(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3選択還元型触媒(23)より排ガス下流側の前記排気管(16)に設けられた酸化触媒(81)と、前記酸化触媒(81)より排ガス下流側に設けられたパティキュレートフィルタ(82)とを更に備えた請求項1記載の排ガス浄化装置。
前記第1選択還元型触媒(21)がハニカム担体に銅ゼオライト、銅アルミナ、鉄ゼオライト、亜鉛ゼオライト又はコバルトゼオライトをコーティングして構成され、前記第2選択還元型触媒(22)がハニカム担体に銀ゼオライト又は銀アルミナをコーティングして構成され、前記第3選択還元型触媒(23)がハニカム担体に銅ゼオライト、鉄ゼオライト又はバナジウム系酸化物をコーティングして構成された請求項1ないし3いずれか1項に記載の排ガス浄化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示された排ガス浄化装置では、選択還元型触媒として例えば白金−アルミナ系触媒を用いると、その活性温度域が200℃前後であり、温度活性域が狭いという不具合があり、銅−アルミナ系触媒を用いると、活性温度域が300℃以上で広いけれども、NOx低減性能が低い問題点があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、排ガスの高温域においてNOxの低減効率を向上できる、排ガス浄化装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、排ガスの広い温度域にわたってNOxを大幅に低減できる、排ガス浄化装置を提供することにある。本発明の第3の目的は、排ガス中のパティキュレートをパティキュレートフィルタにより除去できるとともに、所定量以上のパティキュレートが堆積したパティキュレートフィルタを再生でき、また第1〜第3選択還元型触媒と酸化触媒とパティキュレートフィルタを適切に配置して一体化することにより、液体燃料噴射ノズルを1本用いるだけで済ませて、装置のコンパクト化を図ることができる、排ガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、
図1に示すように、エンジン11の排気管16に設けられ銅系触媒、鉄系触媒、亜鉛系触媒又はコバルト系触媒からなる第1選択還元型触媒21と、第1選択還元型触媒21より排ガス下流側の排気管16に設けられ銀系触媒からなる第2選択還元型触媒22と、第2選択還元型触媒22より排ガス下流側の排気管16に設けられ銅系触媒、鉄系触媒又はバナジウム系触媒からなる第3選択還元型触媒23と、第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16に設けられ第1選択還元型触媒21に向けて炭化水素系液体25を噴射可能な液体噴射ノズル26と、液体噴射ノズル26に液体噴射量調整弁31を介して上記液体25を供給する炭化水素系液体供給手段27と、第1選択還元型触媒21に関係する排ガスの温度を検出する第1温度センサ41と、第2選択還元型触媒22に関係する排ガスの温度を検出する第2温度センサ42と、第1及び第2温度センサ41,42の各検出出力に基づいて液体噴射量調整弁31を制御するコントローラ38とを備えた排ガス浄化装置
であって、炭化水素系液体供給手段27が、炭化水素系液体25が貯留されたタンク29と、液体噴射ノズル26から噴射される炭化水素系液体25の噴射量を調整する液体噴射量調整弁31と、タンク29内の炭化水素系液体25を液体噴射ノズル26に供給可能なポンプ30とを有し、液体噴射量調整弁31が、液体噴射ノズル26への炭化水素系液体25の供給圧力を調整する圧力調整弁32と、液体噴射ノズル26を開閉するノズル開閉弁33とからなり、第1選択還元型触媒21に関係する排ガスの温度が250〜500℃の範囲内にあることを第1温度センサ41が検出するか、又は第2選択還元型触媒22に関係する排ガスの温度が250〜500℃の範囲内にあることを第2温度センサ42が検出したときに、コントローラ38が炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を作動させ、圧力調整弁32をオンし、かつノズル開閉弁33のオンオフを繰返すことにより、液体噴射ノズル26から炭化水素系液体25を間欠的に噴射し、第1選択還元型触媒21に関係する排ガスの温度が250〜500℃の範囲外にあることを第1温度センサ41が検出し、かつ第2選択還元型触媒22に関係する排ガスの温度が250〜500℃の範囲外にあることを第2温度センサ42が検出したときに、コントローラ38が炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を作動させず、圧力調整弁32をオフにし、かつノズル開閉弁33をオフにすることにより、液体噴射ノズル26から炭化水素系液体25を噴射しないように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の
第2の観点は
、図2に示すように、
エンジン11の排気管16に設けられ銅系触媒、鉄系触媒、亜鉛系触媒又はコバルト系触媒からなる第1選択還元型触媒21と、第1選択還元型触媒21より排ガス下流側の排気管16に設けられ銀系触媒からなる第2選択還元型触媒22と、第2選択還元型触媒22より排ガス下流側の排気管16に設けられ銅系触媒、鉄系触媒又はバナジウム系触媒からなる第3選択還元型触媒23と、第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16に設けられ第1選択還元型触媒21に向けて炭化水素系液体25を噴射可能な液体噴射ノズル26と、液体噴射ノズル26に液体噴射量調整弁31を介して上記液体25を供給する炭化水素系液体供給手段27と、第1選択還元型触媒21に関係する排ガスの温度を検出する第1温度センサ41と、第2選択還元型触媒22に関係する排ガスの温度を検出する第2温度センサ42と、第1及び第2温度センサ41,42の各検出出力に基づいて液体噴射量調整弁31を制御するコントローラ38とを備えた排ガス浄化装置であって、第3選択還元型触媒23より排ガス下流側の排気管16に設けられ
白金系触媒からなる第4選択還元型触媒54と、第4選択還元型触媒54が第3選択還元型触媒23より排ガス下流側の排気管16に設けられ、第3選択還元型触媒23と第4選択還元型触媒54との間の排気管16に設けられ第4選択還元型触媒54に向けて炭化水素系液体25を噴射可能な補助液体噴射ノズル56と、補助液体噴射ノズル56に補助液体噴射量調整弁61を介して上記液体25を供給する補助炭化水素系液体供給手段57と、第4選択還元型触媒54に関係する排ガスの温度を検出する第3温度センサ73とを更に備え、
炭化水素系液体供給手段27が、炭化水素系液体25が貯留されたタンク29と、液体噴射ノズル26から噴射される炭化水素系液体25の噴射量を調整する液体噴射量調整弁31と、タンク29内の炭化水素系液体25を液体噴射ノズル26に供給可能なポンプ30とを有し、液体噴射量調整弁31が、液体噴射ノズル26への炭化水素系液体25の供給圧力を調整する圧力調整弁32と、液体噴射ノズル26を開閉するノズル開閉弁33とからなり、補助炭化水素系液体供給手段57が、炭化水素系液体25の噴射量を調整する補助液体噴射量調整弁61を有し、補助液体噴射量調整弁61)が、補助液体噴射ノズル56への炭化水素系液体25の供給圧力を調整する補助圧力調整弁62と、補助液体噴射ノズル56を開閉する補助ノズル開閉弁63とからなり、排ガス温度が150℃未満と極めて低い温度を第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ73が検出したとき、コントローラ38が、炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を不作動状態にし、圧力調整弁32及びノズル開閉弁33をオフにして、液体噴射ノズル26から炭化水素系液体25を噴射しない状態に保つとともに、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63をオフにして、補助液体噴射ノズル56から炭化水素系液体25を噴射しない状態に保ち、排ガス温度が150〜250℃の低温域になったことを第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ73が検出したときに、コントローラ38が、炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を作動させ、圧力調整弁32をオンし、かつノズル開閉弁33のオンオフを繰返して、液体噴射ノズル26から少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射するとともに、補助圧力調整弁62をオンし、かつ補助ノズル開閉弁63のオンオフを繰返して、補助液体噴射ノズル56から少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射し、排ガス温度が250〜300℃の高温域になったことを第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ73が検出したときに、コントローラ38が、圧力調整弁32及びノズル開閉弁33を制御して、液体噴射ノズル26から多量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射するとともに、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63を制御して、補助液体噴射ノズル56から少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射し、排ガス温度が300〜500℃の更に高温域になったことを第1温度センサ41、第2温度センサ42及び第3温度センサ73が検出したときに、コントローラ38が、圧力調整弁32及びノズル開閉弁33を制御して、液体噴射ノズル26から多量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射するとともに、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63を制御して、補助液体噴射ノズル56からの炭化水素系液体25の噴射を停止するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の
第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図3に示すように、第3選択還元型触媒23より排ガス下流側の排気管16に設けられた酸化触媒81と、この酸化触媒81より排ガス下流側に設けられたパティキュレートフィルタ82とを更に備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の
第4の観点は、第1ないし
第3の観点に基づく発明であって、更に
図1に示すように、第1選択還元型触媒21がハニカム担体に銅ゼオライト、銅アルミナ、鉄ゼオライト、亜鉛ゼオライト又はコバルトゼオライトをコーティングして構成され、第2選択還元型触媒22がハニカム担体に銀ゼオライト又は銀アルミナをコーティングして構成され、第3選択還元型触媒23がハニカム担体に銅ゼオライト、鉄ゼオライト又はバナジウム系酸化物をコーティングして構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の
第5の観点は、
第2の観点に基づく発明であって、更に
図2に示すように、第4選択還元型触媒54がハニカム担体に貴金属系触媒をコーティングして構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の
第6の観点は、
第3の観点に基づく発明であって、更に
図3に示すように、酸化触媒81がハニカム担体に貴金属系触媒をコーティングして構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の観点の排ガス浄化装置では、排ガスの高温域において、エンジンの排ガスとともに、液体噴射ノズルから噴射された炭化水素系液体が銅系、鉄系、亜鉛系又はコバルト系の第1選択還元型触媒に流入すると、この第1選択還元型触媒上でホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類が生成され、このアルデヒド類を含む排ガスが銀系の第2選択還元型触媒に流入すると、この第2選択還元型触媒上でアルデヒド類とNOxが反応して、NOxの還元反応とアルデヒド類の酸化反応とが促進される。また第1選択還元型触媒で消費されなかった上記炭化水素系液体を含む排ガスが銀系の第2選択還元型触媒に流入すると、第2選択還元型触媒上でアンモニアが生成され、このアンモニアを含む排ガスが第3選択還元型触媒に流入すると、この第3選択還元型触媒上でアンモニアとNOxが反応して、NOxの還元反応とアンモニアの酸化反応が促進される。この結果、排ガスの高温域における排ガス中のNOxの低減効率を向上できる。
【0015】
本発明の第2の観点の排ガス浄化装置では、排ガスの低温域において、炭化水素系液体を液体噴射ノズルから噴射すると、炭化水素系液体が第1〜第3選択還元型触媒で反応することなく、排ガス中のNOxの還元性能を発現する貴金属系の第4選択還元型触媒上で排ガス中のNOxと反応して、NOxが速やかに還元される。この結果、排ガスの低温域においてNOxを効率良く低減できる。一方、排ガスの高温域において、エンジンの排ガスとともに、液体噴射ノズルから噴射された炭化水素系液体が第1選択還元型触媒に流入すると、この第1選択還元型触媒上でホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類が生成され、このアルデヒド類を含む排ガスが第2選択還元型触媒に流入すると、この第2選択還元型触媒上でアルデヒド類とNOxが反応して、NOxの還元反応とアルデヒド類の酸化反応とが促進される。また第1選択還元型触媒で消費されなかった上記炭化水素系液体を含む排ガスが銀系の第2選択還元型触媒に流入すると、第2選択還元型触媒上でアンモニアが生成され、このアンモニアを含む排ガスが第3選択還元型触媒に流入すると、アンモニアが生成され、このアンモニアを含む排ガスが第3選択還元型触媒に流入すると、この第3選択還元型触媒上でアンモニアとNOxが反応して、NOxの還元反応とアンモニアの酸化反応が促進される。この結果、排ガスの高温域においてNOxを効率良く低減できる。従って、幅広い温度域にわたってNOxを大幅に低減できる。
【0016】
また、本発明の
第2の観点の排ガス浄化装置では、第3選択還元型触媒と第4選択還元型触媒との間に設けられた補助液体噴射ノズルから炭化水素系液体を噴射すると、液体噴射ノズルから噴射された炭化水素系液体の不足分を補うことができる。この結果、白金系の第4選択還元型触媒の性能を更に向上させることができる。
【0017】
本発明の
第3の観点の排ガス浄化装置では、第3選択還元型触媒より排ガス下流側の排気管に酸化触媒を設け、この酸化触媒より排ガス下流側にパティキュレートフィルタを設けたので、排ガス中のパティキュレートをパティキュレートフィルタにより捕集することにより、排ガスからパティキュレートを除去できるとともに、液体噴射ノズルから噴射されて第1〜第3選択還元型触媒を通過した炭化水素系液体が酸化触媒で燃焼することにより熱が発生し、パティキュレートフィルタに堆積した所定量以上のパティキュレートが上記熱により燃焼して除去されるので、パティキュレートフィルタを再生できる。また第1〜第3選択還元型触媒と酸化触媒とパティキュレートフィルタを適切に配置して一体化することにより、液体燃料噴射ノズルを1本用いるだけで済ませて、排ガス浄化装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、ディーゼルエンジン11の吸気ポートには吸気マニホルド12を介して吸気管13が接続され、排気ポートには排気マニホルド14を介して排気管16が接続される。吸気管13には、ターボ過給機17のコンプレッサハウジング17aと、ターボ過給機17により圧縮された吸気を冷却するインタクーラ18とがそれぞれ設けられ、排気管16にはターボ過給機17のタービンハウジング17bが設けられる。コンプレッサハウジング17aにはコンプレッサ回転翼(図示せず)が回転可能に収容され、タービンハウジング17bにはタービン回転翼(図示せず)が回転可能に収容される。コンプレッサ回転翼とタービン回転翼とはシャフト(図示せず)により連結され、エンジン11から排出される排ガスのエネルギによりタービン回転翼及びシャフトを介してコンプレッサ回転翼が回転し、このコンプレッサ回転翼の回転により吸気管13内の吸入空気が圧縮されるように構成される。
【0020】
排気管16の途中には銅系触媒、鉄系触媒、亜鉛系触媒又はコバルト系触媒からなる第1選択還元型触媒21が設けられ、第1選択還元型触媒21より排ガス下流側の排気管16には銀系触媒からなる第2選択還元型触媒22が設けられ、更に第2選択還元型触媒22より排ガス下流側の排気管16には銅系触媒、鉄系触媒又はバナジウム系触媒からなる第3選択還元型触媒23が設けられる。第1〜第3選択還元型触媒21〜23は排気管16より大径のケース24に収容される。第1選択還元型触媒21はモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に銅ゼオライト、銅アルミナ、鉄ゼオライト、亜鉛ゼオライト又はコバルトゼオライトをコーティングして構成される。具体的には、銅ゼオライトからなる第1選択還元型触媒21は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。また銅アルミナからなる第1選択還元型触媒21は、銅を担持させたγ−アルミナ粉末又はθ−アルミナ粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。更に鉄ゼオライト、亜鉛ゼオライト又はコバルトゼオライトからなる第1選択還元型触媒21は、鉄、亜鉛又はコバルトをイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にそれぞれコーティングして構成される。
【0021】
第2選択還元型触媒22はモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に銀ゼオライト又は銀アルミナをコーティングして構成される。具体的には、銀ゼオライトからなる第2選択還元型触媒22は、銀をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。また銀アルミナからなる第2選択還元型触媒22は、銀を担持させたγ−アルミナ粉末又はθ−アルミナ粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。
【0022】
第3選択還元型触媒23はモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に銅ゼオライト、鉄ゼオライト又はバナジウム系酸化物をコーティングして構成される。具体的には、銅ゼオライトからなる第3選択還元型触媒23は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。また鉄ゼオライトからなる第3選択還元型触媒23は、鉄をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。更にバナジウム系酸化物からなる第3選択還元型触媒23は、バナジウム酸化物粉末のみの粉末を含むか、或いはバナジウム酸化物にチタン酸化物及びタングステン酸化物を含有する複合酸化物粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。
【0023】
一方、第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16には、第1選択還元型触媒21に向けて炭化水素系液体25を噴射可能な液体噴射ノズル26が設けられる。この液体噴射ノズル26には炭化水素系液体供給手段27が接続される。炭化水素系液体供給手段27は、液体噴射ノズル26に一端が接続された液体供給管28と、この液体供給管28の他端に接続され液体25が貯留されたタンク29と、液体噴射ノズル26から噴射される液体25の噴射量を調整する液体噴射量調整弁31とを有する。上記炭化水素系液体25は、この実施の形態では、軽油等の燃料である。また液体噴射量調整弁31は、液体供給管28に設けられ液体噴射ノズル26への液体25の供給圧力を調整する圧力調整弁32と、液体噴射ノズル26の基端に設けられ液体噴射ノズル26を開閉するノズル開閉弁33とからなる。更に圧力調整弁32とタンク29との間の液体供給管28にはタンク29内の液体25を液体噴射ノズル26に供給可能なポンプ30が設けられる。
【0024】
圧力調整弁32は第1〜第3ポート32a〜32cを有する三方弁であり、第1ポート32aはポンプ30の吐出口に接続され、第2ポート32bは液体噴射ノズル26に接続され、第3ポート32cは戻り管34を介してタンク29に接続される。圧力調整弁32がオンすると、ポンプ30により圧送された液体25が第1ポート32aから圧力調整弁32に流入し、この圧力調整弁32で所定の圧力に調整された後、第2ポート32bから液体噴射ノズル26に圧送される。また圧力調整弁32がオフすると、ポンプ30により圧送された液体25が第1ポート32aから圧力調整弁32に流入した後、第3ポート32cから戻り管34を通ってタンク29に戻される。
【0025】
第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16には、第1選択還元型触媒21に関係する排ガスの温度、この実施の形態では、第1選択還元型触媒21を流れる直前の排ガスの温度を検出する第1温度センサ41が設けられる。また第1選択還元型触媒21より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒22より排ガス上流側の排気管16には、第2選択還元型触媒22に関係する排ガスの温度、この実施の形態では、第2選択還元型触媒22を流れる直前の排ガスの温度を検出する第2温度センサ42が設けられる。更にエンジン11の回転速度は回転センサ36により検出され、エンジン11の負荷は負荷センサ37により検出される。第1温度センサ41、第2温度センサ42、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力はコントローラ38の制御入力に接続され、コントローラ38の制御出力は圧力調整弁32、ポンプ30及びノズル開閉弁33にそれぞれ接続される。コントローラ38にはメモリ39が設けられる。このメモリ39には、エンジン回転速度、エンジン負荷、第1選択還元型触媒21入口(第1選択還元型触媒を流れる直前)の排ガス温度、第2選択還元型触媒22入口(第2選択還元型触媒を流れる直前)の排ガス温度等に応じた圧力調整弁32の圧力、ノズル開閉弁33の開閉回数、ポンプ30の作動の有無が予め記憶される。
【0026】
なお、この実施の形態では、第1温度センサを第1選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に設けたが、第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に第1温度センサを設けたり、或いは第1選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管とに第1温度センサをそれぞれ設けてもよい。第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に第1温度センサを設けた場合、この第1温度センサにより第1選択還元型触媒出口(第1選択還元型触媒を流れた直後)の排ガスの温度が検出される。また第1選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管とに第1温度センサをそれぞれ設けた場合、即ち第1選択還元型触媒の直前及び直後に第1温度センサをそれぞれ設けた場合、第1選択還元型触媒入口(第1選択還元型触媒を流れる直前)の排ガス温度と第1選択還元型触媒出口(第1選択還元型触媒を流れた直後)の排ガス温度とがそれぞれ検出されるため、両温度の平均値を算出することにより、第1選択還元型触媒を流れている排ガスの温度を検出できる。
【0027】
また、この実施の形態では、第2温度センサを第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に設けたが、第2選択還元型触媒より排ガス下流側であって第3選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に第2温度センサを設けたり、或いは第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第2選択還元型触媒より排ガス下流側であって第3選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管とに第2温度センサをそれぞれ設けてもよい。第2選択還元型触媒より排ガス下流側であって第3選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に第2温度センサを設けた場合、この第2温度センサにより第2選択還元型触媒出口(第2選択還元型触媒を流れた直後)の排ガスの温度が検出される。また第1選択還元型触媒より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第2選択還元型触媒より排ガス下流側であって第3選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管とに第2温度センサをそれぞれ設けた場合、即ち第2選択還元型触媒の直前及び直後に第2温度センサをそれぞれ設けた場合、第2選択還元型触媒入口(第2選択還元型触媒を流れる直前)の排ガス温度と第2選択還元型触媒出口(第2選択還元型触媒を流れた直後)の排ガス温度とがそれぞれ検出されるため、両温度の平均値を算出することにより、第2選択還元型触媒を流れている排ガスの温度を検出できる。
【0028】
このように構成された排ガス浄化装置の動作を説明する。排ガスが高温域(例えば、250〜500℃)にあることを第1温度センサ41又は第2温度センサ42が検出すると、コントローラ38は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力に基づいて炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を作動させ、圧力調整弁32をオンし、かつノズル開閉弁33のオンオフを繰返すことにより、液体噴射ノズル26から炭化水素系液体25を間欠的に噴射する。この液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25がガス化して銅系、鉄系、亜鉛系又はコバルト系の第1選択還元型触媒21に流入すると、この触媒21上でホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類が生成される。これは、軽油等の炭化水素系液体25を構成するHC成分(アルカン)が、第1選択還元型触媒21上における酸素による酸化反応でHC成分の末端が脱水し、炭素同士の二重結合ができて、この二重結合部に酸素が求電子付加して部分酸化が起こったために、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類が生成されたものと推定される。
【0029】
第1選択還元型触媒21で生成されたアルデヒド類を含む排ガスが銀系の第2選択還元型触媒22に流入すると、この第2選択還元型触媒22上でアルデヒド類とNOxが反応して、NOxの還元反応とアルデヒド類の酸化反応とが促進される。具体的には、アルデヒド類が第2選択還元型触媒22上でNOxから酸素原子を奪って酸化される(還元剤として作用する)一方で、NOxがアルデヒド類に酸素原子を与えて還元されることで、N
2を生成されるために、排ガス中のNOxが低減される。なお、アルデヒド類の酸化により二酸化炭素や水が生成される。
【0030】
また、第1選択還元型触媒21で消費されなかった上記ガス化した炭化水素系液体25が銀系の第2選択還元型触媒22に流入すると、この触媒22上でアンモニアが生成される。これは、軽油等の炭化水素系液体25を構成するHC成分(アルカン)が、第2選択還元型触媒22に吸着し、NOxと酸素が第2選択還元型触媒22上で反応して、イソシアネート種(N=C=O、C=N)などの反応中間体ができ、この反応中間体に水が付加することにより、アンモニアが生成されたものと推定される。第2選択還元型触媒22で生成されたアンモニアを含む排ガスが銅系、鉄系又はバナジウム系の第3選択還元型触媒23に流入すると、次の式(1)〜式(3)に示すように、第3選択還元型触媒23上で排ガス中のNOx(NO及びNO
2)がアンモニアと反応してN
2に還元される。
【0031】
NO + NO
2 + 2NH
3 → 2N
2 + 3H
2O …(1)
4NO + 4NH
3 + O
2 → 4N
2 + 6H
2O …(2)
6NO
2 + 8NH
3 → 7N
2 + 12H
2O …(3)
この結果、排ガスの高温域における排ガス中のNOxの低減効率を向上できる。
【0032】
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態を示す。
図2において
図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、第3選択還元型触媒23より排ガス下流側の排気管16に白金ゼオライトや白金アルミナ等の貴金属系触媒からなる第4選択還元型触媒54が設けられる。この第4選択還元型触媒54は排気管16より大径のケース55に収容される。また第4選択還元型触媒54はモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に白金ゼオライト又は白金アルミナ等の貴金属触媒をコーティングして構成される。具体的には、白金ゼオライトからなる第4選択還元型触媒54は、白金をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。また白金アルミナからなる第4選択還元型触媒54は、白金を担持させたγ−アルミナ粉末又はθ−アルミナ粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。
【0033】
一方、第3選択還元型触媒23と第4選択還元型触媒54との間の排気管16には、第4選択還元型触媒54に向けて炭化水素系液体25を噴射可能な補助液体噴射ノズル56が設けられる。この補助液体噴射ノズル56には補助炭化水素系液体供給手段57が設けられる。補助炭化水素系液体供給手段57は、補助液体噴射ノズル56に一端が接続された補助液体供給管58と、補助液体噴射ノズル56から噴射される液体25の噴射量を調整する補助液体噴射量調整弁61とを有する。上記補助液体供給管58の他端はポンプ30と圧力調整弁32との間の液体供給管28に接続される。また補助液体噴射量調整弁61は、補助液体供給管58に設けられ補助液体噴射ノズル56への液体25の供給圧力を調整する補助圧力調整弁62と、補助液体噴射ノズル56の基端に設けられ補助液体噴射ノズル56を開閉する補助ノズル開閉弁63とからなる。
【0034】
補助圧力調整弁62は第1〜第3ポート62a〜62cを有する三方弁であり、第1ポート62aはポンプ30の吐出口に接続され、第2ポート62bは補助液体噴射ノズル56に接続され、第3ポート62cは補助戻り管64を介してタンク29に接続される。補助圧力調整弁62がオンすると、ポンプ30により圧送された液体25が第1ポート62aから補助圧力調整弁62に流入し、この補助圧力調整弁62で所定の圧力に調整された後、第2ポート62bから補助液体噴射ノズル56に圧送される。また補助圧力調整弁62がオフすると、ポンプ30により圧送された液体25が第1ポート62aから補助圧力調整弁62に流入した後、第3ポート62cから補助戻り管64を通ってタンク29に戻される。
【0035】
第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16には、第1選択還元型触媒21に関係する排ガス温度、この実施の形態では、第1選択還元型触媒21を流れる直前の排ガスの温度を検出する第1温度センサ41が設けられる。また第1選択還元型触媒21より排ガス下流側であって第2選択還元型触媒22より排ガス上流側の排気管16には、第2選択還元型触媒22に関係する排ガス温度、この実施の形態では、第2選択還元型触媒22を流れる直前の排ガスの温度を検出する第2温度センサ42が設けられる。更に第3選択還元型触媒23より排ガス下流側であって第4選択還元型触媒54より排ガス上流側の排気管16には、第4選択還元型触媒54に関係する排ガスの温度、この実施の形態では、第4選択還元型触媒54を流れる直前の排ガスの温度を検出する第3温度センサ73が設けられる。またエンジン11の回転速度は回転センサ36により検出され、エンジン11の負荷は負荷センサ37により検出される。第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ73、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力はコントローラ38の制御入力に接続され、コントローラ38の制御出力は圧力調整弁32、ポンプ30、ノズル開閉弁33、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63にそれぞれ接続される。コントローラ38に設けられたメモリ39には、エンジン回転速度、エンジン負荷、第1選択還元型触媒21入口(第1選択還元型触媒21を流れる直前)の排ガス温度、第2選択還元型触媒22入口(第2選択還元型触媒22を流れる直前)の排ガス温度等に応じた圧力調整弁32の圧力、ノズル開閉弁33の開閉回数、ポンプ30の作動の有無が予め記憶されるとともに、エンジン回転速度、エンジン負荷、第4選択還元型触媒54入口(第4選択還元型触媒54を流れる直前)の排ガス温度等に応じた補助圧力調整弁62の圧力、補助ノズル開閉弁63の開閉回数、ポンプ30の作動の有無が予め記憶される。
【0036】
なお、この実施の形態では、第3温度センサを第3選択還元型触媒より排ガス下流側であって第4選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に設けたが、第4選択還元型触媒より排ガス下流側に第3温度センサを設けたり、或いは第3選択還元型触媒より排ガス下流側であって第4選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第4選択還元型触媒より排ガス下流側の排気管とに第3温度センサをそれぞれ設けてもよい。第4選択還元型触媒より排ガス下流側の排気管に第3温度センサを設けた場合、この第3温度センサにより第4選択還元型触媒出口(第4選択還元型触媒を流れた直後)の排ガス温度が検出される。また第3選択還元型触媒より排ガス下流側であって第4選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管と、第4選択還元型触媒より排ガス下流側の排気管とに第3温度センサをそれぞれ設けた場合、即ち第4選択還元型触媒の直前及び直後に第3温度センサをそれぞれ設けた場合、第4選択還元型触媒入口(第4選択還元型触媒を流れる直前)の排ガス温度と第4選択還元型触媒出口(第4選択還元型触媒を流れた直後)の排ガス温度とがそれぞれ検出されるため、両温度の平均値を算出することにより、第4選択還元型触媒を流れている排ガスを検出できる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0037】
このように構成された排ガス浄化装置の動作を説明する。エンジン11の始動直後のように、排ガス温度が150℃未満と極めて低い場合には、第1選択還元型触媒21の入口側の排ガス温度が低過ぎて第1〜第4選択還元型触媒21〜23,54によりNOxを殆ど還元できないので、コントローラ38は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ73、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力に基づいて、炭化水素系液体供給手段27のポンプ30は不作動状態にし、圧力調整弁32及びノズル開閉弁33をオフにして、液体噴射ノズル26から炭化水素系液体25を噴射しない状態に保つとともに、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63をオフにして、補助液体噴射ノズル56から炭化水素系液体25を噴射しない状態に保つ。
【0038】
排ガス温度が上昇して低温域(例えば150〜250℃)になると、コントローラ38は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ73、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力に基づいて、炭化水素系液体供給手段27のポンプ30を作動させ、圧力調整弁32をオンし、かつノズル開閉弁33のオンオフを繰返して、液体噴射ノズル26から比較的少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射するとともに、補助圧力調整弁62をオンし、かつ補助ノズル開閉弁63のオンオフを繰返して、補助液体噴射ノズル56から比較的少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射する。液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25は、ガス化して第1選択還元型触媒21に流入するけれども、排ガスの低温域における第1選択還元型触媒21上での排ガス中のNOxの還元性能の発現が僅かであるため、第1選択還元型触媒21での炭化水素系液体25の消費は少なく、ガス化した炭化水素系液体25の大部分は第1選択還元型触媒21を通過して、第2選択還元型触媒22に流入する。排ガスの低温域における第2選択還元型触媒22上での排ガス中のNOxの還元性能の発現も僅かであるため、第2選択還元型触媒22での炭化水素系液体25の消費は少なく、ガス化した炭化水素系液体25の大部分は第2選択還元型触媒22を通過して、第3選択還元型触媒53に流入する。排ガスの低温域における第3選択還元型触媒23上での排ガス中のNOxの還元性能の発現も僅かであるため、第3選択還元型触媒23での炭化水素系液体25の消費は少なく、ガス化した炭化水素系液体25の大部分は第3選択還元型触媒53を通過して、第4選択還元型触媒54に流入する。
【0039】
上記液体噴射ノズル26から噴射された殆ど全ての炭化水素系液体25は、補助液体噴射ノズル56から噴射された炭化水素系液体25とともに、ガス化して第4選択還元型触媒54に流入する。この第4選択還元型触媒54は排ガスの低温域においてNOxの還元性能を大きく発現するので、上記ガス化した炭化水素系液体25は第4選択還元型触媒54上で排ガス中のNOxと反応して、NOxが速やかに還元される。この結果、排ガスの低温域においてNOxが効率良く低減される。
【0040】
排ガス温度が更に上昇して高温域(例えば、250〜500℃)になると、コントローラ38は、第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ73、回転センサ36及び負荷センサ37の各検出出力に基づいて圧力調整弁32及びノズル開閉弁33を制御して、液体噴射ノズル26から比較的多量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射するとともに、補助圧力調整弁62及び補助ノズル開閉弁63を制御して、補助液体噴射ノズル56から比較的少量の炭化水素系液体25を間欠的に噴射する。なお、排ガス温度が300℃以上になったときに補助液体噴射ノズル56からの炭化水素系液体25の噴射を停止する。
【0041】
液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25がガス化して銅系、鉄系、亜鉛系又はコバルト系の第1選択還元型触媒21に流入すると、この触媒21上でホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類が生成される。このアルデヒド類を含む排ガスが銀系の第2選択還元型触媒22に流入すると、この第2選択還元型触媒22上でアルデヒド類とNOxが反応して、NOxの還元反応とアルデヒド類の酸化反応とが促進される。なお、アルデヒド類の酸化により二酸化炭素や水が生成される。
【0042】
また、第1選択還元型触媒21で消費されなかった上記ガス化した炭化水素系液体25が銀系の第2選択還元型触媒22に流入すると、この触媒22上でアンモニアが生成される。これは、軽油等の炭化水素系液体25を構成するHC成分(アルカン)が、第2選択還元型触媒22に吸着し、NOxと酸素が第2選択還元型触媒22上で反応して、イソシアネート種(N=C=O、C=N)などの反応中間体ができ、この反応中間体に水が付加することにより、アンモニアが生成されたものと推定される。第2選択還元型触媒22で生成されたアンモニアを含む排ガスが銅系、鉄系又はバナジウム系の第3選択還元型触媒23に流入すると、次の式(1)〜式(3)に示すように、第3選択還元型触媒23上で排ガス中のNOx(NO及びNO
2)がアンモニアと反応してN
2に還元される。
【0043】
NO + NO
2 + 2NH
3 → 2N
2 + 3H
2O …(1)
4NO + 4NH
3 + O
2 → 4N
2 + 6H
2O …(2)
6NO
2 + 8NH
3 → 7N
2 + 12H
2O …(3)
この結果、排ガスの高温域における排ガス中のNOxの低減効率を向上できる。更に補助液体噴射ノズル56から噴射された炭化水素系液体25が第4選択還元型触媒54に流入すると、この炭化水素系液体25は排ガス温度300℃未満の低温域における第4選択還元型触媒54上でのNOx低減に寄与することができる。この結果、排ガスの低温域から高温域の幅広い温度域にわたってNOxを大幅に低減できる。また第3選択還元型触媒23から余剰の炭化水素系液体25、アルデヒド類、アンモニアが排出された場合、これらの余剰分は第4選択還元型触媒54で酸化されるため、大気中に排出されることはない。
【0044】
<第3の実施の形態>
図3は本発明の第3の実施の形態を示す。
図3において
図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、第3選択還元型触媒23より排ガス下流側の排気管16に酸化触媒81が設けられ、この酸化触媒81より排ガス下流側にパティキュレートフィルタ82が設けられる。上記酸化触媒81及びパティキュレートフィルタ82は第1〜第3選択還元型触媒21〜23とともに、排気管16より大径のケース83に収容される。また酸化触媒81はモノリス触媒であって、コージェライト製のハニカム担体に白金ゼオライト、白金アルミナ、又は白金−パラジウムアルミナ等の貴金属系触媒をコーティングして構成される。具体的には、白金ゼオライトからなる酸化触媒81は、白金をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。また白金アルミナからなる酸化触媒81は、白金を担持させたγ−アルミナ粉末又はθ−アルミナ粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。更に白金−パラジウムアルミナからなる酸化触媒81は、白金及びパラジウムを担持させたγ−アルミナ粉末又はθ−アルミナ粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして構成される。
【0045】
パティキュレートフィルタ82は、
図4に詳しく示すように、コージェライトのようなセラミックからなる多孔質の隔壁82aで仕切られた多角形断面を有する。このフィルタ82はこれらの隔壁82aにより多数の互いに平行に形成された貫通孔82bの相隣接する入口部82cと出口部82dを封止部材82eにより交互に封止することにより構成される。このフィルタ82では、フィルタ82の入口部82cから導入されたエンジン11の排ガスが多孔質の隔壁82aを通過する際に、この排ガスに含まれるパティキュレートが捕集され、パティキュレートの除去された排ガスが出口部82dから排出されるようになっている。
【0046】
なお、第1〜第3選択還元型触媒21〜23及び酸化触媒81のハニカム担体には、上記封止部材は用いられず、またこれらのハニカム担体の隔壁は多孔質であってもよいが、多孔質でなくてもよい。但し、第1〜第3選択還元型触媒21〜23及び酸化触媒81の隔壁の厚さ及び貫通孔の孔面積は、パティキュレートフィルタ82の隔壁82aの厚さ及び貫通孔82bの孔面積より小さく形成されることが好ましい。また上記第1〜第3選択還元型触媒21〜23のハニカム担体の形態は、第1及び第2の実施の形態においても同様に構成される。更に第2の実施の形態の第4選択還元型触媒の形態も第1〜第3選択還元型触媒21〜23の形態と同様に構成される。但し、第3の実施の形態の酸化触媒81は第2の実施の形態の第4選択還元型触媒より大型に形成される。これは、液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25を酸化触媒81で燃焼させて比較的大量の熱を発生させる必要があるためである。
【0047】
一方、酸化触媒とパティキュレートフィルタとの間のケースには第4温度センサが設けられる。この温度センサは酸化触媒81から排出された排ガスの温度を検出するように構成される。第4温度センサ84の検出出力はコントローラの制御入力に接続される。コントローラ38に設けられたメモリ39には、エンジン回転速度、エンジン負荷、第1選択還元型触媒21入口(第1選択還元型触媒21を流れる直前)の排ガス温度、第2選択還元型触媒22入口(第2選択還元型触媒22を流れる直前)の排ガス温度、酸化触媒から排出された排ガス温度、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量等に応じた圧力調整弁32の圧力、ノズル開閉弁33の開閉回数、ポンプ30の作動の有無が予め記憶される。なお、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づいて積算されるように構成される。なお、この実施の形態では、パティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量をエンジン回転速度及びエンジン負荷に基づいて積算するように構成したが、フィルタ前後の排ガスの差圧を検出する差圧センサや、フィルタの直前にのみ設けられた圧力センサ等を用いてパティキュレートフィルタに捕集されたパティキュレートの堆積量を検出してもよい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0048】
このように構成された排ガス浄化装置の動作を説明する。エンジン11から排出された排ガス中のパティキュレートは第1〜第3選択還元型触媒21〜23及び酸化触媒81を通過してパティキュレートフィルタ82で捕集されるので、パティキュレートが除去された清浄な排ガスが大気中に放出される。ここで、上記排ガス中のパティキュレートは第1〜第3選択還元型触媒21〜23や酸化触媒81に付着する場合があるけれども、パティキュレートが第1〜第3選択還元型触媒21〜23や酸化触媒81に付着しても被毒が発生することはなく、また上記パティキュレートは液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25の到来により燃焼してしまう。一方、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づく積算によりパティキュレートフィルタ82に所定量以上のパティキュレートが堆積したことが検出されると、コントローラ38はエンジン回転センサ36、エンジン負荷センサ37及び第4温度センサ84の各検出出力に基づいてノズル開閉弁33の開閉回数を増やし、液体噴射ノズル26からの炭化水素系液体25の噴射量を増大させる。これにより第1〜第3選択還元型触媒21〜23を通過する炭化水素系液体25の量が増えるので、この通過した炭化水素系液体25が酸化触媒81で燃焼して比較的大量の熱を発生する。この結果、パティキュレートフィルタ82に堆積した所定量以上のパティキュレートが上記熱により燃焼して除去されるので、パティキュレートフィルタ82を速やかに再生することができる。
【0049】
ここで、第1選択還元型触媒21で生成されたアルデヒド類のうち第2及び第3選択還元型触媒22,23で反応せずに第2及び第3選択還元型触媒22,23を通過した余剰のアルデヒド類は酸化触媒81で酸化されて無害化される。また第2選択還元型触媒22で発生したアンモニアのうち第3選択還元型触媒23で反応せずに第3選択還元型触媒23を通過した余剰のアンモニアは酸化触媒81で酸化されて無害化される。またパティキュレートフィルタ82を再生しないときに、液体噴射ノズル26から噴射された炭化水素系液体25のうち第1〜第3選択還元型触媒21〜23で反応せずに第1〜第3選択還元型触媒21〜23を通過した余剰の炭化水素系液体25は酸化触媒81で酸化されて無害化される。更に
図1に示すように、排気管16の途中に設けられたケース83に、排ガス上流側から順に第1選択還元型触媒21、第2選択還元型触媒22、第3選択還元型触媒23、酸化触媒81及びパティキュレートフィルタ82を収容することにより、即ち第1〜第3選択還元型触媒21〜23、酸化触媒81及びパティキュレートフィルタ82を排気管16に適切に配置しかつ単一のケース83内に収容して一体化することにより、液体燃料噴射ノズル26を1本用いるだけで済ませて、排ガス浄化装置のコンパクト化を図ることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0050】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、本発明の排ガス浄化装置をディーゼルエンジンに適用したが、本発明の排ガス浄化装置をガソリンエンジンに適用してもよい。また、上記第1〜第3の実施の形態では、本発明の排ガス浄化装置をターボ過給機付ディーゼルエンジンに適用したが、本発明の排ガス浄化装置を自然吸気型ディーゼルエンジン又は自然吸気型ガソリンエンジンに適用してもよい。
【0051】
また、上記第2の実施の形態では、排ガスの低温域において液体噴射ノズルから少量の炭化水素系液体を噴射し、補助液体噴射ノズルから多量の炭化水素液体を噴射し、排ガスの高温域において液体噴射ノズルから多量の炭化水素系液体を噴射し、補助液体噴射ノズルから少量の炭化水素液体を噴射し、排ガス温度300℃以上で補助液体噴射ノズルからの炭化水素液体の噴射を停止したが、排ガスの低温域で補助液体噴射ノズルのみから炭化水素系液体を噴射し、排ガスの高温域で液体噴射ノズルのみから炭化水素液体を噴射してもよい。
【0052】
更に、上記第1〜第3の実施の形態において、液体噴射ノズルと第1選択還元型触媒との間にミキサを設けてもよく、第2の実施の形態において、補助液体噴射ノズルと第4選択還元型触媒との間に補助ミキサを用いてもよい。ミキサや補助ミキサを用いることにより、液体噴射ノズルや補助液体噴射ノズルから噴射された炭化水素系液体を排ガス中に均一に分散させることができる。
【実施例】
【0053】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管16に、排ガス上流側から順に第1選択還元型触媒21、第2選択還元型触媒22及び第3選択還元型触媒23を設けた。また第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16に、炭化水素系液体25を噴射する液体噴射ノズル26を設けた。なお、第1及び第3選択還元型触媒21,23は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銅系の触媒であった。また第2選択還元型触媒22は、銀をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銀系の触媒であった。この排ガス浄化装置を実施例1とした。
【0054】
<実施例2>
図2に示すように、排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管16に、排ガス上流側から順に第1選択還元型触媒21、第2選択還元型触媒22、第3選択還元型触媒及び第4選択還元型触媒を設けた。また第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16に、炭化水素系液体25を噴射する液体噴射ノズル26を設けた。更に第3選択還元型触媒23と第4選択還元型触媒54との間の排気管16に、炭化水素系液体25を噴射する補助液体噴射ノズル56を設けた。なお、第1及び第3選択還元型触媒21,23としては実施例1と同一の銅系の触媒を用い、第2選択還元型触媒22としては実施例1と同一の銀系の触媒を用いた。また第4選択還元型触媒54としては、白金をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した白金系の触媒を用いた。この排ガス浄化装置を実施例2とした。
【0055】
<比較例1>
排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジンの排気管に、第1選択還元型触媒を設けた。また第1選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に、炭化水素系液体を噴射する液体噴射ノズルを設けた。なお、第1選択還元型触媒は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銅系の触媒であった。この排ガス浄化装置を比較例1とした。
【0056】
<比較例2>
排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管に、排ガス上流側から順に第1選択還元型触媒及び第2選択還元型触媒を設けた。また第1選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に、炭化水素系液体を噴射する液体噴射ノズルを設けた。なお、第1選択還元型触媒は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銅系の触媒であった。また第2選択還元型触媒は、銀をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銀系の触媒であった。この排ガス浄化装置を比較例2とした。
【0057】
<比較例3>
排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジンの排気管に、第4選択還元型触媒を設けた。また第4選択還元型触媒より排ガス上流側の排気管に、炭化水素系液体を噴射する液体噴射ノズルを設けた。なお、第4選択還元型触媒は、白金をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した白金系の触媒であった。この排ガス浄化装置を比較例3とした。
【0058】
<比較試験1及び評価>
エンジンの回転速度及び負荷を変化させて、排ガス温度を室温から600℃まで徐々に上昇させたときの、実施例1、比較例1及び比較例2の排ガス浄化装置によるNOx低減率を測定した。その結果を
図5(a)に示す。また、実施例1の第1及び第2選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるホルムアルデヒドの量をそれぞれ測定した。その結果を
図5(b)に示す。また実施例1の第1及び第2選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるアセトアルデヒドの量をそれぞれ測定した。その結果を
図5(c)に示す。更に実施例1の第1及び第2選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるアンモニアの量をそれぞれ測定した。その結果を
図5(d)に示す。
【0059】
図5(a)から明らかなように、比較例1及び2の排ガス浄化装置ではNOx低減率が最大で約50%及び約65%であったのに対し、実施例1の排ガス浄化装置ではNOx低減率が最大で約85%と高くなり、実施例1の排ガス浄化装置の方が比較例1及び2の排ガス浄化装置より排ガス温度200〜600℃にわたって、NOx低減率が向上したことが分かった。また
図5(b)から明らかなように、第1選択還元型触媒からのホルムアルデヒドの排出量は比較的多いのに対し、第2及び第3選択還元型触媒からのホルムアルデヒドの排出量は極めて少なくなった。このことから第1選択還元型触媒により生成された多くのホルムアルデヒドが第2選択還元型触媒におけるNOxの還元反応に消費され、少量のホルムアルデヒドが第3選択還元型触媒におけるNOxの還元反応に消費されたものと考えられる。また
図5(c)から明らかなように、第1選択還元型触媒からのアセトアルデヒドの排出量は比較的多いのに対し、第2及び第3選択還元型触媒からのアセトアルデヒドの排出量は極めて少なくなった。このことから第1選択還元型触媒により生成された多くのアセトアルデヒドが第2選択還元型触媒におけるNOxの還元反応に消費され、少量のアセトアルデヒドが第3選択還元型触媒におけるNOxの還元反応に消費されたものと考えられる。更に
図5(d)から明らかなように、第2選択還元型触媒からのアンモニアの排出量は比較的多いのに対し、第1及び第3選択還元型触媒からのアンモニアの排出量は極めて少なくなった。このことから第2選択還元型触媒により生成された多くのアンモニアが第3選択還元型触媒におけるNOxの還元反応に消費されたものと考えられる。
【0060】
<比較試験2及び評価>
エンジンの回転速度及び負荷を変化させて、排ガス温度を室温から600℃まで徐々に上昇させたときの、実施例2及び比較例3の排ガス浄化装置によるNOx低減率を測定した。その結果を
図6(a)に示す。また、実施例2及び比較例3の第4選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるホルムアルデヒドの量をそれぞれ測定した。その結果を
図6(b)に示す。また、実施例2及び比較例3の第4選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるアセトアルデヒドの量をそれぞれ測定した。その結果を
図6(c)に示す。更に、実施例2及び比較例3の第4選択還元型触媒を通過した直後の排ガスに含まれるアンモニアの量をそれぞれ測定した。その結果を
図6(d)に示す。
【0061】
図6(a)から明らかなように、比較例3の排ガス浄化装置ではNOx低減率が最大で約65%であったのに対し、実施例2の排ガス浄化装置ではNOx低減率が最大で約85%と高くなり、実施例2の排ガス浄化装置の方が比較例3の排ガス浄化装置より排ガス温度200〜600℃にわたって、NOx低減率が向上したことが分かった。また
図6(b)〜
図6(d)から明らかなように、実施例2の第4選択還元型触媒からのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びアンモニアの排出量は、比較例3の第4選択還元型触媒からのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びアンモニアの排出量と同様に殆どゼロであった。このため、
図6(b)〜
図6(d)では、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びアンモニアの排出量が排ガス温度を示す横軸上に描かれている。
【0062】
<実施例3>
図3に示すように、排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管16に、排ガス上流側から順に第1選択還元型触媒21、第2選択還元型触媒22、第3選択還元型触媒23、酸化触媒81及びパティキュレートフィルタ82を設けた。また第1選択還元型触媒21より排ガス上流側の排気管16に、炭化水素系液体25を噴射する液体噴射ノズル26を設けた。なお、第1及び第3選択還元型触媒21,23は、銅をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銅系の触媒であった。また第2選択還元型触媒22は、銀をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した銀系の触媒であった。また酸化触媒81としては、白金をイオン交換したゼオライト粉末を含むスラリーをハニカム担体にコーティングして作製した白金系の触媒を用いた。更にパティキュレートフィルタ82としては、
図4に示すように、コージェライトのようなセラミックからなる多孔質の隔壁82aで仕切られた多角形断面を有し、これらの隔壁82aにより多数の互いに平行に形成された貫通孔82bの相隣接する入口部82cと出口部82dを封止部材82eにより交互に封止したものを用いた。この排ガス浄化装置を実施例3とした。
【0063】
<比較例4>
排気量8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジンの排気管に、パティキュレートフィルタを設けなかったこと以外は、実施例3の排ガス浄化装置と同様に排ガス浄化装置を構成した。この排ガス浄化装置を比較例4とした。
【0064】
<比較試験3及び評価>
エンジンの回転速度及び負荷を変化させて、排ガス温度を室温から600℃まで徐々に上昇させたときの、実施例3及び比較例4の排ガス浄化装置から排出されたパティキュレート量をそれぞれ測定した。その結果を
図7に示す。
【0065】
図7から明らかなように、パティキュレートフィルタを設けなかった比較例4の排ガス浄化装置から排出されたパティキュレートを100%としたとき、パティキュレートフィルタを設けた実施例3の排ガス浄化装置から排出されたパティキュレート量は3%と極めて少なくなった。