特許第5778990号(P5778990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5778990
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】器具取付枠
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/02 20060101AFI20150827BHJP
   H02G 3/12 20060101ALI20150827BHJP
   H02G 3/38 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   H02G3/02
   H02G3/12 010
   H02G3/38 060
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-113801(P2011-113801)
(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公開番号】特開2012-244813(P2012-244813A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年2月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 佳樹
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−261151(JP,A)
【文献】 特開2002−017020(JP,A)
【文献】 特開2004−112932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/12
H02G 3/38
H02G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線器具を取着するための取着部を枠本体に少なくとも一対備え、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して前記壁材の裏側に配置されるとともに、前記取着部を用いて前記配線器具が前記壁材に設置されることで、前記壁材の裏側に設置される器具取付枠であって、
前記枠本体の一側面に、前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接する当接面を有するとともに、
前記一側面から立設され、前記壁孔の四つの内側面に当接して前記枠本体の移動を規制する規制部を有し、
前記壁孔の内側面に爪片を食い込ませて係止するとともに弾性変形可能な係止部を前記一側面に備える器具取付枠。
【請求項2】
前記規制部は、前記壁孔の角部の内側に配置されるように複数設けられるとともに、各規制部は、前記角部を形成する隣り合う内側面に当接する請求項に記載の器具取付枠。
【請求項3】
前記規制部は、前記係止部を兼ねる請求項に記載の器具取付枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して壁材の裏側に配置されるとともに、取着部を用いて配線器具が壁材に設置されることで、壁材の裏側に設置される器具取付枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の器具取付枠としては、例えば、特許文献1に開示の挟み金具が挙げられる。図9に示すように、特許文献1の挟み金具80は、四角形状の開口部80aを有する略ロ字形の平板状に形成されている。この挟み金具80は、上下に対向する挟持片81と、左右に対向するとともに挟持片81同士を連結する連結片82とから形成されている。各挟持片81には、ねじ孔81aが形成されている。また、挟み金具80の前面において、開口部80aの各角部より外方には、爪片83が突設されている。また、壁材85に設置される配線器具84は、四角枠状をなす取付枠86に保持されるとともに、取付枠86の上下両側部には、それぞれねじ挿通孔86aが形成されている。
【0003】
そして、挟み金具80を用いて配線器具84を壁材85に設置するには、まず、挟み金具80を壁材85に形成された四角形状の壁孔85aを通過させる。次に、爪片83を、ドライバで押圧して、爪片83の先端を壁孔85aの内周面に係止させ、挟み金具80を壁材85に仮止めする。次に、ボックスねじ87を、取付枠86のねじ挿通孔86aに挿通した後、挟み金具80のねじ孔81aに螺合させ、挟持片81と取付枠86とで、壁材85における壁孔85aの周縁部を挟持して、取付枠86を壁材85aの表側に固定する。その結果、取付枠86に保持された配線器具84が、壁材85の表側に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−59947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の挟み金具80は、単に挟み金具80の前面を壁材85の裏面に当接させ、開口部80aを壁孔85aに位置合わせしただけでは、爪片83は壁孔85aを貫通して壁材85の表側に突出しているだけであり、爪片83は位置決め機能を発揮しない。このため、爪片83を用いて挟み金具80を位置決めするには、爪片83の先端が壁孔85aの内周面に向かうように、爪片83をドライバで押圧して変形させる必要があり、壁材85の裏側に挟み金具80を位置決めする作業が非常に面倒であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、壁材の裏側に簡単に位置決めすることができる器具取付枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、配線器具を取着するための取着部を枠本体に少なくとも一対備え、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して前記壁材の裏側に配置されるとともに、前記取着部を用いて前記配線器具が前記壁材に設置されることで、前記壁材の裏側に設置される器具取付枠であって、前記枠本体の一側面に、前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接する当接面を有するとともに、前記一側面から立設され、前記壁孔の四つの内側面に当接して前記枠本体の移動を規制する規制部を有し、前記壁孔の内側面に爪片を食い込ませて係止するとともに弾性変形可能な係止部を前記一側面に備えることを要旨とする。
【0008】
(削除)
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の器具取付枠において、前記規制部は、前記壁孔の角部の内側に配置されるように複数設けられるとともに、各規制部は、前記角部を形成する隣り合う内側面に当接することを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の器具取付枠において、前記規制部は、前記係止部を兼ねることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、壁材の裏側に簡単に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の器具取付枠、及び器具保持枠を示す斜視図。
図2】(a)は器具取付枠を示す正面図、(b)は図2(a)の2b−2b線断面図。
図3】器具取付枠を壁材の裏側に配置した状態を示す正面図。
図4】器具取付枠を壁材の裏側に配置した状態を示す図3の4−4線断面図。
図5】(a)は器具取付枠を壁材に押し付けた状態を示す正面図、(b)は罫書用突起を壁材に食い込ませた状態を示す断面図、(c)は壁材に表示された突起跡及び罫書線を示す正面図。
図6】器具取付枠に器具保持枠を組み付けた状態を示す斜視図。
図7】配線器具を壁材に設置した状態を示す断面図。
図8】別例の器具取付枠を示す正面図。
図9】背景技術を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1に示すように、器具取付枠11は、壁材Wに配線器具Hを設置するために、壁材Wに形成された壁孔Waを介して壁材Wの裏側に配置されて使用されるものである。なお、壁孔Waは、縦長四角形状をなし、四つの内側面である上側面W1、下側面W2、右側面W3、及び左側面W4によって囲み形成されている。
【0014】
器具取付枠11の枠本体12は、合成樹脂材料により縦長のコ字状に形成されるとともに、上下に対向する挟持片13と、両挟持片13の一端部(図1では左端部)同士を連結する連結片14とからなる。枠本体12は、連結片14の長辺方向が長辺方向となり、挟持片13の長辺方向が枠本体12の短辺方向となる。また、一対の挟持片13と、連結片14とから、枠本体12の内側に、開口部15が囲み形成されている。
【0015】
図3に示すように、開口部15は、両挟持片13の他端側(図3では右端側)が、開放されるとともに、開口部15の長辺方向への長さL1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より短くなっている。また、開口部15の短辺方向への長さL2も、壁孔Waの短辺方向への長さN2より短くなっている。また、枠本体12において、連結片14の長辺方向への長さT1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より長く、枠本体12において、挟持片13の長辺方向への長さT2は、壁孔Waの開口幅、すなわち短辺方向への長さN2と同じになっている。
【0016】
枠本体12において、縦長のコ字状をなす前面(一側面)全体のうち、挟持片13の開口部15側の縁部を除いた部位は、壁材Wの裏側から壁材Wの裏面に当接する当接面12aとなっている。この当接面12aは縦長のコ字状をなすとともに、壁材Wの裏面において、壁孔Waの上側面W1、下側面W2、及び左側面W4に沿った縁部に当接するようになっている。図1図2(a)及び(b)に示すように、両挟持片13の前面(枠本体12の前面)には、係止部としてそれぞれ薄板状をなす係止突部17が一対ずつ前方へ突設されるとともに、各係止突部17は弾性変形可能になっている。上側の各係止突部17の先端には、爪片17aが上方に向かうに従い尖るように形成されるとともに、下側の各係止突部17の先端には、爪片17aが下方に向かうに従い尖るように形成されている。
【0017】
両挟持片13の前面(枠本体12の前面)において、枠本体12の短辺方向に沿った各係止突部17の外側には、薄板状をなす規制部としての規制突部18が前方に向けて突設されている。各規制突部18は矩形板状をなし、その長辺方向が、枠本体12の短辺方向(左右方向)へ延びるとともに、短辺方向が、枠本体12に対する前後方向へ延びるように形成されている。各挟持片13に形成された一対の規制突部18同士は、それぞれ枠本体12の短辺方向へ延びる同一平面S上に位置している。さらに、各規制突部18の短辺方向への長さ(当接面12aからの突出長さ)は、壁材Wの厚み(壁孔Waの厚み)より短くなっている。また、挟持片13の長辺方向一端側(左端側)の規制突部18は、各挟持片13の長辺方向一端(左端)よりも連結片14の幅分だけ内寄りに形成されている。一方、挟持片13の長辺方向他端側(右端側)の規制突部18は、各挟持片13の長辺方向他端(右端)を外方に越えて突出するように形成されている。
【0018】
また、図2(a)及び図3に示すように、上側の規制突部18の上面と、下側の規制突部18の下面との間の距離K1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より僅かに短くなっている。さらに、左右に隣り合う一対の規制突部18において、両規制突部18の長辺方向の外側端間の距離K2は、壁孔Waの短辺方向への長さN2より僅かに短くなっている。そして、四つの規制突部18を壁孔Wa内に挿入したとき、各規制突部18は、壁孔Waの各角部の内側に位置するようになっている。
【0019】
枠本体12の上下左側に設けられた規制突部18の前面において、長辺方向の外側端(左側端)の上下それぞれには罫書用突起18bが前方に向けて突設されている。また、枠本体12の上下右側に設けられた規制突部18の前面において、その長辺方向の外側端(右側端)の上下それぞれには罫書用突起18bが前方に向けて突設されている。各罫書用突起18bは、三角錐状をなし、前方に向かうに従い尖るように形成されている。そして、四つの規制突部18を壁孔Wa内に挿入したとき、各罫書用突起18bは、壁孔Waの各角部の内側に位置するようになっている。
【0020】
各挟持片13の左右の規制突部18を、挟持片13の長辺方向へ延びる一纏まりの規制部材と想定とした場合、挟持片13と同じ長さの規制部材が、挟持片13の長辺方向に沿って位置ずれした位置に配置されている。詳細には、規制部材は、挟持片13の長辺方向に沿って連結片14の幅分だけ内側へ位置ずれした位置に配置されている。
【0021】
各挟持片13において、左右に隣り合う一対の係止突部17の間には、螺入孔19が枠本体12を厚み方向に貫通して形成されている。この螺入孔19には、ナット(図示せず)が、枠本体12の厚み方向へ移動不能に嵌入されるとともに、このナットにより螺入孔19の内周面に雌ねじが形成されている。よって、本実施形態では、螺入孔19及びナットにより取着部が形成されている。そして、枠本体12に、係止突部17、規制突部18、及び螺入孔19が形成されて器具取付枠11が形成されている。
【0022】
次に、配線器具Hを保持する器具保持枠20について説明する。
図1に示すように、器具保持枠20は、縦長の四角枠状に形成されるとともに、器具保持枠20の内側には、縦長四角形状の保持孔21が形成されている。なお、器具保持枠20の長辺方向への長さM1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より長くなっている。一方、器具保持枠20の短辺方向への長さM2は、壁孔Waの短辺方向への長さN2より短くなっている。器具保持枠20の上下両部には、横長の挿通孔22が器具保持枠20を厚み方向に貫通して形成されている。
【0023】
次に、器具取付枠11及び器具保持枠20を用いて配線器具Hを壁材Wに設置する方法について説明する。
まず、図5(a)及び(b)に示すように、壁材Wの表面において、壁孔Waを形成する位置に、四つの罫書用突起18bが壁孔Waの四つの角部の内側に位置するように器具取付枠11を配置し、器具取付枠11を壁材Wの表面に押し付けて四つの罫書用突起18bを壁材Wの表面に食い込ませる。図5(c)に示すように、器具取付枠11を壁材Wから取り外すと、四つの罫書用突起18bが食い込んだ位置それぞれに突起跡Pが形成される。そして、四つの突起跡Pを直線状の罫書線Qで結ぶと、壁孔Waの外形線が壁材Wに罫書かれる。その後、罫書線Qに沿って壁材Wを切除することにより壁材Wに壁孔Waが穿設される。
【0024】
次に、図6に示すように、配線器具Hを器具保持枠20の保持孔21に保持させるとともに、器具保持枠20の上側の挿通孔22にビス23を挿通する。そして、このビス23を、器具取付枠11の上側の螺入孔19に挿入するとともに、ナットに螺入し、器具取付枠11と器具保持枠20を仮固定する。すると、器具取付枠11と器具保持枠20は、それぞれビス23を回動軸として互いに回動自在に連結される。さらに、各配線器具HにケーブルKを接続する。そして、器具保持枠20を壁材Wの表側に配置しつつ、器具取付枠11のみを壁孔Waを通過させる。このとき、ビス23を回動中心として器具取付枠11を回動させ、壁孔Waの開口縁を開口部15内に位置させるようにし、器具取付枠11を壁孔Waを通過させる。すると、器具保持枠20は、壁材Wの表側に配置されながら、器具取付枠11のみが壁材Wの裏側に配置されるとともに、ビス23により、器具取付枠11は壁材Wの裏側に支持される。
【0025】
続いて、壁材Wの裏側で、器具取付枠11の当接面12aを壁材Wの裏面に当接させるとともに、四つの規制突部18を壁孔Wa内に挿入する。図3に示すように、上側の一対の規制突部18においては、右側の規制突部18は、上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、右側端が、上側面W1に隣り合う右側面W3に当接する。左側の規制突部18は、上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、左側端が、上側面W1に隣り合う左側面W4に当接する。
【0026】
下側の一対の規制突部18においては、右側の規制突部18は、下面が壁孔Waの下側面W2に当接支持されるとともに、右側端が、下側面W2に隣り合う右側面W3に当接する。左側の規制突部18は、下面が壁孔Waの下側面W2に当接支持されるとともに、左側端が、下側面W2に隣り合う左側面W4に当接する。
【0027】
そして、四つの規制突部18が壁孔Waに挿入された状態では、下側の一対の規制突部18が、壁孔Waの下側面W2に支持されることにより、器具取付枠11が壁材Wに位置決めされる。この位置決め状態では、器具取付枠11の開口部15が、壁孔Waから壁材Wの表側に臨むとともに、螺入孔19も壁孔Waから壁材Wの表側に臨んでいる。
【0028】
さらに、図4に示すように、上側の係止突部17の各爪片17aを、壁孔Waの上側面W1に食い込ませて係止させるとともに、下側の係止突部17の各爪片17aを、壁孔Waの下側面W2に食い込ませて係止させる。すると、各爪片17aの係止により、器具取付枠11が壁材Wの裏側へ落下することが規制される。
【0029】
続いて、図7に示すように、器具取付枠11に対し、上側のナットに螺入されたビス23をさらに螺入する。また、器具保持枠20の下側の挿通孔22に対し、ビス23を挿通するとともに、そのビス23を器具取付枠11の下側の螺入孔19のナットに螺入する。そして、両ビス23を増締めすると、ビス23のナットへの螺進に伴い器具保持枠20が壁材Wに引寄せられるとともに、器具取付枠11の両挟持片13と、器具保持枠20の上下両部との間に壁材Wが挟持される。ビス23のナットへの螺入により、配線器具Hが壁材Wの表側に設置されることで、器具取付枠11が壁材Wの裏側に設置される。このとき、枠本体12の当接面12aが、壁材Wの裏面における壁孔Waの周縁部に当接する。
【0030】
次に、器具取付枠11の作用について説明する。
枠本体12に四つの規制突部18が突設され、四つ規制突部18を壁孔Waに挿入すると、四つの規制突部18が四つの内側面W1〜W4に当接する。このため、枠本体12に対し、上下左右のいずれかの方向へ移動させる力が作用しても、規制突部18がその移動方向の先にある内側面W1〜W4に当接し、枠本体12の上下左右方向への移動が規制される。その結果、器具取付枠11が、開口部15及び螺入孔19が壁材Wの表側に臨む位置で位置決めされるため、器具取付枠11のナットに対するビス23の螺入作業を容易に行うことができる。
【0031】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)器具取付枠11において、枠本体12の前面に規制突部18を突設した。そして、規制突部18を壁孔Waに挿入すると、規制突部18が壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接して、器具取付枠11の開口部15が壁孔Waに臨む位置に位置決めすることができる。したがって、規制突部18を壁孔Waに挿入するだけで、器具取付枠11を位置決めすることができ、背景技術のように爪片を折り曲げる作業を必要とせずに器具取付枠11の位置決め作業を簡単に行うことができる。
【0032】
(2)枠本体12の当接面12aを壁材Wの裏面に当接させた状態では、規制突部18は壁孔Wa内に位置し、壁材Wの表側に突出しないため、壁孔Wa内で規制突部18を曲げたり、折り取る必要がない。よって、当接面12aを壁材Wの裏面に当接させつつ規制突部18を壁孔Waに挿入するだけで、器具取付枠11の位置決め作業が完了し、位置決め作業を簡単に行うことができる。
【0033】
(3)規制突部18は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各規制突部18は、壁孔Waの各角部の内側に配置される。そして、規制突部18は、各角部を形成する隣り合う内側面に当接する。このため、四つの規制突部18を、壁孔Waの四つの内側面に当接させる構成としても、それら四つの規制突部18は壁孔Waの上側面W1と下側面W2寄りに配置することができ、四つの規制突部18が壁孔Waを大きく邪魔することがなく、規制突部18が、配線器具H設置の妨げになることを防止することができる。
【0034】
(4)規制突部18は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各規制突部18は、壁孔Waの各角部の内側に配置される。そして、規制突部18は、各角部を形成する隣り合う内側面に当接する。このため、四つの規制突部18を、枠本体12の二つの挟持片13に形成することができ、連結片14に規制突部18を形成しなくて済む。このため、連結片14が、壁孔Wa内に位置することがなく、壁孔Waの短辺方向が器具取付枠11によって狭められることを防止することができる。
【0035】
(5)規制突部18は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各規制突部18は、壁孔Waの各角部の内側に配置される。そして、規制突部18は、各角部を形成する隣り合う内側面に当接する。このため、四つの規制突部18を、枠本体12の二つの挟持片13に形成することができ、枠本体12をコ字状に形成して右側方を開放させることができる。したがって、枠本体12に四つの規制突部18を形成しつつも、器具取付枠11をコ字状に形成することが可能になり、器具取付枠11を壁孔Waを簡単に通過させることができ、器具取付枠11を壁材Wの裏側に簡単に配置することができる。
【0036】
(6)枠本体12には、係止突部17が形成されるとともに、この係止突部17は、壁孔Waの上側面W1及び下側面W2に係止する。このため、ビス23を器具取付枠11の螺入孔19に螺入する際、器具取付枠11に壁材Wの裏側へ押す力が作用しても、係止突部17の係止により器具取付枠11の壁材Wの裏側への移動を規制することができる。したがって、ビス23の螺入作業時に、器具取付枠11を手で押さえて壁材Wの裏側へ移動することを規制する必要がなく、ビス23の螺入作業を簡単に行うことができる。
【0037】
(7)係止突部17は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各係止突部17は、枠本体12の短辺方向(左右方向)における各規制突部18の内側に配置される。このため、四つの係止突部17を、壁孔Waの内側面に係止させる構成としても、それら四つの係止突部17は壁孔Waの上側面W1と下側面W2寄りに配置することができ、四つの係止突部17が壁孔Waを大きく邪魔することがなく、係止突部17が、配線器具H設置の妨げになることを防止することができる。
【0038】
(8)係止突部17は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各係止突部17は、枠本体12の短辺方向(左右方向)における各規制突部18の内側に配置される。このため、四つの係止突部17を、枠本体12の二つの挟持片13に形成することができ、連結片14に係止突部17を形成しなくて済む。このため、連結片14が、壁孔Wa内に位置することがなく、壁孔Waの短辺方向が器具取付枠11によって狭められることを防止することができる。
【0039】
(9)係止突部17は、枠本体12に四つ突設されるとともに、各係止突部17は、枠本体12の短辺方向(左右方向)における各規制突部18の内側に配置される。このため、四つの係止突部17を、枠本体12の二つの挟持片13に形成することができ、枠本体12をコ字状に形成して右側方を開放させることができる。したがって、枠本体12に四つの係止突部17を形成しつつも、器具取付枠11をコ字状に形成することが可能になり、器具取付枠11を壁孔Waを簡単に通過させることができ、器具取付枠11を壁材Wの裏側に簡単に配置することができる。
【0040】
(10)器具取付枠11において、各挟持片13の長辺方向一端側と他端側に規制突部18を形成するとともに、挟持片13の一端側の規制突部18を、連結片14の幅分だけ内寄りに配置し、他端側の規制突部18を挟持片13の他端より外方に突出して配置した。そして、左右の規制突部18を一つの規制部材とした場合、この規制部材は、挟持片13の長辺方向に沿って他端側に位置ずれした位置に配置されている。このため、規制部材の両外側端が、壁孔Waの右側面W3及び左側面W4に当接した状態では、連結片14での当接面12a全体が壁材Wに当接し、壁孔Wa内に連結片14が露出していない。よって、左右の規制突部18の配置を設定することで、器具取付枠11が壁孔Waを狭めることが防止できる。また、配線器具Hを操作することに伴い、器具取付枠11を壁材Wに押し付ける力が作用しても、その力を枠本体12の三辺(一対の挟持片13と、連結片14)で受承することができ、器具取付枠11が損傷することを防止することができる。
【0041】
(11)器具取付枠11の枠本体12には、規制突部18に加え、罫書用突起18bが形成されている。このため、規制突部18により器具取付枠11を位置決めすることができるとともに、罫書用突起18bにより壁材Wに壁孔Waを穿設する作業を簡単に行うことができる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、規制突部18に罫書用突起18bを設けたが、罫書用突起18bは無くてもよい。
【0043】
○ 実施形態では、枠本体12に係止突部17を設けたが、係止突部17は無くてもよい。
○ 実施形態では、枠本体12に規制突部18に加え、係止突部17を別体で設けたが、図8に示すように、規制突部18のみを形成するとともに、規制突部18に爪片18aを突設して、規制突部18が係止部を兼ねる構成としてもよい。
【0044】
このように構成すると、規制突部18に係止部を一体に設けることとなり、器具取付枠11の製造コストを抑えることができる。
○ 実施形態では、四つの規制突部18を、壁孔Waの各角部の内側に配置されるように枠本体12に設けたが、四つの規制突部18の位置は、壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接するのであれば、任意に変更してもよい。例えば、各規制突部18が、各内側面W1〜W4の中央に当接するように変更してもよい。この場合、枠本体12は四角枠状に形成される。
【0045】
○ 実施形態では、規制部として四つの規制突部18に具体化したが、規制部をコ字状をなす突条に具体化してもよい。この突条は、上下両挟持片13及び連結片14に跨って延びるように形成される。そして、突条の上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、突条の下面が壁孔Waの下側面W2に当接する。さらに、突条の左側面が壁孔Waの左側面W4に当接するとともに、突条の上下両右側端が、壁孔Waの右側面W3に当接する。
【0046】
○ 実施形態では、規制部として四つの規制突部18に具体化したが、上下右側の規制突部18のいずれか一つを削除し、三つの規制突部18としてもよい。このように構成しても、右側の一つの規制突部18が、壁孔Waの右側面W3に当接し、残りの左側二つの規制突部18が、壁孔Waの上側面W1、下側面W2、及び左側面W4に当接するため、三つの規制突部18が壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接する。
【0047】
○ 実施形態では、器具取付枠11を、取着部としての螺入孔19及びナットを上下一対備えるタイプに具体化したが、器具取付枠11を、挟持片13を長辺方向に延長し、取着部を上下二対以上備えるタイプに変更してもよい。
【0048】
○ 実施形態では、器具取付枠11をコ字状にしたが、枠状に変更してもよい。
○ 実施形態では、配線器具Hを壁材Wに設置する際、ビス23によって器具取付枠11と器具保持枠20を組み付けた状態で、器具取付枠11を壁材Wの裏側に配置するようにしたが、これに限らない。すなわち、器具取付枠11と器具保持枠20を組み付けず、器具取付枠11のみを壁材Wの裏側に配置し、その後、ビス23によって器具取付枠11に器具保持枠20を組み付けてもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記枠本体はコ字状をなす請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の器具取付枠。
【0050】
(ロ)前記枠本体は、一対の挟持片と、それら挟持片の一端側を連結する連結片とから形成されるとともに、前記枠本体は前記連結片の長辺方向が長辺方向となる縦長に形成され、前記枠本体の短辺方向に沿って前記規制突部及び係止突部が並設されている請求項3に記載の器具取付枠。
【符号の説明】
【0051】
H…配線器具、W…壁材、Wa…壁孔、W1〜W4…内側面(上側面、下側面、右側面、左側面)、11…器具取付枠、12…枠本体、12a…当接面、17…係止部としての係止突部、18…規制部としての規制突部、19…取着部を形成する螺入孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9