(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板上に配置された半導体チップの各電極と、前記基板に対して設けられた接続先の各電極とを所定の接続関係に基づいて電気的に接続する接続配線パターンを示す配線データの生成装置であって、
前記基板上での所定の基準位置および所定の基準姿勢に対する前記半導体チップの配置誤差を取得する誤差取得部と、
前記基板上で前記半導体チップを包囲する当該半導体チップよりも広い包囲領域を示す包囲領域情報を取得する領域情報取得部と、
前記配置誤差が無い前記半導体チップである基準チップに対して設定された不良配線の無い前記接続配線パターンを示す基準配線パターンのうち前記基準チップの各電極から前記基準チップの外周縁までの配線パターンである基準ファンアウト配線に基づいて前記接続配線パターンのうち前記包囲領域に対応する部分の包囲領域配線パターンを示す包囲領域配線データを生成する配線データ生成部と、
を備え、
前記配線データ生成部は、
前記基準チップに対する前記基準ファンアウト配線の位置および姿勢と、前記基板上の前記半導体チップに対する当該半導体チップのファンアウト配線の位置および姿勢とが前記配置誤差に拘らず同じになるように、前記包囲領域配線データを生成し、かつ、
前記包囲領域配線パターンと前記包囲領域の外周縁との各交点の位置に基づいて、前記接続配線パターンのうち前記包囲領域配線パターン以外の他の配線パターンを示す他領域配線データをさらに生成する配線データの生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものであり、例えば、各図面における表示物のサイズおよび位置関係等は必ずしも正確に図示されたものではない。
【0024】
<実施形態1>
<A−1.描画装置の構成>
図1は、実施形態1に係る描画装置の一例として描画装置100Aの構成例を示す側面図であり、
図2は、
図1の描画装置100Aの構成例を示す側面図である。なお、
図1、
図2は、後述する実施形態2に係る描画装置の一例として描画装置100Bの構成例を示す正面図と側面図とをそれぞれ示す図でもある。描画装置100Aと描画装置100Bとの構成の差異は、描画装置100Aが制御部70Aを備えるのに対して、描画装置100Bは制御部70Bを備えることである。
【0025】
また、
図1、
図2には、描画装置100Aの外部装置である配線システム150が示されている。配線システム150は、描画装置100Aの制御部70Aと通信回線によって接続されており、制御部70Aとの間で各種データの授受が可能に構成されている。先ず、描画装置100Aについて以下に説明する。
【0026】
描画装置100Aは、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光ビームを照射してパターンを描画する直接描画装置である。更に具体的には、マルチチップモジュールの製造工程において、露光対象基板として支持基板(以下、単に「基板」という。)Wの上面に形成されたレジストに、配線パターンを描画するための装置である。
図1および
図2に示したように、描画装置100Aは、主として、基板Wを保持するステージ10と、ステージ10を移動させるステージ移動機構20と、ステージ10の位置に対応した位置パラメータを計測する位置パラメータ計測機構30と、基板Wの上面にパルス光を照射する光学ヘッド部50と、アライメントカメラ60と、制御部70Aとを備えている。
【0027】
そして、この描画装置100Aでは、本体フレーム101に対してカバー102が取り付けられて形成される本体内部に装置各部が配置されて本体部が構成されるとともに、本体部の外側(本実施形態では、
図1に示すように本体部の右手側)に基板収納カセット110が配置されている。この基板収納カセット110には、露光処理を受けるべき未処理の基板Wが収納されており、本体内部に配置される搬送ロボット120によって本体部にローディングされる。また、未処理の基板Wに対して露光処理(パターン描画処理)が施された後、当該基板Wが搬送ロボット120によって本体部からアンローディングされて基板収納カセット110に戻される。
【0028】
この本体部では、
図1および
図2に示すように、カバー102に囲まれた本体内部の右手端部に搬送ロボット120が配置されている。また、この搬送ロボット120の左手側には基台130が配置されている。この基台130の一方端側領域(
図1および
図2の右手側領域)が、搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域となっているのに対し、他方端側領域(
図1および
図2の左手側領域)が基板Wへのパターン描画を行うパターン描画領域となっている。
【0029】
この基台130上では、パターン描画領域にヘッド支持部140が設けられている。ヘッド支持部140は、基台130から上方に立設された2本の脚部材141と2本の脚部材142とを備えている。また、ヘッド支持部140は、2本の脚部材141の頂部の間と、2本の脚部材142の頂部の間とのそれぞれを橋渡しするように設けられた梁部材143および144をも備えている。そして、梁部材143のパターン描画領域側にアライメントカメラ(撮影部)60が固定されている。アライメントカメラ60は、ステージ10に保持されてパターン描画領域に搬送された基板Wの撮影を行い、モニター画像42(
図3)を生成する。基板W上には半導体チップが配置されているため、アライメントカメラ60は、当該半導体チップも撮影する。
【0030】
図4は、基板Wの表面上に配置された半導体チップの一例を示す図である。基板Wには、複数の半導体チップが配置されている。各半導体チップには、複数の電極が設けられており、
図4では、基板Wの表面のうち1対の半導体チップ610および630が配置されている部分が表示されている。半導体チップ(「基準チップ」)620は、半導体チップ630が所定の基準位置に所定の基準姿勢で配置された状態を示している。
図4に示されるように、半導体チップ630の位置および姿勢は、基準位置および基準姿勢に対して配置誤差を有している。一方、基準チップ620は、所定の基準位置に所定の基準姿勢で配置されている。従って、基準チップ620には、配置誤差が無い。半導体チップ630の電極680が設けられている面には、半導体チップ630の位置および姿勢を検出するためのアライメントマークが設けられている。なお、基板Wの上面には、半導体チップ610および630が配置されている状態で、これらの半導体チップを覆うようにレジスト(感光材料)の層が予め形成されている。
【0031】
基板Wの上面(主面、被描画面、被露光面とも称される)の面上には、基板Wの位置および姿勢の検出に用いられる図示省略のアライメントマークが形成されている。また、基板Wの上面に配置された半導体チップ630には、半導体チップ630の位置および姿勢の検出に用いられる図示省略のアライメントマークが形成されている。
【0032】
半導体チップ610には、複数の電極660が設けられ、半導体チップ630には、BGAの電極を構成する複数の電極680が設けられている。
図4では、半導体チップ610と半導体チップ630との間にわたる電極間の接続関係がラッツネスト(Rat’s Nest)270によって表示されている。このラッツネストは、所定の電気的な接続関係を示すネットリストに規定された電極間の接続関係を図示したものである。ラッツネストで互いに接続された電極同士が電気的に接続される。半導体チップ630には配置誤差があるため、配線システム150が基板Wの配線の設計情報に基づいて生成した基準配線データ310に従って露光処理等がなされた場合には、断線や配線漏れなどの不良配線が生ずる。そこで、描画装置100Aの配線データ生成装置1Aは、ネットリストにより接続関係を規定された電極同士を半導体チップの実際の位置および姿勢に応じた配線パターンで接続する接続配線パターンを求めて、当該接続配線パターン示す配線データを生成する。そして、描画装置100Aは、当該配線データに基づいた露光処理を行う。
【0033】
本願の説明においては、以下に、基板Wに配置された各半導体間で電極を接続する配線パターンのうち半導体チップ610と半導体チップ630との間で電極を接続する配線パターンを示す配線データの生成について説明を行う。他の配線パターンを示す配線データの生成も半導体チップ610と半導体チップ630との間での配線データの生成と同様に行われ得る。
【0034】
図1、
図2に戻って、ステージ10は、基台130上でステージ移動機構20によりX方向、Y方向ならびにθ方向に移動される。すなわち、ステージ移動機構20は、ステージ10を水平面内で2次元的に移動させて位置決めするとともに、θ軸(鉛直軸)回りに回転させて後述する光学ヘッド部50に対する相対角度を調整して位置決めする。これにより、ステージ10は、光学ヘッド部50に対して相対移動する。
【0035】
また、このように構成されたヘッド支持部140に対して光学ヘッド部50が上下方向に移動自在に取り付けられている。このようにヘッド支持部140に対し、アライメントカメラ60と光学ヘッド部50とが取り付けられており、XY平面内での両者の位置関係は固定化されている。また、この光学ヘッド部50は、基板Wへのパターン描画を行うもので、ヘッド移動機構(図示省略)により上下方向に移動される。そして、ヘッド移動機構が作動することで、光学ヘッド部50が上下方向に移動し、光学ヘッド部50とステージ10に保持される基板Wとの距離を高精度に調整可能となっている。このように、光学ヘッド部50が描画ヘッドとして機能している。
【0036】
また、梁部材143および144の頂部の間を橋渡しするように光学ヘッド部50の光学系などを収納したボックス172が設けられており、基台130のパターン描画領域を上方から覆っている。
【0037】
ステージ10は、円筒状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板Wが載置されると、基板Wは、複数の吸引孔の吸引圧によりステージ10の上面に吸着固定される。
【0038】
ステージ移動機構20は、描画装置100Aの基台130に対してステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向)に移動させるための機構である。ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0039】
回転機構21は、ステージ10の内部に取り付けられた回転子により構成されたモータを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸受機構が設けられている。このため、モータを動作させると、回転子がθ方向に移動し、回転軸受機構の回転軸を中心としてステージ10が所定角度の範囲内で回転する。
【0040】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより副走査方向の推進力を発生させるリニアモータ23aを有している。また、副走査機構23は、ベースプレート24に対して支持プレート22を副走査方向に沿って案内する一対のガイドレール23bを有している。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイドレール23bに沿って支持プレート22およびステージ10が副走査方向に移動する。
【0041】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とヘッド支持部140の上面に敷設された固定子とにより主走査方向の推進力を発生させるリニアモータ25aを有している。また、主走査機構25は、ヘッド支持部140に対してベースプレート24を主走査方向に沿って案内する一対のガイドレール25bを有している。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台130上のガイドレール25bに沿ってベースプレート24、支持プレート22、およびステージ10が主走査方向に移動する。なお、このようなステージ移動機構20としては、従来から多用されているX−Y−θ軸移動機構を用いることができる。
【0042】
位置パラメータ計測機構30は、レーザ光の干渉を利用してステージ10についての位置パラメータを計測するための機構である。位置パラメータ計測機構30は、主として、レーザ光出射部31、ビームスプリッタ32、ビームベンダ33、第1の干渉計34、および第2の干渉計35を有する。
【0043】
レーザ光出射部31は、計測用のレーザ光MLを出射するための光源装置である。レーザ光出射部31は、固定位置、すなわち本装置の基台130や光学ヘッド部50に対して固定された位置に設置されている。レーザ光出射部31から出射されたレーザ光MLは、まず、ビームスプリッタ32に入射し、ビームスプリッタ32からビームベンダ33へ向かう第1の分岐光ML1と、ビームスプリッタ32から第2の干渉計35へ向かう第2の分岐光ML2とに分岐される。
【0044】
第1の分岐光ML1は、ビームベンダ33により反射され、第1の干渉計34に入射するとともに、第1の干渉計34からステージ10の−Y側の端辺の第1の部位(ここでは、−Y側の端辺の中央部)10aに照射される。そして、第1の部位10aにおいて反射した第1の分岐光ML1が、再び第1の干渉計34へ入射する。第1の干渉計34は、ステージ10へ向かう第1の分岐光ML1とステージ10から反射した第1の分岐光ML1との干渉に基づき、ステージ10の第1の部位10aの位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0045】
一方、第2の分岐光ML2は、第2の干渉計35に入射するとともに、第2の干渉計35からステージ10の−Y側の端辺の第2の部位(第1の部位10aとは異なる部位)10bに照射される。そして、第2の部位10bにおいて反射した第2の分岐光ML2が、再び第2の干渉計35へ入射する。第2の干渉計35は、ステージ10へ向かう第2の分岐光ML2とステージ10から反射した第2の分岐光ML2との干渉に基づき、ステージ10の第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータを、制御部70Aへ送信する。制御部70Aは、当該位置パラメータを用いて、ステージ10の位置やステージ10の移動速度の制御などを行う。
【0046】
光学ヘッド部50は、ステージ10上に保持された基板Wの上面に向けて露光処理用のパルス光を照射する光照射部である。光学ヘッド部50は、露光用のマスクを使用せずに基板Wを露光する。より詳細には、光学ヘッド部50は、配線データ生成装置1Aが生成した描画データ580(
図3)に基づいてステージ10上に載置された基板Wを直接露光する。基台130上には、ステージ10およびステージ移動機構20を跨ぐようにして梁部材143が架設されており、梁部材143には、光学ヘッド部50が取付けられている。光学ヘッド部50は、基台130におけるY方向(主走査方向)の略中央部分に位置する。光学ヘッド部50は、照明光学系53を介して1つのレーザ発振器54に接続されている。また、レーザ発振器54には、レーザ発振器54の駆動を行うレーザ駆動部55が接続されている。レーザ駆動部55、レーザ発振器54、および照明光学系53は、ボックス172の内部に設けられている。レーザ駆動部55を動作させると、レーザ発振器54からパルス光が出射され、当該パルス光が照明光学系53を介して光学ヘッド部50の内部に導入される。
【0047】
光学ヘッド部50の内部には、照射された光を空間変調する空間光変調器、空間光変調器を制御する描画制御部、光学ヘッド部50の内部に導入されたパルス光を空間光変調器を介して基板Wの上面に照射する光学系など(それぞれ図示省略)が主に設けられている。空間光変調器としては、例えば、回折格子型の空間光変調器であるGLV(登録商標:Grating Light Valve)などが採用される。光学ヘッド部50の内部に導入されたパルス光は、空間光変調器などによって所定のパターン形状に成形された光束として基板Wの上面に照射され、基板W上のレジスト等の感光層を露光する。これにより、基板Wの上面にパターンが描画される。
【0048】
基板Wの上面上には、配置された半導体チップ610および630を覆うように紫外線の照射により感光するレジスト(感光材料)が予め形成されており、レーザ発振器54は、波長355nmの紫外線を出射する3倍波固体レーザとされる。もちろん、レーザ発振器54は基板Wの感光材料が感光する波長帯に含まれる他の波長の光を出射するものであってもよい。描画装置100Aは、光学ヘッド部50による露光幅分ずつ基板Wを副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返すことにより、基板Wの描画領域全面にパターンを形成する。
【0049】
アライメントカメラ(「撮影部」)60は、基板Wの撮影を行うことによって、基板Wの上面の複数箇所に予め形成された図示省略のアライメントマークや、半導体チップ630の上面に形成された図示省略のアライメントマークなどの画像を含むモニター画像42(
図3)を生成する。モニター画像42は、基板Wの位置および姿勢の検出や、半導体チップ630の位置および姿勢の検出に用いられる。アライメントカメラ60は、基板W上のレジストの下層に設けられた電極などの配線パターンをも撮影可能となっている。アライメントカメラ60は、例えば、デジタルカメラなどにより構成され、梁部材143を介して基台130に固定されている。
【0050】
アライメントカメラ60によりアライメントマークを撮影するときには、まず、描画装置100Aは、ステージ10を最も−Y側の位置(
図1、
図2中の左側位置)に移動させる。そして、描画装置100Aは、図示省略のモニター用の照明部から基板Wにモニター用照明光を照射し、アライメントカメラ60に撮影を実行させることにより、各アライメントマークの画像を含むモニター画像42を取得する。取得されたモニター画像42は、アライメントカメラ60から制御部70Aへ送信される。送信されたモニター画像42は、制御部70Aによって光学ヘッド部50に対する基板Wの位置および姿勢の調整や、所定の基準位置および基準姿勢に対する半導体チップ630の配置誤差の検出などに用いられる。
【0051】
基板W上に配置されている半導体チップの金属膜などからなる電極パッドに対してモニター用の照明部から照明光が照射されると、その反射光のうちの赤外光成分が、アライメントカメラ60に入射する。赤外光成分は、レジストの反応にほとんど寄与せず、レジストを透過できるため電極パッドは撮影され得る。下層が金属膜によって全面覆われている場合は、その下の層を観察することはできないが、通常の基板Wでは、電極パッドが全面を覆う可能性は少ない。従って、モニター用の照明部の光源としては赤外光成分を多く含む光を出射可能な光源が採用されることが好ましい。また、アライメントカメラ60も赤外線領域に感度を有することが好ましい。
【0052】
制御部70Aは、種々の演算処理を実行しつつ、描画装置100A内の各部の動作を制御するための情報処理部である。制御部70Aは、例えば、電気的に接続されたCPU900A(
図3)および記憶部72A(
図3)などを有するコンピュータを備えて構成される。制御部70Aは、また、CPU900Aと電気的に接続された露光制御部980(
図3)を備えており、当該コンピュータと露光制御部980とは、一つの電装ラック(図示省略)内に配置されている。制御部70Aは、上記のステージ移動機構20、位置パラメータ計測機構30、光学ヘッド部50、およびアライメントカメラ60などと電気的に接続されている。制御部70Aは、CPU900Aが記憶部72Aに記憶されたプログラムPG1を読み込んで実行することにより、上記各部の動作制御を行う。また、制御部70Aは、描画装置100Aの外部の配線システム150と通信回線を介して接続されている。
【0053】
制御部70Aは、アライメントカメラ60が基板Wの撮影によって生成したモニター画像42を用いて基板W上のレジスト層の下層における配線パターンや電極の位置を検出することによって、半導体チップの電極パッドの位置検出を行ない得る。制御部70Aは、検出された電極の位置と、基準位置および基準姿勢の半導体チップに対する予め生成された配線パターンとの比較を行うことによっても、半導体チップの配置誤差を検出することができる。なお、アライメントマークや電極の検出は、モニター画像42の画素値分布を2次微分することなどによって得られるエッジ信号などに基づいて行われ得る。
【0054】
配線システム150は、CADシステムなどを備えて構成されている。配線システム150は、基板W上に配置される半導体チップの電極間の電気的な接続関係を示すネットリストを生成する。配線システム150は、当該ネットリストに従って基板W上に配置される半導体チップの電極間を電気的に接続する接続配線パターンを示す配線データを生成する。より詳細には、配線システム150は、配置誤差がない基準チップに対する接続配線パターン(「基準配線パターン」)を示す基準配線データ310(
図3)を生成する。基準配線パターンは、電気的な短絡や断線などの配線不良が生じていない接続配線パターンである。生成された基準配線データ310は、描画装置100Aの制御部70Aに供給される。また、配線システム150は、基板Wに関するネットリストと、基板W上に配置された半導体チップ630の基準位置および基準姿勢などを含んだ設計情報44(
図3)を制御部70Aに供給する。
【0055】
<A−2.描画装置の機能構成>
<A−2−1.描画装置の全体的な機能構成>
図3は、実施形態1に係る描画装置100Aの描画動作の制御に関する機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示されるように、描画装置100Aは、描画動作の制御に関する機能要素として、上述したアライメントカメラ60、制御部70A、光学ヘッド部50、およびステージ移動機構20を主に備えており、これらの要素の動作によって描画動作の制御を行う。
【0056】
制御部70Aは、CPU900Aおよびメモリなどの記憶部72Aなどを備えたコンピュータを備えて構成されている。制御部70Aには、該コンピュータとともに露光制御部980がさらに設けられている。該コンピュータ内のCPU900AがプログラムPG1に従って演算処理することにより、誤差取得部910、領域情報取得部920、配線データ生成部930A、および描画データ生成部940などの機能が実現される。
【0057】
誤差取得部910、領域情報取得部920、および配線データ生成部930Aは、配線データ生成装置1Aを構成する。配線データ生成装置1Aは、基板W上に配置された半導体チップの各電極と、基板Wに対して設けられた接続先の各電極とを、ネットリスト等に規定される所定の接続関係に基づいて電気的に接続する接続配線パターンを示す接続配線データ510(
図3)を生成する。
【0058】
描画データ生成部940は、配線データ生成装置1Aが生成した接続配線データ510に基づいて、描画装置100A用のラスタライズ処理を施された描画データ580(
図3)を生成する。
【0059】
記憶部72Aは、ROMおよびRAMなどのメモリなどにより構成されている。記憶部72Aには、CPU900Aが読み取って実行するプログラムPG1および領域設定用情報49などが予め記憶されている。領域設定用情報49は、例えば、後述する包囲領域のサイズに関連した情報である。また、記憶部72Aは、描画データ生成部940が生成した描画データ580を記憶するほか、CPU900Aのワークメモリとしても動作する。
【0060】
露光制御部980は、記憶部72Aに記憶された描画データ580に基づいて光学ヘッド部50、およびステージ移動機構20の各部を制御することにより1ストライプ分の描画を行う。そして、1つのストライプに対する露光記録が終了すると、次の分割領域に対して同様の処理が行われ、ストライプごとに描画が繰り返される。これにより、描画データ580の配線パターンが基板W上に描画される。
【0061】
<A−2−2.配線データ生成装置の機能構成>
配線データ生成装置1Aは、誤差取得部910、領域情報取得部920、および配線データ生成部930Aを備えて構成される。
【0062】
誤差取得部910は、基板W上での所定の基準位置および所定の基準姿勢に対する半導体チップ630の配置誤差46(
図3)を取得する。より詳細には、誤差取得部910は、モニター画像42から基板W上での半導体チップ630の実際の位置と姿勢とを検出し、これらを設計情報44に含まれた基準位置および基準姿勢と比較することにより配置誤差46を取得する。配置誤差46は、配線データ生成部930Aに供給される。
【0063】
領域情報取得部920は、基板Wの上面の面上で半導体チップ630を包囲し、半導体チップ630よりも広い包囲領域710(
図6、
図8など参照)を示す包囲領域情報810を取得する。領域情報取得部920は、例えば、設計情報44に含まれた半導体チップ630の基板Wに対する基準位置を領域の中心とし、領域設定用情報49により規定されるサイズと形状等を有する包囲領域710を特定する。そして、領域情報取得部920は、特定した包囲領域710を示す位置、サイズ、および形状等の包囲領域情報810を取得して配線データ生成部930Aに供給する。
【0064】
領域設定用情報49は、半導体チップ630が基板W上を移動する最大の範囲を包囲領域710のサイズとして設定可能な情報であることが好ましい。このような領域設定用情報49は、例えば、基板Wの上面に半導体チップ630を配置するボンダーの位置決め誤差などに基づいて取得され得る。なお、設定された包囲領域710のサイズが当該最大の範囲よりも小さいとしても、また、大きいとしても、包囲領域710が半導体チップ630よりも広ければ、包囲領域710内に半導体チップ630が含まれ得るので、本発明の有用性を損なうものではない。同様に、包囲領域710の中心が、基準位置からずれて設定されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0065】
また、領域設定用情報49が予め設定された包囲領域情報810そのものであり、領域情報取得部920が記憶部72Aから包囲領域情報810を取得して配線データ生成部930Aにそのまま供給する構成が採用されても良い。
【0066】
配線データ生成部930Aは、
図8に示されるように、配置誤差46、包囲領域情報810、および設計情報44に含まれるネットリストなどに基づいて、包囲領域710に対応する部分の包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560(
図3)を生成する。
【0067】
ここで、
図5は、ファンアウト配線の一例として半導体チップ12のBGAを構成する各電極14から配線されたファンアウト配線16を示す図である。ファンアウト配線16は、各電極14から図示省略の接続先の各電極まで配設される接続配線パターンのうち各電極14から半導体チップ12の外周縁までの配線パターンである。接続配線パターンは、各配線同士の交差や断線を生じないようにCADシステムなどにより設計される。このため、ファンアウト配線の配線パターンは、接続先の各電極と、半導体チップ12との相対的な位置および姿勢の関係に応じて変動する。従って、ファンアウト配線の配線パターンも、当該位置および姿勢の関係に応じて変動する。
【0068】
本願の記載においては、基板Wに対して所定の基準位置に所定の基準姿勢で配置された基準チップに対するファンアウト配線は、「基準ファンアウト配線」とも称される。基準位置および基準姿勢は、必ずしも半導体チップ630の設計通りの位置および姿勢である必要は無く、種々の既知の値をとり得る。従って、基準ファンアウト配線も、接続先の各電極と、半導体チップ12との相対的な位置および姿勢の関係に応じて、すなわち基準位置および基準姿勢に応じて変動する。
【0069】
図6は、配線システム150から供給される基準配線データ310(
図3)が示す基準配線パターンの一例として、基準チップ620に対して設定された基準配線パターン210を示す図であり、同様に、
図7は基準配線パターン212を示す図である。また、
図8は、配線データ生成部930Aが生成する接続配線データ510(
図3)が示す接続配線パターンの一例として接続配線パターン410を示す図である。次に、
図6〜
図8を参照しつつ配線データ生成部930Aについて説明する。
【0070】
図6では、基準チップ620を囲む包囲領域710が設けられ、各電極670のうち4つの電極と、半導体チップ610の各電極660とを接続する基準配線パターン210が示されている。なお、基準配線パターン210のうち包囲領域710の外側の部分は、半導体チップ610の電極660から包囲領域710の外周縁に至るラッツネスト270である。基準配線パターン210のうち包囲領域710の部分は、それぞれ実際に配線パターンが設定された基準ファンアウト配線220と、引出し配線パターン230である。引出し配線パターン230は、基準ファンアウト配線220が基準チップ620の外周縁から包囲領域710の外周縁に向けて直線状に引き出された形状の配線パターンである。そして、基準配線パターン210は、基準ファンアウト配線220と引出し配線パターン230とラッツネスト270とから構成されている。基準配線パターン210を示す基準配線データ310(
図3)は、配線システム150から配線データ生成部930Aに供給される。なお、ラッツネスト270で示された部分は、実際の配線パターンが設定されていない。このため、基準配線データ310に含まれる配線データは、基準ファンアウト配線220と引出し配線パターン230とをそれぞれを示す各配線データである。
【0071】
図7では、
図6におけるラッツネスト270の部分が、当該ラッツネストに従って実際に設定された配線パターン240に置き換えられている。また、基準配線パターン212は、基準ファンアウト配線220と、引出し配線パターン230と、配線パターン240とから構成されている。そして、基準配線パターン212を示す基準配線データ310(
図3)が、配線システム150から配線データ生成部930Aに供給される。
【0072】
図6、
図7の例では、基準配線パターン210、212をそれぞれ示す基準配線データ310が配線データ生成部930Aに供給されるが、包囲領域配線パターン460(
図8)は、後述するように、基準ファンアウト配線220に基づいて形成される。従って、基準配線パターンのうち少なくとも基準ファンアウト配線220を含む配線パターンを示す配線データが基準配線データ310として配線データ生成部930Aに供給されればよい。
【0073】
また、
図7に示されるように、基準配線パターンは、実際に配線漏れ等の配線不良を生ずること無く設計された配線パターンであることが、より好ましい。しかしながら、
図6に示される基準配線パターンのように、配線不良なく配線できる目処がラッツネストなどによって立てられた配線パターンであれば、基準ファンアウト部分以外の実際の配線設計が完了していない基準配線パターンが採用されてもよい。
【0074】
また、
図6、
図7の例では、包囲領域710がそれぞれ設定されており、基準配線パターン210、212のうち包囲領域710部分の配線は、基準ファンアウト配線220に沿って直線状に包囲領域710の外周縁まで引き出されている。このように、包囲領域の外周縁まで基準チップについての基準ファンアウト配線が引き出された基準配線パターンが用いられれば、基板上に実際に配置された半導体チップに対して生成される接続配線パターンにおける配線漏れの抑制が容易となる。しかしながら、包囲領域710が設定されていない状態で、電極670と電極660とを接続する基準配線パターンが形成されて、当該基準配線パターンが用いられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0075】
また、
図6、
図7に示されるように、包囲領域の外周縁まで直線状に引き出された配線を有する基準配線パターンの基準ファンアウト配線に基づいて、基板に配置された半導体チップについての引き出し配線パターンを含む接続配線パターンが設定された場合には、設定される接続配線パターンにおいて基準配線パターンとは極端に異なった配線の引き回しが発生することを抑制でき、電気的な特性の変動を抑えやすくなる。
【0076】
図8に示されるように、配線データ生成部930Aは、包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560と、他の配線パターン440を示す他領域配線データ540とを生成する。配線データ生成部930Aは、各種の手法で、包囲領域配線データ560を生成することが出来る。
【0077】
例えば、配線データ生成部930Aは、基準チップに対する基準ファンアウト配線の位置および姿勢と、基板W上の半導体チップ630に対する当該半導体チップのファンアウト配線420の位置および姿勢とが半導体チップ630の配置誤差に拘わらず同じになるようにファンアウト配線420を設定する。そして、配線データ生成部930Aは、ファンアウト配線420を包囲領域710の外周縁まで引き出すことにより引き出し配線パターン430を設定する。配線データ生成部930Aは、ファンアウト配線420と引き出し配線パターン430とにより構成される配線パターンを包囲領域配線パターン460として包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560(
図8)を生成する。
【0078】
また、別の手法では、配線データ生成部930Aは、例えば、基準ファンアウト配線220と引出し配線パターン230とを一体の配線として扱い、該一体の配線の基準チップ620に対する位置および姿勢と、該一体の配線の半導体チップ630に対する位置および姿勢が同じになるように該一体の配線の位置および姿勢を調整する。配線データ生成部930Aは、位置と姿勢とを調整された該一体の配線の長さを調整することによりファンアウト配線420と引き出し配線パターン430とにより構成された包囲領域配線パターン460を設定し、包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560を生成する。
【0079】
上述した手法の何れにおいても、配線データ生成部930Aは、基準チップ620に対する基準ファンアウト配線220の位置および姿勢と、基板W上の半導体チップ630に対する半導体チップ630のファンアウト配線の位置および姿勢とが半導体チップ630の配置誤差に拘わらず同じになるように包囲領域配線パターン460を設定し、包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560を生成する。
【0080】
このようにして、配線データ生成部930Aは、配置誤差が無い基準チップ620に対して予め設定された基準配線パターンのうち基準ファンアウト配線220に基づいて、接続配線パターン410のうち包囲領域710に対応する部分の包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560を生成する。また、配線データ生成部930Aは、GDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで包囲領域配線データ560を生成する。
【0081】
次に、配線データ生成部930Aは、接続配線パターン410のうち包囲領域配線パターン460以外の他の配線パターン440を示す他領域配線データ540をさらに生成する。他領域配線データ540の生成において、配線データ生成部930Aは、先ず、包囲領域配線パターン460と包囲領域710の外周縁との各交点690の位置(座標)を特定する。
【0082】
交点690の位置を求める際に、配線データ生成部930Aは、例えば、包囲領域配線パターン460を示す方程式と、包囲領域710の外周縁うち、引き出し配線パターン430が交差する部分を表示する線分の方程式とを用いて交点690の位置を算定する。
【0083】
交点の座標の算定を容易に行うために、
図8に示されるように、領域情報取得部920は、好ましくは、多角形の領域を包囲領域710として設定する包囲領域情報810を取得する。また、配線データ生成部930Aは、包囲領域710の外周縁までファンアウト配線420が、好ましくは、直線状に引き出された形状の包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560を生成する。なお、包囲領域710の外周縁と、包囲領域配線パターン460とのそれぞれが特定されれば、交点690の交点の位置は算定され得る。従って、包囲領域710が多角形の領域でないとしても、また、包囲領域配線パターン460が直線状でないとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0084】
そして、配線データ生成部930Aは、各交点690と、接続先の半導体チップ610の各電極660とを、設計情報44に含まれるネットリストに基づいて接続する配線パターン440を求めて、配線パターン440を示す他領域配線データ540をさらに生成する。配線データ生成部930Aは、GDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで他領域配線データ540を生成する。
【0085】
配線パターン440の設定において、配線データ生成部930Aは、例えば、
図7に示される基準配線パターン212のうち配線パターン240の一部の配線を修正することによって配線パターン440を設定することが出来る。また、配線データ生成部930Aは、配線パターン240を用いることなく、接続関係にある交点690と電極660とを接続する配線パターン440を新たに設定することも出来る。何れの手法においても、算定された交点690の位置に基づいてネットリストに基づいた公知の手法により、配線パターン440の全部または修正部分が設定され得る。
【0086】
なお、包囲領域710が、半導体チップ630の配置誤差に拘らず基板Wに対して固定された範囲の領域であれば、交点690の位置の算定において、包囲領域710の領域が一度特定されれば、当該配置誤差が変動する度に包囲領域710の外周縁を特定し直す必要がないので、処理が容易になる。従って、領域情報取得部920は、配置誤差に拘らず基板Wに対して固定された範囲の領域を包囲領域710として設定する包囲領域情報810を取得する。なお、包囲領域710が、配置誤差に応じて変動するとしても、配線データ生成部930Aは、包囲領域配線パターン460および配線パターン440を設定して接続配線パターン410を設定することが出来る。従って、包囲領域710が、配置誤差に応じて変動するとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
【0087】
包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とが生成されると、配線データ生成部930Aは、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とを、接続配線データ510(
図3)を構成する配線データとして描画データ生成部940に供給する。
【0088】
描画データ生成部940は、配線データ生成装置1Aが生成した接続配線データ510に基づいて、すなわち、包囲領域配線データ560に基づいて描画装置100A用のラスタライズ処理を施された描画データ580を生成する。描画データ580は、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とが1つの画像データとして合成されて生成される必要がある。従って、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とのデータ形式が異なる場合には、当該合成処理の前に互いに同じデータ形式で表現されている必要がある。また、描画データ580は、最終的にラスタデータ形式で生成される必要がある。したがって、描画データ生成部940は、例えば、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とがGDSフォーマットで供給された場合には、これらの配線データをGDSフォーマットで合成し、合成された配線データをラスタデータ形式に変換して描画データ580を生成する。描画データ580は、記憶部72Aに記憶される。露光制御部980は、描画データ580に基づいて基板Wの露光処理を行う。
【0089】
<A−3.配線データ生成装置の動作>
図9および
図10は、実施形態1に係る配線データ生成装置1A(
図3)の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図9のフローチャートは、実施形態2に係る配線データ生成装置1Bの動作の一例も示している。
【0090】
配線システム150(
図3)から基準配線データ310(
図3)が供給され、アライメントカメラ60(
図3)からモニター画像42(
図3)が供給されると、配線データ生成装置1Aは、
図9のフローチャートで示される処理を開始する。
【0091】
図9に示されるように、先ず、誤差取得部910(
図3)は、基板W上での所定の基準位置および所定の基準姿勢に対する半導体チップ630(
図3)の配置誤差46(
図3)を取得し(ステップS110)、領域情報取得部920(
図3)は、基板W上で半導体チップ630を包囲する当該半導体チップよりも広い包囲領域710(
図8)を示す包囲領域情報810(
図3)を取得する(ステップS120)。
【0092】
配置誤差46と包囲領域情報810を供給されると、配線データ生成部930Aは、包囲領域配線データ560(
図8)の生成を行う(ステップS130A)。ステップS130Aの処理が開始されると、処理は
図10に移されて、配線データ生成部930Aは、配線システム150から予め供給された基準配線データ310が示す基準配線パターンのうち基準ファンアウト配線220(
図6、
図7)を特定する(ステップS210)。
【0093】
次に、配線データ生成部930Aは、基準チップ620(
図6、
図7)に対する基準ファンアウト配線220の位置および姿勢と、基板W上に配置された半導体チップ630(
図8)に対する当該半導体チップのファンアウト配線420(
図8)の位置および姿勢とが当該半導体チップの配置誤差に拘わらず同じになるように、基準ファンアウト配線220に基づいて基板上の半導体チップ630のファンアウト配線420を取得する(ステップS220)。
【0094】
配線データ生成部930Aは、取得したファンアウト配線420が包囲領域710の外周縁まで引き出された形状を有する包囲領域配線パターン460(
図8)を取得して(ステップS230)、包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560(
図3、
図8)を生成し(ステップS240)、ステップS130Aの処理を完了する。
【0095】
次に、処理は、
図9に戻されて、配線データ生成部930Aは、包囲領域配線パターン460と包囲領域710の外周縁との各交点690(
図8)の位置に基づいて、接続配線パターン410(
図8)のうち包囲領域配線パターン460以外の他の配線パターン440(
図8)を示す他領域配線データ540(
図3、
図8)を生成する(ステップS140)。
【0096】
<実施形態2>
<B−1.描画装置の構成>
実施形態2に係る描画装置100Bは、実施形態1に係る描画装置100Aと同じく感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光ビームを照射してパターンを描画する直接描画装置である。
図1、
図2に示されるように、描画装置100Bにおいて、描画装置100Aに対して異なる構成は、制御部70Bである。描画装置100Bにおける制御部70B以外の各構成要素は、同じ符号を附された描画装置100Aにおける各構成要素と同様な構成および機能を有する。また、描画装置100Bの外部に設けられた他の装置である配線システム150も、描画装置100Aと接続された配線システム150と同様の構成および機能を有する。以下に、制御部70Bについて説明する。
【0097】
制御部70Bは、描画装置100Aの制御部70Aと同様に、種々の演算処理を実行しつつ、描画装置100B内の各部の動作を制御するための情報処理部である。制御部70Bは、例えば、電気的に接続されたCPU900B(
図11)および記憶部72B(
図11)などを有するコンピュータを備えて構成される。制御部70Bは、また、CPU900Bと電気的に接続された露光制御部980(
図11)を備えており、当該コンピュータと露光制御部980とは、一つの電装ラック(図示省略)内に配置されている。制御部70Bは、上記のステージ移動機構20、位置パラメータ計測機構30、光学ヘッド部50、およびアライメントカメラ60などと電気的に接続されている。制御部70Bは、CPU900Bが記憶部72Bに記憶されたプログラムPG2を読み込んで実行することにより、上記各部の動作制御を行う。また、制御部70Bは、描画装置100Bの外部の配線システム150と通信回線を介して接続されている。
【0098】
また、制御部70Bは、制御部70Aと同様に、基板上に配置された半導体チップの電極パッドの位置検出を行なって、半導体チップの配置誤差を検出することもできる。
【0099】
<B−2.描画装置の機能構成>
<B−2−1.描画装置の全体的な機能構成>
図11は、実施形態2に係る描画装置100Bの描画動作の制御に関する機能構成の一例を示すブロック図である。
図11に示されるように、描画装置100Bは、描画動作の制御に関する機能要素として、アライメントカメラ60、制御部70B、光学ヘッド部50、およびステージ移動機構20を主に備えており、これらの要素の動作によって描画動作の制御を行う。
【0100】
制御部70Bは、CPU900Bおよびメモリなどの記憶部72Bなどを備えたコンピュータを備えて構成されている。制御部70Bには、該コンピュータとともに露光制御部980がさらに設けられている。該コンピュータ内のCPU900BがプログラムPG2に従って演算処理することにより、誤差取得部910、領域情報取得部920、配線データ生成部930B、描画データ生成部940、および広域配線データ取得部950などの機能が実現される。
【0101】
誤差取得部910、領域情報取得部920、配線データ生成部930B、および広域配線データ取得部950は、配線データ生成装置1Bを構成する。配線データ生成装置1Bは、基板W上に配置された半導体チップの各電極と、基板Wに対して設けられた接続先の各電極とを、ネットリスト等に規定される所定の接続関係に基づいて電気的に接続する接続配線パターンを示す接続配線データ510(
図11)を生成する。
【0102】
制御部70Bにおける制御部70Aとの構成要素の差異は、記憶部72Bと、CPU900Bにおける配線データ生成装置1Bである。制御部70Bにおいて、制御部70Aの構成要素と同じ符号を附された構成要素は、制御部70Aにおける当該同じ符号を附された構成要素と同様な構成と機能を有する。
【0103】
記憶部72Bは、ROMおよびRAMなどのメモリなどにより構成されており、記憶部72Aと同様に、CPU900Bが読み取って実行するプログラムPG2および領域設定用情報49などが予め記憶されている。さらに、記憶部72Bには、広域配線データ350が予め記憶されている。
【0104】
広域配線データ350は、例えば、
図12に示されるように、包囲領域710を包囲し、当該包囲領域よりも広い、予め設定された広領域730の外周縁まで、基準チップ620に関する基準ファンアウト配線が引き出された形状の広域配線パターン250を示す配線データである。また、記憶部72Bには、例えば、
図13、
図14に示される広域配線パターン250および252のように、相互に異なる複数の基準ファンアウト配線にそれぞれ対応した複数の広域配線データ350も記憶され得る。広域配線データ350の生成においては、例えば、先ず、配線システム150が、基準チップの基準姿勢に基づいて、広領域に対して広域配線パターンを示す配線データをGDSフォーマットなどで生成する。そして、例えば、CPU900Bが、当該配線データに描画装置用のラスタライズ処理を施すことによりラスタデータ形式の広域配線データ350が生成される。
【0105】
このように、広域配線データ350は、予め、ラスタデータ形式で生成されていることが、処理時間の低減の観点から好ましい。しかし、広域配線データ350がGDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで生成されているとしても、配線データ生成装置1Bが広域配線データ350に基づいて接続配線データ510を生成し得るので、本発明の有用性を損なうものではない。
【0106】
<B−2−2.配線データ生成装置の機能構成>
配線データ生成装置1Bは、誤差取得部910、領域情報取得部920、配線データ生成部930B、および広域配線データ取得部950を備えて構成される。配線データ生成装置1Bと配線データ生成装置1Aとの実質的な差異は、配線データ生成部930Bと広域配線データ取得部950である。
【0107】
配線データ生成装置1Bにおける配線データ生成部930Bおよび広域配線データ取得部950以外の各構成要素は、同じ符号を附された配線データ生成装置1Aにおける各構成要素と同様な機能を有する。
【0108】
具体的には、
図11に示されるように、誤差取得部910は、配置誤差46を取得して、配線データ生成部930Bに供給し、領域情報取得部920は、包囲領域710を示す位置、サイズ、および形状等の包囲領域情報810を取得して配線データ生成部930Bに供給する。また、領域情報取得部920が用いる領域設定用情報49が、予め設定された包囲領域情報810そのものであり、領域情報取得部920が記憶部72Bから当該包囲領域情報810を取得して配線データ生成部930Bにそのまま供給する構成が採用されても良い。
【0109】
広域配線データ取得部950は、上述した広域配線パターンを示す広域配線データ350を記憶部72Bから取得して配線データ生成部930Bに供給する。
【0110】
配線データ生成部930Bは、配置誤差46、包囲領域情報810、設計情報44に含まれるネットリスト、および広域配線データ350などに基づいて、以下に説明する2通りの生成手法1、生成手法2によって包囲領域配線パターンを設定して、当該包囲領域配線パターンを示す包囲領域配線データを生成することが出来る。
【0111】
<B−2−2−1.配線データ生成部による包囲領域配線パターンの生成手法1>
図12は、生成手法1による包囲領域配線パターンの生成を説明するための図である。
図12の上側に示されるように、包囲領域710は、基板W上の所定の基準位置に所定の基準姿勢で配置された基準チップ620を包囲している。広領域730は、当該包囲領域710を包囲しており、包囲領域710よりも広い、予め設定された領域である。広域配線パターン250は、基準チップ620の各電極670に対して設定された基準ファンアウト配線が、広領域730の外周縁まで引き出された形状を有している。広域配線パターン250は、記憶部72Bに記憶された広域配線データ350が示す配線パターンである。広域配線データ350は、広域配線データ取得部950により取得されて、配線データ生成部930Bに供給される。広域配線パターン250は、接続先の各電極660と、基準チップ620との相対的な位置および姿勢の関係に応じて変動する。
【0112】
対応領域720は、
図12の下側に示された半導体チップ630に対する包囲領域710に相当する部分が、基準チップ620を基準として広領域730において特定された領域である。対応領域720の特定は、配線データ生成部930Bにより行われる。
【0113】
配線データ生成部930Bは、広域配線パターン250のうち特定した対応領域720における配線パターンを包囲領域配線パターン460として特定し、包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560(
図11)を生成する。従って、生成手法1において、配線データ生成部930Bは、基準チップ620に対する基準ファンアウト配線の位置および姿勢と、基板W上の半導体チップ630に対する半導体チップ630のファンアウト配線の位置および姿勢とが半導体チップ630の配置誤差に拘わらず同じになるように包囲領域配線パターン460を設定する。
【0114】
<B−2−2−2.配線データ生成部による包囲領域配線パターンの生成手法2>
図13および
図14は、生成手法2で用いられる複数の広域配線データ350の一例として相互に異なる広域配線パターン250と広域配線パターン252とをそれぞれ示す図である。
図15は、生成手法2による包囲領域配線パターンの生成を説明するための図である。
【0115】
図13、
図14に示されるように、基準チップ620と基準チップ622との間では、基準位置と基準姿勢とのうち少なくとも基準姿勢が互いに異なっている。
図13には、
図12の上側に示された広領域730の範囲内の部分が示されている。
図14の広域配線パターン252は、基準チップ622に対して、広域配線パターン250と同様に設定されている。また、記憶部72Bには、広域配線パターン250および252をそれぞれ示す複数の広域配線データ350(
図11)が記憶されている。これらの広域配線データ350は、広域配線データ取得部950により記憶部72Bから取得されて、配線データ生成部930Bに供給される。
【0116】
広域配線パターン250および252は、基準チップ620と、基準チップ622とのそれぞれに対して、配線システム150がネットリストに基づいて個別の設計した各基準配線パターンに基づいて設定されても良い。また、例えば、配線システム150が設計した基準配線パターンに基づいて設定された広域配線パターン250の位置と姿勢が、基準チップ620および622の間の相対的な位置および姿勢の差異に基づいて調整されることによって広域配線パターン252が設定されても良い。この場合には適宜長さ調整も行われる。このように、1つの広域配線パターンからネットリストに基づく設計を経ることなく他の広域配線パターンが設定されれば、予め複数の広域配線データ350の取得に要する処理時間が短縮される。
【0117】
配線データ生成部930Bは、先ず、広域配線パターン250および252にそれぞれ関する基準チップ620および622の複数の基準姿勢のうち基板W上に配置された半導体チップの姿勢に最も近いものを特定する。
図15の上側には、
図13の基準チップ620と、
図14の基準チップ622とのうち基準チップ622の基準姿勢が、基板W上に配置された半導体チップの基準姿勢に最も近いために、基準チップ622の基準姿勢が、基板W上に配置された半導体チップの姿勢に最も近いものとして特定された状態が示されている。
【0118】
次に、配線データ生成部930Bは、供給された複数の広域配線データ350のうち特定した基準姿勢に対応する配線データを特定する。使用する広域配線データ350が特定されると、配線データ生成部930Bは、特定された広域配線データ350に対して、上述した生成手法1を適用することによって包囲領域配線データ560(
図11)を生成する。従って、生成手法2においても、配線データ生成部930Bは、基準チップに対する基準ファンアウト配線の位置および姿勢と、基板W上の半導体チップに対する半導体チップのファンアウト配線の位置および姿勢とが半導体チップの配置誤差に拘わらず同じになるように包囲領域配線パターンを設定する。
【0119】
図15の下側には、基板W上に配置された半導体チップ632および634が示されている。これらの半導体チップに関する基準姿勢は互いに同じであるが、基準位置は互いに異なっている。例えば、半導体チップ632に対する包囲領域配線パターン462を設定する場合には、配線データ生成部930Bは、広域配線パターン252のうち対応領域722の部分の配線パターンを、包囲領域配線パターン462として設定する。そして配線データ生成部930Bは、包囲領域配線パターン462を示す包囲領域配線データ560を生成する。また、半導体チップ634に対する包囲領域配線パターン464を設定する場合には、配線データ生成部930Bは、同様にして、広域配線パターン252のうち対応領域724の部分の配線パターンを包囲領域配線パターン464として設定し、包囲領域配線パターン464を示す包囲領域配線データ560を生成する。
【0120】
広域配線データ350は、予め、ラスタデータ形式で生成されていることが、処理時間の低減の観点から好ましい。より詳細には、広域配線データ350がラスタデータ形式の配線データであれば、包囲領域配線データ560は、生成された当初からラスタデータ形式で生成される。従って、GDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで生成された広域配線データ350から当該フォーマットで包囲領域配線データ560が生成され、その後にラスタデータ形式に変換される場合に比べて、当該変換に要する処理時間を低減できる。しかし、広域配線データ350がGDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで生成されているとしても、配線データ生成装置1Bが広域配線データ350に基づいて接続配線データ510を生成し得るので、本発明の有用性を損なうものではない。
【0121】
生成手法1または生成手法2によって包囲領域配線データ560(
図11)が生成されると、配線データ生成部930Bは、接続配線パターン410のうち包囲領域配線データ560が示す包囲領域配線パターン以外の他の配線パターンを示す他領域配線データ540(
図11)を生成する。他領域配線データ540の生成は、
図8を用いて説明した配線データ生成部930Aによる他領域配線データの生成と同様に、包囲領域配線パターンと包囲領域710の外周縁との各交点の位置(座標)に基づいて行われる。他領域配線データ540は、通常、GDSフォーマットなどのCAD用のフォーマットで生成される。
【0122】
生成手法1、2による包囲領域配線パターンの設定処理においても、配線データ生成部930Aによる包囲領域配線パターンの設定と同様の理由により、領域情報取得部920は、好ましくは、多角形の領域を包囲領域710として設定する包囲領域情報810を取得する。
【0123】
また、配線データ生成部930Bは、基板Wに配置された半導体チップについてのファンアウト配線が包囲領域710の外周縁まで、好ましくは、直線状に引き出された形状の包囲領域配線パターンを示す包囲領域配線データ560を生成する。
【0124】
また、領域情報取得部920は、好ましくは、半導体チップの配置誤差に拘らず基板Wに対して固定された範囲の領域を包囲領域710として設定する包囲領域情報810を取得する。
【0125】
包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とが生成されると、配線データ生成部930Bは、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とを、接続配線データ510(
図11)を構成する配線データとして描画データ生成部940に供給する。
【0126】
描画データ生成部940は、配線データ生成装置1Bが生成した接続配線データ510に基づいて、すなわち、包囲領域配線データ560に基づいて描画装置100B用のラスタライズ処理を施された描画データ580(
図11)を生成する。描画データ580は、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とが1つの画像データとして合成されて生成される必要がある。従って、包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とのデータ形式が異なる場合には、当該合成処理の前に互いに同じデータ形式で表現される必要がある。また、描画データ580は、最終的にラスタデータ形式で生成される必要がある。したがって、描画データ生成部940は、例えば、包囲領域配線データ560がラスタデータ形式で供給され、他領域配線データ540がGDSフォーマットで供給された場合には、先ず、他領域配線データ540をラスタデータ形式に変換する。そして、描画データ生成部940は、互いにラスタデータ形式の包囲領域配線データ560と他領域配線データ540とを合成して描画データ580を生成する。描画データ580は、記憶部72Aに記憶される。露光制御部980は、描画データ580に基づいて基板Wの露光処理を行う。
【0127】
<B−3.配線データ生成装置の動作>
図16および
図17は、実施形態2に係る配線データ生成装置1Bの動作の一例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートは、上述した包囲領域配線パターンの生成手法1に対応したフローチャートであり、
図9のフローチャートのステップS130Bの詳細な処理を示している。
図17のフローチャートは、上述した包囲領域配線パターンの生成手法2に対応したフローチャートであり、
図9のフローチャートのステップS130Cの詳細な処理を示している。既述した
図9のフローチャートについては、説明を省略し、
図11、
図12を適宜参照しつつ
図16のフローチャートによって包囲領域配線パターンの生成手法1による包囲領域配線データの生成を説明する。また、
図11、
図13〜
図15を適宜参照しつつ
図17のフローチャートによって包囲領域配線パターンの生成手法2による包囲領域配線データの生成を説明する。
【0128】
<B−3−1.生成手法1による包囲領域配線データの生成動作>
図9のフローチャートにおいてステップS130Bの処理が開始されると、処理は、
図16に移されて、
図11に示されるように、広域配線データ取得部950が、広域配線データ350を記憶部72Bから取得して(ステップS310)、配線データ生成部930Bに供給する。
【0129】
次に、配線データ生成部930Bは、
図12に示されるように、広域配線データ350が示す広域配線パターン250に基づいて、基板W上の半導体チップ630の配置誤差に応じた包囲領域配線パターン460を設定する(ステップS320)。より詳細には、広域配線パターン250のうち半導体チップ630の配置誤差に応じた対応領域720(
図12)の部分の配線パターンが抽出される。そして、抽出された配線パターンの位置および姿勢が、半導体チップ630に対する包囲領域710の位置および姿勢に適合するように配置誤差に応じて調整されることにより包囲領域配線パターン460として設定される。
【0130】
配線データ生成部930Bは、設定した包囲領域配線パターン460を示す包囲領域配線データ560(
図11)を生成する(ステップS330)。そして、
図16のフローチャートの処理が終了されて、処理はステップS140(
図9)に戻される。
【0131】
<B−3−2.生成手法2による包囲領域配線データの生成動作>
図9のフローチャートにおいてステップS130Cの処理が開始されると、処理は、
図17に移されて、広域配線データ取得部950(
図11)が、異なる基準姿勢に対応した複数の広域配線データ350を記憶部72B(
図11)から取得して(ステップS410)、配線データ生成部930Bに供給する。該複数の広域配線データ350は、具体的には、例えば、
図13、
図14にそれぞれ示された広域配線パターン250および252をそれぞれ示す複数の広域配線データ350である。
【0132】
次に、配線データ生成部930Bは、半導体チップ630の姿勢に最も近い基準姿勢に対応した広域配線データ350を特定する(ステップS420)。より詳細には、先ず、複数の広域配線データ350にそれぞれ関する複数の基準姿勢のうち基板W上に配置された半導体チップの姿勢に最も近い基準姿勢が特定される。そして、特定された基準姿勢に対する広域配線データ350が特定される。
図15の例では、
図14に示された広域配線パターン252を示す広域配線データ350が特定されている。
【0133】
広域配線データ350が特定されると、配線データ生成部930Bは、特定した広域配線データ350に基づいて、包囲領域配線データ560(
図11)を生成する(ステップS430)。ステップS430での包囲領域配線データ560の生成処理は、例えば、
図16に示されたステップS320およびS330の処理によって行われる。そして、
図17のフローチャートの処理が終了されて、処理はステップS140(
図9)に戻される。
【0134】
以上のように構成された実施形態1および実施形態2の何れに係る配線データ生成装置によっても、接続配線パターンのうち包囲領域配線パターンが、不良配線が無い基準配線パターンの一部である基準ファンアウト配線に基づいて、基準位置および基準姿勢に対する半導体チップの配置誤差に応じて生成される。従って、ファンアウト配線を含み、配線の難易度が高い包囲領域における配線漏れの発生と、配線データの生成に要する処理時間とが抑制される。また、包囲領域が半導体チップよりも広いので、包囲領域が半導体チップと同サイズである場合に比べて包囲領域配線パターン以外の配線パターンを短く、単純化できる。これにより、当該配線パターンについても配線漏れの発生と、配線データの生成に要する処理時間とが抑制される。従って、半導体チップの各電極の配置が複雑であり、半導体チップに位置および姿勢に関する配置誤差がある場合でも、配線漏れの発生と、処理時間とを抑制しつつ接続配線パターンを示す配線データを生成できる。
【0135】
また、以上のように構成された実施形態2に係る配線データ生成装置によれば、包囲領域を包囲する当該包囲領域よりも広い、予め設定された広領域に対して、広領域の外周縁まで基準ファンアウト配線が引き出された形状の広域配線パターンが予め設定されている状態で、基板上の半導体チップに対する包囲領域に相当する部分が、基準チップを基準として広領域において特定される。そして、広域配線パターンのうち当該特定された部分の配線パターンが包囲領域配線パターンとして特定されて包囲領域配線データが生成される。従って、包囲領域配線データの生成に要する時間が短縮される。
【0136】
また、以上のように構成された実施形態2に係る配線データ生成装置によれば、相互に異なる複数の基準姿勢にそれぞれ対応した、予め生成された複数の広域配線データが取得され、当該複数の基準姿勢のうち基板上に配置された半導体チップの姿勢に最も近いものが特定される。そして、当該複数の広域配線データのうち特定された基準姿勢に対応する広域配線データが特定されて、当該広域配線データに基づいて包囲領域配線データが生成される。従って、回転処理と平行移動処理とのうち処理が容易な平行移動のみによって広域配線データから包囲領域配線データが生成され得るので、処理時間が短縮され得る。
【0137】
また、以上のように構成された実施形態2に係る配線データ生成装置によれば、記憶部に予め記憶されている広域配線データが、描画装置用などの所定のラスタライズ処理に応じたラスタデータ形式である。従って、広域配線データから生成される包囲領域配線データもラスタデータ形式であるので、描画データの生成過程において包囲領域配線データに対するラスタライズ処理が不要となり、処理時間が短縮される。
【0138】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。例えば、実施形態1および2における配線データ生成装置は、描画装置に備えられていたが、描画装置とは独立した外部の装置として設けられても良い。また、
図7などに示された半導体チップ610の各電極660に代えて、半導体チップ630の周囲に配設された各電極が、半導体チップ620の電極670に対する接続先の電極として採用されても良い。また、本発明は、半導体チップ610が基準チップ620と同じように移動する場合にも適用することができるとともに、半導体チップ610に代えて単に電極660のみが配置されている場合にも適用することができる。また、半導体チップの電極が基板など支持体に接合されて、半導体チップが封入された後に、支持体が薄化などにより除去された状態で、半導体チップの電極が露出した支持体の背面において、本発明の手法が適用されて接続配線パターンが形成されても良い。また、包囲領域や広領域のサイズが、各半導体チップの大きさや、半導体チップ間の間隔に応じて適宜変更されても良い。また、配線データ生成装置によって接続配線データが求められた段階などにおいて、DRC(Design Rule Check)が行われて、その結果が所定の基準を満たした場合に、下流側の生成処理などが行われても良い。