特許第5778714号(P5778714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778714
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】投影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20150827BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20150827BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20150827BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 D
   G03B21/62
   H04N5/74 C
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-91898(P2013-91898)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-235268(P2013-235268A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2013年4月25日
(31)【優先権主張番号】101115978
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503133874
【氏名又は名称】揚明光學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】蔡 志賢
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−047366(JP,A)
【文献】 特開2003−337382(JP,A)
【文献】 特開2008−158173(JP,A)
【文献】 特開2006−159931(JP,A)
【文献】 特開2006−011237(JP,A)
【文献】 特開2009−258621(JP,A)
【文献】 特開2010−128252(JP,A)
【文献】 特開2008−089933(JP,A)
【文献】 特開平07−218893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
H04N 5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影スクリーンと投影装置とを含む投影システムであって、
前記投影スクリーンは、複数の光学微細構造を有し、前記複数の光学微細構造は、第一方向に沿って配列され前記投影スクリーンは、相対する第一側辺及び第二側辺を有し、前記各光学微細構造は、第一側面及び第二側面を有し、前記第一側面は、前記第一側辺に面し、前記第二側面は、前記第二側辺に面し、前記第一側面は、前記第一側辺に対して傾斜し、前記第二側面は、前記第二側辺に対して傾斜し、且つ前記第一側面及び前記第二側面の傾斜方向は、相反し、前記投影装置が前記第一側辺に対応する第一位置から前記第二側辺に対応する第二位置に移動した時に、一部の画像光束は、前記第一側面により全反射されて前記投影スクリーンの前記第二側辺に面して偏し、他の一部の前記画像光束は、前記第一側面により屈折されて前記投影スクリーンの前記第一側辺に面して偏し
前記投影装置は、前記第一方向に沿って前記投影スクリーンに対して移動し
前記投影装置は、
照明光束を提供する照明ユニットと、
前記照明光束の伝播経路に配置され、前記照明光束を前記画像光束に変換する光バルブと、
前記画像光束の伝播経路に配置される投影レンズと、を含み、
前記画像光束は、前記投影レンズを経由して前記投影スクリーンに伝播し、
前記投影レンズは、第二方向に沿って前記光バルブに対して移動し、前記第一方向は、前記第二方向と相反する方向である、投影システム
【請求項2】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記投影レンズは、光軸を有し、前記光バルブは、中心軸線及び前記投影レンズに面する工作面を有し、前記中心軸線は、前記工作面の中心を通過し且つ前記工作面と垂直に設置され、
前記投影装置前記第一位置から前記第二位置に移動した時に、前記光軸及び前記第一側辺の間の最短距離は、前記中心軸線及び前記第一側辺の間の最短距離より小さい、投影システム。
【請求項3】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記第一側面及び前記第二側面に接続される底面を有し、前記底面の法線ベクトルは、前記第一方向と実質的に垂直である、投影システム。
【請求項4】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記投影装置前記第一方向に沿って前記第二位置から前記第一位置に移動した時に、一部の前記画像光束は、前記第一側面により全反射されて前記投影スクリーンの前記第二側辺に面して偏し、他の一部の前記画像光束は、前記第二側面により屈折されて前記投影スクリーンの前記第二側辺に面して偏する、投影システム。
【請求項5】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記複数の光学微細構造は、複数の三角プリズムであり、前記各三角プリズムの延伸方向は、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向と垂直交錯し、前記各三角プリズムの両面には前記第一側面と前記第二側面を提供する、投影システム。
【請求項6】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記投影レンズは、光軸を有し、前記複数の光学微細構造は、前記光軸及び前記第一側辺の間に位置する複数の第一サブ光学微細構造、及び、前記光軸及び前記第二側辺の間に位置する複数の第二サブ光学微細構造を有し、前記投影レンズに面する前記光バルブの工作面は、第一画面領域及び第二画面領域を有し、前記第一画面領域の位置は、前記光軸及び前記第一側辺の間に位置する前記投影スクリーンに対応し、前記第二画面領域の位置は、前記光軸及び前記第二側辺の間に位置する前記投影スクリーンに対応し、前記第一画面領域を通過した一部の前記画像光束は、前記複数の第二サブ光学微細構造の導引により、前記投影スクリーンの前記第二側辺に面して偏し、前記第二画面領域を通過した一部の前記画像光束は、前記複数の第一サブ光学微細構造の導引により、前記投影スクリーンの前記第一側辺に面して偏する、投影システム。
【請求項7】
請求項6に記載の投影システムであって、
前記光バルブの前記工作面は、補償領域を更に有し、前記補償領域は、前記第一画面領域及び前記第二画面領域の間に位置し、且つ前記光軸は、前記補償領域を通過する、投影システム。
【請求項8】
請求項1に記載の投影システムであって、
前記投影装置に接続される駆動ユニットを更に含み、
前記駆動ユニットは、前記投影装置が前記第一方向に沿って前記投影スクリーンに対して移動するようにさせ、前記投影レンズが前記第二方向に沿って前記光バルブに対して移動するようにさせる、投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システムに関し、特に、車両内に用いる可動式投影装置を含む投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、従来の車上表示システムにより、運転手及び乗客が観賞を同時に行うことができる。しかし、近年、運転手が運転している時に車用情報(例えば、ナビゲーション画面)以外の娯楽用画面を見ることは、政府関連機関により禁止されている。よって、同時に2種類の画面を提供することができる車用表示システムは、既に業者により提案されており、この2種類の画面のうち、一つ(例えば、ナビゲーション画面)は、運転手が所在する位置に面して送られ、もう一つ(例えば、娯楽用画面)は、乗客が所在する位置に面して送られる。このようにして、運転手及び乗客は、それぞれ、所要の画面を同時に観賞することができ、且つ運転手は、政府相関機関の規定に違反することもない。しかし、このような車用表示システムでは、運転手が画面を見る条件が限定されており、使用者のニーズに応じて対応する調整を行うことができない。
【0003】
米国特許第7580186号には、表示ユニット、柱状レンズスクリーン(lenticular screen)、及びレンズ構造を含む車用のマルチビューディレクショナルディスプレイが開示されている。米国特許公開第20070177113号には、照明光束を提供する光源、反射ミラー、集光レンズ、光バルブ、及び投影レンズ群を含むデジタル画像投影システムが開示されている。米国特許第7443582号には、スクリーン及び投影機が開示されており、そのうち、投影機及びスクリーンの相対位置は、調整され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、異なる観賞者の多種多様なニーズを満足することができる種投影システムを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目の及び利点は、本発明に開示される技術的特徴から更なる理解を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の一つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、投影システムが提供される。この投影システムは、投影スクリーン及び投影装置を含む。投影スクリーンは、複数の光学微細構造を有する。これらの光学微細構造は、第一方向に沿って配列される。投影装置は、第一方向に沿って投影スクリーンに対して移動することができる。投影装置は、照明光束を提供する照明ユニット、照明光束の伝播経路に配置される光バルブ、及び投影レンズを含む。光バルブは、照明光束を画像光束に変換するために用いられる。投影レンズは、画像光束の伝播経路に配置される。画像光束は、投影レンズを経由して投影スクリーンに伝播(到着)する。投影レンズは、第二方向に沿って光バルブに対して移動することができる。第一方向は、第二方向と相反する。
【0007】
本発明の一実施例では、上述の投影スクリーンは、相対する第一側辺及び第二側辺を有する。投影装置は、第一方向に沿って、第一側辺に対応する第一位置から、第二側辺に対応する第二位置に移動した時に、画像光束は、投影スクリーンに伝播した後に、光学微細構造の導引により、投影スクリーンの第一側辺に面して偏する。
【0008】
本発明の一実施例では、上述の投影レンズは、光軸を有する。光バルブは、中心軸線及び上述の投影レンズに面する工作面を有する。中心軸線は、工作面の中心を通過し且つ工作面と垂直に設置される。投影装置は第一位置から第二位置に移動した時に、光軸と第一側辺と最短距離は、中心軸線と第一側辺との最短距離より小さい。
【0009】
本発明の一実施例では、上述の各光学微細構造は、第一側面、第二側面、並びに、第一側面及び第二側面に接続される底面を有する。第一側面は、第一側辺に面する。第二側面は、第二側辺に面する。底面の法線ベクトルは、第一方向と実質的に垂直である。第一側面及び第二側面は、底面に対して傾斜する。第一側面及び第二側面の傾斜方向は相反する。
【0010】
本発明の一実施例では、上述の投影装置は、第一方向に沿って、第一側辺に対応する第一位置から、第二側辺に対応する第二位置に移動した時に、一部の画像光束は、第二側面により全反射され、投影スクリーンの第一側辺に面して偏し、他の一部の画像光束は、第一側面により屈折され、投影スクリーンの第一側辺に面して偏する。
【0011】
本発明の一実施例では、上述の投影装置は、第一方向に沿って、第二側辺に対応する第二位置から、第一側辺に対応する第一位置に移動した時に、一部の画像光束は、第一側面により全反射され、投影スクリーンの第二側に面して偏し、他の一部の画像光束は、第二側面により屈折され、投影スクリーンの第二側辺に面して偏する。
【0012】
本発明の一実施例では、上述の光学微細構造は、例えば、複数のプリズム(prism)である。各プリズムの延伸方向は、それぞれ、第一方向及び第二方向と垂直交差する。
【0013】
本発明の一実施例では、上述の投影レンズは、光軸を有する。複数の光学微細構造は、光軸と第一側辺との間に位置する複数の第一サブ光学微細構造、及び、光軸と第二側辺との間に位置する複数の第二サブ光学微細構造を含む。投影レンズに面する光バルブの工作面は、第一画面領域及び第二画面領域を有する。第一画面領域の位置は、光軸と第一側辺との間に位置する投影スクリーンに対応する。第二画面領域の位置は、光軸と第二側辺との間に位置する投影スクリーンに対応する。第一画面領域を通過した一部の画像光束は、第二サブ光学微細構造の導引により、投影スクリーンの第二側辺に面して偏する。第二画面領域を通過した一部の画像光束は、第一サブ光学微細構造の導引により、投影スクリーンの第一側辺に面して偏する。
【0014】
本発明の一実施例では、上述の光バルブの工作面は、補償領域を更に有する。補償領域は、第一画面領域と第二画面領域との間に位置し、且つ光軸は、補償領域を通過する。
【0015】
本発明の一実施例では、上述の投影システムは、駆動ユニットを更に含む。駆動ユニットは、投影装置に接続される。駆動ユニットは、投影装置を第一方向に沿って投影スクリーンに対して移動させ、投影レンズを第二方向に沿って光バルブに対して移動させるために用いられる。
【0016】
上述によれば、本発明の実施例は、次のような利点、機能又は効果の少なくとも一つを達成することができる。本発明の好適な実施例では、投影スクリーンの光学微細構造及び投影装置の投影方向の間の組み合わせにより、投影装置が発した画像光束を特定の領域に伝播させることができる。これにより、本発明の一実施例による投影システムは、使用者の多種多様なニーズを満足することができる。
【0017】
本発明の上述の特徴及び利点をより明確且つ分かりやすくするために、以下、実施例を挙げて、添付した図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例による投影システムを示す図である。
図2図1の投影スクリーンの局所及び画像光束が投影スクリーンの局所に伝播する様子を示す図である。
図3図1の投影装置が第二位置から第一位置に移動する様子を示す図である。
図4図3の投影スクリーンの局所及び画像光束が投影スクリーンの局所に伝播する様子を示す図である。
図5】運転手のみが本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。
図6】乗客のみが本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。
図7】運転手及び乗客が共に本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。
図8】運転手及び乗客がそれぞれ本発明の一実施例による投影システムにより異なる画面を同時に見ることができる様子を示す図である。
図9図8の光バルブの工作面を示す図である。
図10】運転手及び乗客がそれぞれ本発明の一実施例による投影システムにより異なる画面を同時に見ることができる様子を示す図である。
図11図10の光バルブの工作面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0020】
なお、次の各実施例の説明は、添付した図面を参照して行われたものであり、本発明の実施可能な特定の実施例を例示するために用いられる。また、次の各実施例に言及びした方向の用語、例えば、上、下、前、後、左、右などは、添付した図面の方向を参考するためのもののみである。よって、以下に使用された方向の用語は、説明するために用いられ、本発明を限定するためのものでない。
【0021】
図1は、本発明の一実施例による投影システムを示す図である。図1を参照する。本実施例による投影システム100は、投影スクリーン110及び投影装置120を含む。投影スクリーン110は、投影装置120からの画像光束L2を受けるために用いられる。投影スクリーン110は、複数の光学微細構造112を有する。投影スクリーン110は、散乱用粒子114を更に有する。本実施例では、光学微細構造112は、投影装置120の投影方向(即ち、画像光束L2が投影装置100から離れた後の伝播方向)と組み合わせることにより、画像光束L2を特定の方向に面して伝播させることができる。画像光束L2は投影スクリーン110に伝播した時に、散乱用粒子114は画像光束L2による出射光を更に均一させることができる。
【0022】
本実施例による投影装置120は、照明ユニット122、光バルブ124、及び投影レンズ126を含む。照明ユニット122は、照明光束L1を提供するために用いられる。光バルブ124は、照明光束L1の伝播経路に配置される。光バルブ124は、照明光束L1を画像光束L2に変換するために用いられる。画像光束L2とは、画像情報を携帯する光束を指す。投影レンズ126は、画像光束L2の伝播経路に配置される。投影レンズ126は、画像光束L2を投影スクリーン110に伝播させて画面(図示せず)を形成させるために用いられる。
【0023】
なお、本実施例では、複数の光学微細構造112は第一方向D1に沿って配列される。投影装置120は第一方向D1に沿って投影スクリーン110に対して移動する場合、投影レンズ126は第二方向D2に沿って光バルブ124に対して移動することができる。第一方向D1は、第二方向D2と相反する方向である。具体的に言えば、投影スクリーン110は、相対する第一側辺110a及び第二側辺110bを有する。投影装置120全体(照明ユニット122、光バルブ124、及投影レンズ126を含み)は、第一側辺110aに対応する第一位置P1から、第一方向D1に沿って、第二側辺110bに対応する第二位置P2に移動する時に、投影レンズ126は、第一方向D1と相反する第二方向D2に沿って光バルブ124に対して移動することができる。更に言うと、本実施例による投影システム100は、投影装置120に接続される駆動ユニット130を更に含む。駆動ユニット130は、投影装置120が投影スクリーン110に対する移動方向を制御するために用いられると同時に、投影レンズ126が光バルブ124に対する移動方向を制御するためにも用いられる。
【0024】
本実施例では、各光学微細構造112は第一側面112a、第二側面112b、並びに、第一側面112a及び第二側面112bに接続される底面112cを有する。第一側面112aは、投影スクリーン110の第一側辺110aに面する。第二側面112bは、投影スクリーン110の第二側辺110bに面する。底面112cの法線ベクトルは、実質的に、第一方向D1と垂直である。第一側面112a及び第二側面112bは底面112cに対して傾斜し、且つ第一側面112a及び第二側面112bの傾斜方向は相反する。例えば、本実施例における光学微細構造112は、三角プリズム(triangular prism)であってもよい。光学微細構造112の延伸方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と交差してもよい。本実施例では、光学微細構造112の延伸方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2と垂直である。
【0025】
本実施例では、第一側面112a及び底面112cの夾角θ1と、第二側面112b及び底面112cの夾角θ2とは、等しくてもよい。換言すると、本実施例における光学微細構造112は、二等辺三角プリズムであってもよい。しかし、本発明における光学微細構造の形状は、光学微細構造112に限定されず、他の実施例では、第一側面112a及び底面112cの夾角θ1、並びに、第二側面112b及び底面112cの夾角θ2は、実際のニーズに応じて適切に調整してもよい。また、本発明における光学微細構造の形状も、三角プリズムに限定されない。
【0026】
図1に示すように、本実施例による投影装置120は第一位置P1から第二位置P2に移動した時に、投影装置120が発した画像光束L2は光学微細構造112の導引により投影スクリーン110の第一側辺110aに偏することができる。以下、そのメカニズムについて詳しく説明する。
【0027】
再び図1を参照する。本実施例における投影レンズ126は、光軸X1を有する。光バルブ124は、中心軸線X2及び工作面124aを有する。中心軸線X2は、工作面124aの中心を通過し且つ工作面124aと垂直である。投影装置120は第一位置P1から第二位置P2に移動した時に、投影レンズ126の光軸X1及び第一側辺110aの間の最短距離d1は、光バルブ124の中心軸線X2及び第一側辺110aの間の最短距離d2より小さくてもよい。この時に、投影レンズ126の結像作用により、光バルブ124からの画像光束L2は、光軸X1の左側から光軸X1の右側へ伝播し、投影スクリーン110に実像を形成することができる。簡単に言うと、投影装置120全体の移動方向と、投影レンズ126が光バルブ124に対する移動方向とが相反するという作動方式で、投影装置120の投影方向(即ち、画像光束L2が投影装置120から離れた後の伝播方向)は、大抵、投影装置120全体の移動方向と相反する方向に向かう。
【0028】
続いて、投影装置120の投影方向と、投影スクリーン110の光学微細構造112との組み合わせにより、画像光束L2は、特定の方向に偏することで、本実施例による投影システム100は、使用者の観賞角度を限定する目的を達成することができる。図2は、図1の投影スクリーンの局所及び画像光束が投影スクリーンの局所に伝播する様子を示す図である。図1及び図2を参照する。投影装置120が発した画像光束L2は投影スクリーン110に進入した後に、一部の画像光束L2′は(図2に示す)第二側面112bにより全反射されて投影スクリーン110の第一側辺110aに偏することができる。他の一部の画像光束L2′′は(図2に示す)第一側面112aにより屈折されて投影スクリーン110の第一側辺110aに偏することができる。この時に、図1に示すように、画像光束L2は、図1の右上に伝播することができ、これにより、特定の位置に位置する使用者は、画像光束L2に携帯される画面を見ることができる。また、使用者の異なるニーズに応じて、光学微細構造112の第一側面112a及び底面112cの夾角θ1、並びに、第二側面112b及び底面112cの夾角θ2を変更することにより、画像光束L2が投影スクリーン110を通過した後に偏しようとする方向を調整することもできる。
【0029】
図3は、図1の投影装置が第二位置から第一位置に移動する様子を示す図である。図3を参照する。投影装置120は第一方向D1′に沿って第二位置P2から第一位置P1に移動する過程で、投影レンズ126は第一方向D1′と相反する第二方向D2′に沿って光バルブ124に対して移動することができる。投影装置120は第二位置P2から第一位置P1に移動した時に、投影レンズ126の光軸X1及び第二側辺110bの間の最短距離d1′は、光バルブ124の中心軸線X2及び第二側辺110bの間の最短距離d2′より小さくてもよい。この時に、投影レンズ126の結像作用により、光バルブ124から画像光束L2は、光軸X1の右側から光軸X1の左側へ伝播し、これにより、投影スクリーン110に実像を形成することができる。
【0030】
図4は、図3の投影スクリーンの局所及び画像光束が投影スクリーンの局所に伝播する様子を示す図である。図3図4を参照する。投影装置120は第一方向D1′に沿って第二位置P2から第一位置P1に移動した時に、一部の画像光束L2′は(図4に示す)第一側面112aにより全反射されて投影スクリーン110の第二側辺110bに偏することができ、他の一部の画像光束L2′′は(図4に示す)第二側面112bにより屈折されて投影スクリーン110の第二側辺110bに偏することができる。この時に、図3に示すように、画像光束L2は、図3の左上に伝播し、これにより、特定の位置に位置する使用者は、画像光束L2に携帯される画面を見ることができる。
【0031】
車載応用の面では、本実施例による投影システム100は、車両内に設置することができ、また、使用者のニーズに応じて各種の異なる機能を達成することもできる。以下、図5図7を参照しながら例を挙げて説明を行う。図5は、運転手のみが本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。図5を参照する。投影スクリーン110の第一側辺110aに近い運転手のみは、投影システム100が投影スクリーン110において提供した画面(例えば、ナビゲーション画面)を見ようとする時に、投影装置120は、駆動ユニット130により第二位置P2に移動することができる。この時に、画像光束L2は、投影スクリーン110から離れた後に図5の右上に面して伝播することができ、これにより、運転手のみは、画面を見ることができる。一方、投影装置120が投影した画像光束L2は、投影スクリーン110の光学微細構造112により偏され又は全反射されることにより、画像光束L2は、投影スクリーン110から離れた後に、図5の右上に面して伝播するので、図5の左上に位置する乗客、即ち、投影スクリーン110の第二側辺110bに近い乗客は、画面を見ることができない。よって、乗客は、この画面から影響を受けることがない。
【0032】
図6は、乗客のみが本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。図6を参照する。投影スクリーン110の第二側辺110bに近い乗客のみは、投影システム100が投影スクリーン110において提供した画面(例えば、娯楽用画面)を見ようとする時に、投影装置120は、駆動ユニット130により第一位置P1に移動することができる。この時に、画像光束L2は、投影スクリーン110から離れた後に図6の左上へ伝播することができ、これにより、乗客は、画面を見ることができる。一方、投影装置120が投影した画像光束L2は、投影スクリーン110の光学微細構造112により偏され又は全反射されることにより、画像光束L2は、投影スクリーン110から離れた後に図6の左上に面して伝播するので、図6の右上に位置する運転手、即ち、投影スクリーン110の第一側辺110aに近い運転手は、この画面(例えば、娯楽用画面)を見ることができない。よって、運転手は、この画面から影響を受けて交通安全法に違反することがない。
【0033】
図7は、運転手及び乗客が共に本発明の一実施例による投影システムにより投影された画面を見ることができる様子を示す図である。図7を参照する。運転手及び乗客は共に投影システム100が投影スクリーン110において提供した画面(例えば、娯楽用画面)を見ようとする時に、投影装置120は駆動ユニット130により第一位置P1及び第二位置P2の間に移動することができる。この時に、画像光束L2が投影スクリーン110の光学微細構造112を通過した後にカバーする範囲は、運転手及び乗客の所在位置を含み、これにより、運転手及び乗客は、同一の画面を同時に観賞することができる。
【0034】
なお、本実施例による投影システム100は、さらに、運転手及び乗客に、それぞれ異なる画面を同時に観賞させることができる。以下、図8及び図9を参照しながら詳しい説明を行う。図8は、運転手及び乗客がそれぞれ本発明の一実施例による投影システムにより異なる画面を観賞することができる様子を示す図である。図9は、図8の光バルブの工作面を示す図である。図8を参照する。本実施例では、光学微細構造112は、投影レンズ126の光軸X1及び第一側辺110aの間に位置する複数の第一サブ光学微細構造112′、並びに、光軸X1及び第二側辺110bの間に位置する複数の第二サブ光学微細構造112′′を含む。図8及び図9を参照する。光バルブ124の工作面124aは、第一画面領域A及び第二画面領域Bを有する。第一画面領域Aの位置は、光軸X1及び第一側辺110aの間の投影スクリーン110に対応する。第二画面領域Bの位置は、光軸X1及び第二側辺110bの間の投影スクリーン110に対応する。第一画面領域Aに表示の画面と、第二画面領域Bに表示の画面とは、異なってもよい。例えば、第一画面領域Aには、乗客に提供しようとする娯楽用画面が表示されてもよく、第二画面領域B可には、運転手に提供しようとするナビゲーション画面が表示されてもよい。
【0035】
本実施例では、第一画面領域Aを通過した一部の画像光束L2-Aは、投影スクリーン110の第二サブ光学微細構造112′′の導引により、第二側辺110bに偏することができる。この時に、図8の左上に位置する乗客、即ち、投影スクリーン110の第二側辺110bに近い乗客は、第一画面領域Aが光軸X1及び第二側辺110bの間の投影スクリーン110において提供した画面(例えば、娯楽用画面)を観賞することができる。第二画面領域Bを通過した一部の画像光束L2-Bは、投影スクリーン110の第一サブ光学微細構造112′の導引により、第一側辺110aに偏することができる。この時に、図8の右上に位置する運転手、即ち、投影スクリーン110の第一側辺110aに近い運転手は、第二画面領域Bが光軸X1及び第一側辺110aの間の投影スクリーン110において提供した画面(例えば、ナビゲーション画面)を観賞することができる。
【0036】
また、本実施例では、第一画面領域Aは第二画面領域Bに直接接続されるので、光軸X近傍の画像光束L2-A及び画像光束L2-Bの間は、境界線がはっきりとしていない問題が存在する可能性がある。この問題を改善するために、光バルブの工作面は、第一画面領域及び第二画面領域の間の補償領域を更に有してもよい。以下、図10及び図11を参照しながら、補償領域により、境界線がはっきりとしていない問題を改善するメカニズムを詳しく説明する。
【0037】
図10は、運転手及び乗客がそれぞれ本発明の一実施例による投影システムにより異なる画面を観賞することができる様子を示す図である。図11は、図10の光バルブの工作面を示す図である。図10及び図11を参照する。上述の境界線がはっきりとしていない問題を改善するために、光バルブ124の工作面124aは、第一画面領域A及び第二画面領域Bの間に位置する補償領域Cを更に有し、そのうち、光軸X1は、補償領域Cを通過する。補償領域Cに伝播(到着)した照明光束Lは、スクリーン110に伝播することができない。換言すると、光バルブ124の補償領域Cは、照明光束Lが補償領域Cを通過することを阻止することができ、或いは、補償領域Cに伝播した照明光束Lを他の方向に導引させて投影スクリーン110に伝播させないようにすることができる。補償領域Cの隔離により、光軸Xは、第一画面領域Aの境界a(図11に示す)及び第二画面領域Bの境界b(図11に示す)を通過しないようになる。この時に、第一画面領域A及び第二画面Bは、はっきりと分けられ、光軸Xの相対する両側に位置するようになる。このようにして、第一画面領域Aからの画像光束L2-Aは、投影レンズ126を通過した後に、完全に光軸X1の左側に位置することができ、第二画面領域Bからの画像光束L2-Bは、完全に光軸X1の右側に位置することができ、これにより、上述の境界線がはっきりとしていない問題を改善することができる。
【0038】
以上述べたところを総合すれば、本発明の実施例は、次のような利点、機能又は効果の少なくとも一つを達成することができる。本発明の好適な実施例では、投影スクリーンの光学微細構造及び投影装置の投影方向の間の組み合わせにより、投影装置が発した画像光束を特定の領域に伝播させることができる。これにより、本発明の一実施例による投影システムは、使用者の多種多様なニーズを満足することができる。
【0039】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の精神と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目の又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の部分と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及びしている「第一」、「第二」等の用語は、要素(element)に名前を付け、または、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0040】
100:投影システム
110:投影スクリーン
110a:第一側辺
110b:第二側辺
112:光学微細構造
112′:第一サブ光学微細構造
112′′:第二サブ光学微細構造
112a:第一側面
112b:第二側面
112c:底面
114:散乱用粒子
120:投影装置
122:照明ユニット
124:光バルブ
124a:光バルブの工作面
126:投影レンズ
130:駆動ユニット
A:第一画面領域
a:第一画面領域の境界
B:第二画面領域
b:第二画面領域の境界
C:補償領域
D1、D1′:第一方向
D2、D2′:第二方向
D3:光学微細構造の延伸方向
d1:光軸と第一側辺との間の最短距離
d1′:光軸と第二側辺との間の最短距離
d2:中心軸線と第一側辺との間の最短距離
d2′:中心軸線と第二側辺との間の最短距離
L1:照明光束
L2、L2′、L2′′:画像光束
L2-A:第一画面領域の一部の画像光束
L2-B:第二画面領域の一部の画像光束
P1:第一位置
P2:第二位置
X1:投影レンズの光軸
X2:中心軸線
θ1:第一側面と底面との夾角
θ2:第二側面と底面との夾角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11