(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂微多孔膜は隔離材やフィルター等として広く用いられている。例えば、隔離材としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、又はポリマー電池に用いる電池用セパレータや、電気二重層コンデンサ用セパレータ、フィルターとしては逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等が挙げられる。その他にも透湿防水衣料、医療用材料等などに用いられる。特にリチウムイオン二次電池用セパレータとしては、電解液含浸によりイオン透過性を有し、電気絶縁性、耐電解液性及び耐酸化性に優れ、また電池異常昇温時には120〜150℃程度の温度においてイオン透過を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果をも備えているポリエチレン製多孔質膜が好適に使用されている。しかしながら、何らかの原因で孔閉塞後も昇温が続く場合、膜を構成するポリエチレンの粘度低下や膜の収縮により破膜を生じることがある。この現象はポリエチレンに限定された現象ではなく、他の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、その多孔質膜を構成する樹脂の融点以上では避けることができない。
【0003】
リチウムイオン電池用セパレータは電池特性、電池生産性及び電池安全性に深く関わっており、優れた機械的特性、耐熱性、透過性、寸法安定性、孔閉塞特性(シャットダウン特性)、溶融破膜特性(メルトダウン特性)等が要求される。さらに、電池のサイクル特性向上のために電極材料との密着性向上や生産性向上のために電解液浸透性の向上などが要求される。そのため、これまでに多孔質膜にさまざまな改質多孔層を積層するセパレータが検討されている。改質多孔層には耐熱性と電解液浸透性を併せ持つポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、電極密着性に優れたフッ素系樹脂などが好適に用いられている。なお、本発明でいう改質多孔層とは、耐熱性、電極材料との密着性、電解液浸透性などの機能を少なくとも一つ以上、付与または向上させる樹脂を含む層をいう。
【0004】
電池用セパレータは低コスト化に対応するため、多孔質膜の製膜工程、及び改質多孔層の積層工程において加工速度(搬送速度)の高速化がよりいっそう進むことが予想される。また、電池容量の向上のため、電極シートのみならず、セパレータにおいても容器内に充填できる面積を増加させる必要があり、セパレータの薄膜化が進むことが予測される。
【0005】
上記課題を解決するためにさまざまな検討がなされている。
特許文献1の実施例1では、ポリエチレン微多孔膜の両面にフッ素系樹脂溶液を塗布し、次いで、凝固槽に進入させて、水洗・乾燥し、非水系二次電池用セパレータを得ている。
【0006】
特許文献2の実施例1では、底部に2本のマイヤーバーを平行に配したタンクにフッ素系樹脂溶液を入れ、ポリプロピレン微多孔膜を該タンク上部からタンク内に3m/分の搬送速度で進入させて2本のマイヤーバー間を通過させることによってフッ素系溶液を両面に塗布し、次いで、他の装置に接触させることなく、凝固槽に進入させて、水洗・乾燥し、複合多孔膜を得ている。
【0007】
特許文献3の実施例2では、底部に2本のマイヤーバーを平行に配したタンクにアルミナ粒子を含むメタ型全芳香族ポリアミド樹脂溶液を入れ、ポリエチレン微多孔膜を該タンク上部からタンク内に20m/分の搬送速度で進入させて2本のマイヤーバー間を通過させることによって該樹脂溶液を両面に塗布し、次いで、プレ凝固装置通過後、凝固槽に進入させて、水洗・乾燥し、電池セパレータを得ている。
【0008】
今後、塗工時の搬送速度はますます高速化が図られる傾向にあり、特に電池用セパレータに用いられるポリオレフィン多孔質膜のような柔らかい素材は搬送速度が高くなるほど搬送中にブレが生じやすくなる。この傾向は基材となるポリオレフィン多孔質膜の厚みが薄くなるほど顕著に表れる。
【0009】
特許文献1及び特許文献2の塗工方法では、例えば30m/min以上の搬送速度の場合、基材となるポリオレフィン多孔質膜のブレによって長手方向に塗工スジが発生する場合がある。速度が高くなるほど塗工量の調整のために2本のマイヤーバー間のクリアランスは小さくする必要があり、そのためさらに塗工スジが発生しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明のポリオレフィン多孔質膜の両面に改質多孔層を有する電池用セパレータの製造方法について説明するが、当然この代表例に限定されるものではない。
【0016】
まず、本発明のポリオレフィン多孔質膜について説明する。
本発明のポリオレフィン多孔質膜の厚さの上限値は25μmが好ましく、より好ましくは20μm、さらに好ましくは16μmである。下限値は3μmが好ましく、より好ましくは5μmである。ポリオレフィン多孔質膜の厚さが上記好ましい範囲であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を保有させることが出来き、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、今後、進むであろう電池の高容量化には適する。
【0017】
ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度の上限値は300sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは200sec/100ccAir、さらに好ましくは150sec/100ccAirであり、下限値は50sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは70sec/100ccAir、さらに好ましくは100sec/100ccAirである。
【0018】
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率は、上限値が好ましくは70%、より好ましくは60%、さらに好ましくは55%である。下限値は好ましくは30%、より好ましくは35%、さらに好ましくは40%である。透気抵抗度および空孔率が上記好ましい範囲であると、十分な電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)および電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において電池としての機能を十分に発揮することができる。また、機械的強度と絶縁性が得られることで充放電時に短絡が起こる可能性を低くすることができる。
【0019】
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径は孔閉塞性能に大きく影響を与えるため、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径が上記好ましい範囲であると、機能性樹脂のアンカー効果により適度な改質多孔層の剥離強度を得ることができる。また、改質多孔層を積層した際に透気抵抗度が大幅に悪化するのを防ぎ、孔閉塞現象の温度に対する応答が緩慢になることもなく、昇温速度による孔閉塞温度がより高温側にシフトすることもない。
【0020】
ポリオレフィン多孔質膜を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。また、単一物又は2種以上の異なるポリオレフィン樹脂の混合物、例えばポリエチレンとポリプロピレンの混合物であってもよいし、異なるオレフィンの共重合体でもよい。ポリオレフィン樹脂を用いることで得られるセパレータは電気絶縁性、イオン透過性などの基本特性に加え、電池異常昇温時において、電流を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果を具備することができる。なかでも孔閉塞性能の観点から特にポリエチレンが好ましい。
【0021】
以下、本発明で用いるポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを例に詳述する。ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンなどが挙げられる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。これらのポリエチレンはエチレンの単独重合体のみならず、他のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外のα−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン等が好適である。ポリエチレンは単一物でもよいが、2種以上のポリエチレンからなる混合物であることが好ましい。ポリエチレン混合物としては重量平均分子量(Mw)の異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレン同士の混合物、同様に高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの混合物を用いてもよいし、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた2種以上ポリエチレンの混合物を用いてもよい。
【0022】
ポリエチレン混合物としては、Mwが5×10
5以上の超高分子量ポリエチレンとMwが1×10
4以上、5×10
5未満のポリエチレンからなる混合物が好ましい。超高分子量ポリエチレンのMwは5×10
5〜1×10
7であることが好ましく、1×10
6〜15×10
6がより好ましく、1×10
6〜5×10
6であることが特に好ましい。Mwが1×10
4以上、5×10
5未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれも使用することが出来るが、特に高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。Mwが1×10
4以上、5×10
5未満のポリエチレンとしてはMwが異なるものを2種以上使用してもよいし、密度の異なるものを2種以上使用してもよい。ポリエチレン混合物のMwの上限を15×10
6以下にすることにより、溶融押出を容易にすることが出来る。
【0023】
本発明においては超高分子量ポリエチレンの含有量は、上限値は40重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、さらに好ましくは10重量%であり、下限値は1重量%が好ましく、より好ましくは2重量%、さらに好ましくは5重量%である。超高分子量ポリエチレンの含有量が上記好ましい範囲内であるとポリエチレン多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合であっても、十分な引っ張り強度が得られる。引っ張り強度は100MPa以上が好ましく、上限は特に定めない。
【0024】
ポリエチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比((Mw/Mn)分子量分布)は5〜200の範囲内であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。Mw/Mnの範囲が上記好ましい範囲であるとポリエチレン樹脂の押出が容易であり、ポリエチレン多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合、十分な機械的強度が得られる。Mw/Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、すなわち単一物からなるポリエチレンの場合、この値が大きい程、分子量分布の幅が大きい。単一物からなるポリエチレンのMw/Mnはポリエチレンの多段重合により適宜調整することができる。また、ポリエチレンの混合物のMw/Mnは各成分の分子量や混合割合を調整することにより適宜調整することができる。
【0025】
ポリエチレン多孔質膜は、上記の各種特徴を満足する範囲内ならば、目的に応じた製造方法を自由に選択することができる。多孔質膜の製造方法としては、発泡法、相分離法、溶解再結晶法、延伸開孔法、粉末焼結法などがあり、これらの中では微細孔の均一化、コストの点で相分離法が好ましい。
【0026】
相分離法による製造方法としては、例えばポリエチレンと成形用溶剤とを加熱溶融混練し、得られた溶融混合物をダイより押出し、冷却することによりゲル状成形物を形成し、得られたゲル状成形物に対して少なくとも一軸方向に延伸を実施し、前記成形用溶剤を除去することによって多孔質膜を得る方法などが挙げられる。
【0027】
ポリエチレン多孔質膜は単層膜であってもよいし、分子量あるいは平均細孔径の異なる二層以上からなる層構成であってもよい。また、二層以上からなる層構成の場合、ポリエチレン多孔質層とポリエチレン以外のポリオレフィン樹脂を含む層の積層体であってもよい。
【0028】
二層以上からなる多層膜の製造方法としては、例えばa層及びb層を構成するポリエチレンのそれぞれを成形用溶剤と溶融混練し、得られた溶融混合物をそれぞれ押出機から1つのダイに供給し各成分を構成するゲルシートを一体化させて共押出する方法、各層を構成するゲルシートを重ね合わせて熱融着する方法のいずれでも作製できる。共押出法の方が、層間の接着強度を得やすく、層間に連通孔を形成しやすいために高い透過性を維持しやすく、生産性にも優れているため好ましい。二層以上からなる層構成の場合、少なくとも一つの最外層のポリエチレン樹脂の分子量、および分子量分布が前記を満足することが好ましい。
【0029】
ポリエチレン多孔質膜は充放電反応の異常時に孔が閉塞する機能を有することが必要である。したがって、構成する樹脂の融点(軟化点)は、70〜150℃、より好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃である。構成する樹脂の融点が上記好ましい範囲であると、正常使用時に孔閉塞機能が発現することなく、異常反応時に孔閉塞機能が発現することで安全性を確保できる。
【0030】
次に、本発明に用いる改質多孔層の積層方法について説明する。
本発明の電池用セパレータの製造方法は、フッ素系樹脂やポリアミドイミド樹脂等の樹脂が可溶でかつ水と混和する溶媒で溶解した塗工液をポリオレフィン多孔質膜の両面同時に塗工する工程、凝固工程、洗浄工程、及び乾燥工程を含み、同時に両面塗工する塗工装置と凝固槽の間に、ブレ防止装置を接触させることを特徴とする。本明細書でいう同時に両面塗工するとは10秒以内に片面づつ塗工し、両面同時に凝固、洗浄、乾燥する方法も含む。また、同時に両面塗工する塗工装置としては、例えば、
図1〜3に示すような塗工装置が挙げられる。
【0031】
図1はブレードを用いて両面を塗工する方法である。ポリオレフィン多孔質膜とブレード先端のクリアランスで塗工量を調節することができる。この場合、ブレード先端は角型ではなく、ブレードの厚み方向に丸みを帯びた形状が好ましい。ブレード先端が角型では塗工の際、ポリオレフィン多孔質膜と接した時に塗工スジが発生しやすくなる。
【0032】
図2はダイを用いて塗工する方法である。ポリオレフィン多孔質膜の両面に対向して配置された2台のダイは塗工位置を若干ずらし、川上で塗工する側のダイには
図2に示すようにポリオレフィン多孔質膜の塗工面とは反対の面にバックアップロールを設置するのが好ましい。また、川下のダイの直後にブレ防止装置を設置するのが好ましい。
【0033】
図3はタンク底部に2本の直棒を平行に配したタンクに塗工液を入れ、タンク上方からポリオレフィン多孔質膜をタンク内に進入させ、タンク底部に平行に配した2本の直棒間を通過させることによって塗布する方法である。2本の直棒間のクリアランスで塗工量を調節することができる。ここで用いる直棒は表面が滑らかな直棒が好ましい。直棒に凹凸があると塗工の際、ポリオレフィン多孔質膜と接した際に塗工スジが発生しやすくなる。直棒の直径は5〜50mmが塗工性もよく好ましい。前記以外にもポリオレフィン多孔質膜の両側にグラビアロールを配して両面に塗工する方法でもよく、これらに限定されるものではない。
【0034】
ブレ防止装置とは塗工装置と凝固槽の間に設置され、塗工時のポリオレフィン多孔質膜のブレを低減できる装置であれば特に限定されない。例えば、
図4に示すようなY字型の治具を塗工直後の多孔質膜の両端に接触させる方法や塗工直後の多孔質膜の両端をピンチロールで把持する方法が挙げられる。Y字型の治具を用いる場合は
図5に示すように斜めに設置し、Y字型の治具に付着した塗工液を多孔質膜に戻らないように排出するのが好ましい。
【0035】
ブレ防止装置の位置は塗工装置に近い方がよりブレ防止効果が得やすく、塗工終点(前後する2台の塗工装置の場合は後側の塗工終点)を基準として50mm〜500mmの範囲内に位置する。塗工終点とは、例えば、
図1の場合は塗工装置のブレード先端の位置、
図2の場合は後側のダイ先端の位置、
図3の場合には直棒とポリオレフィン多孔質膜との接点の位置をいう。ブレ防止装置の位置は上限値がより好ましくは400mm、さらに好ましくは300mm、下限値はより好ましくは80mm、さらに好ましくは100mmである。なお、塗工装置と凝固槽の間に前記ブレ防止装置以外に必要に応じて加湿工程を設けてもよい。ここで言う塗工時のポリオレフィン多孔質膜のブレとは巻き出し装置、巻き取り装置を含めた搬送装置の機械的振動に起因するポリオレフィン多孔質膜の振動を意味する。
【0036】
塗工液を塗工した多孔質膜を凝固槽中の水溶液(凝固液)に浸漬させることで、塗工された樹脂成分、または樹脂成分と無機粒子が三次元網目状に凝固する。水溶液は改質多孔層を構成する樹脂成分に対する後述する良溶媒を1〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含有する水溶液である。凝固槽内での浸漬時間は3秒以上とすることが好ましい。3秒未満では十分に樹脂成分の凝固が行われない場合がある。上限は制限されないが10秒もあれば十分である。さらに、水を用いた洗浄工程、100℃以下の熱風を用いた乾燥工程を経て、最終的な電池用セパレータを得ることができる。
【0037】
溶媒を除去するための上記洗浄工程は、さらに加温、超音波照射やバブリングといった一般的な手法により洗浄効率を高めることができる。具体的には、空気または不活性ガスで多孔層内部の溶液を押し出す手法、ガイドロールによって物理的に膜内部の溶液を絞り出す手法などが挙げられる。
【0038】
本発明の製造方法における搬送速度は30m/分以上である。本発明によれば搬送速度は30m/分以上であっても塗工スジの発生が大幅に抑制できる。搬送速度は生産性の観点からは好ましくは40m/分以上、さらに好ましくは50m/分以上である。
【0039】
なお、改質多孔層は基材となる多孔質膜の両面に積層するのが好ましい。両面に積層することによってカールを低減することができ、これにより電極対組み立て工程における生産性低下を防ぐことができる。また、電極材料との密着性向上を図る場合には正極側と負極側の両面ともに密着性の向上が図れ、耐熱性向上を図る場合には大幅な熱収縮防止効果が得られる。
【0040】
次に、本発明に用いる改質多孔層について説明する。
改質多孔層を構成する樹脂としては電極材料との接着性や熱収縮抑制機能(耐熱性)を付与できる樹脂であれば特に限定されないが、例えば優れた耐熱性を持つポリアミドイミド樹脂、優れた電極密着性を持つフッ素系樹脂などが好ましい。これらの樹脂を単独又は他の材料と組み合わせて用いても良い。
【0041】
以下、ポリアミドイミド樹脂とフッ素系樹脂を例に挙げ詳述する。
(1)ポリアミドイミド樹脂
一般に、ポリアミドイミド樹脂の合成はトリメリット酸クロリドとジアミンを用いる酸クロリド法やトリメリット酸無水物とジイソシアネートを用いるジイソシアネート法等の通常の方法で合成されるが製造コストの点からジイソシアネート法が好ましい。
【0042】
ポリアミドイミド樹脂の合成に用いられる酸成分としてはトリメリット酸無水物(クロリド)が挙げられるが、その一部を他の多塩基酸またはその無水物に置き換えることができる。例えば、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート等のテトラカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中で耐電解液性の点からは1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、シャットダウン特性からダイマー酸、分子量が1000以上のジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリルブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレンーブタジエン)が好ましい。
【0043】
また、トリメリット酸化合物の一部をグリコールに置き換えてウレタン基を分子内に導入することもできる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールや上記ジカルボン酸の1種又は2種以上と上記グリコールの1種又は2種以上とから合成される末端水酸基のポリエステル等が挙げられ、これらの中ではシャットダウン効果からポリエチレングリコール、末端水酸基のポリエステルが好ましい。また、これらの数平均分子量は500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。上限は特に限定されないが8000未満が好ましい。
【0044】
酸成分の一部をダイマー酸、ポリアルキレンエーテル、ポリエステル並びに末端にカルボキシル基、水酸基及びアミノ基のいずれかを含有するブタジエン系ゴムからなる群のうち少なくとも1種で置き換える場合は、酸成分のうち、1〜60モル%を置き換えることが好ましい。
【0045】
ポリアミドイミド樹脂の合成に用いられるジアミン(ジイソシアネート)成分としては、o−トリジンとトリレンジアミンを成分とするものが好ましい、その一部を置き換える成分としてエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン及びこれらのジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン及びこれらのジイソシアネート、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミン及びこれらのジイソシアネート等が挙げられ、これらの中では反応性、コスト、耐電解液性の点からジシクロヘキシルメタンジアミン及びこれのジイソシアネートが最も好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ナフタレンジアミン及びこれらのジイソシアネートが好ましい。特には、o−トリジンジイソシアネート(TODI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)及びこれらをブレンドしたものが好ましい。特に耐熱性多孔質Bの密着性を向上させるためには、剛直性の高いo−トリジンジイソシアネート(TODI)が全イソシアネートに対し50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
【0046】
ポリアミドイミド樹脂はN,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶剤中、60〜200℃に加熱しながら攪拌することで容易に製造することができる。この場合、必要に応じてトリエチルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属塩等を触媒として用いることもできる。
【0047】
本発明にポリアミドイミド樹脂を用いる場合、対数粘度は0.5dl/g以上が好ましい。対数粘度が0.5dl/g未満では溶融温度の低下により十分なメルトダウン特性が得られない場合があることと分子量が低いため多孔質膜が脆くなり、アンカー効果が低下するため密着性が低下するためである。一方、上限は加工性や溶剤溶解性を考慮すると2.0dl/g未満が好ましい。
【0048】
(2)フッ素系樹脂
フッ素系樹脂はフッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデン/フッ化オレフィン共重合体、フッ化ビニル単独重合体、及びフッ化ビニル/フッ化オレフィン共重合体からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。また、マレイン酸等をグラフト重合した樹脂であってもよい。これらの重合体は、電極との密着性に優れ、非水電解液とも親和性も高く、しかも耐熱性が適切で、非水電解液に対する化学的、物理的な安定性が高いため、高温下での使用にも電解液との親和性を十分維持できる。
【0049】
フッ素系樹脂の融点は150℃以上が好ましく、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは210℃以上であり、上限は特に限定されない。融点が分解温度よりも高い場合、分解温度が上記範囲内であれば良い。融点が150℃よりも低い場合、十分な耐熱破膜温度が得られず、高い安全性を確保できないおそれがある。
【0050】
本発明の改質多孔層は前記樹脂が可溶でかつ水と混和する溶媒で溶解した塗工液を所定のポリオレフィン多孔質膜に塗布し、樹脂と、溶媒とを相分離させ、さらに凝固槽に投入して樹脂を凝固させることによって得られる。必要に応じて相分離助剤を添加しても良い。
【0051】
樹脂を溶解するために使用できる溶媒(良溶媒)としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP),リン酸ヘキサメチルトリアミド(HMPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、3−クロロナフタレン、パラクロロフェノール、テトラリン、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられ、樹脂の溶解性に併せて自由に選択できる。
【0052】
本発明で用いる相分離助剤としては水、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどから選ばれる少なくとも一種類以上である。
【0053】
相分離助剤の添加量は塗工液の溶液重量に対して好ましくは1〜9重量%、より好ましくは2〜8重量%、さらに好ましくは3〜7重量%である。これらの相分離助剤を塗工液に混合することによって、主に透気抵抗度、表面開孔率、層構造の形成速度をコントロールすることが出来る。相分離助剤の添加量を上記好ましい範囲にすることで、相分離速度の顕著な上昇が見られことがある。また、塗布液が混合の段階で白濁して樹脂成分が析出してしまうことを防げる場合がある。
【0054】
本発明では塗工液に無機粒子あるいは架橋高分子粒子を添加することが好ましい。塗工液に無機粒子あるいは架橋高分子粒子を添加することによって電池の内部における電極の樹枝状結晶の成長に起因する内部短絡の防止効果(デンドライト防止効果)、熱収縮率の低減、滑り性付与などの効果も得ることができる。粒子の添加量の上限値としては98重量%が好ましく、より好ましくは95重量%である。下限値は50重量%が好ましく、より好ましくは60重量%である。粒子の添加量の下限値を上記好ましい範囲内にすることでデンドライトを防止することができる。また、上限値を上記好ましい範囲内にすることで、改質多孔層の十分な密着性が得られない場合がある。
【0055】
粒子の平均粒径はポリオレフィン多孔質膜の平均細孔径の1.5倍以上、50倍以下であることが好ましい。より好ましくは2.0倍以上、20倍以下である。なお、粒子の形状は真球形状、略球形状、板状、針状が挙げられるが特に限定されない。粒子の平均粒径がポリオレフィン多孔質膜の平均細孔径の1.5倍未満では粒度分布の大きさによっては樹脂と粒子が混在した状態でポリオレフィン多孔質膜の細孔を塞いでしまい、結果として透気抵抗度の大幅な上昇をまねく場合がある。粒子の平均粒径がポリオレフィン多孔質膜の平均細孔径の50倍を超えると電池組み立て工程において該粒子が脱落し電池の重大な欠陥を招く場合がある。
【0056】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどが挙げられる。
【0057】
架橋高分子粒子としては、耐熱性架橋高分子粒子、例えば、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子などが挙げられる。
【0058】
塗工液の固形分濃度は均一に塗布できれば特に制限されないが、10重量%以上、90重量%以下が好ましく、20重量%以上、80重量%以下がさらに好ましい。固形分濃度が10重量%未満では得られた耐熱層が脆くなる場合がある。また、80重量%を超えると塗工性が低下する。
【0059】
改質多孔層を積層して得られた電池用セパレータの全体の膜厚の上限値は35μmが好ましく、より好ましくは30μmである。下限値は5μmが好ましく、より好ましくは7μmである。電池用セパレータの全体の膜厚の下限値を上記好ましい範囲内にすることで十分な機械強度と絶縁性を確保することができる。また、上限値を上記好ましい範囲内にすることで容器内に充填できる電極面積が減少することにより容量の低下を回避することができる。
【0060】
改質多孔層の膜厚については好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。膜厚が1μm以上であれば、電極に対する接着性が確保される他、ポリオレフィン多孔質膜が融点以上で溶融収縮することを防ぎ、破膜強度と絶縁性を確保できる。また5μm以下であれば、巻き嵩を抑えることができ、今後、進むであろう電池の高容量化に適している。さらに、カールが大きくなるのを防ぎ、電池組み立て工程での生産性の向上に繋がる。また、ポリオレフィン多孔質膜の占める割合を最適化することで十分な孔閉塞機能が得られ異常反応を抑制できる。
【0061】
改質多孔層の空孔率は30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜70%である。改質多孔層の空孔率が30%以上であると膜の電気抵抗の上昇を防ぎ、大電流を流すことができ、90%以下であると膜強度を維持できる。
【0062】
改質多孔層の透気抵抗度は、JIS−P8117に準拠した方法により測定した値が1〜600sec/100ccAirであることが好ましい。より好ましくは50〜500sec/100ccAir、さらに好ましくは100〜400sec/100ccAirである。透気抵抗度が1sec/100ccAircc未満では膜強度が弱くなり、600sec/100ccAirを越えるとサイクル特性が悪くなることがある。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
塗工スジ評価方法
実施例及び比較例で得られた電池用セパレータをスリット加工し、幅300mm、長さ600mのロールを得た。このロールを蛍光灯下で搬送速度5m/minで巻きだしながら目視観察し、搬送方向に伸び、長さは概ね5〜100cm、塗工幅方向に1〜50mm間隔で複数本あるいは塗工幅全域にわたる塗工スジの500mあたりの発生箇所を数えた。
なお、長さは概ね5〜100cm、塗工幅方向に1〜50mm間隔で複数本あるいは塗工幅全域にわたる塗工スジ群を1箇所として数えた。
【0064】
実施例1
(塗工液の調整)
フッ素系樹脂としてポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF/HFP=92/8(重量比)、重量平均分子量が100万)を用いた。フッ素系樹脂、アルミナ粒子(平均粒径1.0μm)、N−メチル−2−ピロリドンをそれぞれ5:12:83の重量比率で配合し、樹脂成分を完全に溶解させた後、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、商品名“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共に、ポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗工液(a)を調合した。塗工液は塗工時まで極力外気に触れないように密閉保管した。
(改質多孔層の積層)
ブレードコート法にて塗工装置Aを用いて搬送速度30m/minでポリオレフィン多孔質膜としてポリエチレン多孔質膜(厚さ5μm、透気抵抗度170sec/100ccAir)の両面に前記塗工液(a)を塗布し、水溶液中(凝固槽)に進入させ、純水で洗浄した後、70℃の熱風乾燥炉を通過させることで乾燥して最終厚み13μmの電池用セパレータを得た。この時、塗工装置のブレード先端から50mm下方に
図4に示すY字型治具(ブレ防止装置)を
図5に示すように塗工液を塗工した多孔質膜の両端に設置した。
【0065】
実施例2
ポリエチレン多孔質膜(厚さ9μm、透気抵抗度115sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0066】
実施例3
ポリエチレン多孔質膜(厚さ16μm、透気抵抗度120sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0067】
実施例4
ポリエチレン多孔質膜(厚さ20μm、透気抵抗度150sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0068】
実施例5
(ポリアミドイミド樹脂の合成)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管の付いた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)1モル、o−トリジンジイソシアネート(TODI)0.8モル、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)0.2モル、フッ化カリウム0.01モルを固形分濃度が20重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、100℃で5時間攪拌した後、固形分濃度が14重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈してポリアミドイミド樹脂溶液を合成した。
(塗工液の調整)
ポリアミドイミド樹脂溶液、アルミナ粒子(平均粒径0.5μm)、N−メチル−2−ピロリドンをそれぞれ16:20:64の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共に、ポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し塗工液(b)調合した。
(改質多孔層の積層)
塗工液(b)を用いた以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0069】
実施例6
アルミナ粒子をポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子((株)日本触媒製、“エポスター”(登録商標)MA、タイプ1002、平均粒子径2.5μm)に替えた塗工液(c)を用いた以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0070】
実施例7
フッ素系樹脂、アルミナ粒子(平均粒径0.5μm)、N−メチル−2−ピロリドンをそれぞれ3:13:84の重量比率で配合した塗工液(d)を用いた以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0071】
実施例8
搬送速度を3m/minとした以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0072】
実施例9
搬送速度を10m/minとした以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0073】
実施例10
搬送速度を50m/minとした以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0074】
実施例11
搬送速度を80m/minとした以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0075】
実施例12
塗工装置として
図2に示した塗工装置Bを用い、塗工装置Bのダイ先端から100mm下方に
図4に示すY字型治具(ブレ防止装置)を
図5に示すように塗工液を塗工した多孔質膜の両端に設置した以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0076】
実施例13
塗工装置として
図3に示した塗工装置Cを用い、塗工装置Cの直棒とポリエチレン多孔質膜の接点から下方に50mmの位置に
図4に示すY字型治具(ブレ防止装置)を
図5に示すように塗工液を塗工した多孔質膜の両端に設置した以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0077】
比較例1
ブレ防止装置を用いなかった以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0078】
比較例2
ブレ防止装置を用いず、搬送速度を3m/minとした以外は比較例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0079】
比較例3
ブレ防止装置を用いず、搬送速度を80m/minとした以外は比較例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0080】
実施例1〜13、比較例1〜3の製造条件及び塗布スジの発生数を表1に示す。
【表1】
【課題】ポリオレフィン系樹脂からなる多孔質膜の両面に改質多孔層を積層した電池用セパレータの製造方法において、電池セパレータの薄膜化が進んでも塗工スジが発生しにくく、高速加工可能な製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン多孔質膜1の両面に改質多孔層を積層する電池用セパレータの製造方法が、塗工液を両面同時に塗工する工程、凝固工程、洗浄工程及び乾燥工程を含み、同時に両面塗工する塗工装置10と凝固槽の間にブレ防止装置9を接触させる。