタQ5と、バイアス抵抗R9と、コンデンサC3とで構成されている。ここで、MOSトランジスタQ5のドレイン端子は、払出モータMOの(−)端子に接続されている。そして、ベース端子とソース端子との間には、並列接続された抵抗R9及びコンデンサC3が接続されている。
【0046】
動作禁止回路84は、PチャンネルMOSトランジスタQ6と、分圧用のバイアス抵抗R11,R12,R6,R7と、コンデンサC2と、逆方向電流阻止用のダイオードD1と、ポリスイッチRTとで構成されている。PチャンネルMOSトランジスタQ6のソース端子とドレイン端子は、各々、払出モータMOの(+)端子と(−)端子に接続されている。したがって、PチャンネルMOSトランジスタQ6がON動作すると払出モータMOの駆動が禁止されることになる。
【0047】
一方、MOSトランジスタQ6のソース端子とゲート端子間には抵抗R11が接続され、ゲート端子とグラントとの間には、バイアス抵抗R12,R6,R7が直列接続されている。そして、抵抗R12と抵抗R6の接続点には、ダイオードD1のカソード端子が接続されている。一方、ダイオードD1のアノード端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、抵抗R8とに接続されている。
【0048】
ポリスイッチRTは、PチャンネルMOSトランジスタQ2のドレイン端子と払出モータMOの(+)端子との間に接続されている。ここでポリスイッチとは、ポリマー系のPTC(Positive Temperature Coefficient) サーミスタであり、素子温度が所定値より上昇すると、正常状態では1Ω以下の抵抗値が、急激に増加して10
4Ω〜10
6Ω程度になる特性を有している。したがって、例えば、払出モータMOの配線の短絡などによって過大電流が流れる場合には、DC24Vの電源ラインを開放状態にする役目を果たす。なお、このポリスイッチRTは、電流制限回路82が機能しないようなトラブル時に大きな意義がある。
【0049】
続いて、主制御部50において実行されるメダル払出処理について
図8のフローチャートに基づいて説明する。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0050】
一方、このようにしてクレジット数が上限値に達するか、或いは、もともと上限値に達している場合には、メダル払出信号PAYをONレベル(アクティブレベル)にする(ST15)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをON動作させて、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをON動作させる。この結果、払出モータMOが回転を開始してメダルの払出が開始される。
【0051】
そこで、次に、払出センサSE(
図5)がメダル払出を検出したか否か判定され(ST16)、所定の待機時間、メダルの払出が検出されるのを待つ(ST18)。そして、メダルの払出が検出されれば、払出枚数を減算し(ST17)、残余払出枚数が0になるまで同じ動作を繰返す。一方、所定の待機時間を超えても、払出センサSEがメダルの払出を検出しない場合は、メダルホッパー5aが空であると思われるので、その旨の異常報知処理を実行する(ST19)。そして、ドアセンサの開閉が検出されたら、係員による補給処理が完了したと想定して、エラー報知処理を解除してステップST15の処理に戻る。
【0052】
このような処理を繰返していると、やがて、残余払出枚数が0になるので(ST13)、メダル払出信号PAYをOFF状態にして処理を終える(ST14)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをOFF動作させ、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをOFF動作させる。この結果、払出モータMOの回転が停止される。
【0053】
図9〜
図10は、メダル払出動作を説明するための図面である。先ず、主制御部50の出力トランジスタQaがON状態となった場合(ST15)について、
図9に基づいて説明する。この場合には、DC5V→抵抗R1→フォトカプラの発光ダイオードD→抵抗Ra→出力トランジスタQaの経路で、ON電流I
onが流れる。先に説明した通り、この時には、メダル払出信号PAYが2.5V程度のアクティブレベルである。そのため、開閉回路81のトランジスタQbもON状態であり、グランドラインは、正常な導通状態を維持する。
【0054】
そして、フォトカプラのトランジスタTrを通過する直流電流は、ダイオードD1→抵抗R6→R7の経路に流れる。また、トランジスタTrを通過する直流電流は、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R13の経路と、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R10→R5の経路にも流れる。その結果、トランジスタQ5はON状態となり、ポリスイッチRT→払出モータMO→トランジスタQ5の経路でモータ駆動電流が流れ、払出モータMOが回転する。
【0055】
この時、電流制限回路82は、過大なモータ駆動電流が流れることを防止する負帰還回路として機能する。すなわち、モータ駆動電流は、電流検出抵抗R13に流れるので、仮に、モータ駆動電流が大きく増加すると、トランジスタQ4のベース電位が増加して、抵抗R8→ダイオードD2経路でコレクタ電流が流れる。
【0056】
すると、トランジスタQ4とトランジスタQ3とは、サイリスタ構造を有して接続されているので、トランジスタQ4のコレクタ電流の増加が、トランジスタQ3のコレクタ電流の増加をもたらし、抵抗R5を経由してトランジスタQ4のコレクタ電流を益々増加させることで、2つのトランジスタQ3,Q4は、ON動作に向けた正帰還ループを形成する。
【0057】
一方、トランジスタQ4のコレクタ電流が飽和電流に向けて増加すると、ダイオードD2のアノード端子の電位が降下するので、トランジスタQ5をOFF動作させる向きの負帰還ループが形成される。したがって、トランジスタQ5の動作に基づいて、過大なモータ駆動電流が流れることが防止され、モータ駆動電流が所定範囲に維持される。
【0058】
ところで、払出モータMOが駆動されているタイミングでは、トランジスタQ6は、OFF状態である。それは、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R18の経路で電流が流れると共に、ダイオードD1→抵抗R6→抵抗R18の経路でも電流が流れるので、抵抗R11と抵抗R12の両端電圧が、トランジスタTrの飽和電圧V
CEとダイオードの順方向電圧降下V
FからV
CE+V
F≒1Vに抑制されるからである。
【0059】
次に、
図10に基づいて、主制御部50の出力トランジスタQaがOFF状態となった場合(ST13)の動作を説明する。
【0060】
この場合には出力トランジスタQaがOFF状態であるのでフォトカプラPCに電流が流れないが、開閉回路81のトランジスタQbのゲート端子とグランド間の漂遊容量は、約5Vまで充電される。そのため、トランジスタQbはON状態であって、グランドラインは、正常な導通状態を維持する。
【0061】
一方、出力トランジスタQaがOFF状態であることから、フォトカプラPCはOFF状態となり、トランジスタQ3,Q4,Q5はON状態とならない。但し、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7→グランドの経路では電流が流れる。ここで、抵抗R11の両端電圧は、24*R11/(R11+R12+R6+R7)≒3Vとなるよう設定されているので、このソース端子とゲート端子間の電圧によってトランジスタQ6はON状態となる。
【0062】
このトランジスタQ6のON動作は、フォトカプラPCのONからOFFへの遷移時に実行されるので、発電機として機能する払出モータMOの出力電流がトランジスタQ6の短絡電流として吸収され、払出モータMOの回転にブレーキがかかる。そのため、本実施例の構成によれば、慣性力によるメダルの過払いが防止される。
【0063】
次に、
図11に基づいて、違法行為時について説明する。なお、主制御部50の出力トランジスタQaは、OFF状態である。例えば、違法遊技者がコネクタCN4のメダル払出信号PAYの信号線を、グランドラインGNDに接触させた場合を考える。
【0064】
すると、図示のON電流が流れるのでフォトカプラPCもON状態になる。しかし、開閉回路81のトランジスタQbのゲート端子がグランドレベルになることで、トランジスタQbはON状態からOFF状態に遷移する。そのため、グランドラインが遮断されることになって、払出モータMOによる払出動作が開始されることはない。したがって、違法行為によってメダルを違法に取得することはできない。
【0065】
ところで、メダル払出信号PAYの信号線を、直接、グランドラインGNDに接触させるのではなく、電流制限抵抗Raに対応する抵抗体を介して、メダル払出信号PAYの信号線をグランドラインGNDに接触させた場合には、違法行為が成功するとも思われる。しかしながら、一旦、外したコネクタCN4を元の状態に戻さない限り、払出モータMOへの通電が実現されないところ、コネクタCN4の中に極細の短絡片を配置することはできても、100Ω程度の抵抗体をコネクタCN4の中に配置することは事実上不可能であるので、違法行為を成功させることはできない。なお、本実施例では、メダル払出信号PAYの信号線とグランドラインGNDとが離間して配置されているので尚更である。
【0066】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。
【0067】
例えば、実施例では、開閉回路81をグランドラインに設けたが、これに代えて、DC24Vの電源ラインに同様の開閉回路81を設けても良い。また、この実施例では、払出モータとして、ブラシモータなどのDCモータを使用したが、ステッピングモータの使用や、交流モータの使用を排除する趣旨ではない。例えば、交流モータを使用する場合には、開閉回路は、グランドラインか交流電源ラインに配置される。
【0068】
なお、実施例ではスロットマシンについて説明したが、遊技球を払出す弾球遊技機に本発明を適用しても良い。