(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの軸方向にスライド可能なカム要素(10、11、12)と、少なくとも1つのカム要素(10、11、12)と連結されている切替えゲート(13)とを備え、該切替えゲートが少なくとも1つのコースセグメント(16、17、18、19)と少なくとも1つの切替えセグメント(20、21、22、23、24、25)を具備した少なくとも1つのゲートパス(14、15)を、前記少なくとも1つのカム要素(10、11、12)をスライドさせるために備えている内燃機関バルブトレイン装置において、
前記コースセグメント(16、17、18、19)と前記切替えセグメント(20、22、23、25)とが少なくとも1つの部分範囲で少なくとも部分的に一体的に形成され、
前記少なくとも1つのコースセグメント(16、17、18、19)が、半径方向傾斜のみを備えた部分範囲を含み、
前記少なくとも1つのゲートパス(14、15)が、前記コースセグメント(16、17、18、19)及び前記切替えセグメント(20、22、23、25)が一体的に形成されている前記部分範囲において軸方向傾斜及び半径方向傾斜を備えている
ことを特徴とする内燃機関バルブトレイン装置。
少なくとも2つのゲート要素(26、27、28)がそれぞれ、前記少なくとも1つのコースセグメント(16、17、18、19)の一部を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関バルブトレイン装置。
前記半径方向傾斜のみを備えている前記コースセグメント(16、17、18、19)の前記部分範囲は、少なくとも大部分が前記ゲート要素(26、27、28)の1つに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関バルブトレイン装置。
前記コースセグメント(16、18)の少なくとも1つがコースインセグメントを形成し、前記コースセグメント(17、19)の少なくとも1つがコースアウトセグメントを形成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関バルブトレイン装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、異なったバルブ動作時間を持つ、少なくとも3つの直列に配置されたシリンダーを備えた内燃機関のためのバルブリフト切替え装置を提供することである。本課題は、本発明に従い、請求項1の特徴によって解決される。さらなる有利な実施形態は、従属請求項によって開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つの軸方向にスライド可能なカム要素と、少なくとも1つのカム要素と連結されている切替えゲートとを備え、この切替えゲートが、少なくとも1つのコースセグメントと少なくとも1つの切替えセグメントとを具備した少なくとも1つのゲートパスを、少なくとも1つのカム要素をスライドさせるために備えている内燃機関バルブトレイン装置に基づいている。
【0006】
本発明は、コースセグメントと切替えセグメントとが少なくとも1つの部分範囲で少なくとも部分的に一体的に形成されていることを提案する。それによって、コースセグメントと切替えセグメントとが占めている角度範囲が、有利に短く保たれることができ、それによってゲートパスが有利に多数の切替えセグメントを備えることができる。特に、それによって少なくとも3つの切替えセグメントを備えた連続したゲートパスが実現されることができ、それによって異なったバルブ動作時間を持つ、少なくとも3つの直列に配置されたシリンダーを備えた内燃機関のためのバルブリフト切替え装置を実現することができる。「切替えゲート」という言葉は、ここでは少なくとも1つのカム要素を軸方向で調整するためのユニットと理解され、これは少なくとも1つのゲートパスを有し、このゲートパスは回転動作を軸方向の調整力に変換するために備えられている。「ゲートパス」は、特に切替えピンの片側又は両側を強制的に案内するパスであると理解される。ゲートパスは好ましくは、ウェブの形で、スリットの形で、及び/又は溝の形で形成されている。切替えピンは好ましくは突起部を取り囲む切替えシューの形で、スリット内に係合したピンの形で、及び/又は溝内に案内されたピンの形で形成されている。
【0007】
ここで「コースセグメント」とは、少なくとも1つの半径方向傾斜を備えたゲートパスのセグメントであると理解される。「半径方向傾斜」は、特にゲートパスがこのセグメント内で傾斜を備えており、これによってゲートパスの経路が少なくとも1つのカム要素の主回転軸を囲む円周から半径方向へそれ、それによってカムシャフトの回転運動が半径方向に作用する力に変換され得るものと理解される。コースセグメントは、ゲートパスのコースインセグメントとして、又はゲートパスのコースアウトセグメントとして形成されていることが好ましい。ここで「コースインセグメント」とは、特に半径方向傾斜が回転方向に増大する実効高さを生じさせるセグメントであると理解される。ここで「コースアウトセグメント」とは、特に半径方向傾斜が回転方向に減少する実効高さを生じさせるセグメントであると理解される。「回転方向」とは、特にこれに沿ってカム要素がバルブ操作時に回転動作によって作用される回転の方向であると理解される。
【0008】
ここで「切替えセグメント」とは、特に少なくとも1つの軸方向傾斜を備えたセグメントと理解される。「軸方向傾斜」とは、特にゲートパスがこのセグメントで傾斜を備え、これによってゲートパスの経路が少なくとも3つのカム要素の主回転軸を囲む円周から軸方向に外れており、それによってカムシャフトの回転動作が軸方向に作用する力に変換され得るものであると理解される。ここで「セグメント」とは、特に定義された機能、例えば少なくとも1つのカム要素の切替え、切替えピンのコースイン、又は切替えピンのコースアウトが割り当てられている、ゲートパスの一部と理解される。基本的にその際ゲートパスは、複数の相前後して配置された同じ種類のセグメント、例えば複数の切替えセグメントが、異なった機能、例えば異なったカム要素の切替えを備えることができる。文中における「一体的に」とは、ゲートパスが部分範囲で二重機能性を備えている、つまり同時に切替えピンのコースイン又はコースアウトが少なくとも1つのカム要素を切り替えるために備えられていると特に理解される。
【0009】
さらに、少なくとも1つのコースセグメントが、半径方向傾斜のみを備えた部分範囲を含んでいることが提示される。それによってコースセグメントは部分的に切替えセグメントから分離され、それによって切替えピンが特に確実にゲートパスにコースインすることができる。文中における「〜のみ」とは、特にコースセグメントがこの部分範囲でただ増大又は減少する実効高さだけを備えていることであると理解される。これに関して特に、ゲートパスはこの部分範囲で軸方向傾斜を備えていない。
【0010】
加えて、切替えセグメントが軸方向傾斜のみを備えた部分範囲を含んでいることが提示される。それによって、切替えセグメントは少なくとも1つのカム要素を切り替えるために必要な長さを備えることができ、この長さは切替えピンに作用する力を十分に小さく保つことができる。切替えセグメントは少なくとも60度のカムシャフト角度の長さを備えることが好ましく、その際少なくとも80度のカムシャフト角度が有利であり、少なくとも100度のカムシャフト角度が特に有利である。「角度範囲」とは、特に円周方向へのカム要素の延長部であると理解される。「〜度のカムシャフト角度」で示される角度は、特にカムシャフトに関係する角度を示すと理解される。つまりカムシャフトの1回転が360度のカムシャフト角度に相当する。
【0011】
特に有利な一実施形態では、少なくとも1つのゲートパスが少なくとも1つの部分範囲で軸方向傾斜及び半径方向傾斜を備え、この部分範囲にはコースセグメント及び切替えセグメントが一体的に形成されることが提示される。これによって、コースセグメント及び切替えセグメントが一体的に形成されている部分範囲を、特に有利に形成することができる。
【0012】
本発明の一発展形態では、内燃機関バルブトレイン装置が少なくとも2つのゲート要素を備え、このゲート要素がそれぞれ、少なくとも1つのコースセグメントの一部を形成していることが提示される。コースセグメントを2つのゲート要素に配分することにより、切替えセグメントが完全に1つのゲート要素上に配置されることができ、他方で切替えセグメントの上流又は下流に接続されたコースセグメントが十分な角度範囲を備えることができる。「ゲート要素」とは、特にゲートパスを少なくとも部分的に形成する要素と理解される。基本的にゲート要素はカム要素と一体的に形成されてよい。
【0013】
コースセグメントの半径方向傾斜のみを備えている部分範囲は、少なくとも大部分はゲート要素の1つに配置されていることが好ましい。これによって、コースセグメントと切替えセグメントが一体的に形成されている部分範囲は、好ましくは第2のゲート要素に配置されることができ、それによって切替えセグメントが好ましくは第2のゲート要素の切替えのために備えられることができる。「大部分」とはここでは特に、半径方向傾斜のみを備えている部分範囲の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも75%に第1のゲート要素が配置されていることであると理解される。
【0014】
さらに、好ましくは、切替えセグメントが完全にゲート要素のうちの1つに配置されている。それによって切替えセグメントを使用して有利には第2のゲート要素がスライドされることができ、それによって第2のゲート要素に割り当てられたカム要素の切替え能力は、有利に実現可能である。文中における「完全に」とは、特に第2のゲート要素上に配置されている切替えセグメントが、2つの、第2のゲート要素上に配置された、円周方向に伸びる部分範囲によって限定されることであると理解される。その際好ましくは、部分範囲のうちの1つがコースセグメントによって形成され、第2の部分範囲が移行セグメントによって形成されている。「移行セグメント」とは、特に軸方向傾斜も半径方向傾斜も備えていないゲートパスの部分範囲であると理解される。有利な一実施形態では、すべての切替えセグメントがそれぞれ完全にゲート要素のうちの1つに配置されている。
【0015】
加えて、内燃機関バルブトレイン装置が少なくとも1つの別のコースセグメントを備えており、このコースセグメントが少なくとも1つの部分範囲に軸方向傾斜を備えていることが提示される。それによって少なくとも1つの別のカム要素の切替え能力が実現されることができ、それによって内燃機関バルブトレイン装置は4気筒以上を備えた内燃機関のために実現できる。
【0016】
ここで好ましくはコースセグメントの少なくとも1つがコースインセグメントであり、コースセグメントの少なくとも1つがコースアウトセグメントである。それによってゲートパスの有利な一実施形態は特に短い長さで達成できる。
【0017】
特に好ましくは内燃機関バルブトレイン装置は別の切替えセグメントを含み、この切替えセグメントが少なくとも部分的に別のコースセグメントと一体的に形成されている。それによってコースインセグメントは1つの切替えセグメントと一体的に、及びコースアウトセグメントは別の切替えセグメントと一体的に形成されることができ、それによってゲートパスの長さは特に有利に形成されることができる。
【0018】
その他の利点は、以下の図面の説明によって開示される。図面では、本発明の具体例が示される。図面、説明、請求項中には、多数の特徴が組み合わされて含まれている。当業者はこれらの特徴を目的に合わせて個別としても見なし、有意義な別の組み合わせにまとめる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図14は、本発明による内燃機関バルブトレイン装置を示す図である。内燃機関バルブトレイン装置は、少なくとも3つの直列に配置された、異なったバルブ動作時間を備えたシリンダーを有する内燃機関のために備えられている。内燃機関バルブトレイン装置は内燃機関のために使用されることができ、この内燃機関では例えば3気筒直列エンジン又は6気筒V型エンジンのように1列にシリンダーが3つだけ配置されている。しかし、この内燃機関バルブトレイン装置は、例えば、隣接したシリンダーがそれぞれ同一の又は少なくとも類似したバルブ動作時間を有する6気筒直列エンジンのように、それぞれが対になって同一の又は少なくとも類似したバルブ動作時間を有するシリンダーが1つの列に6つ配置される内燃機関にも使用可能である。
【0021】
内燃機関バルブトレイン装置は、カム要素10、11、12を具備したカムシャフト33を含んでいる。これらカム要素10、11、12は、カムキャリアとして形成されている。各カム要素10、11、12上には少なくとも1つのカム34が配置されており、このカムは異なったバルブリフトカーブを具備した2つの部分カム35、36を備えている。カム34における1つの各部分カム35、36は、それぞれが直接隣接して配置されている。カム要素10、11、12は、軸方向へスライド可能である。カム要素10、11、12の中の1つが軸方向へスライドされることにより、カム34内で1つの部分カム35から別の部分カム36への切り替えがなされる。このカム要素10、11、12の各々は、1つ又は複数のシリンダーのために異なったバルブリフトに切り替えられる2つの個別の切り替え位置を備え、これらシリンダーは対応するカム要素10、11、12に割り当てられている。
【0022】
カム要素10、11、12を配置するために、カムシャフト33はドライブシャフト37を含む。ドライブシャフト37は詳細には図示していないクランクシャフトとの接続のためにクランクシャフト接続部を含んでいる。クランクシャフト接続部は、カムシャフト33とクランクシャフトとの間の位相位置を調節するために設けられているカムシャフトアジャスタによって形成されていてもよい。
【0023】
カム要素10、11、12は、軸方向にスライド可能に、及び非回転にドライブシャフト37に配置されている。ドライブシャフト37は、その外周に平歯車を備えている。カム要素10、11、12は、その内周に対応する平歯車を備えており、これがドライブシャフト37の平歯車にかみ合う。
【0024】
さらに内燃機関バルブトレイン装置は切替えゲート13を含んでいる。この切替えゲート13は、3つのカム要素10、11、12を切替えプロセス中に順次連続してスライドさせるために備えられている。カム要素10、11、12をスライドさせるために切替えゲート13は2つのゲートパス14、15を含む。第1のゲートパス14はカム要素10、11、12を第1の切替え方向に沿って第1の切替え位置から第2の切替え位置にスライドさせるために備えられている(
図5〜
図9を参照)。第2のゲートパス15は、カム要素10、11、12を第2の切替え方向に沿って第2の切替え位置から第1の切替え位置へスライドさせるために備えられている(
図10〜
図14を参照)。
【0025】
さらに、内燃機関バルブトレイン装置は切替えユニット30を備えており、これは切替えピン31、32をゲートパス14、15に係合させるために備えられている。切替えユニット30は、ステータハウジング38を備えており、このステータハウジングは詳細には図示していない内燃機関のエンジンブロックと固定的に接続されている。切替えピン31、32はその主延長方向に沿ってスライド可能にステータハウジング38内に配置されている。ゲートパス14、15は溝として形成され、その中では切替えピン31、32が少なくとも部分的に両側とも強制的に導かれることができる。第1の切替え方向への切替えプロセス時に、第1の切替えピン31が第1のゲートパス14に係合するように導かれる。第2の切替え方向への切替えプロセスでは、第2の切替えピン32が第2のゲートパス15に係合するように導かれる。
【0026】
ゲートパス14、15は、複数の切替えセグメント20、21、22、23、24、25を備えている。第1のゲートパス14は、3つのカム要素10、11、12を第1の切り替え方向へ切り替えるための3つの切替えセグメント20、21、22を含んでいる。切替えセグメント20、21、22は、それぞれカム要素10、11、12のうちの1つに正確に割り当てられている。さらにゲートパス14は、コースインセグメントとして形成されたコースセグメント16及びコースアウトセグメントとして形成されたコースセグメント18を含んでいる。第2のゲートパス15は同様に形成されている。第2のゲートパス15は、3つの切替えセグメント23、24、25、コースインセグメントとして形成されているコースセグメント17及びコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント19を含む。
【0027】
切替えセグメント20、21、22、23、24、25は、それぞれ1つの軸方向傾斜を備えている。軸方向傾斜によって、対応する切替えピン31、32が対応する切替えセグメント20、21、22、23、24、25と係合している場合に、対応する切替えセグメント20、21、22、23、24、25に割り当てられたカム要素10、11、12がスライドされる。コースセグメント16、17は半径方向傾斜を備えている。ゲートパス14、15は、溝として形成されており、コースインセグメントとして形成されているコースセグメント16、17の部分範囲内に連続的に増大する深さを備えている。コースインセグメント16、17と、それに対応してコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18、19の間にある範囲では、対応するゲートパス14、15が実質的に一定の深さを備えている。コースセグメント18、19の範囲には、対応するゲートパス14、15が連続的に減少する深さを備えている。
【0028】
2つのゲートパス14、15は、それぞれ連続している。つまり対応するコースセグメント18、19を通ってゲートパス14、15とそれぞれ係合された切替えピン31、32は、コースセグメント18、19を使用して切替えピン31、32が再度ゲートパス14、15から解放される前に、対応するゲートパス14、15の切替えセグメント20、21、22、23、24、25を連続して通り抜ける。カム要素10、11、12は、これによって連続して順次切り替えられる。その際1つの切替えプロセスでは、第1の切替え方向に沿って、まず最初に軸方向外側のカム要素10が、続いて軸方向中央のカム要素11が、最後に軸方向外側のカム要素12が切り替えられる。もう1つの切替えプロセスでは、第2の切替え方向に沿ってまず最初に軸方向中央のカム要素11が、続いて軸方向外側のカム要素12が、そして最後に軸方向の外側のカム要素10がスライドされる。したがって2つの切替えプロセスは、カム要素10、11、12の切替え順序に関しては対称ではない。
【0029】
2つのゲートパス14、15を形成するために、内燃機関バルブトレイン装置は3つのゲート要素26、27、28を含んでいる。第1のゲート要素26は、第1のカム要素10と一体的に形成されている。第2のゲート要素27と第2のカム要素11は同様に一体的に形成されている。第3のゲート要素28は、第3のカム要素12から間隔をあけて配置されており、非回転に及び軸方向に不動に、第3のカム要素12と接続されている。
【0030】
切替えゲート13は、軸方向外側のカム要素10と軸方向中央のカム要素11が互いに隣接しているカムシャフト33の範囲に配置されている。2つのゲート要素26、27はこの範囲で、それぞれ120度のカムシャフト角度の角度範囲のみを占めている。第3のゲート要素28は同様に、カム要素10、11が互いに隣接しているカムシャフト33の範囲に配置されている。ゲート要素28は、同様に角度範囲120度のカムシャフト角度を占めている。したがって切替えゲート13の範囲ではゲート要素26、27、28がほぼ同じ大きさの角度範囲を占めている。カムシャフト33が360度カムシャフト角度回転すると、それにより連続して第1のゲート要素26、第2のゲート要素27及び第3のゲート要素28が切替えユニット30の方を向く。
【0031】
3つのゲート要素26、27、28はゲートパス14、15を形成する。ゲートパス14、15は溝として形成されており、直接ゲート要素26、27、28に設けられている。その際3つのゲート要素26、27、28はそれぞれ1つのゲートパス14、15を形成する。
【0032】
ゲートパス14におけるコースインセグメントとして形成されているコースセグメント16は、第3のゲート要素28上で始まり、第1のゲート要素26上で終わる。ゲートパス14の第1の切替えセグメント20は、完全に第1のゲート要素26上に配置されている。ゲートパス14の第2の切替えセグメント21は、完全に第2のゲート要素27上に配置されている。ゲートパス14の第3の切替えセグメント22は、第3のゲート要素28上に配置されている。ゲートパス14におけるコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18は、第3のゲート要素28から第1のゲート要素26まで伸びている。ゲートパス14はこれによって360度のカムシャフト角度より大きい角度で伸びている。
【0033】
ゲートパス15のコースセグメント17は第1のゲート要素26上で始まり、第2のゲート要素27上で終わる。ゲートパス15の第1の切替えセグメント23は第2のゲート要素27に配置されている。ゲートパス15の第2の切替えセグメント24は、第3のゲート要素28上に配置されている。ゲートパス15の第3の切替えセグメント25は、第1のゲート要素26上に配置されている。ゲートパス15のコースセグメント19は、第3のゲート要素28から第1のゲート要素26まで伸びている。ゲートパス15はこれによって同様に360度のカムシャフト角度より大きい角度で伸びている。
【0034】
第3のゲート要素28及び軸方向外側のカム要素12は、移動可能に互いに連結されている(
図2参照)。ドライブシャフト37は、少なくとも部分的に中空シャフトとして形成されている。内燃機関バルブトレイン装置は接続ユニット29を含み、この接続ユニットはゲート要素28を第3のカム要素12と連結する。接続ユニット29は連結棒39を含み、この連結棒はドライブシャフト37内に通されている。ドライブシャフト37は、第1の開口部と第2の開口部とを含み、第1の開口部を通って連結棒39がゲート要素28と連結され、第2の開口部を通って連結棒39がカム要素12と連結されている。カム要素12は、それによって少なくともほとんど固定的にゲート要素28の軸方向の動きに連結されている。ドライブシャフト37を介してカム要素12とゲート要素28は非回転に互いに結合されている。
【0035】
第1のゲートパス14は、カム要素10、11、12を第1の切替え方向への調整するために備えられている。第2のゲートパス15は、第1のゲートパス14に対して位相をずらした鏡像として配置される。したがって第2のゲートパス15は構造的に第1のゲートパス14に相当する。2つのゲートパス14、15の違いは、第2のゲートパス15の切替えセグメント23、24、25の軸方向の傾斜が、第1のゲートパス14の切替えセグメント20、21、22の軸方向の傾斜に対して逆の方向に向けられていることである。加えて第2のゲートパス15の始まりが第1のゲートパス14の始まりに対して位相をずらされている。したがって構造的に類似しているために、以下では特に第1のゲートパス14に付いて記載し、その記載は位相のずれを考慮して基本的に第2のゲートパス15に同様に当てはめることができる。
【0036】
ゲートパス14におけるコースインセグメントとして形成されているコースセグメント16及び第1の切替えセグメント20は部分的に一体的に形成されている。コースセグメント16と切替えセグメント20が一体的に形成されている部分範囲では、ゲートパス14が軸方向傾斜と半径方向傾斜を備えている。また、コースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18及び切替えセグメント22が部分的に一体的に形成されている。コースセグメント18と切替えセグメント22が一体的に形成されている部分範囲では、ゲートパス14が同様に軸方向傾斜と半径方向傾斜を備えている。
【0037】
コースインセグメントとして形成されているコースセグメント16、切替えセグメント20、22及びコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18は、部分的にやはり別々に形成されている。ゲートパス14は始まりを基点に、半径方向傾斜のみ備えた部分範囲を含む。この部分範囲ではゲートパス14が円周方向に伸び、増大する半径方向深さのみを備えており、コースセグメント16が切替えセグメント20とは別々に形成されている。この部分範囲ではコースセグメント16と切替えセグメント20が別々に形成されており、大部分がゲート要素28に配置されている。
【0038】
切替えセグメント20とコースセグメント16が一体的に形成されている範囲は、半径方向傾斜のみを備えた部分範囲につながっている。切替えセグメント20、及び、それによりコースインセグメント16と切替えセグメント20が一体的に形成されている部分範囲も、完全にカム要素10上に配置されている。
【0039】
この部分範囲には、ゲートパス14が軸方向傾斜のみを備えた、ゲートパス14の部分範囲がつながっている。この部分範囲では、切替えセグメント20とコースセグメント16が再度別々に形成されている。ゲートパス14は、この部分範囲ではほぼ一定の深さを備えている。
【0040】
切替えセグメント20にはゲートパス14が半径方向傾斜も軸方向傾斜も備えていない移行セグメント40が続いている。移行セグメント40により、カム要素10からカム要素11への移行がなされる。移行セグメント40は、部分的にカム要素10によって形成されている。移行セグメント40は、2つの切替えセグメント20、21の間に配置されている。
【0041】
ゲート要素27上に配置されたゲートパス14の一部は、実質的に一定の深さを備えている。ゲート要素27は、移行セグメント40の別の一部を形成する。加えて切替えセグメント21は完全にカム要素11上に配置されている。
【0042】
切替えセグメント21と切替えセグメント22との間の移行のために、ゲートパス14は半径方向傾斜も軸方向傾斜も備えていない別の移行セグメント41を含んでいる。この別の移行セグメント41は、切替えセグメント21に続く。移行セグメント41は部分的にカム要素11により、及び部分的にゲート要素28により形成されている。
【0043】
切替えセグメント22はカム要素12に割り当てられており、移行セグメント41に続く。直接移行セグメント41に続く部分範囲では、ゲートパス14が、まず軸方向傾斜のみを備えている。切替えセグメント22は、最初はコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18とは別々に形成されている。
【0044】
その後の移行で、ゲートパス14は、また軸方向傾斜と半径方向傾斜を備えた部分範囲を備える。この部分範囲では、切替えセグメント18とコースセグメント22が一体的に形成されている。コースセグメント18と切替えセグメント22が一体的に形成されているこの部分範囲では、ゲートパス14は減少する深さを備えている。この部分範囲には、コースセグメント18が切替えセグメント22とは別々に形成された部分範囲がつながっている。この最後の部分範囲では、ゲートパス14は半径方向傾斜のみを備えている。コースセグメント18が切替えセグメント22とは別々に形成されているこの部分範囲の大部分は、第1のゲート要素26により形成されている。
【0045】
切替えユニット30の切替えピン31、32は、それぞれ2つの切替え方向のいずれかのために備えられ、この方向にカム要素10、11、12がスライドされることができる。第1の方向にカム要素10、11、12をスライドするために、第1の切替え方向のために備えられた切替えピン31が退出する。カムシャフト33の回転運動は、切替えピン31を第1のゲートパス14の、コースインセグメントとして形成されているコースセグメント16と係合させる(
図5参照)。カムシャフト33のさらなる回転運動により、切替えピン31は軸方向の力をカム要素10、11、12の1つに作用させることなく、まず部分的に、ゲートパス14にコースインする。
【0046】
カムシャフト33のさらなる回転運動により、切替えピン31は、第1のゲート要素26上に配置され且つ第1のカム要素10に割り当てられている切替えセグメント20(
図6参照)と係合する。切替えセグメント20がコースインセグメントとして形成されているコースセグメント16と一体的に形成されるため、切替えピン31はさらにコースセグメント16と係合する。カムシャフト33の回転運動はそれによって軸方向の力がカム要素10に作用し、その間切替えピン31は引き続きゲートパス14にコースインする。切替えピン31が切替えセグメント20に係合し、カムシャフト33が回転運動することで、カム要素10は第1の切替え位置から第2の切替え位置へスライドされる。
【0047】
切替えピン31が切替えセグメント20を完全に通り抜けた後、カム要素10は第2の切替え位置に切り替えられる。さらなる回転運動により、切替えピン31は第1の移行セグメント40に係合する。カムシャフト33の回転運動は、第1のゲート要素26上に配置されたゲートパス14の一部から、第2のゲート要素27上に配置されているゲートパス14の一部に切替えピン31が受け渡されるよう働く。
【0048】
さらなる回転運動により、切替えピン31は、第2のゲート要素27上に配置され且つ第2のカム要素11に割り当てられている切替えセグメント21と係合する(
図7参照)。カムシャフト33の回転運動及び切替えピン31の切替えセグメント21への係合により、カム要素11に軸方向の力が作用し、この力によりカム要素11が第1の切替え位置から第2の切替え位置にスライドされる。切替えピン31が切替えセグメント21を完全に通り抜けた後、カム要素11は第2の切替え位置に切り替えられる。
【0049】
カムシャフト33のさらなる回転運動により、切替えピン31は移行セグメント41を通って第2のゲート要素27から第3のゲート要素28へ受け渡される。切替えピン31はそれによって、第3のゲート要素28上に配置され且つカム要素12に割り当てられている切替えセグメント22と係合する。
【0050】
切替えセグメント22が部分的にコースアウトセグメント18と別々に形成されているため、カムシャフト33の回転運動及び切替えピン31のゲートパス14への係合は、まず軸方向力だけがカム要素12に作用する。さらなる回転運動により、切替えピン31は、切替えセグメント22とコースセグメント18とが一体的に形成されている部分範囲に到達する(
図8参照)。切替えピン31は、それによってコースアウトする一方で、カム要素12にさらに力が作用し、この力によってカム要素12が第1の切替え方向に沿ってスライドする。
【0051】
切替えピン31が切替えセグメント22を通り抜けるとすぐに、カム要素12も第2の切替え位置に切り替えられる。その後切替えセグメント22から別に作り上げられたコースアウトセグメント18により、切替えピン31はさらにコースアウトする(
図9参照)。コースアウト中に切替えピン31はカムシャフト33の回転運動及びゲートパス14の半径方向傾斜によってステータハウジング38へ押し込まれる。切替えピン31がコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18を完全に通り抜けるとすぐに、第1の切替え位置から第2の切替え位置へのカム要素10、11、12の切替えプロセスは完了する。
【0052】
第2の切替え方向への切替えプロセスは第2のゲートパス15を使用して相似に行われる。ゲートパス15のコースセグメント17へのコースイン後(
図10参照)、切替えピン32はコースセグメント17と切替えセグメント23を通り抜ける(
図11参照)。続いて切替えピン32は、移行セグメント42を使用して後続の切替えセグメント24に受け渡される(
図12参照)。切替えピン32は移行セグメント43を使用して、切替えセグメント25に受け渡され(
図13参照)、続いてコースアウトセグメント19を使用してコースアウトする(
図14参照)。
【0053】
コースインセグメントとして形成されているコースセグメント16、17は、それぞれ角度範囲約110度のカムシャフト角度を占める。切替えセグメント20、21、22、23、24、25は、同様にそれぞれ角度範囲約110度のカムシャフト角度を占める。移行セグメント40、41、42、43は、それぞれ角度範囲約10度のカムシャフト角度を占める。コースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18、19は、それぞれ角度範囲約95度のカムシャフト角度を占める。
【0054】
コースセグメント16と第1のゲートパス14の第1の切替えセグメント20は、角度範囲約40度のカムシャフト角度で一体的に形成されている。第1のゲートパス14の最後の切替えセグメント22とコースセグメント18は、同様に角度範囲約40度のカムシャフト角度で一体的に形成されている。第2のゲートパス15は、相似に形成されている。ゲートパス14、15は、それによってそれぞれ長さ約475度のカムシャフト角度を備えている。ゲートパス14、15のコースインセグメントとして形成されているコースセグメント16、17及びコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメント18、19は、それによってそれぞれ部分的に軸方向に並んで配置されている。
【0055】
切替えピン31、32が、コースインセグメントとして形成されている、対応するコースセグメント16、17を省略して、誤って直接切替えセグメント20、21、22、23、24、25の1つにコースインすることを防止するため、内燃機関バルブトレイン装置はカバーユニット44を含む(
図3を参照)。カバーユニット44は、ゲートパス14、15の未使用部分をカバーするために備えられている。
【0056】
第1のゲートパス14を部分的にカバーするためにカバーユニット44は第1のカバー要素45を含み、このカバー要素はコースインセグメントとして形成されているコースセグメント16を形成する第1のゲート要素26と固定的に接続されている。カバー要素45により、カム要素10、11、12が切替え位置の1つに配置される作動状態において、第2のゲート要素27の切替えセグメント21と第3のゲート要素28の切替えセグメント22が覆われる。コースインセグメントとして形成されているコースセグメント16と第1のゲート要素26の切替えセグメント20は覆われていない。第1のカム要素10を第1の切替えセグメント20を使用してスライドさせることで、第1のゲート要素26と連結されているカバー要素45は、第2のゲート要素27の切替えセグメント21と第3のゲート要素28の切替えセグメント22を開放する。切替えピン31はそれによって、第1のゲート要素26上に配置されたゲートパス14の一部だけを通って、第2のゲート要素27上及び第3のゲート要素28に配置されたゲートパス14の切替えセグメント21、22に入り、ゲートパス14にコースインすることができる。
【0057】
第2のゲートパス15を部分的にカバーするために、カバーユニット44は第2のカバー要素46を含む。第2のカバー要素46は、第1のカバー要素45と相似に形成されている。ここで2つのカバー要素45、46はスリーブ形状に形成されており、対応する切替え位置で切替えゲート13の一部を取り囲み、それによってゲートパス14、15が部分的にカバーされる。カバー要素45、46は、角度範囲約240度のカムシャフト角度を占める。コースインセグメント16、17は、部分的にカバー要素45、46内に取り付けられている。
【0058】
切替えユニット30は双安定に形成されている。2つの切替えピン31、32は、操作されていない状態で、退出する切替え位置にも進入する切替え位置にも不動に留まることができる。切替えピン31、32は、その際不安定な中央位置を備えている。切替えピン31、32の1つが退出する切替え位置と中央位置の間にあると、対応する切替えピン31、32は自立的に退出する切替え位置に切り替わる。切替えピン31、32の1つが進入する切替え位置と中央位置に間にあると、対応する切替えピン31、32は自立的に進入する切替え位置に切り替わる。
【0059】
切替えピン31、32の退出のために、切替えユニット30は電動アクチュエータユニットを含み、これを使って切替えピン31、32に退出のための力をかけることができる。切替えピン31、32はその際互いに独立して退出可能である。アクチュエータユニットは切替えピン31、32の退出のためにのみ備えられている。切替えピン31、32の進入のために、切替えゲート13が備えられている。切替えピン31、32が対応するゲートパス14、15からコースアウト中、切替えピン31、32は不安定な中央位置を通過し、自立的に進入する。したがって、切替えピン31、32の進入のために、ゲートパス14、15におけるコースアウトセグメントとして形成されているコースアウトセグメント18、19が備えられている。
【0060】
カム要素10、11、12が切替え位置に係止するため、内燃機関バルブトレイン装置はラッチユニット47を備えている。カム要素10、11、12はそれぞれ2つのラッチ位置を備えている。ラッチユニット47は、複数のラッチ凹部48、49、50を含みこのラッチ凹部はカム要素10、11、12の内側に設けられている。加えてラッチユニット47は複数のスラストピース51、52、53を含み、これらスラストピースは固定的にドライブシャフト37と接続されている。スラストピース51、52、53を使用して、カム要素10、11、12がドライブシャフト37に対してロックされる。
【0061】
切替えピン31、32が対応するゲートパス14、15を通過する際にカム要素10、11及びゲート要素28に係合する順番は、基本的に任意とすることができる。例えば、ゲート要素28がコースインセグメントとして形成されているコースセグメント備え、その際ゲート要素28に続いてゲート要素27が配置され、ゲート要素26がコースアウトセグメントとして形成されているコースセグメントを備えることが考えられる。カム要素10、11、12がそれによってスライドされる順番は基本的に自由に決められる。