(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のイヤーカプラにより、検査される人の外耳道に対する損傷または損傷をもたらす危険を低減あるいはなくして、人に対する検査が可能になる。
【0012】
イヤーカプラは、壁を有する部材と、その部材の少なくとも一部に外接するフランジとを備えている。前述の部材の壁に、たとえば検査信号が空洞内に入るように誘導し、あるいはそれを可能にする開口部が形成されている。たとえばイヤーカプラを人に対して正しく位置決めするために、前述の部材またはその一部が透明であり得る。前述の部材の第1部分が、部材の第2部分より透明であり得る。
【0013】
イヤーカプラの部材は、第1部と、第1部に取り付けられた第2部とを備えることができる。第1部は第1材料を含むことができ、第2部は第2材料を含むことができる。第2材料は、第1材料より硬質であり得る。たとえば、第1部を、たとえば硬さがショアA25からショアA40の範囲、たとえば約ショアA35である、熱可塑性エラストマーから作製することができる。第2部を、たとえば硬さがショアA40からショアA55の範囲、たとえば約ショアA45である、熱可塑性エラストマーから作製することができる。
【0014】
第1部は第1壁部を備えることができ、第2部は第2壁部を備えることができる。第2壁部は、第1壁部の少なくとも一部に重なることができ、またはその間に挟装され得る。第1部は、フランジが延在する第1端部と、任意選択的に、開口部を画定する第2端部とを備えることができる。第2部は、第1部の第2端部において開口部を覆うことができる。
【0015】
イヤーカプラは、フランジに接着剤を有していてもよい。人に面しているフランジの第1側面を、接着剤で部分的にまたは完全にコーティングすることができる。
【0016】
イヤーカプラは、接着剤の少なくとも一部を覆うバリアを備えることができる。
【0017】
イヤーカプラは、たとえばイヤーカプラの取外しまたは取付けを容易にするために、フランジから延在している1つまたは複数のタブを備えることができる。フランジを、前記部材に脱着可能に固定することができる。
【0018】
イヤーカプラは、壁から延在する構造体を備えることができ、構造体は、ポートを備える端部、たとえば第1端部を有している。構造体の第2端部を、壁に取り付けるか、または空洞内に配置することができる。ポートは、部材壁の開口部を介して空洞と連通することができる。ポートを、装置が締り嵌めまたは圧入を介してポートに結合することができるようなサイズとすることができる。構造体は、前記部材の空洞内に延在することができる。さらにまたは別法として、構造体は、壁から外側に延在することができる。構造体は、少なくとも部分的に円柱を画定する内面を有する管状形態を有することができる。円柱または構造体は、長さが少なくとも2mm、たとえば少なくとも3mmまたは少なくとも4mmであり得る。好ましくは4mmから15mmの範囲またはさらにそれより大きい円柱または構造体の長さであってもよい。構造体は、ポートを構成する開放した第1端部と第2端部とを有する管状要素を備えることができる。第2端部を壁に取り付けることができる。第2端部を傾斜させることができ、たとえば、第2端部の縁は、管状要素の中心軸と第2平面との間の角度が、約30°から約60°の範囲等、10°から80°の範囲であり、たとえば約45°であるように、実質的に第2平面内に延在することができる。管状要素は、円形、楕円形、正方形、矩形、多角形、またはカスタマイズされた形状等の他の形状等、あらゆる所望の断面を有することができる。管状要素は、その中心軸がフランジ面と実質的に平行であるように、壁から延在することができる。管状要素の中心軸とフランジ面との間に、0°から約60°の範囲、たとえば45°未満の角度を形成することができる。
【0019】
構造体の長さを、構造体の中心軸に沿った、構造体の第1端部における中心軸と第1平面との交差点と、構造体の第2端部における中心軸と第2平面との交差点との間の距離として定義することができる。
【0020】
構造体の内面は、第1端部から第2端部に向かって少なくとも部分的に円柱を画定することができる。構造体の内面を、聴力検査システムチューブをイヤーカプラに接続するように適合させることができる。構造体を、聴力検査システムをイヤーカプラに結合するように、チューブの端部を構造体に圧入するように適合させることができる。たとえば、構造体の内面は、構造体の第1端部またはその近くの第1断面径d
1と、構造体の第2端部またはその近くの第2断面径d
2とを備えるとともにd
1がd
2より大きい円錐台を、少なくとも部分的に画定することができる。さらに、または代替形態として、内面の1つあるいは複数の隆起または突起が、イヤーカプラと検査チューブとの間の圧入係合を可能にすることができる。構造体壁の内面または溝穴の1つまたは複数の凹部を、聴力検査システムをイヤーカプラに結合するために、検査チューブ端部または検査チューブコネクタと係合するように構成することができる。検査チューブの圧入に対応して構成された構造体は、種々のサイズの検査チューブをイヤーカプラに対して使用することができ、それにより、イヤーカプラを種々のサイズの検査チューブに適合させることができるため、有利であり得る。
【0021】
部材はドーム形状を有することができる。ドーム形状を、実質的に平滑な面を有する複曲面として画定することができる。ドーム状部材の壁の外面に対する接線が、フランジ面と、80°未満等の0°から約85°の範囲、たとえば75°未満の角度を形成することができる。ドーム状部材は、部材の機械的安定性を向上させることができる。
【0022】
以下、図を参照してさまざまな例示的な実施形態について説明する。図は比例尺で描かれておらず、同様の構造または機能の要素は、図を通して同様の参照番号によって表されていることが留意されるべきである。図は、実施形態の説明を容易にするようにのみ意図されていることも留意されるべきである。それらは、本発明の網羅的な説明として、または本発明の範囲に対する限定として意図されていない。さらに、例示する実施形態は、示されている態様または利点のすべてを有している必要はない。特定の実施形態に関連して説明する態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、それらを、例示されていなくても他のあらゆる実施形態で実施することができる。
【0023】
図1は、いくつかの実施形態によるイヤーカプラ10を示す。イヤーカプラ10は、ドーム状部材12と、フランジ14と、ポート20を備えた端部18を有する構造体16とを有している。ドーム状部材12は、フランジ14が延在している壁30を有している。フランジ14は、部材12の周囲に外接し、接着剤42(
図3に示す)を有する表面40を有している。イヤーカプラ10は、使用される前に接着剤42を含むバリア44をさらに有することができる(バリア44の一部がフランジ14から取り除かれている状態を示す
図3を参照されたい)。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態によるイヤーカプラ10の断面を示す。図に示すように、部材12は、第1部50および第2部52を含む。第1部50は第1壁部60を有し、第2部52は、第1壁部60と部分的に重なることによりイヤーカプラ10の壁30の少なくとも一部を形成する第2壁部62を有している。図示する実施形態では、第2部52は、第1部50より硬質の材料から作製されている。たとえば、いくつかの実施形態では、第1部50を、硬さがショアA35である材料(TP1)から作製することができ、第2部52を、硬さがショアA45である材料(TP2)から作製することができる。こうした形態は、第2部52が部材12の少なくとも一部を強化する補強要素として機能することができるため有利である。他の実施形態では、第1部50および第2部52を、同じ材料から作製することができる。第1部50および第2部52の各々を、限定されないがTPE(熱可塑性エラストマー)、シリコーンゴム、または他のタイプのゴムあるいはポリマーのいずれかを含む種々の材料から作製することができる。また、さらなる実施形態では、第2部52の方が、第1部50に完全に重なるように大きくてもよい。構造体16の長さLは約7mmである。
【0025】
製造プロセス中に、第2部52を第1部50とオーバーモールドすることができる。こうした場合、第1部50および第2部52は融着される。他の実施形態では、第1部50および第2部52を、接着剤、ねじ、スナップ嵌合結合器、または他のタイプの機械的接続を介する等、他の技法によって互いに取り付けることができる。
【0026】
図示する実施形態に示すように、部材12の壁30は、構造体16に対応する開口部70を有している。構造体16は、管状形態を有し、それにより、構造体16の端部18にポート20を画定している。図示する実施形態では、構造体16の第1端部にあるポート20は円形断面を有している。他の実施形態では、ポート20は、楕円形状、正方形状、矩形状、またはカスタマイズされた形状等の他の形状等、他の断面形状を有することができる。ポート20は、聴力測定装置等の音声装置76(
図4に示す)が結合することができるようなサイズおよび形状である。
【0027】
図3は、イヤーカプラ10の平面図を示す。図に示すように、イヤーカプラ10は、フランジ14から延在する複数のタブ80をさらに有している。タブ80によって、使用者は、タブ80のうちの1つを保持し、フランジ14を被験者の皮膚から引き離すことにより、イヤーカプラ10を被験者から分離することができる。図示する実施形態では、イヤーカプラ10は2つのタブ80を有している。他の実施形態では、イヤーカプラ10は、3つ以上のタブ80、あるいは2つ未満のタブ80(すなわち1つのタブ80)を有することができる。さらなる実施形態では、タブ80は任意選択的であり、イヤーカプラ10はいかなるタブ80も有していない。こうした場合、イヤーカプラ10を、フランジ14を被験者の皮膚から引き離すことによって被験者から分離することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、イヤーカプラ10全体が透明である。別法として、イヤーカプラ10の一部が1つまたは複数の色を有することができる。たとえば、イヤーカプラ10の一部は、色付きの図柄81を有していてもよい。また、他の実施形態では、イヤーカプラ10の一部は、イヤーカプラ10の別の部分より透明であり得る。たとえば、他の実施形態では、第1部50および第2部52はともに透明であってもよく、第1部50は第2部52より透明である。透明であることにより、使用者は、被験者の上にイヤーカプラ10を置いている間に被験者の耳の少なくとも一部を見ることができ、それにより、使用者は、イヤーカプラ10を、被験者の耳に対して所望の位置に配置することができる。
【0029】
上述したように、イヤーカプラ10は、聴力測定装置等の音声装置で使用されるように構成されている。いくつかの実施形態では、聴力測定装置を、乳児等の被験者の聴力を検査する1つまたは複数の検査を行うように構成することができる。聴力測定装置を用いて行うことができる検査の例としては、耳音響放射検査、聴性脳幹反応検査、音響反射率検査および鼓膜聴力検査が挙げられる。
図4に示すように、一実施態様では、聴力測定装置76は、ディスプレイ画面202を備えたハンドヘルドユニット200と、第1ケーブル204と、第2ケーブル208とを有している。第1ケーブル204は、使用中に、被験者の額、頬骨および首筋にそれぞれ結合されるように構成されている3つの電極206a〜206cを有している。第2ケーブル208は、使用中に2つのそれぞれのイヤーカプラ10(一方を示す)に脱着可能に結合する2つの変換器210(一方を示す)を有している。聴力測定装置76は、イヤーカプラ10を介して被験者の耳に伝送される1つまたは複数の刺激信号を生成するように構成されている。刺激信号は、電極206a〜206cによって測定される神経反応を誘発することにより、聴性脳幹反応検査を行う。変換器210によって測定される耳音響放射検査に対する別の反応を誘発するために、同じ刺激信号または他の刺激信号を使用することができる。ディスプレイ202は、検査を行うためのパラメータおよび検査結果等、聴力検査に関連する情報を表示するように構成されている。
【0030】
図4は、いくつかの実施形態によるイヤーカプラ10を使用する方法を示す。使用中、バリア44が取り除かれてフランジ14上の接着剤42が露出する。そして、イヤーカプラ10は接着剤42を介して被験者の皮膚に取り付けられる。イヤーカプラ10の一部が透明である場合、イヤーカプラ10の使用者は、被験者の耳を見るためにイヤーカプラ10を通して見ることができ、それにより、使用者は、被験者の耳に対してイヤーカプラ10を中心に置くことができる。音声装置76が、使用中にイヤーカプラ10のポート20に脱着可能に結合される。特に、音声装置76の変換器210が、ポート20を介してイヤーカプラ10に脱着可能に結合される。音声装置76に接続する別の変換器(図示せず)もまた、別のイヤーカプラ(図示せず)に結合される。また、音声装置76からの電極206a〜206cが被験者に固定される。図示する実施形態では、音声装置76は、被験者に対して耳音響放射検査および聴性脳幹反応検査を行うように構成されている聴力測定装置である。いくつかの実施形態では、音声装置76は、ケーブル208を介して刺激信号を提供することにより被験者から第1反応および第2反応を誘発するように構成されており、そこでは、第1反応(変換器210を用いて測定される)は耳音響放射検査用であり、第2反応(電極206a〜206cを用いて測定される)は聴性脳幹反応検査用である。他の実施形態では、音声装置76は、第1刺激信号を提供して耳音響放射検査用の第1反応を誘発し、かつ第2刺激信号を提供して聴性脳幹反応検査用の第2反応を誘発するように構成されている。
【0031】
また、イヤーカプラ10を用いて耳音響放射検査および聴性脳幹反応検査の両方を行う代りに、イヤーカプラ10を用いて、耳音響放射検査および聴性脳幹反応検査の一方のみを行うことができる。こうした場合、耳音響放射検査および聴性脳幹反応検査のうちの他方を行うときには、イヤーカプラ10を被験者から取り除き、(たとえば、イヤーカプラ10を変換器210から取り外すことにより、または音声装置76からケーブル208を取り外すことにより)音声装置76から取り外すことができる。そして、プローブ(図示せず)を(たとえばプローブを変換器210に取り付けることにより)音声装置76に取り付けることができ、プローブは、他方の検査を行うために刺激信号を送達するように被験者の耳の中に挿入される。
【0032】
図示するように、被験者に不快である可能性がありおよび/または被験者の耳を傷つける可能性があるプローブを聴力検査中に被験者の耳の中に挿入する必要がなくなるため、このようなイヤーカプラ10は有利である。また、イヤーカプラ10はそれ自体を被験者に固定することができるため、イヤーカプラ10の使用では、使用者は被験者の耳に対してイヤーカプラ10を手で安定させる必要がない。さらに、部材12のドーム形状により、外部から加えられる圧力または力に応じてドーム形状によって提供される弓形作用のために、部材12は、(平坦カバーを備えた部材12に比較して)変形および損傷を受けにくくなる。さらに、構造体16を介してポート20を提供することは、音声装置76に結合するために部材12の壁30に結合ポートを設ける場合より有利である。これは、構造体16が、ポート20の完全性を向上させる補強装置として機能するためである。装置10が構造体16を有していない場合、変換器210は、壁30のポートを介してイヤーカプラ10に直接結合されることが必要になり、それによって壁30が脆弱化する。こうした形態ではまた、壁30に対する変換器210の挿入および取外し中に壁30が曲がることになり、望ましくない。いくつかの実施形態では、変換器210がポート20に挿入されるときに、変換器210が開口部70を画定する壁部に接触しないように、開口部70は、ポート20より大きいように構成されている。これには、開口部70を画定する壁部の構造的完全性が維持されることが確実になるという利点がある。
【0033】
上記実施形態では、第1部50はドーム形状を有し、第2部52は、第1部50の壁の一部に重なる。他の実施形態では、第1部50は異なる形態を有することができる。たとえば、
図5に示すように、他の実施形態では、第1部50は第1開口部84を備えた第1端部82と、第2開口部88を備えた第2端部86とを有することができる。第1端部82は、フランジ14に(たとえば一体的に)取り付けられる。
【0034】
(構造体16を含む)第2部52は、第1部60の第2端部86の開口部88を覆うように構成されており、それによりドーム状部材12を形成する。いくつかの実施形態では、第2部52を、第1部50の上にオーバーモールドすることができる。別法として、第2部52を、接着剤、ねじ、スナップ嵌合コネクタ、または他のタイプのコネクタによって第1部50に取り付けることができる。
【0035】
さらなる実施形態では、第2部52を、第1部50に(たとえば、クリップ、ねじ山、スナップ嵌合コネクタ、摩擦等を介して)脱着可能に結合するように構成することができ、それにより第2部52は取外し可能なカバーのように機能することができる。こうした形態は、使用者が、被験者の耳を直接見るためにおよび/または被験者と直接やりとりするためにカバー52を選択的に開放することができるという点で有利である。こうした形態により、使用者が、構造体16とともにカバー52を取り除き、別のカバー52をイヤーカプラ10の残りに取り付けることも可能となる。これは、使用者が、カバー52が破損した場合に交換することができるため有利である。こうした場合、イヤーカプラ10は、サイズおよび形状が同じである複数のカバー52を有している。他の実施形態では、脱着可能な形態により、使用者は、カバー52を、異なる形態の構造体16(たとえば、異なる音声装置に結合するためにサイズおよび/または形状が異なる構造体16を備えたカバー52)と交換することも可能である。こうした場合、イヤーカプラ10は、形態(たとえばサイズおよび/または形状)が異なるそれぞれの構造体16を備えた複数のカバー52を有することができ、その場合、各構造体16は、一端においてイヤーカプラ10の残りに、かつ構造体16の他端において音声装置に脱着可能に結合するように構成される。カバー52を、イヤーカプラ10の一部か、またはイヤーカプラ10に結合されるように構成されている別個の構成要素であるようにみなすことができることが留意されるべきである。
【0036】
図示する実施形態では、第1部50および第2部52を、同じ材料から作製することができる。別法として、第2部52を、第1部50とは異なる材料から作製することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、第2部52を、第1部50より硬質の材料から作製することができる。
【0037】
他の実施形態では、イヤーカプラ10の部材12およびフランジ14を、製造プロセス中に単一体として形成することができ、構造体16は、イヤーカプラ10の残りに取り付けられる別個の構成要素である(
図6)。たとえば、構造体16を、部材12の壁30にオーバーモールドすることができる。別法として、構造体16を、接着剤、ねじ、スナップ嵌合コネクタまたは他のタイプのコネクタによって部材12に取り付けることができる。図示する実施形態では、部材12および構造体16を、同じ材料から作製することができる。別法として、構造体16を、部材12とは異なる材料から作製することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、構造体16を、部材12より軟質の材料から作製することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、構造体16を、部材12に(たとえば、クリップ、ねじ山、スナップ嵌合コネクタ、摩擦等を介して)脱着可能に結合されるように構成することができる。こうした形態により、使用者は、部材12から構造体16を取り除き、別の構造体16をイヤーカプラ10の残りに取り付けることができる。これは、使用者が、構造体16が破損した場合に交換することができるため有利である。こうした場合、イヤーカプラ10は、サイズおよび形状が同じである複数の構造体16を有することができる。他の実施形態では、脱着可能な形態により、使用者が、構造体16を別の形態である別の構造体16(たとえば、異なる音声装置に結合するためにサイズおよび/または形状の異なる構造体16)と交換することも可能である。こうした場合、イヤーカプラ10は、形態(たとえばサイズおよび/または形状)が異なる複数の構造体16を有することができ、その場合、各構造体16は、一端においてイヤーカプラ10の残りに、かつ構造体16の他端において音声装置に脱着可能に結合するように構成される。
【0039】
いくつかの実施形態では、構造体16を、使用中に使用者が曲げることができる屈曲可能な材料から作製することができる。こうした形態により、使用者は、(イヤーカプラ10に結合されている)音声装置を、音声装置がイヤーカプラ10に対して所望の位置にあるように選択的に位置決めすることができる。
【0040】
他の実施形態では、イヤーカプラ10の壁30および構造体16を製造プロセス中に単体形成することができ、フランジ14は、イヤーカプラ10の残りに取り付けられる別個の構成要素である(
図7)。たとえば、フランジ14を部材12の壁30にオーバーモールドすることができる。別法として、フランジ14を、接着剤、ねじ、スナップ嵌合コネクタ、または他のタイプのコネクタによって部材12に取り付けることができる。さらなる実施形態では、部材12の壁30は溝穴90を有することができ、フランジ14は、溝穴90と嵌合するように構成されている突起92を有することができ(
図8)、それにより、部材12に対してフランジ14が固定される。他の実施形態では、溝穴−突起形態を逆にすることができ、すなわち、フランジ14が溝穴を有することができ、部材12の壁30が、フランジ14の溝穴と嵌合する突起を有することができる。
【0041】
さらなる実施形態では、フランジ14を、部材12に(たとえば、クリップ、ねじ山、スナップ嵌合コネクタ、摩擦等を介して)脱着可能に結合されるように構成することができる。こうした形態により、使用者は、部材12からフランジ14を取り除き、別のフランジ14をイヤーカプラ10の残りに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、イヤーカプラ10は、サイズおよび形状が同じである複数のフランジ14を有することができる。これは、使用者が、フランジ14が破損した場合に、または接着剤42が粘着性でなくなった場合に、フランジ14を交換することができるため有利である。別法として、またはさらに、イヤーカプラ10は、形態(たとえばサイズおよび/または形状)が異なる複数のフランジ14を有することができ、その場合、各フランジ14は、イヤーカプラ10の部材12に脱着可能に結合するように構成される。こうしたシステムにより、使用者は、フランジ14を、異なる形態の別のフランジ14(たとえば、サイズおよび/または形状の異なるフランジ14)と交換することができる。
【0042】
図示する実施形態では、部材12およびフランジ14を同じ材料から作製することができる。別法として、フランジ14を、部材12とは異なる材料から作製することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、フランジ14を、部材12より軟質の材料から作製することができる。こうした形態により、フランジ14は、使用中に被験者の皮膚の輪郭に従うことができる。いくつかの実施形態では、フランジ14を、被験者の皮膚に対して押圧したときに容易に曲がるかまたは変形することができる柔軟な材料から作製することができる。
【0043】
さらなる実施形態では、イヤーカプラ10を1つの材料から作製することができ、イヤーカプラ10全体を、単一形態を有するように単一体として一体的に形成することができる。
図9は、他の実施形態による別のイヤーカプラ10を示す。この図に示すように、イヤーカプラ10の部材12の壁30、フランジ14および構造体16を有するイヤーカプラ10全体が、製造プロセス中に単一体として形成される(たとえば成形される)。
【0044】
図10は、形態の異なる複数のイヤーカプラ10を有するイヤーカプラシステム100を示す。イヤーカプラ10の各々は、本明細書に記載した形態のいずれかを有することができる。図示する実施形態では、イヤーカプラ10は、それぞれが異なるサイズの異なる被験者の耳を収容するように、サイズが異なっている。他の実施形態では、イヤーカプラ10は、それぞれの形状が異なる、異なる被験者の耳を収容するように、形状が異なっている。イヤーカプラ10の各々は、
図4の聴力測定装置76等の音声装置のコネクタ210に脱着可能に結合するポート20を備えた構造体16を有している。図では、各サイズの1つのイヤーカプラが示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、システム100は、イヤーカプラ10の対(1つは左耳用であり1つは右耳用である)を異なるサイズで提供することができる(たとえば、一対のイヤーカプラ10は1つのサイズであり、別の対のイヤーカプラ10は別のサイズである)ことが理解されるべきである。また、さらなる実施形態では、システム100は、3つ以上の対のイヤーカプラ10を有することができる。
【0045】
他の実施形態では、
図11に示すように、イヤーカプラ10の各々は、
図5に示す形態を有することができる。こうした場合、同じカバー52を使用して、音声装置をイヤーカプラ10の選択された1つに脱着可能に結合することができる。図では、各サイズの1つのイヤーカプラが示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、システム100は、イヤーカプラ10の対(1つは左耳用であり1つは右耳用である)を異なるサイズで提供することができる(たとえば、一対のイヤーカプラは1つのサイズであり、別の対のイヤーカプラは別のサイズである)ことが理解されるべきである。また、さらなる実施形態では、聴力検査システム100は、3つ以上の対のイヤーカプラ10を有することができる。
【0046】
図12は、イヤーカプラの壁から延在している構造体16の一部の断面図である。構造体壁の内面は、ポート20を形成している構造体の第1端部にまたはその近くに第1断面径d
1を備え、構造体の第2端部に向かって第2断面径d
2を備え、d
1がd
2より大きい、円錐台の少なくとも一部を画定している。第1断面径d
1(基部径)を、検査チューブの典型的な最大外径より大きいように選択することができ、第2断面径d
2(頂部径)を、検査チューブの典型的な最小外径より小さいように選択することができる。たとえば、d
1は6mmから10mmの範囲であり、d
2は、2mmから8mmの範囲であり得る。内面の少なくとも一部によって形成される円錐台は、高さが2mmから約20mmまでであり、たとえば4mmから12mmの範囲であり得る。構造体の長さLは、たとえば約等、少なくとも2mmであり得る。
【0047】
本発明の特定の実施形態を示し説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定するようには意図されていないことが理解されると考えられ、当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変形および変更を行うことができることが明らかとなろう。したがって、明細書および図面は、限定する意味ではなく例示する意味としてみなされるべきである。本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に含まれる可能性がある、代替形態、変更形態および均等物を包含するように意図されている。