特許第5779285号(P5779285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5779285移動通信ネットワークにおけるパケットサービスコール管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779285
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】移動通信ネットワークにおけるパケットサービスコール管理
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20150827BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20150827BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20150827BHJP
【FI】
   H04W48/16 132
   H04W88/06
   H04W48/18
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-552286(P2014-552286)
(86)(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公表番号】特表2015-505222(P2015-505222A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2013020958
(87)【国際公開番号】WO2013106523
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年8月11日
(31)【優先権主張番号】13/348,520
(32)【優先日】2012年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン サンジーヴィ
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−208722(JP,A)
【文献】 特開2001−177596(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0292908(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/154443(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/109750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ユーザ機器内で、パケットサービス(PS)コールを管理する方法であって、
回線サービス(CS)コールが進行中に、PSコールの要求を前記移動通信ユーザ機器において実行されているバックグラウンドタスクから受信することと、
前記要求を前記バックグラウンドタスクから受信することに応じて、前記進行中のCSコールに関係する複数のエアインターフェイスパラメータを評価することと、
前記評価に基づいて、前記PSコールをブロックするべきかどうか判断することと、を含む方法。
【請求項2】
前記バックグラウンドタスクが、前記モバイル機器においてまた実行されるもう1つのバックグラウンドタスクよりも、PSコールを確立する優先度が低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のエアインターフェイスパラメータが、サービス供給基地局からの受信信号強度と、前記サービス供給基地局へのユーザ機器送信電力とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記要求を前記バックグラウンドタスクから受信することに応じて、前記移動通信ユーザ機器によりPSコールブロックの記憶された履歴にアクセスすることを更に含み、前記PSコールをブロックすべきかどうかの前記判断が、前記記憶された履歴に更に基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記判断が、a)前記サービス供給基地局からの受信信号コード電力(RSCP)が所定の閾値を下回り、及びEcNoが所定の閾値を下回り、かつ、b)前記記憶された履歴が、PSコールブロックが最大数よりも少なくなったことを示すときに、前記PSコールをブロックすることである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記判断が、a)ユーザ機器送信電力が所定の閾値よりも大きく、かつ、b)前記記憶された履歴が、PSコールブロックが最大数よりも少なくなったことを示すときに、前記PSコールをブロックすることである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記PSコールをブロックする前記判断に応じてタイマーを開始することと、
前記タイマーの終了で、かつ、前記CSコールがまだ進行中のとき、前記進行中のCSコールに関係する複数のエアインターフェイスパラメータを評価し、その後、前記評価に基づいて前記PSコールをブロックするべきかどうか判断することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記PSコールをブロックする前記判断に応じてタイマーを開始することと、
前記タイマーの終了で、かつ、前記CSコールがまだ進行中のとき、前記進行中のCSコールに関係する複数のエアインターフェイスパラメータを評価し、その後、前記評価に基づいて前記PSコールをブロックするべきかどうか判断することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記判断が、a)前記サービス供給基地局からの受信信号コード電力(RSCP)が所定の閾値よりも大きい、及び、b)EcNoが所定の閾値よりも大きい、の一方であり、かつユーザ機器送信電力が所定の閾値を下回る、ときに、前記PSコールを許可することである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記判断が、前記記憶された履歴が最大数のPSコールブロックが到達されたことを示すときに、前記PSコールを許可することである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
PSコールブロックがゼロであったことを示すために前記記憶された履歴をリセットすることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサと、
データストレージとを備える、モバイル電話機器であって、前記データストレージが内部に、
前記プロセッサにより実行されたとき、進行中の回線サービス(CS)コールを管理するテレフォニーモジュールと、
前記プロセッサにより実行されたとき、PSコールの要求を前記モバイル機器において実行されているバックグラウンドタスクから受信し、これに応じて、前記進行中のCSコールに関係する複数のエアインターフェイスパラメータを評価し、その後、前記評価に基づいて、前記PSコールをブロックするべきかどうか判断するパケットサービス(PS)コールマネージャと、を記憶する、モバイル電話機器。
【請求項13】
前記データストレージが、前記プロセッサにより実行されたとき、前記機器によりなされたPSコールブロックの記憶された履歴にアクセスすることにより、前記バックグラウンドタスクからの前記PSコール要求に応答する更なる命令を中に記憶し、前記PSコールをブロックするべきかどうかの前記判断が、前記記憶された履歴に更に基づく、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記判断が、前記プロセッサが前記パラメータを評価することにより、a)前記サービス供給基地局からの受信信号コード電力(RSCP)が所定の閾値を下回り、及びEcNoが所定の閾値を下回り、かつ、b)前記記憶された履歴が、PSコールブロックが最大数よりも少なくなったことを示す、と判断したときに、前記PSコールをブロックすることである、請求項13に記載の機器。
【請求項15】
前記判断が、前記プロセッサが前記パラメータを評価することにより、a)ユーザ機器送信電力が所定の閾値よりも大きく、かつ、b)前記記憶された履歴が、PSコールブロックが最大数よりも少なくなったことを示す、と判断したときに、前記PSコールをブロックすることである、請求項13に記載の機器。
【請求項16】
前記データストレージが、前記プロセッサにより実行されたときに、前記PSコールをブロックする前記判断に応じてタイマーを開始し、前記タイマーの終了で、かつ、前記CSコールがまだ進行中のときに、前記進行中のCSコールに関係する複数のエアインターフェイスパラメータを評価し、その後、前記評価に基づいて前記PSコールをブロックするべきかどうか再び判断する、更なる命令を中に記憶する、請求項14に記載の機器。
【請求項17】
前記判断が、前記プロセッサが前記パラメータを評価することにより、a)前記サービス供給基地局からの受信信号コード電力(RSCP)が所定の閾値よりも大きい、及び、b)EcNoが所定の閾値よりも大きい、の一方であり、かつ、ユーザ機器送信電力が所定の閾値を下回る、と判断したときに、前記PSコールを許可することである、請求項12に記載の機器。
【請求項18】
前記判断が、前記記憶された履歴が最大数のPSコールブロックに到達したことを示すときに、前記PSコールを許可することである、請求項13に記載の機器。
【請求項19】
前記データストレージが、前記プロセッサにより実行されたとき、PSコールブロックがゼロであったことを示すために前記記憶された履歴をリセットする更なる命令を中に記憶する、請求項17に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信ネットワークにおけるパケットサービスコール管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上移動通信ネットワークは、現在、セルラー電話又はスマートフォンなどのモバイル機器のユーザにパケットサービス及び回線サービスの両方を同時に提供することができる。回線サービスにより、スマートフォンのユーザは、遠端ユーザと、音声又は映像通話を介して、生の音声による会話など遅延の影響を受けやすいマルチメディア通信に参加することができる。これを回線サービス(CS)コールという。同時に、スマートフォンは、データセッションをリモートサーバと行って、例えばパケットサービス(PS)コールにより可能なるように、ウェブページをダウンロードするか、又は、ジオポジション場所データをアップロードすることができる。移動通信ネットワークプロバイダが進んで加入者に供給するサービスが増えるほど、頻繁に同時のPSコール及びCSコールが発生している。移動通信ユーザ機器が基地局サービス供給システムからの無線周波数(RF)カバレッジが相対的に不良であるエリア内にあるとき、継続中のCSコールがアップリンク損失が原因となってネットワークにより、又は、ダウンリンク損失が原因となってユーザ機器により中断される確率が高くなる。潜在的なCSコール中断の1つの特定のシナリオは、ユーザ機器において実行されているバックグラウンドタスクにより要求されたPSコールが確立されているときに、CSコールが進行中の場合である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、特にユーザ機器が不良なRFカバレッジ領域内にあると分かったとき、進行中の回線サービス(CS)コールの接続保持性(retainability)を向上させるように、移動通信ユーザ機器内でパケットサービス(PS)コールを管理する方法である。この方法は、CSコールが進行中の間に、PSコールを確立する要求をバックグラウンドタスクから受信することを含む。これに応じて、進行中のCSコールに関係するいくつかのエアインターフェイスパラメータが、PSコールをブロックするべきかどうか判断するために自動的に評価される。この技法は、(新しいPSコールを確立するための)要求側バックグラウンドタスクが、ユーザ機器においてまた実行されている場合があるもう1つのバックグラウンドタスクよりも優先度が低いときに有用であり得る。このような優先度が低いバックグラウンドタスクの例としては、バックグラウンドに移動されたゲームアプリケーション、場所サービスタスク、及び、バックグラウンド内の電子メールクライアントが挙げられ、これらの全ては、任意の所与の瞬間にてインターネットでリモートサーバにアクセスする必要があり得る。
【0004】
要求されたPSコールをブロックするかどうかの判断は、ユーザ機器により行われたPSコールブロックの記憶された履歴に更に基づくことができる。例えば、この判断は、サービス供給基地局からの受信信号コード電力(RSCP)が所定の閾値を下回り、かつEcNoと知られているパラメータも所定の閾値を下回り、一方、記憶された履歴がPSコールブロックは最大数よりも少なくなったことを示すときに、PSコールをブロックすることとすることができる。あるいは、この判断は、ユーザ機器送信電力が所定の閾値よりも大きく、及び、記憶された履歴がPSコールブロックは最大数よりも少なくなったことを示すときに、PSコールをブロックすることとすることであり得る。
【0005】
本発明の別の実施形態は、プロセッサと、テレフォニーモジュール及びPSコールマネージャが内部に記憶されているデータストレージとを有する、モバイル電話機器(例えば、スマートフォン)である。テレフォニーモジュール(プロセッサにより実行されたとき)は、進行中のCSコールを管理する。PSコールマネージャは、その後、モバイル機器において実行されているバックグラウンドタスクからのPSコールを確立する要求を受信することができ、これに応じて、進行中のCSコールに関係するいくつかのエアインターフェイスパラメータを評価する。その上で、PSコールマネージャは、その後、PSコールをブロックするべきかどうか判断する。エアインターフェイスパラメータとしては、サービス供給基地局からの受信信号強度、及び、(進行中のCSコールに関連した)サービス供給基地局へのユーザ機器送信電力を挙げることができる。判断がPSコールをブロックすることであるとき、PSコールマネージャは、(PSコールをブロックする判断に応じて)タイマーを開始することができる。タイマーの終了で、かつ、CSコールがまだ進行中のとき、PSコールマネージャは、再び、エアインターフェイスパラメータを評価し、その後、PSコールをブロックし続けるべきかどうか判断することができる。
【0006】
判断がPSコールを許可することであるとき、記憶された履歴がPSコールブロックの最大数に到達したことを示すので、その後、PSコールマネージャは、バックグラウンドタスクから来る次のPSコール要求に備えて、PSコールがゼロであったことを示すために、記憶された履歴をリセットすることができる。
【0007】
上記概要には、本発明の全ての態様の網羅的なリストを挙げてはいない。本発明には、前述でまとめた種々の態様の全ての好適な組み合わせからの実施可能な全てのシステム及び方法が含まれ、並びに以下の詳細な説明で開示されるもの、特に出願とともに提出された請求項において指摘されるものが含まれると考えられる。このような組み合わせには、上記概要では具体的には説明されていない特定の優位性がある。
【0008】
本発明の実施形態を、例として、限定としてではなく、添付の図面の図に例示する。図面では同様の参照符号は同様の要素を示す。なお本開示において「an」又は「1つの」本発明の実施形態に言及する場合、それは必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、少なくとも1つを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】同時進行中のPSコール及びCSコールを示す移動通信ネットワークのブロック図である。
図2】同時進行中のCS及びPSコールをサポートする別の移動通信ネットワークのブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る移動局又は移動通信ユーザ機器の関連の部分のソフトウェア及びハードウェアが組み合わされた図である。
図4】移動通信ユーザ機器において実行されているPSコールマネージャにより実行することができるアルゴリズムの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。詳細について多く説明されるが、当然のことながら、本発明のいくつかの実施形態は、これらの詳細なしに実施してもよい。他の例では、本説明の理解を不明瞭にすることがないように、周知の回路、構造、及び技術は、詳細には示されていない。
【0011】
図1は、PSコール及びCSコールを示す地上移動通信ネットワークのブロック図である。移動通信ネットワークは、本発明の実施例が実行される移動局2を含む。移動局2を移動通信ユーザ機器又はモバイル電話機器ともいう。機器は、ネットワークを介して配信される移動通信サービスの受信者でもあり得るユーザにより通常、購入される家電装置である。例としては、セルラー電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、及び、ラップトップ又はノートパソコンがある。機器は、音声通話及びビデオ通話(例えば、セルラー電話通話)ともいう双方向リアルタイム音声通信が可能である。このような通話では、通信ネットワークの遠端にてユーザと別のユーザとの間の自然な響きの音声による会話を可能にするために、ネットワークが十分に短い通信信号遅延を確保するように十分なネットワークリソースを確保するという観点からサービスの品質(QoS)を保証することが必要とされる。遠端ユーザは、例えば、公衆交換電話網(PSTN)9のエンドノードである地上通信線電話ユーザ機器15を介して会話を行っている場合がある。このような音声又はビデオ通話は、従来、音声通話は、基本電話サービス(POTS)によりコールに割り当てられ、かつ、コールの持続時間全体にわたって近端ユーザ局及び遠端ユーザ局をそこを介して接続するように構築された専用回線により必要とされたQoSを保証されていたので、回線サービス(CS)コールと本明細書でいう例である。
【0012】
本明細書で使用されるようなCSコールは、遅延の影響を受けやすい通信を対象とする無線サービスである。CSコールは、ビット誤り率及び異なるルーティング遅延の影響をより受けやすい用途を対象とするものである。このような通信の例としては、双方向のリアルタイム又はライブ音声テレフォニーがある。先に示唆されているように、CSコールは、一定の遅延QoSを保証することができるサービスとすることができる。これは、以下で説明するようなパケットサービス(PS)コール、つまり、移動局2も供給することができるサービス)とは対照的である。
【0013】
PSコールは、電子メール、チャット、マルチメディアメッセージサービス(MMS)、MP3ストリーミング、多者間ゲーム(multi-party gaming)、電子銀行業務及び電子コマース、無線イメージング、プレゼンス(例えば、セッション初期化ブロトコル(SIP)サービスを使用)及びGPS/場所ベースのサービスなど、遅延耐性インターネットプロトコル(IP)用途向けの無線サービスである。PSコールは、一定の遅延QoSを保証することができないことがあり得る。なお、図1に示すネットワークでは、PSコールは、パケットコアネットワークにおいてパケット交換サービスにより完全に移送され、移動局2を起点、終点として伝達されるべきコンテンツは、(回線コアネットワークにおいて移送される間の)CSコールの場合とは異なり、パケット又はセグメントに分割され、各セグメントは、独自のヘッダ情報を有する。CSコールサービスとPSコールサービスとの別の相違点は、QoSにある。
【0014】
移動通信ネットワークは、同時進行中であるCSコール及びPSコールを提供することができる。換言すると、移動局2のユーザは、PSTN 9上の遠端ユーザ(例えば、地上通信線局15のユーザ)との音声による会話に参加し、一方、同時に、インターネット11を介してアップデート又は通知をサーバ12に送ることができる。これらは、移動局2において実行されているクライアント又はモバイルアプリケーションからの通知であってもよく、これらは、例えば、ゲームサーバ、インスタントメッセージングサーバ(例えば、エンドユーザデスクトップ13は、移動局2において実行されているピアインスタントメッセージングクライアントの存在に関してアラートされるインスタントメッセージングクライアントを含む)、及び、場所サービスサーバを対象としている。
【0015】
同時のPS及びCSコールの実現を可能にするために、移動通信ネットワークは、汎用パケット無線サービス(GPRS)及びユニバーサル移動体通信システム(UMTS)下で第3世代パートナシッププロジェクト(3GPP)により提供される仕様に従うことができる。このアーキテクチャでは、無線アクセスネットワーク(RAN)3は、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))を使用する移動局2とのエアインターフェイスと、トランスポートとして非同期転送モード(ATM)を使用するパケット及び回路コアとの優先配線された(predominantly wired)インターフェイスとを有する。RAN 3は、広帯域BTS(WBT)5、又は、3GPP仕様で説明されているようにノードBとも呼ばれるいくつかの基地局(BTS)を有する。WBT 5は、GSM(登録商標)、広域展開用高速データレート(enhanced data rates for global evolution)(EDGE)及びマイクロ波独立同期(microwave plesiochronous)階層又は同期デジタル階層インターフェイス(PDH又はSDH)用送受信機を含め、多目的無線ソリューションをサポートすることができる。無線アクセスネットワーク3は、ネットワーク動作の判断が行われる基地局コントローラ又は無線ネットワークコントローラ(BSC/RNC)6も含む。CSトラフィック及びPSトラフィック(例えば、音声トラフィック及びデータトラフィック)の妥当なスループットをサポートする高速パケットスイッチを含むことができるネットワーク3は、ネットワーク3に接続されている全てのWBTSの制御も担当し、かつ、回線コア用メディアゲートウェイ(MGW)及び移動交換センターサーバ/ビジターロケーションレジスタ(MSCサーバ/VLR)7とのリンク及びパケットコア用サービス供給GPRSサポートノード(SGSN)8との別個のリンクを介してパケットコア及び回線コアとのリンクを維持する。インターネットサービスへのアクセスは、ゲートウェイGPRSサポートノード10により行われる。
【0016】
回線コアは、MSCサーバ/VLR 7に加えて、PSTN 9における一般電話回線アナログネットワークのゲートウェイとなり得るゲートウェイMSC(GMSC)4との高速データ接続部を含むことができる。回線コアは、通常は音声携帯電話サービス(cellular voice telephony services)を供給するのに使用される従来の汎ヨーロッパデジタル移動通信システム(global system for mobile communications)(GSM)コアネットワークを基本とすることができ、一方、パケットコアは、データサービス(パケット、例えば、IPV4又はIPV6パケットの形のトラフィック、かつ、通常非音声サービスという)を供給する汎用パケット無線サービス(GPRS)コアネットワークとすることができる。GPRSコアネットワークにより、既存のGSM基地局システム基盤を流用することができ、既存のGSM基地局システム基盤は、本来はGSM音声ネットワーク用に設計されたものである。GPRSトラフィックは、サービス供給GPRSサポートノード(SGSN)8を介して、基地局コントローラ又は無線ネットワークコントローラ6によりパケットコアにリダイレクトされる。ホームロケーションレジスタ(HLR)の一般的なGSM機能性、機器アイデンティティレジスタ(EIR)、及び認証センター(AuC)が、移動局2とのCSコール及びPSコールをサポートするために必要とされる。したがって、そのようなGSM機能性は、電子メールを送信しようとしている移動局2のユーザには電話を掛けるときとロケーション情報が何らかの異なる方法で処理されることが必要ないように、パケットサービスにより共有することができる。
【0017】
パケットコアは、無線アクセスネットワークに3を接続して認証及びモビリティ管理を行うSGSN 8を含む。IPバックボーンは、インターネット11のエッジにあるゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)10にSGSN 8を接続して、インターネット11上でのサービスへのアクセスを実現する。インターネットプロトコルは、サービス供給GPRSサポートノード(SGSN)8をゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)10と接続するために使用することができ、移動局2上での電子メール又はウェブ閲覧などのデータサービスが可能となる。
【0018】
図1の従来のアーキテクチャは、図2のアーキテクチャに進化し、回線コアは、ボイスオーバーIP(VoIP)技術辺りを基本とするIPネットワークインフラストラクチャと置き換えられている。移動通信ネットワークは本質的に、ここで図示するようにATMバックボーン上の単一のIPに統合することができるいくつかのIPクラウドで作製される。したがって、IPプロトコルが、通信ネットワーク全体にわたってWBTS 5までずっと拡張される。この場合、ホームロケーションレジスタ、ビジターロケーションレジスタ及びEIRを一般化してHLRサブシステム又はホーム加入者サーバ(HSS)17ということができる。音声通話及び映像通話などのCSコールは、IPマルチメディアサブシステム(IMS)19の導入を介してサポートされる。ここで、本来、CSコールへの言及は、パケットコアから別個だった回線コアを介して確立された通信セッションを指していたが、図2に示す次世代(evolved)モバイル電話ネットワークは、PSコール及びCSコールの両方を同時にサポートするために、SGSN 8及びGGSN 10の現在共有されているコンポーネントを含め、図示する同じコアネットワークインフラストラクチャを使用することを認識されたい。
【0019】
無線アクセスネットワーク(RAN)3は、移動局2と携帯電話コアネットワークとの間のユーザデータの転送を可能にするために、無線アクセスベアラ(RAB)として記述されるサービスをもたらす。コアネットワークとの各ユーザ接続について、RABが、シグナリング又はトラフィックの転送に向けて確立される。要求されてその後に設定された複数のRABがある場合がある。RAB割当て要求は、コアネットワークにおける無線リンク及び関連の無線ベアラの確立を開始するメッセージである。要求は、QoSを満たすために、RNCが無線リンクの必須のリソース割り当てを判断するための必要とされるQoSパラメータ及び他の要件を含む。ここで、PSコールは、CSコールと、即ち、異なるQoSを有する2つのRABの形で区別することができる。
【0020】
移動局2は、アイドルとすることができ、例えば、ページに応じて、又はロケーションアップデートを行うために、ネットワークに接続する準備ができている。接続要求を送って、応答セットアップメッセージを無線ネットワークコントローラ6から受信した後、移動局がこの時点でネットワークと接続されるように接続が移動局2とRNC 6との間で確立される。モバイル機器は、このようにして携帯電話ネットワークと接続されると、セッションを確立するまで、パケットコア上でデータを送受信し始めることができず、これをアクティブパケットデータプロトコルコンテキスト(PDPコンテキスト)という場合がある。PDPコンテキストは、ユーザが、例えば、移動局2内で表示されているメニューをスクロールして、ウェブブラウザ又は音楽ストリーミングプログラムなどのインターネットアプリケーションを選択することにより、特定のサービスを選択するときに必要である。PDPコンテキストアクティブ化により、結果的に、移動局2は、IPアドレスを取得する。外部ネットワーク接続の要求が、移動局からネットワークを介してSGSN 8に伝えられる。その後、SGSN 8は、データを移動局から正しい外部ネットワーク(例えば、インターネット)にルーティングするために使用されることになる正しいGGSN 10の場所を特定する。負荷分散及び冗長性に向けて外部ネットワークに接続された2つ以上のGGSNがある場合がある。PDPコンテキストがこのようにしてアクティブ化されると(更には、したがって、PSコールが確立されると言われ)、その後、ユーザは、外部ネットワーク、この例では、インターネットへのアクセスポイントにより供給されるサービス、例えば、ウェブサーフィン、電子メールチェック、及び音楽ストリーミングを利用することができる。移動局2は、アクティブ化される各々の主要なPDPコンテキストに1つのIPアドレスにて、任意の1つの時間にてアクティブであるいくつかのPDPコンテキストを有することができる。
【0021】
図3をここで参照すると、本発明の実施形態内に係る、移動局2の関連部分のソフトウェア及びハードウェアが組み合わせた図が示されている。図は、生の双方向の音声による会話をそれぞれ近端ユーザ及び遠端ユーザにより行うことができるようにCSコールが既にセットアップされて近端機器と遠端機器(例えば、移動局2及びVOIP局14)との間に確立されていることを意味する、CSコールが進行中である状況も示す。移動局2内のPSコールマネージャ33は、移動局2において実行されているバックグラウンドタスク32からPSコールの要求を受信済みである。図示するようにいくつかのバックグラウンドタスク32_1、32_2、...があり得る。要求側バックグラウンドタスク32は、ゲーム、ロケーションサービス、電子メールクライアント、又は、外部ネットワークへの、即ち、携帯電話コアネットワークの外側のアクセスを必要とすることができる他のバックグラウンドタスクとすることができる。
【0022】
PSコールマネージャ33は、コールをブロックする(最終的には要求側バックグラウンドタスク32に戻る場合があるPSコールブロックを発行する)ことにより、受信されたPSコール要求に応答することができるか、又は、PSコール要求に対応するためにPDPコンテキスト要求を送信することに決める場合がある。これが、図3に点線により示されている。CSコールプロトコルスタック31とともに移動局2において実行されているオペレーティングシステムの一部として存在することができる従来のPSコールプロトコルスタック30に、PDPコンテキスト要求のシグナルを送ることができる。コールプロトコルスタック30、31は、移動局におけるパケットサービスコール及び回路サービスコールを可能にするソフトウェアを開発するアプリケーションプログラミングインタフェースを含む3G−324Mのソフトウェアツールキットの一部とすることができる。PSコールマネージャ33は、図4のアルゴリズムに関連して説明する能力を含め、移動局において実行され、かつ、例えば、テレフォニーアプリケーション24がCSコールの全般を管理することを可能にするソフトウェアの開発者にそのようなソフトウェアツールキットの一部として供給することができることを理解されたい。
【0023】
PSコールマネージャ33は、PSコール要求を受信すると、PSコールをブロックするべきかどうか判断するために、進行中のCSコールに関係するいくつかのエアインターフェイスパラメータを評価。一実施形態では、これらのエアインターフェイスパラメータとしては、サービス供給基地局からの受信信号強度及びサービス供給基地局へのユーザ機器送信電力を挙げることができる。別のエアインターフェイスパラメータは、受信信号コード電力である場合がある。そのようなパラメータは、ベースバンドプロセッサ28により及び/又は無線送受信機27により供給される場合がある。ベースバンドプロセッサ28は、GSM/UMTSベースバンドプロセッサとすることができるか、又は、EDGE/HSPAマルチモード、マルチバンドセルラー送受信機とインターフェイスするHSPA/EDGEマルチメディアベースバンドプロセッサとすることができる。
【0024】
PSコールマネージャ33は、(PSコール要求を受信すると)、エアインターフェイスパラメータを評価するだけではなく、移動局2によるPSコールブロックの記憶された履歴にアクセスすることができる。現在のPSコールをブロックするべきかどうかに関する判断は、記憶された履歴に更に基づく。意思決定プロセスの様々なアルゴリズムの詳細を図4に関連して以下に示す。
【0025】
図3を更に参照すると、移動局2は、進行中のCSコール中にいくつかのグラフィカルオブジェクト21〜23を表示することができるユーザインタフェースタッチスクリーン20を含むことができる。これらには、発呼の場合、被呼者の名前、電話番号又は住所を表示するコール識別子オブジェクト21が含まれる。あるいは、コール識別子オブジェクトは、入呼の場合、発呼者の名前、電話番号又は住所を表示する。入呼又は発呼の経過時間を示す経過時間オブジェクト22も図示されている。最後に、これはタッチスクリーンユーザインタフェースであるので、ミュートボタン、スピーカーフォンボタン及びハングアップ又は終了ボタンを含む送受話器(telephony handset)に通常は存在するいくつかの仮想ボタンを含むキーパッドオブジェクト23がある。タッチスクリーン20に代わるものとして、別個のディスプレイ及びキーボード又はキーパッドが設けられる場合がある。スピーカ25及びマイク26は、セルラー電話又はスマートフォンハンドセットの一端に位置するイヤホンスピーカ又は受信器及び別の端部の主要又はスピーカマイクなど、移動局2の筐体内に一体化することができる。あるいは、スピーカ25及びマイク26は、ケーブル接続を介して、又は、無線接続を介してハンドセットに通信上結合されるヘッドホンの一部とすることができる。
【0026】
図4をここで参照すると、PSコールマネージャ33により実行することができるアルゴリズムの流れ図が示されている。このアルゴリズムの実行は、部分的に発生し得る。換言すると、図示する分岐部及び状態の全てが、各インスタンスにおいて必要とされるというわけではない。このプロセスは、バックグラウンドタスク32から受信される着信PSコール要求によりトリガすることができる。これは、低優先度バックグラウンドタスク、つまり、バックグラウンドタスクからの低優先度要求(図4では「低優先度PSバックグラウンドコール要求」と集合的にいう)とすることができ、バックグラウンドタスクは、移動局2において実行されている場合もあれば、そうでない場合もあるフォアグラウンドタスクの優先度よりも、PSコールを確立する優先度が低い。移動局2において実行されている少なくとも1つの高優先度バックグラウンドタスクがある場合もある。代案として、図4のアルゴリズムは、要求側バックグラウンドタスクの優先度に関係なく、任意のPSコール要求に適用することができる。
【0027】
PSコール要求が受信されると、進行中であるCSコールがない場合(ブロック41)、PSコールが続行することを許可することができる(ブロック42)、即ち、PSコールマンジャ33は、PSコールプロトコルスタック30を介してPDPコンテキスト要求を送信することができる(図3を参照)。しかしながら、PSコール要求が継続中のCSコール中に受信された場合(ブロック41)、ブロック43に示す状態の1つ以上が評価され、その結果として、以下の結果が発生する場合がある。1つの結果では、判断は、以下の2つの状態が満たされる、即ち、サービス供給基地局からの測定された受信信号コード電力(RSCPmeas.)が所定の閾値(RSCPthreshold)を下回り、一方、測定されたEcNoも所定の閾値(EcNothreshold)を下回り、PSコールブロックの記憶された履歴が、PSコールブロックは最大数より少なくなったことを示すとき、PSコールをブロックすることである(ブロック45)。別の結果では、判断は、以下の2つの状態が満たされる、即ち、ユーザ機器送信電力(UETX)が、所定の閾値(TXthres)よりも大きく、記憶された履歴が、PSコールブロックは最大数より少なくなったことを示すとき、PSコールをブロックすることである(ブロック45)。両方のインスタンスでは、判断がPSコール(ブロック45)をブロックすることであるとき、タイマーの終了で、かつ、CSコールがまだ進行中のときに、1つ以上のエアインターフェイスパラメータが、PSコールをブロックし続けるべきかどうか判断するために再評価されるように、PSコールをブロックする判断に応じてタイマーを開始することができる。換言すると、ブロック45で記載されているように、PSバックグラウンドコール要求は、一定の時間間隔にわたってブロックされ、その後、タイマーが満了した後に(タイマー間隔がTblockと示されている)、ブロック43内の1つ以上の状態が再評価される。
【0028】
別の結果では、ブロック43内の状態の評価により、結果的に、PSコールを許可する判断となる(ブロック42)。1つのインスタンスでは、これは、サービス供給基地局からの測定されたRSCPが閾値よりも大きいか、又は、測定されたEcNoが所定の閾値を上回り、一方、ユーザ機器送信電力UETXが所定の閾値を下回るときに発生する。別の結果では、判断は、記憶された履歴が最大数のPSコールブロックに到達したことを示すとき、PSコールを許可することである。両方の場合、判断がPSコールを許可することである(ブロック42)場合、記憶された履歴は、PSコールブロックがゼロがあったことを示すためにリセットすることができる。その時点まで、ブロック45に到達するたびに、コールブロック(Nblocked)の数をカウントする変数が増分される。先述したアルゴリズムは、様々な結果を含め、移動局2において同時に存在する複数のRAB(例えば、異なるQoSを有する少なくとも2つ)が原因となるコールの中断の可能性を低減すると考えられる方法で、低優先度PSバックグラウンドコール要求を選択的にブロックする効率的な技法となる。
【0029】
先に説明したように、本発明の実施形態は、1つ以上のデータ処理コンポーネント(全体的に「プロセッサ」と本明細書でいう)が、PSコールマネージャに関連して先述したデジタル動作を実行するようにプログラムする命令が記憶された機械可読媒体(超小型電子技術によるメモリなど)とすることができる。他の実施形態では、これらの動作の一部は、結線論理回路(例えば、専用デジタルフィルタブロック)を含む特定のハードウェアコンポーネントにより実行されてもよい。それらの動作は、あるいは、プログラムされたデータ処理コンポーネント及び固定された結線回路(hardwired circuit)コンポーネントの任意の組み合わせにより実行されることがあり得る。
【0030】
ある実施形態について説明し添付の図面に示してきたが、当然のことながら、このような実施形態は大まかな発明を単に例示するものであってそれを限定するものではなく、また、本発明は図示及び説明した特定の構成及び配置には限定されない。なぜならば、他の種々の変更が当業者に想起され得るからである。例えば、図1及び2で説明した携帯電話ネットワークアーキテクチャは、UMTS地上無線アクセスネットワークと、UMTSコア(回線及びパケット)とを有する。PSコールマネージャは、あるいは又は更に、業界の他の一般に普及している地上移動セルラーネットワーク(mobile terrestrial cellular network)仕様を遵守する移動局内のPSコールを管理するように構成することができる。これらとしては、IEEE 802.16mで説明されているようなWiMax 2を特徴とするIMT−Advanced(International Mobile Telecommunications Advanced)、OFDMA(直交直交周波数分割多元接続)、及び、System Architecture Evolution(SAE)コアの別名でも知られるEvolved Packet Core(EPC)を特徴とする3GPP Technical Report(TR)36.913で説明されているようなLTE−Advanced(ロングタームエボリューション)などの無線インターフェイス技術及びコアネットワークアーキテクチャがある。したがって、説明は、限定的ではなく例示的であるとみなされる。
図1
図2
図3
図4