(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薬剤を収容した薬剤収容部と、水がこの薬剤収容部を通過せずに散水口へ流れる原水流路と、水がこの原水流路から分岐し上記薬剤収容部の内部を通過して薬剤を溶出させ、上記原水流路へ合流する混合水流路とを形成するとともに、
上記薬剤収容部の上流側の上記混合水流路を開閉する収容部上流弁と、上記薬剤収容部の下流側の上記混合水流路を開閉する収容部下流弁とを設け、
上記収容部上流弁と上記収容部下流弁とが、1つの操作部材の動作に連動して上記混合水流路を開閉することを特徴とするシャワー装置。
上記操作部材が、上記収容部上流弁と上記収容部下流弁との両方が弁開である位置から上記収容部上流弁と上記収容部下流弁との両方が弁閉である位置まで移行する間に、上記収容部上流弁が弁閉であるとともに上記収容部下流弁が弁開である位置を設けたことを特徴とする請求項1記載のシャワー装置。
上記操作部材が、上記収容部上流弁が弁閉であるとともに上記収容部下流弁が弁開である位置から上記収容部上流弁と上記収容部下流弁との両方が弁閉となる位置まで移行するのに連動して、上記収容部下流弁の開放度が徐々に減少することを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
薬剤を収容した薬剤収容部と、水がこの薬剤収容部を通過せずに散水口へ流れる原水流路と、水がこの原水流路から分岐し上記薬剤収容部の内部を通過して薬剤を溶出させ、上記原水流路へ合流する混合水流路とを形成し、
上記薬剤収容部がシャワー装置の外面を形成するケーシングに収容され、1つの操作部材の操作に連動して上記ケーシングに対して動くとともに上記混合水流路が開閉され、
上記ケーシングの一部に透明な表示窓を設け、内部の上記薬剤収容部を外部から視認できるようにし、
且つ、上記薬剤収容部の外面のうち、上記混合水流路を開放させたときに上記表示窓に面する部分、および上記混合水流路を閉鎖させたときに上記表示窓に面する部分に異なる表示を形成したことを特徴とするシャワー装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施形態に係るシャワー装置について説明する。
このシャワー装置は、ホース等を介して供給される水(原水)をそのまま散水口から吐出することができ、また、原水に薬剤を溶出させた混合水を散水口から吐出することもできる。
本明細書における水(原水)には、湯、低温の水、湯と水を混合したものを含む。
また、薬剤とは、香料、香水、保湿剤、洗剤、浄化剤、消毒剤その他の水に一定割合で希釈あるいは徐放して用いるあらゆる薬品を含み、固形物、液体、ゲル状物質のいずれをも含む。
また、このシャワー装置は、浴室、台所、洗面所その他のあらゆる用途に用いることができる。この中でも、浴室用シャワーヘッドに用いることが好ましい。理由は、入浴時に薬剤混合、徐放を用いることが多いためである。シャワーヘッドの形態としては、一般的なシャワーヘッドでもよく、薬剤収容部の下流側に止水と吐水とを切り換える止水弁を設けたシャワーヘッドでもよい。
【0018】
図1(b)に示すように、このシャワー装置1は、水の取り入れ口2を有してホース等を接続する基端コネクタ3と、この基端コネクタ3の下流側に接続され、使用者が把持できる形状の外筒4と、この外筒4の下流に接続されて止水弁および散水口5を設けたヘッド部6とを有する。
【0019】
外筒4とヘッド部6とはネジ結合によって着脱自在に取り付けられている。
外筒4の内部には、薬剤を収容できる略筒状の薬剤収容部7が内蔵されており、薬剤を使い切った時には外筒4とヘッド部6とを分解して薬剤収容部7を新品に交換することができる。
これにより、シャワー装置1の内部には、流入した水が外筒4と薬剤収容部7との間を通過してヘッド部6の散水口5から吐出される原水流路8と、水の一部が原水流路8から分岐し、薬剤収容部7の内部を通過しながら薬剤を溶出させて、外筒4の下流端付近で原水流路8に合流する混合水流路9とが形成される。
【0020】
シャワー装置1は、水が原水流路8のみを流れる原水吐出と、水の一部が原水流路8を流れ残部が混合水流路9を流れる混合水吐出とを切り換えるために、流路切換弁を具備している。
この切換弁は、薬剤収容部7の上流側の混合水流路を開閉する収容部上流弁と、薬剤収容部7の下流側の混合水流路を開閉する収容部下流弁と、収容部上流弁および収容部下流弁を操作することができる1つの操作リング10を有している。
【0021】
図1(b)に示すように、収容部上流弁は、薬剤収容部7の上流端に設けられた弁座11と、この弁座11に水密に当接することができるパッキン12と、弁座11から突出形成されたスペーサ13と、パッキン12に一体に取り付けられてスペーサ13に当接するスペーサ受け14と、スペーサ13およびパッキン12を弁座へ付勢するコイルスプリング15とからなる。
【0022】
図5に示すように、弁座11は、薬剤収容部7の上流端(下端)に形成された筒状の部分で、中央に薬剤収容部7の内部に連通する入口を穿設している。
弁座11の周囲からは、2つの三角形状のスペーサ13が上流に向かって突出形成されている。
【0023】
図1(b)に示すように、パッキン12は弁座11の入口よりも大径に形成されるとともに弁座11の上流に配置され、弁座11に押し付けられると入口を塞ぐことができる。
また、パッキン12の上流側には、弾性変形によってスペーサ受け14に取り付けられる装着部分が形成されている。
【0024】
図4、
図5に示すように、スペーサ受け14は、中央にパッキン12を装着する孔を有する円板から下流側に円筒を延出した形状に形成されている。
スペーサ13に当接するスペーサ受け14の下流端面は、2つの山状部分と谷状部分とが急な斜めの段差で連続した形状に形成されている。円筒の周における山状部分の割合は、谷状部分に比べてかなり小さい。
また、スペーサ受け14は、基端コネクタ3から所定距離離間すると基端コネクタ3に係止して離間を制限する3つの鉤状部16を上流側に突出形成している。
【0025】
図1(b)に示すように、コイルスプリング15は、基端コネクタ3の一部と、スペーサ受け14とに当接して、スペーサ受け14およびパッキン12を弁座11へ付勢する。
【0026】
図1(b)に示すように、収容部下流弁は、薬剤収容部の下流端に設けられた弁座17と、この弁座17に水密に当接することができるパッキン18と、弁座17から突出形成されたスペーサ19と、パッキン18に一体に取り付けられてスペーサ19に当接するスペーサ受け20と、スペーサ受け20およびパッキン18を弁座17へ付勢するコイルスプリング21とからなる。
【0027】
図4に示すように、弁座17は、薬剤収容部7の下流端(上端)に形成された筒状の部分で、中央に薬剤収容部7の内部に連通する出口を穿設している。
弁座17の周囲からは、2つの三角形状のスペーサ19が下流に向かって突出形成されている。
さらに弁座17の周囲には、周上等間隔に4つの板材22を配置して、板材22の間に混合水が原水流路8に合流するための流路を形成している。
【0028】
図1(b)に示すように、パッキン18は弁座17の出口よりも大径に形成されるとともに弁座17の下流に配置され、弁座17に押し付けられると出口を塞ぐことができる。
また、パッキン18の下流側には、弾性変形によってスペーサ受け20に取り付けられる装着部分が形成されている。
【0029】
図5に示すように、スペーサ受け20は、中央にパッキン18を装着する孔を有する円板から上流側に円筒を延出した形状に形成されている。
スペーサ19に当接するスペーサ受け20の上流端面は、各2つの山状部分と谷状部分とが緩やかな湾曲形状で連続した形状に形成されている。
また、スペーサ受け20は、ヘッド部6から所定距離離間するとヘッド部6に係止して離間を制限する3つの鉤状部分23を下流側に突出形成している。
【0030】
図1(b)に示すように、コイルスプリング21は、ヘッド部6の一部と、スペーサ受け20とに当接して、スペーサ受け20およびパッキン18を弁座17へ付勢する。
【0031】
図1(c)、
図3(b)に示すように、外筒4の上流側では、図に示すように、外部に露出した操作リング10がピン24と回転不能に固定され、このピン24が外筒4内部の中継筒体25に回転不能に取り付けられることにより、操作リング10と中継筒体25とが一体になって外筒4に対して回転するようになっている。
外筒4にはピン24を貫通させるピンガイド26が周方向に延設されており、操作リング10の回転可能範囲はこのピンガイド26の範囲によって制限されている。
【0032】
さらに、
図1(d)に示すように、中継筒体25の下流側端部が薬剤収容部7の一部に挟まれて、回転不能に取り付けられているため、操作リング10と薬剤収容部7とも一体になって回転するようになっている。
中継筒体25と薬剤収容部7とがこのように取り付けられることにより、薬剤収容部7を交換しても必ず決まった角度位置で中継筒体25に取り付けることができる。
【0033】
このシャワー装置1において、
図1に示す操作リング10の回転可能範囲の一端では、混合水吐出となる。
このとき、収容部上流弁では、
図6(a)に示すように、スペーサ13がスペーサ受け14の山状部分に当接することにより、コイルスプリング15の付勢力に反してパッキン12が弁座11から離間され、原水流路8の水の一部が入口から薬剤収容部7に流入することができる。
また、収容部下流弁でも、スペーサ19がスペーサ受け20の山状部分に当接することにより、コイルスプリング21の付勢力に反してパッキン18が弁座17から離間され、薬剤収容部7内の水が出口から原水流路8に合流することができる。
【0034】
シャワー装置1の内部では、取り入れ口2から供給された水が原水流路8を通過するとともに、原水流路8の水の一部が混合水流路9に分岐して、薬剤を溶出させる。このため、ヘッド部6の散水口5からは、薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0035】
操作リング10および薬剤収容部7を混合水吐出の位置から少し回転させると、
図2に示す中間位置となる。
このとき、収容部上流弁では、
図6(b)に示すように、スペーサ13がスペーサ受け14の急な段差を通過して谷状部分に当接するため、コイルスプリング15の付勢力によってパッキン12が弁座11に押し付けられ、薬剤収容部7の入口が塞がれる。
収容部下流弁では、スペーサ19がスペーサ受け20の山状部分から谷状部分へと連続する緩やかな湾曲面に当接するため、出口はパッキン18によって塞がれないが、コイルスプリング21の付勢力によってパッキン18が弁座17に徐々に近づき、薬剤収容部7の出口から原水流路8に合流する流路が徐々に狭くなっていく。
【0036】
シャワー装置1の内部では、原水流路8の水が入口から薬剤収容部7に流入することはできないが、薬剤収容部7内の水は出口から原水流路8に合流することができる。このため、ヘッド部6の散水口5からは、微量の薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0037】
操作リング10および薬剤収容部7をこの中間位置から回転可能範囲の反対端まで回動させると、
図3に示す原水吐出となる。
このとき、収容部上流弁では、
図6(c)に示すように、スペーサ13がスペーサ受け14の谷状部分に当接しているため、薬剤収容部7の入口がパッキン12によって塞がれている。
収容部下流弁では、スペーサ19がスペーサ受け20の谷状部分に当接するため、コイルスプリング21の付勢力によってパッキン18が弁座17に押し付けられ、薬剤収容部7の出口が塞がれる。
【0038】
シャワー装置1の内部では、混合水流路9が閉鎖され、水が薬剤収容部7の外周の原水流路8のみを流れるため、ヘッド部6の散水口5からは、薬剤を含有しない原水が吐出される。
【0039】
操作リング10および薬剤収容部7を原水吐出の位置から混合水吐出の位置まで逆回転させると、収容部上流弁ではスペーサ13がスペーサ受け14の斜めの段差に沿って山状部分に到達し、コイルスプリング15の付勢力に反してパッキン12が弁座11から離間させられる。
収容部下流弁でもスペーサ19がスペーサ受け20の緩やかな湾曲形状に沿って山状部分に到達するため、コイルスプリング21の付勢力に反してパッキン18が弁座17から離間させられる。
したがって、ヘッド部6の散水口5からは、薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0040】
第一実施形態のシャワー装置1では、
図6(a)(c)に示すように、収容部上流弁と収容部下流弁とが、1つの操作部材である操作リング10の回転動作に連動して混合水流路9を開閉することにより、原水吐出時に混合水が薬剤収容部7から漏出することがなく、使用者が1つの操作リング10を操作するだけで原水吐出と混合水吐出とを確実に切り換えることができる。
また、原水吐出時に混合水が薬剤収容部7から漏出することがないため、薬剤の無駄な消費を防止して薬剤収容部7の交換寿命を長期化することができる。
【0041】
また、
図6(b)に示すように、流路切換弁を混合水吐出の位置から原水吐出の位置まで移行する間に、収容部上流弁が弁閉であり収容部下流弁が弁開である中間位置を設けたことにより、薬剤収容部7内の水が収容部下流弁から原水流路8へ流出して水圧を軽減させるため、混合水流路9の水流を遮断することにより薬剤収容部7内の水圧が急上昇することがなく、水圧による薬剤収容部7の破損を防止することができる。
さらに、薬剤収容部7内の水圧が急上昇しないため、混合水吐出から原水吐出への切り換え操作に必要な力を小さくすることができる。
【0042】
また、流路切換弁の操作リング10を混合水吐出の位置から原水吐出の位置まで移行するのに連動して、収容部下流弁の開放度が徐々に減少するようにしたことにより、負圧を発生させるため、薬剤収容部7内の混合水を流出させて、効果的に薬剤収容部7内の水圧を軽減させることができる。
また、収容部下流弁でもスペーサ19がスペーサ受け20の緩やかな湾曲形状に沿って移動し、パッキン18を徐々に上げ下げするため、収容部下流弁を操作するのに必要な力を小さくすることができる。
【0043】
図1(b)に示すように、ヘッド部6には、使用者が水の吐出と停止とを切り換えることができる止水弁を設けている。
この止水弁は、ヘッド部6の流路中に配置された弁軸27と、弁軸27に取り付けられてシャワー装置1の背部側に露出した吐水ボタン28と、弁軸27に取り付けられてシャワー装置1の腹部側に露出した止水ボタン29とからなる。
【0044】
弁軸27は、ヘッド部6の流路と平行な弁軸流路30を穿設されており、背部腹部方向に移動可能にヘッド部6に収容されている。
背部の吐水ボタン28を押し込むと、弁軸27の弁軸流路30がヘッド部6の流路に合致して、原水または混合水を散水口5から吐出することができる。
腹部の止水ボタン29を押し込むと、ヘッド部6の流路が弁軸27によって塞がれ、散水口5からの吐出を停止することができる。
【0045】
このような止水弁を設けたことにより、使用者が手元で容易に水の吐出と停止とを切り換えることができる。
また、流路切換弁の下流に止水弁を設けたことにより、万が一薬剤収容部7や流路切換弁が破損して、混合水が常時下流に漏れ出すようになっても、止水ボタン29を押し込んで吐出を停止することによって、混合水の匂いが外部に漏れることを防止することができる。
【0046】
止水ボタン29を押し込んで吐出を停止すると、止水弁の上流では水撃が生じることがある。
しかし、原水吐出のときには、中継筒体25と鉤状部分23が係止されるヘッド部6の一部とによって薬剤収容部7の上流下流方向の動きが制限されるとともに、コイルスプリング15がパッキン12を弁座11に押圧し、コイルスプリング21がパッキン18を弁座17に押圧しているので、水撃によって薬剤収容部7の閉鎖状態が損なわれるのを防止することができる。
【0047】
図1から
図3に示すように、このシャワー装置1には、使用者が原水吐出と混合水吐出との切り換えを視認することができるように表示機構を設けている。
この表示機構は、シャワー装置1の外面を形成するケーシングの一部である外筒4に形成した表示窓31と、薬剤収容部7の外面に形成した2つの表示32a、32bとからなる。
【0048】
表示窓31は、外筒4の周面に形成した開口に樹脂等からなる透明な板材を嵌め込み、接着剤による接着や超音波溶着等の溶着で固定して形成される。
図4、
図5に示すように、薬剤収容部7の外面のうち、混合水吐出の位置で表示窓31に面する部分には、円形の突起や「混合水」の文字等の混合水表示32aを形成している。
また、薬剤収容部7の外面のうち、原水吐出の位置で表示窓31に面する部分には四角形の突起や「原水」の文字等の原水表示32bを形成している。
なお、表示32a、32bには、突起、刻印、印刷その他のあらゆる表示を採用してよい。
【0049】
これにより、混合水吐出の位置では使用者が表示窓31から混合水表示32aを視認し(
図1(a))、原水吐出の位置では使用者が表示窓31から原水表示32bを視認して(
図3(a))、混合水と原水との切り換えを把握することができる。
また、表示32a、32bがシャワー装置1の内部の薬剤収容部7に形成されているため、使用者の手や他の物によって剥がれるおそれがない。
さらに、表示32a、32bが原水流路8中に配置されているため、原水の流れによって自動的に洗浄し、汚れを付着しにくくすることができる。
【0050】
また、交換部品である薬剤収容部7に表示を設けたことにより、表示32a、32bの初期不良や後発的な破損があっても、薬剤収容部7を交換することにより比較的容易に且つ低コストで適切な表示機構に交換することができる。
さらに、交換部品である薬剤収容部7に表示を設けたことにより、薬剤収容部7の薬剤の種類に応じて、異なる混合水表示32aを設けることができる。
たとえば、オレンジの芳香剤を収容した薬剤収容部7の混合水表示32aには「オレンジ」の文字等を形成し、レモンの芳香剤を収容した薬剤収容部7の混合水表示32aには「レモン」の文字等を形成して、区別できるようにする。
これにより、混合水による効果をより詳細に使用者に知らせることができる。
【0051】
なお、第一実施形態では、混合水吐出時にも水の一部が原水流路8(薬剤収容部7の外周)を通過するが、混合水吐出時には薬剤収容部7の外周の流路が閉鎖され、水が薬剤収容部7の内部のみを通過する構造としてもよい。
【0052】
また、薬剤収容部7は薬剤を使い切った後に新品と交換するカートリッジとして形成されているが、空になった薬剤収容部7に薬剤を補充して再度使用する非交換部品としてもよい。
【0053】
<第二実施形態>
第二実施形態のシャワー装置1では、第一実施形態と異なる構成の流路切換弁を設けている。
図7(a)に示すように、収容部上流弁は、基端コネクタ3に固定され外筒4の内部に配置された弁座33と、この弁座33に水密に当接することができるパッキン34と、パッキン34を弁座33へ付勢するコイルスプリング35と、薬剤収容部7から上流に突出形成されたスペーサ36とからなる。
【0054】
弁座33は、薬剤収容部7の上流の原水流路8中に配置される部品であって、中央に弁座流路を穿設している。
パッキン34は弁座33の入口よりも大径に形成されるとともに弁座33の上流に配置され、弁座33に押し付けられると弁座流路を塞ぐことができる。
コイルスプリング35は、基端コネクタ3の一部と、パッキン34とに当接して、パッキン34を弁座33へ付勢する。
【0055】
図10に示すように、スペーサ36は、薬剤収容部7から上流に突出形成された筒形状の部分で、弁座流路よりも細いため、弁座流路を通ってパッキン34を押すことができる。
スペーサ36の内部は、薬剤収容部7の内部に連通している。
スペーサ36の先端付近には、薬剤収容部7への入口となる複数の切り欠きが形成されている。
【0056】
図7(a)に示すように、収容部下流弁は、薬剤収容部7の下流端に設けられた弁座37と、この弁座37に水密に当接することができるパッキン38と、パッキン38に一体に取り付けられるスペーサ39と、スペーサ39およびパッキン38を弁座へ付勢するコイルスプリング40とからなる。
【0057】
図10に示すように、弁座37は、薬剤収容部7の下流端(上端)に形成された筒状の部分で、中央に薬剤収容部7の内部に連通する出口を穿設している。
弁座37の周端では、スペーサ39の凸部に合致する三角形状のスペーサ受け溝41が周上2箇所に凹設されている。
【0058】
図7(a)に示すように、パッキン38は弁座37の出口よりも大径に形成されるとともに弁座37の下流に配置され、弁座37に押し付けられると出口を塞ぐことができる。
また、パッキン38の下流側には、弾性変形によってスペーサ39に取り付けられる装着部分が形成されている。
【0059】
図10に示すように、スペーサ39は、中央にパッキン38を装着する孔を有する円板から上流側に円筒を延出した形状に形成されている。
スペーサ39の上流端面からは、スペーサ受け溝41に合致する三角形状の凸部が上流に向かって突出形成されている。
また、スペーサ39は、ヘッド部6から所定距離離間するとヘッド部6に係止して離間を制限する3つの鉤状部分42を下流側に突出形成している。スペーサ39は、ヘッド部6に対して回転しないように固定されている。
【0060】
図7(a)に示すように、コイルスプリング40は、ヘッド部6の一部と、スペーサ39とに当接して、スペーサ39およびパッキン38を弁座37へ付勢する。
【0061】
外筒4の上流側では、
図7(a)に示すように、外部に露出した操作リング10が外筒4に対して回転可能に取り付けられている。
図7(b)(c)に示すように、操作リング10は、ピン24と回転不能に取り付けられている。このピン24は、外筒4の周方向に延設された第一ピンガイド43を貫通し、外筒4内部の中継筒体25の外周面に斜めに刻設された第二ピンガイド44に係合している。
操作リング10を外筒4に対して回転させると、ピン24が第一ピンガイド43および第二ピンガイド44をスライドする(
図7(b)、
図8(b)、
図9(b))。操作リング10の回転可能範囲は、第一ピンガイド43の範囲によって制限されている。
【0062】
操作リング10と中継筒体25とは互いに回転することができ、中継筒体25と外筒4とも互いに回転することができる。
また、
図7(d)に示すように、中継筒体25の上流側端部が薬剤収容部7の一部に挟まれて、回転不能に取り付けられているため、操作リング10と薬剤収容部7とも一体になって回転するようになっている。
中継筒体25と薬剤収容部7とがこのように取り付けられることにより、薬剤収容部7を交換しても必ず決まった角度位置で中継筒体25に取り付けることができる。
【0063】
このシャワー装置1においても、
図7に示す操作リング10の回転可能範囲の一端では、混合水吐出となる。
このとき、収容部上流弁では、コイルスプリング35の付勢力に反してスペーサ36がパッキン34を押し下げ、パッキン34が弁座33から離間され、原水流路8の水の一部がスペーサ39の切り欠きから薬剤収容部7に流入することができる。
また、収容部下流弁でも、スペーサ39が弁座37のスペーサ受け溝41以外の部分に当接することにより、コイルスプリング35の付勢力に反してパッキン34が弁座33から離間され、薬剤収容部7内の水が出口から原水流路8に合流することができる。
このとき、ピン24は、斜めに形成された第二ピンガイド44の上端に位置している(
図7(b))。
【0064】
シャワー装置1の内部では、取り入れ口2から供給された水が原水流路8を通過するとともに、原水流路8の水の一部が分岐して薬剤収容部7に流入し、薬剤を溶出させて、原水流路8に合流する。このため、ヘッド部6の散水口5からは、薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0065】
操作リング10および薬剤収容部7を混合水吐出の位置から少し回転させると、
図8に示す中間位置となる。
中間位置ではピン24が第一ピンガイド43および第二ピンガイド44をスライドするが、第一ピンガイド43が周方向に延設されているのに対し、第二ピンガイド44は周方向に対して斜めに延設されている。このため、ピン24が第二ピンガイド44を下方にスライドすると、中継筒体25および薬剤収容部7が、外筒4および操作リング10に対して徐々に上方(下流側)に移動する(
図8(b))。
【0066】
収容部上流弁では、スペーサ36が徐々に上方に移動することにより、パッキン34が徐々に弁座33に近づいて、原水流路8から薬剤収容部7に流入する流路が徐々に狭くなっていき、最終的には弁座33がパッキン34によって塞がれる。
収容部下流弁では、スペーサ39が弁座37のスペーサ受け溝41以外の部分に当接し続けているため、コイルスプリング40の付勢力に反してパッキン38が弁座37から離間され続けている。
【0067】
シャワー装置1の内部では、原水流路8の水が薬剤収容部7に入口から流入することはできないが、薬剤収容部7内の水は出口から原水流路8に合流することができる。このため、ヘッド部6の散水口5からは、微量の薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0068】
操作リング10をこの中間位置から回転可能範囲の反対端まで回動させると、
図9に示す原水吐出となる。
中間位置でピン24は第二ピンガイド44の下端に到達している(
図8(b))ため、中間位置から原水吐出の位置まで操作リング10を回転させる間は、ピン24が第一ピンガイド43をスライドし、中継筒体25および薬剤収容部7が操作リング10と一体になって外筒4(シャワー装置1)に対して回転する。
【0069】
原水吐出の位置において、収容部上流弁では、弁座33がパッキン34によって塞がれている。
収容部下流弁では、スペーサ39が回転によって弁座37のスペーサ受け溝41に合致し、コイルスプリング40の付勢力によってパッキン38が弁座37に押し付けられ、薬剤収容部7の出口が塞がれる。
【0070】
シャワー装置1の内部では、水が薬剤収容部7の外周の原水流路8のみを流れ、ヘッド部の散水口からは、薬剤を含有しない原水が吐出される。
【0071】
操作リング10および薬剤収容部7を原水吐出の位置から混合水吐出の位置まで逆回転させると、ピン24が第一ピンガイド43および第二ピンガイド44を逆向きにスライドすることにより、中継筒体25および薬剤収容部7を下方(上流側)へ移動させるため、収容部上流弁ではスペーサ36がコイルスプリング35の付勢力に反してパッキン34を弁座33から離間させる。
収容部下流弁ではスペーサ39が弁座37に対して回転しスペーサ受け溝41からずれて、コイルスプリング40の付勢力に反してパッキン38が弁座37から離間させられる。
したがって、ヘッド部6の散水口5からは、薬剤を含有する混合水が吐出される。
【0072】
第二実施形態のシャワー装置1でも、
図8(a)に示すように、流路切換弁を混合水吐出の位置から原水吐出の位置まで移行する間に、収容部上流弁を閉鎖させて収容部下流弁を開放させる位置を設けたことにより、薬剤収容部7内の水が収容部下流弁から原水流路8へ流出して水圧を軽減させるため、混合水流路9の水流を遮断することにより薬剤収容部内7の水圧が急上昇することがなく、水圧による薬剤収容部7の破損を防止することができる。
さらに、薬剤収容部7内の水圧が急上昇しないため、混合水吐出から原水吐出への切り換え操作に必要な力を小さくすることができる。
【0073】
また、第二実施形態で混合水吐出から原水吐出へ切り換えると、薬剤収容部7が外筒4に対して回転するとともに上下方向に移動するため、
図10に示すように、混合水表示32aと原水表示32bとを互いに斜めに配置している。
これにより、混合水吐出時には混合水表示32aが表示窓31に面し(
図7(a))、原水吐出時には原水表示32bが表示窓31に面する(
図9(a))。