(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が前記比較速度を超えた時間が第2所定時間以上経過した場合に、前記ロボットへの電力供給を遮断する、請求項1に記載のロボット制御装置。
前記速度検出器は、前記ロボットを駆動するサーボモータの回転を検出するエンコーダの出力を検出することにより前記ロボットの速度を検出する、請求項1〜4の何れかに記載のロボット制御装置。
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が予め定められた停止速度以下となった場合に、前記ロボットへの電力供給を遮断する、請求項1〜5の何れかに記載のロボット制御装置。
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が前記比較速度を超えない限り、前記ロボットの速度が0になっても前記ロボットへの電力供給を維持する、請求項1〜5の何れかに記載のロボット制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多軸ロボットを直線補間(ロボットの先端部の移動経路が直線となる動作制御)等を用いてロボットの各軸が同期した状態で動作させている場合、ロボットの各軸の動作速度は、一時的に初期速度を超える場合があるため、上記特許文献1の構成において、ロボットの各軸の動作速度を監視すると、正常な停止制御が行われているにも拘わらず、停止カテゴリ0への切り替えを行ってしまう場合がある。例えば、物品を保持している状態において、電力供給を遮断することにより急制動をかけてしまうと物品を飛散させてしまう等の問題が生じ得るため、なるべくロボットを制御して物品に衝撃が加わらないように(物品を保持したまま)停止させることが望まれる。従って、ロボットを制御して停止させる状況下においては、なるべく停止制御を維持することが望まれる。
【0006】
また、停止命令を受けたにも拘わらず減速せず等速動作を維持するような異常が発生した場合、上記特許文献1の構成においては、異常の発生を検出することができず、停止カテゴリ0への切り替えが行われないため、予め定めた時間内にロボットを停止させることができない問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、ロボットの停止制御をなるべく維持しつつ、ロボットを予め定めた時間内に確実に停止させることができるロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るロボット制御装置は、ロボットの速度を監視するロボット制御装置において、ロボットの動作速度(以下、単に速度という)を検出する速度検出器と、前記ロボットの動作を制御するロボット制御器と、前記ロボット制御器が前記ロボットの停止制御を開始した後、前記速度検出器で検出されたロボットの速度と第1所定時間で最高速度から0へ減少する比較速度とを比較する速度比較器と、前記速度比較器による比較の結果、前記ロボットの速度が前記比較速度を超えた場合に、前記ロボットへの電力供給を遮断する電力供給遮断器と、を備えている。
【0009】
上記構成によれば、停止制御が開始されたロボットの速度が速度検出器で検出され、比較速度と比較される。比較速度は、ロボットの速度が所定時間で最高速度から0へ減少するので、この所定時間を、ロボットが停止するまで減速するのに要する最大の時間として規定することができる。従って、ロボットの速度が一時的に上昇した場合でも、その速度は正常動作である限り最高速度以下であり、比較速度を超えない。すなわち、ロボットの速度が比較速度を超えた場合には、異常が発生したものと判定することができる。また、比較対象である比較速度も時間とともに減少するため、停止命令を受けたにも拘らずロボットが減速されず等速動作を維持するような異常が発生した場合でも、確実に異常を検出することができる。そして、これらのような異常が生じた場合には、電力供給遮断器によりロボットへの電力供給が遮断される。従って、ロボットの停止制御をなるべく維持しつつ、ロボットを予め定めた時間内に確実に停止させることができる。
【0010】
なお、ロボットの速度は、ロボットの各軸の速度であってもよいし、ロボットの動作を直線補間等で補間演算した際の補間速度(例えば直線速度等)であってもよい。
【0011】
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が前記比較速度を超えた時間が第2所定時間以上経過した場合に、前記ロボットへの電力供給を遮断するよう構成されてもよい。これにより、速度の誤検出等によって一時的にロボットの速度が比較速度を超えた場合であっても、第2所定時間以上経過しない限り、ロボットへの電力供給を遮断しないため、より適正な制御を行うことができる。
【0012】
前記比較速度は、時間の単調減少関数であってもよい。さらに、前記比較速度は、時間の一次関数であってもよい。これによれば、比較速度関数を求める演算量を低減しつつ、ロボットの停止態様の選択を適正に行うことができる。
【0013】
前記速度検出器は、前記ロボットを駆動するサーボモータの回転を検出するエンコーダからの出力を検出することにより前記ロボットの速度を検出するよう構成されてもよい。速度検出器がロボットからのエンコーダ出力を検出することにより、別途速度を検出するセンサ等を設けることなく当該ロボットの速度を高精度に検出することができる。
【0014】
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が予め定められた停止速度以下となった場合に、前記ロボットへの電力供給を遮断するよう構成されてもよい。これにより、停止カテゴリ1の停止制御をなるべく維持しつつロボットを予め定めた時間内に確実に停止させることができる。
【0015】
前記電力供給遮断器は、前記ロボットの速度が前記比較速度を超えない限り、前記ロボットの速度が0になっても前記ロボットへの電力供給を維持するよう構成されてもよい。これにより、停止カテゴリ2の停止制御をなるべく維持しつつロボットを予め定めた時間内に確実に停止させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上に説明したように構成され、ロボットの停止制御をなるべく維持しつつ、ロボットを予め定めた時間内に確実に停止させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1は本発明の一実施形態に係るロボット制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のロボット制御装置1は、ロボット2の動作制御に適用される。なお、本実施形態においては、
図1に示すように1つのロボット2を制御する例について説明するが、複数のロボットで1つのロボットセルを構成するロボットシステムにおいても適用可能である。
【0019】
ロボット2は、例えば、複数軸回りに回動可能なマニピュレータ21と、当該マニピュレータ21の駆動部23とを有している。駆動部23には、マニピュレータ21の各軸に対応する複数のサーボモータ22が設けられている。また、複数のサーボモータ22の各モータ軸には、それぞれの回転角(量)を検出可能なエンコーダ24が設けられている。なお、ロボット2は、マニピュレータには限定されず、どのような態様のものでもよい。
【0020】
ロボット制御装置1は、ロボット2を動作させるサーボアンプ11を備えている。サーボアンプ11は、例えば、出力を制御可能な電力変換器を備えたモータ制御装置で構成され、後述するロボット制御器12からの制御命令に従って制御した電力を、対応するサーボモータ22に供給してこれを回転させることによりロボット2(マニピュレータ21)を動作させる。ロボット2の制御命令は、ロボット制御器12で生成され、サーボアンプ11に送られる。また、ロボット制御器12には、エンコーダ24の出力が入力され、ロボット2がフィードバック制御される。さらにロボット制御器12には、後述する外部からの停止信号が入力されるよう構成されており、外部からの停止命令(停止信号等)及びロボット2の状態(制御状況)に応じて各サーボモータ22を制御することによりロボット2を停止制御する。さらに、サーボアンプ11は、電源3からの電力をロボット2に供給するよう構成されている。
【0021】
このようにサーボアンプ11は、ロボット制御器12からの制御命令に基づいて、ロボット2の各サーボモータ22の動作制御及び電力供給制御を行う。
【0022】
電源3とサーボアンプ11との間の電力供給路には、電源3からサーボアンプ11への電力供給を実行又は遮断する電力供給スイッチ13が設けられている。電力供給スイッチ16は、例えば、マグネットコンタクタ等が適用可能である。
【0023】
本実施形態のロボット制御装置1は、ロボット2のエンコーダ出力および外部からの停止命令に基づいてロボット2への電力供給を遮断する安全ユニット14を備えている。安全ユニット14は、駆動部23のエンコーダ24からの出力を取り込み、フィルタリング等を行うインターフェイス(I/F)15と、インターフェイス15が取り込んだエンコーダ出力に基づいてロボット2の速度に関する演算を行う演算器16と、各種データを記憶する記憶器17と、演算器16で演算された結果に基づいて電力供給スイッチ13を電力供給状態から電力遮断状態へ切り替える電力供給遮断回路18とを有している。
【0024】
安全ユニット14は、例えば、マイクロコンピュータを備えており、演算器16には、例えばこのマイクロコンピュータのCPUが用いられる。また、記憶器17には例えばこのマイクロコンピュータの内部メモリが用いられる。演算器16と記憶器17とは相互に接続されている。記憶器17には制御プログラムが格納されている。さらに、記憶器17は、各種データを記憶する。また、演算器16は、記憶器17に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、演算等の処理や制御を行う。具体的には、演算器16は、外部からの停止命令及びインターフェイス15が取り込んだロボット2のエンコーダ出力に基づいて速度比較演算を含む処理を行い、これらの処理結果を記憶器17に記憶し、あるいは処理結果に基づいて電力供給遮断回路18を制御する。
【0025】
なお、本実施形態においては、ロボット制御器12とは別に安全ユニット14を設けた構成について説明しているが、ロボット制御器12に安全ユニット14が設けられた構成としてもよいし、ロボット制御器12が安全ユニット14として機能するよう構成してもよい。
【0026】
ここで、外部からの停止命令は、通常の停止操作による通常停止命令及び緊急時における緊急停止命令を含んでいる。通常の停止操作による通常停止命令は、例えばロボット2とは離間して配置されたコンピュータ等の遠隔操作部(図示せず)から操作入力した信号等を含み、通常停止命令を受信したロボット2は、例えば停止カテゴリ2の停止制御により停止される。この場合、通常停止命令を受けるとロボット制御器12はロボット2を停止制御させてロボット2の停止後に電力供給を保持しつつロボット2の停止状態を監視する。
【0027】
また、緊急停止命令は、例えばロボット2の近傍又は対応する制御パネル近傍に設けられた非常停止ボタン(図示せず)を操作した際に生成される非常停止命令や、ライトカーテン等の侵入センサがロボット2の周囲の所定範囲内に人体等が侵入したことを検出した際に生成される侵入検出信号等を含む。緊急停止命令を受信したロボット2は、例えば停止カテゴリ1又は停止カテゴリ0の停止制御により停止される。例えば、非常停止ボタンを操作した際には停止カテゴリ0で停止制御され、侵入センサが侵入を検出した際には停止カテゴリ1で停止制御されることとしてもよい。この場合、緊急停止命令を受けるとロボット制御器12は緊急停止命令に応じてすぐにロボット2への電力供給を遮断してロボット2を停止させたり、ロボット2を停止制御させてロボット2の停止後に電力供給を遮断したりする。
【0028】
なお、同じ送信源からの緊急停止命令であっても、ロボット2の状況(制御モード、物を把持しているか否か等)に応じて停止カテゴリを切り替えることとしてもよい。
【0029】
演算器16は、インターフェイス15が取り込んだロボット2のエンコーダ出力に基づいてロボット2の速度を検出する速度検出部16aとして機能する。ロボット2の速度とは、ロボット2の動作速度を意味し、具体的には、マニピュレータ21の個々の部分(リンク(アーム部材)、ハンド(ツール)等)の移動速度を意味する。すなわち、エンコーダ24および速度検出部16aは、速度検出器を構成する。さらに、演算器16は、ロボット2の速度が所定時間(第1所定時間)で最高速度から0へ減少するような比較速度関数を演算する比較速度関数演算部16bとしても機能する。また、演算器16は、ロボット制御器12によるロボットの減速開始時から速度検出器で検出されたロボット2の速度と、比較速度関数演算部16bで演算された比較速度関数に基づいた比較速度とを比較する速度比較部16cとしても機能する。すなわち、比較速度関数演算部16b及び速度比較部16cは、速度比較器を構成する。さらに、演算器16は、速度比較器においてロボット2の速度が比較速度を超えた場合に、電力供給遮断回路18をロボット2への電力供給を遮断するように制御する電力供給遮断部16dとしても機能する。すなわち、電力供給遮断部16d及び電力供給遮断回路18は、電力供給遮断器を構成する。
【0030】
図2は
図1に示すロボット制御装置における制御の流れを示すフローチャートである。まず、サーボアンプ11へ電源3から電力供給されることにより、ロボット2が動作可能状態となるように、電力供給スイッチ13がON状態となる。この状態で、サーボアンプ11は、ロボット制御器12からの制御命令に基づいてロボット2の各サーボモータ22を制御する。これにより、ロボット2が動作制御される。
【0031】
このようなロボット2の動作状態において、安全ユニット14の演算器16は、
図2に示すように、外部からの停止命令が入力されるかどうかを監視する(ステップS1)。外部からの停止命令が入力された場合(ステップS1でYes)、演算器16は、停止命令及び/又はロボット2の制御状況に基づいて、ロボット2を制御して停止させるか否か、すなわち、停止カテゴリが0以外か否かを判定する(ステップS2)。
【0032】
停止カテゴリが0以外の場合(ステップS2でYes)、ロボット2を制御して停止させるために、演算器16は、比較速度関数演算部16bとして機能し、比較速度関数を演算する。具体的には、ロボット2のサーボモータ22の能力等に基づいてロボット2の速度が所定時間(第1所定時間)で最高速度から0へ減少するような比較速度関数を演算する(ステップS3)。
【0033】
図3は
図1に示すロボット制御装置における停止制御時のロボットの速度変化を示すグラフである。本実施形態においては、ロボット2が等速で移動している状態を例にとって説明する。比較速度関数f(t)は、安全ユニット14の演算器16が停止命令を受けた時刻をt
0とし、t
0から所定時間経過後の時刻t
1からさらに所定時間経過後の時刻t
2までにロボット2の速度が最高速度V
mから0となる関数として演算される。本実施形態において、比較速度関数f(t)は単調減少関数であり、より詳しくは、一次関数である。具体的には、比較速度関数は、f(t)=−(V
m/(t
2−t
1))t+V
m・t
2/(t
2−t
1)…(1)と例示される。
【0034】
なお、本実施形態においては、演算器16が停止命令を受けた時刻t
0に基づいて比較速度関数f(t)全体を演算しているが、これに限られず、例えば記憶器17に一又は複数のパラメータを代入可能な比較速度関数を予め記憶しておき、停止命令を受けた時刻t
0に基づいて比較速度関数のパラメータを演算して代入することとしてもよい。具体的には、停止命令を受けた後、実際にロボット2が停止動作を開始するまでにかかる準備時間T
p(時刻t
0から時刻t
1までの時間)及びロボット2が
最高速度から減速を開始して停止するまでに(必要な)許容される最大停止時間T
m(時刻t
1から時刻t
2までの時間)を予め定めておき、これらの準備時間T
p及び最大停止時間T
mと停止命令を受けた時刻t
0とに基づいて比較速度関数f(t)を演算することとしてもよい。すなわち、比較速度関数として、上記式(1)において、t
1=t
0+T
p,t
2=t
0+T
p+T
mを代入した、f(t)=−(V
m/t
m)t+V
m・(t
0+T
p+T
m)/t
mを用いてもよい。このように、比較速度関数f(t)は停止命令を受けた時刻t
0のみに基づいて決定可能である。
【0035】
停止命令を受けた時刻t
0から準備時間T
pを経過して時刻t
1になると(比較速度関数の演算後)、ロボット制御器12は、サーボアンプ11を介してロボット2の停止制御を開始する(ステップS4)。ロボット2の停止制御は、マニピュレータ21の各軸の速度(各サーボモータ22の回転速度)をそれぞれ減速させるように制御してもよいし、マニピュレータ21の先端部が直線補間や円弧補間等の補間演算により動作している場合には、当該マニピュレータ21の先端部における直線移動速度や円弧移動速度が減少するように制御してもよい。
【0036】
ロボット2の停止制御が開始されると、安全ユニット14の演算器16は、速度検出部16aとして機能し、ロボット2の各サーボモータ22の動作に応じた各エンコーダ24からの出力を検出することによりロボット2の速度を検出する(ステップS5)。ロボット2の速度は、マニピュレータ21の各軸の速度(各サーボモータ22の回転速度)をそのままロボット2の速度として検出してもよいし、速度検出部16aで直線補間や円弧補間等の補間演算を行い、各軸の速度からマニピュレータ21の先端部の直線速度や円弧速度等の補間速度を演算したものをロボット2の速度として検出してもよい。検出されたロボット2の速度(以下、検出速度と言う)は、記憶部17に一時記憶される。また、上述した比較速度関数f(t)に用いられるロボット2の最高速度V
mについてもマニピュレータ21の各軸について演算された速度でもよいし、補間演算によって演算された補間速度でもよい。
【0037】
そして、演算器16は、速度比較部16cとしても機能し、ステップS5で検出されたロボット2の検出速度と比較速度関数f(t)の従属変数である比較速度(当該時刻tにおける比較速度関数f(t)の値)とを比較する(ステップS6)。ロボット2の検出速度が比較速度を超えた場合(ステップS6でYes)、演算器16は電力供給遮断部16dとして機能し、電力供給スイッチ13を開放して電源3からサーボアンプ11(ロボット2)への電力供給を遮断するよう電力供給遮断回路18を制御する(ステップS7)。すなわち、ロボット2の検出速度が比較速度を超えた場合には、停止カテゴリを0に切り替える。
【0038】
一方、ロボット2の検出速度が比較速度を超えなかった場合(ステップS6でNo)、演算器16は、ロボット2の検出速度が予め定められた速度(停止速度)V
s以下か否かを判定する(ステップS8)。ロボット2の検出速度が停止速度V
sを超えている場合は(ステップS8でNo)、減速制御を継続する(ステップS6)。そして、ロボット2の検出速度が停止速度V
s以下となった場合(ステップS8でYes)に、演算器16は、停止命令及び/又はロボット2の制御状況に基づいて、停止カテゴリが1か否かを判定する(ステップS9)。
【0039】
停止カテゴリが1の場合(ステップS9でYes)、演算部16は、電力供給遮断部16dとして機能し、電力供給スイッチ13を開放して電源3からサーボアンプ11(ロボット2)への電力供給を遮断する。これにより、停止カテゴリ1の停止制御をなるべく維持しつつロボット2を予め定めた時間内に確実に停止させることができる。
【0040】
また、ロボット2の検出速度が停止速度V
s以下となった場合でも停止カテゴリが1でない場合(すなわち、停止カテゴリが2である場合)には、演算器16は、電力供給遮断制御を行わず、ロボット2への電力供給を維持する(ステップS9でNo)。これにより、停止カテゴリ2の停止制御をなるべく維持しつつロボット2を予め定めた時間内に確実に停止させることができる。さらに、演算器16は、図示しないが、各エンコーダ24からの出力より速度検出を継続して行い、ロボット2の検出速度が0以上になった場合には、ロボット2への電力供給を遮断するよう制御する。
【0041】
以上のように、上記構成によれば、停止命令に基づいて減速を開始したロボット2の速度が速度検出器で検出され、比較速度関数f(t)に従った比較速度と比較される。比較速度関数f(t)は、ロボット2の速度が所定時間で最高速度から0へ減少するような関数であり、当該所定時間をロボット2が停止するまで減速するのに要する最大の時間として規定することができる。従って、ロボット2の速度が一時的に上昇した場合でも、その速度は正常動作(
図3(a)に示す)である限り最高速度以下であり、比較速度関数f(t)に従った比較速度を超えない。すなわち、ロボット2の速度が比較速度関数f(t)に従った速度を超えた場合には、異常が発生したものと判定することができる。
【0042】
また、比較対象である比較速度関数f(t)に従った比較速度も時間とともに減少するため、
図3(b)に示すように、停止命令を受けたにも拘らずロボット2が減速されず等速動作を維持するような異常が発生した場合でも、確実に異常を検出することができる。さらに、本実施形態においては、比較速度関数f(t)が、一次関数であるため、比較速度関数f(t)を求める演算量を低減しつつ、ロボット2の停止態様の選択を適正に行うことができる。そして、これらのような異常が生じた場合には、演算器16及び電力供給遮断回路18で構成される電力供給遮断器によりロボット2への電力供給が遮断される。従って、ロボット2の停止制御をなるべく維持しつつ、ロボット2を予め定めた時間(第1所定時間)内に確実に停止させることができる。
【0043】
加えて、ロボット2からのエンコーダ出力を検出することにより、ロボット2の速度を検出するため、別途速度を検出するセンサ等を設けることなく当該ロボット2の速度を高精度に検出することができる。
【0044】
本実施形態において、電力供給遮断部16dとして機能する演算器16は、
図3(b)に示すように、ロボット2の検出速度が比較速度を超えた時間が所定時間(第2所定時間)T
i以上経過した場合に、ロボット2への電力供給を遮断するよう構成されている。これにより、速度の誤検出等によって一時的にロボットの検出速度が比較速度を超えた場合であっても、所定時間T
i以上経過しない限り、ロボット2への電力供給を遮断しないため、より適正な制御を行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、比較速度関数f(t)を停止信号に応じて安全ユニット14の演算器16で演算することとしているが、本発明はこれに限られず、例えば別の制御器(例えばロボット制御器12等)で演算を行い、当該演算結果を安全ユニット14の記憶器17に記憶することとしてもよい。また、外部からの停止命令を受けるたびに比較速度関数f(t)を演算することとしてもよいし、予め演算された比較速度関数f(t)を記憶器17に記憶しておくこととしてもよい。予め記憶しておく場合には、比較速度関数f(t)の時間軸は、ロボット2の減速開始時がt=0となる関数として演算される。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。