【文献】
ULRICH J T,THE ADJUVANT ACTIVITY OF MONOPHOSPHORYL LIPID A,Topics in Vaccine Adjuvant Reseach,1991年 1月 1日,p.133-143
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)コアジュバントが存在する場合、これは、alum、植物アルカロイドおよび界面活性剤からなる群より選択され、その際、植物アルカロイドはトマチンから選択され、界面活性剤はサポニン、Polysorbate 80、Span 85(登録商標)およびステアリルチロシンから選択され、
(ii)TLRアゴニストが存在する場合、これは、リポ多糖、ペプチドグリカン、polyl:C、CpG、3M003、フラジェリン、真核リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニアホモログ(LeIF)、ならびに少なくとも1種のC型肝炎抗原からなる群より選択され、
(iii)イミダゾキノリン免疫応答修飾因子が存在する場合、これは、レシキモド(R848)、イミキモドおよびガルジキモド(gardiquimod)からなる群より選択され、
(iv)コアジュバントが存在する場合、これは、サイトカイン、界面活性剤、およびブロックコポリマーまたは生物分解性ポリマーからなる群より選択され、
(v)製薬的に許容される担体が存在する場合、これは、リン酸カルシウム、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、リポソーム、および微粒子からなる群より選択される担体を含む、
請求項2に記載のワクチン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0062】
発明の詳細な説明
本発明は、そのいくつかの実施形態において、合成グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)の使用を含む、ワクチン組成物、アジュバント組成物、およびその関連する方法を提供する。GLAは、従来技術のアジュバントと比較して、具体的には、天然物質のアジュバントと比較して有利に、実質的に均質な形態で調製することができる合成免疫アジュバントを提供する。さらに、GLAは、天然物質由来のアジュバントとは違い、ラージスケールの合成化学製造により、効率的かつ経済的に調製することができる。バッチ間で品質および量にばらつきのない化学的に組成が明らかな製品を取得するために既定の出発材料から化学的に合成される合成アジュバントとして、GLAは、製品の品質管理の改善など、これまでにない利益をもたらす。驚くべきことに、3-アシル化モノホスホリルリピドAは特定の毒性を伴うが、アミン2位が単一のアシル鎖を含むとき、この分子は許容できる安全プロフィールを保持していることがわかった。さらに、3位での特異的な脱アシル化が技術上の課題を呈するため、このような化合物の合成は単純化される。従って、本発明は、安全性と合成の容易さに関して、さらなる利点を提供する。
【0063】
本明細書に記載するように、GLA含有組成物およびそれらの使用方法は、いくつかの実施形態において、「アジュバントとしての効果(adjuvanting)」を含む免疫アジュバント活性のために、製薬的に許容される担体または賦形剤と共にGLA自体を使用することを包含するが、その際、被験者へのGLA投与は、被験者における免疫応答(例えば、抗原特異的応答)の誘導または増強が所望される1種以上の抗原の被験者への投与とは、完全に独立していてもよいし、ならびに/または時間的におよび/もしくは空間的に切り離してもよい。他の実施形態は、ワクチンにより免疫応答の誘導または増強が所望される1種以上の抗原をさらに含むワクチン組成物におけるGLAの使用を包含する。本明細書に記載するように、これらのワクチン組成物はまた、関連する特定の実施形態では、1種以上のトール様受容体(TLR)アゴニスト、および/またはコアジュバントの1種以上、イミダゾキノリン免疫応答修飾因子、および二重ステムループ免疫修飾因子(dSLIM)の1以上を含んでいてもよい。他の関連する実施形態では、本明細書に記載するワクチン組成物は、GLAと、それぞれが被験者における免疫応答(例えば、抗原特異的応答)の誘導または増強が所望される抗原をコードする核酸配列に機能的に結合したプロモーターを含む、1種以上の組換え発現構築物とを含んでいてもよい。
【0064】
GLA
すでに述べたように、化学的に合成されたアジュバントであるGLAは、実質的に均質な形態で調製することができるため、これは、GLA分子に関して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは95%、さらに好ましくは96%、97%、98%または99%純粋なGLA調製物と指し、(i)非還元末端グルコサミンのヘキソサミン1位と還元末端グルコサミンのヘキソサミン6位との間でエーテル結合により非還元末端グルコサミンに結合した還元末端グルコサミンを有するジグルコサミン骨格と、(ii)非還元末端グルコサミンのヘキソサミン4位に結合したO-ホスホリル基と、(iii)6つ以下の脂肪族アシル鎖とを含んでおり、その際、上記脂肪族アシル鎖の1つが、エステル結合により還元末端グルコサミンの3-ヒドロキシに結合し、上記脂肪族アシル鎖の1つが、アミド結合により非還元末端グルコサミンの2-アミノに結合しかつエステル結合により13炭素原子以上のアルカノイル鎖に結合したテトラデカノイル鎖を含み、そして上記脂肪族アシル鎖の1つは、エステル結合により非還元末端グルコサミンの3-ヒドロキシに結合しかつエステル結合により13炭素原子以上のアルカノイル鎖に結合したテトラデカノイル鎖を含んでいる。所与のGLA調製物の純度の決定は、適当な分析化学方法学に精通する者であれば容易に実施することができ、このような方法として、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析および/または核磁気共鳴分析などがある。
【0065】
本明細書で用いるGLAは、以下の一般構造式:
【化4】
【0066】
[式中、R
1、R
3、R
5およびR
6はC
11-C
20アルキルであり;R
2およびR
4はC
12-C
20アルキルである]
を有する。
【0067】
GLAは、例えば、Avanti Polar Lipids, Inc.(Alabaster、AL;製品番号699800、ここで、R
1、R
3、R
5およびR
6はウンデシルであり、R
2およびR
4は
トリデシルである)から市販されているものを入手することができる。
【0068】
「アルキル」とは、1〜20個の炭素原子、特定の好ましい実施形態では、11〜20個の炭素原子を含む、直鎖または分枝、非環状または環状、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられ、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどが挙げられ、また、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的飽和環状アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、また、不飽和環状アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。環状アルキルは、本明細書において、「同素環(homocycle)」または「単素環」とも呼ぶ。不飽和アルキルは、隣接する炭素原子間に少なくとも1個の二重または三重結合を含む(ぞれぞれ、「アルケニル」または「アルキニル」と呼ぶ)。代表的直鎖および分岐アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられ;代表的直鎖および分岐アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニルなどが挙げられる。
【0069】
従って、本明細書で意図する特定の実施形態において、GLAは、前述した構造のいずれを有してもよく、特定の実施形態では、GLAは、以下の文献の1つ以上に開示されている脂質アジュバントのどの構造を含んでもよいことが明瞭に意図され、また他の実施形態では、このような構造のいずれも含まないことが明瞭に意図されている:米国特許第6,544,518号、EP 1531158号、WO 2001/036433、WO 97/11708、WO 95/14026、米国特許第4,987,237号、日本国特許第63010728号、日本国特許第07055906号、WO 2000/013029、米国特許第5,530,113号、米国特許第5,612,476号、米国特許第5,756,718号、米国特許第5,843,918号、WO 96/09310、米国公開番号:2004/161776、米国公開番号:2003/170249、米国公開番号:2002/176867、WO 2002/032450、WO 2002/028424、WO 2002/016560、WO 2000/042994、WO 2000/025815、WO 2000/018929、日本国特許第10131046号、WO 93/12778、EP 324455、DE 3833319、米国特許第4,844,894号、米国特許第4,629,722号。特定の実施形態によれば、GLAは3'-O-脱アシル化されていない。
【0070】
抗原
本明細書に記載するワクチン組成物、およびGLAを使用する方法のいくつかの実施形態で用いる抗原は、被験者における免疫反応性の誘導および増強が所望される、任意の標的エピトープ、分子(生体分子など)、分子複合体(生体分子を含む分子複合体を含む)、細胞内アセンブリ、細胞または組織のいずれでもよい。抗原という用語は、目的とするポリペプチド抗原を指すことが多い。しかし、本明細書で用いる場合、抗原は、目的とするポリペプチド抗原をコードする組換え構築物(例えば、発現構築物)を指すこともある。特定の好ましい実施形態では、抗原は、感染、癌、自己免疫疾患、アレルギー、喘息、または抗原特異的免疫応答の刺激が望ましいもしくは有益である、その他のあらゆる状態に関連する、感染病原体および/またはエピトープ、生体分子、細胞または組織でよく、またはそれらに由来するもの、もしくはそれらと免疫学的に交差反応性のものでもよい。
【0071】
好ましくは、特定の実施形態では、本発明のワクチン製剤は、ヒトまたはそれ以外の哺乳動物病原体に対して免疫応答を誘導することができる抗原または抗原組成物を含み、このような抗原または抗原組成物には、以下に挙げるようなウイルスに由来する組成物を挙げることができる:HIV-1(例えば、tat、nef、gp120またはgp160など)、ヒトヘルペスウイルス、例えば、gDもしくはその誘導体、またはHSV1もしくはHSV2由来のICP27のような前初期タンパク質、サイトメガロウイルス((特にヒト)例えば、gBもしくはその誘導体)、ロタウイルス(弱毒化生存ウイルスなど)、エプスタインバーウイルス(例えば、gp350もしくはその誘導体)、水痘−帯状疱疹ウイルス(例えば、gpl、IIおよびIE63)、またはB型肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原もしくはその誘導体)、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスのような肝炎ウイルス、または上記以外のウイルス病原体、例えば、パラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス(例えば、FおよびGタンパク質もしくはその誘導体)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6、11、16、18など)、フラビウイルス(例えば、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)またはインフルエンザウイルス(全生存もしくは不活性化ウイルス、卵もしくはMDCK細胞中で増殖させたスプリット・インフルエンザウイルス、または全インフルエンザウイロゾーム(Gluck、Vaccine、1992、10、915-920により記載される)またはその精製もしくは組換えタンパク質(例えば、HA、NP、NA、もしくはMタンパク質、またはそれらの組合せ)。
【0072】
他の特定の好ましい実施形態では、本発明のワクチン製剤は、ヒトまたは他の哺乳動物病原体に対して免疫応答を誘導することができる抗原または抗原組成物を含み、この抗原または抗原組成物は、以下に挙げるような1種以上の細菌病原体に由来する組成物を含んでいてもよい:ナイセリア属(Neisseria spp.)、例えば、淋菌(N. gonorrhea)および髄膜炎菌(N. meningitidis)(例:莢膜多糖およびそのコンジュゲート、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘシン);化膿レンサ球菌(S. pyogenes)(例:Mタンパク質またはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、B群連レンサ球菌(S. agalactiae)、ミュータンスレンサ球菌(S. mutans):軟性下疳菌(H. ducreyi);モラクセラ属(Moraxella spp)、例えば、カタル球菌(Branhamella catarrhalis)としても知られるモラクセラ・カタラーリス(M catarrhalis)(例:高および低分子量アドヘシンおよびインベイシン):ボルデテラ属(Bordetella spp)、例えば、百日咳菌(B. pertussis)(例:ペルタクチン、百日咳毒素またはその誘導体、繊維状血球凝集素、アデニル酸シクラーゼ、フィムブリエ)、パラ百日咳菌(B. parapertussis)および気管支敗血症菌(B.bronchiseptica);マイコバクテリウム属(Mycobacterium spp.)、例えば、ヒト結核菌(M. tuberculosis)(例:ESAT6、Antigen 85A、-85Bまたは-85C)、ウシ結核菌(M. bovis)、らい菌(M. leprae)、トリ結核菌(M. avium)、パラ結核菌(M. paratuberculosis)、スメグマ菌(M. smegmatis);レジオネラ属(Legionella spp.)、例えば、L.ニューモフィラ(L. pneumophila);エシェリキア属(Escherichia spp.)、腸管毒性大腸菌(enterotoxic E. coli)(例:定着因子、熱不安定性毒素またはその誘導体、熱安定性毒素またはその誘導体)、腸管出血性大腸菌(enterohemorragic E. coli)、腸病原性大腸菌(enteropathogenic E. coli)(例:志賀毒素様毒素またはその誘導体);ビブリオ属(Vibrio spp.)、例えば、コレラ菌(V. cholera)(例:コレラ毒素またはその誘導体);シゲラ属(Shigella spp.)、例えば、ソンネ赤痢菌(S. sonnei)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexnerii);エルシニア属(Yersinia spp.)、例えば、Y.エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)(例えば、Yopタンパク質)、ペスト菌(Y. pestis)、偽結核エルシニア菌(Y. pseudotuberculosis);カンピロバクター属(Campylobacter spp.)、例えば、C.ジェジュニ(C. jejuni)(例:毒素、アドヘシンおよびインベイシン)およびC.コリ(C. coli);サルモネラ属(Salmonella spp.)、例えば、チフス菌(S. typhi)、パラチフス菌(S. paratyphi)、ブタコレラ菌(S. choleraesuis)、腸炎菌(S. enteritidis);リステリア属(Listeria spp.)、例えば、リステリア菌(L. monocytogenes);ヘリコバクター属(Helicobacter spp.)、例えば、H.ピロリ(H. pylori)(例:ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素);シュードモナス属(Pseudomonas spp.)、例えば、緑膿菌(P. aeruginosa);ブドウ球菌属(Staphylococcus spp.)、例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis);エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、例えば、大便レンサ球菌(E. faecalis)、ヘシウム菌(E. faecium);クロストリジウム属(Clostridium spp.)、例えば、破傷風菌(C. tetani)(例:破傷風毒素およびその誘導体)、ボツリヌス菌(C. botulinum)(例:ボツリヌス毒素およびその誘導体)、C.ディフィシル(C. difficile)(例:クロストリジウム毒素AまたはBおよびその誘導体);バチルス属(Bacillus spp.)、例えば、炭疽菌(B. anthracis)(例:ボツリヌス毒素およびその誘導体);コリネバクテリウム属(Corynebacterium spp.)、例えば、ジフテリア菌(C. diphtheriae)(例:ジフテリア毒素およびその誘導体);ボレリア属(Borrelia spp.)、例えば、ライム病ボレリア(B. burgdorferi)(例:OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ガリニ(B. garinii)(例:OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.アフゼリ(B. afzelii)(例:OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ガチョウスピロヘータ(B. andersonii)(例:OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ヘルムシ(B. hermsii);エールリヒア属(Ehrlichia spp.)、例えば、E.エクィ(E. equi)およびヒト顆粒性エールリヒア症の因子;リケッチア属(Rickettsia spp.)、例えば、斑点熱リケッチア(R. rickettsii);クラミジア属(Chlamydia spp.)、例えば、トラコーマクラミジア(C. trachomatis)(例:MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、クラミジア肺炎病原体(C. pneumoniae)(例:MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、オウム病クラミジア(C. psittaci);レプトスピラ属(Leptospira spp.)、例えば、L.インターロガンス(L. interrogans);トレポネーマ属(Treponema spp.)、例えば、梅毒トレポネーマ(T. pallidum)(例:稀有外膜タンパク質)、T.デンティコーラ(T. denticola)、T.ヒオディセンテリエ(T. hyodysenteriae);またはその他の細菌病原体。
【0073】
好ましい他の特定の実施形態では、本発明のワクチン組成物は、ヒトまたは他の哺乳動物病原体に対して免疫応答を誘導することができる抗原または抗原組成物を含み、この抗原または抗原組成物は、プラスモディウム属(Plasmodium spp.)、例えば、熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum);トキソプラズマ属(Toxoplasma spp.)、例えば、トキソプラズマ原虫(T. gondii)(例:SAG2、SAG3、Tg34);エントアメーバ属(Entamoeba spp.)、例えば、赤痢アメーバ(E. histolytica);バベシア属(Babesia spp.)、例えば、バベシア原虫(B. microti);トリパノソーマ属(Trypanosoma spp.)、例えば、クルーズトリパノソーマ(T. cruzi);ジアルディア属(Giardia spp.)、例えば、ランブル鞭毛虫(G. lamblia);リーシュマニア属(Leshmania spp.)、例えば、森林型熱帯リーシュマニア(L. major);ニューモシスチス属(Pneumocystis spp.)、例えば、P.カリニ(P. carinii);トロコモナス属(Trichomonas spp.)、例えば、膣トリコモナス(T. vaginalis)などの1種以上の寄生生物(例えば、John, D.T.およびPetri, W.A., Markell and Voge’s Medical Parasitology-第9版、2006, WB Saunders、Philadelphia; Bowman, D.D., Georgis' Parasitology for Veterinarians-第8版、2002, WB Saunders、Philadelphia参照)に由来する組成物;または、以下:(i)ネマトーダ感染(例えば、限定するものではないが、ギョウチュウ(Enterobius vermicularis)、回虫(Ascaris lumbricoides)、ヒト鞭虫(Trichuris trichuria)、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)、バクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)、マレー糸状虫(Brugiamalayi)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、メジナ虫(Dracanculus medinensis)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、および糞線虫(Strongyloides stercoralis));(ii)吸虫感染(例えば、限定するものではないが、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、メコン住血吸虫(Schistosoma mekongi)、肝吸虫(Opisthorchis sinensis)、肺吸虫属(Paragonimus sp.)、肝蛭(Fasciola hepatica)、ファスキオラ・マグナ(Fasciola magna)、巨大肝蛭(Fasciola gigantica));ならびに(iii)条虫感染(例えば、限定するものではないが、無鉤条虫(Taenia saginata)および有鉤条虫(Taenia solium))などの、哺乳動物に感染することができるぜん虫に由来する組成物を含んでいてもよい。このように、特定の実施形態には、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansonii)、ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)、および/または日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)などの住血吸虫属(Schisostoma spp.)に由来する、またはカンジダ属(Candida spp.)、例えば、カンジダ・アルビカンス(C. albicans);クリプトコッカス属(Cryptococcus spp.)、例えば、C.ネオフォルマンス(C. neoformans)などの酵母に由来する抗原を含むワクチン組成物を意図する場合がある。
【0074】
ヒト結核菌(M. tuberculosis)に関して好ましい他の具体的な抗原として、例えば、Th Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCC1(WO 99/51748)がある。また、ヒト結核菌のタンパク質には、ヒト結核菌の少なくとも2種、好ましくは3種のポリペプチドが、それより大きなタンパク質に融合された融合タンパク質およびその変異体が含まれる。好ましい融合物としては、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTI(WO 99151748)などが挙げられる。
【0075】
クラジミアについて最も好ましい抗原としては、例えば、高分子量タンパク質(HWMP)(WO 99/17741)、ORF3(EP 366 412)、および推定膜タンパク質(Pmps)などが挙げられる。ワクチン製剤の他のクラミジア抗原は、WO 99128475に記載された群から選択することができる。好ましい細菌ワクチンは、レンサ球菌属(Streptococcus spp.)、例えば、肺炎レンサ球菌(S. pneumoniae)(例:莢膜多糖およびそのコンジュゲート、PsaA、PspA、ストレプトリジン、コリン−結合タンパク質)に由来する抗原、ならびにタンパク質抗原ニューモリシン(Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007;Rubinsら、Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)およびその突然変異型の無毒化誘導体(WO 90/06951;WO 99/03884)を含む。他の好ましい細菌ワクチンは、ヘモフィルス属(Haemophilus spp.)、例えば、B型インフルエンザ(例:PRPおよびそのコンジュゲート)、不定型インフルエンザ菌に由来する抗原、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン、P5、P6、プロテインDおよびリポタンパク質D、ならびに、フィンブリンおよびフィンブリン由来のペプチド(米国特許第5,843,464号)またはその多コピー変種もしくは融合タンパク質を含む。
【0076】
B型肝炎表面抗原の誘導体も当分野で周知であり、中でも、欧州特許出願EP-A414 374; EP-A-0304 578、およびEP 198474に記載されているPreS1、Pars2 S抗原などが挙げられる。好ましい一態様では、本発明のワクチン製剤は、特に、CHO細胞において発現させる場合、HIV-1抗原、gp120を含む。別の実施形態では、本発明のワクチン製剤は、本明細書ですでに定義したgD2tを含む。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、請求項に記載のアジュバントを含むワクチンは、生殖器疣の原因と考えられるヒトパピローマウイルス(HPV)(HPV 6またはHPV 11など)、および頚癌の原因となるHPVウイルス(HPV16またはHPV18など)に由来する抗原を含む。生殖器疣の予防用または治療用ワクチンの特に好ましい態様は、L1粒子またはカプソマー、ならびにHPV6およびHPV11のタンパク質E6、E7、L1およびL2から選択される1種以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。融合タンパク質の特定の好ましい態様は、WO 96/26277に開示されているL2E7、およびGB 9717953.5(PCT/EP98/05285)に開示されているプロテインD(1/3)-E7を含む。好ましいHPV頚部感染もしくは癌の予防用または治療用ワクチン組成物は、HPV16または18抗原を含むことができる。例えば、L1もしくはL2抗原モノマー、またはL1もしくはL2抗原を一緒にウイルス様粒子(VLP)として提供してもよいし、L1のみのタンパク質を単独でVLPまたはカプソマー構造中に提供してもよい。このような抗原、ウイルス様粒子およびカプソマーは、それ自体公知である。例えば、WO94/00152、WO94/20137、WO94/05792、およびWO93/02184を参照されたい。
【0078】
追加の初期タンパク質を単独で、または、例えば、E7、E2もしくは好ましくはF5のような融合タンパク質として含有させてもよく、特に好ましい実施形態は、L1E7融合タンパク質を含むVLPを含む(WO 96/11272)。特に好ましいHPV 16抗原は、プロテインD担体と融合した初期タンパク質E6またはE7を含むことにより、HPV 16由来のプロテインD-E6もしくはE7融合物、あるいはその組合せ;またはL2とE6もしくはE7との組合せを形成する(WO 96/26277)。これに代わり、HPV 16またはHPV 18初期タンパク質E6およびE7を単一の分子、好ましくはプロテインD-E6/E7融合物として提供してもよい。このようなワクチンは、随意に、E6およびE7タンパク質前端(front)HPV 18のいずれかまたは両方を、好ましくはプロテインD-E6もしくはプロテインD-E7融合タンパク質またはプロテインD-E6/E7融合タンパク質の形態で、含んでもよい。本発明のワクチンは、他のHPV株、好ましくはHPV 31株またはHPV 33株由来の抗原を含有してもよい。
【0079】
本発明のワクチンはさらに、マラリアを引き起こす寄生生物に由来する抗原を含む。例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodia falciparum)由来の好ましい抗原としては、RTS,SおよびTRAPなどが挙げられる。RTSは、B型肝炎表面抗原のプレS2部分の4つのアミノ酸を介して、B型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に結合した熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質の実質的に全てのC-末端部分を含む、ハイブリッドタンパク質である。その全構造は、英国特許出願番号第9124390.7からの優先権を主張するWO 93/10152として公開された国際特許出願第PCT/EP92/02591号に開示されている。酵母に発現させる場合、リポタンパク質粒子としてRTSが産生され、またHBV由来のS抗原と共発現させる場合には、これはRTS,Sとして知られる混合粒子を産生する。
【0080】
TRAP抗原は、WO 90/01496として公開された国際特許出願第PCT/GB89/00895号に記載されている。本発明の好ましい実施形態は、抗原調製物がRTS,SおよびTRAP抗原の組合せを含む、マラリアワクチンである。多段階マラリアワクチンの成分の候補となりうるその他のマラリア原虫抗原は、熱帯熱マラリア原虫MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクェストリン(Sequestrin)、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27125、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230、およびプラスモジウム属(Plasmodium spp.)におけるこれらの類似体である。
【0081】
従って、本明細書に開示する特定の実施形態は、細菌、ウイルス、または真菌などの少なくとも1種の感染病原体に由来する抗原を意図しており、このような病原体として以下のものが挙げられる:アクチノバクテリア、例えば、ヒト結核菌もしくはらい菌またはその他のマイコバクテリア;細菌、例えば、サルモネラ属、ナイセリア属、ボレリア属、クラミジア属またはボルデテラ属のメンバーなど;ウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、サイトメガロウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびサイトメガロウイルス;HIV-1またはHIV-2のようなHIV;真菌、例えば、アスペルギルス属、ブラストミセス属、コクシジオイデス属またはニューモシスチス属、または酵母、例えば、カンジダ種、例えば、C.アルビカンス、C.グラブラタ、C.クルセイ、C.ルシタニアエ、C.トロピカリスおよびC.パラプシロシス;原生動物などの寄生生物、例えば、プラスモディウム種(熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫を含む);または、別の寄生生物、例えば、アカントアメーバ、赤痢アメーバ、住血線虫属、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、日本住血吸虫、クリプトスポリジウム属、鉤虫属、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、エントアメーバ・ディスパー、ハルトマン・アメーバ、ポレック・アメーバ、バンクロフト糸状虫、ジアルディア属、リーシュマニア属のうちの1種以上など。
【0082】
例えば、ボレリア種由来の抗原を含むGLA含有ワクチンの実施形態では、抗原として、核酸、病原体由来の抗原または抗原調製物、組換えにより作製したタンパク質またはペプチド、およびキメラ融合タンパク質などを挙げることができる。このような抗原の1つはOspAである。OspAは、宿主細胞におけるその生合成によって脂質化した形態の全成熟タンパク質(Lipo-OspA)でもよいし、あるいは非脂質化誘導体であってもよい。このような非脂質化誘導体には、インフルエンザウイルスの非構造タンパク質(NS1)のN-末端の最初の81アミノ酸と、完全なOspAタンパク質とを有する非脂質化NS1-OspA融合タンパク質が挙げられ、別のMDP-OspAは、N-末端に追加の3アミノ酸を保持するOspAの非脂質化形態である。
【0083】
本明細書に記載する感染病原体の感染を有する、またはそのようなリスクのあることが疑われる被験者を識別するための組成物および方法は、当分野において公知である。
【0084】
例えば、ヒト結核菌は、結核(TB)を引き起こす。この細菌は通常、肺を攻撃するが、腎臓、脊髄および脳も攻撃することがある。適切に治療しなければ、TB疾患は致死的となりうる。この疾患は、感染者がくしゃみまたは咳をすると、人から人へと空気感染して広がる。2003年には、米国で14,000人を超えるTB症例が報告されている。
【0085】
結核は一般に、長期の抗生剤治療を用いて制御することが可能だが、このような治療は、この疾患の拡大を防止するには十分ではなく、抗生剤耐性株についての潜在的淘汰が懸念される。感染した個体に症状がなくても、しばらくの間は伝染性でありうる。加えて、治療レジメンについてのコンプライアンスは重要であるが、患者の挙動を監視するのは困難である。患者によっては、治療過程を完了しない者もいて、その場合、治療は無効になり、薬剤耐性の発生を招く恐れがある(例えば、米国特許第7,087,713号)。
【0086】
現時点では、生存細菌を用いたワクチン接種が結核に対する防御免疫を誘導するのに最も効果的な方法である。この目的で用いられている最も一般的なマイコバクテリウムは、ウシ結核菌(Mycobacterium bovis)の無毒性株であるバチルスカルメット−ゲラン菌(BCG)である。しかし、BCGの安全性および効力は、論争の原因となっており、米国などいくつかの国では、一般の人々にワクチン接種をしていない。診断は一般に、皮膚試験を用いて実施されるが、この試験は、ツベルクリンPPD(タンパク質精製誘導体)に対する皮内暴露を含む。抗原特異的T細胞応答により、注射から48、72時間後までに注射部位に測定可能な硬化が起こり、これが、マイコバクテリウム抗原に対する暴露を示す。しかし、この試験では感度および特異度に問題があり、BCG接種された個体を、感染した個体から識別することができない(例えば、米国特許第7,087,713号)。
【0087】
マクロファージはヒト結核菌免疫の主要エフェクターとして作用することが示されており、T細胞はこのような免疫の主なインデューサーである。ヒト結核菌感染に対する防御におけるT細胞の主要な役割は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に関連するCD4 T細胞の欠失に起因して、AIDS患者にヒト結核菌が頻繁に発生することによって説明される。マイコバクテリウム反応性CD4 T細胞は、γ−インターフェロン(IFN-γ)の強力なプロデューサー細胞であることが示されており、このインターフェロンは、マウスにおいてマクロファージの抗マイコバクテリウム作用を誘発することが示されている。ヒトにおけるIFN-γの役割はそれほど明らかではないが、研究によって、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3が、単独でまたはIFN-γもしくは腫瘍壊死因子αとの組合せでヒトマクロファージを活性化して、ヒト結核菌感染を阻害することが示されている。さらに、IFN-γは、ヒトマクロファージを刺激して、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3を生成することもわかっている。同様に、IL-12は、ヒト結核菌感染に対する耐性を刺激する上での役割を果たすことも明らかにされている。ヒト結核菌感染の免疫の概要については、ChanおよびKaufmann, Tuberculosis: Pathogenesis, Protection and Control, Bloom (編), ASM Press. Washington D.C. (1994)を参照されたい。
【0088】
結核を診断する、または結核に対する防御免疫を誘導するための既存の化合物および方法は、1種以上のマイコバクテリウムタンパク質の少なくとも1つの免疫原性部分を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするDNA分子、を用いることを含む。このようなポリペプチドまたはDNA配列、および好適な検出試薬を含む診断キットは、患者および生体サンプルにおけるマイコバクテリウム感染の検出に用いることができる。このようなポリペプチドに対する抗体も提供される。加えて、このような化合物を、マイコバクテリウム感染に対する免疫化のためのワクチンおよび/または医薬組成物に製剤化することも可能である(米国特許第6,949,246号および第6,555,653号)。
【0089】
マラリアは1960年代に世界の多くの地域から排除されたが、いまだに残存しており、既存の薬剤に耐性のマラリア新株が出現している。マラリアは、90以上の国で公衆衛生上の主要課題である。マラリア10症例のうち9症例が、サハラ以南のアフリカで発生している。世界人口の3分の1を超える人口に罹患のリスクがあり、毎年3億5千万〜5億人がマラリアに感染している。今年は4千5百万人の妊婦がマラリアに罹患するリスクを有している。すでに感染した個体のうち、毎年百万人を超える感染者が予防可能な疾患のために死亡している。死亡患者の大部分はアフリカの子供たちである。
【0090】
マラリアは、一般に、感染した雌のシマハマダラカに人が刺されて伝播する。伝播するためには、この蚊は、すでにマラリアに感染した人から血を吸うことにより感染していなければならない。マラリアは寄生生物により引き起こされ、この疾患の臨床症状としては、発熱や、インフルエンザ様症状、例えば、悪寒、頭痛、筋肉痛、および疲労感が挙げられる。これらの症状には、吐気、嘔吐、および下痢を伴うこともある。マラリアは、赤血球の喪失により貧血および黄疸を引き起こす可能性もある。マラリアの1種である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)による感染は、迅速に治療しなければ、腎不全、発作、精神錯乱、昏睡および死を引き起こす可能性がある。
【0091】
個体におけるマラリアのin vitro診断方法は周知であり、この方法は、個体から採取した組織または生体液を分子またはポリペプチド組成物に接触させること、その際、上記分子またはポリペプチド組成物は、熱帯熱マラリア原虫の感染活性から得られたタンパク質の1以上のエピトープの全部または一部を保持する1以上のペプチド配列を含むものであり、上記接触は、上記組成物と、上記組織または生体液に存在しうる抗体との間にin vitro免疫反応が起こるような条件下で実施し、そして形成された抗原−抗体複合体のin vitro検出を行なうことを含んでいる(例えば、米国特許第7,087,231号を参照)。
【0092】
組換え熱帯熱マラリア原虫(3D7)AMA-1細胞外ドメインの発現および精製が記載されている。従来の方法により、天然分子のフォールディングおよびジスルフィド架橋を保持する高精製タンパク質が生産されている。組換えAMA-1は、診断試薬として、また抗体産生において、さらには、マラリア予防のために単独で、もしくはワクチンの一部として用いられるタンパク質としても同様に有用である(米国特許第7,029,685号)。
【0093】
従来の技術には、感染後、罹患しやすい哺乳動物宿主の血漿に分泌されたタンパク質またはその断片である種特異的三日熱マラリア原虫(P. vivax)マラリアのペプチド抗原をコードするポリヌクレオチドが記載されており、同様に、これらの抗原に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体も記載されている。ペプチド抗原、モノクローナル抗体、および/またはポリクローナル抗体は、マラリアを診断したり、三日熱マラリア原虫が感染の原因となる種であるか否かを決定したりするのに用いられるアッセイで使用されている(米国特許第6,706,872号)。また、感染後、罹患しやすい哺乳動物宿主の血漿に分泌されたタンパク質またはその断片である、種特異的三日熱マラリア原虫マラリアのペプチド抗原も報告されており、同様に、これらの抗原に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体も報告されている。ペプチド抗原、モノクローナル抗体、および/またはポリクローナル抗体は、マラリアを診断したり、三日熱マラリア原虫が感染の原因となる種であるか否かを決定したりするのに用いられるアッセイで使用されている(例えば、米国特許第6,231,861号を参照)。
【0094】
組換え熱帯熱マラリア原虫(3D7)AMA-1細胞外ドメインはまた、天然分子のフォールディングおよびジスルフィド架橋を保持する高精製タンパク質を生産する方法により、発現されている。組換えAMA-1は、診断試薬として、また抗体生産に使用するために、さらには、ワクチンとして有用である(米国特許第7,060,276号)。同様に、天然分子のフォールディングおよびジスルフィド架橋を保持する、組換え熱帯熱マラリア原虫(3D7)MSP-1
42の発現および精製も公知である。組換えMSP-1
42は、診断試薬として、また抗体産生で使用するために、さらには、ワクチンとして有用である(米国特許第6,855,322号)。
【0095】
このように、ヒトマラリア感染を検出して、マラリア感染病原体に感染した、または感染のリスクが疑われる被験者を識別する診断方法は、これらのおよびこれに関連する文献により公知である。具体的には、例えば、3-アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(APAD)を含む試薬、基質(例えば、乳酸塩または乳酸)およびバッファーと、血液サンプルを混ぜ合わせる。この試薬は、マラリア寄生虫により産生される固有の解糖酵素の存在を検出するように設計されている。この酵素は、寄生虫乳酸デヒドロゲナーゼ(PLDH)として知られる。前述の試薬を用いて、宿主LDHからPLDHを容易に識別することができる。試薬と、寄生した血液サンプルとを混ぜると、APADの低減が起こる。しかし、APADは宿主LDHにより低減しているのではない。次に、スペクトル、蛍光、電気泳動、または比色分析などの様々な技術によって、低減したAPADを検出することができる。上記のようにして低減APADを検出することにより、マラリア感染の陽性指標が得られる(例えば、米国特許第5,124,141号)。マラリアを診断する別の方法では、熱帯熱マラリア原虫抗原GLURPに由来する特徴的なアミノ酸配列を含むポリペプチドが、このポリペプチドに対して生じた、またはこれと反応性の特異的抗体により、試験サンプルにおいて認識される(例えば、米国特許第5,231,168号)。
【0096】
リーシュマニア症は、インド亜大陸、アフリカおよびラテンアメリカにおいて頻繁に流行する広範囲に広がった寄生虫性疾患であり、ワクチン開発が世界保健機関の優先事項となっている。様々な疾患の複合症である、リーシュマニア原虫は、内臓の致命的な感染、ならびに重篤な皮膚病を引き起こす。リーシュマニア症の最も破壊的な形態の1つは、鼻および口の重篤な感染である。リーシュマニア症の症例数は増加しており、現在、多くの地域で制御不可能になっている。リーシュマニア症はまた、いくつかの先進国、具体的には、HIV感染の結果として南欧でも増加している。入手可能な薬剤は有毒かつ高価であり、しかも長期間にわたり毎日の注射を必要とする。
【0097】
リーシュマニアは、免疫系のマクロファージまたは白血球に寄生する原生動物寄生生物である。この寄生生物は、小さな吸血昆虫(サシチョウバエ)の刺咬により伝播されるが、地球の広範な地域に生息するため、制御するのは困難である。
【0098】
内臓リーシュマニア症は、この疾患の3種の発現のうち最も危険なものである。内臓型(カラアザール、または「死の病(killing disease)」)については、毎年約50万の新たな症例が発生していると推定される。現在、2億人を超える人々が内臓リーシュマニア症に罹患するリスクがある。内臓リーシュマニア症症例の90%超が、インド、バクラデシュ、スーダン、ブラジルおよびネパールで発生している。死亡患者のほとんどが子供である。皮膚型のリーシュマニア症は生涯損われたままであることが多い。
【0099】
リーシュマニア感染は、診断が難しく、典型的には、組織生検材料の組織病理学的分析を含む。しかし、いくつかの血清学的および免疫学的診断アッセイが開発されている(米国特許第7,008,774号;Senaldiら、(1996) J. Immunol. Methods 193:9 5;Zijlstraら、(1997) Trans. R. Soc. Trop. Med. Hyg. 91:671 673;Badaroら、(1996) J. Inf. Dis. 173:758 761;Choudhary, S.ら、(1992) J. Comm. Dis. 24:32 36;Badaro, R.ら、(1986) Am. J. Trop. Med. Hyg. 35:72 78;Choudhary, A.ら、(1990) Trans. R. Soc. Trop. Med. Hyg. 84:363 366;およびReed, S. G.ら、(1990) Am. J. Trop. Med. Hyg. 43:632 639)。プロマスチゴートは、培養培地に代謝産物を放出して、馴らし培地を生成する。これらの代謝産物は、宿主に対して免疫原性である(Schnur, L. F.,ら、(1972) Isrl. J. Med. Sci. 8:932 942;Sergeiev, V. P.ら、(1969) Med. Parasitol. 38:208 212; El-On, J.ら、(1979) Exper. Parasitol. 47:254 269;およびBray, R. S.ら、(1966) Trans. R. Soc. Trop. Med. Hyg. 60:605 609;米国特許第6,846,648号、米国特許第5,912,166号;米国特許第5,719,263号;米国特許第5,411,865号を参照)。
【0100】
世界中で約4千万人の人が、AIDSを引き起こすウイルスであるHIVに感染している。毎年約3百万人がこの疾患で死亡し、その95%が途上国に住む人である。毎年、5百万近い人がHIVに感染している。現在、サハラ以南のアフリカ人が、最大の疾病負担を負っているが、インド、中国およびロシアのような他の国々にも急速に広がっている。この伝染病は、少数集団の間で最も速く広がる。米国では、1981年以降、95万を超える症例が報告されている。AIDSは、人々をその最も働き盛りの年齢の間に襲う。女性は、生物学的および社会的理由から、HIV/AIDSのリスクが高い。
【0101】
AIDSは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって起こり、このウイルスは、身体の免疫系の細胞を死滅および損傷させ、感染および特定の癌と戦う身体の能力を次第に破壊していく。HIVは、最も一般的には、感染したパートナーとの無防備な性交により伝播する。この問題に対する最も頑健な解決策は、ウイルスの伝播を阻止することである。安全かつ有効で、しかも購入しやすいHIVワクチンの作製がこの目標を達成する一つの方法である。世界中で、HIV感染の高いリスクがある人のうち、有効な予防を取得できるのは、5人のうち1人に満たない。
【0102】
HIV感染を診断する方法は公知であり、ウイルス培養、患者検体由来の確定的な核酸配列のPCR、ならびに患者血清における抗HIV抗体の存在の抗体試験によるものが含まれる(例えば、米国特許第6,979,535号、米国特許第6,544,728号、米国特許第6,316,183号、米国特許第6,261,762号、米国特許第4,743,540号参照)。
【0103】
本明細書に開示されている他の特定の実施形態によれば、ワクチン組成物および関連製剤、ならびに使用方法は、癌細胞由来の抗原を含むことができ、同様にこれは癌の免疫療法的治療に有用でありうる。例えば、前記アジュバント製剤は、腫瘍拒絶抗原、例えば、前立腺、乳房、直腸結腸、肺、膵臓、腎臓または黒色腫癌の抗原などによる有用性を見出すことができる。癌または癌細胞由来の抗原の例として、MAGE1、MAGE3およびMAGE4もしくは他のMAGE抗原、例えば、WO99/40188に開示されているもの、PRAME、BAGE、Lage(NY Eos 1としても知られる)SAGEおよびHAGE(WO 99/53061)またはGAGE(RobbinsおよびKawakami、1996 Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636;Van den Eyndeら、International Journal of Clinical & Laboratory Research (1997および1998);Correaleら、(1997)、Journal of the National Cancer Institute 89, p. 293)などが挙げられる。これら癌抗原の非限定的例は、様々な種類の腫瘍、例えば、黒色腫、肺癌、肉腫および膀胱癌に発現する。例えば、米国特許第6,544,518号を参照。
【0104】
本明細書に開示した特定の実施形態によれば、GLAと一緒に用いるのに適したその他の腫瘍特異的抗原として、限定するものではないが、腫瘍特異的または腫瘍関連ガングリオシド、例えば、GM
2およびGM
3、もしくはその担体タンパク質とのコンジュゲートが挙げられる。または、抗癌免疫応答を誘導もしくは増強するためのGLAワクチン組成物に用いる抗原は、自己ペプチドホルモン、例えば、全長性腺刺激ホルモン放出性ホルモン(GnRH、WO 95/20600)であってもよく、これは、多くの癌の治療に有用な、短い10アミノ酸長のペプチドである。別の実施形態では、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、PSCA(例えば、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95(4) 1735-1740 1998)、PSMAなどの前立腺抗原が用いられ、あるいは、好ましい実施形態では、プロスターゼ(Prostase)として知られる抗原が用いられる(例えば、Nelsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1999) 96: 3114-3119;Fergusonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1999. 96, 3114-3119;WO 98/12302;米国特許第5,955,306号;WO 98/20117;米国特許第5,840,871号および第5,786,148号;WO 00/04149)。その他の前立腺特異的抗原は、WO 98/137418、およびWO/004149から公知である。別の抗原は、STEAP(PNAS 96 14523 14528 7-12 1999)である。
【0105】
本発明に関して有用な他の腫瘍関連抗原として、Plu-1(J Biol. Chem 274 (22) 15633 -15645, 1999)、HASH-1、HasH-2、Cripto(Salomonら、Bioessays 199, 21:61-70、米国特許第5,654,140号)およびCriptin(米国特許第5,981,215号)などが挙げられる。さらには、癌の治療におけるワクチンに特に関連する抗原として、チロシナーゼおよびスルビビンなども挙げられる。
【0106】
癌抗原を含むGLA含有ワクチン組成物に関する本明細書に開示の実施形態は、腫瘍関連抗原発現、例えば、HER-2/neu発現、または他の癌特異的もしくは癌関連抗原を特徴とするあらゆる癌に対して有用である。
【0107】
癌に罹患した被験者、または癌に罹患するリスクのあることが疑われる患者における癌の診断は、当分野で許容される様々な方法のいずれにより達成してもよく、このような方法は、臨床所見、癌の進行度、癌の種類、およびその他の要因を含む様々な要因に応じて変わりうる。癌診断の例として、患者サンプル(例えば、血液、皮膚生検材料、その他の組織生検材料、手術より得た検体など)の組織病理学的、組織細胞化学的、免疫組織細胞化学的および免疫組織病理学的検査、規定の遺伝子(例えば、核酸)マーカーについてのPCR試験、循環癌関連抗原もしくはこのような抗原を保持する細胞、または既定の特異性の抗体に関する血清学的試験、または当業者には周知のその他の方法が挙げられる。例えば、米国特許第6,734,172号;第6,770,445号;第6,893,820号;第6,979,730号;第7,060,802号;第7,030,232号;第6,933,123号;第6,682,901号;第6,587,792号;第6,512,102号;第7,078,180号;第7,070,931号;JP 5-328975;Waslylykら、1993 Eur. J Bioch. 211(7):18を参照されたい。
【0108】
本発明の特定の実施形態に従うワクチン組成物および方法は、自己免疫疾患の予防または治療にも用いることができ、このような自己免疫疾患には、宿主または被験者の免疫系が、「自己」の組織、細胞、生体分子(例:ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、プロテオリピド、脂質、グリコリピド、RNAおよびDNAのような核酸、オリゴ糖、多糖、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなど、ならびに、被験者の細胞および組織のその他の分子成分)、または、エピトープ(例:特定の免疫学的に明らかな認識構造、例えば、抗体可変領域相補性決定領域(CDR)もしくはT細胞受容体CDRにより認識されるものなど)に対する免疫応答を有害に媒介する、疾患、症状もしくは障害が含まれる。
【0109】
従って、自己免疫疾患は、細胞または抗体のいずれかが関与する異常な免疫応答を特徴とし、このような免疫応答は、いずれの場合にも、正常な自己由来組織に対してのものである。哺乳動物における自己免疫疾患は、一般に2つの異なるカテゴリー:細胞媒介性疾患(すなわち、T細胞)または抗体媒介性疾患に分類することができる。細胞媒介性自己免疫疾患の非制限的例として、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、橋本甲状腺炎、1型糖尿病(若年性糖尿病)および自己免疫ブドウ膜網膜炎などが挙げられる。抗体媒介性自己免疫疾患としては、限定するものではないが、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(またはSLE)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性喘息、寒冷グロブリン血症、血栓性血小板減少性紫斑、原発性硬化性胆管炎、および悪性貧血などが挙げられる。全身性エリテマトーデスに関連する抗原は、核内低分子リボ核酸タンパク質(snRNP)であり;グレーブス病は、チロトロピン受容体、チログロブリン、および甲状腺上皮細胞のその他の成分であり(Akamizuら、1996;Kellermanら1995;Rajuら、1997;およびTexierら、1992);天疱瘡は、デスモグレイン3のようなカドヘリン様天疱瘡抗原および他の付着分子であり(Memarら、1996: Stanley, 1995;Plottら、1994;およびHashimoto, 1993);ならびに血栓性血小板減少性紫斑は、血小板の抗原である(例えば、米国特許第6,929,796号; Gorskiら、(編)、Autoimmunity, 2001, Kluwer Academic Publishers, Norwell, MA;RadbruchおよびLipsky, P.E.(編)Current Concepts in Autoimmunity and Chronic Inflammation (Curr. Top. Microbiol. and Immunol.) 2001, Springer, NYを参照)。
【0110】
自己免疫は、1型糖尿病、多発性硬化症、狼瘡、慢性関節リウマチ、強皮病、および甲状腺疾患を含む80種類超の様々な疾患である役割を果たす。ほとんどの自己免疫疾患に関する罹患率の有効な定量的推定値が不足している。1990年代後半に行なわれた近年の研究の大部分が、自己免疫疾患は、米国で第3位の最も共通の重病であり、8百50万人超のアメリカ人に影響を及ぼしていることを明らかにしている。この疾患の罹患率の現在の推定値は、米国人口の5〜8%である。ほとんどの自己免疫疾患は、女性に対して不均衡に影響を及ぼしている。女性は、自己免疫疾患を獲得する可能性が男性より2.7倍高い。女性は自己免疫疾患に罹患しやすく、男性は女性より高いレベルのナチュラルキラー細胞活性を有するようである(Jacobsenら、Clinical Immunology and Immunopathology, 84:223-243, 1997)。
【0111】
自己免疫疾患は、免疫系が自己組織を非自己と間違えて、不適切な攻撃を実施するときに起こる。自己免疫疾患から様々な仕方で、身体、例えば、消化器官(クローン病)および脳(多発性硬化症)が影響を受けることがある。自己抗体が自己細胞または自己組織を攻撃して、その機能を損傷させることにより、自己免疫疾患を引き起こすこと、そして、自己抗体は、自己免疫疾患の実際の発症(例えば臨床的徴候および症状の出現)前に患者の血清で検出できることがわかっている。従って、自己抗体を検出することにより、自己免疫疾患の早期発見、またはその存在の認識、もしくはその発症リスクの認識が可能になる。これらの知見に基づき、自己抗原に対する様々な自己抗体が発見されており、自己抗原に対する自己抗体が臨床試験で測定されている(例えば、米国特許第6,919,210号、第6,596,501号、第7,012,134号、第6,919,078号)が、それ以外の自己免疫診断方法として、関連代謝産物の検出(例えば、米国特許第4,659,659号)または免疫学的反応性の検出(例えば、米国特許第4,614,722号および第5,147,785号、第4,420,558号、第5,298,396号、第5,162,990号、第4,420,461号、第4,595,654号、第5,846,758号、第6,660,487号)を含むこともできる。
【0112】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、特に、高齢の、および/または免疫抑制された被験者、例えば、腎透析を受けている被験者、化学療法および/または放射線療法を受けている被験者、移植片受容者などの治療に適用することができる。このような個体は、一般に、ワクチンに対して弱い免疫応答しか呈示しないため、本発明の組成物を用いることにより、このような被験者において達成される免疫応答を増強することができる。
【0113】
他の実施形態では、本発明の組成物に用いる1種以上の抗原は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病態の予防および治療のために、細菌感染(例えば、肺炎球菌)により発生または悪化する疾患などの呼吸器疾患に関連する抗原を含む。COPDは、生理学的に、慢性気管支炎および/または気腫の患者における不可逆的なまたは部分的に可逆的な気道閉塞の存在により定義されている(Am J Respir Crit Care Med. 1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121)。多くの場合、細菌(例えば、肺炎球菌)感染によりCOPDの悪化が起こる(Clin Microbiol Rev. 2001 Apr;14(2):336-63)。
【0114】
TLR
本明細書に記載したように、本発明の特定の実施形態は、1種以上のトール様受容体アゴニスト(TLRアゴニスト)を含む、ワクチン組成物および免疫アジュバント組成物(医薬組成物など)を意図している。トール様受容体(TLR)としては、多種の感染病原体内または該病原体上に存在するものなど、様々な保存された微生物分子構造について、早期認識能力を宿主細胞に賦与する先天性免疫系の細胞表面膜貫通受容体が挙げられる(例えば、Armantら、2002 Genome Biol. 3(8):reviews 3011.1-3011.6;Fearonら、1996 Science 272:50;Medzhitovら、1997 Curr. Opin. Immunol. 9:4;Luster 2002 Curr. Opin. Immunol. 14:129;Lienら、2003 Nat. Immunol. 4:1162;Medzhitov, 2001 Nat. Rev. Immunol. 1:135;Takedaら、2003 Ann Rev Immunol. 21:335;Takedaら、2005 Int. Immunol. 17:1;Kaishoら、2004 Microbes Infect. 6:1388; Datta ら、2003 J. Immunol. 170:4102)。
【0115】
先天性免疫系による免疫応答の開始を強化するTLR媒介シグナル伝達の誘導は、細胞表面TLRに結合するTLRアゴニストにより生じると考えられる。例えば、リポ多糖(LPS)は、TLR2またはTLR4を介したTLRアゴニストであることができ(Tsan ら、2004 J. Leuk. Biol. 76:514;Tsan ら、2004 Am. J. Physiol. Cell Phsiol. 286:C739;Linら、2005 Shock 24:206);ポリ(イノシン−シチジン)(polyl:C)は、TLR3を介したTLRアゴニストであることができ(Salemら、2006 Vaccine 24:5119);CpG配列(非メチル化シトシン−グアノシンを含むオリゴデオキシヌクレオチド)または「CpG」ジヌクレオチドモチーフ、例えば、CpG 7909(Cooperら、2005 AIDS 19:1473;CpG 10101、Bayesら、Methods Find Exp Clin Pharmacol 27:193;Vollmer ら、Expert Opinion on Biological Therapy 5:673; Vollmerら、2004 Antimicrob. Agents Chemother. 48:2314;Dengら、2004 J. Immunol. 173:5148)は、TLR9を介したTLRアゴニストであることができ(Andaloussiら、2006 Glia 54:526;Chenら、2006 J. Immunol. 177:2373);ペプチドグリカンは、TLR2および/またはTLR6アゴニストであることができ(Sobollら、2006 Biol. Reprod. 75:131;Nakao ら、2005 J. Immunol. 174:1566);3M003 (4-アミノ-2-(エトキシメチル)-α,α-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール水和物(分子量318 Da;関連化合物3M001および3M002の供給源でもある、3M Pharmaceuticals(St. Paul、MN)製;Gordenら、2005 J. Immunol. 174:1259)は、TLR7アゴニスト(Johansen 2005 Clin. Exp. Allerg. 35:1591)および/またはTLR8アゴニスト(Johansen 2005)であることができ;フラジェリンは、TLR5アゴニスト(Feuilletら、2006 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 103:12487)であることができ;また、C型肝炎抗原は、TLR7および/またはTLR9を介してTLRアゴニストとして作用しうる(Leeら、2006 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 103:1828;Horsmansら、2005 Hepatol. 42:724)。その他のTLRアゴニストは公知であり(例えば、Schirmbeckら、2003 J. Immunol. 171:5198)、これらを、本明細書に記載する特定の実施形態に従い、用いてもよい。
【0116】
例えば、背景技術(例えば、米国特許第6,544,518号を参照)として、非メチル化CpGジヌクレオチド(「CpG」)を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、全身および粘膜経路の両方により投与される場合のアジュバントとして公知である(WO 96/02555、EP 468520, Davisら、J. Immunol, 1998. 160(2):870-876;McCluskieおよびDavis, J. Immunol., 1998, 161(9):4463-6)。CpGは、DNAに存在するシトシン−グアノシンジヌクレオチドモチーフの略語である。免疫刺激におけるCGモチーフの主要な役割が、Krieg, Nature 374, p546 1995によって解明された。詳細な分析により、CGモチーフは、特定の配列状況にある必要があること、また、そのような配列は、細菌のDNAには一般的であるが、脊椎動物のDNAには稀であることがわかっている。多くの場合、免疫刺激性配列は、プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジンであり、その際、ジヌクレオチドCGモチーフはメチル化されていないが、他の非メチル化CpG配列が免疫刺激性であることがわかっており、これらを本発明の特定の実施形態で用いることができる。CpGをワクチンに製剤化する場合、遊離抗原と一緒に自由溶液中で(WO 96/02555; McCluskieおよびDavis、前掲)、もしくは抗原に共有結合によりコンジュゲートさせて(PCT公開番号WO 98/16247)、または水酸化アルミニウムのような担体と共に製剤化して(例えば、Daivisら、前掲、Brazolot-Millanら、Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 1998, 95(26), 15553-8)、投与することができる。
【0117】
本発明のアジュバントまたはワクチンに用いるための好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個、またはそれ以上のヌクレオチドで隔てられた2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、典型的には、デオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチド間結合は、ホスホロジチオエート、またはより好ましくはホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステルおよびその他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲に含まれ、そのようなものとして、混合型ヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチドなどが挙げられる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを作製する方法は、米国特許第5,666,153号、第5,278,302号およびWO95/26204に記載されている。
【0118】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の刊行物に開示される配列を有し、本明細書に開示する特定の実施形態については、この配列は、好ましくは、ホスホロチオエート改変型ヌクレオチド間結合を含む:
CPG 7909:Cooperら、「CPG 7909 adjuvant improves hepatitis B virus vaccine seroprotection in antiretroviral-treated HIV-infected adults.」 AIDS, 2005年9月23日; 19(14): 1473-9。
【0119】
CpG 10101:Bayesら、「Gateways to clinical trials.」 Methods Find. Exp. Clin. Pharmacol. 2005年4月; 27(3): 193-219。
【0120】
Vollmer J., 「Progress in drug development of immunostimula-tory CpG oligodeoxynucleotide ligands for TLR9.」 Expert Opinion on Biological Therapy. 2005年5月; 5(5): 673-682。
【0121】
その他のCpGオリゴヌクレオチドとして、前記の参照文献に記載される好ましい配列とは重要でないヌクレオチド配列の置換、挿入、欠失および/または付加を有する点で異なる、上記配列の変種などを挙げることができる。本発明の特定の実施形態で用いられるCpGオリゴヌクレオチドは、当分野で公知の任意の方法(例えば、EP 468520)により合成することができる。好適には、このようなオリゴヌクレオチドは、自動化合成装置を用いて合成することができる。オリゴヌクレオチドは、典型的には、デオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチド間結合は、ホスホロジチオエート、またはより好ましくはホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステルも本発明で意図する実施形態の範囲に含まれる。また、様々なヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエート−ホスホジエステル混合型も意図される。さらに、オリゴヌクレオチドを安定化するその他のヌクレオチド間結合を用いてもよい。
【0122】
コアジュバント
本明細書に記載する特定の実施形態は、GLAに加えて、少なくとも1種のコアジュバントを含む、ワクチンおよび免疫アジュバント組成物(医薬組成物など)を包含する。コアジュバントは、上記組成物の成分であって、GLA以外のアジュバント活性を有する成分を意味する。このようなアジュバント活性を有するコアジュバントは、ヒト(例えば、ヒト患者)、ヒト以外の霊長類、哺乳動物、または認識された免疫系を有するその他の高等真核生物など、の被験体に投与するとき、免疫応答の効力および/または持続性を改変する(すなわち、統計的に有意な様式で増加または減少する、ならびに、特定の好ましい実施形態では、増強または増加する)ことができる組成物を含む(例えば、PowellおよびNewman, 「Vaccine design-The Subunit and Adjuvant Approach」, 1995, Plenum Press, New Yorkを参照)。本明細書に開示する特定の実施形態では、GLAおよび所望の抗原、ならびに、随意に1種以上のコアジュバントは、その投与においてGLAと同時に、または時間的および/もしくは空間(例えば、別の解剖学的部位)的に切り離して投与しうる所望の抗原に対する免疫応答を前述のように改変、例えば、誘導または増強することができるが、本発明の特定の実施形態はそのように限定することを意図しないため、指定の抗原は含まないが、TLRアゴニスト、コアジュバント、イミダゾキノリン免疫応答修飾因子、および二重ステムループ免疫修飾因子(dSLIM)の1つ以上を含んでもよい組成物中のGLAの投与も意図する。
【0123】
従って、前述したように、コアジュバントは、アジュバント効果を有するGLA以外の組成物を含み、このようなものとして、サポニンおよびサポニン擬似体、例えば、QS21およびQS21擬似体(例えば、米国特許第5,057,540号;EP 0 362 279 B1;WO 95/17210を参照)、alum、トマチンのような植物アルカロイド、界面活性剤、例えば(しかし、限定するわけではない)、サポニン、ポリソルベート80、Span 85およびステアリルチロシン、1種以上のサイトカイン(例:GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-12、TNF-α、IFN-γ)、イミダゾキノリン免疫応答修飾因子、および二重ステムループ免疫修飾因子(dSLIM、例えば、Weeratnaら、2005 Vaccine 23:5263)などが挙げられる。
【0124】
サポニンを含む界面活性剤が、例えば、米国特許第6,544,518号;Lacaille-Dubois, MおよびWagner H. (1996 Phytomedicine 2:363-386)、米国特許第5,057,540号、Kensil, Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55、およびEP 0 362 279 B1に教示されている。Quil A(サポニン)の画分を含む、免疫刺激性複合体(ISCOMS)と呼ばれる粒子状構造は溶血性であり、ワクチンの製造に用いられている(Morein, B., EP 0 109 942 B1)。これらの構造は、アジュバント活性を有することが報告されている(EP 0 109 942 B1;WO 96/11711)。溶血性サポニンQS21およびQS17(Quil AのHPLC精製画分)は、強力な全身性のアジュバントとして記載されており、それらの調製方法が米国特許第5,057,540号およびEP 0 362 279 B1に開示されている。これらの参考文献には、全身ワクチンの強力なアジュバントとして作用するQS7(Quil-Aの非溶血性画分)の使用も記載されている。QS21の使用は、Kensilら(1991. J. Immunology 146:431-437)にも記載されている。QS21とポリソルベートまたはシクロデキストリンとの組合せも知られている(WO 99/10008)。QS21およびQS17のようなQuilAの画分を含む粒子状アジュバント系は、WO 96/33739およびWO 96/11711に記載されている。全身ワクチン接種研究に用いられてきたその他のサポニンとして、ジプソフィラ属(Gypsophila)およびサボンソウ属(Saponaria)などの他の植物種に由来するものが挙げられる(Bomfordら、Vaccine, 10(9):572-577, 1992)。
【0125】
エスシンは、本明細書に開示する実施形態のアジュバント組成物に用いるためのサポニンに関連する別の界面活性剤である。エスシンは、セイヨウトチノキ(horse chestnut tree; Aesculus hippocastanum)の種子に生じるサポニンの混合物として、メルク・インデックス(Merk Index)に記載されている(第12版:エントリー3737)。その単離は、クロマトグラフィーおよび精製によるもの(Fiedler, Arzneimittel-Forsch. 4, 213 (1953))、およびイオン交換樹脂によるもの(Erbringら、米国特許第3,238,190号)が記載されている。エスシンの画分(アエスシンとして知られる)が精製されており、これは生物学的に活性であることが示されている(Yoshikawa Mら、 (Chem Pharm Bull (Tokyo) 1996年8月;44(8): 1454-1464))。ジギトニンは別の界面活性剤であり、これも、サポニンとしてメルク・インデックスに記載されている(第12版:エントリー3204)が、これは、ジギタリス(Digitalis purpurea)の種子に由来し、Gisvoldら、J. Am. Pharm.Assoc., 1934, 23, 664;およびRubenstroth-Bauer, Physiol. Chem., 1955, 301, 621により記載された方法に従い精製されたものである。
【0126】
本明細書に開示する特定の実施形態に従って用いるその他のコアジュバントとして、ブロックコポリマーまたは生物分解性ポリマーが挙げられ、これらは、当業者には周知であるポリマー化合物のクラスに該当する。GLAワクチン組成物またはGLA免疫アジュバントに含有させることができるブロックコポリマーまたは生物分解性ポリマーの例として、Pluronic(登録商標)L121(BASF Corp., Mount Olive, NJ;例えば、Yehら、1996 Pharm. Res. 13:1693;米国特許第5,565,209号)、CRL1005(例えば、Triozziら、1997 Clin Canc. Res. 3:2355)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸 (PLA)、ポリ-(D,L-ラクチド-コ-グリコリド) (PLG)、およびpolyl:Cが挙げられる(例えば、PowellおよびNewman, 「Vaccine design-The Subunit and Adjuvant Approach」, 1995, Plenum Press, New Yorkを参照)。
【0127】
特定の実施形態は、油を含むGLAワクチンおよびGLA免疫アジュバントを意図し、これは特定のこのような実施形態においてコアジュバント活性に寄与することができ、別のこのような実施形態では、これに加え、またはこれに代わり、製薬的に許容される担体または賦形剤を提供する。非常に多数の好適な油が知られており、本発明の開示に基づくワクチン組成物および免疫アジュバント組成物に含有させるために選択することができる。このような油の例として、例示目的であり限定するものではないが、スクアレン、スクアラン、鉱油、オリーブ油、コレステロール、およびモノオレイン酸マンニドが挙げられる。
【0128】
イミダゾキノリン免疫応答修飾因子のような免疫応答修飾因子も当分野では公知であり、本明細書に開示する特定の実施形態においてコアジュバントとして含有させてもよい。特定の好ましいイミダゾキノリン免疫応答修飾因子の非制限的例として、リシキモド(R848)、イミキモドおよびガルジキモド(gardiquimod)が挙げられ(Hemmiら、2002 Nat. Immunol. 3:196;Gibsonら、2002 Cell. Immunol. 218:74;Gordenら、2005 J. Immunol. 174:1259);これらのおよびその他のイミダゾキノリン免疫応答修飾因子も、適切な条件下で、本明細書に記載するようなTLRアゴニスト活性を有する可能性がある。その他の免疫応答修飾因子は、核酸をベースとする二重ステムループ免疫修飾因子(dSLIM)である。本明細書に開示する特定の実施形態において使用が意図されるdSLIMの具体例は、Schmidtら、2006 Allergy 61:56;Weihrauchら、2005 Clin Cancer Res. 11(16):5993-6001;Modern Biopharmaceuticals, J. Knablein (監修). John Wiley & Sons, 2005年12月6日(dSLIMについては183〜200頁に記載)中に、およびMologen AG(Berlin, FRG: [8/18/06にhttp://www.mologen.com/English/04.20-dSLIM.shtmlにてオンラインで検索])から見出すことができる。
【0129】
既に述べたように、本明細書に記載するGLAと一緒に用いるコアジュバントの1タイプは、アルミニウムコアジュバントでよく、これは一般に「alum」と称する。alumコアジュバントは、以下:オキシ水酸化アルミニウム;ヒドロキシリン酸アルミニウム;または各種の適切な塩をベースとする。alumコアジュバントを用いるワクチンとして、破傷風菌株、HPV、A型肝炎、不活性化ポリオウイルス、および本明細書に記載のその他の抗原についてのワクチンなどを挙げることができる。alumコアジュバントは、優れた安全記録を有し、抗体応答を高め、抗原を安定化し、かつラージスケール生産が比較的単純であることから、有利である(Edelman 2002 Mol. Biotechnol. 21:129-148;Edelman, R. 1980 Rev. Infect. Dis. 2:370-383)。
【0130】
有効な免疫刺激のためにGLAと組み合わせることができる他のコアジュバントとしては、サポニンおよびサポニン擬似体などが挙げられ、これらには、QS21およびこれと類似の効果をもたらす構造的に関連する化合物で、本明細書でQS21擬似体と称するものが含まれる。QS21は、好ましいコアジュバントとして認識されている。QS21は、シャボンノキ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮から得られるHPLC精製非毒性画分を含むことができる。QS21の製造については、米国特許第5,057,540号に記載されている(また、米国特許第6,936,255号、第7,029,678号および第6,932,972号も参照のこと)。
【0131】
GLAはまた、特定の実施形態では、ISCOMSとして知られる「免疫刺激性複合体」(例えば、米国特許第6,869,607号、第6,846,489号、第6,027,732号、第4,981,684号を)と組み合わせてもよく、このようなものとして、例えば、Iscotec(Stockholm, Sweden)およびCSL Ltd.(Parkville, Victoria, Australia)から市販されているサポニン由来のISCOMATRIX(登録商標)がある。
【0132】
組換え発現構築物
本発明に開示した特定の実施形態によれば、GLAワクチン組成物は、抗原をコードする核酸配列に機能的に結合したプロモーターを含む少なくとも1種の組換え発現構築物を含んでもよい。別の特定の実施形態では、この組換え発現構築物は、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、またはレトロウイルスベクターなどのウイルスベクター中に存在する。このような発現構築物およびベクターを作製および使用する組成物および方法は、本明細書に記載するポリペプチド抗原の発現を目的とするもので、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, 2006 John Wiley & Sons, NYに従って、当分野では周知である。組換え発現構築物の非制限的例は、概して、例えば、米国特許第6,844,192号;第7,037,712号;第7,052,904号;第7,001,770号;第6,106,824号;第5,693,531号;第6,613,892号;第6,875,610号;第7,067,310号;第6,218,186号;第6,783,981号;第7,052,904号;第6,783,981号;第6,734,172号;第6,713,068号;第5,795,577号;第6,770,445号およびその他の文献に見出すことができ、これらの教示内容を、本明細書に開示した特定の実施形態で使用するため、本明細書に記載するポリペプチド抗原の発現に適合させることができる。
【0133】
免疫応答
このように、本発明は、免疫応答を誘起することができる宿主における免疫応答を改変する(すなわち、例えば、当業者が熟知しているような適切な対照と比較して、統計的に有意な様式で増加または減少する)ための組成物を提供する。当業者には公知であるように、免疫応答は、宿主の免疫状態のどのような能動的改変であってもよく、これには、宿主免疫状態の維持および/または調節に参加する1種以上の組織、器官、細胞もしくは分子の構造または機能のあらゆる改変を含むことができる。典型的には、免疫応答は、様々な周知のパラメーターのいずれかにより検出することができ、このようなパラメーターとして、限定するものではないが、以下のin vivoまたはin vitroでの測定が挙げられる:可溶性免疫グロブリンまたは抗体;可溶性媒介物質、例えば、サイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、増殖因子など、ならびに、その他の可溶性小ペプチド、炭水化物、ヌクレオチドおよび/または脂質媒介物質;免疫系の細胞の機能的または構造的特性の変化により決定されるような細胞の活性化状態の変化、例えば、細胞増殖、運動性の変化、特異的遺伝子発現または細胞溶解挙動のような特殊化した活性の誘導;免疫系の細胞による細胞の分化、例えば、表面抗原発現プロフィールの変化またはアポトーシス(プログラムされた細胞死)の開始;または、免疫応答の存在を検出することができるその他のあらゆる基準。
【0134】
免疫応答は、往々にして、例えば、分子および細胞レベルでの、宿主の免疫系の細胞および組織による自己構造と非自己構造との識別としてみなすことができるが、本発明をこのように限定すべきではない。例えば、免疫応答は、自己の分子、細胞または組織の免疫認識によって起こる免疫系状態の変化も含むことができ、これは、免疫系成分の典型的な調節などの非常に多くの正常な状態に随伴する場合があり、また自己免疫および変性疾患に認められる不適切な自己免疫応答などの病態に存在する場合がある。別の例として、特定の免疫系活性の上方制御による誘導(例えば、抗体および/またはサイトカイン産生、または細胞性免疫の活性化)以外にも、免疫応答は、検出可能な免疫の抑制、減衰、またはその他の下方制御も含み、これらは、選択する抗原、抗原投与の経路、特異的寛容の誘導、またはその他の要因の結果でありうる。
【0135】
本発明のワクチンによる免疫応答の誘導の測定は、当業者には容易に認識される多数の周知の免疫学的アッセイのいずれによって確認することができる。このようなアッセイとして、限定するものではないが、以下のもののin vivoまたはin vitroでの測定が挙げられる:可溶性抗体;可溶性媒介物質、例えば、サイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、増殖因子など、ならびに、その他の可溶性小ペプチド、炭水化物、ヌクレオチドおよび/または脂質媒介物質;免疫系の細胞の機能的または構造的特性の変化により決定されるような細胞の活性化状態の変化、例えば、細胞増殖、運動性の変化、特異的遺伝子発現または細胞溶解挙動のような特殊化した活性の誘導;免疫系の細胞による細胞分化、例えば、表面抗原発現プロフィールの変化またはアポトーシス(プログラムされた細胞死)の開始。これらおよび類似アッセイを実施する方法は、周知であり、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998;さらに、Current Protocols in Immunologyも参照;また、例えば、Weir, Handbook of Experimental Immunology, 1986 Blackwell Scientific, Boston、MA;MishellおよびShigii(編)Selected Methods in Cellular Immunology, 1979 Freeman Publishing、San Francisco、CA;Green and Reed, 1998 Science 281:1309、ならびに、これらに引用されている参考文献も参照のこと)に見出すことができる。
【0136】
抗原反応性T細胞の増殖の検出は、様々な公知の技術により達成することができる。例えば、DNA合成の速度を測定することによりT細胞増殖を検出することができ、候補の抗原反応性T細胞が暴露される刺激(例えば、特定の所望の抗原または対照抗原をパルスした抗原提示細胞)を制御することにより、抗原特異性を決定することができる。増殖するように刺激されたT細胞は、DNA合成の速度増加を呈示する。DNA合成の速度を測定する典型的な方法は、例えば、トリチウム化チミジン(新しく合成されるDNAに組み込まれるヌクレオシド前駆体)でT細胞の培養物をパルス標識することによる。液体シンチレーション分光光度計を用いて、組み込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することができる。T細胞増殖を検出する別の方法は、インターロイキン-2(IL-2)産生の増加、Ca
2+フラックス、または色素取込み、例えば3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウム、を測定することを含む。あるいは、リンホカイン(例えば、インターフェロンγ)の合成を測定してもよいし、または特定の抗原に応答することができるT細胞の相対数を定量してもよい。
【0137】
抗原特異的抗体産生の検出は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、平衡透析または固相免疫ブロット法(ウエスタンブロッティングなど)のようなin vitro方法を用いて、本発明のワクチンで処置した宿主からのサンプル(例えば、血清、血漿または血液などの免疫グロブリン含有サンプル)をアッセイすることにより、達成することができる。好ましい実施形態では、ELISAアッセイは、例えば、アッセイの感度を高めるために、抗原に特異的な固相モノクローナル抗体による標的抗原の抗原捕捉固定化をさらに含んでもよい。可溶性媒介物質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、プロスタグランジンなど)の産生も、例えば、容易に入手可能な市販(例えば、Sigma、St.Louis, MO;さらにR & D Systems 2006 Catalog, R & D Systems、Minneapolis, MN参照)の方法、装置および試薬を用い、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により容易に測定することができる。
【0138】
当分野でよく知られる慣用のアッセイを用いて、他の多くの免疫学的パラメーターをモニターしてもよい。このようなアッセイとして、例えば、十分に確立されたマーカー抗原系を用いた、様々な末梢血液またはリンパ系単核細胞亜集団の抗体依存性細胞細胞傷害性(ADCC)アッセイ、二次in vitro抗体応答、免疫細胞蛍光測定アッセイ、免疫組織化学またはその他の関連アッセイなどが挙げられる。これらおよびその他のアッセイは、例えば、Roseら(編)、Manual of Clinical Laboratory Immunology, 第5版、1997 American Society of Microbiology(Washington, DC)に見出すことができる。
【0139】
従って、本明細書に提供されるワクチンおよびアジュバント組成物は、宿主において、T
H1型Tリンパ球応答、T
H2型Tリンパ球応答、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、抗体応答、サイトカイン応答、リンホカイン応答、ケモカイン応答、ならびに炎症性応答から選択される少なくとも1種の免疫応答を誘導または増強することができることが意図される。特定の実施形態では、免疫応答は、インターフェロンγ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)から選択される1種以上のサイトカインの産生、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-16、IL-18およびIL-23から選択される1種以上のインターロイキンの産生、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、CCL4およびCCL5から選択される1種以上のケモカインの産生、ならびに、記憶T細胞応答、記憶B細胞応答、エフェクターT細胞応答、細胞傷害性T細胞応答、およびエフェクターB細胞応答から選択されるリンパ球応答の少なくとも1種を含むことができる。例えば、以下の文献を参照されたい:WO 94/00153; WO 95/17209; WO 96/02555; U.S. 6,692,752; U.S. 7,084,256; U.S. 6,977,073; U.S. 6,749,856; U.S. 6,733,763; U.S. 6,797,276; U.S. 6,752,995; U.S. 6,057,427; U.S. 6,472,515; U.S. 6,309,847; U.S. 6,969,704; U.S. 6,120,769; U.S. 5,993,800; U.S. 5,595,888; Smith et al., 1987 J Biol Chem. 262:6951; Kriegler et al., 1988 Cell 53:45 53; Beutler et al., 1986 Nature 320:584; U.S. 6,991,791; U.S. 6,654,462; U.S. 6,375,944。
【0140】
医薬組成物
医薬組成物は、一般に、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、ALから入手可能;製品番号699800)を含み、本明細書に記載の通り、製薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて、抗原、TLRアゴニスト、コアジュバント(随意に、サイトカイン、イミダゾキノリン免疫応答修飾因子および/またはdSLIMを含む)、および/または組換え発現構築物から選択される1以上の成分をさらに含んでもよい。
【0141】
従って、特定の態様では、本発明は、GLA「単剤療法」に関連し、その際、GLAは、本明細書に記載のように、他の抗原を実質的に欠いた組成物中で製剤化され、生物による感染などの疾患またはその他の症状を治療または予防する目的で、免疫応答、例えば、非特異的免疫応答を刺激するために、被験者に投与する。一実施形態では、例えば、本発明の組成物および方法は、被験者における免疫応答を刺激するためにモノホスホリル化二糖を使用する。別の具体的実施形態では、この組成物および方法は、被験者における免疫応答を刺激するためにリピドAの2-モノアシル形態を使用する。別の具体的実施形態では、GLAは、噴霧の形態であり、これは、随意にキット中に提供される。
【0142】
GLAは、好ましくは、安定なエマルジョン中に製剤化することができる。1つの具体的実施形態では、例えば、他の抗原を実質的に欠いた安定なエマルジョン中にリピドA誘導体を含む組成物が提供される。別の具体的実施形態では、哺乳動物に用いるのに適した3-アシル化モノホスホリルリピドAの誘導体を含む組成物が提供され、その際、アミン2位は、単一のアシル鎖を有し、他の抗原を実質的に欠いている。
【0143】
他の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、GLAと抗原の両方を含み、さらに、本明細書に記載されるとおり、製薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて、TLRアゴニスト、コアジュバント(例えば、サイトカイン、イミダゾキノリン免疫応答修飾因子および/またはdSLIM)など、および/または組換え発現構築物から選択される1以上の成分を含みうる、ワクチン組成物である。
【0144】
例示的な担体は、使用する用量および濃度で受容者に対し無毒である。GLA+核酸ベースのワクチン、またはGLA+抗原を含むワクチンの場合、典型的には、皮内、皮下、筋内もしくは静脈内経路により、または他の経路により、体重1 kg当たり約0.1μg〜約100mgを投与する。
【0145】
好ましい用量は、約1μg/kg〜約1 mg/kgで、約5μg/kg〜約200μg/kgが特に好ましい。当業者であれば、投与回数および頻度は、宿主の応答に応じて変わることは明らかであろう。治療用途のための「製薬的に許容される担体」は、製薬分野では周知であり、例えば、
Remingtons Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro編 1985)に記載されている。例えば、生理学的pHの滅菌食塩水およびリン酸緩衝化食塩水を用いることができる。防腐剤、安定化剤、染料、さらには香味料を医薬組成物に含有させてもよい。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを防腐剤として添加することができる(同上、1449)。加えて、抗酸化剤および懸濁剤を用いてもよい(同上)。
【0146】
「製薬的に許容される塩」は、本発明の化合物と、有機もしくは無機酸(酸付加塩)または有機もしくは無機塩基(塩基付加塩)との組合せから得られる、本発明の化合物の塩を意味する。本発明の組成物は、遊離塩基または塩のいずれの形態で用いてもよく、どちらの形態も、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0147】
医薬組成物は、この組成物を患者に投与することを可能にするどのような形態であってもよい。例えば、上記組成物は、固体、液体もしくは気体(エアロゾル)の形態でよい。投与の典型的経路としては、限定するものではないが、経口、局所、非経口(例えば、舌下または口腔内)、舌下、直腸、膣、および鼻内(例えば、噴霧剤として)などが挙げられる。本明細書で用いる用語「非経口」とは、イオン泳動(例えば、US 7,033,598;7,018,345;6,970,739)、超音波泳動(例えば、US 4,780,212;4,767,402;4,948,587;5,618,275;5,656,016;5,722,397;6,322,532;6,018,678)、熱(例えば、US 5,885,211;6,685,699号)、受動経皮(例えば、US 3,598,122;3,598,123;4,286,592;4,314,557;4,379,454;4,568,343;5,464,387;英国特許明細書No2232892;US 6,871,477;6,974,588;6,676,961)、極微針(例えば、US 6,908,453;5,457,041;5,591,139;6,033,928)投与、さらには、皮下注射、静脈内、筋内、胸骨内、海綿内、鞘内、道内(intrameatal)、尿管内注射または注入法を含む。具体的実施形態では、本明細書に記載した組成物(ワクチンおよび医薬組成物など)は、イオン泳動、ミクロキャビテーション(microcavitation)、超音波泳動または極微針から選択される技術により皮内投与する。
【0148】
医薬組成物は、これに含まれる活性成分が、該組成物を患者に投与した際、生体利用可能になるように製剤化する。患者に投与される組成物は、1以上の投与単位の形態を採っており、例えば、一錠の錠剤は単回投与剤形であってよく、エアロゾル形態をした本発明の1種以上の組成物の容器は、複数の投与単位を保持しうる。
【0149】
経口投与の場合には、賦形剤および/または結合剤が存在してもよい。例として、スクロース、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびエチルセルロースが挙げられる。着色剤および/または香味剤を含有させてもよい。また、コーティングシェルを用いてもよい。
【0150】
組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、溶剤、乳剤または懸濁剤であってもよい。この液体は、2つの例として、経口投与用、または注射による送達用のものを挙げることができる。経口投与を意図する場合、好ましい組成物は、1種以上の甘味剤、防腐剤、色素/着色剤および香味増強剤を含む。注射による投与を意図する場合には、1種以上の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、バッファー、安定化剤および等張剤を含有させてもよい。
【0151】
本明細書で用いる液体医薬組成物は、溶液、懸濁液またはその他のいずれの形態であっても、以下に挙げる担体または賦形剤のうち1つ以上を含んでよい:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー液、等張食塩液、固定油、例えば、スクアレン、スクアラン、鉱油、モノオレイン酸マンニド、コレステロール、および/または、溶媒または懸濁媒体として役立つ合成のモノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;バッファー、例えば、アセテート、シトラートまたはホスフェート、ならびに、張性の調節のための物質、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与用バイアル中に封入することができる。注射用医薬組成物は無菌であるのが好ましい。
【0152】
具体的実施形態では、本発明の医薬またはワクチン組成物は、0.2μm未満の安定な水性懸濁液を含み、さらにリン脂質、脂肪酸、表面活性剤、界面活性剤、サポニン、フッ素化(fluorodated)脂質などを含む。
【0153】
別の実施形態では、本発明の組成物は、エアロゾル投与できるように製剤化する。
【0154】
ワクチンまたは医薬組成物に、送達ビヒクルのような他の成分を含有させるのが望ましい場合もあり、このようなものとして、限定するものではないが、アルミニウム塩、油中水型エマルジョン、生物分解性油ビヒクル、水中油型エマルジョン、生物分解性ミクロカプセル、およびリポソームが挙げられる。このようなビヒクルに用いる別の免疫刺激性物質(コアジュバント)も既述しており、N-アセチルムラミル-L-アラニン-D-イソグラミン(MDP)、グルカン、IL-12、GM-CSF、γインターフェロンおよびIL-12などを挙げることができる。
【0155】
当業者には公知のあらゆる好適な担体を本発明の医薬組成物に用いることができるが、担体の種類は、投与様式や、持続放出を所望するか否かによって変わりうる。皮下注射などの非経口投与の場合、担体は、水、食塩水、アルコール、脂肪、蝋、またはバッファーを含むのが好ましい。経口投与の場合には、前記担体または固体担体、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムのいずれを用いてもよい。また、本発明の医薬組成物用の担体として、生物分解性ミクロスフィア(例えば、ポリ乳酸ガラクチド)を用いてもよい。好適な生物分解性ミクロスフィアは、例えば、米国特許第4,897,268号および第5,075,109号に開示されている。これに関して、ミクロスフィアは約25ミクロンより大きいことが好ましい。
【0156】
医薬組成物(GLAワクチンおよびGLA免疫アジュバントなど)はまた、バッファーのような希釈剤、アスコルビン酸のような抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロースまたはデキストリンなどの炭水化物、EDTAのようなキレート剤、グルタチオン、ならびにその他の安定化剤および賦形剤を含んでもよい。中性緩衝化食塩水、または非特異的血清アルブミンと混合した食塩水は、適切な希釈剤の例である。好ましくは、希釈剤として適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を用いて、凍結乾燥物として組成物を製剤化してもよい。
【0157】
前述したように、特定の実施形態では、本発明は、所望の抗原をコードする核酸分子を送達することができる組成物を含む。このような組成物は、組換えウイルスベクター(例えば、レトロウイルス(WO 90/07936、WO 91/02805、WO 93/25234、WO 93/25698、およびWO 94/03622参照)、アデノウイルス(Berkner, Biotechniques 6:616-627, 1988;Liら、Hum. Gene Ther. 4:403-409, 1993;Vincentら、Nat. Genet. 5:130-134, 1993;およびKollsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:215-219, 1994参照)、ポックスウイルス(米国特許第4,769,330号;米国特許第5,017,487号;およびWO 89/01973参照))、ポリカチオン分子と複合体化した組換え発現構築物核酸分子(WO 93/03709参照)、ならびに、リポロームと会合した核酸(Wangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851, 1987参照)を含む。特定の実施形態では、死滅または不活性化アデノウイルスにDNAを結合させてもよい(Curielら、Hum. Gene Ther. 3:147-154, 1992;Cottonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6094, 1992参照)。別の好適な組成物は、DNA-リガンド(Wuら、J. Biol. Chem. 264:16985-16987, 1989参照)および脂質-DNA組合せ物(Felgnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417, 1989参照)を含む。
【0158】
直接的なin vivo方法以外に、ex vivo方法を用いてもよく、この方法では、宿主から細胞を取り出し、改変した後、同じまたは別の宿主動物に導入する。ex vivoにおいて、組織細胞に抗原コード核酸分子を導入するために、前述した組成物のいずれを用いてもよいことは明らかであろう。ウイルスによる、または物理的もしくは化学的取込み方法のプロトコルは当分野では周知である。
【0159】
従って、本発明は、宿主、患者または細胞培養物において免疫応答を増強または誘導するのに有用である。本明細書で用いる、用語「患者」とは、任意の温血動物、好ましくはヒトを指す。患者は、感染症、乳癌などの癌、または自己免疫疾患に罹患していてもよいし、正常(すなわち、検出可能な疾患および/または感染がない)であってもよい。「細胞培養物」とは、免疫担当細胞または免疫系の単離細胞(限定するものではないが、T細胞、マクロファージ、単球、B細胞および/または樹状細胞など)を含むあらゆる調製物である。このような細胞は、当業者には周知である各種技術(例えば、Ficoll-hypaque密度遠心分離)のいずれかにより単離することができる。癌に罹患した患者から細胞を分離しておき(しかし、必ずというわけではない)、治療後の患者に再導入することもできる。
【0160】
特定の実施形態では、非経口または経口投与のいずれかを意図する液体組成物は、好適な用量が得られるような量のGLAワクチン組成物を含んでいなければならない。典型的には、この量は、組成物中少なくとも0.01重量%の抗原である。経口投与を意図する場合には、この量は、組成物重量の0.1%〜約70%の間を変動しうる。好ましい経口組成物は、約4%〜約50%の抗原を含む。好ましい組成物および調製物は、非経口投与単位が、0.01〜1重量%の活性組成物を含むように調製される。
【0161】
医薬組成物は、局所投与を意図するものでもよく、その場合、担体は、溶剤、乳剤、軟膏、またはゲル基材を適切に含むことができる。基材は、例えば、以下:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、みつ蝋、鉱油、水およびアルコールのような希釈剤、ならびに乳化剤および安定化剤、の1つ以上を含むことができる。局所投与用の医薬組成物中に増粘剤を含有させてもよい。経皮投与を意図する場合には、組成物は、経皮パッチまたはイオン泳動デバイスを含むことができる。局所製剤は、約0.1〜約10%w/v(重量/単位体積)の濃度の抗原(例えば、GLA-抗原ワクチン組成物)またはGLA(例えば、免疫アジュバント組成物;GLAは、Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、ALから入手可能である;例えば、製品番号699800)を含有することができる。
【0162】
組成物は、例えば、直腸内で溶解して、薬剤を放出する座薬の形態をした、直腸投与を意図するものでもよい。直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として脂肪性基材を含んでもよい。このような基材として、限定するものではないが、ラノリン、ココアバターおよびポリエチレングリコールなどが挙げられる。本発明の方法では、ワクチン組成物/アジュバントは、挿入物、ビーズ、時限放出製剤、パッチ、または急速放出製剤を用いて、投与することができる。
【0163】
本明細書に記載のGLAワクチン組成物および/またはGLA免疫アジュバント組成物を含むキットも特定の実施形態で意図されており、このような組成物を1個以上の容器に入れて提供してもよい。一実施形態では、GLAワクチン組成物および/またはGLA免疫アジュバント組成物の全成分が単一の容器中に一緒に存在するが、本発明の実施形態がそのように限定されることを意図するわけではなく、2個以上の容器も意図され、その際例えば、GLA免疫アジュバント組成物は抗原成分から隔てられ、接触していない。非制限的理論として、場合によっては、GLA免疫アジュバント組成物のみを投与するのが有益なこともあれば、このような投与を抗原の投与から時間的および/または空間的(例えば、別の解剖学的部位)に分けることが有益な場合もあり、さらにまた、抗原およびGLAの両方と、随意に本明細書に記載した他の成分を同様に含む、本明細書に記載のGLAワクチン組成物を被検者に投与するのが有益な場合もある。
【0164】
このようなキット実施形態の容器は、任意の好適な容器、ベッセル、バイアル、アンプル、チューブ、カップ、箱、瓶、フラスコ、ジャー、皿、単一ウェルまたは複数ウェル装置のウェル、貯蔵器、タンクなど、またはその他のデバイスでよく、その中に本明細書で開示する組成物を配置、貯蔵、および/または輸送し、利用して内容物を移すことができる。典型的には、このような容器は、意図する用途に適合し、かつ含まれる内容物の回収が容易に達成できるような材料から製造されているものでありうる。このような容器の好ましい例として、ガラスおよび/またはプラスチック密閉または再密閉可能なチューブおよびアンプルなどが挙げられ、例えば、ゴム隔膜、または針および注射器を用いた内容物の抜取りに互換性のある他の密閉手段を備えるものがある。このような容器は、例えば、ガラス製、または化学的に適合性のプラスチックもしくは樹脂製であることができ、これらは、容器からの材料の効率的な回収を可能にする、および/または、例えば紫外線もしくは極端な温度のような分解性条件から、または微生物汚染物質などの不要な汚染物質の混入から、前記材料を保護する材料から製造されていてもよいし、またはそのような材料でコーティングされていてもよい。上記容器は、好ましくは、無菌であるか、滅菌可能であり、本明細書に記載のワクチン組成物および/または免疫アジュバント組成物および/または抗原および/または組換え発現構築物などを懸濁または溶解させるのに用いうるような、あらゆる担体、賦形剤、溶媒、ビヒクルなどと適合性の材料からなる。
【0165】
また、本発明の組成物を製剤化するのにエマルジョン系を用いてもよい。例えば、多くの単相または多相エマルジョン系が記載されている。水中油型エマルジョンアジュバントは、それ自体アジュバント組成物として有用であることが示唆されている(EP 0 399 843B)が、水中油型エマルジョンと他の活性物質の組合せもワクチン用のアジュバントとして記載されている(WO 95/17210;WO 98/56414;WO 99/12565;WO 99/11241)。上記以外の油性エマルジョンアジュバントも記載されており、例えば、油中水型エマルジョン(米国特許第5,422,109号;EP 0 480 982 B2)および水中油中水型エマルジョン(米国特許第5,424,067号;EP 0 480 981 B)などが挙げられる。本発明で用いる油性エマルジョンアジュバントは、天然または合成のいずれでもよく、無機的であっても有機的であってもよい。鉱油または有機油の例は、当業者であれば容易に明らかであろう。
【0166】
具体的実施形態では、本発明の組成物は、水中油型のエマルジョンを含み、その際、GLAは油相に含まれている。別の実施形態では、本発明の組成物は、水中油型のエマルジョンを含み、その際、GLAは油相に含まれおり、かつ、本明細書に記載のように、コアジュバント、TLRアゴニストなどの追加の成分も存在する。
【0167】
いずれの水中油型の組成物もヒト投与に適したものになるように、エマルジョン系の油相は、代謝可能な油を含んでいるのが好ましい。代謝可能な油という用語の意味は、当分野では周知である。代謝可能とは、「代謝により転換されうる」と定義することができる(Dorland's illustrated Medical Dictionary, W. B. Saunders Company, 第25版 (1974))。油は、受容者に対し無毒であり、かつ代謝により転換されうる、植物油、魚油、動物油または合成油のいずれでもよい。堅果(ピーナツ油など)、種子、および穀物は、植物油の一般的供給源である。また、合成油も本発明の一部であり、例えば、NEOBEE(登録商標)のような市販の油などを挙げることができる。
【0168】
例えば、スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメの肝油に大量に存在し、またそれより少ないが、オリーブ油、麦芽油、米糠油および酵母にも存在する不飽和油であり、本発明に用いるのに特に好ましい油である。スクアレンは、コレステロールの生合成における中間産物であるため、代謝可能な油である(Merck index、第10版、エントリーno.8619)。特に好ましい油性エマルジョンは、水中油型エマルジョンであり、具体的には、水中スクアレンのエマルジョンである。加えて、本発明の最も好ましい油性エマルジョンアジュバントは、抗酸化剤を含み、これは、好ましくは、油α−トコフェロール(ビタミンE、EP 0 382 271 B1)である。WO 95/17210およびWO 99/11241は、スクアレン、α−トコフェロール、およびTWEEN(登録商標)80をベースとし、随意に、免疫刺激物質QS21および/または3D-MPL(これについては既に述べた)と一緒に製剤化される、エマルジョンアジュバントを開示している。WO 99/12565は、油相へのステロールの添加を含む、これらスクアレンエマルジョンに対する改善を開示している。これに加え、エマルジョンを安定化するために、トリカプリリン(C
27H
500
6)のようなトリグリセリドを油相に添加してもよい(WO 98/56414)。
【0169】
安定な水中油型エマルジョン内に見られる油滴の大きさは、好ましくは1ミクロン未満であり、実質的に30〜600 nmの範囲であってよく、好ましくは直径が実質的に約30〜500 nmであり、最も好ましくは直径が実質的に150〜500 nmであり、具体的には直径が約150 nmであり、これは、光子相関分光法により測定される。これに関して、油滴数の80%は、好ましい範囲内にあるべきであり、より好ましくは油滴数の90%超、最も好ましくは油滴数の95%超が上記規定のサイズ範囲内にある。本発明の油性エマルジョン中に存在する成分の量は、通常、スクアレンのような油が2〜10%;またα−トコフェロールが存在する場合には、2〜10%;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような界面活性剤が0.3〜3%、の範囲内である。好ましくは、油:α−トコフェロールの比は、より安定なエマルジョンを提供することから、1以下である。Span 85も約1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合では、本発明のワクチンは安定化剤をさらに含むのが有利でありうる。
【0170】
水中油型エマルジョンを調製する方法は当業者には周知である。一般に、この方法は、油相をPBS/TWEEN80(登録商標)溶液のような界面活性剤と混合した後、ホモジナイザーを用いて均質化することを含む。例えば、混合物を注射針に1回、2回もしくはそれ以上通過させることを含む方法は、少量の液体を均質化する上で好適であると考えられる。同様に、マイクロフルイダイザー(M110Sマイクロフルイディクス機、6バールの最大圧入力(出力圧約850バール)で2分間、最大50 pass)での乳化工程を、より少量または大量のエマルジョンを生産するように適合させることもできる。この適合は、要求される直径の油滴を含む調製物が達成されるまで、得られるエマルジョンを測定することを含む慣用の実験により達成することができる。
【0171】
以下に記載する実施例は、例示として提供するものであり、限定のためではない。
【実施例1】
【0173】
GLA水性製剤
この実施例は、GLA含有アジュバント水性製剤の調製について記載する。GLAの水性製剤(GLA-AF)は、注射用水(WFI)、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800)、および1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)を含む。この製剤は、エタノールとPOPCの溶液を、予め計測した量のGLAに添加することにより調製した。この湿潤GLAを10分間音波処理して、GLAを可能な限り分散させた。次に、GLAを窒素ガス下で乾燥させた。乾燥したGLAおよびPOPCをWFIで適正量まで再構成した。この溶液を、GLAおよびPOPCがすべて溶解するまで、60℃で15〜30分間音波処理した。長期貯蔵のためには、GLA-AF製剤を凍結乾燥しなければならない。凍結乾燥工程は、全量の2%になるまで溶液にグリセロールを添加することからなるものであった。次に、この溶液をバイアルに1〜10mLの量で入れた。バイアルを凍結乾燥工程に付したが、この工程は、溶液を凍結した後、これを減圧下に置いて、昇華により凍結水を除去することからなるものであった。
【実施例2】
【0174】
GLA HPLC分析
この実施例は、GLA含有アジュバント水性製剤のHPLC分析を記載する。製剤を製造した(前記の実施例1を参照)後、いくつかの放出および安定試験を実施して、製剤の品質および再現性を確認した。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、動的光散乱(DLS)および視覚検査を用いて、放出および長期安定性についてすべての製剤を試験した。Agilent 1100システムおよびESA Corona CAD検出器を用いて、HPLCクロマトグラムを収集した。この方法は、Waters Atlantis C18カラム上でメタノール/クロロホルム勾配を用いて実施した。注入物は、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800、GLA-AF)またはMPL(登録商標)(GSK Biologicals、Rixensart, Belgium、MPL-AF)をそれぞれ2.5μg、および可溶化剤として用いた合成ホスホコリン(POPC)0.27μgを含有した。
【0175】
図1は、MPL-AFおよびGLA-AF中の汚染物質の数および量を明示するPLCデータを示す。
【0176】
HPLCプロフィールから、GLA-AFが、MPL-AFより、実質的に純粋であることがわかった。すなわち、GLA-AFでは、MPL-AFアジュバント製剤より汚染物質ピークが少なかった。得られる生体応答はGLAの製剤で用いられる単一の主要成分からのものであるため、出発材料がより純粋である方が、研究者には極めて有益である。
【実施例3】
【0177】
GLA油性製剤
この実施例は、1 mlのGLA含有アジュバント油性製剤の調製を記載する。0.5mgのD,L-α-トコフェロールを抗酸化剤として用い、25ミリモルのリン酸アンモニアバッファー(pH=5.1)中のグリセロール(22.7 mg)、ホスホチジルコリンまたはレシチン(7.64 mg)、Pluronic(登録商標)F-68(BASF Corp., Mount Olive、NJ)または類似のブロックコポリマー(0.364 mg)と一緒に、スクアレン(34.3 mg)中でGLA(100μg;Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800)を乳化した。分離せず、しかも、平均粒径が180 nm未満のエマルジョンが形成されるまで、上記混合物を高圧下で処理した。次に、このエマルジョンを、長期貯蔵のために、滅菌濾過してガラス製の単回用量バイアルに入れ、キャップをした。この調製物は2〜8℃で保存するとき少なくとも3年間は使用することができる。
【実施例4】
【0178】
マウスマクロファージおよび樹状細胞のGLA刺激
この実施例は、GLAのアジュバント効果を明らかにするin vitroモデルを記載する。標準的な組織培養方法および試薬を用いた。マウスJ774およびRAW267.4のマクロファージ細胞株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を供給者の推奨事項に従って維持し、マルチウェルディッシュにおいて付着細胞単層として培養した。樹状細胞は、Xiongらによるプロトコル(J. Biol. Chem 2004, 279, pp10776-83)に従い、骨髄前駆細胞から取得した。細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清を含むDMEM)中で水性アジュバント調製物を希釈することにより、様々なアジュバント濃度の合成GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800)を得て、5%CO
2を含む加湿雰囲気中、細胞を37℃で24時間維持した後、細胞を含まない培養上清を回収した。特定のサンドイッチELISAアッセイキット(サイトカインについては、eBiosciences、San Diego、CA、そしてケモカインについては、R&D Systems、Minneapolis、MN)を用いて、製品説明書に従い、IL-12、IL-6、およびTNFなどの可溶性マウスサイトカイン、ならびにRANTESのようなケモカインについて上清液をアッセイした。
【0179】
GLA-AFは、マウスマクロファージ細胞株および一次マウスDCにおいて、IL-12p40、IL-6、およびTNFのようなサイトカイン、ならびに、RANTESのようなケモカインの分泌を特徴とする、用量依存性の免疫応答を誘導した。
【実施例5】
【0180】
ヒトマクロファージおよび樹状細胞のGLA刺激
この実施例は、GLAのアジュバント効果を明らかにするin vitroモデルを記載する。標準的な組織培養方法および試薬を用いた。
【0181】
ヒトMono Mac 6マクロファージ細胞株(American Type Culture Collection, Manassas, VA)の細胞を供給者の推奨事項に従って維持し、マルチウェルプレートにおいて付着細胞単層として培養した。標準的プロトコルに従って、末梢血液単核細胞(PBMC)から樹状細胞を取得した。細胞培養培地(MonoMac6については10%ウシ胎仔血清を含むDMEM、またDCについては10%ヒト血清)中で水性アジュバント調製物を希釈することにより、様々なアジュバント濃度の合成GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800)または天然製品MPL(登録商標)(GSK Biologicals, Rixensart、Belgium)のいずれかを得て、5%CO
2を含む加湿雰囲気中、細胞を37℃で24時間維持した後、細胞を含まない培養上清を回収した。特定のサンドイッチELISAアッセイキット(サイトカインについては、eBiosciences、San Diego、CA、また、ケモカインについては、Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて、製品説明書に従い、IL-1β、IL-23、およびIL-6などの可溶性ヒトサイトカイン、ならびにIP-10、RANTESおよびMIP-1βのようなケモカインについて上清液をアッセイした。
【0182】
図2は、GLA刺激に応答してMono Mac6細胞株のヒトマクロファージ(パネルa〜e)、および単球由来のDC(パネルf〜h)により発現されたサイトカインおよびケモカインのレベルを明示するELISAデータを示す。
【0183】
GLA-AFは、ヒトマクロファージ細胞株Mono Mac6(
図2、パネルa〜e)、および一次D(
図2、パネルf〜h)において、IL-1β、IL-6、IL-23のようなサイトカイン、ならびに、RANTES、IP-10、MIP-1βのようなケモカインの分泌を特徴とする、用量依存性の免疫応答を誘導した。GLA-AFは、、試験したすべてのサイトカインおよびケモカインについてMPL-AFより5〜500倍低い濃度で活性であった。
【実施例6】
【0184】
ヒト血液細胞のGLA刺激
この実施例は、GLAのアジュバント効果を明らかにするin vitroモデルを記載する。標準的な組織培養方法および試薬を用いた。
【0185】
細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清を含むDMEM)中で水性アジュバント調製物を希釈することにより得た、様々なアジュバント濃度の合成GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800)または天然製品MPL(登録商標)(GSK Biologicals, Rixensart、Belgium)のいずれかと共にヒト全血液細胞を培養した。5%CO
2を含む加湿雰囲気中、血液細胞を37℃で16時間維持した後、細胞を含まない培養上清を回収した。特定のサンドイッチELISAアッセイキット(eBiosciences, San Diego, CA))を用いて、製品説明書に従い、可溶性ヒトサイトカインIL-1βについて上清液をアッセイした。
【0186】
GLA-AFは、ヒト全血液細胞において、IL-1βサイトカインの分泌を特徴とする用量依存性の免疫応答を誘導した。このアッセイでは、92 nMのGLAは、57,000 nMのMPL-AFと効能が同等であった。
【実施例7】
【0187】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、インフルエンザに対するワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0188】
ヒト用量の1/25(20μl)および1/250(2μl)のFluzoneワクチン(Sanofi-Aventis、Swiftwater、PA)を単独で、または(i)前記実施例1で用いた手順に従い、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり20μg)を含む水性エマルジョン(GLA-AF)、もしくは(ii)前記実施例3で用いた手順に従い、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり20μg)を含む安定なエマルジョン(GLA-SE)中に製剤化した上記ワクチンを用いて、マウス(1グループにつき3匹のBalb/cマウス)を3週間おきに2回免疫した。各免疫化から1週間後にマウスから採血することにより血清を回収し、Fluzoneに特異的な総IgG抗体の血清レベルを公開された方法(同上)に従ってELISAにより検査した。また、公開された方法に従い、赤血球凝集阻害アッセイ(HAI)により、ウイルス中和抗体の血清レベルも検査した。
【0189】
図3は、GLA-AFまたはGLA-SEと一緒に製剤化した、2つの異なる量のFluzoneワクチンを用いた各免疫化から1週間後(すなわち、パネルAが第7日で;パネルBが第28日)にマウスで誘導された抗Fluzone抗体産生のレベルを、Fluzone単独との比較により明示するELISAデータを示す。各グループ/時点におけるエンドポイント力価の逆数の平均およびSEMを示す。
図3のパネルCは、GLA-AFまたはGLA-SEと一緒に製剤化した、2つの異なる用量のFluzoneワクチンを用いた2回目の免疫化から1週間後にマウスで誘導されたウイルス中和抗体産生のレベルを明示するHAIデータをFluzone単独との比較により示す。各グループ/時点におけるエンドポイント力価の逆数の平均およびSEMを示す。
【0190】
Fluzoneワクチン接種に対する応答における総IgGおよび中和抗体力価は、水性または安定な油性製剤のいずれかにGLAを添加することより増強された。GLAのアジュバントとしての効果は、2μl用量のFluzoneワクチンの方がより顕著であり、20μlのFluzoneワクチン単独と同等(GLA-AF)か、またはそれより高い(GLA-SE)抗原特異的体液性応答を誘導した。これらの結果から、アジュバントとしてGLA含有製剤をFluzoneワクチンに添加することにより、Fluzoneワクチンの用量を減らすことができ、それでも尚、高レベルのIgGおよび中和抗体力価の誘導が可能であることが示唆される。これは、トリインフルエンザのような世界的流行感染に関して特に重要である。
【実施例8】
【0191】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のリーシュマニア(Leishmania)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0192】
SMT抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)を単独で用いて、または前記実施例3で用いた手順に従い、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり20μg)を含む安定なエマルジョン(GLA-SE)中に製剤化した上記抗原を用いて、マウス(1グループにつき3匹のC57BL/6マウス)を3週間おきに3回免疫した。3回目の免疫化から1週間後にマウスから採血することにより血清を回収し、SMT抗原に特異的なIgG1およびIgG2c抗体の血清レベルを公開された方法に従ってELISAにより検査した。
【0193】
図4は、SMT抗原を単独で、またはGLA-SEと一緒に製剤化したSMT抗原を用いた3回目の免疫化から1週間後にマウスで誘導された抗SMT抗体産生のレベルを明示するELISAデータを示す。各グループにおけるエンドポイント力価の逆数の平均およびSEMを示す。
【0194】
IgG1またはIgG2c抗体のいずれのアイソタイプが優勢であるかは、それぞれTH2またはTH1応答に関連する。TH1応答が、リーシュマニア感染に対する防御に必要であることがわかっている。SMT単独のワクチン接種では、SMT特異的IgG1抗体を主に誘導した。SMT+GLA-SEワクチン接種は、より高い抗体力価を誘導し、しかも、表現型が、この疾患に対する防御に関連する優勢のIgG2c抗体応答に逆転した。
【実施例9】
【0195】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のリーシュマニア(Leishmania)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0196】
前記実施例3で用いた手順に従う、様々な量のGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり40、20、5、または1μg)を含む安定なエマルジョン(GLA-SE)と一緒に製剤化したLeish-110f抗原(各回免疫化につき、動物1匹当たり10μg)を用いて、マウス(1グループにつき3匹のBalb/cマウス)を2週間おきに3回免疫した。最初の免疫化から1週間後にマウスから採血することにより血清を回収し、Leish-110fに特異的なIgG1およびIgG2c抗体の血清レベルを公開された方法(同上)に従ってELISAにより検査した。
【0197】
図5は、様々な量(40、20、5、または1μg)のGLAと一緒に製剤化したLeish-110f抗原を用いた最初の免疫化から1週間後にマウスで誘導された抗Leish-110f抗体産生のレベルを食塩水対照との比較により明示するELISAデータを示す。各グループにおけるエンドポイント力価の逆数の平均およびSEMを示す。
【0198】
Leish-110f特異的IgG1およびIgG2c抗体力価は、GLA用量依存的であった。試験した全濃度のGLAで、TH1に関連するIgG2c抗体の優勢が観察された。
【実施例10】
【0199】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のリーシュマニア(Leishmania)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0200】
食塩水を用いて、またはGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;前記実施例3で使用した手順に従い、各免疫化につき、動物1匹当たり20μg)を含む安定なエマルジョン(GLA-SE)中に製剤化したLeish-111f抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)を用いて、マウス(1グループにつき3匹のBalb/cマウス)を3週間おきに3回免疫した。最後の注射から2週間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して、in vitro抗原刺激に対するT細胞依存性IFN-γおよびIL-4サイトカイン応答を公開された方法に従ってELISAにより分析した。
【0201】
IL-4またはIFN-γサイトカインのいずれが優勢であるかは、それぞれTH2またはTH1応答に関連している。本発明者らにより、TH1応答は、リーシュマニア感染に対する防御に必要であることが明らかにされている。全てのマウスが、強力なマイトジェンであるConAに十分に応答した。Leish-111f+GLA-SEワクチン接種では、Leish-111f抗原特異的サイトカイン応答を誘導したが、食塩水対照グループではそのような応答は観察されなかった。ConAと比較して、Leish-111f+GLA-SEワクチン接種は、IL-4よりはるかに高いIFN-γサイトカイン、TH1:TH2比、またはこの疾患に対する防御に関連する表現型を誘導した。
【実施例11】
【0202】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のリーシュマニア(Leishmania)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0203】
食塩水を用いて、または異なる量の(i)前記実施例3で使用した手順に従うGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり40、5または1μg)(GLA-SE)、もしくは(ii)製造者(GSK Biologicals、Rixensart, Belgium)により供給されるエマルジョン形態のMPL(登録商標)(各免疫化につき、動物1匹当たり40、5または1μg)(MPL-SE)、を含む安定なエマルジョン中に製剤化したLeish-110f抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)を用いて、マウス(1グループにつき3匹のBalb/cマウス)を2週間おきに3回免疫した。最後の免疫から1週間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して、in vitro抗原刺激に対するT細胞依存性IFN-γサイトカイン応答を公開された方法(同上)に従ってELISAにより分析した。IFN-γサイトカイン応答は、リーシュマニア感染に対するTH1防御表現型に関連している。
【0204】
図6は、様々な量のGLAと一緒に製剤化したLeish-110f抗原を用いた3回目の免疫化から1週間後のマウスで誘導された抗Leish-110f IFN-γサイトカインの産生レベルを食塩水対照との比較により明示するELISAデータを示す。各グループにおける平均およびSEMを示す。
【0205】
全てのマウスが、強力な細胞活性化因子およびマイトジェンであるConAに十分に応答した。Leish-110f+GLA-SEワクチン接種では、Leish-110f抗原特異的サイトカイン応答を用量依存的に誘導したが、食塩水対照グループではそのような応答は観察されなかった。試験した全ての濃度で、GLA-SEは、抗原特異的T細胞により分泌されるIFN-γをより高いレベルで誘導する上で、MPL-SEより強力であった。
【0206】
結論として、リーシュマニアワクチン抗原候補であるLeish-110fに、安定な油性製剤形態のGLAを添加すると、防御TH1表現型に関連する細胞種(T細胞)の抗原特異的免疫応答が主に誘導された。加えて、GLA-SEは、IFN-γのような防御関連サイトカインを誘導する上で、MPL-SEより強力であった。
【実施例12】
【0207】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のリーシュマニア(Leishmania)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0208】
食塩水を用いて、または異なる量の(i)前記実施例3で使用した手順に従うGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり20または5μg)(GLA-SE)、もしくは(ii)製造者(GSK Biologicals、Rixensart, Belgium)により供給されるエマルジョン形態のMPL(登録商標)(MPL-SE)(各免疫化につき、動物1匹当たり20または5μg)、を含む安定なエマルジョンで製剤化した、Leish-110f抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)を用いて、マウス(1グループにつき3匹のBalb/cマウス)を2週間おきに3回免疫した。最後の免疫化から1週間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して、公開された方法(同上)に従って、細胞内染色(ICS)およびフローサイトメトリーにより、in vitro抗原刺激に対するT細胞依存性IFN-γ、IL-2、およびTNFサイトカイン応答を分析した。これら3種のサイトカイン応答は、リーシュマニア感染に対するTH1防御表現型に関連している。
【0209】
単一細胞レベルで分析すると、3種全てのサイトカインIFN-γ、IL-2、およびTNFまたはIFN-γとIL-2の組合せを発現するCD4+T細胞の頻度は、Leish-110f+GLA-SEグループの方がLeish-110f+MPL-SEグループより高く、これは、20μgおよび5μgのいずれの用量でも観察された。3種全てのサイトカインIFN-γ、IL-2、およびTNFを発現するCD4+T細胞の高い頻度は、リーシュマニア感染に対する防御と相関することが報告されている(Sederら)。
【0210】
結論として、リーシュマニアワクチン抗原候補のLeish-110fに、安定な油性製剤形態のGLAを添加すると、防御TH1表現型に関連する細胞種(T細胞)の抗原特異的免疫応答が主に誘導された。加えて、GLA-SEは、IFN-γ、IL-2、およびTNFのような防御関連サイトカインを誘導する上で、MPL-SEより強力であった。
【実施例13】
【0211】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0212】
ID83抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり8μg)を単独で用いて、または前記実施例3で用いた手順に従い、GLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり20μg)を含む安定なエマルジョン(GLA-SE)中に製剤化した上記抗原を用いて、マウス(1グループにつき3匹のC57BL/6マウス)を3週間おきに3回免疫した。3回目の免疫化から1週間後にマウスから採血することにより血清を回収し、ID83に特異的なIgG1およびIgG2c抗体の血清レベルを公開された方法(同上)に従ってELISAにより検査した。IgG1またはIgG2c抗体のいずれのアイソタイプが優勢であるかは、それぞれTH2またはTH1応答に関連している。TH1応答は、ヒト結核菌感染に対する防御に必要であることがわかっている。
【0213】
ID83単独のワクチン接種では、抗原特異的IgG1抗体を主に誘導した。対照的に、ID83+GLA-SEワクチン接種では、より高い抗体力価を誘導するとともに、表現型が、この疾患に対する防御に関連する優勢のIgG2c抗体応答に逆転した。
【実施例14】
【0214】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0215】
ID83抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり8μg)を単独で用いて、またはGLA(GLA-SE)、GLA+CpG(CpG
1826、Coley Pharmaceuticals、25 μg)(GLA/CpG-SE)、もしくはGLA+ガルジキモド(Gardiquimod)(GDQ)(Invivogen、20 μg)(GLA/GDQ-SE)を含む安定なエマルジョン中に製剤化した上記抗原を用いて、マウス(1グループにつき3匹のC57BL/6マウス)を3週間おきに3回免疫した。最後の注射から3週間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して、公開された方法に従って、ICSおよびフローサイトメトリーにより、in vitro ID83抗原刺激に対するCD4+およびCD8+ T細胞依存性IFN-γ、IL-2、およびTNFサイトカイン応答を分析した。IFN-γ、IL-2、およびTNFサイトカインの発現は、ヒト結核菌感染に対する防御TH1応答に関連している。
【0216】
図7は、ID83を単独で用いた、またはGLA(GLA-SE)、GLA+CpG(GLA/CpG-SE)もしくはGLA+GDQ(GLA/GDQ-SE)を含む製剤をアジュバントとして加えたID83を用いた、3回目の免疫化から1週間後のマウスで誘導された、ID83特異的IFN-γ、IL-2、およびTNFサイトカイン産生性CD4+およびCD8+ T細胞の頻度を明示するICSデータを示す。
【0217】
ID83特異的サイトカイン産生性CD4+またはCD8+ T細胞の頻度は、食塩水およびID83単独のワクチングループではバックグラウンドレベルであった。ID83抗原特異的サイトカイン産生性のT細胞(CD4+およびCD8+の両方)は、ID83+GLA-SEワクチン接種により誘導され、その頻度は、CDG(TLR7/8)またはCpG(TLR9)のような第2のリガンドの添加によりさらに増加した。IFN-γ+TNFまたはIFN-γ+IL-2を発現するT細胞が、優勢な集団であった。
【0218】
結論として、ヒト結核菌感染に対する抗原にGLA-SEをアジュバントとして加えると、IFN-γ、IL-2、および/またはTNFサイトカインを発現するT細胞の頻度により測定される抗原特異的細胞応答(T細胞)を大幅に増強した。また、GLA-SEを別のTLRリガンドと組み合わせると、この疾患に対する防御に関連する表現型である、抗原特異的サイトカイン産生性細胞の頻度がさらに増加した。
【実施例15】
【0219】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のらい菌(Mycobacterium leprae)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0220】
CpG(CpG
1826、Coley Pharmaceuticals、各免疫化につき、動物1匹当たり25μg)、またはイミキモド(IMQ)(3M Pharma、各免疫化につき、動物1匹当たり25μg)、またはGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり25μg、前記実施例3で使用した手順に従う)(GLA-SE)、これら3つの混合物、を含む水性製剤、をアジュバントとして添加したML0276抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)、または陰性対照としての食塩水を用いて、マウス(1グループにつき3匹のC57BL/6マウス)を3週間おきに3回免疫した。2回目の免疫から3週間後にマウスから採血することにより血清を採取して、ML0276特異的IgG抗体の血清レベルを公開された方法(同上)に従ってELISAにより検査した。
【0221】
食塩水対照グループからのマウスは、ML0276特異的IgGを呈示せず、また、ML0276+CpGおよびML0276+IMQグループからのマウスは、非常に低いレベルの抗原特異的抗体を呈示した。対照的に、ML0276+GLA-SEは、顕著なレベルのML0276特異的IgGを誘導し、これは、3種のアジュバントを一緒に用いたとき、さらに増加した。
【0222】
結論として、以上のデータは、抗原特異的抗体の誘導を目的として抗原ML0276と一緒に用いるとき、GLA-SEおよび/またはGLA-SEと別のTLRリガンドとの組合せの、アジュバントとしての効果を支持するものである。
【実施例16】
【0223】
GLA含有ワクチンのin vivoでの使用
この実施例は、特定のらい菌(Mycobacterium leprae)抗原を含むワクチンにおけるGLAのアジュバント効果を明らかにするin vivoモデルを記載する。標準的な免疫学的方法および試薬を用いた(Current Protocols in Immunology, Coliganら(編)2006 John Wiley & Sons, NY)。
【0224】
CpG(CpG
1826、Coley Pharmaceuticals、各免疫化につき、動物1匹当たり25μg)、もしくはイミキモド(IMQ)(3M Pharma、各免疫化につき、動物1匹当たり25μg)、またはGLA(Avanti Polar Lipids, Inc.、Alabaster、AL;製品番号699800;各免疫化につき、動物1匹当たり25μg、前記実施例3で使用した手順に従う)(GLA-SE)、これら3つの混合物、を含む水性製剤をアジュバントとして添加したML0276抗原(各免疫化につき、動物1匹当たり10μg)、または陰性対照としての食塩水、を用いて、マウス(1グループにつき3匹のC57BL/6マウス)を3週間おきに3回免疫した。最後の注射から3週間後にマウスを犠牲にし、脾臓を採取して、公開された方法に従ってICSおよびフローサイトメトリーにより、in vitro ML0276抗原刺激に対するCD4+ T細胞依存性IFN-γサイトカイン応答を分析した。IFN-γサイトカインの発現は、らい菌感染に対する防御TH1応答に関連している。
【0225】
図8、パネルAは、CpG、もしくはイミキモド(IMQ)を含む水性製剤、またはGLAを含む安定な油性エマルジョン(GLA−SE)、あるいはこれら3つの混合物と一緒に製剤化したML0276抗原を用いた3回目の免疫化から1週間後のマウスにおいて誘導された、ML0276特異的IFN-γサイトカイン産生性CD4+ T細胞の頻度を、食塩水およびナイーブ対照との比較により明示するICSデータを示す。各グループの平均を示す。
図8、パネルBは、CpG、もしくはイミキモド(IMQ)を含む水性製剤、またはGLAを含む安定な油性エマルジョン(GLA−SE)、あるいはこれら3つの混合物と一緒に製剤化したML0276抗原で免疫したマウスにおけるらい菌感染の流入領域リンパ節の細胞充実性を、食塩水およびナイーブ対照との比較により明示するデータを示す。各グループの平均およびSEMを示す。
【0226】
食塩水対照グループからのマウスは、ML0276特異的IFN-γ応答を呈示せず、陽性細胞が0.04%というバックグランド頻度であった。CpGおよびIMQグループからのマウスは、抗原特異的サイトカイン産生性細胞がそれぞれ0.17%および0.11%と、若干の頻度増加を示した。対照的に、GLA-SEをアジュバントとして用いたとき、顕著に高い数のML0276特異的IFN-γ+CD4+T細胞(0.66%)が観察され、3種のアジュバントを混合すると頻度はさらに増加した(2.14%)。
【0227】
次に、マウスのサブセットをらい菌でチャレンジしたところ、感染した食塩水対照と比較して、チャレンジの流入領域リンパ節の細胞数の低減により測定されるように、ML0276+GE-SEによって防御されたことがわかった。ML0276+CpGおよびML0276+IMQによるワクチン接種では、食塩水と比較して、細胞数のわずかな減少しか誘導しなかった。
【0228】
結論として、以上のデータは、抗原特異的細胞応答の誘導を目的として抗原ML0276と一緒に用いたとき、GLA-SEおよび/またはGLA-SEと別のTLRリガンドとの組合せの、アジュバントとしての効果を支持するものである。
【0229】
本明細書で参照した、および/または出願データシートに記載した前記米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および特許以外の刊行物は全て、その全文を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0230】
以上のことから、本明細書に、本発明の具体的実施形態を説明の目的で記載したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な改変を加えられることは理解されよう。従って、本発明は、添付の請求項による以外、限定されるものではない。