(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクチュエータを駆動するボイスコイルモータに供給される駆動電流の目標値を示すデジタル信号である目標電流信号のうち、前記アクチュエータの共振周波数を含む周波数帯域を減衰させるフィルタ回路と、
前記フィルタ回路の出力信号をアナログ信号に変換して電流制御信号として出力するデジタル・アナログ変換器と、
前記電流制御信号に応じて前記ボイスコイルモータに前記駆動電流を供給する駆動回路と、
を有し、
前記フィルタ回路は、
入力信号のうち、前記共振周波数を中心とする周波数帯域を減衰させるデジタルノッチフィルタと、
入力信号のうち、前記共振周波数より低い所定の周波数以上の周波数帯域を減衰させるデジタルローパスフィルタと、
前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタとして機能するデジタルフィルタと、
前記デジタルフィルタの係数および入力信号を時分割で選択する選択回路と、
前記デジタルフィルタの出力信号を記憶するメモリと、
を含み、
前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタの一方には、前記目標電流信号が入力され、
前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタの他方には、前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタの前記一方の出力信号が入力され、
前記選択回路は、
第1の期間には、前記デジタルフィルタを前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタの前記一方として機能させるための係数を選択するとともに、前記目標電流信号を前記デジタルフィルタに供給し、
第2の期間には、前記デジタルフィルタを前記デジタルノッチフィルタまたは前記デジタルローパスフィルタの前記他方として機能させるための係数を選択するとともに、前記第1の期間に前記メモリに記憶された信号を前記デジタルフィルタに供給することを特徴とするモータ駆動回路。
モード選択信号に応じて、前記目標電流信号としてステップ信号が入力され、当該ステップ信号を前記デジタル・アナログ変換器に供給する第1のモード、または入力された前記目標電流信号を前記フィルタ回路に供給する第2のモードを選択するモード選択回路をさらに有し、
前記デジタル・アナログ変換器は、前記第1のモードにおいては、前記ステップ信号をアナログ信号に変換して前記電流制御信号として出力し、
前記フィルタ回路は、前記第2のモードにおいては、前記第1のモードにおいて予め測定された前記共振周波数に応じて前記減衰させる周波数帯域が設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のモータ駆動回路。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態におけるモータ駆動回路の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】フィルタ回路の具体的な構成の一例を示す回路ブロック図である。
【
図3】測定モードにおける駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図4】制御モードにおいてデジタルフィルタ131に用いられるノッチフィルタの一例を示す模式図である。
【
図5】制御モードにおいてデジタルフィルタ132に用いられるローパスフィルタの一例を示す模式図である。
【
図6】
図4に示したノッチフィルタのみを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図7】
図5に示したローパスフィルタのみを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図8】制御モードにおいて、ノッチフィルタおよびローパスフィルタの両方を用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図9】ノッチフィルタとしてベッセルフィルタを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図10】ノッチフィルタとしてチェビシェフフィルタを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図11】ローパスフィルタとしてチェビシェフフィルタを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図12】ローパスフィルタとしてバターワースフィルタを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示す図である。
【
図13】モータ駆動回路の他の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図14】フィルタ回路の他の構成例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===モータ駆動回路の構成===
以下、
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態におけるモータ駆動回路の構成について説明する。
【0011】
図1に示されているモータ駆動回路1aは、マイクロコンピュータ5の制御に従って、アクチュエータを駆動するボイスコイルモータ3に駆動電流Ivcmを供給する回路であり、端子21ないし23を備えた集積回路として構成されている。また、モータ駆動回路1aは、制御回路11、選択回路12、フィルタ回路13a、DAC(Digital-Analog Converter:デジタル・アナログ変換器)14、駆動回路15a、および抵抗16を含んで構成されている。なお、抵抗16は、端子23に外部接続されていてもよい。好ましくは、モータ駆動回路1aは、一つの半導体基板上に集積化して形成される。
【0012】
制御回路11には、端子21を介して、マイクロコンピュータ5から制御情報INFcnが入力されている。また、制御回路11からは、目標電流信号TGi、モード選択信号SLm、およびフィルタ設定情報STf1、STf2が出力されている。
【0013】
選択回路12は、1入力2出力のマルチプレクサとして構成されており、選択制御入力には、モード選択信号SLmが入力されている。また、データ入力には、目標電流信号TGiが入力されている。そして、当該目標電流信号TGiは、SLm=0および1に対応する出力から、それぞれDAC14およびフィルタ回路13aに入力されている。
【0014】
図2に示すように、フィルタ回路13aは、デジタルフィルタ131および132を含んで構成されている。なお、
図2においては、一例として、公知の2次IIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルタとして構成されたデジタルフィルタ131および132を示している。
【0015】
デジタルフィルタ131には、目標電流信号TGiおよびフィルタ設定情報STf1が入力されている。また、デジタルフィルタ132には、デジタルフィルタ131の出力信号およびフィルタ設定情報STf2が入力され、デジタルフィルタ132からは、(フィルタリングされた)目標電流信号TGfが出力されている。そして、DAC14には、目標電流信号TGiおよびTGfが入力され、DAC14からは、電流制御信号CNiが出力されている。
【0016】
駆動回路15aは、例えばオペアンプ(演算増幅器)151およびNMOS(N-channel Metal-Oxide Semiconductor:Nチャネル金属酸化膜半導体)トランジスタ152を含んで構成されている。また、オペアンプ151の非反転入力には、電流制御信号CNiが入力され、反転入力は、NMOSトランジスタ152のソースに接続されている。さらに、NMOSトランジスタ152のドレインは、端子22に接続され、ソースは、抵抗16を介して端子23に接続され、ゲートには、オペアンプ151の出力信号が入力されている。そして、端子22には、一端が電源電位VCCに接続されたボイスコイルモータ3が接続され、端子23は、グランド電位に接続されている。
【0017】
===モータ駆動回路の動作===
次に、本実施形態におけるモータ駆動回路の動作について説明する。
制御回路11は、マイクロコンピュータ5から入力される制御情報INFcnに基づいて、目標電流信号TGi、モード選択信号SLm、およびフィルタ設定情報STf1、STf2を出力する。
【0018】
ここで、目標電流信号TGiは、ボイスコイルモータ3に供給される駆動電流Ivcmの目標値を示すデジタル信号である。また、モード選択信号SLmは、後述する測定モード(第1のモード)または制御モード(第2のモード)を選択する信号である。なお、モード選択信号SLmは、SLm=0の場合に測定モードを示し、SLm=1の場合に制御モードを示すこととする。
【0019】
さらに、フィルタ設定情報STf1およびSTf2は、それぞれデジタルフィルタ131および132の特性を設定するための情報である。具体的には、フィルタ設定情報STf1は、デジタルフィルタ131をノッチフィルタとして機能させるための係数を設定するための情報である。一方、フィルタ設定情報STf2は、デジタルフィルタ132をローパスフィルタとして機能させるための係数を設定するための情報である。なお、フィルタ設定情報STf1およびSTf2は、それぞれデジタルフィルタ131および132のサンプリング周波数など、他の特性を設定するための情報を含んでいてもよい。
【0020】
選択回路12は、制御回路11から入力された目標電流信号TGiを、SLm=0(測定モード)の場合には、DAC14に供給し、SLm=1(制御モード)の場合には、フィルタ回路13aに供給する。
【0021】
フィルタ回路13aのデジタルフィルタ131は、目標電流信号TGiのうち、フィルタ設定情報STf1によって設定された係数に応じて定まる周波数帯域を減衰させる。より具体的には、デジタルフィルタ131は、ノッチフィルタとして機能し、周波数fc1(中心周波数)を中心とする周波数帯域を減衰させる。また、デジタルフィルタ132は、デジタルフィルタ131の出力信号のうち、フィルタ設定情報STf2によって設定された係数に応じて定まる周波数帯域を減衰させる。より具体的には、デジタルフィルタ132は、ローパスフィルタとして機能し、周波数fc2(遮断周波数)以上の周波数帯域を減衰させ、(フィルタリングされた)目標電流信号TGfを出力する。
【0022】
DAC14は、目標電流信号TGi(SLm=0の場合)またはTGf(SLm=1の場合)をアナログ信号に変換して、電流制御信号CNiを生成する。また、オペアンプ151は、電流制御信号CNiの電圧と、NMOSトランジスタ152および抵抗16の接続点の電圧Vvcmとを比較し、さらに、NMOSトランジスタ152のゲート電圧は、当該比較結果に応じて変化する。
【0023】
ここで、抵抗16の抵抗値をRとすると、駆動電流Ivcmは、電圧Vvcm=Ivcm×Rとして検出される。したがって、駆動回路15aは、電圧Vvcmを電流制御信号CNiの電圧と等しくなるように制御し、駆動電流Ivcmの電流値は、電流制御信号CNiによって示される電流値となるように制御される。
【0024】
このようにして、モータ駆動回路1aは、測定モードにおいては目標電流信号TGiを、制御モードにおいては目標電流信号TGfを、それぞれアナログ信号に変換して電流制御信号CNiを生成する。そして、当該電流制御信号CNiに応じてボイスコイルモータ3に駆動電流Ivcmを供給する。
【0025】
===モータ駆動回路およびアクチュエータの動作の具体例===
ここで、測定モードおよび制御モードにおけるモータ駆動回路およびアクチュエータの動作の具体例について説明する。
【0026】
まず、
図3を参照して、測定モードにおける動作について説明する。なお、測定モードは、ボイスコイルモータ3が駆動するアクチュエータの共振周波数frを測定するためのモードである。
【0027】
測定モードにおいて、制御回路11は、制御情報INFcnに基づいて、目標電流信号TGiとしてステップ信号を出力する。また、当該目標電流信号TGiは、選択回路12を介してDAC14に供給され、アナログ信号である電流制御信号CNiに変換される。そして、駆動電流Ivcmは、当該電流制御信号CNiに基づいて制御される。したがって、
図3に示すように、駆動電流Ivcmの電流値は、ステップ状に変化する。
【0028】
この場合、駆動回路15aは、電圧Vvcmを電流制御信号CNiのステップ電圧と等しくなるように制御する。また、可動部の変位xは、アクチュエータの可動部の慣性力とばねの復元力とによって振動し、目標電流信号TGiに対応する目標位置に次第に収束する。そして、変位xを測定し、当該測定データをスペクトル解析することによって、共振周波数frを求めることができる。
【0029】
次に、
図4ないし
図12を適宜参照して、制御モードにおける動作について説明する。なお、制御モードは、マイクロコンピュータ5の制御に従ってアクチュエータを駆動するためのモードである。
【0030】
制御モードにおいて、制御回路11は、制御情報INFcnに基づいて、アクチュエータの可動部の目標位置に応じてステップ状に変化する目標電流信号TGiを出力する。なお、以下においては、測定モードにおける動作との比較のため、目標電流信号TGiとして、測定モードと同一のステップ信号を出力した場合について説明する。
【0031】
また、当該目標電流信号TGiは、選択回路12およびフィルタ回路13aを介して、目標電流信号TGfとしてDAC14に供給され、アナログ信号に変換される。したがって、制御モードにおいては、駆動回路15aは、フィルタ回路13aによってフィルタリングされた電流制御信号CNiに応じて、ボイスコイルモータ3に駆動電流Ivcmを供給することとなる。
【0032】
前述したように、フィルタ回路13aのデジタルフィルタ131および132が減衰させる周波数帯域は、それぞれフィルタ設定情報STf1およびSTf2によって設定される係数に応じて定まる。
【0033】
図4は、ノッチフィルタとして機能するように係数が設定されたデジタルフィルタ131の周波数特性の一例を示している。ここで、ノッチフィルタの中心周波数fc1は、測定モードにおいて予め測定された共振周波数frに等しい周波数に設定されている。したがって、当該ノッチフィルタは、入力信号のうち共振周波数frを中心とする周波数帯域を減衰させる。
【0034】
一方、
図5は、ローパスフィルタとして機能するように係数が設定されたデジタルフィルタ132の周波数特性の一例を示している。ここで、ローパスフィルタの遮断周波数fc2は、ノッチフィルタの中心周波数fc1(=fr)より低い周波数に設定されている。したがって、当該ローパスフィルタは、入力信号のうち共振周波数frより低い所定の周波数fc2以上の周波数帯域を減衰させる。
【0035】
ここで、
図6は、
図4に示したノッチフィルタのみを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示している。
図6に示されているように、ノッチフィルタを用いて、ステップ信号(目標電流信号TGi)のうち共振周波数frを含む周波数帯域を減衰させることによって、
図3に示した測定モード(フィルタなし)の場合に比べて、速やかに変位xを収束させることができる。しかしながら、変位xは、駆動電流Ivcmの変化時に目標位置からオーバーシュートし、当該オーバーシュートによって発生する小さな振動が残存してしまう。
【0036】
一方、
図7は、
図5に示したローパスフィルタのみを用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示している。
図7に示されているように、ローパスフィルタを用いた場合には、
図6に示したようなオーバーシュートは発生していない。しかしながら、変位xには、ノッチフィルタを用いた場合より大きな振動が残存してしまう。
【0037】
これらに対して、本実施形態のモータ駆動回路1aでは、ノッチフィルタおよびローパスフィルタの両方を縦続(カスケード)接続することによってフィルタ回路13aを構成している。
図8は、制御モードにおいて、ノッチフィルタおよびローパスフィルタの両方を用いた場合における駆動電流Ivcmおよび変位xの一例を示している。
図8に示されているように、ノッチフィルタおよびローパスフィルタの両方を用いることによって、オーバーシュートが抑制され、可動部の位置(変位x)を速やかに収束・安定させることができる。この場合、駆動電流Ivcmは、立ち上がり時(または立ち下がり時)にはランプ波形となり、その後、可動部の固有振動を打ち消すような波形となる。
【0038】
なお、本実施形態において、好ましくは、ノッチフィルタとしてバターワースフィルタを用い、ローパスフィルタとしてベッセルフィルタを用いる。
【0039】
例えば、ノッチフィルタとしてベッセルフィルタまたはチェビシェフフィルタを用いた場合には、それぞれ
図9または
図10に示すように、変位xには、若干のリップルが残存してしまう。当該リップルは、できるだけ通過帯域のリップルを少なくすることによって、すなわち、ノッチフィルタとして、通過帯域の周波数特性が最大限平坦なバターワースフィルタを用いることによって、抑制することができる。
【0040】
また、例えば、ローパスフィルタとしてチェビシェフフィルタまたはバターワースフィルタを用いた場合にも、それぞれ
図11または
図12に示すように、変位xには、若干のリップルが残存してしまう。当該リップルは、できるだけ通過帯域でのステップ応答のオーバーシュートやリンギングを少なくすることによって、すなわち、ローパスフィルタとして、通過帯域で群遅延(グループ遅延)が最大限平坦なベッセルフィルタを用いることによって、抑制することができる。
【0041】
===モータ駆動回路の他の構成例===
上記実施形態では、モータ駆動回路1aの駆動回路15aは、NMOSトランジスタ152によって駆動電流Ivcmを制御しているが、これに限定されるものではない。例えば
図13に示すように、PMOS(P-channel MOS:Pチャネル金属酸化膜半導体)トランジスタ153を用い、電源電位VCCおよびグランド電位の極性を反転させた構成とすることもできる。
【0042】
モータ駆動回路1aでは、ボイスコイルモータ3がグランド電位に短絡されると大電流が流れることとなるが、
図13に示したモータ駆動回路1bでは、当該グランド電位への短絡時に大電流が流れない構成となっている。また、モータ駆動回路1bにおいて、ボイスコイルモータ3が電源電位VCCに短絡されると大電流が流れるものの、電源電位VCCの端子や配線などは、通常ボイスコイルモータ3の周囲に配置されないため、当該電源電位VCCへの短絡は起こりにくい。さらに、モータ駆動回路1bの端子23とボイスコイルモータ3の一端とを共通のグランド電位とすることによって、配線を簡略化することもできる。
【0043】
一方、モータ駆動回路1aでは、NMOSトランジスタ152を用いることによって、PMOSトランジスタ153よりトランジスタのサイズを小さくすることができる。
【0044】
===フィルタ回路の他の構成例===
上記実施形態では、フィルタ回路13aは、縦続接続された2つのデジタルフィルタ131および132を用いて構成されているが、これに限定されるものではない。例えば
図14に示すように、時分割制御される1つのデジタルフィルタ133を用いて構成することもできる。
【0045】
図14に示されているフィルタ回路13bは、デジタルフィルタ133、フィルタ制御回路134、メモリ135、およびマルチプレクサ(選択回路)136、137を含んで構成されている。また、マルチプレクサ136は、フィルタ制御回路134から出力されるフィルタ選択信号SLfに応じて、フィルタ設定情報STf1またはSTf2を時分割で選択する。さらに、マルチプレクサ137は、フィルタ選択信号SLfに応じて、目標電流信号TGi、またはメモリ135に記憶されたデジタルフィルタ133の出力信号を時分割で選択する。
【0046】
このようにして、SLf=0となる第1の期間には、デジタルフィルタ133を、目標電流信号TGiが入力されるデジタルフィルタ131と同様のノッチフィルタとして機能させることができる。一方、SLf=1となる第2の期間には、デジタルフィルタ133を、ノッチフィルタの出力信号が入力されるデジタルフィルタ132と同様のローパスフィルタとして機能させることができる。
【0047】
また、フィルタ回路13aおよび13bは、ノッチフィルタの出力信号がローパスフィルタに入力されるような縦続接続で構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、デジタルフィルタ131および132をそれぞれローパスフィルタおよびノッチフィルタとして機能させることによって、ローパスフィルタの出力信号がノッチフィルタに入力されるような縦続接続でフィルタ回路を構成することもできる。また、例えば、デジタルフィルタ133を第1および第2の期間にそれぞれローパスフィルタおよびノッチフィルタとして機能させることによっても、同様の縦続接続でフィルタ回路を構成することができる。
【0048】
前述したように、モータ駆動回路1aにおいて、中心周波数fc1のデジタル(ノッチ)フィルタ131によって目標電流信号TGiのうちアクチュエータの共振周波数frを中心とする周波数帯域を減衰させ、さらに遮断周波数fc2(<fc1)のデジタル(ローパス)フィルタ132によって所定の周波数以上の周波数帯域を減衰させ、フィルタリングされた電流制御信号CNiに応じて、ボイスコイルモータ3に駆動電流Ivcmを供給することによって、アクチュエータの共振周波数によらず、振動が収束するまでの収束時間を短縮することができる。
【0049】
また、デジタル(ノッチ)フィルタ131を、通過帯域の周波数特性が平坦なバターワースフィルタとすることによって、ベッセルフィルタやチェビシェフフィルタとした場合に比べて、出力リップルを抑制することができる。
【0050】
また、デジタル(ローパス)フィルタ132を、通過帯域で群遅延(グループ遅延)が略一定となるベッセルフィルタとすることによって、チェビシェフフィルタやバターワースフィルタとした場合に比べて、出力リップルを抑制することができる。
【0051】
また、測定モードにおいて、目標電流信号TGiとしてステップ信号をDAC14に供給して、当該ステップ応答における振動の共振周波数frを予め測定しておくことによって、制御モードにおいて、当該測定された共振周波数frに応じて、フィルタ回路13aが減衰させる周波数帯域を設定することができる。
【0052】
また、デジタルフィルタ133を時分割制御して用いることによって、縦続接続されたノッチフィルタおよびローパスフィルタの機能を1つのデジタルフィルタで実現することができ、回路規模を抑えることができる。
【0053】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
上記実施形態では、測定モードによってボイスコイルモータ3が駆動するアクチュエータの共振周波数frを測定していたが、本発明はこれに限定されず、測定モードを有さなくてもよい。