特許第5778850号(P5778850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778850
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20150827BHJP
   E06B 3/08 20060101ALI20150827BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E06B3/08
   A62C2/06 502
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-263835(P2014-263835)
(22)【出願日】2014年12月26日
(62)【分割の表示】特願2011-276641(P2011-276641)の分割
【原出願日】2011年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-92060(P2015-92060A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】矢内 貴之
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直浩
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−065234(JP,A)
【文献】 特許第3469673(JP,B2)
【文献】 実開昭62−071280(JP,U)
【文献】 特開2000−054752(JP,A)
【文献】 実開平05−051365(JP,U)
【文献】 特開2006−328648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/16
E06B 3/04−3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、枠に開閉自在に支持した戸とを備え、戸は、金属製框の室内側面を樹脂カバーで覆ってあると共に、金属製框に金属製補助材が取付けてあり、金属製補助材は、樹脂カバーの外周側見込面を覆っており、枠の見込面と金属製補助材の見込面との間に熱膨張性耐火材が設けてあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性能を向上させた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、勝手口ドア等の建具においては、非特許文献1に示すように、枠の内周側にタイト材を設け、タイト材を戸の室内側面に当接させることで、止水性・気密性を確保している。
このような建具の防火性能を向上するための対策としては、タイト材に焼結ゴム等の不燃性材料を用いることが考えられる。しかしそのような不燃性タイト材は、火災が発生すると硬化して亀裂が生ずることがあり、タイト材に亀裂が生ずると枠と戸の間に隙間ができ、その隙間から火炎や煙等が侵入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山アルミ株式会社発行のカタログ「マディオJ・M 総合カタログ」(カタログNo.STJ0560A C.10.06−200)、第1版、2010年6月、p.970−973
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、枠と戸の間の隙間を塞ぐ不燃性タイト材に亀裂が生じても、枠と戸の間から火炎や煙等が侵入するのを防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、枠と、枠に開閉自在に支持した戸とを備え、戸は、金属製框の室内側面を樹脂カバーで覆ってあると共に、金属製框に金属製補助材が取付けてあり、金属製補助材は、樹脂カバーの外周側見込面を覆っており、枠の見込面と金属製補助材の見込面との間に熱膨張性耐火材が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、金属製框に金属製補助材が取付けてあり、金属製補助材は樹脂カバーの外周側見込面を覆っており、火災時に樹脂カバーが無くなっても金属製補助材は残り、さらに、枠の見込面と金属製補助材の見込面との間に熱膨張性耐火材が設けてあり、火災時には熱膨張性耐火材が発泡して枠と金属製補助材間の隙間を塞ぐことで、室内外を効率的に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図4のA−A断面図である。
図2図4のB−B断面図である。
図3図4のC−C断面図である。
図4】本発明の建具の一実施形態に係る勝手口ドアの室内側正面図である。
図5】戸先側の竪枠の内周側側面図である。
図6】火災時におけるドア戸先側下部の横断面図であって、(a)は火災の初期の状態、(b)は火災発生から時間が経ったときの状態を示す。
図7】火災時におけるドア下部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜5は、本発明の建具の一実施形態である勝手口ドアを示している。本ドアは、図2〜4に示すように、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番51で開閉自在に取付けた戸2とを備える。
枠1は、上枠3と下枠4と左右の竪枠5,6を四周枠組みして構成してある。戸2は、上框7と下框8と吊元框9と戸先框10とを四周框組みし、その内側にガラスパネル(複層ガラス)11を納めて構成してある。戸2は、図4に示すように、戸先框10の上下方向の中間部にハンドル12と上下二つの錠13a,13bが設けてある。上枠3と上框7間には、ドアクローザー14が設けてある。
さらに、戸先框10の上部と下部の室内側面には、ヒューズユニット15が設けてある。ヒューズユニット15は、図1に示すように、ケース16内にデッドボルト17を戸先側から出没可能に備え、デッドボルト17はスプリング18で突出方向に付勢され、通常時は熱に溶けやすい材質で形成したヒューズ部材19によりケース16内に保持されている。火災時には、図6に示すように、ヒューズ部材19が火災の熱で溶断するのに伴いデッドボルト17が戸先側に突出し、デッドボルト17が竪枠5に係止することで、戸2が変形して戸先側の上部と下部が竪枠5から離れようとするのを規制する。
【0009】
上枠3は、図2に示すように、アルミニウム合金の押出形材で形成され、室内側に樹脂カバー20と樹脂アングル21が係合取付けしてある。上枠3は、室内側寄りの位置にタイト材ホルダー22が内周側に突出して形成され、タイト材ホルダー22に焼結クロロプレンゴムよりなる不燃性タイト材23が室外側に向けて取付けてあり、不燃性タイト材23に戸2の上縁部の室内側面が当接している。
上枠3の内周側見込面3aの不燃性タイト材23の外周側の位置には、熱に反応して発泡・膨張する熱膨張性耐火材24が長手方向に沿って設けてある。かかる熱膨張性耐火材24は、市販品の中から適宜選択して用いることができ、例えば積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」を用いることができる。これは、プラスチック技術を活用した有機系耐火材であり、通常の状態では薄いシート状で、200℃以上に加熱されると厚さ方向に5〜40倍に膨張し、断熱層を形成する。火災時に消失することがなく、有害ガスが発生することもない。またフィブロックは、片面に剥離紙付きの接着層を有しているので、剥離紙を剥がして簡便に接着取付けできる。
【0010】
下枠4は、アルミニウム合金の押出形材で形成され、室内側に樹脂カバー20と樹脂アングル21が係合取付けしてある。下枠4は、室内側寄りの位置にタイト材ホルダー22が内周側に突出して形成され、タイト材ホルダー22に不燃性タイト材23が室外側に向けて取付けてあり、不燃性タイト材23に戸2の下縁部の室内側面が当接している。下枠4の内周側見込面4aの不燃性タイト材23の外周側の位置には、熱に反応して発泡・膨張する熱膨張性耐火材24が長手方向に沿って設けてある。
【0011】
左右の竪枠5,6は、図3に示すように、アルミニウム合金の押出形材で形成され、室内側に樹脂アングル21が係合取付けしてある。竪枠5,6は、室内側寄りの位置にタイト材ホルダー22が内周側に突出して形成され、タイト材ホルダー22に不燃性タイト材23が室外側に向けて取付けてあり、不燃性タイト材23に戸2の側縁部の室内側面が当接している。竪枠5,6の内周側見込面5a,6aの不燃性タイト材23の外周側の位置には、熱に反応して発泡・膨張する熱膨張性耐火材24が長手方向に沿って設けてある。
以上に述べたように枠1は、室内側を樹脂カバー20及び樹脂アングル21で覆うことで、室内側の結露を防止すると共に断熱性を向上させている。さらに枠1は、戸2の室内側面に当接する四周の不燃性タイト材23の周囲を囲むように、内周側見込面3a,4a,5a,6aに熱膨張性耐火材24を設けている。
【0012】
戸先側の竪枠5は、図1,5に示すように、内周側見込面5aに上下の錠13a,13b用の錠受け25a,25bが設けてあり、下側の錠受け25bから下枠4上面までの範囲の内周側見込面5aに、長手方向に沿って突出部26を設けている。突出部26は、室外側面が竪枠5の室外側面と略面一となるように竪枠5の内周側見込面5aの室外側寄りの位置に取付けられ、戸先框10に形成された煙返し27と対向するように配置されている。突出部26は、アルミ製の溝型フレーム28を竪枠5にネジ29で固定し、溝型フレーム28の開口部に目板30を取付けてネジ29を隠し、上端部に小口キャップ31を取付けた構成となっている。
【0013】
戸2の上框7と下框8と吊元框9と戸先框10は、図2,3に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる金属製框32と、金属製框32の室内側面に係合取付けした樹脂カバー33とを備え、金属製框32と樹脂カバー33とで内周側に開口したガラス溝34を構成し、ガラス溝34にグレチャン35を介してガラスパネル11の端部を嵌め込んでいる。グレチャン35は、焼結シリコンゴムで形成されており、火災時でも燃えないものとなっている。
各框7,8,9,10のガラス溝34内には、グレチャン35の外側を囲むようにステンレスの薄板を溝型に折り曲げて形成したガラス間口補強材36がガラス溝34の全長に亘って配置され、金属製框32にビス37で固定してある。さらに、グレチャン35の外側面とガラス間口補強材36の内側面(いずれも見込面)との間の室内側寄りの位置に、長手方向に沿って熱膨張性耐火材38を設けている。
金属製框32の中空部内には、コ字形断面の補強材39が長手方向のほぼ全長にわたって配置され、長手方向に所定のピッチでネジ40により固定してある。補強材39は、高耐食溶融メッキ鋼板を折り曲げて形成している。このように補強材39を設けることで、火災時における各框7,8,9,10の熱伸びとたわみを防止できる。
【0014】
さらに上框7と下框8は、図2に示すように、外周側見込面7a,8aに長手方向に沿って金属製補助材41が取付けてある。金属製補助材41は、ステンレスの板を折り曲げて形成したものであり、金属製框32にネジ42で固定される固定部43と、樹脂カバー33の室内側見付面33a上に延出する延出部44を有しており、延出部44に上枠3と下枠4の不燃性タイト材23が当接している。金属製補助材41の見込面には、熱膨張性耐火材45a,45b,45cが長手方向に沿って設けてある。
【0015】
戸先框10は、図1に示すように、室外側面に戸先側に突出する煙返し27が設けてあり、煙返し27により竪枠5と戸先框10の見込面5a,10a間の隙間を塞いでいる。煙返し27の先端部には不燃性タイト材46が設けてあり、不燃性タイト材46の先端部が竪枠5の室外側面に当接している。煙返し27の室内側面には、熱膨張性耐火材47が長手方向に沿って設けてある。戸先框10は、金属製框32に樹脂カバー33の外周側に延出する延出部48を有し、延出部48に竪枠5の不燃性タイト材23が当接している。戸先框10の外周側見込面10aの室内側寄りの位置には、熱膨張性耐火材49が長手方向に沿って設けてある。図3に示すように、吊元框9の外周側見込面9aにも熱膨張性耐火材49が長手方向に沿って設けてある。
【0016】
火災が発生すると、戸2は火災の熱で上下方向に伸びようとするため、熱せられた面側が膨らむように反りが発生し、戸2の吊元側は竪枠6に蝶番51で拘束され、戸先側の上下方向の中間部は錠13a,13bにより竪枠5と係合しているため、戸先側の上部と下部で反りが大きくなり、竪枠5との間に隙間が開きやすい。戸先框10と竪枠5間の隙間のうち、上側の隙間からは燃焼側の熱い空気が流出し、下側の隙間からは燃焼側に比較的冷たい空気が流入することとなる。上側の隙間は、燃焼側の熱い空気が流出する関係で戸先框10の見込面10aに設けた熱膨張性耐火材49が早期に発泡・膨張して塞がれるが、下側の隙間は燃焼側に比較的冷たい空気が流入する関係で熱膨張性耐火材49が発泡しにくい。本ドアは、図6(a)に示すように、竪枠5の内周側見込面5aの室外側寄りの位置に、下側の錠受け25bから下枠4上面までの範囲にわたって突出部26を煙返し27と対向するように設けたので、熱膨張性耐火材49が発泡する前の火災初期において、煙返し27と竪枠5の突出部26とで隙間を隠すことで火炎や煙等の侵入50を遮り、延焼を防止できる。また、このように竪枠5の内周側見込面5aに突出部26が設けてあることで、燃焼側に冷たい空気が流入するのを抑えられるため、戸先框10の見込面10aや煙返し27の室内側面に設けた熱膨張性耐火材47,49が発泡するのを促進でき、図6(b)に示すように、これらの熱膨張性耐火材47,49が発泡して戸先框10と竪枠5間の隙間を塞ぐことで、火炎や煙等の侵入を確実に阻止できる。
吊元框9と竪枠6の見込面9a,6a間、上框7と上枠3の見込面7a,3a間、下框8と下枠4の見込面8a,4a間にもそれぞれ熱膨張性耐火材45a,45b,49が介在しており、火災時にはこれらの熱膨張性耐火材45a,45b,49が発泡して戸と枠の見込面間の隙間を塞ぎ、火炎や煙等の侵入を阻止する。
【0017】
さらに本ドアは、上框7と下框8の見込面7a,8aに金属製補助材41が取付けてあり、金属製補助材41は樹脂カバー33の室内側見付面33a上に延出する延出部44を有し、延出部44に上枠3と下枠4の不燃性タイト材23が当接するようにしたので、図7に示すように、火災時に樹脂カバー33が焼失したり剥離したりして無くなったとしても、上下框7,8と上下枠4,5の間に隙間が開かず、戸と枠の間から火炎や煙等が侵入するのを防止できる。下框8に取付けた金属製補助材41は、内周側の見込面にも熱膨張性耐火材45cが設けてあり、火災時にはこの熱膨張性耐火材45cが発泡して金属製框32と不燃性タイト材23間の隙間を塞ぐ。金属製補助材41は、戸2を閉めた状態では不燃性タイト材23で隠れるため、目立ちにくい。
戸先框10は、金属製框32に樹脂カバー33の外周側に延出する延出部48を有し、延出部48に竪枠5の不燃性タイト材23が当接しているため、火災時に樹脂カバー33がなくなっても、戸先框10と竪枠5間に隙間が開かない。
【0018】
枠1の不燃性タイト材23は、火災時に硬化して亀裂が生ずることがあるが、本ドアは不燃性タイト材23の周囲を囲むように枠1の内周側見込面3a,4a,5a,6aに熱膨張性耐火材24が設けてあり、図7に示すように、火災時にはこの熱膨張性耐火材24が発泡して不燃性タイト材23に当接し、不燃性タイト材23の亀裂が生じた部分を熱膨張性耐火材24が埋めるため、不燃性タイト材23の亀裂が生じた部分から火炎や煙等が侵入するのを阻止できる。
【0019】
さらに本ドアは、戸2のガラス溝34内に金属製のガラス間口補強材36が設けてあることで、図7に示すように、火災時に樹脂カバー33が無くなったとしても、ガラスパネル11が脱落するのを防止できる。また、グレチャン35とガラス間口補強材36との間に熱膨張性耐火材38が介在しているため、火災時にグレチャン35に亀裂が生じたとしても、発泡した熱膨張性耐火材38がグレチャン35の隙間が生じた部分を埋めるため、グレチャン35の亀裂が生じた部分から火炎や煙等が侵入するのを阻止できる。
【0020】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。竪枠5の突出部26は、竪枠5に一体成形し、不要な部分を切り欠いてもよい。不燃性タイト材23の形状、材質は、適宜変更することができる。金属製補助材41は、火災時に容易に変形したり溶融したりしない材質で形成してあればよく、その形状は適宜変更することができる。本発明は、勝手口ドアに限らず、玄関ドアや開き窓等、あらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 枠
2 戸
3 上枠
4 下枠
5,6 竪枠
7 上框
8 下框
9 吊元框
10 戸先框
23 不燃性タイト材
24 熱膨張性耐火材
26 突出部
27 煙返し
32 金属製框
33 樹脂カバー
41 金属製補助材
43 固定部
44 延出部
45a,45b,45c,47,49 熱膨張性耐火材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7