(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のプロセスにおいて、1つまたはそれ以上のシーメンス反応器からのベントガス流を分離して、前記シーメンス反応器から出た後であり、かつ前記流動床反応器に入る前に、前記析出ガスの少なくとも一部および前記エッチングガスの少なくとも一部を形成するプロセス。
請求項2または3に記載のプロセスにおいて、さらに、前記1個またはそれ以上のシーメンス反応器により生成されるシリコンを、集積回路、太陽電池またはその両方のために用いる工程を有するプロセス。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第120条に基づき、2008年11月5日に出願した米国特許出願第12/265,038号の恩典を主張する。米国特許出願第12/265,038号は参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし
【0003】
シリコンは、シーメンス法と称されるプロセスによってロッド状に形成できることが知られている。水素とシラン(SiH
4)とを含む混合物、または水素とトリクロロシラン(HSiCl
3)とを含む混合物を、種ロッドを容れた分解反応器に供給し、これら種ロッドは1000℃を超える温度に維持する。シリコンが種ロッド上に析出し、また副生成ガス混合物をベント(vent)流として排出する。水素およびトリクロロシランを含む混合物を使用する場合、ベント流には、水素、塩化水素、クロロシラン、シランおよびシリコン粉末が含まれ得る。本願明細書において、用語「クロロシラン」とは、シリコン(ケイ素)に結合する1つ以上の塩素原子を有する任意のシラン種を意味し、モノクロロシラン(H
3SiCl)、ジクロロシラン(H
2SiCl
2)、トリクロロシラン(HSiCl
3)、テトラクロロシラン(SiCl
4)、および種々の塩素化ジシラン、例えばヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシランが挙げられるが、これらに限定しない。本願明細書において、用語「シリコンモノマー」とは、分子中に1個のケイ素原子を有する任意のシラン種(例えば、シランまたはHSiCl
3、またはHSiCl
3とSiCl
4の組合せ)を意味する。ベント流中、水素と、SiCl
4およびHSiCl
3などのクロロシランとは、未反応の供給ガスおよび分解による反応生成物の両方に由来して存在しうる。ベント流は、複雑な回収プロセスを経る。その複雑な回収プロセスにおいて、凝縮、洗浄、吸収および吸着は、再利用に向けた供給材料であるHSiCl
3および水素の捕集を容易にするのによく用いられる一式(単位)操作である。シーメンス法に関連する1つの課題は、この反応プロセスを制御する化学平衡および反応速度論に起因し、供給するシリコンに対して多結晶シリコン生成物を高い収率で得ることが困難なことである。
【化1】
ほとんどの場合、多結晶シリコンの最大理論収率の50%以下しか達成されない。さらに、シーメンス法ではこの比較的低い収率を達成するのに比較的高いエネルギーを投入する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるシリコンの製造プロセスは、
1)水素およびシリコンモノマーを含む析出ガスを流動床反応器(FBR)の内部領域に供給する工程と、この供給と同時に
2)エッチングガスをこのFBRの周辺領域に供給する工程と
を有し、
この周辺領域はFBRの内部領域と壁との間における領域である。
工程1)において、シリコンモノマーは、シラン(SiH
4)およびトリクロロシラン(HSiCl
3)から選択することができる。析出ガスおよびエッチングガスをFBRの加熱ゾーンに導入する。工程1)におけるシリコンモノマーの量は、FBRの加熱
ゾーンの上方に位置する反応ゾーンにおいて、流動シリコン粒子上にシリコンを析出させるのに十分な量とする。工程2)におけるエッチングガスの量は、FBRの壁からシリコンをエッチングするのに十分な量とする。エッチングガスは、ほぼSiCl
4からなるものとすることができる。
【0010】
このプロセスの工程2)において、ほぼSiCl
4からなるエッチングガスをFBRの壁近傍でFBR内に供給する。エッチングガスは、分配器の周辺領域からFBRの底部または底部近傍に供給することができ、これにより、壁におけるシリコン析出を最小限にするまたは防止することができる。分配器の周辺領域は、FBRの内部領域と壁との間である。代案として、エッチングガスをFBRの壁近傍に直接供給してもよく、これにより、壁におけるシリコン析出を最小限にする、または防止することができる。本願明細書において、表現「ほぼSiCl
4からなる」は、(段落[0003]で説明した)反応を局所的にエッチングモードにするのに十分な量のSiCl
4をエッチングガスが含むことを意味する。水素およびシリコンモノマーを含む析出ガスをFBRの内部領域に供給する。析出ガスは、随意に分配器から供給することができる。FBRはシーメンス反応器と統合し、これにより、FBRに流入するエッチングガスおよび/または析出ガスは、シーメンス反応器からのベントガスから派生するものとすることができる。
【0011】
エッチングガスの正確な量および供給速度は、種々の要因に依存し、この要因としては、ノズルの数および形態、FBRの形態(例えば、直径および高さ)、ならびにFBRを操作するプロセス条件(例えば、温度および圧力)がある。当業者であればFBRの形態および用いるプロセス条件に基づいて、エッチングガスの量および供給速度を算出することができるであろう。例えば、
図1に示し、以下で説明するプロセスにおける温度および圧力では、エッチングガスの量は、局所的に水素およびシリコンが存在する中で少なくとも6mol%のSiCl
4を供給するのに十分なものとすることができる。これにより、段落[0003]に示した反応において、FBRの壁近傍でHClを生成するようにすることができ、その結果、FBR上へのシリコンの析出を最小限にするまたは防止することができ、しかもガス供給全体(析出ガスおよびエッチングガスを組み合せたもの)の組成物を実質的に希釈する必要もない。壁近傍に必要とするSiCl
4量の正確なレベルは、析出ガス中の反応性シリコン前駆体(シリコンモノマー)の濃度、および、FBR中の種粒子上にシリコンを形成するための析出ガスの熱力学的ポテンシャルに依存する。SiCl
4の量は、FBRの壁一面を覆うSiCl
4のブランケットを生ずるのに十分な量、すなわち、SiCl
4の量は、FBRの壁から内側に12mm、あるいはFRBの壁から内側に10mmの位置にエッチング条件を作り出すのに十分とする。理論に拘泥するものではないが、ブランケットはさらに内側に延びて存在することは付加的な利益はなく、FBRの能力を減少させてしまう可能性があり、逆にブランケットがこれより少ないとFBRの壁にシリコンが析出してしまうものと考えられる。
【0012】
当業者であれば、流動化(流動化速度)を達成するための目標総ガス供給(析出ガスおよびエッチングガスを組み合せた)の流量を計算することができ、この流動化速度を用いて、(内部)供給ガスノズルに供給される析出ガスの量、および、周辺領域における、10mm〜12mm内側および若干距離上方にわたるブランケットとして供給するSiCl
4の量を計算することができる。この上方にわたる距離は、特にFBRの壁に対してシリコン析出を生ずる場所に依存する。6mol%は、この反応のエッチングから析出条件への平衡ラインに基づく。SiCl
4の量が6mol%以下であると、水素がシリコンを析出させるSiCl
4を減少させる。しかしながら、SiCl
4の量が6%を超えると、FBRが大気圧以上の圧力条件で作動している場合、この反応はシリコンをエッチングする方向に進む。(これによりFBRの壁からシリコンを除去することができる。)この場合、SiCl
4は水素化されてHSiCl
3を形成し、またHClは壁近傍のシリコンと反応することで順次消費され、さらなるクロロシランを形成する。しかしながら、6mol%という値は他のプロセス条件、例えば温度および圧力に拠って変化することを当業者であれば認識するであろう。例えば、L.P.ハント氏(L. P. Hunt)およびE.サートル氏(E. Sirtl)著の"A Thorough Thermodynamic Evaluation of the Silicon-Hydrogen-Chlorine System", J. Electrochem. Soc., Vol 199, Issue 12, pp.1741-1745(1972年12月発行)を参照されたい。これらの成分の相対的な量、および温度は、平衡ラインがどこになるかを決める。供給されるSiCl
4の量は、FBRの壁におけるエッチング条件、およびFBR内できる限り多くの部分において析出する析出条件を作り出すに十分な量とする。FBRに供給される析出ガスは、FBR(内部領域)の内部における析出モードに関して、1molのシリコンあたり3.0〜3.3molのClを供給するのに十分な成分を含むものとすることができる。壁において、FBRに供給されるエッチングガスは、反応をエッチングモードに関して、1molのシリコンあたり3.8〜4.0molのClを供給するのに十分な成分を含むものとすることができ、また、6mol%のクロロシランにおける総クロロシラン中の水素に対して最小限の濃度とすることができる。壁または壁近傍に供給されるエッチングガスは、壁において純粋なSiCl
4であり、または、他のガス(例えば、窒素またはアルゴンなどの希釈ガス)と混合したSiCl
4とすることができ、ただしこれは、Cl,SiおよびHの総モル数がここで説明した基準を満たしている場合である。
【0013】
図1は、典型的なプロセスフロー図である。シーメンス供給ガス流101を、細いロッドを容れたシーメンス反応器102に供給する。シーメンス供給ガス流101は、HSiCl
3および水素を含む。細いロッドは2つの多結晶シリコン種ロッドで形成し、これらを多結晶シリコンブリッジで互いに連結する。シーメンス供給ガス流101から細いロッド上に多結晶シリコンが析出し、U字形状ロッド103の形で多結晶シリコン生成物を生成する。ロッド103は、バッチの最後でシーメンス反応器102から取り出す。シーメンス反応器102からのベントガス流104には、HSiCl
3、SiCl
4、水素、HClおよびシリコン粉末が含まれうる。理論に拘泥しないが、シーメンス反応器の壁はFBRの壁よりも意図的に冷たくなり、それは、シーメンス反応器の壁が、流体(空気、水または他の熱伝導媒体)の強制対流により冷却されるからであり、このことが、なぜシーメンス反応器では壁に対するシリコン析出の問題が生ずることがないのに、FBRでは生じるのかの原因と考えられる。
【0014】
シーメンス反応器102からのベントガス流104は、例えば、塵埃除去装置106にベントガス流104を供給することにより処理され、配水などの流体によって冷却され、これによりライン108から微細なシリコン粉末を除去する。塵埃除去装置106は、焼結金属ブローバックフィルタ、接触型凝縮器またはこれらの組合せを含んでよく、例えば、ベントガス流104ラインにおいて接触型凝縮器(図示せず)の上流または下流に配置した焼結金属ブローバックフィルタとすることができる。
【0015】
結果的に生じる処理されたベントガス流110は、HSiCl
3およびSiCl
4を含み、その後蒸留塔115において分離され、HSiCl
3を含む反応物の流れ112およびほぼSiCl
4からなるエッチングガス流114を形成する。例えば、蒸発器116を用いて反応物の流れ112を加熱することができる。接触型濃縮器および/または塵埃除去装置106からのオーバーヘッド蒸気118は、水素および非濃縮のクロロシランを含む。オーバーヘッド蒸気118および反応物の流れ112は、随意に、この反応物の流れ112がFBR105に供給される前に、再結合することができる。この反応物の流れ112には、随意に、補充流119において、追加供給ガス、追加ガスを、またはその両方を補充することができる。結果的に生じる析出ガス流113(水素およびHSiCl
3を含む)は、随意にヒータ(図示せず)で加熱し、またFBR105中の分配器117の内部領域に供給することができ、この分配器117は、例えばノズルを有する分配プレートとする。エッチングガス114は、蒸発器120により加熱することができ、また分配器117の周辺領域に供給する。
【0016】
多結晶シリコンは、析出ガス流113からシリコン種粒子上に析出する。ビーズ型の多結晶シリコン生成物は、FBR105から生成物の流れ122として取り出す。第2のベントガス流124は、水素、HCl、ならびに、HSiCl
3およびSiCl
4などのクロロシランを含み、FBR105から取り出して、回収システム126に送給する。水素は回収し、ライン128によりシーメンス反応器102またはFBR105のいずれかに送給する。クロロシランはライン130により回収し、リサイクルするまたは販売することができる。HClはライン128により回収し、また販売することができる。SiCl
4はFBR105へとリサイクルすることができる。代案として、SiCl
4は、水素化または別の方法でHSiCl
3に変換し、結果的に生じたHSiCl
3をシーメンス反応器102でリサイクルすることができる。
【0017】
図2は、
図1のFBR105に用いる典型的な分配器プレート117の頂面図を示す。分配器プレート117は、内部領域に中央ノズル
204を有し、FBR105に析出ガス流113を導入し、また、複数の周辺ノズル
202を有し、FBR105の周辺領域にエッチングガス流114を導入する。当業者であれば、
図2のノズルの形態は例示的なものであり、これに限定されないことを認識するであろう。例えば、内部領域ノズル
204は分配器117の中央にあっても、中央になくてもよく、1つ以上の内部領域ノズル
204があってもよい。内部領域ノズル
204は、分配器プレート117またはその上方にクロロシランおよび水素を注入することができる。周辺領域ノズル
202は、内部領域ノズル
204に対してより近くても、より遠くにあってもよい。より多くの、またはより少ない数の周辺領域ノズル
202を用いてもよい。あるいは、
図3において以下で示すように、分配器プレートを設けずに、析出ガス流およびエッチングガス流を異なるポートからFBR105に導入することによっても、同じ効果を得ることができる。
【0018】
当業者であれば、
図1に示すプロセスも例示的なものであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではないことを認識するであろう。例えば、代替案として、シーメンス反応器102からのベントガス流104を、中間処理工程なしで直接析出ガス流113としてFBR105に供給することができる(つまり、シーメンス反応器102とFBR105との間に一式操作がなにもない)。この例では、分配器プレート117の周辺領域ノズル
202に供給されるエッチングガスは、例えば回収システム126を含むソースなどの他のソースから得ることになるであろう。
【0019】
図3は、他の実施形態で用いるのに適したFBRの底部300の断面を示す。FBRの底部300にはシリコン粒子301が含まれ、この粒子は十分に大きくなると、生成物引出しチューブ302から排出される。HSiCl
3および水素を含む析出ガスは、1つ以上の注入ノズル303,304から供給し、これらノズルは、生成物引出しチューブ302の上方に位置する円錐グリッドに指向させる。理論に拘泥しないが、グリッドの円錐傾斜によってシリコン粒子301の排出が容易になる一方、供給ガス(析出ガスおよびエッチングガス)の注入ノズル303を水平に指向させることで、供給ガスプレナムへのシリコン粒子301のにじみを低減することができると考えられる。円錐グリッドの角度は、水平に対して60°以下、あるいは水平に対して20〜60°の範囲の角度とすることができる。
【0020】
注入ノズル303は、水平オリフィス306を有する。すなわち、これらオリフィスはFBRの壁305に対して水平方向に指向する。
図3の左側および右側に水平オリフィス306の典型的な実施形態を2つ示すが、当業者であれば、これらの実施形態は例示的なものであり、これに限定するものではないことを認識するであろう。例えば、水平オリフィス306は、FBRの壁305に水平に貫通させた孔(左側の306)とする、または水平オリフィス(右側の306)をFBRに突入するノズル304の端部とすることができる。ほぼSiCl
4からなるエッチングガスは、周辺ノズル304から供給する。
【0021】
シーメンス反応器
このプロセスで用いるシーメンス反応器は、普通のシーメンス反応器、例えば米国特許第2,999,735号、同第3,011,877号、同第3,862,020号、または同第3,961,003号に開示されているシーメンス反応器とすることができる。例えば、シーメンス反応器の操作は、以下のとおりに実施できる。多結晶シリコン種ロッドをシーメンス反応器内に直立させ、かつ互いに平行となるように配置する。これら種ロッドを2個以上互いにブリッジにより連結することで、U字状ロッドを形成できる。700℃〜1400℃、あるいは1000℃〜1200℃、あるいは1100℃〜1150℃の範囲の温度に達するまで、U字状ロッドを加熱する。シーメンス反応器は、13kPa(2psig)〜3450kPa(500psig)、あるいは6kPa(1psig)〜1380kPa(200psig)、さらにあるいは100kPa(1bar)〜690kPa(100psig)の範囲における圧力下で動作させることができる。
【0022】
シーメンス供給ガスは、底面の流入口からシーメンス反応器に供給する。シーメンス供給ガスは、水素およびHSiCl
3を含むものとすることができる。シーメンス供給ガスは、随意にSiCl
4をさらに含んでよい。供給ガスによりU字状ロッド上にシリコンが析出し、それによりU字状ロッドの直径が増大する。シーメンス供給ガス流は、5%〜75%のHSiCl
3を含むものとすることができる。シーメンス供給ガスは、水素1モル当たり0.015モル〜0.3モルのHSiCl
3を含むものとすることができる。あるいは、シーメンス供給ガスは、水素1モル当たり0.03モル〜0.15モルのHSiCl
3を含んでもよい。理論に拘泥しないが、シーメンス供給ガスに含まれるシリコンの総量に対して、20%〜50%あるいは20%〜40%の範囲における量の多結晶シリコン生成物が、シーメンス反応器から得られると考えられる。
【0023】
流動床反応器
本発明に用いるFBRは、普通のFBR、例えば米国特許第5,077,028号に開示されているFBRとすることができる。例えば、FBRの操作は以下のとおりに実施できる。シリコンの種粒子をFBR内に配置し、流動化させる。種粒子の供給源は当該技術分野において既知である。例えば、種粒子は、顆粒状の多結晶シリコンの機械的摩耗によって、または、シーメンス反応器内で生成された多結晶シリコンを粉砕することによって、得ることができる。床を流動化するのに用いるガス(流動化ガス)は、水素、アルゴン、ヘリウム、窒素、またはこれらの組合せなどの希釈ガスを含むものとすることができる。あるいは、流動化ガスおよび/または反応性ガス(これらは析出ガス流113を構成する)は、シーメンス反応器からのベントガス流から生じるものであってよく、例えば、析出ガス流は、シーメンス反応器からのベントガス流の全部または一部分を含むものとすることができる。あるいは、流動化ガスは、希釈ガスと、シーメンス反応器からのベントガス流の全部または一部分との組合せを含んでもよい。シリコンは種粒子の表面上に析出して、種粒子の直径を増大させる。得られるビーズ状の生成物を流動床から取り出し、より多くの種粒子を導入してもよい。
【0024】
エッチングガスは、FBRの壁近傍に導入する。エッチングガスはほぼSiCl
4からなる。エッチングガスは、随意にさらに、希釈ガス(例えば、水素もしくはアルゴン)、または上記段落[0003]に記載の反応の平衡を析出モードにシフトさせない任意の他のガス含むものとすることができる。理論に拘泥しないが、エッチングガスによりFBRの壁近傍の反応が析出モードよりもエッチングモードになるものと考えられる。局所的なエッチングモードにより、FBRの壁に対するシリコン析出を防止および/または排除することができる。
【0025】
FBR内部の温度は900℃〜1410℃、あるいは1100℃〜1300℃、さらにあるいは1100℃〜1250℃の範囲とすることができる。FBR内部の圧力は、少なくとも2気圧、あるいは5気圧〜15気圧、さらにあるいは5〜8気圧とすることができる。当業者であれば、上限は例示的なものであり、化学的に限定されるものではないが、15気圧を超える圧力で動作するFBRを構築するのは実用的ではないことを認識するであろう。
【0026】
ベントガス流をシーメンス反応器からFBR内に直接供給すれば、FBRに対する熱供給が少なくて済むため、エネルギー節減の利点を得ることができる。あるいは、シーメンス反応器からのベントガス流に追加のHSiCl
3を随意に補充してもよい。FBRへの供給流中のクロロシランの濃度は、20mol%〜50mol%、あるいは25mol%〜35mol%の範囲とすることができる。理論に拘泥しないが、クロロシランの濃度が50%より高い場合には、過剰量の微細粉末が形成される可能性があると考えられる。流動化されたシリコン粒子の平均直径は、0.5mm〜4mm、あるいは0.6mm〜1.6mmの範囲となりうる。流動化した粒子による流動床におけるガスの滞留時間は、0.5秒〜4秒、あるいは0.5秒〜2秒の範囲となりうる。
【0027】
最小流動化速度および設計動作速度は、種々の要因に基づいて当業者が決定することができる。最小流動化速度は、重力加速度、流体密度、流体粘度、固相密度および固体粒子径を含む要因の影響を受けることがある。動作速度は、熱伝導特性および反応速度特性を含む要因、例えば流動床の高さ、総表面積、供給ガス流中のシリコン前駆体の流量、圧力、ガスおよび固相の温度、化学種の濃度、ならびに熱力学的平衡点の影響を受けることがある。
【0028】
上記のシリコン粒子サイズのレジューム(現象領域)として、流動床は、ゲルダート群Bの領域に納まり、そのなかの最も大きい粒子はゲルダート群Dに納まる。ゲルダート群Bの粒子による流動床は、比較的大きな泡を形成する傾向が特徴的であり、これら泡は、注入ポイントから上昇するにつれて成長する。これら泡が大きくなると、流動床のエマルション相において固相の局所的な再循環を生ずる。この作用は流動床の内部の中心で起こる傾向があり、そのためエマルション相の混合を誘発する。しかしながら、流動床の周辺近傍では、泡の上昇があまり起こらず、壁が邪魔になり、泡によって誘発される固相の動きが、中心近傍で起きるよりも優勢的ではない。この特徴により、本発明者らは、流動床の自然な透過性を利用して、壁近傍におけるSiCl
4の注入により、壁の周辺で優先的に上昇する傾向となり、これにより、粒子によるブランケットをゾーン形成し、また壁を反応性がより少ない供給組成物で覆うことができるようになる。
【0029】
シーメンス反応器がバッチプロセスで動作し、FBRが連続プロセスで動作することを、当業者は認識している。さらに、シーメンス反応器を出るベントガス流組成物は、バッチの過程で変化しうる。したがって、複数(2つ以上)のシーメンス反応器からのベントガスを組み合せて、析出ガスとしてFBRに直接的にまたは間接的に供給されるベントガス流を形成するか、または、例えばFBRへ供給される析出ガス流の変動が最小となるように、FBRへ供給される析出ガス流に追加のHSiCl
3、SiCl
4、水素またはこれらの組合せを補充してもよいことを、当業者は認識するであろう。さらに、並列に構成される1つ以上の流動床反応器に、シーメンス反応器からのベントガス流を供給してもよい。理論に拘泥しないが、析出ガス流にHSiCl
3を含むクロロシランを補充することにより、シリコンの生産率を増大させることができると考えられる。理論に拘泥しないが、(例えば
図1に示すような、析出ガス流113、エッチングガス流114、またはその両方のような)FBRへの供給ガス流にSiCl
4を補充することにより、FBRの壁、加熱器の壁および供給分配器117上に望ましくない析出を防ぐことができると考えられる。
【0030】
理論に拘泥しないが、FBRでは、理論最大値の90%〜50%、または40%の収率差がある析出となり得る。理論に拘泥しないが、本プロセスの別の利点は、部分的に変換されたシーメンス反応器からの供給ガスが組成物を含み、この組成物は、大気圧下で1250℃未満の温度ではシリコンを析出させることができないものであると考えられる。このような詳細な点により、ホットウォール反応器、抵抗加熱供給管、またはFBRプロセスに通常用いられるものよりも効率的な他の手段による加熱システムの設計が可能となる。
【0031】
本願において、範囲の開示は、範囲自体およびそれに包括される全てをも含み、端点も同様に含む。例えば、700〜1400の範囲の開示は、700〜1400の範囲だけでなく、700、850、1000および1400を個別に、範囲内に包括される任意の他の数値も同様に含む。さらに、例えば700〜1400の範囲の開示は、部分範囲、例えば1000〜1400および1000〜1100、範囲内に包括される任意の他の部分範囲を同様に含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、群全体、任意の個別の構成物およびそれに包括される部分群をも含む。例えば、水素、HSiCl
3、SiCl
4および塩化水素といったマーカッシュ群の開示は、構成物である水素を別個に含んだり;HSiCl
3およびSiCl
4の部分群を含んだり;ならびにそれに包括される任意の他の個別な構成物および部分群を含む。本願明細書において、「a」、「an」および「the」の冠詞は、それぞれ1つ以上である場合も意味しうる。
【0032】
回収システム
FBRからのベントガス流は、任意の普通の手段によって回収できる。FBRからのベントガス流は、普通の装置を用いて冷却してもよい。微細なシリコン粉末は、接触型コンデンサ、焼結金属ブローバック濾過アセンブリ、またはサイクロンとフィルタアセンブリとの組合せなど普通の装置を用いて取り出すことができる。
【0033】
あるいは、FBRからのベントガス流を接触型コンデンサに供給して、液体クロロシランにおける固形物を破砕した後、この微細シリコン粉末を例えばスプレー乾燥機内で乾燥してもよい。得られるシリコン粉末は中和し、販売することができる。あるいは、微細シリコン粉末およびクロロシランを回収し、シーメンス反応器への供給流として用いるためのクロロシランに変換してもよい。当業者は、必要以上の実験を伴うことなく、好適な回収システムを選択することができる。