(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、インデキサ装置において、第1ボタン穴かがりから最終ボタン穴かがりまで縫製したボタン穴かがり位置が均一にならず、顧客の要求品質(前立て中心位置で±0.25mm以内)を満足しないと、装置の規格値±0.5mmに対して市場要求とに差異が生じ問題となっていた。
すなわち、インデキサ装置の出荷状態が、製造工場での組み上がり精度:±0.25mmであったにも関わらず、別の場所に移動し設置した際に、床の平衡状態が変わってしまうことから、縫い精度が悪くなるという問題があった。
この問題は、床の凹凸状態に応じて装置本体そのものが歪むため、出荷状態と同じ精度を出すことができないという問題である。
そのため、ストライプなどの柄もののワイシャツを縫製する際には、柄と穴かがり位置のズレが問題となり、不良品を作り込んでしまうという問題があった。
また、水準器をインデキサ装置本体に載置して、その水平度を補正しようとしても、装置本体は塗装されて、その塗装面に凹凸が形成されるので、精度がでないという問題があった。また、コバの許容幅に関連する縫製物の受け渡し位置では、水準器を載置しにくいという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、インデキサ装置において、設置場所の床の凹凸状態による装置本体の歪みによる影響で縫製する位置精度が悪くなるものを、より簡単な構成で補正することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
布端を揃えて縫製物を保持し、縫製物を受渡し位置へ移送するプリセット装置と、
前記受渡し位置へ移送された縫製物を一時的に保持するサブクランプ機構と、
前記受渡し位置で縫製物を保持してミシンのボタン穴かがり位置へ順次移送する搬送体と、
前記搬送体により移送される縫製物にボタン穴かがり縫製を順次行うミシンと、
前記プリセット装置、サブクランプ機構、搬送体及びミシンを搭載する装置本体とから構成されるインデキサ装置において、
前記装置本体の高さを調整する高さ調整機構と、
前記装置本体の平衡度を確認するために前記プリセット装置に取り付けられる調整ゲージと、を備え、
前記調整ゲージを基準として前記装置本体を設置した床の平衡度を計測し、前記高さ調整機構により前記装置本体の平衡度を出荷状態の精度に補正可能としたことを特徴とする。
【0009】
そして、請求項1に記載の発明は、
前記プリセット装置は、
縫製物が載置されるプリセットテーブルと、
縫製物搬送方向に沿って、前記プリセットテーブルの一端側に形成された複数の切り欠きを有し、
前記切り欠きには、前記サブクランプ機構のサブクランプ受板が配置され、
前記調整ゲージと前記サブクランプ受板の相対位置を調整することを特徴とする。
【0010】
また、請求項1に記載の発明は、
前記調整ゲージは、ベース板と、
ベース板上部に固定され、一端側がベース板より突出し、その位置を指示する爪板と、
ベース板下部に固定される板ばねを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項1に記載の発明は、
前記サブクランプ受け板には、縫製物搬送方向に沿って目盛りとなる山が形成されるとともに、
前記調整ゲージの爪板の指示部は、前記プリセットテーブルの切り欠き内に配置され、
前記サブクランプ受け板の山と前記調整ゲージの指示部を指標として、前記調整ゲージと前記サブクランプ受板の相対位置を調整することを特徴とする。
【0012】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載のインデキサ装置であって、
前記切り欠き及びクランプ部材の調整箇所に優先順位をつけ、前記調整箇所につけた前記優先順位に従って調整精度が段階的に向上することを特徴とする。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
または2に記載のインデキサ装置であって、
装置本体を制御する制御部と、
前記制御部に信号を入力する操作パネルを備え、前記操作パネルに調整モードを設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載のインデキサ装置であって、
前記操作パネルから調整モード起動信号が送信されると、
前記制御部は、前記プリセットテーブルを前進させ、前記サブクランプ受板を上昇させ、前記サブクランプ受板が、前記プリセットテーブルの切り欠き内に配置するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、平衡度の保たれていない設置場所においても、調整ゲージに基づいて装置本体の高さを調整することで、縫い精度の品質向上が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1から
図4は本発明を適用したインデキサ装置の一実施形態の構成を示すもので、1はフレーム(装置本体)、2はプリセット装置、40はサブクランプ機構、3は搬送体、4はミシン、5は操作パネル、A・B・C・D・E・Fはアジャスタ(高さ調整機構)である。なお、水平一平面で、縫製物をボタン穴かがり位置へ順次移送する方向を左右方向X(縫製物搬送方向)とし、左右方向に直交する方向を前後方向Yとする。左右方向Xと前後方向Yに、共に直交する方向を上下方向Zとする。
【0018】
インデキサ装置は、図示のように、装置本体をなすフレーム1の上に、図示しない縫製物をその布端を揃えて保持し、Y方向に沿って前進し、縫製物を受渡し位置へ移送するプリセット装置2と、受渡し位置へ移送された縫製物を一時的に保持するサブクランプ機構40と、受渡し位置で縫製物を保持し、X方向に沿って移動させ、ミシンのボタン穴かがり位置へ順次移送する搬送体3と、その搬送体3により移送される縫製物にボタン穴かがり縫製を順次行うミシン4とが搭載されるとともに、所定の入力操作が行える操作パネル5が備えられている。
【0019】
なお、縫製物は、受渡し位置で、サブクランプ機構40と搬送体3に保持されるが、サブクランプ機構の縫製物の保持が解除された後、縫製物は搬送体3と共にX方向に移動する。
プリセット装置のプリセットテーブル21がY方向に沿って移動し、搬送体3はX方向に沿って移動する。また、サブクランプ機構40は、サブクランプ受板31とサブクランプ上板32がZ方向に上下動する。
【0020】
また、フレーム1の周囲下には、設置床に対する高さ調整機構として6箇所の回転操作方式によるアジャスタA・B・C・D・E・Fが備えられている。
すなわち、フレーム1のミシン4の搭載部分の三隅部下にアジャスタA・B・Cが配置されて、プリセット装置2、サブクランプ機構40、及び搬送体3の搭載部分の三隅部下にアジャスタD・E・Fが配置されている。
【0021】
図5にアジャスタA・B・C・D・E・Fの配置位置を示した。
【0022】
図6はアジャスタA・B・C・D・E・Fの設置床に対する接地条件1・2・3・4・5・6を示す図表である。
【0023】
この場合、onが接地、offが非接地であり、中央部の前後2箇所のアジャスタC・Dは設置床に必ず接地onしているものとする。
【0024】
図3に示すように、プリセット装置2は、縫製物が載置されるプリセットテーブル21と、縫製物搬送方向Xに沿って、プリセットテーブル21の一端側21aに形成された複数の切り欠き22を有している。プリセットテーブル21は、後述するプリセット駆動シリンダ113連結されている。このプリセット駆動シリンダ113の駆動により、プリセットテーブル21は、Y方向に沿って移動し、縫製物を載置する初期位置から縫製部を受け渡す受渡し位置に移動する。
【0025】
また、プリセットテーブル21の一端側21aには、不図示の突き当て板が配置されている。プリセットテーブル21が初期位置では、突き当て板は、プリセットテーブル21の一端側21aより上方側に突出した状態を維持している。このため、縫製物の生地端を布突き当て板に合わせたり、プリセットテーブル21に照射されたライン光に合せて縫製物の位置決めを行う。そして、プリセットテーブル21が初期位置から受け渡し位置に移動する際、突き当て板は自動的に下降するので、プリセットテーブル21の移動の妨げにならない。
【0026】
図7は縫い精度(コバ寸法精度)を代用して確認するプリセット装置2のプリセットテーブル21の布突き当て端側に形成した6箇所の切り欠き22(22a〜22f)と、その左からの配置番号1・2・3・4・5・6を示している。
【0027】
なお、
図3に示すように、6箇所の切り欠きは、ミシン4に対して、X方向上流側(縫製物搬送方向上流側)に設けた4箇所の切り欠き22a、22b、22c、22dと、ミシンベッド部上に設けた2箇所の切り欠き22e、22fから構成される。
また、縫製物受渡し位置に移動されたプリセットテーブルの切り欠き22内には、サブクランプ機構のサブクランプ受け板31が配置される。
そして、高さ調整機構を構成するアジャスタを調整して、調整ゲージ8とサブクランプ受板31の相対位置を調整して、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端とに、切り欠き22のサブクランプ受板31の前後方向を調整したり、左右方向の調整を実施する。
【0028】
図8はアジャスタA・B・C・D・E・Fの接地条件1・2・3・4・5・6に応じた縫い精度(コバ寸法精度)を代用して確認し計測した隙間測定結果を示す図表である。
【0029】
この場合、条件allはアジャスタA・B・C・D・E・Fが全て接地した状態であり、X(左右方向)、Z(上下方向)、Y(前後方向)は作業者側から見た方向である。
ここで、6箇所平均に対しバラツキが小さい方がよい。
なお、影響の大きさは、Y>X>Zの関係である。
【0030】
図9はプリセットテーブル21の切り欠き22と、サブクランプ機構40のサブクランプ受板31との計測方法を示すもので、矢印で示したように、X方向及びY方向の移動量を計測する。
【0031】
図10は接地状態からアジャスタ高さを変更することで切り欠き22とサブクランプ受板31との位置関係がどのように変化するか示すもので、互いに逆方向の矢印で示したように、Y方向において、広くなる方向に移動したり、狭くなる方向に移動する。
【0032】
図11はアジャスタの上昇・下降に応じたサブクランプの広く・狭くの関係を示すもので、図示のように、6箇所の切り欠き22の配置番号1・2・3・4・5・6に対応して示している。
【0033】
ここで、
図12では、6箇所のアジャスタA・B・C・D・E・Fに加えて、7箇所目のアジャスタGを設けた場合を示している。
この7箇所目のアジャスタGは、
図1及び
図5において、中央部の前後2箇所のアジャスタC・Dの間に配置される。
【0034】
図12はインデキサ装置全体のブロック構成図である。
【0035】
図示のように、ROM、RAM及びCPU等を含む制御部100には、プリセット前進センサ101、プリセット後退センサ102、搬送体原点センサ103、搬送体倒し原点センサ104、スタートスイッチ105、制御部100に信号を入力する操作パネル5、電源106が接続されて、その各々の信号が入力される。
【0036】
また、制御部100には、ミシンモータ110、搬送部移動ステップモータ111、縫い終わりにスタッカと連動して布を排出するための搬送体倒しシリンダ112、プリセット装置2を前進後退させるためのプリセット駆動シリンダ113、サブクランプ機構40のサブクランプ受板31を前進させるサブクランプ前進シリンダ114、上側のサブクランプ上板32を駆動するサブクランプ駆動シリンダ115、布を吸着保持して搬送を行うための布保持バキューム強弱切替電磁弁116、搬送部クランプ駆動シリンダ117、プリセット装置2から布をはがすための搬送体ブロー電磁弁118、スタッカ駆動シリンダ119が接続されている。制御部100は装置本体1を駆動制御する。
【0037】
制御部100は、プリセット前進センサ101、プリセット後退センサ102、搬送体原点センサ103、搬送体倒し原点センサ104、スタートスイッチ105、操作パネル5からの入力信号に基づいて、ミシンモータ110、搬送部移動ステップモータ111、搬送体倒しステップモータ112、プリセット駆動シリンダ113、サブクランプ前進シリンダ114、サブクランプ駆動シリンダ115、布保持バキューム強弱切替電磁弁116、搬送部クランプ駆動シリンダ117、搬送体ブロー電磁弁118、スタッカ駆動シリンダ119に信号を出力して各々の駆動を制御する。
【0038】
図13は操作パネル5のメモリスイッチデータ編集画面を示すもので、図示のように、Mキー51aを押して切り替える。
【0039】
図14は操作パネル5のアジャスタ調整モード画面を示すもので、図示のように、Mキー51aを3秒間長押して入力レベルを切り替えし、アジャスタ調整モード[K55]を選択し準備キー51を押してアジャスタ調整モードを起動する。
【0040】
続いて、
図15に示すミシン4の頭部停止スイッチ41を押す。
【0041】
図16は調整モードのフローチャートである。
【0042】
図示のように、準備キー51を押して調整モードを起動し、ミシン4の頭部停止スイッチ41を押すと、調整モード開始(ステップS1)となり、プリセットテーブル21が前進し(ステップS2)、サブクランプ受板31が上昇する(ステップS3)。
その後、調整ゲージをセットしてアジャスタ調整を行う。
アジャスタ調整が終了したら、調整ゲージを取り外して、頭部停止スイッチ41を押して(ステップS4)、サブクランプ受板31を下降させて、プリセットテーブル21を後退させ(ステップS5)、終了する。
【0043】
すなわち、操作パネル5から調整モード起動信号が送信されると、制御部100は、プリセットテーブルを受け渡し位置に前進させ、サブクランプ受板31を上昇させ、サブクランプ受板31が、プリセットテーブル21の切り欠き22内に配置される。
なお、サブクランプ受板31が、上昇させなくても、切り欠き22内に配置されている場合、その上昇動作を省略する。
【0044】
図17は縫い代の確認・調整を示すもので、ミシン4において、縫い代が所定寸法(例えば21mm)に設定されているかを確認し、所定寸法に設定されていない場合は縫い代を調整する。
すなわち、図示のように、着脱式のプリセット調整ハンドル6を穴に差し込み、指標7で設定する目盛(例えば21mm)に合わせる。
調整後は、プリセット調整ハンドル6を外す。
【0045】
図18はサブクランプ機構40側のサブクランプ受板31を示すもので、図示のように、サブクランプ機構40には、4個のサブクランプ受板31a、31b、31c、31dが備えられている。
【0046】
ここで、プリセットテーブル21の切り欠き22を有する布突き当て端側は、図示のように、多孔プレートにより形成されていて、その多孔部に作用させるバキュームによって布端が吸着保持される。
なお、布端の保持に際しては、プリセットテーブル21の布突き当て端に、図示省略した突き当て板が出て、布端が位置決めされる。
【0047】
図19はミシン4側のサブクランプ受板31を示すもので、図示のように、ミシン4には、2個のサブクランプ受板31e、31dが備えられている。
【0048】
図20及び
図23はサブクランプ受板31と調整ゲージ8の関係を拡大して示すもので、プリセットテーブル21の布突き当て端に調整ゲージ8を取り付けて、その爪板81の爪を切り欠き22内のサブクランプ受板31の上に重ねる。
【0049】
図21はサブクランプ受板31の山と調整ゲージ8の一致を示すもので、図示のように、サブクランプ受板31の先端から6番目の山の中心上に、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端が位置した状態を一致とする。
【0050】
図22はサブクランプ受板31の山と調整ゲージ8の不一致を示すもので、図示のように、サブクランプ受板31の先端から6番目の山の中心上に、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端が位置しない状態を不一致とする。
【0051】
図24及び
図25に示すように、調整ゲージ8は、ベース板82と爪板81と板ばね83を備えている。ベース部82は、上面視長方形状であり、その上部に爪板81が配置されている。爪板81は上面視長方形状で、右側に、Y方向に突出するように延びる突出部81cを備えている。この突出部81cの端面が指示部81aである。指示部81aは、サブクランプ受板31の山の位置と比較して、装置本体の平衡度を比較する基準となる。また爪板81は、Y方向沿って、切り欠け溝81b、81bが形成されている。この切り欠け溝81b、81bにネジ84,84が装着される。そして、ベース板82に対する、爪板81のY方向の位置を調整して、爪板81が固定される。
【0052】
ベース板82は、本体部82bと、本体部の上面から突出する支持部82aから構成されている。本体部82bの底面には、ネジ85により折り曲げられた板ばね83が取り付けられる。そして、
図20及び
図23に示したように、プリセットテーブル21の一端側21aが、ベース板82の支持部82aと板ばね83の間に挿入される。調整ゲージ8は、板ばね83の弾性力により、プリセットテーブル21の所定位置に支持される。
【0053】
図27はサブクランプ受板31と調整ゲージ8の関係を示した。
【0054】
以上の調整ゲージ8は、
図20、
図23及び
図26に示したように、切り欠き22の左側面にベース板82の右側面を一致させた状態で、前述したように、プリセットテーブル21の布突き当て端にボルト結合して固定する。
そして、爪板81の爪の先端は、サブクランプ受板31の6番目山の中心上に一致するよう予め設定されている。
【0055】
次に、以上の調整ゲージ8に基づいて行うインデキサ装置の縫い精度補正について説明する。
【0056】
図27及び
図28は調整手順を示すフローチャートである。
【0057】
図示のように、まず手順1では、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から1番目の切り欠き22aのサブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(1A−1)、1箇所のアジャスタGを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が爪板81の爪の先端に一致したら、次の手順2に進む(1A−2)。
【0058】
また、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から1番目の切り欠き22aのサブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(1B−1)、1箇所のアジャスタAを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が爪板81の爪の先端に一致したら、次の手順2に進む(1B−2)。
【0059】
手順2では、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から4番目の切り欠き22dのサブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(2A−1)、2箇所のアジャスタC・Dを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、各々の6番目山の中心が爪板81の爪の先端にそれぞれ一致するまで調整する(2A−2)。
【0060】
また、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から4番目の切り欠き22dのサブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(2B−1)、1箇所のアジャスタBを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が爪板81の爪の先端に一致するまで調整する(2B−2)。
【0061】
そして、左から1番目と4番目の切り欠き22のサブクランプ受板31の6番目山の中心が、各々の調整ゲージ8の爪板81の爪の先端にそれぞれ一致しているかを再度確認し(2−3)、一致したら次の手順3に進み、一致しなければ手順1、手順2をやり直す。
【0062】
手順3では、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から5番目の切り欠き22eのサブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(3A−1)、1箇所のアジャスタEを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が爪板81の爪の先端に一致するまで調整する(3A−2)。
【0063】
また、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に対し、左から5番目の切り欠き22eのサブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(3B−1)、1箇所のアジャスタEを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が爪板81の爪の先端に一致するまで調整する(3B−2)。
【0064】
そして、左から1番目と4番目と5番目の切り欠き22a、22d、22eのサブクランプ受板31の6番目山の中心が、各々の調整ゲージ8の爪板81の爪の先端にそれぞれ一致しているかを再度確認し(3−3)、一致したら調整を終了し、一致しなければ手順1〜手順3をやり直す。
【0065】
以上の調整によって、ボタン穴かがり位置は、前立て中心位置で±0.3mmの精度が得られる。
上記のように、サブクランプ受け板31には、縫製物搬送方向に沿って目盛りとなる山が形成されるとともに、調整ゲージ8の爪板の指示部81aは、プリセットテーブル21の切り欠き22内に配置され、サブクランプ受け板31の山と調整ゲージ8の指示部を指標として、調整ゲージ8とサブクランプ受板31の相対位置を調整する。
そして、調整ゲージを基準として装置本体を設置した床の平衡度を計測し、高さ調整機構により装置本体の平衡度を出荷状態の精度に補正可能とした。
【0066】
なお、始めから、調整ゲージ8の爪板81の爪の先端に、切り欠き22のサブクランプ受板31の6番目山の中心が一致している場合、調整は必要ない。
【0067】
以上、実施形態のインデキサ装置によれば、平衡度の保たれていない設置場所においても、プリセットテーブル21の切り欠き22の調整ゲージ8に基づいてフレーム1の高さをアジャスタA・B・C・D・E・F・Gにより調整することで、縫い精度の品質向上が図れる。
そして、調整手順が明確になっているため、短時間でセットアップが可能であるため、レイアウト変更した際の調整時間が短くできる。
すなわち、切り欠き及びクランプ部材の調整箇所に優先順位をつけ、調整箇所につけた優先順位に従って調整精度が段階的に向上する。
また、面倒な操作を行わず、操作パネル5で調整状態へ移行できるため、操作性の向上が図れる。
【0068】
(実施形態2)
次に、更なる精度アップのために、前後方向の調整後に左右方向の調整を実施する方法を説明する。なお、ここでは、矢印シールを基準に調整をしているが、前述したゲージを利用しても同様の効果が得られる。
【0069】
図29及び
図30は調整手順を示すフローチャートである。
【0070】
この場合、切り欠き22に調整ゲージを表示しておく。
すなわち、図示のように、切り欠き22の左右に、サブクランプ受板31の6番目山の中心を合わせるための横矢印をそれぞれ表示するともに、切り欠き22の手前に、サブクランプ受板31の左右両側面を合わせるための縦矢印をそれぞれ表示する。
【0071】
図示のように、まず手順1では、左から1番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(1A−1)、1箇所のアジャスタGを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が横矢印に一致したら、次の手順2に進む(1A−2)。
【0072】
また、左から1番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(1B−1)、1箇所のアジャスタAを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が横矢印に一致したら、次の手順2に進む(1B−2)。
【0073】
手順2では、左から4番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(2A−1)、2箇所のアジャスタC・Dを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、各々の6番目山の中心が横矢印にそれぞれ一致するまで調整する(2A−2)。
【0074】
また、左から4番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(2B−1)、1箇所のアジャスタBを時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が横矢印に一致するまで調整する(2B−2)。
【0075】
そして、左から1番目と4番目の切り欠き22の横矢印に、各々のサブクランプ受板31の6番目山の中心がそれぞれ一致しているかを再度確認し(2−3)、一致したら次の手順3に進み、一致しなければ手順1、手順2をやり直す。
【0076】
手順3では、左から5番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が前方にずれている場合(3A−1)、2箇所のアジャスタE・Fを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が横矢印にそれぞれ一致するまで調整する(3A−2)。
【0077】
また、左から5番目の切り欠き22の横矢印に対し、サブクランプ受板31の6番目山が後方にずれている場合(3B−1)、2箇所のアジャスタE・Fを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、6番目山の中心が横矢印にそれぞれ一致するまで調整する(3B−2)。
【0078】
そして、左から1番目と4番目と5番目の切り欠き22の横矢印に、各々のサブクランプ受板31の6番目山の中心がそれぞれ一致しているかを再度確認し(3−3)、一致したら次の手順4に進み、一致しなければ手順1〜手順3をやり直す。
【0079】
手順4では、切り欠き22の縦矢印に対し、サブクランプ受板31が右方にずれている場合(4A−1)、5箇所のアジャスタB・C・D・E・Fを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、サブクランプ受板31が縦矢印にそれぞれ一致するまで調整する(4A−2)。
【0080】
また、切り欠き22の縦矢印に対し、サブクランプ受板31が左方にずれている場合(4B−1)、2箇所のアジャスタA・Gを各々時計方向に回してフレーム1を上昇させ、サブクランプ受板31が縦矢印にそれぞれ一致するまで調整する(4B−2)。
【0081】
そして、次の手順5に進み、各サブクランプ受板31が、各々の切り欠き22の矢印にそれぞれ一致しているかを確認し、一致したら調整を終了し、一致しなければ手順1〜手順4をやり直す。
【0082】
以上の調整によって、ボタン穴かがり位置は、前立て中心位置で±0.25mmの精度が得られる。
【0083】
なお、始めから、切り欠き22の矢印に、サブクランプ受板31が一致している場合、調整は必要ない。
【0084】
このように、前後方向の調整後に左右方向の調整を実施することで精度を向上できる。
すなわち、切り欠き及びクランプ部材の調整箇所に優先順位をつけ、調整箇所につけた優先順位に従って調整精度が段階的に向上する。
【0085】
(変形例)
以上の実施形態においては、6箇所あるいは7箇所のアジャスタとしたが、アジャスタは5箇所以下でも8箇所以上でもよい。
また、調整ゲージにセンサやテープを用いても同様の効果が得られる。