(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下に、第1実施形態について説明する。
【0012】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、主に
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面で示している。
図2は、本実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉202の縦断面概略図である。基板処理装置では、例えば、半導体装置を製造するための一工程が行われる。
【0013】
(処理容器)
図1に示すように、処理炉202は処理容器としての反応管203を備えている。反応管203は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成され、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0014】
反応管203の下部には、反応管203の下端開口(炉口)を気密に封止(閉塞)可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は円板状に形成されている。
基板の処理空間となる基板処理室201は、反応管203とシールキャップ219で構成される。
【0015】
(基板支持部)
基板保持部としてのボート217は、複数枚のウエハ200を多段に保持できるように構成されている。ボート217は、複数枚のウエハ200を保持する複数本の支柱217aを備えている。支柱217aは例えば3本備えられている。複数本の支柱217aはそれぞれ、底板217bと天板217cとの間に架設されている。複数枚のウエハ200が、支柱217aに水平姿勢でかつ、互いに中心を揃えた状態で整列されて菅軸方向に多段に保持されている。天板217cは、ボート217に保持されるウエハ200の最大外径よりも大きくなるように形成されている。
【0016】
支柱217a、底板217b、天板217cの構成材料として、例えば炭化シリコン(SiC)、酸化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の熱伝導性の良い非金属材料が用いられる。特に熱伝導率が10W/mK以上である非金属材料が好ましい。なお、熱伝導率が問題にならなければ、石英(SiO)などで形成しても良く、また、金属によるウエハ200へ汚染が問題にならなければ、支柱217a、天板217cは、ステンレス(SUS)等の金属材料で形成しても良い。支柱217a、天板217cの構成材料として金属が用いられる場合、金属にセラミックや、テフロン(登録商標)などの被膜を形成しても良い。
【0017】
ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱材料からなる断熱体218が設けられており、第1の加熱部207からの熱がシールキャップ219側へ伝わりにくくなるように構成されている。断熱体218は、断熱部材として機能すると共にボート217を保持する保持体としても機能する。なお、断熱体218は、図示するように円板形状に形成された断熱板が水平姿勢で多段に複数枚設けられたものに限らず、例えば円筒形状に形成された石英キャップ等であっても良い。また、断熱体218は、ボート217の構成部材の1つとして考えても良い。
【0018】
(昇降部)
反応容器203の下方には、ボート217を昇降させて反応管203の内外へ搬送する昇降部としてのボートエレベータが設けられている。ボートエレベータには、ボートエレベータによりボート217が上昇された際に炉口を封止するシールキャップ219が設けられている。
【0019】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267の回転軸261はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
【0020】
(第1の加熱部)
反応管203の外側には、反応管203の側壁面を囲う同心円状に、反応管203内のウエハ200を加熱する第1の加熱部207が設けられている。第1の加熱部207は、ヒータベース206により支持されて設けられている。
図2に示すように、第1の加熱部207は第1〜第4のヒータユニット207a〜207dを備えている。第1〜第4のヒータユニット207a〜207dはそれぞれ、反応管203内でのウエハ200の積層方向に沿って設けられている。
【0021】
反応管203内には、第1〜第4のヒータユニット207a〜207d毎に、ウエハ200又は周辺温度を検出する温度検出器として、例えば熱電対等の第1〜第4の温度センサ263a〜263dはそれぞれ、反応管203とボート217との間にそれぞれ設けられている。なお、第1〜第4の温度センサ263a〜263dはそれぞれ、第1〜第4のヒータユニット207a〜207dによりそれぞれ加熱される複数枚のウエハ200のうち、その中央に位置するウエハ200の温度を検出するように設けられても良い。
【0022】
第1の加熱部207、第1〜第4の温度センサ263a〜263dには、それぞれ、後述するコントローラ121が電気的に接続されている。コントローラ121は、反応管203内のウエハ200の温度が所定の温度になるように、第1〜第4の温度センサ263a〜263dによりそれぞれ検出された温度情報に基づいて、第1〜第4のヒータユニット207a〜207dへの供給電力を所定のタイミングにてそれぞれ制御し、第1〜第4のヒータユニット207a〜207d毎に個別に温度設定や温度調整を行うように構成されている。
【0023】
(ガス供給部)
図1に示すように、反応管203内へ処理ガスとしての気化原料を供給するガス供給部としてのガス供給管233が反応管203の外側に設けられている。気化原料は、沸点が50〜200℃の原料が用いられる。本実施形態では、水蒸気(H
2O)を用いた例を示す。
【0024】
ガス供給管233は、反応管203内に設けられたガス供給ノズル401に接続されている。ガス供給ノズル401は、反応管203の下部から上部にわたり、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。ガス供給ノズル401には、反応管203内に均一に水蒸気を供給できるように、複数のガス供給孔402が設けられている。ガス供給管233は、水蒸気発生器260に接続されている。水蒸気発生器260で発生した水蒸気は、反応管203の下部より、ガス供給ノズル401内を上昇して、複数のガス供給孔402から、反応管203内へ供給される。
【0025】
水蒸気発生器260には、水素ガス供給管232aと酸素ガス供給管232bが接続されている。水素ガス供給管232aには、上流から順に、水素ガス供給源240a、MFC(マスフローコントローラ:流量制御装置)241a、開閉バルブ242aが設けられている。酸素ガス供給管232bには、上流から順に、酸素ガス供給源240b、MFC241b、開閉バルブ242bが設けられている。水蒸気発生器260は、水素ガス供給源240aから供給される水素ガス、酸素ガス供給源240bから供給される酸素ガスを用いて、水蒸気を発生させる。
【0026】
ガス供給管233の途中には、不活性ガス供給管232cが接続されている。不活性ガス供給管232cには、上流側から順に、不活性ガス供給源240c、MFC241c、開閉バルブ242cが設けられている。
MFC241a、241b、241cや、バルブ242a、242b、242cには、ガス流量制御部283が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0027】
ガス供給部は、ガス供給ノズル401、ガス供給孔402、ガス供給管233、水蒸気発生器260、水素ガス供給管232a、酸素ガス供給管232b、MFC242a、MFC242b、開閉バルブ242a、開閉バルブ242bなどで構成されている。
なお、水素ガス供給源240a、酸素ガス供給源240b、不活性ガス供給管232c、開閉バルブ242c、MFC241c、不活性ガス供給源240c等の構成を、ガス供給部に含めて考えても良い。
【0028】
(排気部)
反応管203の下方には、基板処理室201内のガスを排気するガス排気管231の一端が接続されている。ガス排気管231の他端は、真空ポンプ246a(排気装置)にAPC(Auto Pressure Controller)バルブ255を介して接続されている。基板処理室201内は、真空ポンプ246で発生する負圧によって排気される。なお、APCバルブ255は、弁の開閉により基板処理室201の排気および排気停止を行うことができる開閉弁である。また、弁開度の調整により圧力を調整することができる圧力調整弁でもある。
また、圧力検出器としての圧力センサ223がAPCバルブ255の上流側に設けられている。このようにして、基板処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう、真空排気するように構成されている。APCバルブ255により基板処理室201および圧力センサ223には、圧力制御部284(
図3参照)が電気的に接続されており、圧力制御部284は、圧力センサ223により検出された圧力に基づいて、APCバルブ255により基板処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう、所望のタイミングで制御するように構成されている。
【0029】
排気部は、ガス排気管231、APCバルブ255、圧力センサ223などで構成されている。なお、真空ポンプ246を排気部に含めて考えても良い。
【0030】
(第2の加熱部)
発明者等は、研究開発する過程で、従来の約300〜400℃以上の処理プロセスでは、起こりえなかった問題を見出した。即ち、室温〜300℃程度の処理では、処理ガスとしての気化原料が反応管203内で気化原料の沸点より低い温度に冷却されて液化してしまう問題を見出した。この液化は、反応管203であって、ボート217の下部と断熱体218とガス排気管231が設けられる周囲で多く発生することが研究の末、判明した。更に、この液化は、断熱体218よりも下部や、ウエハ200から離間した位置で発生することを発見した。
【0031】
また、この液化によって、ウエハ200上に異物が発生する問題や、複数枚のウエハ200を処理した際に、ウエハ200それぞれで膜厚に差が出る問題を見出した。
【0032】
そこで、発明者等は、
図1、
図2に示すような第2の加熱部(熱伝導体加熱部)としての液化防止ヒータ280を設けることで、これらの問題を解決することを試みた。
【0033】
ここで、液化とは、結露や凝結などの現象を含む。
【0034】
図4に反応管203下部(炉口部)とシールキャップ219の断面図を示す。
図4に示すように、反応管203の下部であって、シールキャップ219の上部には、反応管203の側壁面の周りに、第2の加熱部としての液化防止ヒータ280が設けられている。また第2の加熱部は、第1の加熱部よりも下側に設けることが好ましい。液化防止ヒータ280は、
図4に示すように抵抗加熱ヒータ281で構成されていても良く、
図5に示すように放射型加熱部としてのランプヒータ282で構成されていることが好ましい。シールキャップ219の上には、シールキャップ219を気化原料から保護するシールキャップ保護部272が設けられている。シールキャップ保護部は、気化原料と反応し難い材料で構成されている。例えば、石英(SiO
2)などの非金属材料が用いられる。反応管203の下端とシールキャップ保護部272とシールキャップ219の間それぞれには、気密を保つためのOリング(シール部材)が設けられている。また、反応管203下端には、冷却流路274を有するOリング保護部273が設けられている。また、シールキャップ219に、冷却流路270が設けられている。これらの冷却流路274、270によって、液化防止ヒータ280から放出される熱や、第1〜第4のヒータユニット207a〜207dから放出される熱によって、Oリングが劣化することや、シールキャップ219の変形を防ぐことができる。シールキャップや、シールキャップ保護部272が冷却されることにより、これらの表面に結露が生じる場合には、
図4、
図5に示すように、シールキャップ保護部272の上に熱伝導部(熱伝導体)285を設けて、シールキャップ保護部272の表面を容易に加熱できるようにしても良い。熱伝導部285は、上述のボート217と同類の材料等で構成されている。例えば、炭化シリコン(SiC)、酸化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)や、グラファイトやグラッシーカーボン等の炭素材料、等の熱伝導性の良い非金属材料が用いられる。熱伝導率は、好ましくは、5Wm/mK以上が良い。また、熱伝導部は、原料ガスと触れる可能性があるので、原料ガスと反応しない材料で構成されていることが望ましい。また、熱伝導部285を、伝導性を有する部材で構成し、通電することにより、自己発熱機能を有するように構成しても良い。また、熱伝導部285に、ポーラス(多孔)構造を設けることにより、蒸発面積を増やすようにしても良い。ランプヒータ282は、好ましくは、光を透過する透明な部材を介して、シールキャップ保護部272や熱伝導部285を直接加熱可能なように構成されていることが好ましい。ここで、透明な部材とは、例えば石英で構成された反応管203である。ランプヒータ282でウエハ200を加熱させたく無い場合は、不透明にするか庇を設けても良い。なお、シールキャップ保護部272をSiCで構成し、熱伝導部285を石英で構成しても良い。この様に構成することで、炉口部を加熱しつつ、汚染の発生を抑制することができる。
【0035】
(液化防止ヒータの1形態)
図6aに液化防止ヒータ280の1形態を示す。
図6aに示すように、液化防止ヒータ280には、ランプヒータ282が反応管203の全周を覆うように設けられている。また、ランプヒータ282の周りには、断熱材286が設けられている。ランプヒータ282を全周に設けることにより、反応管203下部全体を均一に加熱することができる。また、断熱材286により、ランプヒータ282の熱効率を向上させることができ、使用電力を低下させるとともに、反応管203の外部にある、他の機器や制御装置への熱影響を低下させることができる。断熱材286は、例えば、アルミナ製クロス等が用いられる。
【0036】
(液化防止ヒータの他形態)
図6bに液化防止ヒータ280の他の形態を示す。
図6bに示すように、液化防止ヒータ280には、分割された分割ランプヒータ283a,283b,283c、283d,283e,283e,283fが設けられている。
図6bに示すように、ランプヒータを分割して設けることによって、反応管203下部であって、加熱され易い箇所と加熱され難い所への熱供給量を調整することができ、所望の場所を均一に加熱することができる。
例えば、ランプヒータ282で全周を加熱した場合、ボート217の支柱217aによって、断熱体218に影が形成されてしまい、均一に加熱することが困難になる。分割ランプヒータ283a〜283fを支柱217aと対向しない位置に設けることによって、断熱体218に影を形成することなく、均一に加熱することができる。
【0037】
(ランプヒータについて)
更に、発明者等は、ランプヒータ282による気化原料の加熱効率向上方法について、鋭意研究開発した。その結果、ランプヒータ282から放射される光の波長を調整することで、加熱効率を向上させられることが判明した。
【0038】
例えば、気化原料が、水分子(H
2O)を含む水や過酸化水素水の場合には、水分子が吸収し易い波長を放射することができるランプを用いることによって、加熱効率を向上させることができる。水分子が吸収し易い波長は、約0.7μm〜約250μmの赤外線である。この波長帯の赤外線を放射できるランプを用いると良い。好ましくは、約1.3μm〜約200μmを発するランプが良い。更に好ましくは、約2μm〜約20μmを発するランプが良い。より好ましくは、約2μm〜約4.5μmの中波長赤外線が好ましい。具体的なランプとしては、波長約2.2μmを発光ピーク波長とするカンタル線ヒータが好ましい。他にも、カーボンヒータや、SiCヒータ、タングステンを用いたランプ、ハロゲンランプ等でも加熱することができる。
【0039】
(液化防止ヒータの位置について)
液化防止ヒータ280は、
図1に示すように、断熱体218の上端よりも下側に設けることが好ましい。断熱体218によって、反応管203の下部、排気管231との接続部、ガス供給管233との接続部などが第1の加熱部207から断熱され、温度が低い状態となっている。故に、反応管203の下部や、排気管231との接続部、ガス供給管233との接続部の周辺で反応管203内に供給した処理ガスが液化しやすい雰囲気となっている。液化防止ヒータ280を、断熱体218の上端よりも下側に設けることにより、この液化を抑制することができる。
【0040】
(排気加熱部)
図6a、
図6b、
図7に示すように、ガス排気管231には、ガス排気管を加熱する排気加熱部としての、エキゾーストチューブヒータ284が設けられている。エキゾーストチューブヒータ284は、ガス排気管231の内部に、結露が生じないように、所望の温度に制御されている。例えば、50℃〜300℃に制御される。
【0041】
(供給加熱部)
図6a、
図6b、
図7に示すように、ガス供給管233と反応管203の間には、供給加熱部としてのインレットチューブヒータ285が設けられている。インレットチューブヒータ285は、ガス供給管233の内部に、結露が生じないように、所望の温度に制御されている。例えば、50℃〜300℃に制御される。
【0042】
(液化防止制御部)
図6a、
図6bに示すように、ランプヒータ282と、エキゾーストチューブヒータ284と、インレットチューブヒータ285の温度を液化防止温度になるように制御する、液化防止制御部としての液化防止制御装置287が設けられている。
【0043】
液化防止制御装置287には、ランプヒータ282と、エキゾーストチューブヒータ284と、インレットチューブヒータ285の温度を検出する温度検出器288が設けられている。温度検出器288は、例えば、シースタイプの熱電対で構成されている。温度検出器288が検出した温度に基づいて、ランプヒータ282と、エキゾーストチューブヒータ284と、インレットチューブヒータ285への電力供給量が制御される。例えば、ランプヒータ282と、エキゾーストチューブヒータ284と、インレットチューブヒータ285の温度が、100℃以下になった時に電力をON状態にして、300℃以上になった時に電力をOFFにする制御が行われる。このようなON/OFF制御でも良いが、PID(Proportinal Integral Differential)制御のようなフィードバック制御を行い、所望の温度(例えば200℃)に保つように制御しても良い。ランプヒータ282は、少なくとも処理ガス供給中は、ON/OFF制御を行い、ウエハ200が基板処理室201に無い時や、ウエハ200に400℃以上の処理が行われている時にはOFFにしておいても良い。
【0044】
なお、
図1、
図2では、ガス供給管233とガス排気管231を対向する位置に設けるようにしたが、
図6a、
図6b、
図7に示すように、同じ側に設けるようにしても良い。
基板処理装置内の空きスペースや、基板処理装置が複数台設けられる半導体装置工場内の空きスペースは狭いため、このように、ガス供給管233とガス排気管231を同じ側に設けることにより、ガス供給管233とガス排気管231と液化防止ヒータ280のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0045】
(制御部)
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0046】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0047】
I/Oポート121dは、上述の液体流量コントローラ294、マスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,299b,299c,299d,299e、バルブ242a,242b,242c,242d,209,240,295a,295b,295c,295d,295e、シャッタ252、254、256、APCバルブ255、第1の加熱部207(207a,207b,207c,207d)、第3の加熱部209、ブロア回転機構259、第1〜第4の温度センサ263a〜263d、ボート回転機構267、液化防止制御装置287、圧力センサ233、温度制御コントローラ400等に接続されている。
【0048】
CPU121aは、記憶装置121cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、液体流量コントローラ294による液体原料の流量調整動作、MFC241a,241b,241c,241d,299b,299c,299d,299eによる各種ガスの流量調整動作、バルブ242a,242b,242c,242d,209,240,295a,295b,295c,295d,295e、の開閉動作、シャッタ252、254、256の遮断動作、APCバルブ255の開閉調整動作、及び第1〜第4の温度センサ263a〜263dに基づく第1の加熱部207の温度調整動作、温度センサに基づく第3の加熱部209の温度調整動作、真空ポンプ246a、246bの起動・停止、ブロア回転機構259の回転速度調節動作、ボート回転機構267の回転速度調節動作、液化防止制御装置287による第2加熱部280の温度制御、温度制御コントローラ400による過水蒸気発生装置307等を制御するように構成されている。
【0049】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0050】
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態に係る半導体装置の製造工程の一工程として実施される基板処理工程について、
図8を用いて説明する。かかる工程は、上述の基板処理装置により実施される。本実施形態では、かかる基板処理工程の一例として、処理ガスとして過酸化水素水を気化させた気化ガスを用い、基板としてのウエハ200上に形成されたシリコン(Si)含有膜をシリコン酸化膜に改質する(酸化する)工程(改質処理工程)を行う場合について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は、
図1や
図3に示す、コントローラ121により制御されている。
【0051】
ここでは、ウエハ200として、微細構造である凹凸構造を有し、ポリシラザン(SiH
2NH)を少なくとも凹部(溝)に充填するように供給し、溝内にシリコン(Si)含有膜が形成された基板を用い、処理ガスとして過酸化水素水の気化ガスを用いる例について説明する。なお、シリコン含有膜には、シリコン(Si)や窒素(N)、水素(H)が含まれており、場合によっては、炭素(C)や他の不純物が混ざっている可能性が有る。なお、微細構造を有する基板とは、シリコン基板に対して垂直方向に深い溝(凹部)、あるいは例えば10nm〜50nm程度の幅の横方向に狭い溝(凹部)等のアスペクト比の高い構造を有する基板をいう。
【0052】
ポリシラザンは、従来から使われているSOGに代わる材料である。このポリシラザンは、例えば、ジクロロシランやトリクロロシランとアンモニアの触媒反応によって得られる材料であり、スピンコーターを用いて、基板上に塗布することによって、薄膜を形成する際に用いられる。膜厚は、ポリシラザンの分子量、粘度やコーターの回転数によって調節される。このポリシラザンに水分を供給することにより、シリコン酸化膜を形成することができる。
【0053】
(基板搬入工程(S10))
まず、予め指定された枚数のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。複数枚のウエハ200を保持したボート217を、ボートエレベータによって持ち上げて反応管203内(処理室201内)に搬入(ボートロード)する。この状態で、処理炉202の開口部である炉口はシールキャップ219によりシールされた状態となる。
【0054】
(圧力・温度調整工程(S20))
反応管203内が所望の圧力(例えば、96000〜102500Pa)となるように真空ポンプ246a又は真空ポンプ246bの少なくともいずれかによって真空排気する。具体的には、100000Pa程度にする。この際、反応管203内の圧力は、圧力センサ223で測定し、この測定した圧力に基づきAPCバルブ242の開度又はバルブ240の開閉をフィードバック制御する(圧力調整)。
【0055】
反応管203内に収容されたウエハ200が所望の温度(例えば40℃〜300℃)となるように第1の加熱部207によって加熱する。好ましくは、150℃程度に加熱する。この際、反応管203内のウエハ200が所望の温度となるように、第1〜第4の温度センサ263a〜263dが検出した温度情報に基づき第1の加熱部207が備える第1〜第4のヒータユニット207a〜207dへの供給電力をフィードバック制御する(温度調整)。このとき、第1〜第4のヒータユニット207a〜207dの設定温度は全て同じ温度となるように制御する。
【0056】
また、ウエハ200を加熱しつつ、ボート回転機構267を作動して、ボート217の回転を開始する。この際、ボート217の回転速度をコントローラ121によって制御する。なお、ボート217は、少なくとも後述する改質処理工程(S30)が終了するまでの間は、常に回転させた状態とする。
【0057】
また、ランプヒータ282、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284に電力を供給し、100〜300℃になるように調整する。具体的には、ランプヒータ282、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284のそれぞれを約200℃に調整される。なお、この3つのヒータそれぞれを、別々の温度になるように制御しても良い。
【0058】
(改質処理工程(S30))
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、ボート217が所望とする回転速度に到達したら、水蒸気発生器260で水蒸気を発生させ、基板処理室201内へ供給するとともに、不活性ガス供給源240cから不活性ガスである窒素ガスを基板処理室201内へ供給する。こうして、基板処理室201内の圧力を6000〜60000Pa、水蒸気の分圧を600〜60000Pa(水分濃度を10〜100%)にする。この温度と圧力の状態で、5〜120分間、ウエハ200に対して熱処理を行う。具体的には、例え
ば、基板処理室201内の温度を約200℃とし、圧力を53200Pa、水蒸気の分圧を45800Pa(水分濃度を86%)とし、30分間、熱処理を行う。この水蒸気雰囲気、かつ減圧雰囲気における熱処理により、ウエハ200に塗布されたシリコン含有材が酸化される。
【0059】
所定時間経過後、バルブ242a,242bを閉じ、反応管203内への水蒸気の供給を停止する。
【0060】
(パージ工程(S40))
改質処理工程(S30)が終了した後、バルブ255を開けて反応管203内を真空排気し、反応管203内に残留している水蒸気を排気する。すなわち、バルブ242a,242b,242cを閉じ、バルブ255を開け、基板処理室201を排気しつつ、不活性ガス供給管232cからガス供給ノズル302を介して反応管203内に、パージガスとしてのN
2ガス(不活性ガス)を、マスフローコントローラ241cにより流量制御しながら供給する。パージガスとしては、例えば窒素(N
2)ガス等の不活性ガスや、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることができる。これにより、反応管203内の残留ガスの排出を促すことができる。
【0061】
(降温・大気圧復帰工程(S50))
パージ工程(S40)が終了した後、バルブ255又はAPCバルブ246aを調整し、反応管203内の圧力を大気圧に復帰させつつ、ウエハ200を所定の温度(例えば室温程度)に降温させる。具体的には、バルブ241cを開けたままとし、反応管203内に不活性ガスであるN
2ガスを供給しつつ、反応管203内の圧力を大気圧に昇圧させる。そして、第1の加熱部207及び第2の加熱部280への供給電力を制御して、ウエハ200の温度を降温させる。
【0062】
ウエハ200を降温させつつ、ブロア257を作動させた状態でシャッタ252,254,256を開け、冷却ガス供給管249から、冷却ガスをマスフローコントローラ251により流量制御しながら反応管203と断熱部材210との間の空間260内に供給しつつ、冷却ガス排気管253から排気してもよい。冷却ガスとしては、N
2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスや、空気等を単独であるいは混合して用いることができる。これにより、空間260内を急冷させ、空間260内に設けられる反応管203及び第1の加熱部207を短時間で冷却できる。また、反応管203内でのウエハ200をより短時間で降温させることができる。
【0063】
なお、シャッタ254,256を閉じた状態で、冷却ガス供給管249からN2ガスを空間260内に供給し、空間260内を冷却ガスで充満させて冷却した後、ブロア257を作動させた状態でシャッタ254,256を開け、空間260内の冷却ガスを冷却ガス排気管253から排気してもよい。
【0064】
(基板搬出工程(S60))
その後、ボートエレベータによりシールキャップ219を下降させて反応管203の下端を開口するとともに、処理済みウエハ200がボート217に保持された状態で反応管203の下端から反応管203(処理室201)の外部へ搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済みウエハ200はボート217より取り出され(ウエハディスチャージ)、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0065】
ここでは、単純に、シリコン含有膜に水蒸気を低温で供給する処理だけを記したが、
図9に示すように、改質処理工程S30に続けて、ウエハ200をアニール処理しても良い。以下にアニール処理工程S80を行う場合について説明する。
【0066】
(圧力・温度調整工程S70)
上記の改質処理工程S30が終わった後、基板処理室201内の温度を、600℃〜1100℃に上昇させる。また、水蒸気発生器260から水蒸気を基板処理室201内へ供給するとともに、不活性ガス供給源240cから不活性ガスである窒素ガスを基板処理室201内へ供給する。こうして、基板処理室201内の圧力を6000〜60000Pa、水蒸気の分圧を600〜60000Pa(水分濃度を10〜100%)にする。具体的には、本実施例では、基板処理室201内の温度を、120分間の間に、上記改質処理工程の温度から800℃に上昇させる。なお、圧力・温度調整工程S70の昇温開始からは、ランプヒータ282や、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284はOFFにする。この際、各ヒータを、同時にOFFにしても良いし、別々のタイミングでOFFにするようにしても良い。例えば、ガス供給管233内と、ガス排気管231内には、アニール処理中もガスが流れるため、ON状態に保持、ランプヒータ282だけOFFにする。
【0067】
(アニール処理工程S80)
この温度と圧力の状態で5〜120分間、保持することで、ウエハ200にアニール処理を行う。具体的には、本実施例では、温度が約800℃、圧力53200Pa、水蒸気の分圧45800Pa(水分濃度86%)で、30分間、熱処理を行う。
【0068】
(パージ工程S40)
アニール処理工程S80が終わった後は、上述と同じパージ工程S40が行われる。
【0069】
(降温・大気圧復帰工程S100)
パージ工程終了後、ウエハが取り出し可能な温度になるまで降温される。
【0070】
(基板搬出工程S60)
上記のような搬出工程によってウエハ200が基板処理室201から搬出される。
【0071】
以上、本実施形態に係る基板処理工程について説明した。この基板処理工程の基板搬出工程S60の後に続けてクリーニング工程を実施しても良い。クリーニング工程を行うことで、反応管203、ボート217、インレットチューブ、エキゾーストチューブに溜まる不純物を除去することができ、反応管203内に設けられる部材の腐蝕を防止することができる。
【0072】
(3)第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0073】
(a)第1実施形態によれば、反応管203の下部で気化原料が液化することを防止することができる。
【0074】
(b)また、基板に付着する異物の量を低減することができる。
気化原料が液化した場合に、液体が、基板処理室201内の部材表面に存在する異物を吸収し、その異物を吸収した液体が再度蒸発し、ウエハ200に付着することによって異物が発生することがある。本実施例によれば、気化原料の液化を防止できるので、基板に付着する異物の量を低減することができる。
【0075】
(c)また、基板処理室201内全体での処理均一性を向上させることができる。すなわち、複数の基板を処理した場合に、複数の基板それぞれの膜厚の差を低減することができる。
【0076】
図10に、複数の基板を処理した場合の基板の膜厚差と、ランプヒータ282への出力電力との関係を示す。
図10に示すように、ランプヒータ282をOFFにした時の膜厚差を100とすると、出力電力を20%、40%と加えることにより、膜厚差が減り、基板処理室201内全体での処理均一性が向上していることが分る。
【0077】
(d)また、水分子により、ポリシラザン中の窒素および水素が酸素に置換させ、Si−O結合を形成することができる。
【0078】
(e)また、シリコン含有膜を、NH−を多く含まないSi−O結合を主骨格にするシリコン酸化膜を形成することができる。なお。このシリコン酸化膜は、従来の有機SOGで形成されるシリコン酸化膜とは異なる、高い耐熱性を有する。
【0079】
(f)また、低温での処理により、高温処理と比較して、微細構造中の溝内に均一な処理を施すことができる。高温で処理した場合には、溝の上端が先に改質され、溝の底まで改質できないことがあったが、低温処理をすることにより、処理開始時に溝の上端が先に改質されることを防ぎ、溝内を均一に処理することができる。
【0080】
(g)さらに、アニール処理を施すことにより、ウエハ200上の溝内の最深部に存在するシリコン含有膜中の不純物である窒素や水素、その他不純物を除去することができる。その結果、シリコン含有膜が十分に酸化、緻密化、硬化して、絶縁膜として良好なWER(ウエハエッチングレート)特性を得ることができる。WERは、最終アニール温度依存性が大きく、高温になるほどWER特性が向上する。
【0081】
(h)また、アニール処理を施すことにより、シリコン含有膜に含まれる炭素(C)や不純物を除去することができる。シリコン含有膜は、通常、スピンコート法などの塗布で形成される。このスピンコート法では、ポリシラザンに有機溶媒を加えた液体が使われ、この有機溶媒に由来する炭素や他の不純物(Si,O以外の元素)が残留している。
【0082】
(i)また、ガス供給管233とガス排気管231を同じ側に設けることにより、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0083】
(j)また、ランプヒータに、赤外線を放射するランプを用いることにより、水分子を効率良く加熱することができる。好ましくは、約0.7μm〜約250μmの赤外線で、更に好ましくは、約1.3μm〜約200μmの赤外線で、更に好ましくは、約2μm〜約20μmの赤外線で、より好ましくは、約2μm〜約4.5μmの中波長赤外線が好ましい。
【0084】
(k)また、ランプヒータで加熱することにより、炉口部のシールを冷却したままで、炉口部付近のガス、炉口部の内壁表面、シールキャップの内壁表面、等を加熱することができ、炉口部での結露の発生を抑制することができる。
【0085】
また、飽和蒸気圧に近い雰囲気の場合や、ガス流量を増加した場合には、炉口部の結露が多くなる傾向が有る。しかし、ランプで加熱することにより、結露発生を抑制することができる。
【0086】
(L)また、ランプヒータで炉口部やシールキャップを加熱することにより、炉口部やシール区アップを所定の温度への昇温時間を短縮することができ、半導体装置の製造スループットを向上させることができる。例えば、基板を処理容器から搬出する際や搬入する際に炉口部やシールキャップが冷却される、冷却された炉口部やシールキャップは処理ガスを供給するまでに所定の温度に加熱する必要が有る。ランプヒータを用いた加熱では、炉口部やシールキャップを伝導熱では無く、放射熱で直接加熱できるため、所定の温度にすばやく加熱することができる。
【0087】
以上、第1実施形態を具体的に説明したが、第1実施形態は上述の実施形態に限定されるものでは無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0088】
発明者等は、更に鋭意研究することにより、気化原料ガスとして過酸化水素(以下過水と呼ぶ)を用いることにより、シリコン含有膜の酸化効率と酸化品質を向上させることを見出した。以下に第2実施形態として記す。
【0089】
<第2実施形態>
以下に、第2実施形態について説明する。
【0090】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、
図11と
図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示している。
図12は、本実施形態に係る過水蒸気化装置の縦断面図を示している。
【0091】
第2実施形態に係る基板処理装置では、第1実施形態に係る基板処理装置のガス供給部が過水供給部になっている。他の構成は、共通の構造になっているので、説明を省略する。
【0092】
(ガス供給部)
図11に示すように、ガス供給管233には、過水蒸気発生装置307が接続されている。過水蒸気発生装置307には、上流側から、過酸化水素水源240d、液体流量コントローラ241d、バルブ242dが過水液供給管232dを介して接続されている。過水蒸気発生装置307には、液体流量コントローラ241dで流量が調整された過水液が、供給可能になっている。
【0093】
また、ガス供給管233には、第1実施形態と同様に、不活性ガスが供給可能なように、不活性ガス供給管232c、バルブ242c、MFC241c、不活性ガス供給源240cが設けられている。
【0094】
ガス供給部は、ガス供給ノズル401、ガス供給孔402、ガス供給管233、過水蒸気発生装置307、過水液供給管232d、バルブ242d、MFC241d、不活性ガス供給管232c、バルブ242c、MFC241cで構成される。なお、過酸化水素水源240dや不活性ガス供給源240cを過水蒸気供給部に含めて考えても良い。
【0095】
なお、第2実施形態においては、過水を使用するため、基板処理装置内で過水が触れる部分を、過水と反応し難い材料で構成することが好ましい。過水と反応し難い材料としては、Al
2O
3,AlN,SiCなどのセラミックスや、石英が挙げられる。また、金属部材には、反応防止被膜を施すことが好ましい。例えば、アルミニウムを用いた部材は、アルマイト(Al
2O
3)、ステンレス鋼を用いた部材は、クロム酸化膜が用いられる。また、加熱されない器具については、テフロン(登録商標)やプラスチックなどの過水と反応しない材質で構成しても良い。
【0096】
(過水蒸気発生装置)
図12に、過水蒸気発生装置307の構成を示す。
過水蒸気発生装置307は、原料液を加熱された部材に滴下することで原料液を気化する滴下法を用いている。過水蒸気発生装置307は、過水液を供給する液体供給部としての滴下ノズル300と、加熱される部材としての気化容器302と、気化容器302で構成される気化空間301と、気化容器302を加熱する加熱部としての気化器ヒータ303と、気化された原料液を反応室へ排気する排気口304と、気化容器302の温度を測定する熱電対305と、熱電対305により測定された温度に基づいて、気化器ヒータ303の温度を制御する温度制御コントローラ400と、滴下ノズル300に原料液を供給する薬液供給配管307とで構成されている。気化容器302は、滴下された原料液が気化容器に到達すると同時に気化するように気化器ヒータ303により加熱されている。また、気化器ヒータ303による気化容器302の加熱効率を向上させることや、過水蒸気発生装置307と他のユニットとの断熱可能な断熱材306が設けられている。気化容器302は、原料液との反応を防止するために、石英や炭化シリコンなどで構成されている。気化容器302は、滴下された原料液の温度や、気化熱により温度が低下する。よって、温度低下を防止するために、熱伝導率が高い炭化シリコンを用いることが有効である。
【0097】
(2)基板処理工程
次に、第2実施形態に係る基板処理工程について、
図13を用いて説明する。
図13に示すように、第2実施形態に係る基板処理工程の内、基板搬入工程S10は第1実施形態の工程と同じであるため省略する。
【0098】
(圧力・温度調整工程(S210))
反応管203内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246a又は真空ポンプ246bの少なくともいずれかによって真空排気する。この際、反応管203内の圧力は、圧力センサで測定し、この測定した圧力に基づきAPCバルブ242の開度又はバルブ240の開閉をフィードバック制御する(圧力調整)。
【0099】
反応管203内に収容されたウエハ200が所望の温度(例えば40℃〜100℃)となるように第1の加熱部207によって加熱する。この際、反応管203内のウエハ200が所望の温度となるように、第1〜第4の温度センサ263a〜263dが検出した温度情報に基づき第1の加熱部207が備える第1〜第4のヒータユニット207a〜207dへの供給電力をフィードバック制御する(温度調整)。このとき、第1〜第4のヒータユニット207a〜207dの設定温度は全て同じ温度となるように制御する。
【0100】
また、ウエハ200を加熱しつつ、ボート回転機構267を作動して、ボート217の回転を開始する。この際、ボート217の回転速度をコントローラ121によって制御する。なお、ボート217は、少なくとも後述する改質処理工程(S220)が終了するまでの間は、常に回転させた状態とする。
【0101】
また、ランプヒータ282、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284に電力を供給し、100〜300℃になるように調整する。具体的には、ランプヒータ282、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284のそれぞれを約200℃に調整される。なお、この3つのヒータそれぞれを、別々の温度になるように制御しても良い。
【0102】
(改質処理工程(S220))
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、ボート217が所望とする回転速度に到達したら、液体原料供給管232dから過酸化水素水を過水蒸気発生装置307への供給を開始する。すなわち、バルブ242dを開け、液体流量コントローラ241dを介して、過酸化水素水源240dから過水蒸気発生装置307内に、過酸化水素水を供給する。
【0103】
過水蒸気発生装置307に供給された過酸化水素水は、滴下ノズル300から、気化容器302の底に滴下される。気化容器302は、気化器ヒータ303によって所望の温度(例えば150〜170℃)に加熱されており、滴下された過酸化水素液滴は、瞬時に加熱・蒸発し、気体となる。
【0104】
気体になった、過水は、ガス供給管233、ガス供給ノズル401、ガス供給孔402を通して、基板処理室201内に収容されたウエハ200に供給される。
【0105】
過酸化水素水の気化ガスがウエハ200の表面と酸化反応することで、ウエハ200上に形成されたシリコン含有膜をSiO膜に改質する。
【0106】
反応管203内に過酸化水素水を供給しつつ、真空ポンプ246b、液体回収タンク247から排気する。すなわち、APCバルブ255を閉じ、バルブ240を開け、反応管203内から排気された排気ガスを、ガス排気管231から第2の排気管243を介して分離器244内を通過させる。そして、排気ガスを分離器244により過酸化水素を含む液体と過酸化水素を含まない気体とに分離した後、気体を真空ポンプ246bから排気し、液体を液体回収タンク247に回収する。
【0107】
なお、反応管203内に過酸化水素水を供給する際、バルブ240及びAPCバルブ255を閉じ、反応管203内を加圧するようにしてもよい。これにより、反応管203内の過酸化水素水雰囲気を均一にできる。
【0108】
所定時間経過後、バルブ242dを閉じ、反応管203内への過酸化水素水の供給を停止する。
【0109】
また、過水蒸気発生装置には、過酸化水素水を供給して、過水ガスを基板処理室201内に供給することを記載したが、これに限らず、例えばオゾン(O
3)を含む液体や、水(H
2O)等を用いてもよい。
【0110】
(パージ工程(S230))
改質処理工程(S220)が終了した後、APCバルブ255を閉じ、バルブ240を開けて反応管203内を真空排気し、反応管203内に残留している過酸化水素水の気化ガスを排気する。すなわち、バルブ242dを閉じ、バルブ232cを開け、不活性ガス供給管232cから液体原料供給ノズル230を介して反応管203内に、パージガスとしてのN
2ガス(不活性ガス)を、マスフローコントローラ241cにより流量制御しながら供給する。パージガスとしては、例えば窒素(N
2)ガス等の不活性ガスや、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることができる。これにより、反応管203内の残留ガスの排出を促すことができる。また、ガス供給ノズル401内をN 2 ガスが通過することで、ガス供給ノズル401内に残留する過水ガスを押し出して除去することもできる。このとき、APCバルブ255の開度及びバルブ240の開閉を調整し、真空ポンプ246aから排気してもよい。
【0111】
(降温・大気圧復帰工程(S240))
パージ工程(S230)が終了した後、バルブ240又はAPCバルブ255の少なくともいずれかを開け、反応管203内の圧力を大気圧に復帰させつつ、ウエハ200を所定の温度(例えば室温程度)に降温させる。具体的には、バルブ235cを開けたままとし、反応管203内に不活性ガスであるN
2ガスを供給しつつ、反応管203内の圧力を大気圧に昇圧させる。そして、第1の加熱部207への供給電力を制御して、ウエハ200の温度を降温させる。
【0112】
ウエハ200を降温させつつ、ブロア257を作動させた状態でシャッタ252,254,256を開け、冷却ガス供給管249から、冷却ガスをマスフローコントローラ251により流量制御しながら反応管203と断熱部材210との間の空間260内に供給しつつ、冷却ガス排気管253から排気してもよい。冷却ガスとしては、N
2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスや、空気等を単独であるいは混合して用いることができる。これにより、空間260内を急冷させ、空間260内に設けられる反応管203及び第1の加熱部207を短時間で冷却できる。また、反応管203内でのウエハ200をより短時間で降温させることができる。
【0113】
なお、シャッタ254,256を閉じた状態で、冷却ガス供給管249からN
2ガスを空間260内に供給し、空間260内を冷却ガスで充満させて冷却した後、ブロア257を作動させた状態でシャッタ254,256を開け、空間260内の冷却ガスを冷却ガス排気管253から排気してもよい。
【0114】
十分に降温されたら、ランプヒータ282、インレットチューブヒータ285、エキゾーストチューブヒータ284への電力供給をOFFにする。各ヒータへの電力供給は同時にOFFにしても良く、別々のタイミングでOFFにしても良い。
【0115】
(基板搬出工程(S230))
その後、ボートエレベータによりシールキャップ219を下降させて反応管203の下端を開口するとともに、処理済みウエハ200がボート217に保持された状態で反応管203の下端から反応管203(処理室201)の外部へ搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済みウエハ200はボート217より取り出され(ウエハディスチャージ)、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0116】
(3)第2実施形態に係る効果
第2実施形態によれば、第1実施形態に係る効果に加えて以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0117】
(a)水蒸気(水、H
2O)と比較すると、活性化エネルギーが高く、1分子中に含まれる酸素原子の数が多いため酸化力が強いため、処理ガスとして過酸化水素水の気化ガスが用いられることで、ウエハ200の溝内に形成された膜の深部(溝の底部)まで酸素原子(O)を到達させることができる。従って、ウエハ200上の膜の表面部と深部との間で改質処理の度合いをより均一にできる。すなわち、ウエハ200に形成された膜の表面部と深部との間でより均一な基板処理を行うことができ、改質処理後のウエハ200の誘電率等を均一にできる。また、改質処理工程を40℃〜100℃の低温で行うことができ、ウエハ200上に形成された回路の性能劣化等を抑制することができる。
【0118】
(b)また、過水の方が水蒸気(H
2O)を用いた場合と比較して、酸化力が強いので、処理時間を短縮することができる。
【0119】
(c)また、反応管203内、インレットチューブ周辺、エキゾーストチューブ周辺での過酸化水素蒸気の再液化を防止することができる。
【0120】
以上、第2実施形態を具体的に説明したが、第2実施形態は上述の実施形態に限定されるものでは無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0121】
発明者等は、更に鋭意研究することにより、過水の蒸発を基板処理室201内で行うことにより、過水の液化を防ぐことができることを見出した。以下に第3実施形態として記す。
【0122】
<第3の実施形態>
以下に、第3実施形態について説明する。
【0123】
(1)基板処理装置の構成
まず、第3実施形態に係る基板処理装置の構成について、
図14と
図15を用いて説明する。
図14は、第3実施形態に係る基板処理装置の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面で示している。
図15は、第3実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉202の縦断面概略図である。
【0124】
(ガス供給部)
図14に示すように、反応管203と第1の加熱部207との間には、液体原料供給ノズル501が設けられている。液体原料供給ノズル501は、例えば熱伝導率の低い石英等により形成されている。液体原料供給ノズル501は二重管構造を有していてもよい。液体原料供給ノズル501は、反応管203の外壁の側部に沿って配設されている。液体原料供給ノズル501の上端(下流端)は、反応管203の頂部(上端開口)に気密に設けられている。反応管203の上端開口に位置する液体原料供給ノズル501には、供給孔502が上流側から下流側にわたって複数設けられている(
図15参照)。供給孔502は、反応管203内に供給された液体原料を反応管203内に収容されたボート217の天板217cに向かって噴射させるように形成されている。
【0125】
液体原料供給ノズル501の上流端には、液体原料を供給する液体原料供給管289aの下流端が接続されている。液体原料供給管289aには、上流方向から順に、液体原料供給タンク293、液体流量制御器(液体流量制御部)である液体流量コントローラ(LMFC)294、開閉弁であるバルブ295a、セパレータ296及び開閉弁であるバルブ297が設けられている。また、液体原料供給管289aの少なくともバルブ297よりも下流側には、サブヒータ291aが設けられている。
【0126】
液体原料供給タンク293の上部には、圧送ガスを供給する圧送ガス供給管292bの下流端が接続されている。圧送ガス供給管292bには、上流方向から順に、圧送ガス供給源298b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)299b及び開閉弁であるバルブ295bが設けられている。
【0127】
反応管203の外側上部には、第3の加熱部209が設けられている。第3の加熱部209は、ボート217の天板217cを加熱するように構成されている。第3の加熱部209としては、例えばランプヒータユニット等を用いることができる。第3の加熱部209には、コントローラ121が電気的に接続されている。コントローラ121は、ボート217の天板217cが所定の温度となるように、第3の加熱部209への供給電力を所定のタイミングにて制御するように構成されている。
【0128】
液体原料供給管289aのバルブ295aとセパレータ297との間には、不活性ガス供給管292cが接続されている。不活性ガス供給管292cには、上流方向から順に、不活性ガス供給源298c、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)299c及び開閉弁であるバルブ295cが設けられている。
【0129】
液体原料供給管289aのバルブ297よりも下流側には、第1のガス供給管292dの下流端が接続されている。第1のガス供給管292dには、上流方向から順に、原料ガス供給源298d、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)299d及び開閉弁であるバルブ295dが設けられている。第1のガス供給管292dの少なくともバルブ295dより下流側には、サブヒータ291dが設けられている。第1のガス供給管292dのバルブ295dよりも下流側には、第2のガス供給管292eの下流端が接続されている。第2のガス供給管292eには、上流方向から順に、原料ガス供給源298e、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)299e及び開閉弁であるバルブ295eが設けられている。第2のガス供給管292eの少なくともバルブ295eより下流側には、サブヒータ291eが設けられている。
【0130】
以下、液体原料を気化させて処理ガス(気化ガス)を生成する動作を説明する。まず、圧送ガス供給管292bからマスフローコントローラ299b、バルブ295bを介して、圧送ガスが液体原料供給タンク293内に供給される。これにより、液体原料供給タンク293内に貯留されている液体原料が液体原料供給管289a内に送り出される。液体原料供給タンク293から液体原料供給管289a内に供給された液体原料は、液体流量コントローラ294、バルブ295a、セパレータ296、バルブ297及び液体原料供給ノズル501を介して反応管203内に供給される。そして、反応管203内に供給された液体原料が第3の加熱部209により加熱した天板217cに接触することで気化され、処理ガス(気化ガス)が生成される。この処理ガスが反応管203内のウエハ200に供給されて、ウエハ200上に所定の基板処理が行われる。
【0131】
なお、液体原料の気化を促すため、サブヒータ291aにより液体原料供給管289a内を流れる液体原料を予備加熱してもよい。これにより、液体原料をより気化させやすい状態で反応管203内に供給することができる。
【0132】
主に、液体原料供給管289a、液体流量コントローラ294、バルブ295a、セパレータ296、バルブ297及び液体原料供給ノズル501により、液体原料供給系が構成される。なお、液体原料供給タンク293や、圧送ガス供給管292b、不活性ガス供給源298b、マスフローコントローラ299b、バルブ295bを液体原料供給系に含めて考えてもよい。主に、液体原料供給系、第3の加熱部209及び天板217cによりガス供給部が構成される。
【0133】
また、主に、不活性ガス供給管292c、マスフローコントローラ299c及びバルブ295cにより、不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源298cや、液体原料供給管289a、セパレータ296、バルブ297、液体原料供給ノズル501を不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第1のガス供給管292d、マスフローコントローラ299d及びバルブ295dにより、第1の処理ガス供給系が構成される。なお、原料ガス供給源298dや、液体原料供給管289a、液体原料供給ノズル501、第3の加熱部209、天板217cを第1の処理ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第2のガス供給管292e、マスフローコントローラ299e及びバルブ295eにより、第2の処理ガス供給系が構成される。なお、原料ガス供給源298eや、液体原料供給管292a、第1のガス供給管292b、液体原料供給ノズル501、第3の加熱部209、天板217cを第2の処理ガス供給系に含めて考えてもよい。また、天板217cをボート217に設けた例を示したが、ボート217に設けずに反応管203の上部に設けるようにしても良い。
【0134】
他の構成部は、第2実施例や第1実施例と同じなので説明を省略する。
【0135】
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態に係る半導体装置の製造工程の一工程として実施される基板処理工程について、
図16を用いて説明する。改質処理工程S320以外の工程は、第2実施例や第1実施例と同じなので説明を省略する。
【0136】
(改質処理工程(S320))
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、ボート217が所望とする回転速度に到達したら、液体原料供給管289aから液体原料である過酸化水素水の反応管203内への供給を開始する。すなわち、バルブ295c,295d,295eを閉じ、バルブ295bを開け、圧送ガス供給源298bから液体原料供給タンク293内に、圧送ガスをマスフローコントローラ299bにより流量制御しながら供給し、さらにバルブ295a及びバルブ297を開け、液体原料供給タンク293内に貯留されている過酸化水素水を、液体流量コントローラ294により流量制御しながら、液体原料供給管289aからセパレータ296及び液体原料供給ノズル501を介して反応管203内に供給する。圧送ガスとしては、例えば窒素(N
2)ガス等の不活性ガスや、Heガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることができる。
【0137】
反応管203内に供給した過酸化水素水を、第3の加熱部209により加熱したボート217の天板217cに接触させて気化し、処理ガスである過酸化水素水の気化ガスを生成する。このように、処理ガスである過酸化水素水の気化ガスは、反応管203内で生成されるとよい。すなわち、液体原料供給ノズル501内には、液体原料である過酸化水素水を通過させるとよい。第3の加熱部209は、過酸化水素水を気化させることができる温度(例えば150℃〜170℃)に天板217cを加熱できるような温度に予め設定する。
【0138】
過酸化水素水の気化ガスをウエハ200に供給し、過酸化水素水の気化ガスがウエハ200の表面と酸化反応することで、ウエハ200上に形成されたシリコン含有膜をSiO膜に改質する。
【0139】
反応管203内に過酸化水素水を供給しつつ、真空ポンプ246b、液体回収タンク247から排気する。すなわち、APCバルブ242を閉じ、バルブ240を開け、反応管203内から排気された排気ガスを、ガス排気管231から第2の排気管243を介して分離器244内を通過させる。そして、排気ガスを分離器244により過酸化水素を含む液体と過酸化水素を含まない気体とに分離した後、気体を真空ポンプ246bから排気し、液体を液体回収タンク247に回収する。
【0140】
なお、反応管203内に過酸化水素水を供給する際、バルブ240及びAPCバルブ255を閉じ、反応管203内を加圧するようにしてもよい。これにより、反応管203内の過酸化水素水雰囲気を均一にできる。
【0141】
所定時間経過後、バルブ295a,295b,297を閉じ、反応管203内への過酸化水素水の供給を停止する。
【0142】
また、処理ガスとして過酸化水素水の気化ガスを用いる場合に限らず、例えば水素(H
2)ガス等の水素元素(H)を含むガス(水素含有ガス)、及び例えば酸素(O
2)ガス等の酸素元素(O)を含むガス(酸素素含有ガス)を加熱して水蒸気(H
2O)化したガスを用いてもよい。すなわち、バルブ295a,295b,297を閉じ、バルブ295d、295eを開け、第1のガス供給管292d及び第2のガス供給管292eからそれぞれ、H
2ガス及びO
2ガスを反応管203内へ、マスフローコントローラ299d,299eによりそれぞれ流量制御しながら供給してもよい。そして、反応管203内に供給されたH
2ガス及びO
2ガスを第3の加熱部209により加熱したボート217の天板217cに接触させて水蒸気を発生させ、ウエハ200に供給することでウエハ上に形成されたシリコン含有膜をSiO膜に改質してもよい。なお、酸素含有ガスとしては、O
2ガスの他、例えばオゾン(O
3)ガスや水蒸気(H
2O)等を用いてもよい。
【0143】
(3)第3実施形態に係る効果
第3実施形態によれば、第1実施形態に係る効果と第2実施形態に係る効果に加えて、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0144】
(a)基板処理室201内で気化されるので、ガス供給部での結露発生が無くなり、ウエハ200上に発生する異物を低減することができる。
【0145】
(b)また、気体の発生源から、排気部までの距離が短くなるので、排気部での液化を抑制することができ、排気部での再液化・再蒸発したガスの逆流により発生するウエハ200上の異物を低減することができる。
【0146】
以上、第3実施形態を具体的に説明したが、第3実施形態は上述の実施形態に限定されるものでは無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0147】
なお、上述では、気化原料として、水(H
2O)を用いることを記したが、ウエハ200上に供給される気体には、H
2O分子単体の状態や、いくつかの分子が結合したクラスタ状態が含まれても良い。また、液体から気体を発生する際には、H
2O分子単体や水素(H)原子や酸素(O)原子の状態まで分裂させるようにしても良いし、いくつかの分子が結合したクラスタ状態にまで分裂させるようにしても良い。また、上記のクラスタが幾つか集まってできた霧(ミスト)状態であっても良い。
【0148】
また、気化原料として過酸化水素水(H
2O
2)を用いた場合でも同様に、ウエハ200上に供給される気体には、H
2O
2分子単体の状態や、いくつかの分子が結合したクラスタ状態が含まれても良い。また、液体から気体を発生する際には、H
2O
2分子単体まで分裂させるようにしても良いし、いくつかの分子が結合したクラスタ状態にまで分裂させるようにしても良い。また、上記のクラスタが幾つか集まってできた霧(ミスト)状態であっても良い。
【0149】
なお、上述では、ウエハ200を処理する半導体装置の製造工程であって、微細な溝に絶縁体を埋める工程について記したが、第1〜第3の実施形態に係る発明は、この工程以外にも適用可能である。例えば、半導体装置基板の層間絶縁膜を形成する工程や、半導体装置の封止工程等にも適用可能である。
【0150】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、第1〜第3の実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程での液晶を有する基板の封止処理や、各種デバイスに使われるガラス基板やセラミック基板への撥水コーティング処理にも適用可能である。更には、鏡への撥水コーティング処理などにも適用可能である。
【0151】
また、上述の処理ガスは、酸素ガスと水素ガスから生成する水蒸気(H
2O)や、酸化剤溶液としての水(H
2O)や過酸化水素(H
2O
2)水を加熱蒸発させて生成する例を示したが、本発明は、これらに限らず、水(H
2O)や過酸化水素(H
2O
2)水に超音波を加えてミスト化する方法や、アトマイザを用いてミストを噴霧する方法でも良い。また、溶液に直接瞬時にレーザーやマイクロ波を照射して蒸発させる方法であっても良い。
【0152】
また上述では、熱伝導体加熱部として、ランプヒータを例に挙げたが、これに限るものではなく、レーザーやマイクロ波を照射する放射型加熱部であっても良い。
【0153】
また、上述では、ポリシラザン膜が形成されたウエハ200を処理する例を示したが、これに限らず、CVD法で形成されたシリコン含有膜を処理しても酸化させることができる。
【0154】
<好ましい形態>
以下に、好ましい形態について付記する。
【0155】
<付記1>
一態様によれば、
基板を処理する反応管と、
前記反応管内の前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記反応管内を排気する排気部と、
前記反応管内の前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記反応管の前記排気部接続部周辺に設けられた第2の加熱部と、
前記ガス供給部から処理ガスを供給する際に、前記第2の加熱部の温度を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0156】
<付記2>
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部の温度は前記処理ガスが液化しない液化防止温度に保つように制御する。
【0157】
<付記3>
付記2の基板処理装置であって、好ましくは、
前記液化防止温度は、50〜300℃である。
【0158】
<付記4>
付記1〜3のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記処理ガスは、水素と酸素を含んでいる。
【0159】
<付記5>
付記1〜4のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記処理ガスは、水分子を含んでいる。
【0160】
<付記6>
付記1〜5のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、前記反応管の炉口部周辺に設けられている。
【0161】
<付記7>
付記1〜6のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記反応管の炉口部には断熱体が設けられ、前記第2の加熱部は当該断熱体の上端よりも下側に設けられている。
【0162】
<付記8>
付記1〜7のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、放射型加熱部である。
【0163】
<付記9>
付記8に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記放射型加熱部は、前記炉口部の内壁表面を加熱する。
【0164】
<付記10>
付記1〜9のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、0.7μm〜250μmの波長をピークとする光を放射する。
【0165】
<付記11>
付記1〜10のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、1.3μm〜200μmの波長をピークとする光を放射する。
【0166】
<付記12>
付記1〜11のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、2μm〜20μmの波長をピークとする光を放射する。
【0167】
<付記13>
付記1〜12のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、2μm〜4.5μmの中波長赤外線をピークとする光を放射する。
【0168】
<付記14>
付記1〜13のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、赤外線を放射するランプヒータである。
【0169】
<付記15>
付記1〜14のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、前記反応管の前記排気部が接続されている部分の周囲に設けられている。
【0170】
<付記16>
付記1〜15のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部は、前記反応管の前記排気部が接続されている部分の周囲であって、分割された状態で設けられている。
【0171】
<付記17>
付記1〜16のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記反応管内に、熱伝導性セラミック若しくは、熱伝導性セラミックを被覆した非金属材料などの熱伝導部材を有する。
【0172】
<付記18>
付記17の基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導部材は、前記反応管の底に設けられている。
【0173】
<付記19>
付記17と付記18のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導部材の熱伝導率は、5W/mKである。
【0174】
<付記20>
付記1〜19のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部周辺であって、前記反応管のガス供給口には、インレットチューブヒータが設けられている。
【0175】
<付記21>
付記1〜20のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部の周辺であって、前記反応管のガス排気口には、エキゾーストチューブヒータが設けられている。
【0176】
<付記22>
付記20と付記21のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部と前記インレットチューブヒータと前記エキゾーストチューブヒータの液化防止温度の制御を、それぞれ独立又は一括して制御する。
【0177】
<付記23>
付記22の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の加熱部と前記インレットチューブヒータと前記エキゾーストチューブヒータを、少なくとも前記ガス供給部が処理ガスを供給している間、
ONにしていること。
【0178】
<付記24>
他の態様によれば、
基板を処理する反応管と、
前記反応管内の前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記反応管内を排気する排気部と、
前記反応管内の前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記反応管の前記排気部接続部周辺に設けられた第2の加熱部と、
前記ガス供給部から処理ガスを供給する際に、前記第2の加熱部の温度を制御する制御部と、
を有する半導体装置の製造装置が提供される。
【0179】
<付記25>
更に他の態様によれば、
基板を反応管に搬入する工程と、
前記反応管に設けられた第1の加熱部が前記基板を加熱する加熱工程と、
排気部が前記反応管内を排気する排気工程と、
前記基板表面に処理ガスを供給する供給ステップと、
前記反応管であって前記排気部が接続される周辺に設けられた第2の加熱部の温度を制御する温度制御ステップと、
を有するガス供給工程と、
を有する基板処理方法が提供される。
【0180】
<付記26>
前記付記25の基板処理方法であって、好ましくは、
前記温度制御ステップでは、前記処理ガスが液化しない蒸発温度に保つように制御される。
【0181】
<付記27>
前記付記25と付記26のいずれかの基板処理方法であって、好ましくは、
前記処理ガスは、水(H
2O)分子と過酸化水素(H
2O
2)分子のいずれか又は両方を有する。
【0182】
<付記28>
更に他の態様によれば、
基板を反応管に搬入する工程と、
前記反応管に設けられた第1の加熱部が前記基板を加熱する加熱工程と、
排気部が前記反応管内を排気する排気工程と、
前記基板表面に処理ガスを供給する供給ステップと、
前記反応管であって前記排気部が接続される周辺に設けられた第2の加熱部の温度を制御する温度制御ステップと、
を有するガス供給工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0183】
<付記29>
更に他の態様によれば、
反応管に設けられた第1の加熱部が基板を加熱させる加熱手順と、
排気部が前記反応管内を排気させる排気手順と、
前記基板表面に処理ガスを供給させる供給ステップと、
前記反応管であって前記排気部が接続される周辺に設けられた第2の加熱部の温度を制御させる温度制御ステップと、
を有するガス供給手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0184】
<付記30>
更に他の態様によれば、
反応管に設けられた第1の加熱部が基板を加熱させる加熱手順と、
排気部が前記反応管内を排気させる排気手順と、
前記基板表面に処理ガスを供給させる供給ステップと、
前記反応管であって前記排気部が接続される周辺に設けられた第2の加熱部の温度を制御させる温度制御ステップと、
を有するガス供給手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記録媒体が提供される。
【0185】
<付記31>
更に他の態様によれば、
基板を収容する反応管の当該基板よりも排気口側に設けられ、
前記排気口側を前記基板の温度よりも高温に加熱する加熱ユニットが提供される。
【0186】
<付記32>
更に他の態様によれば、
基板を収容する反応管と、
前記反応管内の前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記反応管内を排気する排気部と、
前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記反応管の前記排気部の接続部周辺に設けられた第2の加熱部と、
前記ガス供給部から処理ガスを供給する際に、前記第2の加熱部の温度を前記第1の加熱部の温度よりも高い温度に制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0187】
<付記33>
更に他の態様によれば、
基板を収容する処理容器と、
前記基板に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器を閉塞する蓋体と、
前記蓋体上に設けられた熱伝導体と、
前記熱伝導体を加熱する熱伝導体加熱部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0188】
<付記34>
付記33に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導体加熱部の温度は、前記処理ガスが液化しない液化防止温度に保つように前記熱伝導体加熱部を制御する制御部を有する。
【0189】
<付記35>
付記33に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導体加熱部は、前記処理容器の炉口部周辺に設けられている。
【0190】
<付記36>
付記33に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導体加熱部は、前記処理容器の炉口部に設けられた断熱体の上端よりも下側に設けられている。
【0191】
<付記37>
付記33に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記熱伝導体加熱部は、放射型加熱部である。
【0192】
<付記38>
更に他の態様によれば、
基板を収容する処理容器を閉塞する蓋体に設けられ、
前記蓋体付近に設けられた熱伝導体加熱部により加熱される熱伝導体が提供される。