(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動モータ(31)と、前記電動モータ(31)によって駆動する油圧ポンプ(33)と、前記油圧ポンプ(33)から吐出された圧油により駆動する複数の油圧アクチュエータ(13A,13B,19〜21)と、前記電動モータ(31)の電力源であるバッテリ装置(7)とを備えた電動式建設機械において、
前記バッテリ装置(7)は、直列接続された複数のバッテリ(55)からなるバッテリ系統を複数有し、前記複数のバッテリ系統(56A,56B)が互いに並列接続されており、
前記複数のバッテリ系統(56A,56B)のうちのいずれか1つのバッテリ系統を選択可能とし、選択された前記バッテリ系統から前記電動モータ(31)に電力を供給するように前記複数のバッテリ系統(56A,56B)の接続状態を切換える接続切換制御手段(32A,54A,54B,58A,58B)と、
前記電動モータ(31)に電力を供給する前記バッテリ系統を表示する表示手段(30)と、
前記複数のバッテリ系統の蓄電残量をそれぞれ取得する複数のバッテリ残量取得手段(54A,54B)と、
前記電動モータに電力を供給する前記バッテリ系統の蓄電残量が無くなったときに、前記電動モータを停止させるモータ停止制御手段(32A)と、
前記モータ停止制御手段で前記電動モータを停止させた後、予め設定された所定時間が経過したときに、蓄電残量が無くなった前記バッテリ系統とは別のバッテリ系統を自動的に選択する自動選択手段(32A)とを備え、
前記接続切換制御手段(32A,54A,54B,58A,58B)は、前記自動選択手段で選択された前記バッテリ系統から前記電動モータに電力を供給するように前記複数のバッテリ系統の接続状態を切換えることを特徴とする電動式建設機械。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の適用対象として電動式油圧ショベルを例にとり、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態における電動式油圧ショベルの全体構造を表す側面図であり、
図2は、上面図である。なお、以降、電動式油圧ショベルが
図1に示す状態にて運転者が運転席に着座した場合における運転者の前側(
図1中右側)、後側(
図1中左側)、左側(
図1中紙面に向かって奥側)、右側(
図1中紙面に向かって手前側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
【0018】
これら
図1及び
図2において、電動式油圧ショベル(本実施形態では、運転質量6トン未満のミニショベル)は、クローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回可能に設けられた上部旋回体2と、この上部旋回体2の基礎下部構造をなす旋回フレーム3と、この旋回フレーム3の前側に左右方向に回動可能に設けられたスイングポスト4と、このスイングポスト4に上下方向に回動可能(俯仰可能)に連結された多関節型の作業機5と、旋回フレーム3上に設けられたキャノピータイプの運転室6と、旋回フレーム3上の後側に設けられバッテリ装置7(後述の
図3〜
図5参照)を収納するバッテリ装置搭載部8とを備えている。
【0019】
下部走行体1は、上方から見て略H字形状のトラックフレーム9と、このトラックフレーム9の左右両側の後端近傍に回転可能に支持された左右の駆動輪10,10と、トラックフレーム9の左右両側の前端近傍に回転可能に支持された左右の従動輪(アイドラ)11,11と、左右それぞれの駆動輪10と従動輪11とで掛けまわされた左右の履帯(クローラ)12,12とを備えている。そして、左の走行用油圧モータ13A(後述の
図3参照)の駆動により左の駆動輪10(すなわち、左の履帯12)が回転し、右の走行用油圧モータ13Bの駆動により右の駆動輪10(すなわち、右の履帯12)が回転するようになっている。
【0020】
トラックフレーム9の前側には排土用のブレード14が上下動可能に設けられており、このブレード14はブレード用油圧シリンダ(図示せず)の伸縮駆動により上下動するようになっている。
【0021】
トラックフレーム9の中央部には旋回輪15が設けられ、この旋回輪15を介し旋回フレーム3が旋回可能に設けられており、旋回フレーム3(すなわち、上部旋回体2)は旋回用油圧モータ(図示せず)の駆動により旋回するようになっている。
【0022】
スイングポスト4は、旋回フレーム3の前側に左右方向に回動可能に設けられており、スイング用油圧シリンダ(図示せず)の伸縮駆動により左右方向に回動するようになっている。これにより、作業機5が左右にスイングするようになっている。
【0023】
作業機5は、スイングポスト4に上下方向に回動可能に連結されたブーム16と、このブーム16に上下方向に回動可能に連結されたアーム17と、このアーム17に上下方向に回動可能に連結されたバケット18とを備えている。ブーム16、アーム17、及びバケット18は、ブーム用油圧シリンダ19、アーム用油圧シリンダ20、及びバケット用油圧シリンダ21により上下方向に回動するようになっている。なお、バケット18は、例えばオプション用油圧アクチュエータが組み込まれたアタッチメント(図示せず)と交換可能になっている。
【0024】
運転室6には、運転者が着座する運転席(座席)22が設けられている。運転席22の前方には、手または足で操作可能とし前後方向に操作することで左右の走行用油圧モータ13A,13B(すなわち、左右の履帯12,12)の動作をそれぞれ指示する左右の走行用操作レバー23A,23B(但し、後述の
図3で23Aのみ示す)が設けられている。左の走行用操作レバー23Aのさらに左側の足元部分には、左右方向に操作することでオプション用油圧アクチュエータ(すなわち、アタッチメント)の動作を指示するオプション用操作ペダル(図示せず)が設けられている。右の走行用操作レバー23Bのさらに右側の足元部分には、左右方向に操作することでスイング用油圧シリンダ(すなわち、スイングポスト4)の動作を指示するスイング用操作ペダル(図示せず)が設けられている。
【0025】
運転席22の左側には、前後方向に操作することでアーム用油圧シリンダ20(すなわち、アーム17)の動作を指示し、左右方向に操作することで旋回用油圧モータ(すなわち、上部旋回体2)の動作を指示する十字操作式のアーム・旋回用操作レバー24A(図示せず)が設けられている。運転席22の右側には、前後方向に操作することでブーム用油圧シリンダ19(すなわち、ブーム16)の動作を指示し、左右方向に操作することバケット用油圧シリンダ21(すなわち、バケット18)の動作を指示する十字操作式のブーム・バケット用操作レバー24Bが設けられている。また、運転席22の右側には、前後方向に操作することでブレード用油圧シリンダ(すなわち、ブレード14)の動作を指示するブレード用操作レバー(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、運転席22の左側(言い換えれば、運転室6の乗降口)には、ロック解除位置(詳細には、運転者の乗降を妨げる下降位置)とロック位置(詳細には、運転者の乗降を許容する上昇位置)に操作されるゲートロックレバー(図示せず)が設けられている。また、運転席22の右側には、キースイッチ25、ダイヤル26、充電スイッチ27、切換スイッチ28、及び残量表示器29A,29B(後述の
図4及び
図5参照)等が設けられている。また、運転席22の右側前方には、モニタ30が設けられている。
【0027】
図3は、上述した電動式油圧ショベルに備えられた油圧駆動装置の構成を表す油圧回路図である。なお、この
図3においては、代表として、左の走行用油圧モータ13A及びブーム用油圧シリンダ19に係わる構成を表している。
【0028】
図3において、電動モータ31と、この電動モータ31の電力源であるバッテリ装置7と、電動モータ31への供給電力を制御して電動モータ31を駆動制御するインバータ装置32と、電動モータ31によって駆動する油圧ポンプ33及びパイロットポンプ34と、上述した左走行用操作レバー23Aを備えた油圧パイロット式の操作装置35と、左走行用操作レバー23Aの前後方向の操作に応じて油圧ポンプ33から左走行用油圧モータ13Aへの圧油の流れを制御する左走行用方向切換弁36とが設けられている。また、上述したバケット・ブーム用操作レバー24Bを備えた油圧パイロット式の操作装置37と、バケット・ブーム用操作レバー24Bの前後方向の操作に応じて油圧ポンプ33からブーム用油圧シリンダ19への圧油の流れを制御するブーム用方向切換弁38とが設けられている。なお、図示しないが、右走行用油圧モータ13B、アーム用油圧シリンダ20、バケット用油圧シリンダ21、旋回用油圧モータ、スイング用油圧シリンダ、及びブレード用油圧シリンダに係わる構成もほぼ同様である。
【0029】
左走行用方向切換弁36及びブーム用方向切換弁38等(詳細には、図示しない右走行用方向切換弁、アーム用方向切換弁、バケット用方向切換弁、旋回用方向切換弁、スイング用方向切換弁、及びブレード用方向切換弁を含む)は、センタバイパス型のものであり、センタバイパスライン39上に位置するセンタバイパス通路をそれぞれ有している。各方向切換弁のセンタバイパス通路は、センタバイパスライン39に直列に接続されており、各方向切換弁のスプールが中立位置にある場合に連通し、
図3中左側又は右側の切換位置に切換えられると遮断するようになっている。センタバイパスライン39の上流側は油圧ポンプ33の吐出ライン40に接続され、センタバイパスライン39の下流側はタンクライン41に接続されている。
【0030】
また、左走行用方向切換弁36及びブーム用方向切換弁38等は、油圧信号ライン42上に位置する信号通路をそれぞれ有している。すなわち、各方向切換弁の信号通路は、油圧信号ライン42に直列に接続されており、各方向切換弁のスプールが中立位置にある場合に連通し、
図3中左側又は右側の切換位置に切換えられると遮断するようになっている。油圧信号ライン42の上流側はパイロットポンプ34の吐出ライン43から分岐するように接続され、油圧信号ライン42の下流側はタンクライン41に接続されている。油圧信号ライン42における最上流の方向切換弁36の上流側には固定絞り44が設けられ、この固定絞り44と方向切換弁36との間に圧力スイッチ45(操作検出手段)が設けられている。圧力スイッチ45は、方向切換弁36の上流側の油圧を導入し、これが予め設定された閾値に達した場合に接点を閉じるようになっている。これにより、全ての方向切換弁のうちのいずれかが切換えられたか否か、すなわち、全ての油圧アクチュエータ(詳細には、左右の走行用油圧モータ13A,13B、ブーム用油圧シリンダ19、アーム用油圧シリンダ20、バケット用油圧シリンダ21、旋回用油圧モータ、スイング用油圧シリンダ、及びブレード用油圧シリンダ)のうちのいずれかが操作されているか否かを検出し、いずれかの油圧アクチュエータが操作されている場合にON信号を出力するようになっている。
【0031】
左走行用方向切換弁36は、操作装置35からのパイロット圧によって切換えられるようになっている。操作装置35は、前述した左走行用操作レバー23Aと、この操作レバー23Aの前後方向の操作に応じパイロットポンプ34の吐出圧を元圧としてパイロット圧を生成する一対の減圧弁(図示せず)とを有している。そして、例えば操作レバー23Aを中立位置から前側に操作すると、その操作量に応じて一方のパイロット弁で生成されたパイロット圧が左走行用方向切換弁36の
図3中右側の受圧部へ出力され、これによって左走行用方向切換弁36が
図3中右側の切換位置に切換えられる。これにより、左の走行用油圧モータ13Aが前方向に回転し、左の駆動輪10及び履帯12が前方向に回転するようになっている。一方、例えば操作レバー23Aを中立位置から後側に操作すると、その操作量に応じて他方のパイロット弁で生成されたパイロット圧が左走行用方向切換弁36の
図3中左側の受圧部へ出力され、これによって左走行用方向切換弁36が
図3中左側の切換位置に切換えられる。これにより、左の走行用油圧モータ13Aが後方向に回転し、左の駆動輪10及び履帯12が後方向に回転するようになっている。
【0032】
ブーム用方向切換弁38は、操作装置37からのパイロット圧によって切換えられるようになっている。操作装置37は、ブーム・バケット用操作レバー24Bと、この操作レバー24Bの前後方向の操作に応じパイロットポンプ34の吐出圧を元圧としてパイロット圧を生成する一対のパイロット弁(図示せず)等を有している。そして、例えば操作レバー24Bを中立位置から前側に操作すると、その操作量に応じて一方のパイロット弁で生成されたパイロット圧がブーム用方向切換弁38の
図3中右側の受圧部へ出力され、これによってブーム用方向切換弁38が
図3中右側の切換位置に切換えられる。これにより、ブーム用油圧シリンダ19が縮短し、ブーム16が下がるようになっている。一方、例えば操作レバー24Bを後側に操作すると、その操作量に応じて他方のパイロット弁で生成されたパイロット圧がブーム用方向切換弁38の
図3中左側の受圧部へ出力され、これによってブーム用方向切換弁38が
図3中左側の切換位置に切換えられる。これにより、ブーム用油圧シリンダ19が伸張し、ブーム16が上がるようになっている。
【0033】
パイロットポンプ34の吐出ライン43には、パイロットポンプ34の吐出圧を一定に保持するパイロットリリーフ弁(図示せず)が設けられている。また、パイロットポンプ34の吐出ライン43にはロック弁46が設けられており、このロック弁46は、上述したロックレバーの操作に応じて切換えられるようになっている。詳細には、ロックレバーがロック解除位置(下降位置)にある場合に閉じ状態、ロック位置(上昇位置)にある場合に開き状態となるロックスイッチ47(後述の
図4参照)が設けられている。そして、例えばロックスイッチ47が閉じ状態になると、このロックスイッチ47を介してロック弁46のソレノイド部が通電されて、ロック弁46が
図3中下側の切換位置に切換えられる。これにより、パイロットポンプ34の吐出ライン43を連通して、パイロットポンプ34の吐出圧が操作装置35,37等に導入される。一方、ロックスイッチ47が開き状態になると、ロック弁46のソレノイド部が通電されず、バネの付勢力で、ロック弁46が
図3中上側の切換位置に切換えられる。これにより、パイロットポンプ34の吐出ライン43を遮断する。その結果、操作装置35,37等を操作してもパイロット圧が生成されず、油圧アクチュエータが作動しないようになっている。
【0034】
図4は、本実施形態におけるインバータ装置32の構成を関連機器とともに表すブロック図である。
【0035】
この
図4において、インバータ装置32は、例えば外部の商用電源48からのケーブルが接続された場合に商用電源48からの電力をバッテリ装置7に供給するバッテリ充電制御と、バッテリ装置7からの直流電力に基づき交流電力を生成して電動モータ31に供給するモータ駆動制御とを選択的に行えるようになっている。
【0036】
このインバータ装置32は、バッテリ充電制御時に商用電源48からの電圧200Vの交流を直流に変換する整流器49と、バッテリ充電制御時に整流器49からの直流の電圧を降圧してバッテリ装置7に供給する降圧機能、及びモータ駆動制御時にバッテリ装置7からの直流の電圧200V程度を300V程度まで昇圧する昇圧機能を有する昇降圧器50と、モータ駆動制御時に昇降圧器50からの直流に基づき交流を生成して電動モータ31に供給するインバータ51と、整流器49と昇降圧器50との間に設けられた制御切換用開閉器(常開接点型の継電器)52Aと、昇降圧器50とインバータ51との間に設けられた制御切換用開閉器(常開接点型の継電器)52Bと、演算制御部53とを有している。
【0037】
インバータ装置32の演算制御部53は、上述したキースイッチ25、ダイヤル26、充電スイッチ27、切換スイッチ28、圧力スイッチ45、及びロックスイッチ47等からの信号が入力されるとともに、後述するバッテリ装置7のバッテリコントローラ54A,54Bとの間で通信可能としている。また、昇降圧器50、インバータ51、制御切換用開閉器52A,52Bを制御するとともに、モニタ30に表示信号を出力するようになっている。
【0038】
キースイッチ25は、キーシリンダ及びこのキーシリンダに挿入可能なキーで構成されており、キーの回転操作位置(OFF位置、ON位置、又はSTART位置)に応じて信号を出力するようになっている。ダイヤル26は、電動モータ31の目標回転数を指示するものであり、その回転操作位置に対応した目標回転数の信号を出力するようになっている。充電スイッチ27は、バッテリ充電制御のON・OFFを指示するものであり、その操作位置(OFF位置又はON位置)に応じて信号を出力するようになっている。
【0039】
そして、インバータ装置32の演算制御部53は、例えば、キースイッチ25からの信号の有無によってキースイッチ25がOFF位置にあると判定し、充電スイッチ27からの信号の有無によって充電スイッチ27がON位置に操作されたと判定し、ケーブル接続検出回路(図示せず)からの信号の有無によって商用電源48からのケーブルが接続されたと判定した場合に、バッテリ充電制御を行うようになっている。すなわち、演算制御部53は、制御切換用開閉器52Aを閉状態、制御切換用開閉器52Bを開状態に制御するとともに、昇降圧器50へ降圧の指令を出力する。昇降圧器50は、この指令に応じて、整流器49からの直流の電圧を降圧してバッテリ装置7に供給するようになっている。
【0040】
また、インバータ装置32の演算制御部53は、例えば、バッテリ装置7の充電中、充電スイッチ27からの信号の有無によって充電スイッチ27がOFF位置に操作されたと判定した場合に、昇降圧器50へ停止の指令を出力する。昇降圧器50は、この指令に応じて、充電を停止させるようになっている。
【0041】
また、インバータ装置32の演算制御部53は、例えば、キースイッチ25からの信号の有無によってキースイッチ25がSTART位置に操作されたと判定し、ロックスイッチ47からの信号の有無によってロックレバーがロック位置にあると判定した場合に、モータ駆動制御を開始するようになっている。すなわち、演算制御部53は、制御切換用開閉器52Aを開状態、制御切換用開閉器52Bを閉状態に制御するとともに、昇降圧器50へ昇圧の指令を出力する。昇降圧器50は、この指令に応じて、バッテリ装置7からの直流の電圧200V程度を300V程度まで昇圧するようになっている。また、演算制御部53は、ダイヤル26で指示された目標回転数の指令をインバータ51へ出力する。インバータ51は、この指令に応じて、電動モータ31の実回転数が目標回転数となるように、電動モータ31の印加電圧を制御するようになっている。
【0042】
また、インバータ装置32の演算制御部53は、例えば、電動モータ31の駆動中、圧力スイッチ45からの信号の有無によって全ての油圧アクチュエータが操作されていない状態であると判定し、その状態で予め設定された所定時間(例えば4秒)が経過した場合に、予め設定された所定の低速回転数(アイドル回転数)の指令をインバータ51へ出力する。インバータ51は、この指令に応じて、電動モータ31の実回転数が所定の低速回転数となるように、電動モータ31の印加電圧を制御するようになっている。
【0043】
また、インバータ装置32の演算制御部53は、例えば、電動モータ31の駆動中、キースイッチ25からの信号の有無によってキースイッチ25がOFF位置に操作されたと判定した場合に、インバータ51へ停止の指令を出力する。インバータ51は、この指令に応じて、電動モータ31を停止させるようになっている。
【0044】
図5は、本実施形態の要部であるバッテリ装置7の構成を関連機器とともに表すブロック図である。
【0045】
この
図5において、バッテリ装置7は、直列接続された例えば9個(
図5では代表して3個のみ示す)のバッテリ(言い換えれば、モジュール)55からなる第1のバッテリ系統56Aと、直列接続された例えば9個(
図5では代表して3個のみ示す)のバッテリ55からなる第2のバッテリ系統56Bとを有している。これらバッテリ系統56A,56Bは、互いに並列に接続されるとともに、インバータ装置32の昇降圧器50に接続されている。また、バッテリ装置7は、第1のバッテリ系統56Aに対応する第1のバッテリコントローラ54Aと、第2のバッテリ系統56Bに対応する第2のバッテリコントローラ54Bとを有している。
【0046】
各バッテリ55は、詳細を図示しないが、例えばリチウムイオンを材料とした複数のセルからなり、それら複数のセルを監視するセルコントローラが設けられている。第1のバッテリ系統56Aにおける各セルコントローラは、各バッテリ55の情報(詳細には、電流、電圧、及び温度等の状態量)を取得して第1のバッテリコントローラ54Aに出力する。同様に、第2のバッテリ系統56Bにおける各セルコントローラは、各バッテリ55の情報を取得して第2のバッテリコントローラ54Bに出力するようになっている。
【0047】
第1のバッテリ系統56Aの正極側(
図5中右側)には、第1の電流センサ57A及び第1の接続切換用開閉器(常開接点型の継電器)58Aが設けられ、第2のバッテリ系統56Bの正極側(
図5中右側)には、第2の電流センサ57B及び第2の接続切換用開閉器(常開接点型の継電器)58Bが設けられている。第1の電流センサ57Aは、第1のバッテリ系統56Aの電流を検出して、第1のバッテリコントローラ54Aに出力する。同様に、第2の電流センサ57Bは、第2のバッテリ系統56Bの電流を検出して、第2のバッテリコントローラ54Bに出力するようになっている。
【0048】
第1のバッテリコントローラ54Aは、複数のセルコントローラからのバッテリ情報(電圧など)に基づき第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信する。また、第1のバッテリコントローラ54Aは、演算した第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量が例えば10段階の充電状態(詳細には、「0」は完全放電状態を意味し、「10」は満充電状態を意味する)のいずれに該当するかを判定し、これに対応する表示信号を残量表示器29Aに出力する。残量表示器29Aは、例えば10セグメントのバーを点灯・消灯することにより、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量を10段階で表示するようになっている。
【0049】
同様に、第2のバッテリコントローラ54Bは、複数のセルコントローラからのバッテリ情報(電圧など)に基づき第2のバッテリ系統56Bの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信する。また、第2のバッテリコントローラ54Bは、演算した第2のバッテリ系統56Bの蓄電残量が例えば10段階の充電状態のいずれに該当するかを判定し、これに対応する表示信号を残量表示器29Bに出力する。残量表示器29Bは、例えば10セグメントのバーを点灯・消灯することにより、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量を10段階で表示するようになっている。
【0050】
また、第1のバッテリコントローラ54Aは、複数のセルコントローラからのバッテリ情報に基づき第1のバッテリ系統56Aに異常が生じていなかいかどうかを判断しており、異常が生じたと判断した場合にエラー信号をインバータ装置32の演算制御部53へ送信する。同様に、第2のバッテリコントローラ54Bは、複数のセルコントローラからのバッテリ情報に基づき第2のバッテリ系統56Bに異常が生じていなかいかどうかを判断しており、異常が生じたと判断した場合にエラー信号をインバータ装置32の演算制御部53へ送信するようになっている。
【0051】
ここで本実施形態の大きな特徴として、切換スイッチ28(前述の
図4参照)は、手動操作により、バッテリ系統56A,56Bのうちのいずれか1つのバッテリ系統を選択するものであり、その操作位置に対応した選択信号を出力するようになっている。そして、インバータ装置32の演算制御部53は、例えばモータ駆動制御時に切換スイッチ28から第1のバッテリ系統56Aの選択信号を入力した場合に、第1のバッテリコントローラ54Aを介して第1の接続切換用開閉器58Aを閉状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bを介して第2の接続切換用開閉器58Bを開状態に制御する。これにより、第1のバッテリ系統56Aがインバータ装置32の昇降圧器50に接続されるようになっている。また、インバータ装置32の演算制御部53は、例えばモータ駆動制御時に切換スイッチ28から第2のバッテリ系統56Bの選択信号を入力した場合に、第1のバッテリコントローラ54Aを介して第1の接続切換用開閉器58Aを開状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bを介して第2の接続切換用開閉器58Bを閉状態に制御する。これにより、第2のバッテリ系統56Bがインバータ装置32の昇降圧器50に接続されるようになっている。
【0052】
次に、上述したバッテリ充電制御の処理手順を、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態におけるバッテリ充電制御の処理内容を表すフローチャートである。
【0053】
この
図6において、ステップ100にて、インバータ装置32の演算制御部53は、制御切換用開閉器52Aを閉状態、制御切換用開閉器52Bを開状態に制御する。そして、ステップ110に進み、切換スイッチ28で第1のバッテリ系統56Aが選択された場合を例にとって説明すると、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリコントローラ54Aへ閉指令信号を送信し、第2のバッテリコントローラ54Bへ開指令信号を送信する。これに応じて、第1のバッテリコントローラ54Aは第1の接続切換用開閉器58Aを閉状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを開状態に制御する。これにより、第1のバッテリ系統56Aがインバータ装置32の昇降圧器50に接続される。その後、ステップ120に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、昇降圧器50へ降圧の指令を出力する。これにより、商用電源48からの電圧200Vの交流が整流器49によって直流に変換され、その電圧が昇降圧器50によって降圧されて第1のバッテリ系統56Aに供給され、第1のバッテリ系統56Aが充電される。
【0054】
このとき、第1の電流センサ57Aは、第1のバッテリ系統56Aの電流を検出し、その検出信号を第1のバッテリコントローラ54Aを介しインバータ装置32の演算制御部53へ送信する。そして、ステップ130に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、前述した検出信号により第1のバッテリ系統56Aが充電中であることを確認し、第1のバッテリ系統56Aの表示信号をモニタ30に出力する。これに応じて、モニタ30は、第1のバッテリ系統56Aが充電中であることを表示する。この第1のバッテリ系統56Aの充電中、第1のバッテリコントローラ54Aは、逐次、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信するとともに、残量表示器29Aに表示させる。
【0055】
そして、ステップ140に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリ系統56Aが満充電状態に達したかどうかを判定する。例えば満充電状態に達していない場合は、ステップ140の判定が満たされず、その判定が満たされるまで第1のバッテリ系統56Aの充電を継続させる。ただし、バッテリコントローラ54A又は54Bからエラー信号を受信した場合には、昇降圧器50へ停止の指令を出力して、充電を停止させる。このとき、モニタ30にエラー表示信号を出力し、ブザー(図示せず)に駆動信号を出力する。これに応じて、モニタ30の異常表示灯が点灯し、ブザーが吹鳴する。
【0056】
そして、例えば第1のバッテリ系統56Aが満充電状態に達した場合は、ステップ140の判定が満たされ、ステップ150に移る。ステップ150では、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリコントローラ54Aへ開指令信号を送信し、第2のバッテリコントローラ54Bへ閉指令信号を送信する。これに応じて、第1のバッテリコントローラ54Aは第1の接続切換用開閉器58Aを開状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを閉状態に制御する。これにより、第2のバッテリ系統56Bがインバータ装置32の昇降圧器50に接続される。したがって、商用電源48からの電圧200Vの交流が整流器49によって直流に変換され、その電圧が昇降圧器50によって降圧されて第2のバッテリ系統56Bに供給され、第2のバッテリ系統56Bが充電される。
【0057】
このとき、第2の電流センサ57Bは、第2のバッテリ系統56Bの電流を検出し、その検出信号を第2のバッテリコントローラ54Bを介しインバータ装置32の演算制御部53へ送信する。そして、ステップ160に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、前述した検出信号により第2のバッテリ系統56Bが充電中であることを確認し、その表示信号をモニタ30に出力する。これに応じて、モニタ30は、第2のバッテリ系統56Bが充電中であることを表示する。この第2のバッテリ系統56Bの充電中、第2のバッテリコントローラ54Bは、逐次、第2のバッテリ系統56Bの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信するとともに、残量表示器29Bに表示させる。
【0058】
そして、ステップ170に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、第2のバッテリ系統56Bが満充電状態に達したかどうかを判定する。例えば満充電状態に達していない場合は、ステップ170の判定が満たされず、その判定が満たされるまで第2のバッテリ系統56Aの充電を継続させる。ただし、バッテリコントローラ54A又は54Bからエラー信号を受信した場合には、昇降圧器50へ停止の指令を出力して、充電を停止させる。このとき、モニタ30にエラー表示信号を出力し、ブザーに駆動信号を出力する。これに応じて、モニタ30の異常表示灯が点灯し、ブザーが吹鳴する。
【0059】
そして、例えば第2のバッテリ系統56Bが満充電状態に達した場合は、ステップ170の判定が満たされ、ステップ180に移る。ステップ180では、インバータ装置32の演算制御部53は、第2のバッテリコントローラ54Bへ開指令信号を送信する。これに応じて、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを開状態に制御する。これにより、バッテリ系統56A,56Bがインバータ装置32の昇降圧器50に未接続となり、バッテリ充電制御が終了する。
【0060】
次に、上述したモータ駆動制御の処理手順を、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態におけるモータ駆動制御の処理内容を表すフローチャートである。
【0061】
この
図7において、ステップ200にて、インバータ装置32の演算制御部53は、制御切換用開閉器52Aを開状態、制御切換用開閉器52Bを閉状態に制御する。そして、ステップ210に進み、切換スイッチ28で第1のバッテリ系統56Aが選択された場合を例にとって説明すると、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリコントローラ54Aへ閉指令信号を送信し、第2のバッテリコントローラ54Bへ開指令信号を送信する。これに応じて、第1のバッテリコントローラ54Aは第1の接続切換用開閉器58Aを閉状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを開状態に制御する。これにより、第1のバッテリ系統56Aがインバータ装置32の昇降圧器50に接続される。その後、ステップ220に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、昇降圧器50へ昇圧の指令を出力し、ステップ230に進み、インバータ51へ目標回転数の指令を出力する。これにより、第1のバッテリ系統56Aからの直流の電圧が昇降圧器50によって昇圧され、この直流に基づいてインバータ51によって生成された交流が電動モータ31に供給され、電動モータ31が駆動する。
【0062】
このとき、第1の電流センサ57Aは、第1のバッテリ系統56Aの電流を検出し、その検出信号を第1のバッテリコントローラ54Aを介しインバータ装置32の演算制御部53へ送信する。そして、ステップ240に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、前述した検出信号により第1のバッテリ系統56Aが放電中であることを確認し、第1のバッテリ系統56Aの表示信号をモニタ30に出力する。これに応じて、モニタ30は、第1のバッテリ系統56Aが放電中であることを表示する。この第1のバッテリ系統56Aの放電中、第1のバッテリコントローラ54Aは、逐次、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信するとともに、残量表示器29Aに表示させる。
【0063】
そして、ステップ250に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量が無くなったかどうか(言い換えれば、完全放電状態に達したかどうか)を判定する。例えば完全放電状態に達していない場合は、ステップ250の判定が満たされず、その判定が満たされるまで電動モータ31の駆動(言い換えれば、第1のバッテリ系統56Aの放電)を継続させる。ただし、バッテリコントローラ54A又は54Bからエラー信号を受信した場合には、昇降圧器50及びインバータ51へ停止の指令を出力して、電動モータ31を停止させる。このとき、モニタ30にエラー表示信号を出力し、ブザーに駆動信号を出力する。これに応じて、モニタ30の異常表示灯が点灯し、ブザーが吹鳴する。
【0064】
そして、例えば第1のバッテリ系統56Aが完全放電状態に達した場合は、ステップ250の判定が満たされ、ステップ260に移る。ステップ260では、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリコントローラ54Aを介し残量表示器29Aに完全放電の表示信号を出力する。残量表示器29Aは、その表示信号に応じて完全放電状態を表示するため、例えば10セグメントのバーのうち両側のみを点滅させる。そして、ステップ270に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、インバータ51へ停止の指令を出力して、電動モータ31を停止させる(モータ停止手段)。このとき、ブザーに駆動信号を出力して、ブザーが吹鳴する。
【0065】
その後、ステップ280に進み、切換スイッチ28からの選択信号により、切換スイッチ28が操作されて第2のバッテリ系統56Bが選択されたかどうかを判定する。例えば切換スイッチ28が操作されず第2のバッテリ系統56Bが選択されない場合は、ステップ280の判定が満たされず、前述のステップ270に戻って上記同様の手順を繰り返す。
【0066】
そして、例えば切換スイッチ28が操作されて第2のバッテリ系統56Bが選択された場合は、ステップ280の判定が満たされ、ステップ290に移る。ステップ290では、インバータ装置32の演算制御部53は、第1のバッテリコントローラ54Aへ開指令信号を送信し、第2のバッテリコントローラ54Bへ閉指令信号を送信する。これに応じて、第1のバッテリコントローラ54Aは第1の接続切換用開閉器58Aを開状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを閉状態に制御する。これにより、第2のバッテリ系統56Bがインバータ装置32の昇降圧器50に接続される。その後、ステップ300に進み、インバータ51へ目標回転数の指令を出力する。これにより、第2のバッテリ系統56Bからの直流の電圧が昇降圧器50によって昇圧され、この直流に基づいてインバータ51によって生成された交流が電動モータ31に供給され、電動モータ31が駆動する。
【0067】
このとき、第2の電流センサ57Bは、第2のバッテリ系統56Bの電流を検出し、その検出信号を第2のバッテリコントローラ54Bを介しインバータ装置32の演算制御部53へ送信する。そして、ステップ310に進み、インバータ装置32の演算制御部53は、前述した検出信号により第2のバッテリ系統56Bが放電中であることを確認し、第2のバッテリ系統56Bの表示信号をモニタ30に出力する。これに応じて、モニタ30は、第2のバッテリ系統56Bが放電中であることを表示する。この第2のバッテリ系統56Bの放電中、第2のバッテリコントローラ54Bは、逐次、第2のバッテリ系統56Bの蓄電残量を演算して、インバータ装置32の演算制御部53へ送信するとともに、残量表示器29Bに表示させる。
【0068】
以上のように構成された本実施形態においては、バッテリ装置7は、2つのバッテリ系統56A,56Bを有し、それらのうちのいずれか1つのバッテリ系統からの電力供給によって電動モータ31を駆動する。すなわち、一度に、1つのバッテリ系統のみを使用している。これにより、運転者が気づかずに、電動モータ31に電力供給中のバッテリ系統の蓄電残量が無くなってしまい、電動式油圧ショベルが停止しても、切換スイッチ28の手動操作によって他のバッテリ系統から電動モータ31に電力供給するように切換えることにより、電動式油圧ショベルを稼働することができる。したがって、電動式油圧ショベルが自走できるため、充電が困難となるのを防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態においては、電動モータ31に電力供給中のバッテリ系統の蓄電残量が無くなった場合、運転者が切換スイッチ28を操作するまで電動式油圧ショベルが停止するので、バッテリ系統の蓄電残量が無くなったことを運転者に確実に気づかせることができる。また、1つのバッテリ系統が満充電状態から完全放電状態となるまでのショベル稼働時間を、運転者は体感することができる。そのため、バッテリ系統を切換えた後、そのバッテリ系統を使い切るまでの時間を予測でき、充電タイミングを計画することができる。
【0070】
また、2つのバッテリ系統56A,56Bのうちの一方のみを満充電して電動式油圧ショベルを稼働させることもできる。そのため、充電時間を短縮することができる。また、バッテリ系統毎に、使用時間や充放電回数が異なり、バッテリ交換時期も異なってくる。そのため、例えば全てのバッテリが直列接続されて交換時期が同じになる場合とは異なり、1回のバッテリ交換におけるバッテリ数を低減し、1回のバッテリ交換あたりの費用を抑えることができる。
【0071】
なお、上記一実施形態においては、切換スイッチ28の手動操作に応じてバッテリ系統56A,56Bの接続状態を切換える場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば電動モータ31に電力供給中のバッテリ系統の蓄電残量が無くなって電動モータ31を停止させ、その後、予め設定された所定時間が経過したときに、自動的にバッテリ系統を切換えてもよい。このような変形例におけるモータ駆動制御の処理手順を、
図8を用いて説明する。
図8は、本変形例におけるモータ駆動制御の処理内容を表すフローチャートである。なお、
図9は、本変形例におけるインバータ装置32Aの構成を関連機器とともに表すブロック図であり、上記一実施形態と同等の部分は、適宜説明を省略する。
【0072】
本変形例では、上記一実施形態と同様、ステップ250にて、インバータ装置32Aの演算制御部53Aは、第1のバッテリ系統56Aの蓄電残量が無くなったかどうか(言い換えれば、完全放電状態に達したかどうか)を判定する。例えば電動モータ31に電力供給中の第1のバッテリ系統56Aが完全放電状態に達した場合は、ステップ250の判定が満たされてステップ260に進み、残量表示器29Aに完全放電状態を表示させ、ステップ270に進み、電動モータ31を停止させる。その後、ステップ320に進み、予め設定された所定時間が経過したかどうかを判定する。所定時間が経過するまでは、ステップ320の判定が満たされず、ステップ270に戻って同様の手順が繰り返される。
【0073】
一方、所定時間が経過した場合は、ステップ320の判定が満たされ、ステップ290に移る。ステップ290では、インバータ装置32Aの演算制御部53Aは、第1のバッテリコントローラ54Aへ開指令信号を送信し、第2のバッテリコントローラ54Bへ閉指令信号を送信する。これに応じて、第1のバッテリコントローラ54Aは第1の接続切換用開閉器58Aを開状態に制御し、第2のバッテリコントローラ54Bは第2の接続切換用開閉器58Bを閉状態に制御する。これにより、第2のバッテリ系統56Bがインバータ装置32Aの昇降圧器50に接続される。その後、ステップ300に進み、インバータ51へ目標回転数の指令を出力する。これにより、第2のバッテリ系統56Bからの直流の電圧が昇降圧器50によって昇圧され、この直流に基づいてインバータ51によって生成された交流が電動モータ31に供給される。
【0074】
以上のような変形例においても、上記一実施形態と同様、全てのバッテリの蓄電残量が無くなって充電が困難となるのを防ぐことができる。また、本変形例においては、電動モータ31に電力供給中のバッテリ系統の蓄電残量が無くなった場合、電動式油圧ショベルが所定時間停止するので、バッテリ系統の蓄電残量が無くなったことを運転者に確実に気づかせることができる。
【0075】
また、上記一実施形態においては、バッテリ装置7は、バッテリ系統56A,56Bをそれぞれ構成するバッテリ55の数が同じである場合を例にとって説明したが、これに限られず、異ならせてもよい。具体例の一つとしては、第1のバッテリ系統56Aは、直列接続された12個のバッテリ55で構成され、第2のバッテリ系統56Bは、直列接続された6個のバッテリ55で構成されてもよい。また、上記一実施形態においては、バッテリ装置7は、2つのバッテリ系統56A,56Bを有する場合を例にとって説明したが、これに限られず、3つ以上のバッテリ系統を有していてもよい。具体例の一つとしては、直列接続された6個のバッテリ55からなるバッテリ系統を3つ有していてもよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
【0076】
なお、以上においては、電動式油圧ショベルは、作業機用油圧アクチュエータ(詳細には、ブーム用油圧シリンダ19、アーム用油圧シリンダ20、バケット用油圧シリンダ21)以外の油圧アクチュエータとして、左右の走行用油圧モータ13A,13B及び旋回用油圧モータ等を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば左右の走行用油圧モータ13A,13Bに代えて、バッテリ装置7からの供給電力によって駆動する左右の走行用電動モータを備えてもよい。また、例えば旋回用油圧モータに代えて、バッテリ装置7からの供給電力によって駆動する旋回用電動モータを備えてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。また、電動式油圧ショベルに限られず、他の電動式建設機械に適用してもよいことは言うまでもない。