特許第5778829号(P5778829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッドの特許一覧

<>
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000012
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000013
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000014
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000015
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000016
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000017
  • 特許5778829-濃縮廃液乾燥物のペレット化方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778829
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】濃縮廃液乾燥物のペレット化方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20150827BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   G21F9/30 581B
   G21F9/30 519C
   B09B3/00 301Z
   B09B3/00ZAB
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-110038(P2014-110038)
(22)【出願日】2014年5月28日
(62)【分割の表示】特願2013-523074(P2013-523074)の分割
【原出願日】2010年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-209120(P2014-209120A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0092634
(32)【優先日】2010年9月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502043352
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドクマン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンギル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヨンブ
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−158498(JP,A)
【文献】 特開昭61−148397(JP,A)
【文献】 特開昭59−171897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
B09B 1/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮廃液乾燥物の成分、粒子の大きさ及び分布を分析するステップと、
前記濃縮廃液乾燥物に一定量の滑沢剤を添加して一緒に混合するステップと、
混合された濃縮廃液乾燥物をホッパーを介してペレットプレスに投入した後加圧してペレット状に製造するステップと、
前記製造されたペレットの製造結果が基準値に適合しているのか否かを判断し、ペレットプレスの圧力及び滑沢剤の添加含量を調整するステップと、
製造されたペレットのうち、基準値に適合しているものをガラス化設備に移送するステップと、を含むことを特徴とする濃縮廃液乾燥物のペレット化方法。
【請求項2】
前記製造されたペレットの基準値は、
硬度基準は4〜7kp(39.2〜68.6N)であり、摩損度基準は2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の濃縮廃液乾燥物のペレット化方法。
【請求項3】
前記滑沢剤は、
ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムのうちいずれか一つを使用し、添加含量は0〜2wt%であることを特徴とする請求項1に記載の濃縮廃液乾燥物のペレット化方法。
【請求項4】
前記ペレットプレスは、
前記濃縮廃液乾燥物を70〜80kg/mm2の圧力で加圧してペレット状に製造することを特徴とする請求項1に記載の濃縮廃液乾燥物のペレット化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮廃液乾燥物のペレット化方法に関するものであり、更に詳しくは、粉末状態である濃縮廃液乾燥物をガラス化設備に投入しやすいペレット状に製造し得る濃縮廃液乾燥物のペレット化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、韓国国内の場合濃縮廃液乾燥物は従来セメント固化処理を行っていたが、多量の固化剤を混合するため体積が増加するため中断されていた。その後、パラフィン固化処理を行っているが、パラフィン固化剤の場合浸出率及び圧縮強度試験で放射線廃棄物処分場の引受基準を満足することが難しい。
【0003】
アメリカの場合、原発で発生した濃縮廃液乾燥物などをガラス化するためにセラミック低温溶融炉を活用した工程に対する研究開発を行っている。濃縮廃液のセメント固化において、米国のWestinghouse、ORNL(Oak Ridge National Laboratory)、日本の日立、台湾のINER(Institute of Nuclear Energy Reseach)などでは長期保管による鉄材の腐食、遊離水の発生などの短所が発生し、ポリマー固化においては、米国のDTS(Diversified Technologies Services Company)、フランスのGrenoble原発などでは高線量の濃縮廃液に対するポリマー劣化反応を再検討中である。
【0004】
よって、濃縮廃液乾燥物に対する従来の固化法の短所を改善し、環境にやさしくて廃棄物減容効果に優れたガラス固化法の適用が検討されている。
一方、濃縮廃液乾燥物を前処理するための方法としては、ペレット化方式、顆粒化方式及び射出方式が提案されており、それによる結果は表1のようであった。
【0005】
【表1】
【0006】
ペレット化方式は一般に医薬品の錠剤を製作する方式であり、粉末を添加剤(結合剤、賦形剤、潤滑剤、崩解剤)と混合した後、顆粒化(湿式組立法、乾式組立法)して製造する方式と、粉末を添加剤と混合した後顆粒生成工程を経ずに粉末に直接力を加えて製作する方式とで分類される。添加剤は硬度と摩損度を改善するために使用され、PVA(Poly vinyl Alcohol)、HPMC(Hydroxy propyl methyl cellulose)、HPC(Hydroxy propyl cellulose)、Kollidon VA64など、多様な添加剤が使用される。
【0007】
図1は、従来技術による濃縮廃液の前処理の一方法である濃縮廃液粉末を錠剤化する方法であり、特許文献1として先出願された濃縮廃液粉末の錠剤方法を示す工程フローチャートである。
図1を参照すると、濃縮廃液を錠剤化するための装置は混合機A、粉末成形プレスB、コーティング装置Cで構成されている。濃縮廃液乾燥物は混合機Aで結合剤及び潤滑剤と混合された後、粉末成形プレスBで打錠し、それをコーティング装置Cで錠剤に皮膜を形成して錠剤を製造する。
【0008】
しかし、従来の濃縮廃液を錠剤化するための装置は混合機A、粉末成形プレスB、コーティング装置Cで構成されているため、原発の狭小な設置空間を考慮すると適用が難しい。また、従来技術による錠剤の製造方法は工程が複雑という短所があり、濃縮廃液乾燥物の水分を0.5%以下に維持するための乾燥設備が必要である。また、多様な添加剤(結合剤、潤滑剤、皮膜剤)が使用されるため取扱及び混合過程が複雑であり、ガラス化設備の適用に最も基本的な事項である錠剤の基準が提示されていない。及びに、濃縮廃液乾燥物は小さい微粒子であるため飛散による汚染拡散の懸念があって汚染拡散防止設備の必要であるが、従来はそのような設備がなかった。
【0009】
また、濃縮乾燥物をガラス化する際、それに必要なガラス造成を開発するためにはガラス造成開発工程が必要である。放射能廃棄物のガラス造成開発工程は、一般企業のガラス造成開発とは異なって放射線を放出する放射性物質をガラス構造の中に閉じ込んで放射性物質が環境に漏洩されないようにするための適合した基準を持っていなければならず、そのような基準はガラス化設備を適用する際問題があってはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許第10−0933561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した問題点を解決するために案出されたものであり、濃縮廃液乾燥物のガラス化のための前処理方法を原発現場の与件に適合するように単純化し、混合する添加剤を改善し、ガラス化に適合したペレットを製造し得るようにした濃縮廃液乾燥物のペレット化方法を提供することにその目的がある。
また、本発明の他の目的は、濃縮廃液乾燥物のガラス化に必要なガラス造成を開発し、ガラス化の最終生成物であるガラス固化体が関連法令及び規定に適合するようにしたガラス造成開発方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を具現するための本発明の濃縮廃液乾燥物のペレット化方式は、濃縮廃液乾燥物の成分、粒子の大きさ及び分布を分析するステップと、前記濃縮廃液乾燥物に一定量の滑沢剤を添加して一緒に混合するステップと、混合された濃縮廃液乾燥物をホッパーを介してペレットプレスに投入した後加圧してペレット状に製造するステップと、前記製造されたペレットの製造結果が基準値に適合するのか否かを判断し、ペレットプレスの圧力及び滑沢剤の添加含量を調整するステップと、製造されたペレットのうち、基準値に適合しているものをガラス化設備に移送するステップと、を含むことを特徴とする。
また、前記製造されたペレットの基準値は、硬度基準は4〜7kp(39.2〜68.6N)であり、摩損度基準は2%以下であることを特徴とする。
また、前記滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムのうちいずれか一つを使用し、添加含量は0〜2wt%であることを特徴とする。
また、前記ペレットプレスは、前記濃縮廃液乾燥物を70〜80kg/mm2の圧力で加圧してペレット状に製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した構成の本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化方法は、原発現場の与件に適合するように設備及び工程が単純化され、ガラス化に適合したペレット基準を提供することができる。
また、濃縮廃液ガラス造成開発工程を介したガラス固化体の品質管理体系を確立することができ、濃縮廃液の物理・化学的特性の変化による適合したガラス造成開発ができるため、ガラス化の最終生成物であるガラス固化体が関連法令及び規定に適合するように製作し得る長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の濃縮廃液粉末の錠剤方法を錠剤方法を示す工程フローチャートである。
図2】本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の内部構成図である。
図3】本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の側面図である。
図4】本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の概略的な構成図である。
図5】本発明によるペレットプレスの一実施例である。
図6】本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化方法を示すブロック図である。
図7】本発明による濃縮廃液乾燥物のガラス造成開発方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい一実施例に対する構成及び作用を詳しく説明する。
ここで、各図面の構成要素に対して参照符号を与えるに当たって、同じ構成要素に限ってはたとえ他の図面上に示されていてもできるだけ同じ符号で表記していることに注意しなければならない。
【0016】
図2は、本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の内部構成図であり、図3は濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の側面図であり、図4は濃縮廃液乾燥物のペレット化装置の概略的な構成図であり、図5はペレットプレスの一実施例である。
【0017】
図2及び図3を参照すると、本発明による濃縮廃液乾燥物ペレット化装置100は加圧軽水炉原発で発生する濃縮廃液乾燥物をガラス化設備に投入しやすいように製造するものであり、このような濃縮廃液ペレット化装置100は、本体フレーム110、ホッパー120、攪拌機130、フィーダー150、ペレットプレス160を含んで構成される。
【0018】
このような本発明の構成について詳しく説明すると以下のようである。
まず、本体フレーム110は主本体を成すものであり、上部一側には濃縮廃液乾燥物が供給される投入口111が具備され、下部一側には濃縮廃液乾燥物が処置の製造過程を経てペレット状に排出されるようにする排出口113が具備される。
【0019】
投入口111の一側には移送投入される濃縮廃液乾燥物を特定位置に供給するホッパー120が設置される。ホッパー120の排出管には供給バルブ121が具備されて、濃縮廃液乾燥物の選択的な供給/遮断が行われ得るようにする。この場合、ホッパーに供給される濃縮廃液乾燥物の供給形態は配置又は連続形態が可能であり、移送過程は空気によって混合物を移動させる乾式移動方式を適用し得る。
【0020】
そして、ホッパー120の下側にはホッパー120を介して供給される塊状の濃縮廃液乾燥物を粉砕及び混合する攪拌機130が設置される。及びに、図4に示したように、攪拌機130の入口部には投入される濃縮廃液乾燥物に滑沢剤を供給する添加剤供給部140が具備され得る。添加剤供給部140は濃縮廃液乾燥物に所定の滑沢剤を添加/混合することで濃縮廃液ガラス化の積載量を最大化すると共に、濃縮廃液乾燥物に流動性を与え乾燥物が枠から抜けられやすくしてペレット状に円滑に製造され得るように助ける。この場合、添加剤供給部140から供給される滑沢剤はせん断力が低い物質であるステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムのうちいずれか一つを使用することになり、滑沢剤の添加含量は0〜2wt%であることが好ましい。
この場合、本発明では前記添加剤供給部140がホッパー120と攪拌機130の間に設置される場合を一例に説明したが、それに限らず投入される濃縮廃液乾燥物に滑沢剤を添加して混合し得る構成であれば多様な構造に変更適用され得る。例えば、前記添加剤供給部140は濃縮廃液乾燥物をホッパー120に投入する前に別途の混合装置(図示せず)の一側に設置されて濃縮廃液乾燥物に所定の滑沢剤を投入して混合した後、混合された混合物をホッパー120に投入する方式で構成され得るということはもちろんである。
【0021】
攪拌機130の下側にはフィーダー(feeder)150が設置される。フィーダー150は攪拌機130の排出口を介して排出供給される濃縮廃液乾燥物の供給量を自動的に調節してペレットプレスに供給する。
【0022】
ペレットプレス160は、フィーダー150を介して一定量ずつ供給される濃縮廃液乾燥物を所定の圧力で加圧してペレット状に製造する。例えば、図5に示したように、前記ペレットプレス160は複数の圧出孔161aが貫通形成されるダイ161と、前記ダイの上面とローリング接触し得るようにベアリング結合されて供給される濃縮廃液乾燥物を圧出孔161aの方に加圧してペレット状に圧出させる加圧ローラ163の構造で構成され得る。このような構造のペレットプレス160は、濃縮廃液乾燥物を70〜80kg/mm2の圧力で加圧してペレット状に製造する。
【0023】
このように供給された濃縮廃液乾燥物はペレットプレス160でペレット化され、分析された粒子の大きさ及び粒度分布によってペレットが製造される枠の大きさを調節し得る。このように製造されたペレットはペレットプレス160の一側面と連通形成された排出口113を介して排出されてもよく、移送のためにドラムに保管されてもよい。
【0024】
一方、本体フレーム110の周辺にはペレットを製造する過程で発生し得る汚染の拡散を防止するように汚染拡散防止膜115が設置される。及びに汚染拡散防止膜115の上部一側にはペレット化装置100の稼動中に濃縮廃液乾燥物が飛散される場合、それを除去し得るように排気口117が設置される。排気口117は原発の排気口に連結されて処理される。
【0025】
また、汚染拡散防止膜115の一側には作業者が両手を入れてペレット化装置100の内部点検及び作業を行い得るようにスリーブグローブ119が設置される。
【0026】
上述した構造の本発明によるペレット化装置を利用した濃縮廃液乾燥物のペレット化過程を図6を参照して詳しく説明する。
【0027】
図6は、本発明による濃縮廃液乾燥物のペレット化方法を示すブロック図である。
まず、加圧軽水炉原発の濃縮廃液乾燥設備(CWDS)又はそれと類似した乾燥設備で乾燥された乾燥物の成分分析を行う。分析項目としては有・無機物含量、水分含量、粒子の大きさ、粒度分布などがあり、分析項目は設備の与件によって分析項目を追加してもよい(S1)。
【0028】
濃縮廃液乾燥物を添加剤である滑沢剤と混合する。このような混合過程は、濃縮廃液乾燥物をペレット化装置100に投入する前に常用設備を利用するか、廃棄物ドラムを活用して濃縮廃液乾燥物に一定量の滑沢剤を投入した後混合する(S2)。
【0029】
滑沢剤が混合された混合物をホッパー120を介して投入し、ホッパー供給バルブ121を開けて混合物をフィーダー150に供給する。この際、フィーダー150の上部には攪拌機130が設置されて塊状の混合物を粉砕し、粉砕された混合物はフィーダー150によって供給量が自動的に調節されながらペレットプレス160に供給される。供給された混合物はペレットプレス160を介してペレット状に加圧製造される(S3)。
【0030】
製造されたペレットの製造結果が基準値に適合してるのか否かを判断し補正する。即ち、製造されたペレットをガラス化設備に投入し得るのかを検証する。ガラス化設備への投入に適合した基準はガラス化設備の構造に基づいて設定した。ガラス化設備投入口は役2m程度であり、ペレットが2m落下試験で破砕、破損、亀裂などを示さないのであれば投入に適合するといえる。破損の基準を適用するために2m実験で有効なペレットの硬度を測定した結果、4kp(39.2N)以上であった。破砕はガラス化設備の排気体の特性に影響を及ぼし得る。摩損度は2%程度の試料を使用して試験した結果、排気系通に影響を及ぼさなかった。よって基準は硬度4〜7kp(39.2〜68.6N)であり、摩損度は2%以下である。模擬試料を使用して検証試験を行い、濃縮廃液乾燥物を使用して再確認する(S4)。
【0031】
製造されたペレットが基準に適合しない場合、ペレット化装置及び滑沢剤を調節するステップを経てペレット化ステップを再び行う(S5)。
【0032】
測定結果が基準を満足すると、製造されたペレットをガラス化設備に移送する(S6)。
【0033】
図7は、本発明による濃縮廃液乾燥物のガラス造成開発方法を示すブロック図である。
図7を参照すると、ステップ1(E1)に濃縮廃液乾燥物試料分析ステップ(S1)で有・無機物含量、水分含量、TOC、不溶性残留物の試料が提供され、無機物含量は酸化物状に変換される。
【0034】
ステップ2(E2)ではステップ1(E1)で提供された試料に基づいてガラス造成及び特性をモデリングし、ガラス造成開発可否を判断する。モデリングの対象は粘度、電気伝導度、密度、ガラス造成、遷移温度、放射線量率、減容比、7−days PCTがある。また、相安定性を確認する。それぞれに対する基準は、粘度10〜100poise、電気伝導度0.1〜1.0S/cm、密度2.5g/cm2以上であり、2次相が発生せず、放射線量は10mSv/hr以下であるべきである。PCT基準は成分別に異なっており、Bは9.155g/m2未満、Liは5.015g/m2未満、Naは6.99g/m2未満、Siは2.12g/m2未満である。
【0035】
ステップ3(E3)ではステップ2(E2)で提供された資料に基づいてガラス成分を組み合わせて実験室でガラスを製造し、実験室特性試験を介してガラス造成開発適合性可否を判断する。実験室ガラス製造試験基準は液状温度、遷移温度、点火及び溶湯制御、ガラス成分、表面均質性、圧縮強度、浸出率がある。液状温度は温度によるガラスの結晶可否を確認する試験であり、低温溶融炉運転温度である1,150℃以下である。浸出試験は7−days PCTを適用し、試験基準はステップ2(E2)と同じであり、圧縮強度試験の場合500psi以上である。製造されたガラスの表面特性及び成分を分析して遷移温度及び液状温度を測定する。また、ガラス化設備内で点火及び溶湯の制御性を確認する試験を経る。
【0036】
ステップ4(E4)ではステップ2(E2),ステップ3(E3)で確認された結果に基づいて実証試験を行い、ガラス固化体の健全性を立証する。試験項目は浸出試験と圧縮強度試験があり、基準はステップ3(E3)と同じである。ステップ4の試験が基準を満足すると、ガラス造成開発の最終工程が完了される。
【0037】
<実施例>
濃縮廃液乾燥物のガラス化のための実施例は以下のようである。
まず、濃縮廃液乾燥物の試料を採取して成分分析を行い、分析結果は以下のようである。
【0038】
【表2】
ここで、前記TOC(Total Original Carbon)とは、酸で溶かした溶液に溶解されている炭素量を意味する。
濃縮廃液乾燥物は、ホウ酸(H3BO3)ではなく主にBとNaの酸化物が水と結合した形の化合物で構成されていることが分かった。
【0039】
濃縮廃液乾燥物の粒子の大きさ及び分布は以下のようである。
【0040】
【表3】
【0041】
濃縮廃液乾燥物にステアリン酸マグネシウムを混合した後ペレットを製造した結果は以下のようである。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
濃縮廃液乾燥物の成分に基づいてガラス造成及び特性をモデリングした結果は以下のようである。
【0045】
【表6】
【0046】
濃縮廃液乾燥物をガラス化するためのガラスの実験室製造実験結果は以下のようである。
【0047】
【表7】
【0048】
濃縮廃液乾燥物がガラス化した後の固体化の形状は以下のようである。


【符号の説明】
【0049】
100:ペレット化装置
110:本体フレーム
111:投入口
113:排出口
120:ホッパー
121:供給バルブ
130:攪拌機
140:添加剤供給部
150:フィーダー
160:ペレットプレス
161:ダイ
161a:圧出孔
163:加圧ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7