特許第5779211号(P5779211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5779211-自動二輪車用タイヤ 図000004
  • 特許5779211-自動二輪車用タイヤ 図000005
  • 特許5779211-自動二輪車用タイヤ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779211
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】自動二輪車用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20150827BHJP
【FI】
   B60C11/03 E
   B60C11/03 C
   B60C11/03 Z
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-183338(P2013-183338)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-48051(P2015-48051A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】武内 宏文
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−159207(JP,A)
【文献】 特開2013−159208(JP,A)
【文献】 特開2009−029176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部の接地面がタイヤ半径方向外側に凸で円弧状に湾曲している自動二輪車用タイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ赤道の近傍からタイヤ周方向に対して傾斜してトレッド接地端側にのびるセンター主溝と、前記センター主溝にタイヤ赤道を挟んで向き合いかつ前記センター主溝と同じ向きに傾斜するミドル主溝と、前記センター主溝のタイヤ軸方向外側に設けられかつ前記センター主溝と逆向きに傾斜するショルダー副溝とが設けられ、
前記センター主溝は、タイヤ赤道と一方のトレッド接地端との間の第1トレッド領域に設けられる第1センター主溝と、タイヤ赤道と他方の前記トレッド接地端との間の第2トレッド領域に設けられる第2センター主溝とを含み、
前記第1センター主溝と前記第2センター主溝とは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられ、
しかも、前記第1センター主溝と前記第2センター主溝とは、互いに逆向きに傾斜し、
前記センター主溝は、タイヤ周方向に対して0〜30°の角度θ1を有し、
前記角度θ1は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増し、
前記ミドル主溝は、前記第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ミドル主溝と、前記第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ミドル主溝とを含み、
前記ショルダー副溝は、前記第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ショルダー副溝と、前記第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ショルダー副溝とを含み、
前記第1ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う前記第2ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う第2センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なり、
前記第2ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う前記第1ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う前記第1センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
【請求項2】
前記トレッド部は、タイヤ赤道を中心とするトレッド展開幅の40%の領域であるセンター領域と、前記トレッド接地端からタイヤ赤道側に前記トレッド展開幅の20%の領域であるショルダー領域と、前記センター領域と前記ショルダー領域との間のミドル領域とを含み、
前記センター領域のランド比Lc、ミドル領域のランド比Lm、及び、ショルダー領域のランド比Lsは、次の関係を満たす請求項1記載の自動二輪車用タイヤ。
Lc<Ls
Lc≦Lm≦Ls
【請求項3】
前記トレッド部全体のランド比Ltは、90%以上である請求項1又は2記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項4】
前記センター主溝のタイヤ周方向の長さA1は、前記ミドル主溝のタイヤ周方向の長さB1と前記ショルダー副溝のタイヤ周方向の長さC1との合計長さ(B1+C1)以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項5】
前記第1ミドル主溝は、タイヤ軸方向で隣り合う前記第1ショルダー副溝のタイヤ軸方向の投影領域と少なくとも一部で重なり、
前記第2ミドル主溝は、タイヤ軸方向で隣り合う第2ショルダー副溝のタイヤ軸方向の投影領域と少なくとも一部で重なる請求項1乃至4のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項6】
タイヤ回転方向が指定されており、
前記センター主溝の前記角度は、タイヤ回転方向の後着側から先着側に向かって漸増している請求項1乃至5のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項7】
前記第1センター主溝及び前記第1ショルダー副溝のタイヤ周方向の投影領域は、互いにタイヤ軸方向に離間し、
前記第2センター主溝及び前記第2ショルダー副溝のタイヤ周方向の投影領域は、互いにタイヤ軸方向に離間している請求項1乃至6のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項8】
前記ミドル主溝及び前記ショルダー副溝のタイヤ周方向に対する角度は、それぞれ、タイヤ軸方向外側に向かって漸増している請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項9】
前記センター主溝、前記ミドル主溝、及び、前記ショルダー副溝の溝幅は、それぞれ、タイヤ軸方向外側に向かって漸減している請求項1乃至8のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好なロール特性を具えた自動二輪車用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部に溝が設けられた自動二輪車用タイヤが提案されている。トレッド部に設けられた溝は、ウェット走行時、路面とトレッド部との間の水をタイヤ外方に排出し、ウェット性能を向上させる。
【0003】
しかしながら、このような溝は、トレッド部の剛性を低下させる。このため、自動二輪車の旋回時、タイヤのキャンバー角が増加するときの接地感及び過渡特性の変化であるロール特性や、グリップ性能が低下するという問題があった。
【0004】
例えば、下記特許文献1は、溝の形状等を改善することにより、ウェット性能とグリップ性能とを両立させた自動二輪車用タイヤを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−184539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の自動二輪車用タイヤであっても、ロール特性については、さらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、トレッド部に設けられた各溝の形状及び位置を改善することを基本として、良好なロール特性を具えた自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド部の接地面がタイヤ半径方向外側に凸で円弧状に湾曲している自動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部には、タイヤ赤道の近傍からタイヤ周方向に対して傾斜してトレッド接地端側にのびるセンター主溝と、前記センター主溝にタイヤ赤道を挟んで向き合いかつ前記センター主溝と同じ向きに傾斜するミドル主溝と、前記センター主溝のタイヤ軸方向外側に設けられかつ前記センター主溝と逆向きに傾斜するショルダー副溝とが設けられ、前記センター主溝は、タイヤ赤道と一方のトレッド接地端との間の第1トレッド領域に設けられる第1センター主溝と、タイヤ赤道と他方の前記トレッド接地端との間の第2トレッド領域に設けられる第2センター主溝とを含み、前記第1センター主溝と前記第2センター主溝とは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられ、しかも、前記第1センター主溝と前記第2センター主溝とは、互いに逆向きに傾斜し、前記センター主溝は、タイヤ周方向に対して0〜30°の角度θ1を有し、前記角度θ1は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増し、前記ミドル主溝は、前記第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ミドル主溝と、前記第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ミドル主溝とを含み、前記ショルダー副溝は、前記第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ショルダー副溝と、前記第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ショルダー副溝とを含み、前記第1ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う前記第2ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う第2センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なり、前記第2ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う前記第1ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う前記第1センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記トレッド部は、タイヤ赤道を中心とするトレッド展開幅の40%の領域であるセンター領域と、前記トレッド接地端からタイヤ赤道側に前記トレッド展開幅の20%の領域であるショルダー領域と、前記センター領域と前記ショルダー領域との間のミドル領域とを含み、前記センター領域のランド比Lc、ミドル領域のランド比Lm、及び、ショルダー領域のランド比Lsは、次の関係を満たすのが望ましい。
Lc<Ls
Lc≦Lm≦Ls
【0010】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記トレッド部全体のランド比Ltは、90%以上であるのが望ましい。
【0011】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記センター主溝のタイヤ周方向の長さA1は、前記ミドル主溝のタイヤ周方向の長さB1と前記ショルダー副溝のタイヤ周方向の長さC1との合計長さ(B1+C1)以上であるのが望ましい。
【0012】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記第1ミドル主溝は、タイヤ軸方向で隣り合う前記第1ショルダー副溝のタイヤ軸方向の投影領域と少なくとも一部で重なり、前記第2ミドル主溝は、タイヤ軸方向で隣り合う第2ショルダー副溝のタイヤ軸方向の投影領域と少なくとも一部で重なるのが望ましい。
【0013】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、タイヤ回転方向が指定されており、前記センター主溝の前記角度は、タイヤ回転方向の後着側から先着側に向かって漸増しているのが望ましい。
【0014】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記第1センター主溝及び前記第1ショルダー副溝のタイヤ周方向の投影領域は、互いにタイヤ軸方向に離間し、前記第2センター主溝及び前記第2ショルダー副溝のタイヤ周方向の投影領域は、互いにタイヤ軸方向に離間しているのが望ましい。
【0015】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記ミドル主溝及び前記ショルダー副溝のタイヤ周方向に対する角度は、それぞれ、タイヤ軸方向外側に向かって漸増しているのが望ましい。
【0016】
本発明に係る自動二輪車用タイヤは、前記センター主溝、前記ミドル主溝、及び、前記ショルダー副溝の溝幅は、それぞれ、タイヤ軸方向外側に向かって漸減しているのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自動二輪車用タイヤのトレッド部には、タイヤ赤道の近傍からタイヤ周方向に対して傾斜してトレッド接地端側にのびるセンター主溝と、センター主溝にタイヤ赤道を挟んで向き合いかつセンター主溝と同じ向きに傾斜するミドル主溝と、センター主溝のタイヤ軸方向外側に設けられかつ前記センター主溝と逆向きに傾斜するショルダー副溝とを含んでいる。センター主溝は、タイヤ赤道と一方のトレッド接地端との間の第1トレッド領域に設けられる第1センター主溝と、タイヤ赤道と他方のトレッド接地端との間の第2トレッド領域に設けられる第2センター主溝とを含んでいる。
【0018】
第1センター主溝と第2センター主溝とは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられている。しかも、第1センター主溝と第2センター主溝とは、互いに逆向きに傾斜している。これにより、トレッド部の剛性が略均一に維持され、優れたロール特性が発揮される。
【0019】
センター主溝は、タイヤ周方向に対して0〜30°の角度θ1を有している。しかも、角度θ1は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増している。このようなセンター主溝は、トレッド部のタイヤ周方向の剛性を効果的に維持し、かつ、トレッド部のタイヤ軸方向の剛性をタイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、旋回時、キャンバー角の増加に伴ってリニアな接地感が得られ、ひいてはロール特性が向上する。
【0020】
ミドル主溝は、第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ミドル主溝と、第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ミドル主溝とを含んでいる。ショルダー副溝は、第1センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第1ショルダー副溝と、第2センター主溝のタイヤ軸方向の投影領域内に設けられる第2ショルダー副溝とを含んでいる。
【0021】
第1ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う第2ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う第2センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なる。第2ミドル主溝は、タイヤ周方向で隣り合う第1ショルダー副溝よりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う前記第1センター主溝のタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なる。これにより、センター主溝及びミドル主溝が接地するロールの初期及び中期において、接地感の急激な変化が抑制される。従って、優れたロール特性が発揮される。
【0022】
以上のように、本発明の自動二輪車用タイヤは、ロール特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の自動二輪車用タイヤの一実施例を示す断面図である。
図2図1のトレッド部のトレッドパターンを示す展開図である。
図3図2のトレッド部の拡大展開図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の好適な実施形態として、サーキット走行用に適した自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図が示される。図2は、タイヤ1のトレッド部2のトレッドパターンを示す展開図である。図1は、図2のA−A断面図である。
【0025】
前記「正規状態」は、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
【0026】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0027】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0028】
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のトレッド接地端Te、Te間の接地面2sが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲している。このようなタイヤ1は、キャンバー角が大きい旋回時においても十分な接地面積を得ることができる。
【0029】
本実施形態のタイヤ1は、カーカス6及びベルト層7を具えている。
【0030】
カーカス6は、本体部6aと折り返し部6bとを含んでいる。本体部6aは、トレッド部2から両側のサイドウォール部3を経て両側のビード部4のビードコア5に至る。折り返し部6bは、本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返されている。
【0031】
カーカス6は、例えば、1枚のカーカスプライ6Aにより形成されている。カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75〜90°の角度で傾けて配列されたカーカスコードを有している。カーカスコードには、例えば、ナイロン、ポリエステル又はレーヨン等の有機繊維コード等が好適に採用される。
【0032】
本体部6aと折り返し部6bとの間には、ビードエーペックスゴム8が配されている。ビードエーペックスゴム8は、硬質ゴムからなり、ビードコア5からタイヤ半径方向の外側にのびている。
【0033】
ベルト層7は、カーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されている。ベルト層7は、例えば、2枚のベルトプライ7A、7Bからなる。2枚のベルトプライ7A、7Bは、互いのベルトコードが交差する向きにタイヤ半径方向で重ね合わされている。ベルトコードは、例えば、タイヤ赤道Cに対して15〜25°の角度で傾けられている。ベルトコードには、例えば、アラミド又はレーヨン等の有機繊維コードが好適に採用される。
【0034】
図2に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、トレッドパターンの性能を最大限に引き出すために、回転方向Rが指定されている。回転方向Rは、サイドウォール部(図示省略)等に明示されている。トレッド部2は、第1トレッド領域2a及び第2トレッド領域2bを含んでいる。第1トレッド領域2aは、タイヤ赤道Cと一方のトレッド接地端Te1との間の領域である。第2トレッド領域2bは、タイヤ赤道Cと他方のトレッド接地端Te2との間の領域である。
【0035】
トレッド部2には、センター主溝10、ミドル主溝20、及び、ショルダー副溝30が設けられている。
【0036】
図3には、トレッド部2の拡大展開図が示される。図3に示されるように、センター主溝10は、タイヤ赤道Cの近傍からタイヤ周方向に対して傾斜してトレッド接地端Te側にのびている。
【0037】
センター主溝10は、第1センター主溝10aと第2センター主溝10bとを含んでいる。第1センター主溝10aは、第1トレッド領域2aに設けられている。第2センター主溝10bは、第2トレッド領域2bに設けられている。
【0038】
各センター主溝10のタイヤ周方向の長さA1は、好ましくは、トレッド展開幅TWeの0.30倍以上、より好ましくは0.35倍以上であり、好ましくは0.50倍以下、より好ましくは0.45倍以下である。これによりウェット性能とグリップ性能とが両立する。
【0039】
トレッド展開幅TWeとは、トレッド部2の接地面2sに沿ったトレッド接地端Te、Te間の距離である。
【0040】
本実施形態において、各センター主溝10は、タイヤ赤道Cを跨ることなくのびている。各センター主溝10のタイヤ軸方向の内端11とタイヤ赤道Cとの距離L1は、例えば、センター主溝10のタイヤ軸方向の長さA2の5〜15%である。前記距離L1は、好ましくはトレッド展開幅TWeの3%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下である。これにより、ウェット性能が維持されつつ、優れたグリップ性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0041】
各センター主溝10のタイヤ軸方向の外端12とタイヤ赤道Cとの距離L2は、好ましくはトレッド展開幅TWeの0.25倍以上、より好ましくは0.35倍以上であり、好ましくは0.55倍以下、より好ましくは0.45倍以下である。これにより、ロールの初期及び中期における接地感の変化がリニアとなり、ロール特性が向上する。
【0042】
センター主溝10は、例えば、タイヤ軸方向外側に向かって漸減している溝幅W1を有している。センター主溝10の最小幅部Wminと最大幅部Wmax(図示しない)との比Wmin/Wmaxは、例えば、0.5〜0.8である。これにより、トレッド部2の剛性がタイヤ軸方向外側に向かって漸増し、ひいては優れたロール特性が発揮される。
【0043】
センター主溝10の溝幅W1は、例えば、2.5〜5.0mmである。センター主溝10の溝深さd1(図1に示す)は、例えば、3.5〜5.0mmである。このようなセンター主溝10は、トレッド部2の剛性を維持しつつ、優れたウェット性能を発揮する。
【0044】
センター主溝10は、タイヤ周方向に対して0〜30°の角度θ1を有している。角度θ1は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増している。このようなセンター主溝10は、トレッド部2のタイヤ周方向の剛性を効果的に維持し、かつ、トレッド部2のタイヤ軸方向の剛性をタイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、旋回時、キャンバー角の増加に伴ってリニアな接地感が得られ、ひいてはロール特性が向上する。
【0045】
センター主溝10の前記角度θ1は、タイヤ回転方向の後着側から先着側に向かって漸増しているのが望ましい。これにより、例えば、ウェット路面上を比較的小さいキャンバー角で旋回するとき、路面とトレッド部2との間の水が効果的にタイヤ外方に排出される。従って、ウェット路面での旋回性能が向上する。
【0046】
第1センター主溝10aと第2センター主溝10bとは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられている。しかも、第1センター主溝10aと第2センター主溝10bとは、互いに逆向きに傾斜している。これにより、トレッド部2の剛性が略均一に維持され、優れたロール特性が発揮される。
【0047】
第1センター主溝10aと第2センター主溝10bとの間のタイヤ周方向の距離L3は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の2%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下である。これにより、トレッド部2の剛性が維持され、優れたグリップ性能及び耐摩耗性能が発揮される。
【0048】
各ミドル主溝20は、センター主溝10と、タイヤ赤道Cを挟んで向き合っている。ミドル主溝20は、センター主溝10と同じ向きに傾斜している。
【0049】
ミドル主溝20は、第1ミドル主溝20aと第2ミドル主溝20bとを含んでいる。第1ミドル主溝20aは、第1センター主溝10aのタイヤ軸方向の投影領域内に設けられている。第2ミドル主溝20bは、第2センター主溝10bのタイヤ軸方向の投影領域内に設けられている。第1ミドル主溝20aと第2ミドル主溝20bとは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられている。
【0050】
各ショルダー副溝30は、センター主溝10のタイヤ軸方向外側に設けられている。ショルダー副溝30は、センター主溝10と逆向きに傾斜している。これにより、センター主溝10とショルダー副溝30との間のトレッドゴムが、タイヤ軸方向に変形し難い。従って、ロール特性が向上する。
【0051】
ショルダー副溝30は、第1ショルダー副溝30aと第2ショルダー副溝30bとを含んでいる。第1ショルダー副溝30aは、第1センター主溝10aのタイヤ軸方向の投影領域内に設けられている。第2ショルダー副溝30bは、第2センター主溝10bのタイヤ軸方向の投影領域内に設けられている。第1ショルダー副溝30aと第2ショルダー副溝30bとは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに重なることなくタイヤ周方向に交互に設けられている。
【0052】
第1ミドル主溝20aは、タイヤ周方向で隣り合う第2ショルダー副溝30bよりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う第2センター主溝10bのタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なっている。第2ミドル主溝20bは、タイヤ周方向で隣り合う第1ショルダー副溝30aよりもタイヤ軸方向内側に設けられ、かつ、タイヤ周方向で隣り合う第1センター主溝10aのタイヤ周方向の投影領域と少なくとも一部で重なっている。
【0053】
これにより、センター主溝10及びミドル主溝20が接地するロールの初期及び中期において、接地感の急激な変化が抑制される。しかも、旋回時、ミドル主溝の接地後にショルダー副溝が接地するため、接地感の変化がリニアとなる。従って、優れたロール特性が発揮される。
【0054】
図2に示されるように、ミドル主溝20のタイヤ軸方向の内端21とセンター主溝10のタイヤ軸方向の外端12とのタイヤ軸方向の距離L4は、好ましくはミドル主溝20のタイヤ軸方向の長さB2の0.5倍以上、より好ましくは0.55倍以上であり、好ましくは0.7倍以下、より好ましくは0.65倍以下である。これにより、ロールの初期及び中期におけるウェット性能とグリップ性能とが両立する。
【0055】
図3に示されるように、ミドル主溝20のタイヤ軸方向の内端21とタイヤ赤道Cとの距離L5は、例えば、ミドル主溝20のタイヤ軸方向の長さB2の0.3〜0.6倍である。前記距離L5は、好ましくはトレッド展開幅TWeの0.10倍以上、より好ましくは0.15倍以上であり、好ましくは0.30倍以下、より好ましくは0.25倍以下である。これにより、ロールの中期でのウェット性能及びグリップ性能がバランス良く向上する。
【0056】
ミドル主溝20の前記内端21と、タイヤ軸方向で隣り合うセンター主溝10のタイヤ軸方向の外端12とのタイヤ周方向の距離L6は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の好ましくは0.2倍以上、より好ましくは0.3倍以上であり、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.4倍以下である。これにより、トレッド部2のタイヤ周方向の剛性分布が滑らかになり、ロール特性が向上する。
【0057】
ミドル主溝20のタイヤ軸方向の外端22とタイヤ赤道Cとの距離L7は好ましくはトレッド展開幅TWeの0.35倍以上、より好ましくは0.45倍以上であり、好ましくは0.65倍以下、より好ましくは0.55倍以下である。これにより、ロールの中期のウェット性能及びグリップ性能がバランス良く向上する。
【0058】
図2に示されるように、ミドル主溝20のタイヤ軸方向の外端22と、タイヤ周方向で隣り合うショルダー副溝30のタイヤ軸方向の内端31とのタイヤ軸方向の距離L11は、好ましくはミドル主溝20のタイヤ軸方向の長さB2の10%以下、より好ましくは5%以下である。本実施形態では、ミドル主溝20の前記外端22とショルダー副溝30の前記内端31とは、タイヤ軸方向で重なっており、前記距離L11=0である。これにより、ミドル主溝20の前記外端22及びショルダー副溝30の前記内端31付近のトレッド部2の剛性分布が、さらに均一となる。従って、とりわけロールの中期及び終期におけるロール特性が向上する。
【0059】
図3に示されるように、ミドル主溝20の前記外端22と、タイヤ軸方向で隣り合うセンター主溝10のタイヤ軸方向の内端11とのタイヤ周方向の距離L8は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上であり、好ましくは0.4倍以下、より好ましくは0.3倍以下である。これにより、ロールの中期のロール特性が向上する。
【0060】
ミドル主溝20のタイヤ周方向の長さB1は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の0.30倍以上、より好ましくは0.35倍以上であり、好ましくは0.45倍以下、より好ましくは0.40倍以下である。このようなミドル主溝20は、ウェット性能を維持しつつ、優れたグリップ性能及び耐摩耗性能を発揮する。
【0061】
ミドル主溝20は、タイヤ軸方向外側に向かって漸減している溝幅W2を有している。ミドル主溝20の最小幅部Wminと最大幅部Wmax(図示しない)との比Wmin/Wmaxは、例えば、0.5〜0.7である。これにより、トレッド部2の剛性がタイヤ軸方向外側に向かって漸増し、ひいては優れたロール特性が発揮される。
【0062】
ミドル主溝20の溝幅W2は、例えば、2.0〜4.0mmである。ミドル主溝20の溝深さd2(図1に示す)は、例えば、3.5〜5.0mmである。このようなミドル主溝20は、ウェット性能を発揮しつつトレッド部2の剛性を維持する。
【0063】
ミドル主溝20は、例えば、タイヤ周方向に対して10〜50°の角度θ2を有している。前記角度θ2は、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上であり、好ましくは45°以下、より好ましくは40°以下である。このようなミドル主溝20は、トレッド部2のタイヤ周方向及びタイヤ軸方向の剛性バランスを向上させる。
【0064】
本実施形態のミドル主溝20の前記角度θ2は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増しているのが望ましい。このようなミドル主溝20は、トレッド部2のタイヤ周方向の剛性を効果的に維持し、かつ、トレッド部2のタイヤ軸方向の剛性をタイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、旋回時、キャンバー角の増加に伴ってリニアな接地感が得られ、ひいてはロール特性が向上する。
【0065】
ショルダー副溝30のタイヤ周方向の長さC1は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の0.15倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.30倍以下、より好ましくは0.25倍以下である。このようなショルダー副溝30は、センター主溝10と協働して、トレッド部2のトレッド接地端Te側の剛性を、トレッド部2のタイヤ赤道C側の剛性よりも大きくする。このため、ロールの終期における接地感が向上し、ひいてはロール特性が向上する。
【0066】
図2に示されるように、ショルダー副溝30と、タイヤ周方向で隣り合うセンター主溝10とのタイヤ周方向の投影領域は、互いにタイヤ軸方向に離間しているのが望ましい。これにより、ロールの中期における接地感及びグリップ性能が向上する。
【0067】
図3に示されるように、ショルダー副溝30の前記内端31と、タイヤ軸方向で隣り合うセンター主溝10のタイヤ軸方向の外端12とのタイヤ周方向の距離L10は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の好ましくは0.5倍以上、より好ましくは0.6倍以上であり、好ましくは0.8倍以下、より好ましくは0.7倍以下である。これにより、ショルダー副溝30の前記内端31及びセンター主溝10の前記外端12が接地するロールの中期における接地感及びグリップ性能が向上する。
【0068】
ショルダー副溝30のタイヤ軸方向の内端31とタイヤ赤道Cとの距離L9は、例えば、ショルダー副溝30のタイヤ軸方向の長さC2の1.8〜2.1倍である。前記距離L9は、好ましくはトレッド展開幅TWeの0.35倍以上、より好ましくは0.45倍以上であり、好ましくは0.65倍以下、より好ましくは0.55倍以下である。これにより、ウェット性能が維持されつつ、ロールの終期でのグリップ性能及び耐摩耗性能が向上する。
【0069】
ショルダー副溝30のタイヤ軸方向の外端32は、例えば、タイヤ周方向で隣り合うミドル主溝20の前記外端22よりも、タイヤ軸方向外側に位置している。これにより、ロールの終期での接地感が向上する。
【0070】
ショルダー副溝30のタイヤ軸方向の外端32とトレッド接地端Teとの距離L12は、好ましくはトレッド展開幅TWeの0.10倍以上、より好ましくは0.15倍以上であり、好ましくは0.40倍以下、より好ましくは0.35倍以下である。これにより、とりわけフルバンク時の接地感及びグリップ性能が向上し、しかも、トレッド接地端Te付近の耐摩耗性能が向上する。
【0071】
ショルダー副溝30の前記外端32と、タイヤ軸方向で隣り合うセンター主溝10のタイヤ軸方向の内端11とのタイヤ周方向の距離L13は、好ましくはセンター主溝10のタイヤ周方向の長さA1の5%倍以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下である。これにより、ロールの終期での接地感が向上する。
【0072】
ショルダー副溝30と、タイヤ軸方向で隣り合うミドル主溝20とは、タイヤ軸方向の投影領域で互いに少なくとも一部で重なっているのが望ましい。これにより、タイヤのユニフォミティが向上し、タイヤ回転時の振動が小さくなる。このため、とりわけフルバンク時の接地感が向上する。
【0073】
ショルダー副溝30と、タイヤ軸方向で隣り合うミドル主溝20との重なり長さL14は、好ましくはミドル主溝20のタイヤ周方向の長さB1の0.15倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.30倍以下、より好ましくは0.25倍以下である。これにより、さらにタイヤのユニフォミティが向上する。
【0074】
ショルダー副溝30は、タイヤ軸方向外側に向かって漸減している溝幅W3を有している。ショルダー副溝30の最小幅部Wminと最大幅部Wmax(図示しない)との比Wmin/Wmaxは、例えば、0.5〜0.7である。これにより、トレッド部2の剛性がタイヤ軸方向外側に向かって漸増し、ひいては優れたロール特性が発揮される。
【0075】
ショルダー副溝30の溝幅W3は、例えば、2.0〜4.5mmである。ショルダー副溝30の溝深さd3(図1に示す)は、例えば、3.5〜5.0mmである。このようなショルダー副溝30は、ウェット性能を発揮しつつトレッド部2の剛性を維持する。
【0076】
ショルダー副溝30は、タイヤ周方向に対して15〜60°の角度θ3を有している。前記角度θ2は、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上であり、好ましくは55°以下、より好ましくは50°以下である。このようなショルダー副溝30は、トレッド部2のタイヤ周方向及びタイヤ軸方向の剛性バランスを向上させる。
【0077】
ショルダー副溝30のタイヤ周方向に対する角度θ3は、タイヤ軸方向外側に向かって漸増しているのが望ましい。このようなミドル主溝20は、トレッド部2のタイヤ周方向の剛性を効果的に維持し、かつ、トレッド部2のタイヤ軸方向の剛性をタイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、旋回時、キャンバー角の増加に伴ってリニアな接地感が得られ、ひいてはロール特性が向上する。
【0078】
本実施形態のサーキット走行用の自動二輪車用タイヤ1として、センター主溝10のタイヤ周方向の長さA1は、ミドル主溝20のタイヤ周方向の長さB1とショルダー副溝30のタイヤ周方向の長さC1との合計長さ(B1+C1)以上であるのが望ましい。これにより、トレッド部2のトレッド接地端Te側の剛性が、トレッド部2のタイヤ赤道C側の剛性よりも相対的に大きくなり、ロール特性がさらに向上する。
【0079】
トレッド部2全体のランド比Ltは、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が望ましい。このようなトレッド部2は、優れたグリップ性能及び耐摩耗性能を発揮する。「ランド比」は、各溝を全て埋めた仮想接地面の面積に対する、実際の接地面積の割合である。
【0080】
図2に示されるように、トレッド部2は、センター領域、ショルダー領域、及び、ミドル領域を含んでいる。センター領域Ceは、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド展開幅TWeの40%の領域である。ショルダー領域Shは、トレッド接地端Teからタイヤ赤道C側にトレッド展開幅TWeの20%の領域である。ミドル領域Miは、センター領域Ceとショルダー領域Shとの間の領域である。センター領域Ceのランド比Lc、ミドル領域Miのランド比Lm、及び、ショルダー領域Shのランド比Lsは、次の関係を満たすのが望ましい。
Lc<Ls
Lc≦Lm≦Ls
【0081】
このようなランド比を有するトレッド部2は、旋回時、キャンバー角の増加に伴って接地感を向上させ、ロールの初期から終期までのロール特性が向上する。
【0082】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0083】
図1の基本構造及び図2のトレッドパターンを有する自動二輪車用の後輪用タイヤが、表1の仕様に基づき試作された。また、比較例として、第1センター主溝と第2センター主溝とがタイヤ軸方向の投影領域で重なっている自動二輪車用タイヤが試作された。各タイヤについて、ロール特性、グリップ性能及び耐摩耗性能がテストされた。各タイヤの共通仕様及び使用車両は以下の通りである。
タイヤサイズ:180/55ZR17
リムサイズ:MT5.50×17
内圧:150kPa
使用車両:排気量600ccの自動二輪車
テスト方法は以下の通りである。
【0084】
<ロール特性、グリップ性能>
各テストタイヤを装着した車両でサーキットコースを走行したときのロール特性及びグリップ性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、ロール特性及びグリップ性能が優れていることを示す。
【0085】
<耐摩耗性能>
サーキットコースで一定距離走行した後の各テストタイヤの摩耗量が測定された。結果は、タイヤ摩耗量の逆数であり、比較例を100とする指数で表示されている。数値が大きい程耐摩耗性能が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
【0086】
【表1】
【0087】
テストの結果、実施例の自動二輪車用タイヤは、良好なロール特性を具えていることが確認できた。
【符号の説明】
【0088】
2 トレッド部
10 センター主溝
10a 第1センター主溝
10b 第2センター主溝
20 ミドル主溝
20a 第1ミドル主溝
20b 第2ミドル主溝
30 ショルダー副溝
30a 第1ショルダー副溝
30b 第2ショルダー副溝
図1
図2
図3