【実施例】
【0052】
以下に実施例を示して、本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。尚、酸化物触媒における酸素原子の原子比は、他の元素の原子価条件により決定されるものであり、実施例及び比較例においては、触媒の組成を表す式中、酸素原子の原子比は省略する。また、酸化物触媒における各元素の組成比は、仕込みの組成比から算出した。
【0053】
<X線回折角度の測定>
XRDの測定は、National Institute of Standards & Technologyが標準参照物質660として定めるところのLaB
6化合物の(111)面、(200)面を測定し、それぞれの値を37.441°、43.506°となるように規準化した。
XRDの装置としては、ブルカー社製:D8 ADVANCEを用いた。XRDの測定条件は、X線出力:40kV−40mA、発散スリット(DS):0.3°、Step幅:0.02°/step、計数Time:2.0sec、測定範囲:2θ=5°〜60°とした。
【0054】
実施例及び比較例において、反応成績を示すために用いた、転化率、選択率、及び収率は次式で定義される。
転化率=(反応した原料のモル数/供給した原料のモル数)×100
選択率=(生成した化合物のモル数/反応した原料のモル数)×100
収率=(生成した化合物のモル数/供給した原料のモル数)×100
【0055】
目的生成物の生産性は、各触媒1t当りの目的生成物の生成量を算出後、触媒10tで8000時間連続運転を行ったものと仮定して次式で定義される。
生産性(t)=({時間当たりの供給した原料のモル数(mol/h)×収率)/触媒量(t)}×10(t)×8000(hr)/目的生成物の分子量
【0056】
[実施例1]
約90℃の温水197.0gにヘプタモリブデン酸アンモニウム65.7gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス43.8g、硝酸セリウム25.5g、硝酸鉄36.4g、硝酸セシウム0.66g、及び硝酸コバルト34.5gを18質量%の硝酸水溶液42.4gに溶解させ、約90℃の温水205.0gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度マグネチックスターラーを使って撹拌を継続することによって熟成させ、原料スラリーを得た。この原料スラリーを、噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.0gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でイソブチレン8容量%、酸素12.8容量%、水蒸気3.0容量%及び窒素容量76.2%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0057】
[実施例2]
約90℃の温水206.3gにヘプタモリブデン酸アンモニウム68.8gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス33.2g、硝酸セリウム29.6g、硝酸鉄44.7g、硝酸セシウム0.57g、及び硝酸コバルト32.3gを18質量%の硝酸水溶液42.6gに溶解させ、約90℃の温水196.2gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を520℃で14時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。また、X線回折パターンを
図1及び2に示す。触媒のBiリッチ相のSTEM−EDX分析を行った結果、Bi原子比を1とすると、Ce原子比は0.32、Fe原子比は0.16、Mo原子比は1.1となり、Biが多く存在する部位にCe、Fe、Moが存在し、Ce−Bi−Fe−Mo−Oの4成分系の結晶構造が生成していた。
触媒の反応評価として、触媒3.5gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0058】
[実施例3]
約90℃の温水202.3gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄50.3g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト28.0gを18質量%の硝酸水溶液42.7gに溶解させ、約90℃の温水201.5gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を540℃で3時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.5gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0059】
[実施例4]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.5gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0060】
[実施例5]
約90℃の温水201.6gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.2gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.2g、硝酸セリウム23.4g、硝酸鉄60.4g、硝酸セシウム0.55g、及び硝酸コバルト18.6g及び硝酸鉛1.0gを18質量%の硝酸水溶液37.9gに溶解させ、約90℃の温水203.9gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を540℃で5時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.6gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0061】
[実施例6]
約90℃の温水198.56gにヘプタモリブデン酸アンモニウム66.2gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス39.6g、硝酸セリウム23.0g、硝酸鉄59.5g、硝酸セシウム0.36g、及び硝酸コバルト18.3g及び硝酸ニッケル9.1gを18質量%の硝酸水溶液38.4gに溶解させ、約90℃の温水210.0gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を520℃で14時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.0gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0062】
[実施例7]
約90℃の温水202.1gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.4g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト22.3g、硝酸銅1.5gを18質量%の硝酸水溶液37.9gに溶解させ、約90℃の温水203.1gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を550℃で3時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.2gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0063】
[実施例8]
約90℃の温水202.1gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.0gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス44.7g、硝酸セリウム26.1g、硝酸鉄37.2g、硝酸ルビジウム0.51g、及び硝酸コバルト18.5g、硝酸マグネシウム14.6gを18質量%の硝酸水溶液37.7gに溶解させ、約90℃の温水203.1gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を540℃で3時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.1gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0064】
[実施例9]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、150℃で36時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を520℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.9gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0065】
[実施例10]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度75℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で4時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.9gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0066】
[実施例11]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を400℃で48時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.2gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0067】
[実施例12]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合することによってスラリーを熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を640℃で30分本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒5.4gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0068】
[実施例13]
実施例3と同じ触媒を用い、触媒の反応評価として、触媒6.4gを反応管に充填し、反応温度を400℃に変更したこと以外は実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0069】
[実施例14]
実施例3と同じ触媒を用い、触媒の反応評価として、触媒3.0gを反応管に充填し、反応温度を460℃に変更したこと以外は実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0070】
[実施例15]
約90℃の温水208.5gにヘプタモリブデン酸アンモニウム69.5gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス32.0g、硝酸セリウム7.2g、硝酸鉄39.9g、硝酸セシウム1.3g、及び硝酸コバルト43.2g、硝酸ニッケル24.2gを18質量%の硝酸水溶液38.3gに溶解させ、約90℃の温水208.5gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約60℃で約4時間程度撹拌混合して熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、280℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を550℃で10時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0071】
[実施例16]
実施例1と同じ組成でA液とB液の両液を混合し、ホモジナイザー処理をしないで、約65℃で1時間程度マグネチックスターラーを使って撹拌を継続することによって熟成させ、原料スラリーを得た。この原料スラリーを、噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0072】
[実施例17]
実施例1と同じ組成でA液とB液の両液を混合し、ホモジナイザー処理をしないで、約65℃で24時間程度マグネチックスターラーを使って撹拌を継続することによって熟成させ、原料スラリーを得た。この原料スラリーを、噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0073】
[実施例18]
実施例1と同じ触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.5gを反応管に充填し、反応温度を350℃としたこと以外は実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0074】
[実施例19]
実施例1と同じ触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、反応温度を480℃としたこと以外は実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0075】
[実施例20]
実施例1と同じ触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、反応温度430℃でイソブチレン6容量%、酸素9.6容量%、水蒸気3.0容量%及び窒素容量81.4%からなる混合ガスを100mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0076】
[実施例21]
実施例1と同じ触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、反応温度を350℃としたこと以外は実施例20と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0077】
[比較例1]
約90℃の温水218.4gにヘプタモリブデン酸アンモニウム72.8gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス26.8g、硝酸セリウム7.5g、硝酸鉄19.5g、硝酸セシウム2.0g、及び硝酸コバルト79.5gを18質量%の硝酸水溶液42.1gに溶解させ、約90℃の温水177.8gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合して熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を520℃で5時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。また、X線回折パターンを
図1及び2に示す。
触媒のBiリッチ相のSTEM−EDX分析を行った結果、Bi原子比を1とすると、Ce原子比は0.07、Fe原子比は0.06、Mo原子比は1.1となり、実施例2と比較するとBiに対してCeとFeの含有量が少なく、2成分系のBi−Mo−Oが生成しており、Ce−Bi−Mo−Oの4成分系の結晶構造の生成量が少なかった。
触媒の反応評価として、触媒4.2gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0078】
[比較例2]
約90℃の温水197.9gにヘプタモリブデン酸アンモニウム66.0gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス39.5g、硝酸セリウム23.0g、硝酸鉄75.7g、硝酸セシウム0.54g、及び硝酸コバルト15.5gを18質量%の硝酸水溶液42.1gに溶解させ、約90℃の温水214.4gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合して熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を540℃で5時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.3gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0079】
[比較例3]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を540℃で5時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.6gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0080】
[比較例4]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合して熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、105℃で12時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を530℃で8時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.9gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0081】
[比較例5]
約90℃の温水202.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.4gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス40.3g、硝酸セリウム23.5g、硝酸鉄55.4g、硝酸セシウム0.56g、及び硝酸コバルト24.2gを18質量%の硝酸水溶液42.9gに溶解させ、約90℃の温水202.7gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、ホモジナイザーを用い、20000rpmで1時間処理した後、約65℃で約4時間程度撹拌混合して熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を720℃で30分本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒5.9gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0082】
[比較例6]
原料スラリーを熟成しなかったこと以外は実施例15と同様の方法により触媒を調製した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒4.5gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0083】
[比較例7]
原料スラリーの熟成をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同じ反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0084】
[比較例8]
原料スラリーの熟成をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒5.0gを反応管に充填し、実施例18と同じ反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0085】
[比較例9]
原料スラリーの熟成をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.0gを反応管に充填し、実施例19と同じ反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0086】
[比較例10]
原料スラリーの熟成をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒5.0gを反応管に充填し、実施例20と同じ反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0087】
[比較例11]
原料スラリーの熟成をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒6.0gを反応管に充填し、実施例21と同じ反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0088】
[比較例12]
約90℃の温水213.7gにヘプタモリブデン酸アンモニウム71.2gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス32.8g、硝酸セリウム14.6g、硝酸鉄34.1g、硝酸セシウム2.6g、硝酸コバルト49.2g及び、硝酸カリウム0.35gを18質量%の硝酸水溶液37.0gに溶解させ、約90℃の温水183.2gを添加した(B液)。A液とB液の両液を混合し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、さらに得られた噴霧乾燥触媒前駆体を室温から昇温速度1.4℃/minで昇温し、250℃で3時間仮焼成した。得られた仮焼成触媒前駆体を510℃で3時間本焼成した。得られた酸化物触媒の組成を表1に、粉末X線回折の測定結果を表2に示す。
触媒の反応評価として、触媒3.8gを反応管に充填し、実施例1と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表3に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
[実施例22]
実施例1で得られた触媒を用い、触媒の反応評価として、触媒4.0gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でt−ブチルアルコール8容量%、酸素12.8容量%、水蒸気3.0容量%及び窒素容量76.2%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
【0093】
[比較例12]
比較例1で得られた触媒を用いて、触媒の反応評価として、触媒4.2gを反応管に充填し、実施例22と同様の反応条件でメタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
[実施例23]
実施例1で得られた触媒を用い、触媒20mLを内径15mmのSUS製ジャケット付反応管に充填し、プロピレン濃度10容量%、水蒸気濃度17容量%及び空気濃度73容量%の原料ガスを常圧にて接触時間2.3秒にて通過させて、反応温度430℃にてアクロレイン合成反応を実施した。反応評価結果を表5に示す。
【0096】
[比較例13]
比較例1で得られた触媒を用いて、触媒20mLを反応管に充填し、実施例23と同様の反応条件でアクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
上記反応評価結果から明らかなように、本実施形態における酸化物触媒は、オレフィン及び/又はアルコールを酸化反応において、逐次酸化物の生成が少なく、不飽和アルデヒドの選択率を高くすることが可能であった。
【0099】
本出願は、2011年6月28日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2011−143284)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。