(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮影モード決定部は、同じ種別のレンズであっても前記レンズを個別に識別する情報の違いによって、選択可能な撮影モードを異ならせて決定することを特徴とする、請求項5に記載の撮像装置。
前記撮影モードは、前記レンズのフォーカス処理をオートフォーカスとマニュアルフォーカスとで切り替えるフォーカスモードを含むことを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.撮像装置の機能構成]
まず、本発明の一実施形態にかかる撮像装置の機能構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置10の機能構成を示す説明図である。以下、
図1を用いて本発明の一実施形態に係る撮像装置10の機能構成について説明する。
【0025】
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る撮像装置10は、本体部100と、レンズ部200と、を含んで構成される。
【0026】
本体部100は、シャッタ102と、CMOSイメージセンサ104と、画像入力コントローラ106と、不揮発性メモリ108と、DSP・CPU110と、圧縮処理回路112と、LCDドライバ114と、表示部116と、VRAM118と、メモリ120と、メディアコントローラ122と、記録メディア124と、操作部126と、ドライバ128と、モータ130と、バッテリ132と、を含んで構成される。
【0027】
また、レンズ部200は、ズームレンズ202と、絞り204と、フォーカスレンズ206と、A/D変換器208と、レンズCPU210と、ROM212と、RAM214と、ドライバ216、218と、モータ220,222と、を含んで構成される。
【0028】
まず、本体部100の各部について説明する。シャッタ102は、レンズ部200から入射される入射光の入射時間を調節するためのものである。シャッタ102は、本実施形態においては電子シャッタを用いることによって入射光を制御して、電気信号を取り出す時間を調節しているが、メカシャッタを用いることによって入射光を制御して、電気信号を取り出す時間を調節してもよい。
【0029】
CMOSイメージセンサ104は、レンズ部200からから入射された光を電気信号に変換するための素子である。CMOSイメージセンサ104は、CDS回路142と、A/D変換器144と、を含んで構成される。CDS回路142は、CMOSイメージセンサ104から出力された電気信号の雑音を除去する、サンプリング回路の一種であるCDS回路と、雑音を除去した後に電気信号を増幅するアンプとが一体となった回路である。本実施形態ではCDS回路とアンプとが一体となった回路を用いて撮像装置10を構成しているが、CDS回路とアンプとを別々の回路で構成してもよい。A/D変換器144は、CMOSイメージセンサ104で生成された電気信号をデジタル信号に変換して、画像の生データを生成するものである。
【0030】
画像入力コントローラ106は、A/D変換器144で生成された画像の生データの入力を制御するものである。不揮発性メモリ108は、撮像装置10を制御するための実行プログラムや、撮像装置10の制御に必要な管理情報を記録するものである。本実施形態では、後に詳述するが、レンズ部200を識別するためのレンズ識別情報と、そのレンズ部200を本体部100に装着した場合に撮像装置10が選択可能なシーンモードの情報を関連付けて記録する。
【0031】
DSP・CPU110は、CMOSイメージセンサ104やCDS回路142などに対して信号系の命令を行ったり、操作部126の操作に対する操作系の命令を行ったりする。本実施形態においては、
図1にDSP・CPU110を一体として図示しているが、信号系の命令と操作系の命令とを別々の制御部で(例えば、CPUとDSPに分けて)実行するようにしてもよい。
【0032】
DSP・CPU110は、タイミングジェネレータ(TG)151と、I/O152と、SIO153と、AE/AWB/AF評価値算出部154と、適正AWB算出部155と、画像処理部156と、AF演算・制御部157と、AE演算・制御部158と、GUI管理部159と、モード決定部160と、を含んで構成される。
【0033】
タイミングジェネレータ151は、CMOSイメージセンサ104にタイミング信号を入力する。タイミングジェネレータ151からのタイミング信号によりシャッタ速度が決定される。つまり、タイミングジェネレータ151からのタイミング信号によりCMOSイメージセンサ104の駆動が制御され、CMOSイメージセンサ104が駆動する時間内に被写体からの映像光を入射することで、画像データの基となる電気信号が生成される。
【0034】
I/O152は、DSP・CPU110からドライバ128への制御を送出するものである。撮影者の操作部126の操作に基づいて、DSP・CPU110はドライバ128へ対して、シャッタ102の開閉を実行する命令を送出する。
【0035】
SIO153は、レンズ部200との通信制御を実行したり、CMOSイメージセンサ104に内蔵されているアンプに対してゲイン制御等を実行したりするものである。
【0036】
AE/AWB/AF評価値算出部154は、CMOSイメージセンサ104から入力された画像を複数のエリアに分割し、各ブロックの輝度やRGB平均値、コントラスト値等の特徴量を算出するものである。
【0037】
適正AWB算出部155は、CMOSイメージセンサ104から入力された画像からAE/AWB/AF評価値算出部154が算出したRGB平均値から、適正なホワイトバランスを算出するものである。
【0038】
画像処理部156は、CMOSイメージセンサ104から入力された画像に対する各種画像処理、例えばガンマ調整、輪郭調整、ホワイトバランス補正、ゲイン調整等を実行するものである。
【0039】
AF演算・制御部157は、AE/AWB/AF評価値算出部154が算出した画像コントラスト値を評価し、その画像コントラスト値のピーク値を探索すべく、レンズ部200のフォーカスレンズ206の移動方向、速度を決定するものである。
【0040】
AE演算・制御部158は、AE/AWB/AF評価値算出部154が算出したブロック別の輝度値を総合的に評価し、次回の画像入力(ライブビュー画像用)およびリリース後の撮影時に最適なシャッタ速度、絞り値、ゲインを決定するものである。
【0041】
GUI管理部159は、表示部116に表示する画像やアイコンの表示を制御するものであり、表示部116にタッチパネル機能を搭載している時は、撮影者の操作を検出し、信号の解析・管理を実行するものである。
【0042】
モード決定部160は、本体部100に装着されるレンズ部200の種別に応じた撮影モード、例えばシーンモードを決定したり、撮影者の操作に基づいて撮影モードを決定したりするものである。モード決定部160が、例えば所定のシーンモードを決定すると、AE演算・制御部158は、決定したシーンモードに応じて適切な絞りやシャッタ速度を決定する。モード決定部160による具体的な撮影モードの決定処理については後に詳述する。
【0043】
圧縮処理回路112は、光量のゲイン補正やホワイトバランスの調整が行われた画像を、適切な形式の画像データに圧縮する。画像の圧縮形式は可逆形式であっても非可逆形式であってもよい。適切な形式の例として、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式やJPEG2000形式に変換してもよい。
【0044】
表示部116は、撮影操作する前のライブビュー表示や、撮像装置10の各種設定画面や、撮影した画像を表示する。画像データや撮像装置10の各種情報の表示部116への表示は、LCDドライバ114を介して行われる。
【0045】
VRAM118は、表示部116に表示する内容を保持するものであり、表示部116の解像度や最大発色数はVRAM118の容量に依存する。
【0046】
メモリ120は、撮影した画像を一時的に記憶するものである。メモリ120は、複数の画像を記憶できるだけの記憶容量を有している。メモリ120への画像の読み書きは画像入力コントローラ106によって制御される。メモリ120としては、例えば、
図5に示したようにSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)を用いてもよい。
【0047】
記録メディア124は、撮像装置10で撮影した画像を記録するものである。記録メディア124への入出力は、メディアコントローラ122によって制御される。記録メディア124には、フラッシュメモリにデータを記録するカード型の記憶装置であるメモリカードを用いることができる。
【0048】
操作部126は、撮像装置10の操作を行ったり、撮影時の各種の設定を行ったりするための部材が配置されている。操作部126に配置される部材には、電源ボタン、撮影モードの選択する十字キーおよび選択ボタン、被写体の撮影動作を開始するシャッタボタン等を含んでいてもよい。
【0049】
ドライバ128は、シャッタ102を動作させるためのモータ130の駆動を制御するものである。バッテリ132は、所定の電力を蓄え、本体部100やレンズ部200に電力を供給するものである。
【0050】
次に、レンズ部200の各部について説明する。ズームレンズ202は、光軸方向に前後して移動させることで焦点距離が連続的に変化するレンズであり、被写体の大きさを変化して撮影する。絞り204は、画像を撮影する際に、モータ220によって、本体部100のCMOSイメージセンサ104に入ってくる光量を調節する。フォーカスレンズ206は、モータ222によって光軸方向に前後して移動させることで被写体のピントを調節するものである。
【0051】
本実施形態においては、ズームレンズ202およびフォーカスレンズ206は1枚のみ示しているが、ズームレンズ202の枚数は2枚以上であってもよく、フォーカスレンズ206の枚数も2枚以上であってもよい。
【0052】
A/D変換器208は、ズームレンズ202およびフォーカスレンズ206の位置情報をデジタル情報に変換するものである。A/D変換器208は、デジタル情報に変換したズームレンズ202およびフォーカスレンズ206の位置情報をレンズCPU210に送る。
【0053】
レンズCPU210は、レンズ部200の内部動作の制御、および本体部100との間の情報の通信を制御するものである。例えば、レンズCPU210は、A/D変換器208でデジタル情報に変換されたズームレンズ202およびフォーカスレンズ206の位置情報を受け取って解析することで、ズームレンズ202およびフォーカスレンズ206の位置を把握し、本体部100へ位置情報を送信する。また、レンズCPU210は、本体部100からズームレンズ202、絞り204、フォーカスレンズ206の位置や値を指定するための命令を受け取ると、ズームレンズ202、絞り204、フォーカスレンズ206の位置や値を指定する。
【0054】
レンズCPU210はSIO211を備え、このSIO211が、本体部100のDSP・CPU110に備えられているSIO153との間で通信を実行することで、本体部100とレンズ部200との間で通信が行われる。
【0055】
ROM212は、レンズCPU210が読み出して順次実行することでレンズ部200の動作を制御するためのコンピュータプログラムや、レンズ部200の各種設定(例えば、レンズの型番やシリアル番号等)が格納されるものである。またRAM214は、レンズ部200の動作のために書き換え可能な情報が格納されるものである。
【0056】
ドライバ216、218は、絞り204およびフォーカスレンズ206を動作させるモータ220、222の駆動を制御する。ドライバ216、218を介して絞り204およびフォーカスレンズ206を動作させることで、被写体の大きさや光の量、ピントを調節することができる。
【0057】
以上、
図1を用いて本発明の一実施形態に係る撮像装置10の機能構成について説明した。次に、本発明の一実施形態に係る撮像装置10の動作について説明する。
【0058】
[1−2.撮像装置の動作]
本発明の一実施形態に係る撮像装置10は、自動シーンモード選択機能を備えている。撮像装置10は、シーンモードの判断材料として、被写体の特徴量、例えば輝度や色の偏り、撮影距離などを参照する。一例をあげると、例えば、画像の輝度が所定値以上であれば屋外シーンであると推定でき、かつ、撮影距離が近接域でない範囲であれば、撮像装置10は輝度及び撮影距離を考慮して、シーンモードの候補として「風景」を挙げることが可能になる。
【0059】
被写体の特徴量以外に重視すべき判断材料としては、本体部100に装着されるレンズ部200が有するレンズ特性がある。例えば、レンズ部200が望遠レンズである場合には、被写体に近寄ることが難しい「スポーツ」や、背景をぼかして撮りたい「ポートレート」などが有力なシーンモードの候補であり、室内のシーンを想定した「キャンドル」はシーンモードの対象外として扱うのが適当である。
【0060】
このように、本体部100に装着されるレンズ部200が有するレンズ特性は、シーンモード判定における重要な一要素として参照される。なお、特殊な場合として、レンズ部200にマクロ撮影のためのボタンが配置されている場合に、撮影者が当該ボタンを操作してマクロ設定にした場合には、シーンモードは「クローズアップ」に限定されるのが適当である。
【0061】
また、レンズ一体型の撮像装置であればレンズ特性は一意に決まるが、レンズ交換型の撮像装置、例えば一眼型のスチルカメラの場合には、本体に装着されたレンズに応じて同じ被写体であってもシーン認識の結果が異なることも考えられる。
【0062】
ここで、レンズ特性を考慮した場合の、シーンモードの選択例を以下に示す。
【0064】
上述したように、自動シーンモード選択機能は、シーンモードの認識結果や処理内容に不満を持つ撮影者にとっては、マニュアル操作でシーンモードを選択したいと考える撮影者も多い。その際に。手動によるシーンモード選択時には、撮像装置10の本体部100に装着されている、レンズ部200のレンズ特性に相応しいシーンモードだけが事前に選出されていれば、使い勝手は大いに向上する。
【0065】
また、昨今では撮像装置の表示部を直接触ることで撮像装置を操作する、タッチパネルによるユーザインタフェースを備えた撮像装置も数多く存在する。そのような撮像装置においては、シーン選択時の表示画面は、レンズ特性に相応しい自動選出されたシーンモードが、1つの画面内で全て表示されることが望ましい。
【0066】
図2(a)(b)は、レンズ部200のレンズが広角ズームレンズである場合に、撮像装置10の本体部100にレンズ部を装着した際に表示部116に表示される画面の一例を示す説明図である。上記の表1に示したレンズ特性を全く考慮しないと、表示部116には全てのシーンモードが表示されることになる。
【0067】
ここで、上記の表1に示したレンズ特性を考慮すると、選択対象のシーンモードのみを表示部116に表示させることができる。
図3(a)(b)は、レンズ部200のレンズが広角ズームレンズである場合に、撮像装置10の本体部100にレンズ部を装着した際に表示部116に表示される画面の一例を示す説明図である。
【0068】
図3(a)(b)には、レンズ部200のレンズが広角ズームレンズである場合に、上記の表1に示したレンズ特性を考慮して、選択対象のシーンモードのみを表示部116に表示させた際の表示例が図示されている。上記の表1では、広角ズームレンズの場合には「スポーツ(S)」がシーンモードの選択対象外となっている。従って、
図3(b)のように、「スポーツ(S)」は表示部116に表示されない。
【0069】
このように、上記の表1に示したレンズ特性を考慮すると、選択対象のシーンモードのみを表示部116に表示させることができるが、依然として操作画面が2面に渡っている。そこで、撮影者によって、撮影者の興味がないシーンモードを削除することができれば、次回からは簡単な設定画面を構成することができる。
【0070】
例えば、レンズ部200のレンズが広角ズームレンズである場合に、撮影者が、「クローズアップ」と「キャンドル」のシーンモードは不要であると判断すると、撮影者は、撮像装置10に対して所定の操作を実行することで、これらのシーンモードを選択対象外に指定することができる。
【0071】
図4は、レンズ部200のレンズが広角ズームレンズである場合に、撮像装置10の本体部100にレンズ部を装着した際に表示部116に表示される画面の一例を示す説明図である。
図4は、上記の表1に示したレンズ特性を考慮し、さらに、撮影者によって「クローズアップ」と「キャンドル」のシーンモードが選択肢から削除された場合に、選択対象のシーンモードのみを表示部116に表示させた際の表示例が図示されている。
【0072】
このように、上記の表1に示したレンズ特性を考慮し、さらに、撮影者によって「クローズアップ」と「キャンドル」のシーンモードが選択肢から削除されると、設定画面が1画面に収まり、撮影者によるシーンモードの選択時の利便性を高め、シーンモードの選択の際の時間短縮を図ることができる。
【0073】
また、シーンモードは、不要なものを削除するだけでなく、撮影者が必要と思うものを追加できるようにしてもよい。例えば、上記の表1に示したレンズ特性を考慮すると、広角ズームレンズであるレンズ部200を撮像装置10の本体部100に装着させると、「スポーツ(S)」がシーンモードの選択対象外となっている。しかし、撮影者の中には、広角ズームレンズを装着した場合であっても、その選択対象外となったシーンを選択したいと考える場合もある。従って、広角ズームレンズを撮像装置10の本体部100に装着させた場合に、所定の操作にて「スポーツ(S)」がシーンモードの選択対象となるように設定できるようにすることが望ましい。また例えば、魚眼レンズを室内でも多用する撮影者が、上記の表1を考慮すると選択対象から除かれてしまう「キャンドル」も選択肢に加えたいと考えたときには、所定の操作にて「キャンドル(Cd)」がシーンモードの選択対象となるように設定できるようにすることが望ましい。
【0074】
図5及び
図6は、表示部116に表示される画面の一例を示す説明図であり、シーンモードの追加・削除時の操作画面の一例を示したものである。このような設定画面は、例えば撮影者が操作部126に対して所定の操作を実行することによって表示部116に表示されるものである。
【0075】
図5は、広角ズームレンズであるレンズ部200が撮像装置10の本体部100に装着された際の基本設定を示したものである。
図5は、「ポートレート」、「風景」、「クローズアップ」、「記念写真」、「キャンドル」は選択候補としてマークされているが、「スポーツ」は選択候補としてマークされていないことを示している。
【0076】
ここで、撮影者が、マークされたシーンモードの内「クローズアップ」と「キャンドル」は不要であると判断すると、撮影者は操作部126を操作して、「クローズアップ」と「キャンドル」のマークを外すことができる。
図6は、
図5のように表示部116に表示された状態から、撮影者が操作部126を操作して、「クローズアップ」と「キャンドル」のマークを外した状態について図示したものである。撮像装置10は、「クローズアップ」と「キャンドル」のマークが外されたことを検知して、マークされていないシーンモードは、次回の手動選択画面には表示させない。
【0077】
また、撮影者が、マークされていないシーンモードである「スポーツ」もシーンモードの選択対象として加えたいと判断すると、撮影者は操作部126を操作して、「スポーツ」をマークすることができる。撮像装置10は、「スポーツ」がマークされたことを検知して、新たにマークされたシーンモードを次回の手動選択画面に表示させる。
【0078】
このように、撮影者は、撮像装置10が提示したシーンモードに対して追加・削除を実行することができる。撮像装置10は、撮影者によって追加・削除されたシーンモードの情報を、本体部100に装着されているレンズ部200の種別を示す識別情報と紐付けて、本体部100の内部、例えば不揮発性メモリ108に記録する。シーンモードの情報を、本体部100に装着されているレンズ部200の種別を示す識別情報と紐付けて記録しておくことで、撮像装置10は、電源がオフされた後に再度オンした場合や、別のレンズ部200に付け替えられた後に再度該当のレンズ部200が装着された場合であっても、撮影者によって設定された設定内容を再提供することが可能になる。
【0079】
なお、撮影者によって追加・削除されたシーンモードの情報は、レンズ部200の種別を示す識別情報と紐付ける他に、レンズ部200のシリアル番号と紐付けて、本体部100の内部に記録するようにしてもよい。シーンモードの情報をレンズ部200のシリアル番号と紐付けて本体部100の内部に記録することで、同一の種別であっても、撮影者が指定した特定のレンズ部200に対してのみ、カスタマイズした内容を記録することができる。
【0080】
また、本体部100に装着されるレンズ部200がズーム機能を持つ場合に、広角レンズの特徴と望遠レンズの特徴の両方を持ち合わせることがある。同じレンズでも、ズーム状態(焦点距離)によって、撮影者が手動選択するシーンモードが異なることが考えられる。従って、設定時のズーム情報(焦点距離情報)もレンズ部200の種別を示す識別情報に加えてもよい。またこの場合のシーンモード操作画面の表示内容は、画面切替時のズーム位置に連動させることが望ましい。
【0081】
このように撮影者によって、本体部100に装着されるレンズ部200に応じて選択可能なシーンモードのカスタマイズが可能となるが、もちろん、撮影者の操作によって、予め本体部100に用意されたデフォルトのシーンモード設定に戻すことも可能である。
【0082】
なお、上述した一連の操作は、DSP・CPU110の内部に備わっているモード決定部160に実行させてもよい。モード決定部160は、本体部100に装着されるレンズ部200のレンズの特性やレンズの識別情報に基づいて適切なシーンモードを抽出して表示部116に表示させたり、撮影者によるシーンモードの設定を不揮発性メモリ108に保存したりすることで、本体部100に装着されるレンズ部200に応じて選択可能なシーンモードのカスタマイズが可能となる。
【0083】
ここで、レンズに関連付けて不揮発性メモリ108に記録されるデータの一例について説明する。まず、各シーンモードをビットに割り当てる。例えば、各シーンモードを以下に示すようなシーンモードインデックステーブルによってビットに割り当てる。
【0084】
ポートレート :0x0001
風景 :0x0002
クローズアップ:0x0004
スポーツ :0x0008
記念写真 :0x0010
キャンドル :0x0020
【0085】
例えば、あるレンズを本体部100に装着した際に選択可能なシーンモードが「ポートレート」「風景」「記念写真」の場合は、そのレンズに関連付けて記録されるデータは「0x0013」となる。レンズに関連付けて記録される、選択可能なシーンモードのデータをシーンモードインデックス情報とも称する。
【0086】
レンズ部200のレンズが広角単焦点レンズの場合には、例えば以下の表2のようにデータが不揮発性メモリ108に記録される。
【0088】
この表2は、レンズ部200のシリアル番号と焦点距離閾値(mm)からなるレンズ識別番号に紐付けて、上記の6つのシーンモードの内、「スポーツ」以外の5つのシーンモードが使用可能であることを意味している。ここで、使用可能なシーンモードの候補から、撮影者が「キャンドル」を削除すると、選択可能なシーンモードインデックス情報は「0x0017」に変更されて不揮発性メモリ108に記録される。
【0089】
撮像装置10は、シーンモードインデックス情報は、例えば、ズームレンズ202の焦点距離の状態に応じて、不揮発性メモリ108に複数記録されるようにしてもよい。下記の表3は、表1に示した標準ズームレンズが本体部100に装着された場合に、不揮発性メモリ108に記録されるシーンモードインデックスの例を示している。
【0091】
この表3は、レンズ部200のフォーカスレンズ206の焦点距離が18〜30mmの場合には、モード決定部160は1行目のシーンモードインデックス情報を参照し、焦点距離が30〜55mmの場合には、モード決定部160は2行目のシーンモードインデックス情報を参照し、焦点距離が55mmを超える場合には、モード決定部160は3行目のシーンモードインデックス情報を参照することを表している。
【0092】
ここで、撮影者がレンズ部200のフォーカスレンズ206を移動させて、焦点距離が55mmの状態で、選択可能なシーンモードから「キャンドル」を撮影者が削除すると、シーンモードインデックス情報は以下の表4のようになる。
【0094】
このように本発明の一実施形態にかかる撮像装置10は、装着されるレンズ部200が同一のシリアル番号を有するレンズであっても、設定時のレンズの状態、例えばズームレンズやフォーカスレンズの状態に応じて異なるシーンモードインデックス情報を設定して、不揮発性メモリ108に記録することができる。
【0095】
図7は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置10の動作を示す流れ図である。以下、
図7を用いて本発明の一実施形態にかかる撮像装置10の動作について説明する。
【0096】
撮像装置10の電源がオンになると、まず本体部100とレンズ部200との間で初期交信を実行する(ステップS101)。本体部100とレンズ部200との間の初期交信は、本体部100のSIO153と、レンズ部200のSIO211との間で実行される。レンズ部200は本体部100に対し、レンズ識別情報、焦点距離情報、絞り情報、フォーカスレンズ206の位置情報等を送信する。なお、本体部100とレンズ部200との間の初期交信でレンズ部200から送信されるレンズ識別情報には、例えばレンズの種類や、レンズのシリアル番号等の情報が含まれていても良い。なお、本実施形態においては、レンズ識別情報及び絞り情報は、撮像装置10の電源がオンになった時点、またはレンズ部200が装着し直された時点でのみ交信される。
【0097】
上記ステップS101において、本体部100とレンズ部200との間で初期交信が行われると、続いて、本体部100はレンズ部200のレンズ識別情報を入手する(ステップS102)。このレンズ部200のレンズ識別情報は、例えばレンズ部200のROM212に格納されており、本体部100とレンズ部200との間で初期交信が行われる際に、レンズCPU210によって読み出されて本体部100へ送信される。
【0098】
上記ステップS102において、本体部100がレンズ部200のレンズ識別情報を入手すると、続いて本体部100は、そのステップS102で入手したレンズ部200のレンズ識別情報が、既に本体部100に記録済みであるかどうかを判断する(ステップS103)。この判断は例えばモード決定部160が実行する。
【0099】
上記ステップS103の判断の結果、ステップS102で入手したレンズ部200のレンズ識別情報が、既に本体部100に記録済みである場合には、続いて本体部100は、装着されているレンズ部200のレンズ識別情報から、選出可能なシーンモードインデックスを確認する(ステップS104)。この選出可能なシーンモードインデックスの確認は例えばモード決定部160が実行する。そして、ステップS104で、装着されているレンズ部200のレンズ識別情報から、選出可能なシーンモードインデックスを確認すると、本体部100は、続いて、上記表1のようなシーンモードインデックステーブルと照合して、表示部116に表示するシーンモードを決定する(ステップS105)。この表示部116に表示するシーンモードの決定は、例えばモード決定部160が実行する。
【0100】
一方、上記ステップS103の判断の結果、ステップS102で入手したレンズ部200のレンズ識別情報が、既に本体部100に記録されていない場合には、本体部100は、デフォルトのシーンモードの設定を参照する(ステップS106)。このデフォルトのシーンモードの設定の参照は、例えばモード決定部160が実行する。そして、デフォルトのシーンモードの設定は、例えば不揮発性メモリ108に格納されていてもよい。
【0101】
続いて本体部100は、上記ステップS101における本体部100とレンズ部200との間の初期交信で入手したレンズ特性データを参照して、表示部116に表示するシーンモードを決定する(ステップS107)。この表示部116に表示するシーンモードの決定は、例えばモード決定部160が実行する。
【0102】
上記ステップS107で、初期交信で入手したレンズ特性データを参照して、表示部116に表示するシーンモードを決定すると、続いて本体部100は、シーンモードを撮影者が手動で選択するマニュアルシーンモードである場合に、上記ステップS106で決定したシーンモードのみを表示部116に表示する(ステップS108)。このシーンモードの表示部116への表示は、例えばGUI管理部159が実行する。
【0103】
上記ステップS108で、本体部100が上記ステップS107で決定したシーンモードのみを表示部116に表示すると、本体部100は、続いて、撮影者によってシーンモードの削除・追加画面が呼び出されたかどうかを判断する(ステップS109)。撮影者によってシーンモードの削除・追加画面が呼び出されたかどうかの判断は、例えばGUI管理部159が実行する。
【0104】
上記ステップS109の判断の結果、撮影者によってシーンモードの削除・追加画面が呼び出された場合には、本体部100は、現在の選択可能なシーンモードを識別して、表示部116に表示する(ステップS110)。ステップS109で表示部116に表示する画面は、上述の
図5、
図6に示したような画面である。
【0105】
上記ステップS110で、本体部100が表示部116へ選択可能なシーンモードを表示すると、続いて本体部100は、撮影者によってシーンモードの変更が行われたかどうかを判断する(ステップS111)。撮影者によるシーンモードの変更が行われたかどうかの判断は、例えばGUI管理部159が実行する。
【0106】
上記ステップS111の判断の結果、撮影者によってシーンモードの変更が行われたと判断した場合には、本体部100は、選択可能なシーンモードの情報を更新する(ステップS112)。この選択可能なシーンモードの情報の更新は、例えばモード決定部160が実行する。シーンモードの更新によって、例えば、不揮発性メモリ108に格納されたシーンモードインデックス情報が更新される。一方、上記ステップS110の判断の結果、撮影者によってシーンモードの変更が行われなかったと判断した場合には本体部100は何もしない。
【0107】
続いて、本体部100は、レンズ部200のレンズ識別情報と紐付けて、選択可能なシーンモードのインデックス情報を不揮発性メモリ108に記録する(ステップS113)。この選択可能なシーンモードのインデックス情報の不揮発性メモリ108への記録は、例えばモード決定部160が実行する。
【0108】
続いて、本体部100は、撮像装置10の電源が撮影者によってオフにされたかどうかを判断する(ステップS114)。ステップS114の判断の結果、撮像装置10の電源がオフにされなければ、続いて、本体部100は、レンズ部200が本体部100から脱着されたかどうかを判断する(ステップS115)。レンズ部200が本体部100から脱着されたかどうかの判断は、DSP・CPU110が実行する。
【0109】
上記ステップS115の判断の結果、レンズ部200が本体部100から脱着されたと判断した場合には、上記ステップS101に戻って、本体部100はレンズ部200との間で初期交信を実行する。一方、上記ステップS115の判断の結果、レンズ部200が本体部100から脱着されていないと判断した場合には、上記ステップS107に戻って本体部100とレンズ部200との間の初期交信で入手したレンズ特性データを参照して、表示部116に表示するシーンモードを決定する。
【0110】
一方、上記ステップS114の判断の結果、撮像装置10の電源がオフにされていたならば、撮像装置10は電源をオフにする。
【0111】
この
図7に示した一連の処理を実行することで、本発明の一実施形態に係る撮像装置10は、本体部100に装着されているレンズ部200のレンズ特性に基づいたシーンモードのみを撮影者に提示することが可能になるとともに、撮影者によって、提示されたシーンモードに対して、シーンモードの追加や削除が可能になる。
【0112】
ここまでは、撮像装置10に用意されたシーンモードのカスタマイズについて説明したが、本発明においては、カスタマイズ出来る撮影モードはシーンモードに限られない。例えば、本発明はフォーカス駆動範囲を切り替えることができる撮影モードにも適用可能である。
【0113】
例えば、マクロレンズは、撮影倍率を稼ぐために繰り出し量が標準レンズに比べて長くなる。従って、焦点調節可能範囲の全域でオートフォーカス駆動を実行すると、合焦処理に時間がかかってしまう。
図8は、マクロレンズのレンズ駆動範囲の例を示す説明図である。デフォルトの設定であれば、オートフォーカス駆動の際にマクロレンズは無限遠から最近接の範囲でレンズを駆動させるので、合焦処理に時間がかかる。
【0114】
そこで、撮影者が撮像装置10の使い方に応じて、
図8に示したマクロ駆動域のみ、または標準レンズ相当の駆動域のみを選択するカスタマイズ機能に本発明を適用してもよい。このようにレンズ駆動域を限定させることで、オートフォーカス駆動の際の合焦処理を短縮させることができる。
【0115】
また、一部のレンズは、
図9に示したように、撮影者が手動でオートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)とを切り替えることができるAF/MF切替部230と、通常の撮影とマクロ撮影とを切り替えることができるマクロスイッチ240とを備えているものもある。一般的に撮像装置10の本体部100のAF/MF設定に対し、AF/MF切替部230やマクロスイッチ240が、
図9に示したようなスライドスイッチのような形状であれば、設定状況が外観にて確認できるため、レンズ部200側のAF/MF切替部230のAF/MF設定や、マクロスイッチ240の設定が優先される。
【0116】
しかし、通常使用時はレンズ部200側のAF/MF切替部230の設定に準じてAFもしくはMFとして動作するとしても、特定のシーンモード、例えば「スポーツ」モードでは常時AF設定であって欲しいと考える撮影者の要望も想定される。従って、デフォルト設定ではAF/MF切替部230の設定に準じ、撮影者のカスタマイズ設定により上記F/MF切替部230の設定を無視して、特定動作(常時AFまたは常時MFなど)を指定できるようにしてもよい。同様に、デフォルト設定ではマクロスイッチ240の設定に準じ、撮影者のカスタマイズ設定によりマクロスイッチ240の設定を無視して、レンズの駆動域を限定させるようにしてもよい。
【0117】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態にかかる撮像装置10は、本体部100に装着されるレンズ部200のレンズ特性に応じて、本体部100に記録されている撮影モードの設定を読み出して、撮影者に提示することができる。そして、本発明の一実施形態にかかる撮像装置10は、撮影者に提示した撮影モードの、撮影者による編集処理を可能とする。これにより本発明の一実施形態にかかる撮像装置10は、本体部100に装着されるレンズ部200に応じて、撮影者の好みに合う撮影モードを設定し、内部に記録することが可能となる。
【0118】
本体部100に記録されている撮影モードの設定としては、例えば上述したように、シーンモードの設定や、フォーカス駆動範囲の設定などがあってもよい。シーンモードの設定であれば、レンズの特性に応じて撮像装置10が表示部116へ提示した撮影モードに対して、撮影者による編集入力を可能にする。これにより撮像装置10は、本体部100に装着されるレンズ部200のレンズ特性に応じて、さらに撮影者の好みに応じて、適切なシーンモードの提示を可能にする。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。