特許第5778913号(P5778913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778913
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】線形型太陽光集中収集器
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/054 20140101AFI20150827BHJP
【FI】
   H01L31/04 620
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-246241(P2010-246241)
(22)【出願日】2010年11月2日
(65)【公開番号】特開2011-101013(P2011-101013A)
(43)【公開日】2011年5月19日
【審査請求日】2013年11月1日
(31)【優先権主張番号】12/611,789
(32)【優先日】2009年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ワイ. マエダ
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−061519(JP,A)
【文献】 欧州特許第2336671(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの太陽光収集素子(120)と、
第1の線焦点を画定する第1の湾曲反射面を有する第1の反射体(130−1)と、
第2の線焦点を画定する第2の湾曲反射面を有する第2の反射体(130−2)と、
を含む、線形型太陽光集中収集器であって、
前記第1の反射体(130−1)と前記第2の反射体(130−2)が、前記第1の線焦点と前記第2の線焦点が平行離間している非共軸配置において、エッジを共有しながら、固定的に接続され、
前記第1の湾曲反射面と前記第2の湾曲反射面が、前記第1の湾曲反射面へ向かう第1の太陽光が、前記第1の湾曲反射面から反射して、前記第1の線焦点へ収束し、前記第2の湾曲反射面へ向かう第2の太陽光が、前記第2の湾曲反射面から反射して、前記第2の線焦点へ収束するように、配置されており、
前記反射した第1と第2の太陽光は、前記第1と第2の太陽光が、焦点がぼけた状態で、オーバーラップするように、前記第1及び第2の湾曲反射面によって、それぞれ、方向付けられ、
前記線形型太陽光集中収集器は、実質的に平らな正面と、第1の反射面領域及び第2の反射面領域を含みかつ前記正面に対向する裏面と、を有する固体光透過性光学構造体(110)を備え、
前記少なくとも一つの太陽光収集素子が、前記固体光透過性光学構造体(110)を介して前記第1と第2の反射体に固定的に接続され、前記反射された第1と第2の太陽光の少なくとも一つを動作可能に受光するように、位置決めされ、
前記第1の反射体(130−1)及び前記第2の反射体(130−2)のそれぞれは、前記第1の湾曲反射面及び前記第2の湾曲反射面が前記固体光透過性光学構造体に向くように、前記第1の反射面領域及び前記第2の反射面領域に配置され、
前記第1の反射体(130−1)及び前記第2の反射体(130−2)は、それぞれ、前記第1の反射面領域及び前記第2の反射面領域に直接配置された金属フィルム又は高効率多層誘電体反射コーティングの1つを備え、
前記正面から前記第1の湾曲反射面へ入射する第1の太陽光が、前記第1の湾曲反射面で反射して、所定領域を通過して前記第1の線焦点へ収束され、
前記正面から前記第2の湾曲反射面へ入射する第2の太陽光が、前記第2の湾曲反射面で反射して、前記所定領域を通過して前記第2の線焦点へ収束され、
前記第1の太陽光及び前記第2の太陽光は前記所定領域で重なりかつ前記太陽光収集素子は、前記第1の太陽光及び前記第2の太陽光が重なる前記所定領域に配置される
線形型太陽光集中収集器。
【請求項2】
略平坦な正面と、前記正面に対向し第1の反射面領域と第2の反射面領域を含む裏面と、を有する固体の光透過性の光学構造体と、
前記光透過性の光学構造体に取り付けられた少なくとも一つの太陽光収集素子と、
前記第1の反射面領域に取り付けられ、第1の線焦点を画定する第1の湾曲反射面を有する第1のトラフ型反射面と、
前記第2の反射面領域に取り付けられ、第2の線焦点を画定する第2の湾曲反射面を有する第2のトラフ型反射面と、
を含む、
線形型太陽光集中収集器であって、
前記少なくとも一つの太陽光収集素子と、前記第1の線焦点及び前記第2の線焦点が離間するように前記光透過性の光学構造体内に配置されている前記第1のトラフ型反射面及び前記第2のトラフ型反射面と、によって、
前記正面から前記第1の湾曲反射面へ入射する第1の太陽光が、前記第1の湾曲反射面で反射して、所定領域を通過して前記第1の線焦点へ収束され、
前記正面から前記第2の湾曲反射面へ入射する第2の太陽光が、前記第2の湾曲反射面で反射して、前記所定領域を通過して前記第2の線焦点へ収束され、
前記少なくとも一つの太陽光収集素子が、反射した前記第1及び前記第2の太陽光の少なくとも一つを動作可能に受光するように、位置決めされることよりなり、
前記第1の太陽光及び前記第2の太陽光は前記所定領域で重なりかつ前記太陽光収集素子は、前記第1の太陽光及び前記第2の太陽光が重なる前記所定領域に配置される
線形型太陽光集中収集器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に係り、より詳細には、線形型太陽光集中収集器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力生成に使用される太陽光エネルギ収集器は、フラットパネル(平板状の)収集器及び太陽光集中収集器を含む。一般に、フラットパネル収集器は、半導体(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)基板に形成される太陽電池アレイ(配列)とこれに対応するエレクトロニクス(電子)を含み、平らな収集器から出力される電気エネルギがアレイの面積の直接的関数となるため、大型の高コストな半導体基板が必要とされていた。これに対し、太陽光集中収集器は、例えば、放物線状の反射体又はレンズを使用して、光線(例えば、太陽光線)を集め、小型の太陽電池へ向かう太陽エネルギのより強力な光線を生成することによって、大型の半導体基板を使用する必要性を削減する。従って、太陽光集中収集器は、半導体の使用量が少なくて済むという点で、フラットパネル収集器よりも有利である。
【0003】
図18(A)は、光を線焦点(FL)(即ち、図の平面内へ延びる線)へ収束する湾曲(例えば、円筒形放物線状の)反射体52と、線焦点FLに配置された線形に配列された太陽光(PV)電池55と、を含む従来の線形(例えば、トラフ型)太陽光集中収集器50を示している。湾曲反射体52へ向かう太陽輻射(以下、太陽光)は、図18(A)において、破線で示し、入射した太陽光が、湾曲型反射体52によって反射され、集中されることを示している。従来の線形型太陽光集中収集器50は、反射面52が一方向のみに湾曲しており、反射面52による集中太陽光の配光、即ち、300本もの太陽光線の局所的な集中を有する照度分布の最大ピークが太陽電池55に発生し、高電流密度によるI2R直列抵抗や関連する損失が生じるという問題があった。図18(B)には、改良された従来の線形型太陽光集中収集器50Aが示されているが、照度分布の高集中を改良するため、光学系の焦点平面内部(即ち、線焦点FLと反射面52の間)の太陽電池55の位置をずらすことによって、光学系をデフォーカス(焦点をぼかす)する方法が提案されている。この方法は、太陽電池55の面全体に太陽光を拡げようとしたが、配光の太陽電池55への高集中は、依然として、高かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の太陽光集中収集器は、製造、運転、及びメンテナンスのコストが高いという他の問題があった。光線を集中させるために、従来の収集器において使用される反射体及び/又はレンズは、個別に製造する必要があり、集中光線と太陽電池の間に適切なアラインメント(位置合わせ)を提供するためにはアセンブリに手間を掛かる必要があった。また、時間が経つと、反射体やレンズには、熱周期や振動によるミスアラインメント(位置合わせ誤り)が発生し、環境によって汚染されることもあった。また、反射体やレンズが洗浄しにくい複雑な形状で製造されている場合は、特に、本来重要とされる洗浄及び調整面からのメンテナンスが並大抵ではなかった。
【0005】
従来の太陽光集中収集器は、これらの収集器が、少なくとも、受光面全体を覆って配置されるために陰影効果が生じる構造(例えば、太陽電池又はミラー(鏡面))を含み、従来の太陽光集中収集器から得られる最大の起電力が削減されるという更に他の問題もあった。例えば、図18(A)及び18(B)に示される太陽電池55は、光反射体52の中心領域Cの日陰になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、従来の太陽光集中収集器における照度分布の高集中、日陰の影響、アセンブリコスト及びメンテナンスコストなどの問題を解決できる太陽光集中収集器を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態による、線形型太陽光集中収集器を示す斜視図である。
図2】本発明の一態様による、図1の線形型太陽光集中収集器によって使用される非共軸の湾曲反射体配列を概略的に示す図である。
図3A図18(B)の従来の太陽光集中収集器によって生成される高集中の照度分布を示すグラフである。
図3B図1の太陽光集中収集器によって生成されるより均一な照度分布を示すグラフである。
図4】動作中の図1の太陽光集中収集器を概略的に示す側面図である。
図5】本発明の他の実施の形態による、線形型太陽光集中収集器を示す分解斜視図である。
図6図5の線形型太陽光集中収集器を示す組み立て斜視図である。
図7】動作中の図5の線形型太陽光集中収集器を概略的に示す側面図である。
図8】本発明の他の実施の形態による、線形型太陽光集中収集器を示す分解斜視図である。
図9図8の線形型太陽光集中収集器を示す組み立て斜視図である。
図10】動作中の図8の線形型太陽光集中収集器を概略的に示す側面図である。
図11】本発明の他の実施の形態による、線形型太陽光集中収集器を示す斜視図である。
図12】本発明の他の実施の形態による、線形型太陽光集中収集器を示す斜視図である。
図13】動作中の図12の線形型太陽光集中収集器を概略的に示す側面図である。
図14】本発明の他の実施の形態による、側面反射体と更なる外部非共軸反射面を有する線形型太陽光集中収集器を概略的に示す斜視図である。
図15】動作中の図14の線形型太陽光集中収集器を概略的に示す断面図である。
図16A】太陽光集中収集器のための光学構造体を示す斜視図である。
図16B】太陽光集中収集器のための光学構造体を示す斜視図である。
図17】本発明の他の実施の形態による、側面反射体を有する線形型太陽光集中収集器を概略的に示す断面図である。
図18A】従来の線形型太陽光集中収集器の配列を概略的に示す側面図である。
図18B】従来の線形型太陽光集中収集器の配列を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、太陽光集中収集器の改良に関する。以下の記載は、特定の用途及びその要求条件に関連して、当業者が本発明を作成、使用することができるように提供されている。本明細書中で使用されているように、「正面」、「裏面」、「側面」、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「右側」、「左側」、「上方」、「下方」、「上部」及び「下部」などの方向を示す用語は、説明するための相対的位置を提供するために使用されており、絶対的な枠組みを指定することを意図するものではない。更に、「固体の、一体成形の」という表現は、本明細書では、別個に製造され、例えば、接着剤、締結具、クリップ、又は可動接合によって、連結される複数の構造体と区別して、単一成形又は単一機械加工された構造体を説明するために使用されている。本発明の好ましい実施の形態への様々な変更が可能であり、また、本明細書中に定義されている基本原理が他の実施の形態へも適用可能であることが当業者によって容易に理解されよう。従って、本発明は、例示的に示されている特定の実施の形態に限定されることを意図しないばかりか、本明細書に開示されている基本原理及び新規性を逸脱しない限りにおいて、本発明が広範囲に適用されることを認めるものである。
【0009】
図1は、線形型太陽光集中収集器100の一部を示し、この線形型太陽光集中収集器100は、線形太陽電池(PV)(太陽エネルギ収集要素)120、太陽電池120の下方に配置された第1と第2のトラフ型反射体130−1及び130−2、及びトラフ型反射体130−1及び130−2の上方で、太陽電池120を固定的に支持する一組の支持ロッド140を含む。動作中、太陽光集中収集器100は、公知の技術を用いて配向され、破線矢印B11、B12、B21、及びB22によって示されるように、太陽光(日光)は、正面112から光学構造体110へ略垂直に向けられている。
【0010】
図1に示されるように、太陽電池120は、その活性面がトラフ型反射体130−1及び130−2に向くように、支持ロッド140に固定され、破線矢印B11、B12、B21、及びB22によって示されるように、トラフ型の反射体130−1及び130−2へ向かう太陽光が太陽電池120の活性面へ反射されるように、位置決めされる。太陽電池120は、略矩形の細長い形状であり、光学的損失や抵抗損失を最小限に抑え、集中型の太陽光から生じる電流を処理できる接触型金属化格子によって設計されることが好ましいが、非集中型の太陽光に使用する目的にも設計可能である。太陽電池120は、所望の活性領域を提供するために、大きさと形状が決定される集積回路(IC)チップ(ダイ)を含むこともできるし、所望の活性領域部分を形成するように配置され、公知の技術を用いて接続される多数の小型チップを含むこともできる。太陽電池120−1は、公知の技術を用いて負荷(ロード)へ電力を供給するために、配線又は他の接続子(図示せず)によって、外部回路に電気的に接続される。
【0011】
図1の上方円内に示すように、(第1の)太陽光線(破線矢印B11、B12)が湾曲反射面132−1から反射し、線焦点FL1に収束し、(第2の)太陽光線(破線矢印B21、B22)が湾曲反射面132−2から反射し、線焦点FL2に収束し、各々が、太陽電池120の活性領域に当たる前に、焦点がぼけた(デフォーカス)状態で、オーバーラップし、線焦点FL1とFL2が、共通のエッジ135に沿って、平行離間されるように、トラフ型反射体130−1及び130−2は、非共軸配置において、固定的に配置されている。即ち、太陽光線B11及びB12は、湾曲反射面132−1から線焦点FL1へ反射し、太陽電池120が配置されていなければ、線焦点FL1へ収束する。同様に、太陽光線B21及びB22は、湾曲反射面132−2から線焦点FL2へ反射する。動作中の太陽電池120の側面を示す図1の上部円内に示されるように、反射した太陽光線B11及びB12は、右斜め方向へ進み、焦点がぼけた(デフォーカス)状態で、太陽電池120の活性面(裏面)に当たり、反射した太陽光が、太陽電池の活性面全体にわたって広がる。同様に、反射した太陽光線B21及びB22は、左斜め方向へ進み、焦点がぼけた状態で、太陽電池120の活性面に当たり、光線B21及びB22は、焦点がぼけた状態で、光線B11及びB12とオーバーラップする(即ち、光路が光線B11及びB12と交差する)。このように、非共軸反射面132−1及び132−2が結合し、太陽光を集中する光学系を形成し、反射光が太陽電池120へより均一な照度分布によって広がるようにしたので、図18(A)及び図18(B)に関して上記した従来の配置に比較してより均一な照度分布が得られるため、太陽光の局所的に高い集中を少なくし、電流密度をより低くすることによって、I2R直列抵抗よるエネルギの損失を削減する。湾曲反射面132−1及び132−2によって形成される光学系は、第2の光学素子の使用を必要とせずに、図18(A)に示されている従来の焦束システムの約20倍、図18(B)に示されている従来のデフォーカス(焦点ぶれ)システムの約2.3倍の効率で、太陽電池120への太陽光線の高集中を少なくすることができる。以下に更に記載されるように、光学系は、共軸面を使用する設計においても、実質的により均一な照度分布を生成することができる。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態による、本発明によって使用される光学系の形成を概略的に示す説明図である。図2は、各々が対応する線焦点FL1又はFL2に光を反射する凹型の湾曲反射面を有している、2つの仮想上のトラフ型(例えば、線形放物線状の)反射体130−11及び130−21を示している。具体的には、仮想上の反射体130−11の湾曲反射面は、反射体130−11と反射体130−11の外縁から線焦点FL1まで延びる2本の一点鎖線によって、境界付けされるパイ状領域を形成し、垂直下方に向かう太陽光線を反射して線焦点FL1に焦点合わせするように、光学的に画定される。同様に、反射体130−21の湾曲反射面は、反射体130−21と反射体130−21の外縁から線焦点FL2まで延びる2本の一点鎖線によって、境界付けされるパイ状領域を形成し、垂直下方に向かう太陽光線を反射して線焦点FL2に焦点合わせするように、光学的に画定される。所望の非共軸配置を得るために、図2に示すように、仮想上の反射体130−11及び130−21は、線焦点FL1と線焦点FL2が、平行離間され、仮想上の反射体130−11及び130−21の外側部分130−12及び130−22が除去され、図1において上記したように、オーバーラップ部分132−1及び132−2が共通エッジに沿って任意に固定されるように、オーバーラップされ、配置される。図2の中心部の日陰領域によって示されるように、非共軸部分132−1及び132−2は、線焦点FL1及び線焦点FL2で受け取られた光を焦点合わせする光学系を、略全ての反射光が、焦点がぼけた(デフォーカス)状態で、透過するオーバーラップ領域OLを生成できるように、形成する。また、この光学系によれば、従来の光学系による照度分布と比較した場合に、より均一な照度分布において反射光が拡散する。第一の実施の形態の態様によれば、太陽電池120がオーバーラップ領域OLに位置決めされることによって、湾曲反射面132−1及び132−2からの反射光の略全てを均一な照度分布パターンで受光することができる。図3(A)及び図3(B)は、反射する太陽光が、太陽電池への高集中を少なくし、或いは、光の分散をより均一化又は平均化させるようにオーバーラップされるように、共軸配置の湾曲反射体の各反射面から、照度分布がどのように広がり、移動するかを示すグラフである。図3(A)は、図18(B)の従来の太陽光集中収集器による高集中照度分布を示している。図3(B)は、本発明の非共軸の方物線状反射面による照度分布を示しており、照度パターンを各部分から拡げて、オーバーラップさせている。
【0013】
図4は、(破線矢印によって示されるように、)動作可能に太陽光へ露光された時の線形型太陽光集中収集器100を概略的に示す側面図である。図示されているように、太陽電池120は、太陽電池120が湾曲反射面132−1及び132−2から反射した光の略全てを受光できるように、(図2において記載したように、)オーバーラップ領域において、位置決めされる。更に、上記したように、受け取られた光は、均一性の高い照度分布パターンを形成するので、太陽光の局所的に高い集中を削減し、電流密度レベルを低くすることによって、太陽電池120においてI2Rの直列抵抗に伴うエネルギの損失を削減することができる。この非共軸配置によって、太陽電池120のサイズを小さくできるだけでなく、湾曲反射面132−1及び132−2から反射した光の結合オーバーラップによって提供される最も均一な照度を利用することができる。
【0014】
図4に示されるように、第1の実施の形態によれば、太陽電池120は、空隙(エアギャップ)AGが第1の湾曲反射面132−1と第2の湾曲反射面132−2と太陽電池120の間で広がることができるようにトラフ型反射体130−1及び130−2を全体的に覆うように、ロッド140によって、支持されている。本実施の形態は、太陽電池120を支持するために、従来の構造を使用しているが、本発明の光学系は、固体の誘電光学素子を使用しても、実行することができ、以下の実施の形態において説明されるさまざまな利点を提供することができる。
【0015】
図5図6、及び図7は、本発明の他の実施の形態による線形型太陽光集中収集器100Aを示している。線形型太陽光集中収集器100Aは、正面112Aと第1の反射面領域117A−1と第2の反射面領域117A−2を含む(対向)裏面を有する固体の光透過性光学構造体110Aを含む。太陽光集中収集器100Aは、トラフ型反射体130A−1及び130A−2と太陽電池120Aを含む。トラフ型反射体130A−1及び130A−2は、反射面領域117A−1及び117A−2側にそれぞれ配置され、反射体130A−1及び130A−2の湾曲反射面132A−1及び132A−2が光学構造体110A(上方)に対面するように、配置されている。太陽電池120Aは、太陽電池120Aの活性領域が光学構造体110A(下方)に対面するように、正面112Aの中心領域の真上に取り付けられている。
【0016】
本発明の第2の実施の形態の一態様によれば、光学構造体110Aは、固体の一体成形の光透過性(例えば、低鉄ガラス、透明プラスチック、又は他の透明な誘電体の固体)の構造体であり、正面112Aが略平坦(平面状)であり、受光面領域117A−1及び117A−2が反射体130A−1及び130A−2の所望の形状にぴったり合うように、湾曲されている。この「略平坦な」という表現は、平行光線が、あまり屈折することなく、正面112Aの任意の部分を透過できることを意味する。以下に記載される具体的な実施の形態によって示されるように、光学構造体110Aのサイズは、太陽光発電力を高めるために、縦(y軸)及び横(x軸)のいずれにも拡大可能である。具体的な実施の形態において、光学系設計パラメータの幾何学的密度は、10.35mmの絞り、3.5mmのセルサイズ、及び12.0mmの中心厚さからなる。非共軸の放物線面の曲率半径は、26mmであり、各放物線面は、1.5mm、偏心される。これによって得られる太陽電池への光分布は、セルを封止するため、製造上の公差において、十分な寛容度を付与することができる。
【0017】
図5図7の太陽電池120Aは、例えば、光透過性接着剤によって、正面112Aに固定されることを除けば、図1の太陽電池120と略同様に構成されている。
【0018】
一つの具体的な実施の形態によれば、反射面領域117A−1及び117A−2は、上記の非共軸配置に正確に対応する表面形状を含むように公知の技術を用いて処理され、トラフ型の反射体130A−1及び130A−2は、スパッタリングするか、或いは、反射鏡材料(例えば、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)又は高効率な多層誘電体反射塗料)を反射面領域117A−1、117A−2に直接、付着させることによって、作製される。この製造技術は、製造コストを少なくし、優れた光学特性を提供することができる。即ち、スパッタリングするか、又は、公知の鏡面作製技術を用いて、鏡面膜を反射面領域117A−1及び117A−2に形成することによって、トラフ型の反射体130A−1及び130A−2は、反射面領域117A−1及び117A−2の形態を取り、上記の図7に示された方法において、線焦点FL1とFL2へ光を反射する。従って、光学構造体110Aは、反射面領域117A−1及び117A−2が所望の鏡面形状を作るために配置され形状付けられるように、成形又は作製される。所望の形状及び位置に応じて、反射面領域117A−1及び117A−2を形成することによって、トラフ型反射体130A−1及び130A−2は、効率的に自己形成し、及び自己アラインメント(位置合わせ)するので、従来の太陽光集中収集器において必要とされていた高コストのアセンブリや高コストのアラインメントを省略することができる。更に、トラフ型反射体130A−1及び130A−2及び太陽電池120Aが、光学構造体110Aに取り付けられたままなので、これらの相対的位置が永久設定され、従来の多部品配置において必要とされていた調整や再アラインメントの必要性がない。また、図6に示されるように、ミラーを作製するために光学構造体110Aの反射面領域を使用することによって、光が、正面112Aから光学構造体110Aへ入射すると、太陽電池120Aに達する前に、この光は、光学構造体110Aの内部に実質的に止まっている。このように、光は、空気とガラスの界面(正面112Aにおいて)へ露光するだけなので、従来の多部品配置の太陽光集中収集器において生じていたような損失を最低限に抑えることができる。
【0019】
本発明の実施の形態の他の態様によれば、非共軸反射面によって画定される線焦点に平行な平面内の光学素子の正面へ入射する太陽光線の全てが、収集器の太陽電池へ方向付けられる。例えば、図6によれば、平面Pは、線焦点FL1及び線焦点FL2と平行であり、ラインL3で正面112Aと交差している。「垂直な」光線B31及びB32は、平面P内にあり、距離D1を隔てて平行に離間され、更に、正面112Aに対して垂直である。このように、正面112Aに対して90°の(直角な)垂直光線B31及びB32は、距離D1によって離間されている面ポイントSP1とSP2で、正面112Aを通過し、反射体130A−2から反射して、線焦点FL2に進み、太陽電池120Aの下側表面の点PV1とPV2へ当り、ここれ、点PV1とPV2も距離D1を隔てて離間されている。これに対して、「非垂直な」光線B33は、平面P内にあり、正面112Aに対して鋭角αをなした点SP1において、正面112Aに入射する。光線B33は、角度αで、到達するので、反射体130A−2上の異なる点へ方向付けられるが、光線B31とB32に使用される角度と同じ角度の場合、反射体130A−2から線焦点FL2に向かって反射するので、光線B33は、距離D2だけ点PV1から離間している太陽電池120Aの下側表面の点PV3に当るようにする。ここで、距離D2は、角度αによって決定される。このように、垂直な光線と非垂直な光線はどちらも、反射面130A−1と130A−2から反射され、線焦点FL1及び線焦点FL2、そして、太陽電池120Aへ収束される。即ち、線焦点(又は、それぞれの反射面の中心軸)と正面によってできた面内にあって、90°未満で上面に入射する入射光線は、線焦点よりやや下がった位置において、線焦点へ方向付けられる。この特性によって、本発明によって形成される線形の太陽光集中収集器は、アジマス回転追跡ベースシステムと一緒に使用することが特に好適になる。例えば、アジマス回転追跡ベースシステムは、本発明と同時に出願され、その全体が参照することによって本明細書中に組み込まれている「交換可能な太陽収集コンポーネントを有する2部分太陽エネルギ収集システム(TWO−PART SOLAR ENERGY COLLECTION SYSTEM WITH REPLACEABLE SOLAR COLLECTOR COMPONENT)」(事件整理番号20081376−NP−CIP2(XCP−098−3P US))と題された共同所有され、同時継続中の特許出願番号に開示されているシステムである。この特性は、線焦点光学系において光を焦点合わせする表面の全てが、反射性であるが、屈折性ではないということによる。このような特性は、円柱レンズ面又は円柱フレネルレンズ面のような屈折力を有する線焦点システムにはみられない。
【0020】
図8図10は、本発明の他の具体的な実施の形態による線形型太陽光集中収集器100Bを示す。上記の実施の形態と同様、線形型太陽光集中収集器100Bは、光学構造体110B、太陽電池120B−1及び120B−2、及びトラフ型反射体130B−1及び130B−2を含む。
【0021】
光学構造体110Bは、略平坦な正面112Bと、太陽電池120B−1及び120B−2を受け取るための平面状(平坦な)受光面領域116B−1及び116B−2、及び受光面領域116B−1と116B−2の間に介在する湾曲反射面領域117B−1及び117B−2を含む裏面115Bと、を有する固体の誘電体(例えば、プラスチック又はガラス)構造である。上記の実施の形態と同様、湾曲反射面領域117B−1及び117B−2は、以下に記載の非共軸配置と正確に整合する表面形状を含むように、公知の技術を用いて、処理される。
【0022】
太陽電池120B−1及び120B−2は、上記の実施の形態に関連する太陽電池と略同様に構成されており、上記の方法を用いて、受光面領域116B−1及び116B−2に、それぞれ、載置されるが、太陽電池120B−1及び120B−2の活性領域が上(即ち、正面112B方向)を向いているという点で、先に述べた実施の形態と異なる。
【0023】
また、トラフ型反射体130B−1及び130B−2は、それらが光学構造体110B内方へ対面する反射面132B−1及び132B−2を提供するように、付着(例えば、スパッタリング)されるか、又は、湾曲反射面領域117B−1及び117B−2を被覆するという点で、先に述べた実施の形態と同様である。他の実施の形態において、反射体130B−1及び130B−2は、公知の技術を用いて、光透過性誘電体膜上に形成され、次に、(例えば、接着剤を用いて)積層されるか、又は、湾曲反射面領域117B−1及び117B−2に固着される。この製造方法では、直接ミラー形成技術より、製造コストが高くなり、また、鏡面膜を光学構造体110B上に直接形成することで提供される優れた光学特性にはやや劣るが、コスト面で利点をもたらす場合もある。
【0024】
図9及び図10によれば、線形型太陽光集中収集器100Bは、(太陽電池120B−1及び120B−2が載置される)受光面領域116B−1及び116B−2と(反射体130B−1及び130B−2が形成される)反射面領域117B−1及び117B−2が、光学構造体110Bの裏面115Bを集合的に略全体的に被覆し、正面112Bを通過する太陽光の略全てが、太陽電池120B−1及び120B−2の1つに直射するか、又は、非共軸の反射面132B−1及び132B−2から反射して、太陽電池120B−1及び120B−2へ収束するという点で、先に述べた実施の形態とは異なる。「略全体的に被覆する」や「太陽光の略全体」という言葉は、有効電力に変換される太陽光の量を最大にするために、反射や太陽エネルギの受容機能としても作用しない裏面115Bの面積量、例えば、エッジ効果や製造上の欠陥によって太陽光が失われる領域を(例えば、5%未満)に削減することを意味する。以下に更に詳細に説明するように、太陽電池120B−1及び120B−2と反射体130B−1及び130B−2によって裏面115Bを略全体的に被覆することによって、本発明は、日陰領域を取り除くことによって、光学構造体110に入射する略全ての太陽光のエネルギ変換を容易にする点において、従来の太陽光集中収集器よりも有利となる。
【0025】
本発明の他の態様によれば、各反射体130B−1及び130B−2は、反射された太陽光が、内部全反射(TIR)によって、正面112Bから太陽電池120B−1及び120B−2の一つへ(即ち、受光面領域116B−1及び116B−2の一つに対応する領域を介して、)再反射される角度で、太陽光が、正面112Bへ反射されるように、非共軸配置で配置されている。例えば、正面112Bから、光学構造体110Bへ入射し、反射体130B−2へ向かう太陽光線B12は、角度θ2で、反射体130B−2から、正面112Bへ向かって反射する。この角度θ2は、光線B12が、(図9の上左側にある小さい破線円形内に示されるように、)正面112Bに当たった時、内部全反射(TIR)を受け、受光面領域116B−1を介して、太陽電池120B−1へ入射されるように、選択される。同様に、正面112Bから入射し、反射体130B−1へ向かう太陽光線B11は、(例えば、図9の右下の破線円形内に示されるように、)太陽光線B11が、内部全反射を受け、受光面領域116B−2を介して、太陽電池120B−2へ再方向付けされるように、角度θ11で、正面112B方向へ反射される。反射角度が、内部全反射の目標及び選択された太陽電池への再方向付けを達成するために、反射体130B−1及び130B−2によって変化する点に注意されたい。例えば、正面112Bから入射し、反射体130B−1上の第2の場所へ向かう太陽光線B12は、光線B12が、正面112B上の光線B11とは異なる場所でTIRを受け、(図9の右下円内に示されているように、)受光面領域116B−2から、太陽電池120B−2の異なる領域へ再方向付けされるように、角度θ12で、正面112B方向へ反射される。さまざまなTIR角度、及び正面112Bからのさまざまな反射点が、図10に示されている。即ち、反射体130B−1から反射される太陽光は、正面112Bの領域TIR1内で内部全反射(TIR)を受け、反射体130B−2から反射される太陽光は、領域TIR2内で、TIRを受ける。これによって得られる光学系の光学効率は、正面112Bの1つのフレネル反射、反射体130B−1又は130B−2の1つの反射、及び正面112Bの1つの全反射(TIR)の存在によって、非常に高くなる。
【0026】
太陽光集中収集器100Bの他の態様によれば、正面112Bを通過して、太陽電池120B−1及び120B−2の1つへ向かう太陽光線、例えば、図1に示されている太陽電池120B−2へ向かう光線(即ち、反射せずに)としての光線B3は、有効電力に直接変換される。光学構造体110Bへ投射される略全ての太陽光は、太陽電池へ直射するか又は太陽電池へ反射するので、太陽光集中収集器100Bは、光学構造体110Bへ入射する略全ての光線の変換が容易になり、日陰領域や非効率領域のない極めて効率な太陽光集中収集器を提供することができる。
【0027】
図11は、細長い光学構造体110B1を含む細長い線形型太陽光集中収集器100B1を示す斜視図である。線形型太陽光集中収集器100B1は、(図8図10に関して上記した)光学構造体110Bに基づいて形成されるが、細長い線形収集器を形成するために、長手方向に延伸されている。この延伸は、複数の短小部分を動作可能に接合することによって、タイル加工によって、又は、細長い光学構造体110B1を押出加工するか、一体成形することによって、達成される。湾曲反射面117B−11及び117B−21が、光学構造体110B1の全長に沿って延びており、反射体130B−11及び130B−21が、湾曲反射面117B−11及び117B−21の全長に沿って延びていることに注目されたい。同様に、平板状の受光面116B−11及び116B−21は、湾曲反射面117B−11及び117B−21の外縁上の光学構造体110B1の全長に沿って、延び、太陽電池ストリング120B−11及び120B−21は、受光面116B−11及び116B−21の全長に沿って、載置されている。細長い線形型太陽光集中収集器100B1は、上記の太陽光集中収集器100Bと略同様に動作する。図11に関して記載されている長さは、本明細書において記載されている実施の形態のいずれにも使用することができる。
【0028】
図12及び図13は、本発明の他の具体的な実施の形態による線形型太陽光集中収集器100Cを示しており、この収集器100Cは、固体の光学構造体110C、三つの太陽電池120C−1、120C−2、及び120C−3、及び四つのトラフ型反射体130C−1〜130C−4を含む。即ち、光学構造体110Cは、太陽光集中収集器100Bについて上記した光学構造体と同様に形付けられて配置された反射面領域117C−1及び117C−2と受光面領域116C−1及び116C−2を含み、更に、第3の反射面領域117C−3及び第4の反射面領域117C−4と、反射面領域117C−3と117C−4が受光表面領域116C−2と受光面領域116C−3の間に配置されるように構成された第3の受光面領域116C−3を更に含む。太陽電池120C−1、120C−2、及び120C−3は、受光面領域116C−1、116C−2、及び116C−3上にそれぞれ、配置され、トラフ型反射体130C−1〜130C−4は、反射面領域117C−1〜117C−4上にそれぞれ、配置され、上方へ(即ち、光学構造体110C)に対面する反射面を含む。図13に示すように、光学構造体110Cは、正面112Cから反射面領域117C−3へ入射する太陽光が、正面112Cからの内部全反射(TIR)で、受光面領域116C−3から太陽電池120C−3に入射する角度で、反射体130C−3から正面に向かって反射し、反射面領域117C−4から反射した太陽光が、受光面領域116C−3を介して、太陽電池120C−3に入射する角度で、正面112Cへ向かうように、配置される。これらの三つの太陽電池の配置によって、光学系を分厚くすることなく、より大きな領域に対しての光の集中が可能となる。同一の領域を被覆するために、二つの太陽電池を配置した場合は、厚みを大きくし、大きさも大きくする必要がある。一般に、システムは、システムの太陽光集中面積を大きくするために、拡大/縮小したり、反復も可能である。線形型太陽光集中収集器100Cに対応する例示的な光学系設計パラメータは、幾何学的密度Cg=10.5、セル間ピッチ=35mm、最大素子厚み=14.3mm、及びエッジ厚さ=5.5mmである。
【0029】
図14は、本発明の他の具体的な実施の形態による太陽光集中収集器100Dを示す斜視図であって、平面状の正面112Dと、上述した方法で、太陽電池120D−1と120D−2をそれぞれ受け取るための二つの受光面領域116D−1と116D−2と、上記の方法を用いて処理される四つの反射面領域117D−1、117D−2、117D−3、及び117D−4を含む(正面に)対向する裏面115Dを有する拡張した光学構造体110Dを含むこと以外は、先に述べた実施の形態と略同様に構成されている。
【0030】
図14において、上下方向に破線矢印で示されているように、反射体130D−1及び130D−2は、上記の実施の形態と略同様に作用する。即ち、受け取られた太陽光は、反射した太陽光が、太陽電池120D−1及び120D−2の一つへTIRによって再反射されるように、反射体から正面112Dへ反射される。例えば、反射体130D−1は、第1の太陽光線B21が、ミラーアレイ130D−1の領域で反射し、正面112Dから、太陽電池120D−2へ再反射し、次に、第2の太陽光線B22が、ミラーアレイ130D−2の領域で反射し、次に、正面112Dから、太陽電池120D−1へ再反射するように、配置される。
【0031】
また、光学構造体110Dは、正面112Dと、反射面領域117D−3に隣接する裏面115Dの間に延びる(第1の)平坦な垂直側面113Dと、正面112Dと、反射面領域117D−4に隣接する裏面115Dの間を延出する(第2の)平坦な垂直側面114Dを含むという点で、上記の実施の形態と異なる。この実施の形態によれば、太陽光集中収集器100Dは、側面113Dに配置された(第1の)平坦なサイドミラー150D−1と側面114Dに配置された(第2の)平坦なサイドミラー150D−2を更に含み、反射体130D−3及び130D−4は、受け取った光が、正面112Dから内部全反射によって太陽電池の一つへ再反射される前に、対応するサイドミラー150D−1又は150D−2によって、反射されるように、配置される。例えば、サイドミラー150D−1と反射体130D−3は、正面112Dから反射体130D−3へ入射した太陽光線B23は、サイドミラー150D−1から正面112Dへ再反射され、次に、正面112Dから、内部全反射によって、太陽電池120D−1へ再反射されるような角度で、反射されるように配置される。図14の右側を参照すると、サイドミラー150D−2と反射体130D−4も、同様に、太陽光線B24が、反射体130D−4からサイドミラー150D−2へ反射し、サイドミラー150D−2から正面112Dへ再反射し、正面112Dから、内部全反射によって、太陽電池120D−2へ再反射されるように、配置される。先に述べた実施の形態におけるように、光学構造体110Dから太陽電池へ直射する太陽光は、反射されない(例えば、太陽光線B3は、太陽電池120D−2へ直射している)。
【0032】
図15は、動作中の太陽光集中収集器100Dを示す略側面図であり、正面112D上方に配置された垂直線が入射光線を表しており、光学構造体110D内の傾斜線は、光が、反射体130D−1、130D−2、130D−3及び130D−4、及びサイドミラー150D−1及び150D−2から、太陽電池120D−1、120D−2及び120D−3の1つへ投射されている時の光の反射パターンを示している。図示されているように、太陽光集中収集器100Dによって提供されるミラーの配置によって、光学構造体110Dの外縁に沿って受光される光の損失が最小限に抑えられ、一層、効率を高めることができる。
【0033】
図16(A)は、線形型太陽光集中収集器100Dの光学構造体110Dにおける、傾斜反射面領域117D−1〜117D−4と受光面領域116D−1及び116D−2の位置をより分かり易く示した図である。反射面領域117D−1〜117D−2と受光面領域116D−1及び116D−2が、本発明の線形型太陽光集中収集器の形成において何回でも反復可能な設計ユニットを形成することに注目されたい。例えば、図16(B)は、光学構造体110Eを示しており、光学構造体110Eは、光学構造体110Dに対応する、反射面領域117E−1〜117E−4と受光面領域116E−1及び116E−2を含むだけでなく、表面領域117E−5及び117E−6と受光表面領域116E−3によって形成される第2の設計ユニットを含む(第2の設計ユニットは、受光面領域116E−2を共有している)。図17は、動作中の光学構造体110E上で形成された線形型太陽光集中収集器100Eを概略的に示す側面図である。正面112E上方に配置された垂直線は、入射してくる太陽光を表しており、光学構造体110Eの傾斜線は、反射体130E−1〜130E−6とサイドミラー150E−1及び150E−2から反射して、太陽電池120E−1、120E−2、及び120E−3の一つへ向かう時の光の反射パターンを示している。
【0034】
本発明がいくつかの具体的な実施の形態に関して記載されているが、当業者は、本発明の特徴が、その全てが本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、他の実施の形態にも適用可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0035】
100: 線形太陽光集中収集器
110: 光学構造体
112: 正面
115: 裏面
120: 太陽電池
132−1、2: 湾曲反射面
140: 支持ロッド
図1
図2
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図18A
図18B
図3A
図3B
図16A
図16B
図17