(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の敷砂4の敷設方法では、軟弱な海底地盤1の勾配(傾斜)がきつい場合や、潮流が速い場合には、海底地盤1上に敷砂4を均一に敷設することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、傾斜がきつく、流れが速い場合等でも海底や川底等の軟弱な水底地盤上に敷砂を安定して均一に敷設することができる敷砂の敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項
1の発明は、
敷砂の材料砂を水上の作業船にて複数個の袋体内にそれぞれ充填し、この複数個の材料砂を充填した袋体を前記作業船から降下させて軟弱な水底地盤上に直に敷設する敷砂の敷設方法であって、前記複数個の材料砂を充填した袋体を前記作業船に昇降動自在に設けられた砂杭造成用中空管に吊し、前記砂杭造成用中空管を降下させて前記水底地盤上で前記複数個の材料砂を充填した袋体を切り離すことにより敷設することを特徴とする。
【0009】
請求項
2の発明は、請求項
1記載の敷砂の敷設方法であって、前記複数個の材料砂を充填した袋体を前記水底地盤上に並べて格子状に囲むように敷設し、この複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の前記水底地盤中に前記砂杭造成用中空管を介して砂杭を造成することを特徴とする。
【0010】
請求項
3の発明は、請求項
1記載の敷砂の敷設方法であって、前記複数個の材料砂を充填した袋体を前記水底地盤上に並べて格子状に囲むように敷設し、この複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の前記水底地盤上にサンドマットを造成することを特徴とする。
【0011】
請求項
4の発明は、請求項
1記載の敷砂の敷設方法であって、前記複数個の材料砂を充填した袋体を前記水底地盤上に並べて格子状に囲むように敷設し、この複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の前記水底地盤中に前記砂杭造成用中空管を介して砂杭を造成すると共に、該複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の前記水底地盤上にサンドマットを造成することを特徴とする。
【0013】
請求項
5の発明は、
複数個の袋体として略円筒状で長尺の袋体を用い、この複数個の略円筒状で長尺の袋体内に敷砂の材料砂を水上の作業船にて略円柱状にそれぞれ充填し、この複数個の材料砂を充填した略円柱状の袋体を、前記作業船から降下させて軟弱な水底地盤上に直に敷設する敷砂の敷設方法であって、前記複数個の材料砂を充填した略円柱状の袋体を、前記作業船を水深の深い位置から浅い位置へ移動しながら順次前記作業船から降下させて隣接する両端部を合わせて長尺に直に敷設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、材料砂を水上の作業船にて複数個の袋体内にそれぞれ充填し、この複数個の材料砂を充填した袋体を作業船から降下させて水底地盤上に直に敷設することにより、水底地盤の傾斜がきつく、流れが速い場合等でも軟弱な水底地盤上に敷砂を安定して均一に敷設することができる。
【0015】
特に、請求項
1の発明によれば、複数個の材料砂を充填した袋体を作業船に昇降動自在に設けられた砂杭造成用中空管に吊し、この砂杭造成用中空管を降下させて水底地盤上で複数個の材料砂を充填した袋体を切り離すことで敷設することにより、簡単な構造により、砂杭造成用中空管を効率良く使用して水底地盤上に敷砂を低コストで簡単かつ確実に敷設することができる。
【0016】
請求項
2の発明によれば、複数個の材料砂を充填した袋体を水底地盤上に並べて格子状に囲むように敷設し、この複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の水底地盤中に砂杭造成用中空管を介して砂杭を造成することにより、軟弱で傾斜した水底地盤でもその地盤改良を簡単かつ確実に行うことができる。
【0017】
請求項
3の発明によれば、複数個の材料砂を充填した袋体を水底地盤上に並べて格子状に囲むように敷設し、この複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の水底地盤上にサンドマットを造成することにより、水底地盤上にサンドマットを低コストで確実にかつより均一に敷設することができる。
【0018】
請求項
4の発明によれば、複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の水底地盤中に砂杭造成用中空管を介して砂杭を造成すると共に、該複数個の材料砂を充填した袋体から成る各格子状の部分内の水底地盤上にサンドマットを造成することにより、砂杭造成用中空管を効率良く使用して、水底地盤上に砂杭とサンドマットを低コストで確実に造成することができる。
【0019】
請求項
5の発明によれば、複数個の袋体として略円筒状で長尺の袋体を用い、この複数個の略円筒状で長尺の袋体内に材料砂を水上の作業船にて略円柱状にそれぞれ充填し、この複数個の材料砂を充填した略円柱状の袋体を、作業船から降下させて水底地盤上に直に敷設することにより、軟弱で傾斜した水底地盤でもその地盤改良を簡単かつより確実に行うことができる。
【0020】
特に、請求項
5の発明によれば、複数個の材料砂を充填した略円柱状の袋体を、作業船を水深の深い位置から浅い位置へ移動しながら順次作業船から降下させて隣接する両端部を合わせて長尺に直に敷設することにより、水底地盤の傾斜がきつく、流れが速い場合でも軟弱な水底地盤上に敷砂を安定して均一に敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態の敷砂施工に用いられる作業船の船首部分の斜視図である。
【
図2】(a)は上記作業船の船首部分の側面図、(b)は同船首部分の正面図である。
【
図3】(a)は上記作業船の砂杭造成用中空管に敷砂の材料砂を充填する袋体を吊り下げた状態を示す側面図、(b)は同袋体を吊り下げた状態を示す正面図である。
【
図4】上記砂杭造成用中空管から材料砂を充填したブロック状の袋体を切り離した状態を示す説明図である。
【
図5】上記作業船で材料砂を袋体に充填する状態を示す説明図である。
【
図6】上記作業船で全ての袋体に材料砂を充填した状態を示す説明図である。
【
図7】上記作業船から海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を降下させた状態を示す説明図である。
【
図8】上記材料砂を充填したブロック状の袋体を海底地盤に敷設した状態を示す説明図である。
【
図9】上記海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を菱形の格子状に敷設した後で砂杭とサンドマットを造成した状態を示す平面図である。
【
図10】(a)は上記海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を全て敷設した状態を示す断面図、(b)は同ブロック状の袋体上に構築した捨石の上にケーソンを構築した状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態の敷砂施工に用いられる作業船の砂杭造成用中空管で敷砂の材料砂を充填する略円筒状の袋体を吊り下げた状態を示す説明図である。
【
図12】上記砂杭造成用中空管内に略円筒状の袋体を吊り下げて収納した状態を示す説明図である。
【
図13】上記略円筒状の袋体内に材料砂を充填する状態を示す説明図である。
【
図14】上記材料砂を充填した略円柱状の袋体を作業船から海中に降下させる状態を示す説明図である。
【
図15】上記材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設する途中の状態を示す説明図である。
【
図16】上記材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設した状態を示す説明図である。
【
図17】上記材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設した後で砂杭造成用中空管を上昇させた状態を示す説明図である。
【
図18】上記海底地盤に材料砂を充填した略円柱状の袋体を菱形の格子状に敷設した後で砂杭とサンドマットを造成した状態を示す平面図である。
【
図19】(a)は上記海底地盤に材料砂を充填した略円柱状の袋体を全て敷設した状態を示す断面図、(b)は同略円柱状の袋体上に構築した捨石の上にケーソンを構築した状態を示す断面図である。
【
図20】従来の敷砂施工で海底地盤に敷砂の材料砂を敷設した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施形態の敷砂施工に用いられる作業船の船首部分の斜視図、
図2(a)は船首部分の側面図、
図2(b)は船首部分の正面図、
図3(a)は作業船の砂杭造成用中空管に敷砂の材料砂を充填する袋体を吊り下げた状態を示す側面図、
図3(b)は同袋体を吊り下げた状態を示す正面図、
図4は砂杭造成用中空管から材料砂を充填したブロック状の袋体を切り離した状態を示す説明図、
図5は作業船で材料砂を袋体に充填する状態を示す説明図、
図6は作業船で全ての袋体に材料砂を充填した状態を示す説明図、
図7は作業船から海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を降下させた状態を示す説明図、
図8は材料砂を充填したブロック状の袋体を海底地盤に敷設した状態を示す説明図、
図9は海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を菱形の格子状に敷設した後で砂杭とサンドマットを造成した状態を示す平面図、
図10(a)は海底地盤に材料砂を充填したブロック状の袋体を全て敷設した状態を示す断面図、
図10(b)はブロック状の袋体上に構築した捨石の上にケーソンを構築した状態を示す断面図である。
【0024】
図1、
図2及び
図5〜
図8に示すように、この第1実施形態の敷砂施工に用いられる作業船10は、海上(水上)31より軟弱で傾斜した海底地盤(水底地盤)30上に敷砂41の材料砂40を敷設したり、海底地盤30中に砂杭42等を造成して地盤改良を行うものであり、その船体11の船首11aには、矩形の開口部11bが設けられている。この開口部11bに沿って船首11a上には、3本のリーダー12をそれぞれ垂直に立設している。この各リーダー12には、オーガー(駆動機)13を介してケーシング(砂杭造成用中空管)14を回転かつ昇降動自在に設けている。このケーシング14内には、砂供給用のホッパー15から敷砂41や砂杭42やサンドマット(敷砂)43の材料となる材料砂40が供給される。尚、材料砂40としては、海砂や土砂や砕石等が用いられる。
【0025】
図2(a),(b)に示すように、各リーダー12の正面12aに沿って昇降するオーガー13には、図示しないウインチに基端側が巻き付けられたワイヤ13aを連結してあり、このウインチの駆動によりオーガー13がリーダー12に沿って昇降動することで、ケーシング14がリーダー12に沿って昇降動するようになっている。また、オーガー13に内蔵された図示しないモータ及び歯車機構等によりケーシング14が回転するようになっている。さらに、各リーダー12の周辺には、材料砂40の砂量を管理・貯蔵する移動バスケット16をワイヤ16aにより上下方向に移動自在に設けている。
【0026】
また、
図3(a),(b)及び
図4に示すように、各ケーシング14の先端の掘削ビッド14aには、丸孔14bを形成してある。この掘削ビッド14aの丸孔14bとH鋼等からなる棒状の1本の吊り治具17から突出した各ブラケット18の丸孔18aとには、ワイヤ19を掛け渡してある。この各ワイヤ19を介して各ケーシング14に吊り治具17が水平に懸架されている。
【0027】
この吊り治具17の両下側のレール部17a,17aには、ローラ21を介してコ字状の走行体20を移動自在に設けてある。この走行体20の下面にはコ字状のブラケット22を取り付けてある。このコ字状のブラケット22には、油圧シリンダ23のピストンロッド23aが進退動自在に設けられている。
【0028】
そして、
図3(a)に示すように、ピストンロッド23aの進動時に、有底で円筒状短尺の円筒状の袋体50の開口端に設けられたワイヤ50aが引っ掛けられることで、吊り治具17に複数個(この実施形態では例えば11個)の袋体50が吊り下げられるようになっている。さらに、
図4に示すように、ピストンロッド23aの退動時に、ピストンロッド23aから袋体50のワイヤ50aが切り離されることで、吊り治具17から袋体50が切り離されるようになっている。尚、各袋体50内には移動バスケット16から材料砂40が充填されて袋詰めされるようになっている。
【0029】
次に、第1実施形態の作業船10による敷砂施工を
図5〜
図8を用いて順に説明する。
【0030】
まず、
図5に示すように、海上31の作業船10の船首11aにて、各ケーシング14の先端に懸架された吊り治具17に走行体20を介して空の袋体50をセットし、吊り治具17に吊り下げられた空の袋体50内に移動バスケット16より敷砂41の材料砂40を順次充填してブロック状に袋詰めする。材料砂40を袋詰めされたブロック状の袋体50は、吊り治具17のレール部17aに沿って走行する走行体20を介して片側に隙間なく順次寄せておく。
【0031】
次に、
図6に示すように、材料砂40を充填して片側に隙間なく寄せられた複数個のブロック状の袋体50を吊り治具17に吊り下げた状態で、海底地盤30上の沈める位置まで図示しないGPSにて作業船10の位置を検出しながら移動させてセットする。
【0032】
次に、
図7に示すように、水深計GLにて海底地盤30の水深を確認しながら、各ケーシング14を同時に降下させて材料砂40を充填して片側に隙間なく寄せられた複数個のブロック状の袋体50を海底地盤30上に沈めて着地させる。この片側に隙間なく寄せられた複数個のブロック状の袋体50が海底地盤30上に着地した後で、各走行体20に取り付けられた油圧シリンダ23のピストンロッド23aを退動させて、吊り治具17に吊り下げられた各袋体50のワイヤ50aを切り離すことで、地盤改良する海底地盤30上に複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を隙間なく直にそのまま一直線に敷設する。
【0033】
次に、
図8に示すように、各ケーシング14を上昇させ、吊り治具17に空の袋体50をワイヤ50aを介して吊り下げて、材料砂40の袋詰め作業と袋詰めされた袋体50の海底地盤30上への降下作業を、作業船10を水深の深い位置から浅い位置へ移動させながら順次繰り返し行う。
【0034】
この繰り返し作業は、
図9に示すように、斜めに平行に、かつ、クロスさせて行い、複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を海底地盤30上にて連続した畝状(凸状)に並べて格子状に囲むように順次敷設し、各格子状の部分45を菱形に形成して行く。これら複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50による敷砂41の敷設の完成状態を
図10(a)に示す。
【0035】
そして、
図9に示すように、複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50から成る菱形の各格子状の部分45内の海底地盤30中にケーシング14を介して砂杭42を複数本それぞれ造成する。この後、各格子状の部分45内の海底地盤30上に材料砂40をケーシング14の先端開口より吐出して各格子状の部分45内にサンドマット43を更に造成する。
【0036】
次に、
図10(b)に示すように、軟弱で傾斜した海底地盤30上に敷砂41の材料砂40を敷設し、砂杭42とサンドマット43を造成して地盤改良した上に、捨石60を施した後で、コンクリートケーソン61を構築して埋め立てする。
【0037】
このように、海上31の作業船10にて敷砂41の材料砂40を複数個の袋体50内にブロック状にそれぞれ充填して袋詰めし、この複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を作業船10からケーシング14を介して降下させて海底地盤30上に隙間なく直に敷設することにより、海底地盤30の傾斜がきつく、潮流が速い場合等でも、軟弱で傾斜した海底地盤30上に敷砂41及びサンドマット43を安定して均一に敷設することができる。
【0038】
また、複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を作業船10のリーダー12に沿ってに昇降動自在に設けられたケーシング14に吊り治具17等を介して吊り下げ、このケーシング14を降下させて海底地盤30上で複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を切り離すことで敷設することにより、吊り治具17等を追加する簡単な構造により、現状の作業船10のリーダー12に設けられたケーシング14を効率良く使用して、海底地盤30上に敷砂41を低コストで簡単かつ確実に敷設することができる。
【0039】
また、複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50を海底地盤30上にて連続した畝状に並べて格子状に囲むように敷設し、これら複数個の材料砂40を充填して詰めたブロック状の袋体50から成る菱形の各格子状の部分45内の海底地盤30中にケーシング14を介して複数本の砂杭42を造成することにより、軟弱で傾斜した海底地盤30の地盤改良を簡単かつ確実に行うことができる。
【0040】
さらに、各格子状の部分45内の海底地盤30上にケーシング14の先端開口より材料砂40を吐出して各格子状の部分45内にサンドマット43を更に造成することにより、現状の作業船10のリーダー12に設けられたケーシング14を効率良く使用して、海底地盤30上に敷砂41とサンドマット43を低コストで確実かつより均一に敷設することができる。
【0041】
図11は本発明の第2実施形態の敷砂施工に用いられる作業船の砂杭造成用中空管で敷砂の材料砂を充填する略円筒状の袋体を吊り下げた状態を示す説明図、
図12は砂杭造成用中空管内に略円筒状の袋体を吊り下げて収納した状態を示す説明図、
図13は略円筒状の袋体内に材料砂を充填する状態を示す説明図、
図14は材料砂を充填した略円柱状の袋体を作業船から海中に降下させる状態を示す説明図、
図15は材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設する途中の状態を示す説明図、
図16は材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設した状態を示す説明図、
図17は材料砂を充填した略円柱状の袋体を海底地盤に敷設した後で砂杭造成用中空管を上昇させた状態を示す説明図、
図18は海底地盤に材料砂を充填した略円柱状の袋体を菱形の格子状に敷設した後で砂杭とサンドマットを造成した状態を示す平面図、
図19(a)は海底地盤に材料砂を充填した略円柱状の袋体を全て敷設した状態を示す断面図、
図19(b)は略円柱状の袋体上に構築した捨石の上にケーソンを構築した状態を示す断面図である。
【0042】
図11〜
図17に示すように、この第2実施形態の敷砂施工に用いられる作業船10は、前記第1実施形態の敷砂施工用と同様であり、その船体11の船首11aにリーダー12を垂直に立設しており、このリーダー12には、オーガー(駆動機)13を介してケーシング(砂杭造成用中空管)14を回転かつ昇降動自在に設けている。このケーシング14内には、図示しないウインチにより巻き付け、巻き戻しされるワイヤ13bを介して有底で長尺の略円筒状の袋体51を吊り下げて収納できるようになっている。即ち、ワイヤ13bの先端には円環状の取付体25を連結してあり、この円環状の取付体25は、有底で長尺の略円筒状の袋体51の開口端に着脱自在に取り付けられるようになっている。そして、ケーシング14内に収納された空の略円筒状の袋体51には、砂供給用のホッパー15から敷砂41の材料となる材料砂40が供給されて充填されるようになっている。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
次に、第2実施形態の作業船による敷砂施工法を、
図11〜
図17を用いて順に説明する。
【0044】
まず、
図11に示すように、海上31の作業船10の船首11aにて、ケーシング14の先端から露出したワイヤ13bの先端に連結された円環状の取付体25に、有底で長尺の略円筒状の袋体51を取り付ける。
【0045】
次に、
図12に示すように、ワイヤ13bを巻き上げてケーシング14内に略円筒状の袋体51を吊り下げて収納する。
【0046】
次に、
図13に示すように、ケーシング14内に吊り下げられて収納された空の袋体51内に移動バスケット16より敷砂41の材料砂40を充填してブロック状に袋詰めする。
【0047】
次に、材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51をケーシング14内に吊り下げて収納した状態で海底地盤30上の沈める位置まで、図示しないGPSにて作業船10の位置を検出しながら移動させてセットする。
【0048】
次に、
図14に示すように、水深計GLにて海底地盤30の水深を確認しながら、ケーシング14を下降させて材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51の先端を海底地盤30上に沈めて着地させる。この際、海底地盤30に既に敷設された略円柱状の袋体51がある場合には、その開口端側にケーシング14を介して降下させた今回の略円柱状の袋体51の底面側を隙間なく合わせて着地させる。
【0049】
次に、
図15に示すように、作業船10を水深の深い位置から浅い位置へ移動しながらケーシング14を更に下降させて、材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を海底地盤30上に着地させる。
【0050】
そして、
図16に示すように、材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を海底地盤30上に全て着地した後で、取付体25を図示しない所定手段にて自動で切り離すことにより、地盤改良する海底地盤30上に材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を直にそのまま一直線に敷設する。
【0051】
次に、
図17に示すように、ケーシング14を上昇させ、同様に、ケーシング14内に次の空の袋体51を吊り下げ、この吊り下げた空の袋体51内に材料砂40を袋詰めし、この材料砂40が袋詰めされた袋体51の海底地盤30上への降下・着地作業を、作業船10を水深の深い位置から浅い位置へ移動させながら順次繰り返し行う。
【0052】
この繰り返し作業は、
図18に示すように、斜めに平行に、かつ、クロスさせて行い、材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を海底地盤30上にて連続した畝状(凸状)に並べて格子状に囲むように順次敷設し、各格子状の部分45を菱形に形成して行く。これら材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51による敷砂41の敷設の完成状態を
図19(a)に示す。
【0053】
そして、
図18に示すように、複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51から成る菱形の各格子状の部分45内の海底地盤30中にケーシング14を介して砂杭42を複数本それぞれ造成する。この後、各格子状の部分45内の海底地盤30上に材料砂40をケーシング14の先端開口より吐出して各格子状の部分45内にサンドマット43を更に造成する。
【0054】
次に、
図19(b)に示すように、軟弱で傾斜した海底地盤30上に敷砂41の材料砂40を敷設し、砂杭42とサンドマット43を造成して地盤改良した上に、捨石60を施した後で、コンクリートケーソン61を構築して埋め立てする。
【0055】
このように、材料砂40を海上31の作業船10において複数個の略円筒状で長尺の袋体51内に略円柱状にそれぞれ充填して袋詰めし、この複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を、作業船10を水深の深い位置から浅い位置へ移動しながら順次作業船10から降下させて隣接する両端部を合わせて長尺に隙間なく直に一直線に敷設することにより、海底地盤30の傾斜がきつく、潮流が速い場合等でも、軟弱な海底地盤30上に敷砂41を安定して均一に敷設することができる。
【0056】
また、複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を作業船10のリーダー12に沿ってに昇降動自在に設けられたケーシング14内にワイヤ13bと取付体25を介して吊り下げ、このケーシング14を下降させて海底地盤30上で複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を切り離すことで敷設することにより、簡単な構造により、現状の作業船10のリーダー12に設けられたケーシング14を効率良く使用して、海底地盤30上に敷砂41を低コストで簡単かつ確実に敷設することができる。
【0057】
また、複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51を海底地盤30上にて連続した畝状に並べて格子状に囲むように敷設し、これら複数個の材料砂40を充填して詰めた略円柱状の袋体51から成る菱形の各格子状の部分45内の海底地盤30中にケーシング14を介して砂杭42を複数本造成することにより、軟弱で傾斜した海底地盤30でもその地盤改良を簡単かつより確実に行うことができる。
【0058】
さらに、各格子状の部分45内の海底地盤30上にケーシング14を介して材料砂40を吐出して各格子状の部分45内にサンドマット43を更に造成することにより、現状の作業船10のリーダー12に設けられたケーシング14を効率良く使用して、海底地盤30上に敷砂41とサンドマット43を低コストで確実かつより均一に敷設することができる。
【0059】
尚、前記各実施形態によれば、軟弱な海底地盤の地盤改良について説明したが、軟弱な川底地盤や軟弱な湖底地盤の地盤改良に前記実施形態を適用することができることは勿論である。
【0060】
また、前記各実施形態によれば、軟弱な海底地盤上に菱形の格子状に材料砂を袋詰めした袋体を敷設したが、菱形に限らず、矩形、円形等でも良く、さらに、軟弱な海底地盤上の全面に隙間を空けることなく敷設しても良い。
【0061】
さらに、前記各実施形態によれば、軟弱な海底地盤上に材料砂を袋詰めした袋体を一段だけ敷設したが、既に敷設した袋体の上に更に2段以上、材料砂を袋詰めした袋体を敷設して畝の高さを高くしても良い。
【解決手段】軟弱で傾斜した海底地盤30上に敷砂41の材料砂を敷設して地盤改良を行う敷砂の敷設方法において、海上31の作業船10にて、リーダー12に沿って昇降する砂杭造成用中空管14に吊した複数個の袋体50内に材料砂をそれぞれ充填し、この複数個の材料砂を充填した袋体50を作業船10から砂杭造成用中空管14を介して降下させて海底地盤30上に隙間なく直に敷設する。