(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記移動機構は、前記誘導板を回転させることで、該誘導板を前記移動空間に挿入させ、また、該移動空間から退避させることを特徴とする請求項1に記載の真空熱処理装置。
  前記冷却装置から送出された前記冷却媒体の流動方向における、前記開口よりも上流側に設けられ、前記開口が形成される面に平行な方向への冷却媒体の直接的な流動を遮蔽する整流板をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の真空熱処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
  以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
 
【0018】
(第1の実施形態:真空熱処理装置100)
  
図1は、第1の実施形態にかかる真空熱処理装置100を説明するための説明図であり、
図2は、
図1のII−II線断面図である。
 
【0019】
  図1、
図2に示すように、真空熱処理装置100は、単室で被処理物Wに対して加熱処理および冷却処理を行う、所謂、単室型真空熱処理装置である。真空熱処理装置100は、真空炉110と、断熱容器120と、蓋部130と、加熱部140と、冷却装置150と、誘導板160と、移動機構170とを含んで構成される。
 
【0020】
  真空炉110は、真空炉110内の圧力状態が変化した場合であっても、その圧力に耐えられるように略円筒形状に形成されている。本実施形態において真空炉110は、その円筒の中心軸が水平方向(
図1、
図2中X軸方向)と重なるように、支柱110aによって固定、支持される。また、真空炉110には扉112が設けられており、扉112が閉鎖された状態であるときに真空炉110内は密閉空間となる。さらに、真空炉110には、不図示の真空ポンプが接続されており、扉112が閉鎖された状態で、真空ポンプによって真空炉110内が真空状態に減圧される。
 
【0021】
  また、真空炉110には、不図示の不活性ガス供給装置が接続されており、この不活性ガス供給装置が、被処理物Wの酸化や着色を防止するために真空炉110内に不活性ガスを供給する。不活性ガス供給装置が供給する不活性ガスは、被処理物Wを冷却するための冷却媒体として利用される。具体的に説明すると、不活性ガス供給装置は、不活性ガスを真空炉110内に圧送する圧送手段と、真空炉110内の圧力を計測する計測手段とを備えている。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N
2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス等、または、これらの混合ガスが挙げられる。
 
【0022】
  さらに、真空炉110には、真空炉110を区画するバッフル板114、116が設けられている。バッフル板114は、
図1中YZ平面上にあり、真空炉110の内周と断熱容器120の外周との間を閉塞する板である。バッフル板114を設けることにより、後述する冷却装置150によって送出された冷却媒体が、断熱容器120と扉112との間に形成された空間DSに回り込んでしまい、断熱容器120内に導入されることなく(被処理物Wを冷却することなく)冷却装置150に回収されることを防止する。バッフル板116は、
図2中、XY平面上にあり、真空炉110の内周と断熱容器120の外周との間を閉塞する板である。バッフル板116を設けることにより、冷却装置150によって送出された冷却媒体が、断熱容器120内に導入されることなく断熱容器120の側方を伝って冷却装置150に回収されることを防止する。
 
【0023】
  断熱容器120は、被処理物Wが収容される容器であり、真空炉110内に設けられ、グラファイトウールや、セラミックウール等のウール系の断熱材で構成される。断熱容器120において、被処理物Wに対し加熱処理および冷却処理が遂行される。また、
図2に示すように、断熱容器120の内部には、被処理物Wを載置するための載置台122が設けられており、この載置台122には、被処理物Wの融着を防止するためのセラミック棒材124が配置されている。なお、載置台122は、鉛直方向(
図1、
図2中Z軸方向)に気体(冷却媒体)が通過可能な構造(例えば、格子構造)となっている。
 
【0024】
  また、断熱容器120は、対向する2面(ここでは、鉛直方向(
図1、
図2中Z軸方向)に対向する2面、すなわち、天面と底面)それぞれに開口126(
図1、
図2中、126a、126bで示す)を有している。詳細は後述するが、この開口126から断熱容器120内に冷却媒体が導入されることで、断熱容器120に収容された被処理物Wに対して冷却処理が施される。
 
【0025】
  さらに、
図1に示すように、断熱容器120には、着脱自在な側壁128が設けられている。この側壁128は、真空炉110の扉112に接続されており、扉112を開放することによって、扉112とともに側壁128が外れ、断熱容器120内に被処理物Wを搬入したり、断熱容器120内から被処理物Wを搬出したりすることができる。
 
【0026】
  蓋部130(
図1、
図2中、130a、130bで示す)は、シリンダ機構132によって鉛直方向に移動して、断熱容器120に設けられた開口126を開放したり閉鎖したりする。
 
【0027】
  加熱部140は、被処理物Wを囲繞する格子形状の部材であり、断熱容器120内に設けられる。加熱部140は、蓋部130が開口126を閉鎖している間、断熱容器120内を例えば、1000℃以上に加熱することで、被処理物Wに対して加熱処理を施す。
 
【0028】
  冷却装置150は、不活性ガス供給装置によって真空炉110内に供給された冷却媒体を冷却する機能と、当該冷却媒体を送出したり、回収したりする機能を有する。ここで冷却媒体は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等、または、これらの混合ガスが挙げられる。具体的に説明すると、
図1に示すように、本実施形態において冷却装置150は、送風機152と、熱交換器154と、切換板156とを含んで構成される。
 
【0029】
  送風機152は、真空炉110内の冷却媒体を循環させるファン152aと、ファン152aを駆動させるファンモータ152bとを含んで構成される。送風機152は、
図1中X軸に平行な軸を回転軸として、ファン152aを回転させる。熱交換器154は、複数のフィンチューブを含んで構成され、ファン152aの鉛直上下方向に設けられている。熱交換器154を構成する複数のフィンチューブの間を冷却媒体が通過することによって、被処理物Wの冷却に伴って加温された冷却媒体が再度冷却される。
 
【0030】
  切換板156(
図1中、156a、156bで示す)は、シリンダ機構158(
図1中、158a、158bで示す)によって駆動され、冷却媒体の循環方向を変化させる。例えば、
図1に示すように、シリンダ機構158aにおいてシリンダロッドが伸長しているとき、切換板156aが回動して通路114aを開放し、シリンダ機構158bにおいてシリンダロッドが収縮しているとき切換板156bが回動して通路114bを閉鎖する。そうすると、送風機152から送出された冷却媒体は、熱交換器154で冷却された後、通路114aを通じて、断熱容器120の鉛直上方に導かれる。そして、断熱容器120の鉛直上方に導かれた冷却媒体は、後述する誘導板160によって断熱容器120内に誘導される。断熱容器120内において被処理物Wを冷却することで加温された冷却媒体は、開口126bを通じて断熱容器120から排出され送風機152に導かれる。つまり、開口126aが断熱容器120内への冷却媒体の流入口となり、開口126bが排出口となる。以下、開口126aが流入口となり、開口126bが排出口となる冷却媒体の流れを第1の循環方向と称することとする。
 
【0031】
  一方、シリンダ機構158aにおいてシリンダロッドが収縮しているとき、切換板156aが回動して通路114aを閉鎖し、シリンダ機構158bにおいてシリンダロッドが伸長しているとき、切換板156bが回動して通路114bを開放する。そうすると、送風機152から送出された冷却媒体は、熱交換器154で冷却された後、通路114bを通じて、断熱容器120の鉛直下方に導かれる。そして、断熱容器120の鉛直下方に導かれた冷却媒体は、誘導板160によって断熱容器120内に誘導される。断熱容器120内おいて被処理物Wを冷却することで加温された冷却媒体は、開口126aを通じて断熱容器120から排出され送風機152に導かれる。つまり、開口126bが断熱容器120内への冷却媒体の流入口となり、開口126aが排出口となる。以下、開口126bが流入口となり、開口126aが排出口となる冷却媒体の流れを第2の循環方向と称することとする。
 
【0032】
  このようにして、冷却装置150は、蓋部130が開口126を開放しているときに、送風機152と熱交換器154とを駆動させ、真空炉110内の冷却媒体を循環させて、被処理物Wに対して冷却処理を遂行する。
 
【0033】
  誘導板160(
図1中、160a〜160dで示す)は、断熱容器120の開口126a、126bが開放された状態にあるとき、冷却装置150によって送出された冷却媒体を断熱容器120内に誘導する機能を有する。本実施形態において、誘導板160a、160bは、第1の循環方向において、開口126aよりも上流側に設けられ、誘導板160c、160dは、第2の循環方向において、開口126bよりも上流側に設けられる。誘導板160による冷却媒体の断熱容器120内への誘導態様については、後で詳述する。
 
【0034】
  移動機構170は、開口126が開放された状態であるとき、蓋部130が鉛直上下方向に移動したときの軌跡に相当する蓋部130の移動空間134に誘導板160を挿入させるとともに、断熱容器120の開口126を閉鎖すべく蓋部130を移動させる前に蓋部130の移動空間134から誘導板160を退避させるように誘導板160を移動する。なお、移動機構170は、ユーザが手動で動かしてもよいし、モータやソレノイド等からなるアクチュエータで構成してもよい。移動機構170による誘導板160の移動態様については、後で詳述する。
 
【0035】
  続いて、本実施形態にかかる真空熱処理装置100を用いた被処理物Wの処理の流れについて説明する。
 
【0036】
(搬入処理)
  まず、真空炉110の扉112、断熱容器120の側壁128、開口126を開放し、断熱容器120内に被処理物Wを搬入する。そして、真空炉110の扉112および断熱容器120の側壁128を閉鎖する。
 
【0037】
(減圧処理および不活性ガス充填処理)
  続いて、不図示の真空ポンプによって真空炉110内を減圧して真空状態にする。ここで、断熱容器120の開口126は開放された状態であるため、断熱容器120内も真空状態となる。そして、不図示の不活性ガス供給装置によって、真空炉110内が所定の圧力になるように、真空炉110内に不活性ガスが供給される。
 
【0038】
  図3は、搬入処理、減圧処理、および不活性ガス充填処理が遂行されているときの真空熱処理装置100の上面図である。なお、説明の便宜上、
図3中、真空炉110の天面、および蓋部130aを省略する。
図3に示すように、搬入処理、減圧処理、および不活性ガス充填処理が遂行されている間、移動機構170は、蓋部130aの移動空間134から誘導板160a、160bを退避させるとともに、蓋部130bの移動空間134から誘導板160c、160dを退避させている。このように、後述する加熱処理に伴う蓋部130の移動前や冷却処理に伴う蓋部130の移動前に、蓋部130の移動空間134から誘導板160を退避させることで、蓋部130の移動時に、蓋部130と誘導板160とが衝突してしまう事態を回避することができる。
 
【0039】
(加熱処理)
  真空炉110内が不活性ガスで満たされると、シリンダ機構132は、蓋部130aを鉛直下方向に移動して開口126aを閉鎖し、蓋部130bを鉛直上方向に移動して開口126bを閉鎖する。そして、加熱部140は、被処理物Wを所定の時間、所定の温度に加熱する。こうして、被処理物Wに対して加熱処理が遂行される。
 
【0040】
(冷却処理)
  
図4は、冷却処理が遂行されるときの真空熱処理装置100を説明するための説明図であり、
図5は、冷却処理が遂行されるときの真空熱処理装置100の上面図である。なお、説明の便宜上、
図5中、真空炉110の天面、および蓋部130aを省略する。
 
【0041】
  加熱処理が完了すると、
図4に示すように、まず、シリンダ機構132は、蓋部130aを鉛直上方向に移動して開口126aを開放し、蓋部130bを鉛直下方向に移動して開口126bを開放する。そうすると、開口126を閉鎖していたときに蓋部130が占有していた空間(移動空間134)が空くことになる。そして、移動機構170は、
図5における矢印で示すように、鉛直方向(
図5中Z軸方向)を軸心とした回転軸で誘導板160を回転させることで、誘導板160を移動空間134に挿入させる。こうして、開口126aの鉛直上方、および開口126bの鉛直下方に誘導板160が位置することになる。そして、冷却装置150は、冷却媒体の送出を開始する。
 
【0042】
  図6は、誘導板160の形状を説明するための説明図である。
図6に示すように、誘導板160は、第1案内部162a、162bと、第2案内部164とを含んで構成される。開口126が開放されている状態において、第1案内部162aは、開口126が形成される面に平行な方向(
図6中、XY平面の方向)に流動する冷却媒体を衝突させて断熱容器120内に案内する。第1案内部162bは、第1案内部162aに衝突し鉛直上方に上昇した冷却媒体を衝突させて断熱容器120内に案内する。第2案内部164は、開口126の外側に逸れて流動する冷却媒体を衝突させて第1案内部162aに導く。
 
【0043】
  図7は、第1の循環方向における冷却媒体の流れを説明するための説明図である。
図7における矢印で示すように、冷却装置150から送出された冷却媒体は、鉛直上方に上昇し、真空炉110の天面と、開口126aとの間に流入する。ここで、流入した冷却媒体は、
図7中右から左に流動するため、誘導板160を配置せずに断熱容器120内に冷却媒体を導入しようとすると、断熱容器120内における
図7中右側の空間SRに向かう風量が、
図7中左側の空間SLに向かう風量よりも少なくなってしまい、断熱容器120内で冷却媒体の風量にばらつきが生じる。そうすると、被処理物Wを均一に冷却することができなくなってしまう。
 
【0044】
  そこで、冷却処理を遂行する間、移動機構170が開口126aに隣接した空間である移動空間134内に誘導板160a、160bを挿入させることで、断熱容器120内における空間SRに効率よく冷却媒体を導入することができる。このようにして、断熱容器120内に冷却媒体を満遍なく導入することができ、被処理物Wを均一に冷却することが可能となる。
 
【0045】
  そして、断熱容器120内へ導かれた冷却媒体は、被処理物Wを冷却することで加温され、開口126bを通じて排出される。そして、ファン152aによって吸気された後、熱交換器154によって冷却(熱交換)され、再び真空炉110内に送出される。
 
【0046】
  このようにして被処理物Wの冷却処理が完了すると、真空熱処理装置100の扉112および断熱容器120の側壁128が開放され、断熱容器120内に配置された被処理物Wが外部へ搬出される。
 
【0047】
  そして、移動機構170は、誘導板160を移動空間134外に退避させる。続いて、シリンダ機構132は、蓋部130aを鉛直上方向に移動して開口126aを開放し、蓋部130bを鉛直下方向に移動して開口126bを開放する。こうして、次回の搬入処理に備える。
 
【0048】
  以上説明したように、移動機構170は、誘導板160を利用する冷却処理を遂行する間、開口126に隣接した空間である移動空間134内に誘導板160を挿入させる。こうすることで、冷却媒体を満遍なく断熱容器120内に導入することができ、被処理物Wを均一に冷却することが可能となる。
 
【0049】
  また、移動機構170は、蓋部130の移動前に、誘導板160を移動空間134から退避させる。こうすることで、誘導板160が蓋部130の移動に干渉してしまう事態を回避するとともに、蓋部130の移動空間と、誘導板160の設置空間とを重複させることができる。したがって、本来デットスペースとなってしまう蓋部130の移動空間134を有効活用することができ、真空熱処理装置100自体の小型化を図ることが可能となる。
 
【0050】
(第2の実施形態)
  
図8は、第2の実施形態にかかる真空熱処理装置200を説明するための説明図であり、
図9は、真空熱処理装置200の上面図である。なお、説明の便宜上、
図9中、真空炉110の天面および蓋部130aを省略する。
図8に示すように、真空熱処理装置200は、真空炉110と、断熱容器120と、蓋部130と、加熱部140と、冷却装置150と、誘導板160と、移動機構170と、整流板210とを含んで構成される。なお、真空炉110、断熱容器120、蓋部130、加熱部140、冷却装置150、誘導板160、移動機構170は、上述した第1の実施形態と実質的に機能が等しいので、同一の符号を付して重複説明を省略し、第1の実施形態と構成の異なる整流板210について詳述する。
 
【0051】
  整流板210(
図8中、210a、210bで示す)は、冷却装置150における冷却媒体の流動方向における、断熱容器120の開口126よりも上流側に設けられる。ここで、整流板210aは、第1の循環方向において、断熱容器120の開口126aよりも上流側に設けられ、整流板210bは、第2の循環方向において断熱容器120の開口126bよりも上流側に設けられる。整流板210は、開口126が形成される面に平行な方向への冷却媒体の直接的な流動を遮蔽する、いわゆる邪魔板の機能を有する。ここでは、第1の循環方向における整流板210aについて詳述し、構成が実質的に等しい第2の循環方向における整流板210bについての説明を省略する。
 
【0052】
  図9に示すように、本実施形態において、整流板210aは、冷却媒体の流動方向の上流側に臨む面の中央部に突端212を有している。また、整流板210aにおける、冷却媒体の流動方向と直交する方向の断面積(
図9中、YZ面の断面積が、突端212から、冷却媒体の流動方向の上流から下流に向かうにしたがって漸増するように形成されている。
 
【0053】
  冷却装置150から送出された冷却媒体は、鉛直上方に上昇し、真空炉110の天面と、開口126aとの間に流入する。そして、
図9における矢印で示すように、冷却媒体は、整流板210aに衝突し、突端212を境界にして開口126aの両側方向に分散する。このように、整流板210aを設けて、冷却装置150から送出された冷却媒体を一旦整流板210aに衝突させることで、冷却媒体の流速を緩やかにすることができ、冷却媒体が開口126a上を通過してしまい断熱容器120外に流動してしまう事態を回避することが可能となる。
 
【0054】
  また、本実施形態において整流板210aは、冷却媒体の流動方向の下流側に臨む面の中央部にも突端214を有しており、整流板210aにおける、冷却媒体の流動方向と直交する方向の断面積(
図9中、YZ面の断面積)が、突端214から、冷却媒体の流動方向の下流から上流に向かうにしたがって漸増するように形成されている。つまり、整流板210aの水平断面は、菱形形状に形成されている。
 
【0055】
  整流板210aをこのように構成することにより、突端212を頂点として形成される傾斜面が冷却媒体を断熱容器120内に導入する際に流速を緩やかにすることができ、突端214を頂点として形成される傾斜面が断熱容器120から冷却媒体を排出する際に流速を緩やかにすることができる。
 
【0056】
  なお、本実施形態において、整流板210aに形成される傾斜面が、平面である場合を例に挙げて説明したが、少なくとも、整流板210aにおける、冷却媒体の流動方向と直交する方向の断面積が、突端212から、冷却媒体の流動方向の上流から下流に向かうにしたがって漸増していればよく、例えば、傾斜面が湾曲していてもよい。
 
【0057】
  以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
 
【0058】
  例えば、上述した実施形態において、断熱容器120の開口が、断熱容器120の天面と、底面に設けられる場合を例に挙げて説明したが、断熱容器の対向する2つの側面それぞれに開口を設けてもよい。この場合、冷却媒体は水平方向に導入される。また、この場合、移動機構170は、断熱容器の開口が互いに対向する方向と平行な軸を軸心とした回転軸で誘導板160を回転させる。また、開口は必ずしも対向している必要はなく、断熱容器に少なくとも2つの開口が設けられていればよい。例えば、断熱容器の天面と側面に開口が設けられていてもよい。
 
【0059】
  また、上述した実施形態において、蓋部130が、開口126が形成される面に直交する方向に移動する場合を例に挙げて説明したが、蓋部が開口に対して水平方向にスライドしたり、開口の一旦を回転軸として回動したりしてもよい。
 
【0060】
  さらに、上述した実施形態において、冷却装置150は切換板156を駆動させることにより、冷却媒体の循環方向を第1の循環方向と第2の循環方向とに切り換えるため、誘導板160を2つの開口126a、126bそれぞれに対応する位置に設けている。しかし、冷却装置が1の循環方向のみで冷却媒体を循環させる場合、断熱容器120における冷却媒体の流入口となる開口に対応する位置にのみ誘導板160を設ければよい。また、この場合、整流板210も流入口となる開口の上流側にのみ設ければよい。