【実施例】
【0014】
この発明の一実施例を実験に従って詳細に説明すると、古新聞紙をシュレッダー等により裁断して小片化する工程と、小片化された古新聞紙(1)をミキサー(2)に約20g〔新聞紙4面(縦54.5×81.2cm)に相当分〕を入れ、これにアルカリ性電解水(3)を1リットルを加え、高速攪拌して古新聞紙を繊維状にする工程と、この繊維状になった離解溶液を5リットルの攪拌槽(4)に移した後、液体の界面活性剤4ミリリットルを加えた後、緩やかに攪拌する工程と、溶液表面に遊離されるインクを、ガーゼで試作(縦・横40cm)したラガー(紐)を羽根型攪拌棒(5)に取り付けて、ゆっくり低速(60〜70回転/分)で回転させて浮遊してくるインクを除去する工程と、その際にラガーの汚れの様子を観察しながら、5回程度繰り返してラガーの取り替え洗浄する工程と、次に、脱インク化(脱墨)され、離解した繊維状の古紙パルプ(6)を得る工程と、これを脱水(ろ過)する工程と、ついで、集積した古紙パルプの水洗(5リットル×3回)を行う工程と、その後、乾燥し脱インク(脱墨)された古紙パルプを得る工程からなり、その結果、古紙12.2g(回収率60.1%)を得た。
【0015】
尚、前記記載のアルカリ性電解水に替わり、酸性電解水を用いる以外、全く同じ規模で操作を行ったが、この酸性電解水で処理した古紙パルプは、リグニンを効率よく除去することは出来ず、漂白効果に乏しく、しかも、酸の影響によりパルプの強度を弱めるなどの悪影響を及ぼし、全体的に淡く黒ずんだものであり、期待したほど白色化した古紙パルプは得られなかった。
【0016】
さらに、〔0014〕と〔0015〕に記載した電解水(アルカリ性水及び酸性水)の替わりに水道水を用いて、得た古紙パルプでは、白色度をあげるためには、使用する界面活性剤を2倍量(8ミリリットル)に増やす必要があり、同時に使用した界面活性剤除去のための水洗に多量の水を使用しなければならず、また、水洗回数が残存する酸の影響により増すごとにパルプ繊維の流出も増加し、古紙パルプとしての回収率(20〜40%)は低下した。
【0017】
このように、この発明は、電解水の中でもアルカリ性電解水と種々の界面活性剤を検討したが、特に液体の界面活性剤(直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を共存させて処理することにより、新聞紙や印刷された古紙に関わる古紙表面から脱インク(脱墨)化が効率よく進み、目的とした白色のパルプ繊維が得られた。
【0018】
白色度向上には脱インク(脱墨)され、離解されたパルプ繊維の中に付着しているインクを水洗の回数を増やすことにより対応できるが、古紙の回収率低下の要因にもなった。
【0019】
一方、普通水(水道水)を利用した古紙パルプでと白色度を上げるためには、使用する界面活性剤の添加量(0.0025%)を増やす必要があり、同時に使用した界面活性剤除去のための水洗に多量の水が必要となった。また、水洗回数が残存する酸の影響により増すごとにパルプ繊維の流出も増加し、古紙パルプとしての回収率(20〜40%)は低下した。
【0020】
以上のことから、本願の古新聞紙や印刷された古紙を原料とした古紙パルプの製造方法は、塩の電気分解によって得られたアルカリ性電解水を利用する方法がよく、高い白色度を要求しないトイレットペーパーなどに利用することが可能であり、リサイクル古紙パルプ資材として、回収できる処理方法を開発したものである。
【0021】
尚、前記脱インク(脱墨)処理した初回の排水についてのリサイクル使用が可能であるか、否かについては、カチオン性高分子凝集剤を添加することにより凝集分離は可能となり、排水処理においても公害汚染を防止できるものである。
【0022】
そして、この発明に使用するアルカリ性電解水と、酸性電解水及び水道水を用いて脱墨促進作用の実験を行った。その方法は次の通りである。
1. 回収された古新聞紙等の印刷された古紙を小片(約5cm×5cm)に裁断し、その5gをづつをとる。
2. ミキサーにこれら裁断された上記の古紙を、500ミリリットルの酸性電解水、アルカリ性電解水、そして水道水を注いだ。
3. 使用した界面活性剤(直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)は、本条件下では、0.2ミリリットルを添加した。
4. ミキサーにて攪拌し、離解・脱墨した3種類の古紙パルプを得た。
5. 10リットル容器に水道水を5リットル入れ、得られた古紙パルプを洗浄した。 (汚れの程度を確認しながら3回繰り返し洗浄を行った。)
6. 100°Cの温風で10分間乾燥させた。
7. 得られたそれぞれの再生紙の白色度を色差計(Macbeth 社製 COLOR−EYE 2020)にて測定し白色度を検討し評価を行った。
その結果、
図3に示した結果となった。
【0023】
この発明に使用するアルカリ性電解水を用いた場合は、白色度:63.73%、酸性電解水を用いた場合は、白色度:61.52%、そして水道水を用いた場合は、白色度:59.16%となった。
【0024】
これらの結果、
1. 白色度からアルカリ性電解水を用いて離解・脱墨工程を行ったものが、最も高い値を示し、ついで、酸性電解水、水道水の順であった。
2. アルカリ性電解水の白色度が最も高い値になった理由としては、脱墨されたカーボン粒子を含む油がアルカリ性側において添加した中性の界面活性剤のミセル生成における熱力学的パラメーターが大きく、ミセル形成と同時に吸着凝集が良好に生起されたものと考えられる。
3. 酸性電解水の白色度が水道水よりも高くなったのは、含有される次亜塩素酸の漂白作用と酸性側における添加した中性の界面活性剤のミセル生成が一部形成された影響によるものと考えられる。
4. 予備試験の結果、古紙パルプの洗浄には、経済的にも水道水を使用した方が望ましい。
5. 添加する界面活性剤は、0.2ミリリットル/リットル以上が必要であり、求める再生紙の白色度により添加量を増減することが確認できた。
【0025】
この試験により、電解水は界面活性剤との併用により脱墨を促進させる作用があることが確認できた。また、電解水を使用することにより脱墨工程における界面活性剤の使用を削減することが可能と考えられる。