(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の可変速装置では、流体継手が直接入力軸の途中に接続されるようになっているため、流体継手の入力側の回転数がモータの回転数に固定されるようになっており、遊星歯車機構に出力する制御動力の大きさを流体継手のサイズ変更のみによって設定する必要があるという問題があった。
【0007】
すなわち、流体継手は、流体を介して動力が伝達されることから、出力トルクが入力側の回転数の2乗および流体継手の大きさ(サイズ)の5乗に比例するという特性を有しており、流体継手から出力される制御動力は、モータの出力(トルク)に関わらずモータの回転数および流体継手の大きさのみによって決まることとなる。従って、上記特許文献1に記載の可変速装置の設計においては、予め流体継手のサイズを多数用意しておき、その中から使用条件に応じたサイズの流体継手を選定する必要があり、流体継手のバリエーションを充実させるのにコストを要するだけでなく、使用条件によっては最適設計が困難となる場合があった。
【0008】
また、可変速装置を一旦設置した後に使用条件を変更する際には、流体継手を異なるサイズのものに変更する必要があるだけでなく、流体継手のみの変更が困難な場合には可変速装置全体を更新しなければならないため、多大なコストを要するものとなっていた。さらに、流体継手と遊星歯車機構を同軸的に配置していることから各部の配置の自由度が低く、例えばモータの回転数が低い場合等、流体継手のサイズを大きくする必要がある場合には、可変速装置全体のサイズ、特に軸方向寸法が大きくなり、設置スペース内に収めることが困難となることもあった。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、最適設計を容易にし、従来以上に効率を高めることが可能な可変速装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、外部から回転動力が入力される入力軸と、外部へ回転動力を出力する出力軸と、内歯車、太陽歯車および遊星歯車キャリアのうちのいずれか2つに前記入力軸および前記出力軸が接続される遊星歯車機構と、前記内歯車、前記太陽歯車および前記遊星歯車キャリアのうちの前記入力軸または前記出力軸が接続されていないものの回転数を変化させる変速制御機構と、を備え、前記変速制御機構は、前記入力軸とは別軸の制御用入力軸および制御用出力軸と、前記制御用入力軸に前記入力軸の回転動力の一部を伝達する入力側伝達機構と、前記制御用出力軸に前記制御用入力軸の回転動力を伝達すると共に前記制御用出力軸の回転数を変化させる変速機構と、前記内歯車、前記太陽歯車および前記遊星歯車キャリアのうちの前記入力軸または前記出力軸が接続されていないものに前記制御用出力軸の回転動力を伝達する出力側伝達機構と、を備え
、前記入力側伝達機構は、前記制御用入力軸の回転数が前記入力軸の回転数よりも高くなるように構成され、前記変速機構は、ポンプ羽根車が前記制御用入力軸に接続され、タービン羽根車が前記制御用出力軸に接続される流体継手を備えることを特徴とする、可変速装置である。
【0012】
(
2)本発明はまた、前記変速機構は、前記遊星歯車機構に対して前記入力軸の軸方向にオフセットして配置されることを特徴とする、上記
(1)に記載の可変速装置である。
【0014】
(
3)本発明はまた、前記流体継手は、可動案内羽根を備えることを特徴とする、上記
(1)または(2)に記載の可変速装置である。
【0015】
(
4)本発明はまた、前記変速機構は、滑り率を制御可能なクラッチを備え
、前記制御用入力軸は、前記クラッチを介して前記流体継手の前記ポンプ羽根車に接続されることを特徴とする、上記(1)乃至(
3)のいずれかに記載の可変速装置。
【0016】
(
5)本発明はまた、前記入力側伝達機構は、遊び歯車を有する歯車列から構成されることを特徴とする、上記(1)乃至(
4)のいずれかに記載の可変速装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る可変速装置によれば、最適設計を容易にし、従来以上に効率を高めることが可能という優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、理解を容易にするために図示を省略または簡略化した部分があり、また、各部の寸法比は必ずしも正確なものではない。
【0020】
図1は、本実施形態に係る可変速装置1の構成を示したスケルトン図である。同図に示されるように、可変速装置1は、ケーシング10と、ケーシング10に回転自在に支持された入力軸20および出力軸30と、入力軸20および出力軸30が接続された遊星歯車機構40と、遊星歯車機構40に出力軸30を変速するための制御動力を供給する変速制御機構50と、変速制御機構50の動作を制御する制御装置60と、を備えている。
【0021】
ケーシング10は、可変速装置1の各軸を回転自在に支持すると共に、各部を内部に収容してカバーするものである。ケーシング10にはまた、各部に潤滑油を供給する潤滑系統が設けられている(図示省略)。入力軸20は、外部の例えばモータ等の原動機(図示省略)から回転動力が入力されるものである。入力軸20の一端(図の左端)には外部の原動機が接続され、他端(図の右端)には遊星歯車機構40の内歯車が接続されている。
【0022】
出力軸30は、外部の例えばポンプやブロワ等の被動機(図示省略)に回転動力を出力するためのものである。出力軸30の一端(図の左端)には、遊星歯車機構40の太陽歯車42が接続され、他端(図の右端)には外部の被動機が接続されている。従って、本実施形態の可変速装置1は、原動機の回転数よりも被動機の回転数が高い場合に使用されるものとなっている。
【0023】
遊星歯車機構40は、入力軸20の回転動力を増速して出力軸30に伝達すると共に、入力軸20の一定の回転数に対して出力軸30の回転数を所定の範囲内で無段階に変化させるものである。遊星歯車機構40は、内歯車41、太陽歯車42および3つの遊星歯車43を備えている。また、遊星歯車機構40は、3つの遊星歯車43を回転自在に支持すると共に、内歯車41および太陽歯車42と同じ回転中心周りに回転可能な遊星歯車キャリア44を備えている。
【0024】
上述のように、遊星歯車機構40の内歯車41には入力軸20が接続され、太陽歯車42には出力軸30が接続されている。そして、遊星歯車機構40の遊星歯車キャリア44には変速制御機構50が接続されている。すなわち、本実施形態の遊星歯車機構40は、変速制御機構50によって遊星歯車キャリア44の回転数を変化させることにより、出力軸30の回転数を無段階に変化させるようになっている。
【0025】
変速制御機構50は、上述のように遊星歯車機構40の遊星歯車キャリア44の回転数を変化させるものである。
図1に示されるように、変速制御機構50は、入力軸20および出力軸30と略平行に配置された制御用入力軸51および制御用出力軸52と、制御用入力軸51を入力軸20に接続する入力側伝達機構53と、制御用入力軸51と制御用出力軸52の間において両者に接続された変速機構54と、制御用出力軸52を遊星歯車機構40の遊星歯車キャリア44に接続する出力側伝達機構55と、を備えている。
【0026】
制御用入力軸51は入力軸20からの回転動力を変速機構54へ入力するものであり、制御用出力軸52は変速機構54から回転動力を出力側伝達機構55へ出力するものである。詳細は後述するが、本実施形態では、制御用入力軸51および制御用出力軸52を入力軸20とは別軸として設けることによって、可変速装置1の各部の配置の自由度を高めると共に、可変速装置1の効率を高めることを可能としている。
【0027】
入力側伝達機構53は、入力軸20の回転動力の一部を制御用入力軸51に伝達するものである。本実施形態の入力側伝達機構53は、入力軸20に設けられた駆動歯車53aと、制御用入力軸51に設けられた従動歯車53bと、駆動歯車53aおよび従動歯車53bの間に設けられた遊び歯車53cと、を備える歯車列から構成されている。また、本実施形態では、入力側伝達機構53を制御用入力軸51の回転数が入力軸20の回転数よりも高くなるように構成している。すなわち、本実施形態の入力側伝達機構53は、増速機となっている。詳細は後述するが、本実施形態では、入力側伝達機構53をこのように構成することで、可変速装置1の各部の配置の自由度を高めると共に、可変速装置1の効率を高めることを可能としている。
【0028】
変速機構54は、制御用入力軸51の回転動力を制御用出力軸52に伝達すると共に、制御用入力軸51の一定の回転数に対して制御用出力軸52の回転数を所定の範囲内で無段階に変化させるものである。本実施形態では、変速機構54を流体継手(トルクコンバータ)から構成している。変速機構54は、制御用入力軸51が接続されたポンプ羽根車54aと、制御用出力軸52が接続されたタービン羽根車54bと、を備えており、ポンプ羽根車54aの回転により引き起こした流動によってタービン羽根車54bを回転させることで、回転動力を伝達するように構成されている。
【0029】
変速機構54はまた、タービン羽根車54bから流出した流体を再度ポンプ羽根車54aに向かわせる固定案内羽根54cおよび可動案内羽根54dを備えており、可動案内羽根54dの角度を変更することによってタービン羽根車54bの回転数、すなわち制御用出力軸52の回転数を無段階に調整可能に構成されている。なお、可動案内羽根54dの角度の変更は、制御装置60によって制御されるアクチュエータ61によって行われる。
【0030】
出力側伝達機構55は、制御用出力軸52の回転動力を遊星歯車機構40の遊星歯車キャリア44に伝達するものである。本実施形態の出力側伝達機構55は、出力軸30の外周を覆うように配置された中空軸45を介して遊星歯車キャリア44に接続されており、制御用出力軸52に設けられた駆動歯車55aと、中空軸45に設けられた従動歯車55bと、を備える歯車列から構成されている。本実施形態では、出力側伝達機構55は、制御用出力軸52の回転数を所定の減速比で減速して遊星歯車キャリア44に伝達し、遊星歯車キャリア44を回転させる。この結果、遊星歯車キャリア44の回転数に応じて出力軸30の回転数が変化することとなり、変速が行われる。
【0031】
制御装置60は、CPU、ROMおよびRAM等を備えて構成され、変速制御機構50の制御を行うものである。制御装置60は、外部の制御装置(図示省略)からの指令、および回転数検出器62が検出した出力軸30の回転数に基づいてアクチュエータ61を制御し、可動案内羽根54dの角度を調整する。これにより、制御用入力軸51の回転数が一定でありながらも制御用出力軸52の回転数が変化するため、遊星歯車機構40の遊星歯車キャリア44の回転数も変化することとなる。そして、遊星歯車キャリア44の回転数の変化に伴って太陽歯車42の回転数が変化し、最終的に出力軸30の回転数が変化する、すなわち被動機が変速されることとなる。
【0032】
上述の構成により本実施形態では、入力軸20に入力された回転動力の一部を、出力軸30の回転数を変化させるための制御用動力として変速制御機構50に分配し、変速機構54によって回転数を調整した上で制御動力を遊星歯車機構40に入力することで出力軸30の回転数を変化させるようにしている。そして、本実施形態では、変速制御機構50における変速機構54を入力軸20とは別軸に設けることで、可変速装置1の最適設計を容易にし、効率を高めることを可能としている。
【0033】
具体的には、入力側伝達機構53によって制御用入力軸51の回転数を高めることで、より小さいサイズの流体継手を変速機構54として使用することが可能となる。すなわち、流体継手の出力トルクが入力側の回転数の2乗および流体継手の大きさ(サイズ)の5乗に比例するところ、例えば入力側の制御用入力軸51の回転数を入力軸20の回転数の2倍とすることで、入力軸20に流体継手を直結する従来技術と比較して流体継手のサイズを最大24%程度小さくすることが可能である。従って、本実施形態では、従来の可変速装置よりもコンパクトな流体継手を使用することが可能であり、これにより、可変速装置1全体をコンパクトかつ効率的に構成することが可能となっている。また、特注サイズの流体継手を使用することなく、既存の流体継手を活用して大容量且つ高効率の可変速装置1を実現するといったことも可能となっている。
【0034】
さらに本実施形態では、入力側伝達機構53の増速比の設定により制御用入力軸51の回転数を容易に調整することができるため、制御用出力軸52のトルクを適宜に調整し、適切な制御動力を遊星歯車機構40に入力すること可能となっている。これにより、可変速装置1の効率を高めるだけでなく、1つのサイズの流体継手を使用して幅広い使用条件に対応させることができる。すなわち、本実施形態では、流体継手の少ないサイズバリエーションによっても広範囲な使用条件に対応した最適設計を行うことが可能であり、可変速装置1の効率および汎用性を高めながらも、製造コストを削減することが可能となっている。
【0035】
特に本実施形態では、入力側伝達機構53に遊び歯車53cを設けることで、入力軸20と制御用入力軸51の軸間距離を変更することなく増速比を調整可能としているため、設計が容易であるだけでなく、可変速装置1の製造後や設置後に使用条件が変更されたような場合にも、新たな使用条件に応じて増速比を変更することで要求仕様を満たすと共に、高効率を維持することが可能となっている。
【0036】
また、本実施形態では、変速機構54を入力軸20とは別軸に設けることで、比較的外径の大きくなりがちな流体継手からなる変速機構54の配置の自由度を高めるようにしている。すなわち、変速機構54は、入力軸20の上下左右いずれの位置にも配置することが可能であるため、可変速装置1の外形寸法を設置スペースに対応した寸法に設定することができる。また、上述のように本実施形態では、従来よりも小さいサイズの流体継手を変速機構54として使用することが可能であり、また、
図1に示されるように、変速機構54を遊星歯車機構40に対して入力軸20の軸方向にオフセットさせることで、可変速装置1の幅方向寸法または高さ方向寸法を短縮し、可変速装置1をコンパクトに構成することができる。
【0037】
さらに、変速機構54を遊星歯車機構40に対して入力軸20の軸方向にオフセットさせないことにより、可変速装置1の軸方向寸法を短縮することが可能となる。
図2は、変速機構54を遊星歯車機構40に対してオフセットさせない場合の一例を示したスケルトン図である。同図に示されるように、変速機構54を遊星歯車機構40に対してオフセットさせないことで、幅方向寸法または高さ方向寸法(図の上下方向寸法)は大きくなるものの、軸方向寸法(図の左右方向寸法)を短縮することができるため、原動機と被動機の間の距離が短いような場合にも、高効率の可変速装置1を設置することが可能となっている。また、制御用入力軸51の回転数を増加させることで、従来よりも小さいサイズの流体継手を変速機構54として使用することができるため、変速機構54をオフセットさせない場合においても、幅方向寸法または高さ方向寸法を抑えることが可能となっている。
【0038】
次に、可変速装置1のその他の形態の例について説明する。
【0039】
図3(a)〜(c)は、遊星歯車機構40へのその他の接続態様の例を示したスケルトン図である。上述の例では、入力軸20を内歯車41に接続し、出力軸30を太陽歯車42に接続し、変速制御機構50を遊星歯車キャリア44に接続した場合の例を示したが、遊星歯車機構40への接続態様はその他の態様であってもよい。例えば、
図3(a)に示されるように、遊星歯車機構40への接続態様は、入力軸20を遊星歯車キャリア44に接続し、出力軸30を太陽歯車42に接続し、変速制御機構50を内歯車41に接続するものであってもよい。
【0040】
また、遊星歯車機構40と出力側伝達機構55の位置を入れ替えることで、
図3(b)に示されるように、入力軸20を太陽歯車42に接続し、出力軸30を内歯車41に接続し、変速制御機構50を遊星歯車キャリア44に接続するようにしてもよいし、
図3(c)に示されるように、入力軸20を太陽歯車42に接続し、出力軸30を遊星歯車キャリア44に接続し、変速制御機構50を内歯車41に接続するようにしてもよい。なお、
図3(a)および(b)に示す例では、変速制御機構50は、入力軸20の外周を覆うように配置された中空軸45を介して遊星歯車機構40に接続されることとなる。
【0041】
遊星歯車機構40への接続態様は、特に限定されるものではなく、原動機と被動機の回転数の比に応じて適宜に設定すればよく、
図1〜3に示す接続態様は、可変速装置1の各部の配置構成を大きく変更することなく実現可能となっている。また、いずれの接続態様においても、制御用入力軸51の回転数の調整で適切な制御動力を遊星歯車機構40に入力することができるため、高効率を達成することができる。
【0042】
図4(a)および(b)は、入力軸20および出力軸30を遊星歯車機構40の中心軸に対してオフセットさせるように配置した場合の例を示したスケルトン図である。これらの例では、入力軸20は、入力側オフセット伝達機構70および入力側オフセット軸21を介して遊星歯車機構40に接続されている。また、出力軸30は、出力側オフセット伝達機構80および中空軸45を介して遊星歯車機構40に接続されている。
【0043】
入力側オフセット伝達機構70は、入力軸20に設けられた駆動歯車71と、入力側オフセット軸21に設けられた従動歯車72と、を備えて構成されており、入力側オフセット軸21の一端(図の右端)は、遊星歯車機構40の内歯車41または遊星歯車キャリア44に接続されている。また、出力側オフセット伝達機構80は、中空軸45に設けられた駆動歯車81と、出力軸30に設けられた従動歯車82と、を備えて構成されており、この中空軸45は、一端(図の左端)が遊星歯車キャリア44または内歯車41に接続されている。また、遊星歯車機構40の太陽歯車42には、中空軸45の内部を貫通する出力側オフセット軸46の一端(図の左端)が接続されており、変速制御機構50は、この出力側オフセット軸46を介して太陽歯車42に接続されている。
【0044】
このように、入力軸20および出力軸30を遊星歯車機構40の中心軸からオフセットさせることで、原動機および被動機の位置に合わせて入力軸20および出力軸30を配置することが可能となる。さらに、出力軸30を遊星歯車機構40の中心軸からオフセットさせることで、変速制御機構50を遊星歯車機構40の太陽歯車42に接続することが可能となるため、可変速装置1の汎用性をより高めることができる。
【0045】
なお、遊星歯車機構40へのその他の接続態様を採用した場合にも、入力軸20および出力軸30を遊星歯車機構40の中心軸からオフセット可能であることはいうまでもない。また、入力軸20および出力軸30のいずれか一方のみをオフセットさせるようにしてもよい。また、
図4(a)および(b)に示す例では、入力側オフセット伝達機構70を入力側伝達機構53の一部として兼用するようにしているが、入力側オフセット伝達機構70を入力側伝達機構53とは別個に設けるようにしてもよい。
【0046】
図5は、変速機構54にクラッチ90を設けるようにした場合の一例を示したスケルトン図である。この例では、滑り率を制御可能なクラッチ90と、可動案内羽根を有さない流体継手91と、から構成している。クラッチ90は複数のクラッチ板90aを備えると共に、これらのクラッチ板90aを押圧して互いに接触させるクラッチピストン90bを備えている。また、流体継手91は、ポンプ羽根車91aと、タービン羽根車91bと、固定案内羽根91cと、を備えている。また、クラッチ90の入力側は制御用入力軸51に接続され、出力側は、中間軸90cを介して流体継手91のポンプ羽根車91aに接続されている。そして、流体継手91のタービン羽根車91bは、制御用出力軸52に接続されている。
【0047】
この例では、制御装置60は、クラッチピストン90bの押圧力を制御することでクラッチ90の滑り率を制御し、これにより、制御用入力軸51の一定の回転数に対して中間軸90cの回転数を変化させる。流体継手91は、クラッチ90による回転数変化のショックを吸収して滑らかに回転数を変化させると共に、流体継手91の特性に基づくトルクの回転動力を制御用出力軸52に伝達する。このように、可変速装置1は、滑り率を制御可能なクラッチ90を変速機構54に備えるものであってもよく、この場合にも
図1〜4に示した例と同等の機能を発揮することができる。なお、使用条件によっては、流体継手91を省略し、クラッチ90のみから変速機構54を構成するようにしてもよい。
【0048】
図6は、変速制御機構50を複数設けるようにした場合の一例を示した図である。このように、変速制御機構50は複数設けられるものであってもよく、この場合、複数の変速制御機構50から同時に制御動力を遊星歯車機構40に入力するようにしてもよいし、一方をバックアップとして複数の変速制御機構50を交互に使用するようにしてもよい。また、複数の変速制御機構50を交互に使用する場合には、入力軸20への接続、被接続を切り替えるクラッチ等を設けるようにしてもよい。本実施形態では、変速制御機構50における変速機構54を入力軸20とは別軸に設けることで、各部の配置の自由度を高めているため、変速制御機構50が複数であっても容易且つ効率的に配置することが可能となっている。また、変速制御機構50を複数設けることで、可変速装置1の寿命を伸ばしたり、トラブルからの迅速な復帰を容易にしたりすることが可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る可変速装置1は、外部から回転動力が入力される入力軸20と、外部へ回転動力を出力する出力軸30と、内歯車41、太陽歯車42および遊星歯車キャリア44のうちのいずれか2つに入力軸20および出力軸30が接続される遊星歯車機構40と、内歯車41、太陽歯車42および遊星歯車キャリア44のうちの入力軸20または出力軸30が接続されていないものの回転数を変化させる変速制御機構50と、を備え、変速制御機構50は、入力軸20とは別軸の制御用入力軸51および制御用出力軸52と、制御用入力軸51に入力軸20の回転動力の一部を伝達する入力側伝達機構53と、制御用出力軸52に制御用入力軸51の回転動力を伝達すると共に制御用出力軸52の回転数を変化させる変速機構54と、内歯車41、太陽歯車42および遊星歯車キャリア44のうちの入力軸20または出力軸30が接続されていないものに制御用出力軸52の回転動力を伝達する出力側伝達機構55と、を備えている。
【0050】
このような構成とすることで、変速制御機構50に分配する回転動力の回転数を適宜に設定することが可能になると共に、可変速装置1の各部の配置の自由度が高まるため、使用条件に合わせた最適設計を行うことが容易となり、可変速装置1を従来以上に効率的に構成することができる。
【0051】
また、入力側伝達機構53は、制御用入力軸51の回転数が入力軸20の回転数よりも高くなるように構成されている。このようにすることで、変速制御機構50にサイズの小さい流体継手を適用することが可能になるため、可変速装置1を高効率且つコンパクトに構成することができる。
【0052】
また、変速機構54は、遊星歯車機構40に対して入力軸20の軸方向にオフセットして配置されている。このようにすることで、変速機構54を遊星歯車機構40とは別軸に設けることによる高効率を実現しながらも、可変速装置1の幅方向寸法または高さ方向寸法を短縮することができる。
【0053】
また、変速機構54は、流体継手から構成される、または流体継手91を備えている。このようにすることで、ショックのない滑らかな変速が可能になると共に、流体継手の特性を活かして動力の伝達効率および変速効率を高めることができる。
【0054】
また、変速機構54を構成する流体継手は、可動案内羽根54dを備えている。このようにすることで、流体継手のみから変速機構54を構成することが可能となるため、可変速装置1をよりコンパクトに構成することができる。
【0055】
また、変速機構54は、滑り率を制御可能なクラッチ90を備えるものであってよい。このようにしても、可動案内羽根54dを備える場合と同等の機能を発揮することができる。
【0056】
また、入力側伝達機構53は、遊び歯車53cを有する歯車列から構成されている。このようにすることで、入力軸20と制御用入力軸51の軸間距離に関わらず、制御用入力軸51の回転数を適切に設定することが可能となるため、高効率を維持しつつ可変速装置1の各部の配置の自由度を高めることができる。すなわち、最適設計を容易にすることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明に係る可変速装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、可変速装置1の各部の形状および配置構成は、上記実施形態において示したものに限定されず、その他の任意の形状および配置構成を採用することができる。
【0058】
また、制御用入力軸51および制御用出力軸52は、入力軸20と略平行に配置されるものに限定されず、例えば入力側伝達機構53および出力側伝達機構55に傘歯車を設ける等することで、制御用入力軸51および制御用出力軸52を入力軸20と略直交するように配置してもよい。
【0059】
また、入力側伝達機構53は、遊び歯車を備えないものであってもよく、出力側伝達機構55、入力側オフセット伝達機構70および出力側オフセット伝達機構80は、遊び歯車を備えるものであってもよい。また、入力側伝達機構53、出力側伝達機構55、入力側オフセット伝達機構70および出力側オフセット伝達機構80を構成する歯車の個数が、特に限定されないことはいうまでもない。さらに、入力側伝達機構53、出力側伝達機構55、入力側オフセット伝達機構70および出力側オフセット伝達機構80は、例えばチェーン伝達機構やベルト伝達機構等、歯車列以外の既知の伝達機構から構成されるものであってもよい。
【0060】
また変速機構54は、可動案内羽根54dを有する流体継手または滑り率を制御可能なクラッチ90によって制御用出力軸52の回転数を変化させるものに限定されず、例えば遊星歯車機構や差動歯車機構等、その他の既知の機構によって制御用出力軸52の回転数を変化させるものであってもよい。また、クラッチ90と共に設けられる流体継手91に可動案内羽根を設けるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【解決手段】可変速装置1は、入力軸20および出力軸30が接続される遊星歯車機構40と、内歯車41、太陽歯車42および遊星歯車キャリア44のうちの入力軸20または出力軸30が接続されていないものの回転数を変化させる変速制御機構50と、を備え、変速制御機構50は、入力軸20とは別軸の制御用入力軸51および制御用出力軸52と、制御用入力軸51に入力軸20の回転動力の一部を伝達する入力側伝達機構53と、制御用出力軸52に制御用入力軸51の回転動力を伝達すると共に制御用出力軸52の回転数を変化させる変速機構54と、内歯車41、太陽歯車42および遊星歯車キャリア44のうちの入力軸20または出力軸30が接続されていないものに制御用出力軸52の回転動力を伝達する出力側伝達機構55と、を備えている。