【実施例1】
【0017】
(全体構成)
図1〜9において本発明に係る引出しキャビネットの実施例1を説明する。この引出しキャビネット1は、
図1に示すように、キャビネット本体2(ベースキャビネット)に対して、主引出し3と内引出し4を引出し可能に備えている。
【0018】
主引出し3は、
図1及び
図2に示すように、前面扉6と、底板7、左右の側板8及び奥板9から成る主引出し本体10、及び主引出し用インナーレール11とを備え、左右の側板8において、キャビネット本体2の左右の側壁14に、ソフトクローズ機構付きレール装置15を介して、前後方向へ移動可能に取付けられている。この実施例1では、主引出し3の前面扉6の前面上部に取手17が設けられている。
【0019】
内引出し4は、
図1及び
図2に示すように、主引出し3の内部であって、主引出し3の上部の空間に引出し可能に設けられている。内引出し4は、底板19、左右の側板20、奥板21及び前板22から成る内引出し本体23と、内引出し用インナーレール24とを備え、主引出し3の左右の側板の上方の位置で、内引出し4の左右の側板20において、キャビネット本体2の左右の側壁14にソフトクローズ機構付きレール装置16を介して、前後方向へ移動可能に取付けられている。
【0020】
主引出し3と内引出し4は、
図1(b)、
図3(a)に示すように、それぞれ独立してキャビネット本体2内を前後方向に移動可能である。また、
図2に示すように、主引出し3と内引出し4を互いに連結して、一体で前後方向に移動可能とすることもできる。そのために、主引出しの3の前面扉6と内引出し4の前板22を互いに着脱可能に係合させて連結する連結機構28が設けられている。
【0021】
主引出し3と内引出し4を連結する連結機構28を
図4において説明する。この連結機構28は、主引出し3の係合部と、内引出し4にそれぞれ設けられた係合部とから構成される。主引出し3の係合部は、前面扉6の内側に装着されている係止受け具29であり、内引出し4の係合部は、前板22に設けられている係止フック30である。
【0022】
係止受け具29は、前面扉6の内側面に形成された取付け孔31に挿入されて固着されている円形の受け筒32と、円形の受け筒32内に回転可能に嵌着された係止ドラム33を有する。係止ドラム33は、
図4(b)、(d)に示すように、主引出し3の後方から見て、上下方向に偏心した長方形の係止孔34が形成されている。この係止孔34の奥方の上縁には切り欠き状の係止部35が形成されている。
【0023】
係止フック30は、内引出し4の前板22の上縁部37に設けられており、可撓性を有し、その先端にフック部38が形成され、基端側に押部39が形成されている。上縁部37には、係止フック30の横幅に対応して切り欠き40が形成されており、上方から指で押部39を下方に押圧すると、係止フック30がこの切り欠き40内に沈み込み、フック部38が下方に撓うように形成されている。
【0024】
主引出し3と内引出し4を連結する際には、
図4(a)、(b)に示すように、係止ドラム33の係止孔34が下方に偏心した状態において、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接しながら係止フック30を挿入すると、フック部38が係止部35に係合して抜け止めされ、主引出し3と内引出し4は連結される。この状態で、フック部38の押部39を下方に押圧すると、フック部38が下方に撓って係止部35から外れ連結が解除される。
【0025】
一方、
図4(c)、(d)に示すように、硬貨等を係止孔34に挿入し、係止ドラム33を180°回転し、係止孔34が上方に偏心した状態において、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接し、係止フック30を挿入しても、フック部38が係止部35に係合することがないので、主引出し3と内引出し4は連結されることはない。
【0026】
(ソフトクローズ機構付きレール装置)
概要:
主引出し3及び内引出し4は、それぞれソフトクローズ機構によって、引出しを閉める際に、引出しがキャビネット本体に閉まる前に、引込み力が作用し、しかも減速されて、使用者が最後まで手で押し込まなくても、引出しは、ゆっくりと後方に移動して閉まるように構成されている。
【0027】
本発明のソフトクローズ機構は、主引出し3及び内引出し4をそれぞれキャビネット本体2内に引込む引込み力を生じる「引き込み機構」と、引出しを後方に押し込む押し込み力及び引込み力によって引出しがキャビネットに衝撃を与えないように緩衝する「ダンパー」とを有する。
【0028】
引き込み機構は、キャビネット本体側に取付けるアウターレールに対して、引出しのインナーレールを後方への引込むための引込み力を生じる機構である。引き込み機構として、引っ張りコイルバネ等のバネの弾力を利用する手段、アウターレールの後部に下方への傾斜部を設ける手段等がある。本実施例1では、主引出し3及び内引出し4は、それぞれ引き込み機構として引っ張りコイルバネ(以下、単に「バネ」という)を利用する構成とした。
【0029】
また、ソフトクローズ機構として、引き込み機構とダンパーを一体的に設けた「ダンパー内蔵のソフトクローズ機構」と、引き込み機構とダンパーを一体的に設けることなく、引き込み機構に対してダンパーは外付けした「ダンパー外付けのソフトクローズ機構」とがある。
【0030】
主引出し3と内引出し4それぞれについて、ダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置を採用するか、又はダンパー外付けのソフトクローズ機構付きレール装置を採用するかは、設計上の問題であり、いずれでも良い。
【0031】
本実施例1では、内引出し4には、ダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置16を採用した。そして、主引出し3には、ダンパー外付けのソフトクローズ機構付きレール装置15を採用し、
図3(b)、(c)に示すような外付けのダンパー43を、
図1に示すように、キャビネット本体2に取付ける構成とした。
【0032】
内引出し4をキャビネット本体2に対して移動可能とするために設けられているダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置16について、以下説明する。なお、主引出し3をキャビネット本体2に対して移動可能とするために設けられているソフトクローズ機構付きレール装置15は、ダンパーは外付けであるが、引き込み機構については全く同様の構成である。
【0033】
全体構成:
まず、ソフトクローズ機構付きレール装置16の全体的な構成について説明する。ソフトクローズ機構付きレール装置16は、キャビネット本体2の側壁14の内面に固定される内引出し用アウターレール45と、内引出し4の側板20に固定され、アウターレール45で案内され前後方向に移動する内引出し用インナーレール24とを備えている。
【0034】
アウターレール45は、
図5に示すように、長尺状の底部46と、底部46の外縁から上方垂直に起立した外側壁47と、底部46の内縁から上方垂直に起立しさらに外側に水平に曲げて形成された支持レール部48とを備えている。外側壁47がキャビネット本体2の側壁14の内面にねじ等で固定されることで、アウターレール45は、キャビネット本体2に取付けられる。
【0035】
インナーレール24は、
図6に示すように、長尺状の頂壁52と、頂壁52の外縁から下方垂直に曲げられた外側壁53と、外側壁53の下縁から内側に水平に曲げて形成された底部54と、頂壁52の内縁から下方垂直に曲げられた内側壁55とを備えている。底部54の下面には、後記するロック部材と係合する係合突起56が下方に向けて突設されている。
【0036】
図6に示すように、外側壁53の外面に、取付け壁51が上方に伸びるよう固定されており、取付け壁51が内引出し4の側板20の外面に固定されることで、インナーレール24が内引出し4に取付けられる。
【0037】
インナーレール24が、
図6(f)に示すように、アウターレール45の支持レール部48上に転動輪58を介して又は直接載置され、前後方向に移動することで、内引出し4は、引出しキャビネット1に対して前後方向に移動可能となる。
【0038】
ソフトクローズ機構:
次に、ソフトクローズ機構41について、まずその引き込み機構42について説明する。アウターレール45の底部46の長手方向中央部に、
図5(a)に示すように、長手方向に伸びるロック案内部材60が設けられている。
【0039】
ロック案内部材60は、
図7(a)、(b)、
図8(a)、(b)に示すように、頂壁61と、頂壁61の外縁から下方にアウターレール45の底部46まで垂下した外側壁62と、頂壁61の内縁から下方に垂下した内側壁63と、前端及び側部に設けられた取付け部64とから構成されている。内側壁63とアウターレール45の底部46との間には、
図7(b)、
図8(a)に示すように、長手方向に沿って隙間66が形成されている。
【0040】
ロック案内部材60の内側壁63の後端部では、
図7(b)に示すように、内側壁63はアウターレール45の底部46まで垂下し内方に取付け部64が形成されている。ロック案内部材60の前端部に近い部分は、
図7(a)、(b)、
図8(b)に示すように、内側壁63形成されておらず、頂壁60とアウターレール45の底部46との間には、隙間66より上下方向に広い開口部65が形成されている。
【0041】
ロック案内部材60で案内するロック部材70は、
図7(c)、(d)に示すように、略台形状の平板部71を有する。平板部上に、前方内側には第1案内隆起部72が形成されており、後方方外側には第2案内隆起部73が形成されている。第1案内隆起部72及び第2案内隆起部73の間に、
図7(a)、
図8(a)、(c)、(d)に示すように、ロック案内部材60の内側壁63が嵌合し、ロック部材70は、ロック案内部材60で案内されてアウターレール45の底部46上を前後方向に移動可能である。
【0042】
平板部71の内側部上において、前方には第1係合隆起部74が形成されており、後方には第2係合隆起部75が形成されている。第1係合隆起部74と第2係合隆起部75は、
図7(c)に示すように、平面視で二股状に形成されている。
【0043】
平板部71の外側部上には、バネ79の先端を装着する装着部77が設けられている。バネ79の基端部は、
図5(a)、(c)、(e)に示すように、案内部材の底部の後端のバネ装着部81に装着されている。バネ79は、その弾力(付勢力)によって、ロック部材70を介してアウターレール45に対してインナーレール24を後方へ引込む力(「引込み力」という)を生じる。
【0044】
以上がソフトクローズ機構41の特に引き込み機構42の構成であるが、引き込み機構42を設けると、引出しを閉じる際に、バネ79による引込み力で、内引出し4がキャビネット本体2に対して衝突するので、ソフトクローズ機構においては、ダンパーを設ける必要がある。
【0045】
図5(a)〜(c)に示すソフトクローズ機構は、アウターレール45にダンパー82が内蔵(併設)されている。このダンパー82は、油圧シリンダー緩衝器(空圧緩衝器でもよい)が使用されており、その可動ピストン軸83から側方に突出した受け部84にインナーレール24の後端が衝接するように構成されている。
【0046】
作用の項で詳記するが、内引出し4を閉じるために後方に押し込むと、係合突起56が第2係合隆起部75に係合し、ロック部材70が案内部材に沿うようになり、しかもバネ79の弾力(付勢力)によって、アウターレール45に対してインナーレール24を後方へ引込む力(「引込み力」という)を生じる。
【0047】
このように、バネ79の弾力がロック部材70に作用するタイミングと同時に、インナーレール24の後端がダンパー82の受け部84に衝接するように構成されており、これにより、バネ79による弾力でインナーレール24に引込み力を作用させ、かつ緩衝させながら、インナーレール24を後方へ引込むように作用させる。
【0048】
ソフトクローズ機構41は、
図5(e)に示すように、アウターレール45にダンパーが内蔵されていないソフトクローズ機構もあり、このようなダンパーが内蔵されていない構成の場合は、別途、
図3(b)、(c)に示すような外付けのダンパー43を組み合わせて使用する。
【0049】
ところで、上記課題の項でも説明したとおり、主引出し3と内引出し4を連結可能な引出しキャビネット1において、主引出し3と内引出し4の両方に、それぞれソフトクローズ機構付きレール装置15、16を備えている場合、主引出し3と内引出し4を連結している際には、両者の引込み力の和は、引出しを開けようとする際に必要な前方に引く力(「引出し力」という)の反力となるため、引出しを開ける際には大きな力が必要となる。
【0050】
そこで、本発明では、主引出し3と内引出し4とで、引込み力の異なる特性を有するソフトクローズ機構付きレール装置15、16を配設することにより、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減することを可能にする。
【0051】
具体的には、次のとおりの構成とする。使用者が取手17を把持して前方に引くことにより生じる引出し力の作用点の中心は、主引出し3の取手17の近くに位置する。従って、主引出し3の取手17の近くでは、使用者の前方への引きによって強い引出し力が生じるので、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し用のソフトクローズ機構付きレール装置16としては、引込み力の強い特性を有するソフトクローズ機構付きレール装置を配置する。
【0052】
しかし、取手17から遠くに位置する主引出し用のソフトクローズ機構付きレール装置15には、弱い引出し力しか分配されないので、引込み力の弱いソフトクローズ機構付きレール装置を配置する。
【0053】
要するに、主引出し3の取手17から遠くに位置する主引出し3を単独で引出すための引出し力は、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4を単独で引出すための引出し力より小さくて済むように、主引出し3及び内引出し4にソフトクローズ機構15、16の特性がそれぞれ設定されている。
【0054】
このような構成とすると、使用者による引出し力が大きく作用する領域で、引込み力の強いソフトクローズ機構付きレール装置16が配設された内引出し4を引出すことができ、使用者による引出し力の小さく作用する領域で、引込み力の弱いソフトクローズ機構付きレール装置15を配設した主引出し3を引出すことができる。
【0055】
その結果、使用者による引出し力を主引出し3と内引出し4に効率的に分配すること可能となり、全体として、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減することを可能にする。
【0056】
実施例1においては、主引出し用アウターレール44及び内引出し用アウターレール45にそれぞれ内蔵されたバネ79によって、それぞれのインナーレール11、24に対する引込み力が作用するが、主引出し用アウターレール44のバネの弾性係数が、内引出し用アウターレール45のバネ79の弾性係数より小さく設定されている。
【0057】
(作用)
分離した状態での使用:
以上の構成から成る本発明に係る引出しキャビネット1の実施例1の作用を説明する。主引出し3及び内引出し4は、互いに分離した状態では、
図1(b)、
図3(a)に示すように、それぞれ独立して移動、開閉して使用する。
【0058】
互いに分離した状態での使用において、内引出し4が閉じた状態(
図1(b)参照)から前方に引出すと、
図9(a)に示すように、インナーレール24の係合突起56がロック部材70の第1係合隆起部74と係合し、ロック部材70が、その第1案内隆起部72と第2案内隆起部73がロック案内部材60の内側壁63に沿うようにして、前方に移動する。ロック部材70が前方に移動する際に、バネ79をその弾力に抗して伸ばし付勢力を蓄える。
【0059】
このロック部材70の前方への移動過程で使用者が手を離して前方への引出しを停止すると、バネ79により、インナーレール24に後方に戻る引込み力が作用する。しかし、インナーレール24の外側壁53後端がダンパー82の受け部84に衝接して緩衝されるので、内引出し4はゆっくりした速度で後方に戻る。これにより、内引出し4は、後方への引込み力が作用し自動的、後方に戻って閉じるが、衝突音が発生したり、キャビネット本体2の破損等が生じることがない。
【0060】
ロック部材70がさらに前方に引出されて移動し、第1案内隆起部72が内側壁63の開口部65に達すると、
図9(b)に示すように、第1案内隆起部72が案内部材の内側壁63から外れて開口部65に入り込み、ロック部材70は、バネ79の弾力によってその外側面76を中心にして反時計方向に回転して、開口部65からロック案内部材60内に一部入りこみ、そこで停止する。
【0061】
同時に、インナーレール24の係合突起56は、第1案内隆起部72との係合から脱してさらに前方に移動する。従って、それ以降は、内引出し4の前方への移動によって、バネ79を付勢することもなく、また、内引出し4はバネ79の引込み力を受けることがない。従って、使用者が手を離しても、内引出し4は、バネ79の引込み力によって、自動的に後方に戻るようなことがない。
【0062】
内引出し4を閉じる場合は、内引出し4を後方に押し込む。すると、
図9(c)に示すように、インナーレール24の係合突起56は第2の係合隆起部75に係合し、ロック部材70を時計方向に回転させる。これにより、ロック部材70は、その第1案内隆起部72と第2案内隆起部73が、ロック案内部材60の内側壁63に沿うようになって、前方に移動可能となる。また、同時に、インナーレール24の外側壁53の後端がダンパー82の受け部84に衝接する。
【0063】
この状態では、バネ79により、内引出し4に後方に戻る引込み力が作用するが、ダンパー82によって緩衝されるので、内引出し4はゆっくりした速度で後方に戻る。これにより、内引出し4は、後方への引込み力が作用し自動的、後方に戻って閉じるが、衝突音が発生したり、引出しキャビネット1への破損等が生じることがない。
【0064】
主引出し3を開くための引出し動作及び閉じるための押し込み動作についても、内引出し4と全く同じように、ソフトクローズ機構が作用する。しかし、主引出し用ソフトクローズ機構付きレール装置15では、ダンパーは内蔵されていないので、
図1に示すように、キャビネット本体2の側壁14内面に取付けた外付けのダンパー43に前面扉6が衝突して、引出し押し込みにより生じた力及びバネによる引込み力が緩衝される。
【0065】
連結した状態での使用:
主引出し3と内引出し4を連結して使用する場合には、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接しながら連結機構28の係止フック30を係止孔34に挿入すると、フック部38が係止ドラム33の係止部35に係合し、主引出し3と内引出し4は連結される。
【0066】
主引出し3と内引出し4を連結すると、主引出し3と内引出し4は、共に移動し開閉が可能となる。取手17によって主引出し3を前方に引くと、内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の引込み力と、主引出し3のソフトクローズ機構のバネの引込み力との和が、引出し力の反力として作用する。
【0067】
しかし、本発明では、取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネの弾性係数を、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の弾性係数より小さくなるように、両者のバネを選択し、前者の引込み力を弱く、後者の引込み力を強くしたので、この両者の引込み力の大小に対応して、取手17による引出し力を、主引出し3と内引出し4に効率的に分配すること可能となり、全体として、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減できる。
【0068】
なお、主引出し3と内引出し4について、それぞれ引出し力の反力として作用するのは、より正確には、それぞれバネ79の引込み力(弾力)とダンパーの抵抗力である。
【0069】
従って、ダンパーの抵抗力を考慮すれば、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の弾力とダンパーの抵抗力の和は、取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネ79の弾力とダンパーの抵抗力の和より大きくする必要がある。
【0070】
しかしながら、ダンパーの抵抗力を考慮しない、或いは主引出し3のダンパーの抵抗力と内引出し4のダンパーの抵抗力を等しいとした場合には、主引出し3のバネ79の弾性係数と内引出し4のバネ79の弾性係数の大小が、引出し力に対する反力に影響する。従って、上記のとおり、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構のバネ79の弾性係数を取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネ79の弾性係数より大きくすればよい。
【0071】
ところで、本実施例1では、主引出し3の取手17を主引出し3の前面扉6の上部に設けたので、主引出し3の取手17の近くに位置するソフトクローズ機構は、自ずから内引出し用ソフトクローズ機構41となる。しかし、主引出し3の取手17は、必ずしも前面扉6の上部に設けるとは限らず、例えば、極端な例として、主引出し3の取手17が前面扉6の下部に設けられる構成もある。
【0072】
そのように、主引出し3の取手17が前面扉6の下部に設けられている引出しキャビネットの場合は、主引出し3の取手17の近くに位置するのは、主引出し用ソフトクローズ機構となる。従って、このような場合は、主引出し3の取手17の近くに位置するソフトクローズ機構のバネの弾性係数を、内引出し用ソフトクローズ機構のバネの弾性係数より大きく設定すればよい。