特許第5778966号(P5778966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778966
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/18 20060101AFI20150827BHJP
   H01H 33/10 20060101ALI20150827BHJP
   H01H 33/12 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   H01H73/18 Z
   H01H73/18 B
   H01H33/10
   H01H33/12
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-86718(P2011-86718)
(22)【出願日】2011年4月8日
(65)【公開番号】特開2012-221759(P2012-221759A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】山内 芳准
(72)【発明者】
【氏名】恩地 俊行
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 優
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−363038(JP,A)
【文献】 特開2005−216807(JP,A)
【文献】 特開平10−154458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00−69/01
H01H 71/00−83/22
H01H 9/30− 9/52
H01H 33/00−33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を有する固定接触子と、この固定接点に接触する可動接点を備え、前記固定接触子に対して開閉動作を行なう可動接触子と、電流遮断時に発生するアークを消弧する消弧装置と、一端が前記可動接点に近接し、他端が前記消弧装置まで延在し、前記固定接点及び前記可動接点の間に発生した前記アークの前記可動接触子側の足を転流させて前記消弧装置まで導くアークランナとを備えた回路遮断器において、
前記アークランナを、前記固定接触子、前記可動接触子と比較して体積抵抗率が大きい高抵抗部材で構成するとともに、
前記一端及び前記他端の間の前記アークランナの側面に、当該アークランナに転流した前記アークが前記消弧装置に向けて移動するように電磁力を作用する永久磁石を対向配置したことを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記アークランナの両側面に一対の支持脚が対向し、且つ、当該アークランナの下方を囲っている磁性体からなるU字状の磁石支持体を配置し、前記支持脚の内側に前記永久磁石を配置したことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記一対の支持脚の一方の内側に配置した第1の永久磁石と、前記一対の支持脚の他方の内側に配置した第2の永久磁石とを備え、
これら第1及び第2の永久磁石は、前記アークランナの側面に向けて異なる磁極を有して前記アークに対して前記電磁力を作用するようにしたことを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記アークランナの体積抵抗率を1.0×10−3〜1.0Ω・cmとしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記アークランナを、炭素を主成分とする材料で形成したことを特徴とする請求項4記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定接点及び可動接点の間に発生したアークの可動接触子側の足を転流させて消弧装置まで導くアークランナを備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
図13及び図14は従来の回路遮断器の接触子部を示すものである。接触子部は、固定接点1aを備えた固定接触子1と、固定接点1aと接触する可動接点2aを備え、図13の右端を支点に固定接触子1に対して開閉動作をする可動接触子2とを有し、隙間を介して積層されたV字状の切欠きを有する複数枚のグリッド3を備えた消弧装置4が固定・可動接触子1,2に臨んで配置されている。
【0003】
固定接触子1はU字状に折り返され、固定接点1aが折り返し端に接合され、固定接触子1の先端にアークランナ6が取り付けられている。また、一対の脚部7aとこれらの間を結ぶ連結部7bとを有するコ字状の磁性体7が、一対の脚部7aがアークランナ6の両側に直立するように配置されている。
【0004】
図13及び図14において、短絡などの発生により回路遮断器に大電流が通過し、この電流により可動接触子2に作用する電磁反発力が図示しない接触ばねの荷重を上回ると、図示しない開閉機構の動作に先立って可動接触子2が開極駆動され、固定・可動接点1a,2a間にアーク5が発生する。固定接点1aの表面で発生していたアーク5は、アーク5に固定接点1aから作用する電磁力によりアークランナ6側に移動を始め、固定接点1aの表面での発弧からアークランナ6の表面での発弧に切り換わり、固定接点1aの消耗が緩和される。アーク5が消弧装置4に接近すると、グリッド3の作用によりその内側に引き込まれて分断・冷却される。これにより、固定・可動接点1a,2a間の電圧が一気に高まり、電流は急速に限流されて遮断に至る。なお、図13及び図14で示す固定接触子1は、可動接触子2の反発力及びアーク5の駆動力をより高めるためにU字形状に曲げ部を設けているが、この曲げ部が存在しない固定接触子の場合も同様の作用となる。
【0005】
このような回路遮断器の遮断性能を向上させるには、例えば接触子部の開極時の固定・可動接点の間の接点間ギャップを大きくすることでアーク電圧を高め、接点間電圧を直流配電システムの電源電圧よりも高めることで電流を減衰させ、遮断を行っていた(以下、第1の従来の回路遮断器と称する)。
【0006】
また、回路遮断器の遮断性能を向上させる方法として、例えば特許文献1に示す回路遮断器がある(以下、第2の従来の回路遮断器と称する)。この回路遮断器は、図15に示すように、導体17及び第2のアーク走行板22の間に抵抗体19が接続されている。通常の使用状態では、操作ハンドル10を投入操作すると、可動接触子11の可動接点11aが固定接触子12の固定接点12aと接触し、回路電流が第1の外部端子13からコイル14,固定接触子12、可動接触子11,可撓銅撚線15,バイメタル16、導体17及び第2の外部端子18へと流れ、抵抗体19には通過しない。また、短絡が発生して瞬時引き外し装置20が動作すると、可動接点11aと固定接点12aの間に発生したアークが可動接触子11と固定接触子12との間に移行し、さらにアークは上方に設けられた第1のアークランナ21と、下方に設けられた第2のアークランナ22との間に転流し、消弧室23に誘引されて分断消弧される。短絡電流は、アークが第1及び第2のアークランナ21,22の間に転流するときに、抵抗体19を通じて導体17に流れ、抵抗体19の電圧降下により端子間電圧が高められ、減衰して遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−115241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図13及び図14で示した第1の従来の回路遮断器は、接点間に発生するアーク電圧を電源電圧よりも高めるために固定・可動接点1a,2aの間の接点間ギャップを大きくすると、大型の回路遮断器となるおそれがある。逆に、固定・可動接点1a,2a間の接点間ギャップを大きくせず、回路遮断器を従来の交流配電システムと同程度の大きさにすると、直流配電システムに使用した場合に十分な遮断性能が得られないおそれがある。
【0009】
また、図15で示した第2の従来の回路遮断器は、アークをインピーダンスが高い電流経路の部材(抵抗体19)へ転流させるにはより強い電磁力が必要となる。
通常、電磁力を高める方法として、磁性体をアーク発生部位の近傍に配置し、導体及びアークを流れる電流により発生する磁界を集中させることにより、電磁力を高める方法が考えられる。
【0010】
しかし、抵抗体による端子間電圧の効果が十分に得られる領域(例えば、通常電流1000A、抵抗体19の抵抗値0.1Ω、抵抗体19による端子間電圧の上昇効果100V)では、電流により発生する磁界のみではアークに作用する電磁力が弱く、抵抗体19にアークを転流させることが困難であるという問題が生じていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アークの転流が容易となって遮断性能を向上させることができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の回路遮断器は、固定接点を有する固定接触子と、この固定接点に接触する可動接点を備え、前記固定接触子に対して開閉動作を行なう可動接触子と、電流遮断時に発生するアークを消弧する消弧装置と、一端が前記可動接点に近接し、他端が前記消弧装置まで延在し、前記固定接点及び前記可動接点の間に発生した前記アークの前記可動接触子側の足を転流させて前記消弧装置まで導くアークランナとを備えた回路遮断器において、前記アークランナを、前記固定接触子、前記可動接触子と比較して体積抵抗率が大きい高抵抗部材で構成するとともに、前記一端及び前記他端の間の前記アークランナの側面に、当該アークランナに転流した前記アークが前記消弧装置に向けて移動するように電磁力を作用する永久磁石を対向配置した。
【0012】
この発明によると、体積抵抗率の高いアークランナにアークを転流させて電圧の上昇を得ることで、大きな限流効果を得ることができるとともに、アークランナの側面に対向して配置した永久磁石が、アークランナに転流したアークに対して消弧装置に向かう電磁力を作用することで、アークの走行特性(転流特性)を向上させることができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の回路遮断器において、前記アークランナの両側面に一対の支持脚が対向し、且つ、当該アークランナの下方を囲っている磁性体からなるU字状の磁石支持体を配置し、前記支持脚の内側に前記永久磁石を配置した。
この発明によると、磁石支持体が永久磁石の磁界を集中させて磁界が強まるので、さらにアークランナに転流したアークに対して消弧装置に向かう電磁力を作用する。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項記載の回路遮断器において、前記永久磁石は、前記一対の支持脚の一方の内側に配置した第1の永久磁石と、前記一対の支持脚の他方の内側に配置した第2の永久磁石とを備え、これら第1及び第2の永久磁石は、前記アークランナの側面に向けて異なる磁極を有して前記アークに対して前記電磁力を作用するようにした。
この発明によると、磁石支持体が磁界を集中させ、第1及び第2の永久磁石がさらに強い電磁力を作用するので、アークの走行特性(転流特性)がさらに向上する。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の回路遮断器において、前記アークランナの体積抵抗率を1.0×10-3〜1.0Ω・cmとした。
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項4記載の回路遮断器において、前記アークランナを、炭素を主成分とする材料で形成した。
この発明によると、アークランナの高抵抗と同時に耐アーク性を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回路遮断器によれば、体積抵抗率の高いアークランナにアークを転流させて電圧の上昇を得ることで、大きな限流効果を得ることができるとともに、アークランナの側面に対向して配置した永久磁石が、アークランナに転流したアークに対して消弧装置に向かう電磁力を作用することで、アークの走行特性(転流特性)を向上させることができる。したがって、アークの転流が容易となって遮断性能が向上した回路遮断器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る第1実施形態の回路遮断器の電流遮断部の構造を示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の要部を示す斜視図である。
図3】本発明に係る第1実施形態において電流遮断時に永久磁石が電磁力を作用する方向を示した図である。
図4】永久磁石を備えていない電流遮断部を示す断面図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の電流遮断時における電圧変化を示すグラフである。
図6】本発明に係る第1実施形態の電流遮断時における電流変化を示すグラフである。
図7】本発明に係る第2実施形態の要部を示す斜視図である。
図8】本発明に係る第2実施形態において電流遮断時に永久磁石が電磁力を作用する方向を示した図である。
図9】本発明に係る第3実施形態の要部を示す斜視図である。
図10】本発明に係る第3実施形態において電流遮断時に永久磁石が電磁力を作用する方向を示した図である。
図11】本発明に係る第4実施形態の要部を示す斜視図である。
図12】本発明に係る第4実施形態において電流遮断時に永久磁石が電磁力を作用する方向を示した図である。
図13】従来の回路遮断器の遮断部の構造を示す図である。
図14図13の構造において消弧装置を外した状態を示す図である。
図15】他の従来の回路遮断器の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る直動2接点構造の回路遮断器の電流遮断部30を示す断面図である。
電流遮断部30は、各相通電路の外部端子31,32に、平角導体からなるU字状の固定接触子33,34が前後に対向して配置され、各々には固定接点33a,34aが取り付けられている。短冊形の可動接触子35は、固定接点33a及び34aとそれぞれ接触可能な一対の可動接点35a,35bを有する。
【0019】
可動接触子35は、通電路を閉路する閉極状態では、接触スプリング(不図示)により固定接触子33,34側に押圧され、可動接点35a及び35bが固定接点33a及び34aとそれぞれ接触することで、固定接触子33,34間を橋絡する。一方、通電路を開路する開極状態(図1の状態)では、可動接触子35は開閉機構(不図示)により接触スプリングに抗して図1の矢印方向に押し下げられることで、固定接触子33,34から開離する。
【0020】
また、可動接触子35の前後には一対の消弧装置36が配置され、その複数枚のグリッド37は可動接触子35の両端を囲んでいる。グリッド37は、上面視においてU字状の磁性板からなり、左右一対の絶縁物の側壁(不図示)に支持されている。
また、可動接触子35の下方には、前後の一対の消弧装置36に向かって延在するランナ連結部材38が設けられており、このランナ連結部材38の両端部に、一対の消弧装置36の下方に延在する一対のアークランナ39a,39bが設けられている。
【0021】
さらに、図2にも示すように、一対のアークランナ39a,39bの側面に対向する位置に第1永久磁石40a,40bが配置されており、これら第1永久磁石40a,40bは、アークランナ39a,39bに移ったアーク41が一対の消弧装置36に向けて走行させる力を作用する。
一対のアークランナ39a,39bは、固定接触子33,34、固定接点33a,34a、可動接触子35、可動接点35a、35b及びランナ連結部材38と比較して体積抵抗率が大きい材料が用いられている。
【0022】
一般的に用いられる固定接触子33,34、固定接点33a,34a、可動接触子35、可動接点35a、35b及びランナ連結部材38の体積抵抗率は1μΩ・cm程度であり、一対のアークランナ39a,39bは、それと比較して103倍〜106倍の体積抵抗率のもの(体積抵抗率が1.0×10-3〜1.0Ω・cm)、具体的には炭素を主成分とした材料、例えばグラファイトが用いられている。
【0023】
アークランナ39a,39b全体の抵抗値は、直流電流の電源500Vの回路において、遮断電流1000Aを想定した場合、アークランナ39a,39bによる電圧降下分を100V程度に想定し、抵抗値が0.1Ω程度となるように形状、材質の決定を行なう。
第1永久磁石40a,40bは、表面磁束密度の高い、例えばネオジム系、サマリュウムコバルト系、フェライト系の磁石を材料とし、数100mT以上の磁場を印加する。
【0024】
図1の電流遮断部30を有する回路遮断器は、通常の閉極動作時には、外部端子31,固定接触子33、固定接点33a、可動接点35a、可動接触子35、可動接点35b、固定接点34a、固定接触子34、外部端子32の経路で電流が流れる。
一方、過電流を検知した電流検知部(不図示)が開極機構部(不図示)を動作して図1のように開極し、或いは、短絡電流などの大電流が通過して電磁反発力により可動接触子35が図1のように開極すると、固定・可動接点33a,35a及び34a,35bの間にアーク41が発生する。
【0025】
このアーク41は、固定接触子33,34を流れる電流に基づく電磁力により、消弧装置36に向かって移動し、消弧装置36に引き込まれたアーク41は、分析・冷却されて消弧され、短絡遮断動作が完了する。
その際、可動接触子35の下方には、一対の消弧装置36の下方に延在する一対のアークランナ39a,39bが設けられており、アーク41の可動接触子35側の足が一対のアークランナ39a,39bに発弧して消弧装置36側に移動していく。このときの電流経路は、外部端子31,固定接触子33、アーク41、アークランナ39a、ランナ連結部材38、アークランナ39b、アーク41、固定接触子34、外部端子32の経路となる。
【0026】
アーク41がアークランナ39a,39bに転流すると、アークランナ39a,39bは体積抵抗率が高いので、アーク41が電圧上昇を得る。
また、図3(a)に示すように、一方のアークランナ39aの側面に対向する位置に配置した第1永久磁石40aがアーク41に対して電磁力(ローレンツ力)を作用し、アーク41は、紙面に対して奥から手前の消弧装置36に向かう方向に走行する。
さらに、図3(b)に示すように、他方のアークランナ39bの側面に対向して配置した第1永久磁石40bがアーク41に対して電磁力を作用し、アーク41は、紙面に対して手前から奥の消弧装置36に向かう方向に走行する。
【0027】
ランナ連結部材38から一対のアークランナ39a,39bにアーク41を発弧、或いは一対のアークランナ39a,39b上でアーク41を走行させる場合、アーク電圧にアークランナ39a,39bの電圧効果の電圧が加わりアーク41が維持するために必要なエネルギが高くなる。ここで、アーク41は、維持しやすい経路で発弧しようとするため、アークランナ39a,39bを避けて伸長して維持しようとする。したがって、アーク41をランナ連結部材38から一対のアークランナ39a,39bに発弧させる場合と、一対のアークランナ39a,39b上のアーク41を一対の消弧装置36に向けて走行させる場合には、アーク41に作用する永久磁石の電磁力が必要であり、本実施形態のように一対のアークランナ39a,39bの側面に第1永久磁石40a,40bを配置することで、最も電磁力が必要となる部分に効果的に磁場を印加するのである。
【0028】
ここで、図4は、図1の実施形態から第1永久磁石40a,40bを取り除いた電流遮断部の要部を示すものである。また、図5及び図6は、本実施形態(図5及び図6において磁石有りの特性線図)と、図4で示した電流遮断部を備えた回路遮断器(図5及び図6において磁石無しの特性線図)の電圧及び電流変化を示したものである。
【0029】
図4の回路遮断部は、アーク41に対して消弧装置36に向かう力を作用するものが存在しないので、アーク41は、固定接触子33及びランナ連結部材38から発弧して伸長した状態となる。そして、図5の磁石無しの特性線図で示すように、アーク41の伸長によって所定値だけ電圧が上昇するが、アーク41がアークランナ39a,39bに転流しないので電圧が上昇しない。また、図6の磁石無しの特性線図で示すように、電圧が上昇しないので電流が減少せず、限流効果を期待することができない。
【0030】
これに対して、本実施形態は、アークランナ39a,39bに沿って配置した第1永久磁石40a,40bが、アーク41に対して消弧装置36に向かう電磁力を作用するので、アーク41の可動接触子35側の足が、体積抵抗率が高いアークランナ39a,39bに移って消弧装置36側に移動していき、図5の磁石有りの特性線図で示すように、アーク41の電圧が上昇する。アーク41の電圧が上昇すると、図6の磁石有りの特性線図で示すように電流が減少していき、限流効果を得ることができる。
【0031】
したがって、本実施形態では、体積抵抗率の高いアークランナ39a,39bにアーク41を転流させて電圧の上昇を得ることで、大きな限流効果を得ることができるとともに、アークランナ39a,39bの側面に対向して配置した第1永久磁石40a,40bが、アークランナ39a,39bに転流したアーク41に対して消弧装置36に向かう電磁力を作用することで、アーク41の走行特性(転流特性)を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態の回路遮断器は直動2接点構造とし、アーク発生箇所及び消弧装置36を各相(一極当り)に2箇所ずつ設けているので、より高いアーク電圧を得ることができ、高電圧の直流配電システムに対して十分な遮断性能を得ることができる。
また、本実施形態は、アーク電圧を高めるために固定・可動接点33a,35a及び34a,35bの間の接点間ギャップを大きくする必要がないので、小型の回路遮断器を提供することができる。
また、アークランナ39a,39bを、炭素を主成分とする材料で形成することで、高抵抗と同時に耐アーク性を得ることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図7及び図8は、本発明に係る第2実施形態の回路遮断器の電流遮断部を示す断面図である。なお、図1で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態は、図7及び図8(a)に示すように、一方のアークランナ39aの一方の側面に対向して配置した第1永久磁石40a及びアークランナ39aの下方を囲むように磁石支持体42が配置されている。
また、図8(b)に示すように、他方のアークランナ39bの他方の側面に対向して配置した第1永久磁石40b及びアークランナ39bの下方を囲むように磁石支持体42が配置されている。
【0034】
一方のアークランナ39a側に配置した磁石支持体42は、図8(a)に示すように、左右の支持脚42a,42bがアークランナ39aの両側面に対向している磁性体からなるU字形の部材であり、一方の支持脚42aの内面に第1永久磁石40aが固定されている。
また、他方のアークランナ39b側に配置した磁石支持体42も、図8(b)に示すように、左右の支持脚42a,42bがアークランナ39aの両側面に対向している磁性体からなるU字形の部材であり、他方の支持脚42bの内面に第1永久磁石40bが固定されている。
【0035】
そして、過電流を検知した電流検知部(不図示)が開極機構部(不図示)を動作して開極し、或いは、短絡電流などの大電流が通過して電磁反発力により可動接触子35が開極すると、固定・可動接点33a,35a及び34a,35bの間に発生したアーク41が、アークランナ39a,39bに転流する。
そして、図8(a)に示すように、一方の支持脚42aの内面に第1永久磁石40aを固定してアークランナ39aの下方を囲むように配置した磁石支持体42が、第1永久磁石40aの磁界を集中させて磁界が強まるので、アーク41に対して強い電磁力が作用する。これにより、アーク41は、紙面に対して奥から手前の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
【0036】
さらに、図8(b)に示すように、他方の支持脚42bの内面に第1永久磁石40bを固定してアークランナ39bの下方を囲むように配置した磁石支持体42が、第1永久磁石40bの磁界を集中させて磁界が強まるので、アーク41に対して強い電磁力が作用する。これにより、アーク41は、紙面に対して手前から奥の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
【0037】
したがって、本実施形態は、アークランナ39a,39bの側面に対向して配置した第1永久磁石40a,40bと、アークランナ39aの下方を囲むように配置した磁石支持体42とが、アークランナ39a,39bに転流したアーク41に対して消弧装置36に向かう強い電磁力を作用することで、アーク41の走行特性(転流特性)をさらに向上させることができる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、図9及び図10は、本発明に係る第3実施形態の回路遮断器の電流遮断部を示す断面図である。
本実施形態は、図9及び図10(a)に示すように、一方のアークランナ39aの一方の側面に対向する位置に第2永久磁石43aを配置し、一方のアークランナ39aの他方の側面に対向する位置に第3永久磁石43bを配置している。
第2永久磁石43aは、一方のアークランナ39aの一方の側面に対向する面側がN極、アークランナ39aの一方の側面に対向しない面側がS極である。
【0039】
また、第3永久磁石43bは、一方のアークランナ39aの他方の側面に対向する面側がS極、アークランナ39aの他方の側面に対向しない面側がN極である。
また、図10(b)に示すように、他方のアークランナ39bの他方の側面に対向する位置に第2永久磁石43aが配置され、他方のアークランナ39bの一方の側面に対向する位置に第3永久磁石43bが配置されている。そして、第2永久磁石43aは、他方のアークランナ39bの他方の側面に対向する面側がN極であり、第3永久磁石43bは、他方のアークランナ39bの一方の側面に対向する面側がS極である。
【0040】
そして、過電流を検知した電流検知部(不図示)が開極機構部(不図示)を動作して開極し、或いは、短絡電流などの大電流が通過して電磁反発力により可動接触子35が開極すると、固定・可動接点33a,35a及び34a,35bの間に発生したアーク41が、アークランナ39a,39bに転流する。
そして、図10(a)に示すように、一方のアークランナ39aの両側面に対向する位置に配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アーク41に対して強い電磁力(ローレンツ力)を作用し、アーク41は、紙面に対して奥から手前の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
【0041】
さらに、図10(b)に示すように、他方のアークランナ39bの両側面に対向して配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アーク41に対して強い電磁力を作用し、アーク41は、紙面に対して手前から奥の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
したがって、本実施形態は、アークランナ39a,39bの両側面に対向して配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アークランナ39a,39bに転流したアーク41に対して消弧装置36に向かう強い電磁力を作用することで、アーク41の走行特性(転流特性)をさらに向上させることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
さらに、図11及び図12は、本発明に係る第4実施形態の回路遮断器の電流遮断部を示す断面図である。
本実施形態は、図11及び図12(a)に示すように、一方のアークランナ39aの一方の側面に対向する位置に第2永久磁石43aを配置し、一方のアークランナ39aの他方の側面に対向する位置に第3永久磁石43bを配置しているとともに、これら第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bを保持してアークランナ39aの下方を囲む磁石支持体42が配置されている。
【0043】
また、図12(b)に示すように、他方のアークランナ39bの他方の側面に対向する位置に第2永久磁石43aを配置し、他方のアークランナ39bの一方の側面に対向する位置に第3永久磁石43bを配置しているとともに、これら第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bを保持してアークランナ39bの下方を囲む磁石支持体42が配置されている。
そして、過電流を検知した電流検知部(不図示)が開極機構部(不図示)を動作して開極し、或いは、短絡電流などの大電流が通過して電磁反発力により可動接触子35が開極すると、固定・可動接点33a,35a及び34a,35bの間に発生したアーク41が、アークランナ39a,39bに転流する。
【0044】
そして、図12(a)に示すように、一方のアークランナ39aの両側面に対向する位置に配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アーク41に対して強い電磁力(ローレンツ力)を作用し、アーク41は、紙面に対して奥から手前の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
さらに、図12(b)に示すように、他方のアークランナ39bの両側面に対向して配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アーク41に対して強い電磁力を作用し、アーク41は、紙面に対して手前から奥の消弧装置36に向かう方向への走行が促進される。
【0045】
したがって、本実施形態は、アークランナ39a,39bの両側面に対向して配置した第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bが、アークランナ39a,39bに転流したアーク41に対して消弧装置36に向かう強い電磁力を作用し、さらに、第2永久磁石43a及び第3永久磁石43bを支持する磁石支持体42が第2及び第3永久磁石43a、43bの磁界を集中させるので、さらにアーク41の走行特性(転流特性)向上させることができる。
なお、本発明は、図1から図12で示した直動2接点構造の回路遮断器に限るものではなく、図13で示した可動接触子が回転軸回りに回動するようにした回路遮断器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
30…電流遮断部、31,32…外部端子、33,34…固定接触子、33a,34a…固定接点、35…可動接触子、35a,35b…可動接点、36…消弧装置、37…グリッド、38…ランナ連結部材、39a,39b…アークランナ、40a,40b…第1永久磁石、41…アーク、42…磁石支持体、42a,42b…支持脚、43a…第2永久磁石、43b…第3永久磁石
図1
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