(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部タイプレート(13、100、130、150)に装着され、チャンネル(20)内に収容された燃料棒(11、12)とウォータロッド(23、230)のアレイを含む燃料バンドルと、
前記上部タイプレートのフレームのスロット内、かつ前記燃料棒の上方のデブリシールド(102、136、152)と、
を備える原子炉燃料集合体(10)であって、
前記デブリシールドが、前記上部タイプレートの少なくとも部分的に開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有し、
前記デブリシールドが波状の断面形状を有し、前記前記断面形状により前記スロットの上面および下面を付勢して前記デブリシールドを前記スロット内に挟んで固定する、
原子炉燃料集合体(10)。
前記上部タイプレートの前記フレーム(104、132、160)が、前記燃料バンドルのタイロッド(24)の上端を受容するための少なくとも1つの中空リブ(138)を含む、請求項4に記載の原子炉燃料集合体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
異物が燃料集合体の頂部の中に入ることを抑制するデブリシールドが、本明細書に開示される。デブリシールドは、燃料集合体の頂部の中に取り込まれる微小異物を逸らせ、捕らえ、または取り除く。微小異物が燃料集合体の中に入ることを防ぐことによって、燃料棒のフレッティング破損の可能性は、実質的に低減される。デブリシールドは、上部タイプレートから取外し可能なユニットまたは上部タイプレートの中に恒久的に一体化した構造であってよい。デブリが燃料バンドルの中に落ちることを防ぐことにより、燃料棒破損の危険および炉心からの早過ぎる排出を低減することで燃料集合体の期待した稼働寿命を確実なものにすることが期待される。
【0011】
図1は、概して、方形の断面を有する垂直柱のように成形される従来の燃料集合体10の断面で示す側面図である。炉心21は、予め定められた配列で並列に配列される多数の燃料集合体を含む。典型的には、この集合体は、たとえば、平行に配列される全長燃料棒11および部分長燃料棒12のアレイを含む。燃料棒は、燃料棒の長さに沿った位置で配置される上部タイプレート13、下部タイプレート14および1つまたは複数のスペーサ15によって支持される。典型的には、1つまたは複数のウォータロッド23、230は、燃料棒のアレイの中央を通って延在し、端栓19によって上部タイプレートに取り付けられる。燃料バンドルは、燃料棒11、12、ウォータロッド23、230、タイプレート13、14、タイロッド24、スペーサ15、フィンガスプリング18およびチャンネル20を備える。
【0012】
燃料棒膨張スプリング16は、全長燃料棒11およびタイロッド24の上部端栓から上部タイプレート13の下面まで延在する。六角ナット17は、タイロッド24のねじ付き端部に固着する。上記棒は、上部タイプレートを通って延在し、各棒の反対端は、燃料集合体10の下部タイプレート14に固着される。下部タイプレート14は、燃料バンドル10のための中空のハウジングを設けるチャンネル20を係合する下部タイプレート14の外側壁上のフィンガスプリング18を含む。
【0013】
典型的には、チャンネル20は、細長い中空管であり、断面が方形であり、および燃料集合体10中の燃料棒を包む長さを有するものである。上部タイプレート13の両対角にあるチャンネルポスト25は、チャンネルを燃料バンドル10の上に整合させるために案内を行う。チャンネルファスナクリップは、チャンネル20をねじ付きチャンネルポスト26に固着する。概して、U形持ち上げ用把手22は、上部タイプレート13の一部として取り付けられる。把手22は、燃料集合体10を炉心21から引き上げ、および燃料集合体10を炉心21の中に降ろすために、またはさもなければこの集合体を炉心から移動させるために使用できる。
【0014】
デブリは、特に、燃料補給、新しい燃料の受入れ、炉心への搬送、冷却材の流れが炉心を通って上向きに流れるのを止めるとき、および減速材の流れが停滞または逆転され得るときなどの非運転状態中または運転状態中に燃料バンドル10の頂部に入る可能性がある。燃料バンドルの頂部の中に落ちるデブリは、タイプレート、スペーサブラケット、上記棒と上記棒の間、またはチャンネルの壁と棒の間で詰まる可能性がある。燃料バンドル中の隙間は、バンドル中のデブリをトラップし得る。デブリは、従来の上部タイプレート13(
図1)を通って落ち、燃料バンドル集合体10内部の区域内で詰まる可能性があり、そこでデブリがBWRの運転状態中に燃料棒のフレッティングを引き起こし得る。
【0015】
図2および
図3は、上部タイプレート中の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であり得る内部デブリシールド102を有する上部タイプレート集合体100(
図2)を示す。シールド102は、集合体の水平支持フレーム104に装着されてよく、または集合体の水平支持フレーム104内で一体化してよい。円筒形ピン支持体106のアレイは、デブリシールドによって与えられ、デブリシールド内で設けられる。これらのピン支持体106は、たとえば、ねじ付きタイロッド24および燃料棒の膨張スプリング16ならびに場合によってはウォータロッド23、230のバンドルに対する構造的な支持を与える。デブリシールドによって与えられるバンドルに対する構造的な支持により、上部タイプレート中のピン支持体の別個のアレイを不要にすることができる。
【0016】
デブリシールド102は、上部タイプレートのフレーム104によって囲まれる領域を満たす。デブリシールドは、フレームと一体化してよくまたは一体化してなくてもよく、およびフレームから取外し可能であってよくまたは取外し可能でなくてもよい。デブリシールド102は、多孔性であり、燃料集合体10を通る流体の流れからデブリをフィルタにかける。デブリシールドを通る冷却材の流れは、デブリシールド102の両端間で実質的に圧力損失がないことが好ましい。
【0017】
デブリシールド102を通る流路108は、好ましくは燃料集合体10の垂直軸に対して鈍角である1つまたは複数の軸を有する。一例としては、デブリシールド102を通る通路は、シールドの上半分で第1の方向に傾斜し、シールドの下半分で第2の方向に傾斜しており、コーナー116が2つの半分の間で形成される。デブリシールド102の傾斜している通路は、シールドを垂直に通り抜ける光を遮る。デブリシールド102中の通路108が傾斜していることにより、シールドを見通すことは不可能である。視界は、デブリシールド中の鈍角の通路108が上部タイプレート集合体100を通る上から下への視線の視界(a top−down line−of−sight view)を妨げるために遮られる。
【0018】
図2および
図3に示される例では、シールド102は、燃料バンドル10に対して概して垂直である、断面が山形模様112を形成するように並列に配列されるアングルのある金属ストリップ(angled metal strips)の配列である。通路108は、並列のストリップ同士の間に形成される。代替として、デブリシールド102は、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは他のマトリックス材などの多孔性の材料で形成されてよい。デブリシールド102は、上部タイプレート集合体100のフレーム104の内面に当接する周縁110を有する概して多孔性の平板である。
【0019】
デブリシールド102は、原子炉炉心21の運転中に燃料集合体10の中に留まってよい。好ましくは、デブリシールド102は、冷却材、特に非常用冷却材が、実質的に流動抵抗がない状態でデブリシールドを通って流れ落ちることを可能にする多孔性構造、目の粗いメッシュ構造またはマトリックス構造を有する。デブリシールド102の多孔性構造、山形構造、メッシュ構造またはマトリックス構造は、デブリの通過を阻止する。デブリシールドは、冷却材などの流体の通過を可能にし、微粒子の通過を阻止するフィルタとして働く。好ましくは、デブリシールドは、デブリシールド102の両端間でかなり大きい流体の圧力低下を強いることなくデブリの大きさを最小にする細孔径を有するべきである。
【0020】
デブリシールド102は、冷却材の流れの中のデブリ、特に燃料集合体10の上方からおよび上部タイプレート集合体100へ下向きに流れるデブリをフィルタにかけ、捕捉する。デブリシールド102の通路108は、とても狭くてより大きいデブリの小片を通路に入れさせない。より大きいデブリの小片は、デブリシールド102の上面114で捕捉される。より小さいデブリの小片は、デブリシールドの通路に入ることができ、より小さいデブリの小片が、上部タイプレート集合体100の下方におよび燃料集合体10の中に流れ落ちないようにデブリシールドのコーナーおよび隙間116で詰まり得る。フレームは、多孔性であってよく、たとえば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリの通過を阻止するための小さい垂直な穴31を有してよい。フレーム中の穴により上部タイプレート100を通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールド102による任意の流量制限を補償またはオフセットする。支持フレーム104に取り付けられる基準点117は、上部タイプレートと共にチャンネルを中心に位置決めし、および製造中は上部タイプレート100を燃料棒に対して一致させるために使用される。
【0021】
図4および
図5は、上部タイプレート内の取外し可能なユニットであり得るまたは上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けできるデブリシールド136を受容するための水平スロット134を備える水平フレーム132を有する代替の上部タイプレート集合体130の側面および上面の斜視図である。
図4では、シールドは、フレームから部分的に取り除かれている。運転中は、シールド136は、
図5中に示されるようにスロット134の中に完全に挿入され、フレーム132によって囲まれる。
【0022】
上部タイプレート集合体130は、フレームに取り付けられ、またはフレームと一体化している上部タイプレートの把手22を含む。フレーム132は、棒端部カップリング(rod end couplings)、たとえば、タイロッドのねじ付きピンを受容し、燃料棒の膨張スプリングに対してバッキングを与えるための中空リブ138を有する方形の外側支持壁構造を含んでよい。フレームは、多孔性であってよく、たとえば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリの通過を阻止するための小さい垂直な穴131を有してよい。フレーム中の穴により上部タイプレート130を通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールド136による任意の流量制限を補償またはオフセットする。支持フレーム132に取り付けられる基準点117は、上部タイプレートと共にチャンネルを中心に位置決めし、および製造中は上部タイプレート130を燃料棒に対して一致させるために使用される。
【0023】
図6は、水平スロット134を有する上部タイプレート集合体130およびスロット中のデブリシールド板136の側面図である。デブリシールド136は、燃料バンドル10の垂直軸に対して傾斜する(143)シールドの中の穴をもたらす波状の断面形状を有してよい。穴の中の傾斜143は、デブリを阻止する際に有利である。デブリシールド136の波状の形状は、デブリシールド136の上部の稜線および下部の溝133をスロット134の上面および下面に対して付勢させることによってデブリシールドをスロット134に固着するのを助けもする。
【0024】
図7は、上部タイプレート集合体130の上面図である。ピン支持体141および相互接続リブ142のマトリックス140が、
図7中に明確に示されている。マトリックス140は、デブリシールド136を受容するスロット134の上面および下面を形成する上部マトリックス156および下部マトリックス158を含んでよい。ピン支持体141の金属マトリックス140は、フレームに装着され、フレームの内側の領域にわたって延在する。金属マトリックス140は、上部タイプレート集合体の鋳金の放電加工(EDM)によって形成されてよい。マトリックス140は、スポーク、棒またはマトリックス構造(一括してマトリックス構造)によってフレームおよび互いに取付けできる。マトリックス140は、デブリシールド136の直上または直下に配列されてよい。ピン支持体141のマトリックス140は、棒端部カップリング、たとえば、タイロッドのねじ付きピンおよび燃料棒の膨張スプリングおよびウォータロッドの上部端栓を受容するための円筒形支持体141を含む。円筒形支持体は、相互接続リブ142およびフレーム接続リブ144によって相互接続される。マトリックス140は、特にコーナーの近くおよび把手用の支持体の下方に固体金属の補強材(solid metal braces)145を含んでよい。
【0025】
図8は、デブリシールド板136の上面図である。タイロッド24および燃料棒11、12のねじ付き端部28用の開口135は、上部タイプレートの上部マトリックスおよび下部マトリックス140の中のピン支持体の円筒141と整合するように配置される。上部の稜線および下部の溝133は、タイロッド24、燃料棒11、12、ウォータロッド23、230および各種の上部端栓のねじ付き端部28を受容するためのデブリシールド中の開口135を含む。これらの開口135は、上部端栓によって満たされることになり、この上部端栓により通常ならば開口を通って流れ得るデブリを阻止する。この稜線および溝133は、デブリの小片を通過させる傾向にあり得る垂直に配向した穴を避けるように冷却材が流れる穴を欠いてよく、デブリの小片は、稜線および溝133の斜面137上の傾斜した穴143によって阻止されることになる。
【0026】
図9は、上部タイプレート150の上部平坦部分156と下部平坦部分158の間のスロット154の中で滑動する取外し可能なデブリシールド152を有する上部タイプレート150の第3の実施形態を示しており、取外し可能なデブリシールド152は、上部タイプレートの中の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。
図9において、デブリシールドは、上部タイプレートのスロット154から取り外されているものとして示される。
図10は、上部タイプレート150内に完全に挿入され、上部タイプレート150内で固着されたデブリシールド152を示す。
図11は、上部タイプレートの空洞154の中に完全に挿入されたデブリフィルタ152の側面図である。
図12および
図13は、上部タイプレート150の上面図および底面図をそれぞれ示す。
【0027】
上部タイプレート150の3つの側面があるフレーム160は、上部平坦部分156および下部平坦部分158を共に保持する。フレームは、多孔性であってよく、たとえば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリの通過を阻止するための小さい垂直な穴131を有してよい。フレーム中の穴により上部タイプレート150を通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールド152による任意の流量制限を補償またはオフセットする。支持フレーム160に取り付けられる基準点117は、上部タイプレートと共にチャンネルを中心に位置決めし、および製造中は上部タイプレート150を燃料棒に対して一致させるために使用される。フレーム160は、持ち上げ用把手22およびチャンネルポスト25を支持もする。フレーム160は、上部タイプレート150の耐力構造であり、デブリシールド152、チャンネル20、タイロッド24および燃料集合体の他の構成要素に対する構造的な支持を与える上部平坦部分156および下部平坦部分158を含む。適宜、構造的に強いデブリシールド152は、耐力構造として働き、上部部分156および下部部分158ならびにフレーム160の1つまたは複数を置き換えることができる。デブリシールド152は、燃料棒を受容するための開口161(
図12および
図13)を含み、たとえば、開口161は、上部タイプレート150の上部平坦部分156および下部平坦部分158のピン支持体141と整合される。
【0028】
デブリシールド152は、概して平坦であってよく、およびフレーム160の内壁に当接する縁部162(
図9)と、上部タイプレートの上部平坦部分156および下部平坦部分158の内面に隣接する上面164および下面166とを有してよい。デブリシールド152の厚さが理由で、デブリシールドを上部タイプレートの空洞内に完全に設置するために、ちょっとした力が必要とされ得る。
【0029】
デブリシールド152は、ハニカム状金属構造、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは多孔性である他のマトリックスであってよい。シールドを形成する材料は、原子炉炉心の中での使用に耐えるべきである。好ましくは、デブリシールドを通る通路は、完全に直線というわけでなく、少なくとも1つの屈曲または湾曲を含む。デブリシールドの通路中の屈曲および湾曲は、デブリ、特にワイヤおよび棒のストランドをトラップする傾向がある。デブリシールド152を通る通路は、デブリシールドのデブリフィルタリング機能を保持しながらデブリシールドの両端間で任意の流体の圧力低下を最小にするために多数あってよい。流体は、ばらばらの通路を通って流れるが、デブリは、デブリシールドによって流体からフィルタにかけられる。デブリシールドの特徴は、通路中の屈曲および湾曲のために光がデブリシールドを通って輝かないというものであり得る。
【0030】
デブリシールド152の流路159中の屈曲および湾曲(
図11)は、各層の中の通路が一列に成されないような、たとえばハニカム状金属層のデブリシールド材料の2つ以上の層168を積層することによって形成されてよい。一例としては、各層の中の通路は、燃料集合体10の軸に対してたとえば5度〜45度の角度が付けられてよい。各層164、166中の通路の角度の向きまたは傾きは、層が、積層されたデブリシールド152を通るばらばらの通路159を形成するように異なってよい。代替として、デブリシールドの各層を通るデブリの通路は、隣接する層の通路に対してオフセットされてよく、層と層の間の間隙により、流体が、比較的小さい流体抵抗でデブリシールドを通り抜けることを可能にする。
【0031】
デブリシールド102、136および152は、原子炉炉心の運転中に燃料集合体10の中に留まってよい。好ましくは、デブリシールドは、冷却材、特に非常用冷却材が、実質的に流動抵抗がない状態でデブリシールドを通って下向きに流れることを可能にする多孔性を有する。デブリシールドの多孔性およびばらばらの流体通路は、デブリの通過を阻止する。デブリシールドは、冷却用流体などの流体の通過を可能にし、および微粒子の通過を阻止するフィルタとして働く。好ましくは、デブリシールドは、冷却材の最適な流れを保持しながらデブリの大きさを最小にする細孔径を有し、デブリ物質の小片の通過を阻止すべきである。
【0032】
図2〜
図13に示すデブリシールド102、136および152は、典型的なシールドである。
図2および
図3に示されるデブリシールド102は、断面が山形の多孔性構造を有し、および上部タイプレートに一体化している板として構成されてよい。デブリシールド102は、燃料バンドルのタイロッド、燃料棒および端栓を受容および支持するための開口を含む耐力構造である。耐力デブリシールド102のために、上部平坦支持構造および下部平坦支持構造は、必要とされない。
図4〜
図8は、多孔性金属層からなる1つまたは複数の層で形成されるデブリシールド136を示す。層は、波状の断面形状を有してよく、この波状の断面形状は、シールド中の通路に対して傾斜を付与し、それによってシールドのフィルタリング機能を向上できる。示されるようにデブリシールド136は、耐力ではなく、上部タイプレートの耐力フレームのスロットに挿入される。
図9〜
図12は、層および通路を有する積層板であるデブリシールド152を示しており、層および通路は、ばらばらであり、デブリをトラップするための屈曲および湾曲を有する。
図9〜
図12に示すように、デブリシールド152は、非耐力性であり、上部タイプレートの上部平坦部分および下部平坦部分の中の穴に取り付けられるタイロッド、燃料棒および端栓が貫通する開口を有する。代替として、デブリシールド152は、耐力性であり、
図2および
図3に示されるように上部タイプレートのフレームの中に嵌合されてよい。
【0033】
デブリシールド102、136および152は、下向きに流れるデブリを阻止し、非常冷却用の流れに対して比較的小さい抵抗面積(resistive area)を有し、非常用炉心冷却システムの使用中にシールドを通っておよびシールドの周りを回ってバンドルの頂部へ流れる流体の再循環を可能にする。燃料集合体10の頂部の他の形状、構成および配置を有するデブリシールドは、上部タイプレートを通り過ぎて落下するデブリに起因するバンドルの中に取り込まれるデブリが実質的にないという結果を実現するために、冷却材を通過させながらバンドルの中に下向きに落ちるデブリの通過を阻止するのと実質的に同じように、デブリがバンドルの中に落ちるのを防ぐ役割を果たすように作製されてよい。
【0034】
デブリシールド102、136および152の3つの実施形態それぞれは、上部タイプレートを通り抜ける冷却材の流れからデブリを阻止し、フィルタにかけるのに適している。デブリシールド102(第1の実施形態)は、たとえば、1つまたは複数の以下の方法、すなわち、(i)タイロッドのねじ付き上部端栓、(ii)ウォータロッド23、230、(iii)バンドル集合体内の全長燃料棒11、および(iv)デブリシールド用に上部タイプレート中に開いている空洞とデブリシールド自体の間で及ぼされる拘束力によって所定位置に保たれることができる。さらに、デブリシールド102は、上部タイプレート内に装着される取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。加えて、デブリシールド102は、デブリシールドが、チャンネル内部の燃料バンドルの開いた領域と少なくとも同じ広がりのある面を有する、上部タイプレートの中および燃料棒の上方の取外し可能なユニットまたは恒久的な一体構造であってよい。
【0035】
デブリシールド102、136および152は、上部タイプレートの下方で装着されると共にチャンネルの中に収容される燃料棒のバンドルを含む原子炉燃料集合体の中にデブリが落ちることを防ぐための方法の中で使用でき、この方法は、上部タイプレート内の取外し可能なユニットであり得るまたは上部タイプレート内に恒久的な一体構造として取付けできるデブリシールドを挿入するステップを含む。同様に、燃料集合体が運転中の原子炉炉心の中にある間にデブリシールドを上部タイプレートの中および燃料棒の上方に保持するステップと、原子炉炉心の運転中に冷却材をバンドルおよびデブリシールドを通じて流すステップと、デブリシールドを用いて燃料集合体に落ちるデブリを捕捉するまたは逸らすステップとからなる方法が開発されている。デブリシールド102、136および152は、燃料集合体の頂部の中に潜在的に取り込まれる異物を逸らし、捕らえおよび/または取り除く。
【0036】
デブリシールド102、136および152はそれら自体、バンドルに対する構造的な支持を与え、それによって上部タイプレート中のピン支持体の別個のアレイを不要にすることができる。したがって、上部タイプレートは、燃料棒、ウォータロッド、および適切なタイロッドが取り付けられる硬質のデブリシールドを備えてよく、ここで、上部タイプレートは、従来のピン支持体アレイを含まない。
【0037】
デブリシールド102、136および152を通る冷却材の流れは、デブリシールドの両端間で実質的に圧力損失がないことが好ましい。流路は、デブリシールドの流動抵抗を低減するために比較的幅広いが傾斜されてよい。デブリシールド中の通路を傾斜させることにより、デブリをフィルタにかけるためのシールドの性能を強化する。傾斜していることにより、小さいデブリの小片は、シールドをまっすぐに通って流れることができず、シールド内でトラップされる傾向になる。デブリシールド中の鈍角の通路が、上部タイプレート集合体を通じての上から下への視線の視界を妨げるために、デブリシールドを通じての視界は遮られる。
【0038】
デブリシールド102、136および152は、冷却材などの流体の通過を可能にし、微粒子の通過を阻止するフィルタとして働く。好ましくは、デブリシールドは、冷却材、特に非常用冷却材が、実質的に流動抵抗がない状態でデブリシールドを通って下向きに流れることを可能にする多孔性を有する。好ましくは、デブリシールドは、デブリシールドの両端間でかなり大きい流体の圧力低下を強いることなくデブリの大きさを最小にする細孔径を有するべきである。デブリシールド102、136および152は、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは他のマトリックス材などの多孔性の材料で形成されてよい。好ましくは、デブリシールドの通路は、とても狭くてより大きいデブリの小片を通路に入れさせない。さらに、上部タイプレートのフレームは、多孔性であってよく、たとえば、流体がフレームを通り抜けることを可能にし、デブリの通過を阻止するための小さい垂直な穴を有してよい。フレームの中の穴により上部タイプレートを通る通路の有効流路面積が増大し、それによりデブリシールドによる任意の流量制限を補償またはオフセットする。
【0039】
デブリシールド136は、燃料バンドルの垂直軸に対して傾斜するシールドの中の穴をもたらす波状の断面形状を有してよい。穴の中の傾斜は、デブリを阻止する際に有利である。デブリシールド136の波状の形状は、デブリシールドの上部の稜線および下部の溝をスロットの上面および下面に対して付勢させることによってデブリシールドをスロットに固着するのを助ける。デブリシールドの上部の稜線および下部の溝133は、タイロッド、燃料棒、ウォータロッドおよび各種の上部端栓のねじ付き端部を受容するための開口を含む。好ましくは、デブリシールド136は、冷却材、特に非常用冷却材が燃料バンドルを通って下向きに流れることを可能にする溝および稜線の上部の大部分と下部の大部分の間で並んで多孔性を有する。
【0040】
構造的に強いデブリシールド152は、耐力構造として働き、フレームの上部部分および下部部分の1つまたは複数を置き換えることができる。デブリシールド152は、ハニカム状金属構造、ワイヤまたはメッシュ生地、スポンジ、格子、交差する棒または細長い薄板のアレイ、あるいは多孔性である他のマトリックスであってよい。デブリシールドを通る通路は、デブリシールドのデブリフィルタリング機能を保持しながらデブリシールドの両端間で任意の流体の圧力低下を最小にするために多数あってよい。
【0041】
本発明を最も実用的な好ましい実施形態であると現在みなされるものと共に説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されることはなく、しかし一方、添付した特許請求の範囲の精神および範囲の中に含まれるさまざまな修正形態および均等な構成を包含するように意図されることが理解されよう。