【実施例1】
【0018】
図1は、本実施例1の仕組みの対象となる単板の一例を示したものである。具体的に、
図1(a)は、ロータリーレース等の切削機械で切削された各単板片101を、各々の繊維方向が単板の長手方向と平行となるように接続部102により繋いで所定大きさ(例えば、1.4m×4m)の単板とした平行単板100で構成されるLVL(単板積層材:Laminated Veneer Lumber)の一例を示し、
図1(b)は、平行単板100に加えて、各単板片201の繊維方向が単板の長手方向と直交するように接続部202により繋いで所定大きさの単板としたクロス単板200を任意に組み合わせて構成されるLVB(単板積層板:Laminated Veneer Board)の一例を示す。なお、接続部102,202を有しない平行単板やクロス単板についても、本実施例1の仕組みの対象とし得ることは言うまでもない。
【0019】
レイアップ装置1は、上記LVLやLVB、合板を製造するために、単板の搬入(投入)からその仕組みに至るまでの工程を自動化した一ラインとしての機能を果たすものであり、
図2〜
図4に示されるように、搬入装置10、反転装置20、重ね合わせ装置30、仕組み装置40を単板の搬送方向の上流側からこの順に備えている。
【0020】
搬入装置10は、
図2及び
図3に示されるように、周知の単板載置コンベヤ11と単板送り機構12を備える。単板送り機構12は、単板載置コンベヤ11上に段積みされた単板100を1枚ずつ吸引して持ち上げ、反転装置20へ供給する。
【0021】
次に、反転装置20について説明する。
反転装置20は、平行単板100の表裏を反転させる機能を有するものであり、
図5及び
図6に示されるように、方向切替式コンベヤ21、反転機構22、単板検出センサ23,24、反転コントローラ25などを備えている。方向切替式コンベヤ21は、平行単板100を通常の搬送方向(方向切替式コンベヤ21の長手方向)へ送る複数の駆動ローラ21aと、駆動モータ21bの駆動力を各駆動ローラ21aへ伝達する伝達機構21cとを備える。
【0022】
また、方向切替式コンベヤ21は、平行単板100を通常の搬送方向と直交する方向(方向切替式コンベヤ21の幅方向)へ送る複数のベルトコンベヤ21dと、駆動モータ21eの駆動力を各ベルトコンベヤ21dへ伝達する伝達機構21fとを備える。
【0023】
各ベルトコンベヤ21d(供給手段)は、反転機構22側のローラ軸線L1を回転中心として回動可能とされている。方向切替式コンベヤ21は、各ベルトコンベヤ21dのローラ軸線L1周りの回動に関連して、駆動モータ21gの駆動力を各ベルトコンベヤ21dへ伝達する伝達機構21hを備える。伝達機構21hは、各ベルトコンベヤ21dのベルト上面を駆動ローラ21aのローラ上面よりも下方に位置させる原位置と(
図6の二点鎖線参照)、駆動モータ21gの正転駆動により各ベルトコンベヤ21dのベルト上面を駆動ローラ21aのローラ上面よりも上方に位置させる作動位置(
図6の実線参照)とに切り替え可能とされている。
【0024】
反転機構22は、ベース部材Bに対して各ベルトコンベヤ21dのローラ軸線L1と平行に延び出す軸線L2,L3周りにそれぞれ回転可能に支持された大径のドラム22a(第1ドラム部材),小径のドラム22b(第2ドラム部材)と、両ドラム22a,22b間に巻き掛けられた内側ベルト22c(第1ベルト)と、内側ベルト22cに押し付けられるように大径ドラム22aに巻き掛けられた外側ベルト22g(第2ベルト)とを含む複数のユニット22Aを備える(
図5ではユニット22Aが5つの場合を例示)。各外側ベルト22gは、ユニット22Aの全体として駆動モータ22dから伝達機構22eを介して駆動ローラ22fに伝達される駆動力により同期駆動される。各内側ベルト22cは、対応する外側ベルト22gの回転に追従する。
【0025】
これにより、作動位置にある各ベルトコンベヤ21dが正転駆動されると、平行単板100は内側ベルト22cと外側ベルト22g間に形成された下部スペースS1内に供給され、内側ベルト22cと外側ベルト22gに挟まれた状態で大径ドラム22aの周面に沿って
図6中時計回りに回転して表裏が反転され、上部スペースS2から各ベルトコンベヤ21dへ向けて排出される。平行単板100は、斜め下向きに延び出す下り傾斜状の内側ベルト22cに誘導され、各ベルトコンベヤ21dの逆転駆動により、各ベルトコンベヤ21d上に送り出され、各ベルトコンベヤ21dの原位置への復帰により、駆動ローラ21a上に載置される。
【0026】
単板検出センサ23は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、方向切替式コンベヤ21上で所定位置に達した平行単板100を検出すると、単板検出信号を反転コントローラ25へ出力する。なお、単板検出センサ23を、例えば方向切替式コンベヤ21の長手方向や幅方向に沿って複数設けることにより、搬送される平行単板100の大きさが異なる場合でも、その検出精度を高めることができる。
【0027】
単板検出センサ24は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、ユニットAから搬出された平行単板100を検出すると、単板検出信号を反転コントローラ25へ出力する。なお、単板検出センサ24を、例えば方向切替式コンベヤ21の長手方向に沿って複数設けることにより、ユニットAから搬出される平行単板100の大きさが異なる場合でも、その検出精度を高めることができる。
【0028】
反転コントローラ25は、CPU,ROM,RAM,入出力インターフェース回路などからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、例えばROMには反転制御プログラムが格納・記憶されている。反転コントローラ25は、単板検出センサ23,24からの単板検出信号に基づいて、駆動ローラ21aの駆動モータ21b、ベルトコンベヤ21dの駆動モータ21e,21g、反転機構22の駆動モータ22dなどを予め定められた順序に従って制御する。
【0029】
次に、重ね合わせ装置30について説明する。
重ね合わせ装置30は、平行単板100の上にクロス単板200を対応する端縁同士がほぼ一致した状態となるように重ね合わせた重ね合わせ単板300(
図15B参照)を製造する機能を有するものであり、
図4及び
図7に示されるように、糊付け前コンベヤ31、糊付け装置32、糊付け後コンベヤ33、クロス単板供給装置34、単板検出センサ35,36、重ね合わせコントローラ37などを備えている。糊付け前コンベヤ31、糊付け装置32及び糊付け後コンベヤ33は、平行単板100の搬送方向の上流側からほぼ真っ直ぐにこの順に配置され、クロス単板供給装置34は糊付け前コンベヤ31の一側方に配置されている。
【0030】
糊付け前コンベヤ31は、
図7及び
図8(a),
図8(b)に示されるように、固定フレーム31Aと、固定フレーム31Aに水平方向に移動可能に支持された可動フレーム31Bとを備える。可動フレーム31Bは、平行単板100、クロス単板200又は重ね合わせ単板300を通常の搬送方向へ送る複数の駆動ローラ31aと、駆動モータ31bの駆動力を各駆動ローラ31aへ伝達する伝達機構31cとを備える。
【0031】
固定フレーム31Aには、単板を位置決めするための位置調整機構31Cとして、ねじ駆動部31dにより駆動されるボールねじ31eと、複数のガイドレール31f(
図8(b)では4本の場合を例示)が設けられる一方、可動フレーム31Bには、ボールねじ31eに螺合したボールねじナット31gと、各ガイドレール31fに摺動可能に嵌合されたスライドブロック31hが設けられている。
【0032】
また、固定フレーム31Aには、平行単板100又はクロス単板200の始端側端縁に接触可能な複数のストッパ部材31i(
図8(b)では4本の場合を例示)が設けられるとともに、平行単板100又はクロス単板200の長手端縁の一方に接触可能な定規部材31jが設けられている。
【0033】
糊付け前コンベヤ31上を平行単板100又はクロス単板200が搬送されてその始端側端縁がストッパ部材31iに接触・停止した状態で、ねじ駆動モータ31dが駆動されると、可動フレーム31Bが固定フレーム31Aに対して図示矢印の方向に移動するようになる。これにより、可動フレーム31B上の単板は基準となる直角方向で位置決め、すなわち始端側端縁が各ストッパ部材31iにより位置決めされ、長手端縁の一方が定規部材31jにより位置決めされ、可動フレーム31Bの基準位置に載置されることとなる。
【0034】
図7に戻って、糊付け装置32は、平行単板100又は重ね合わせ単板300(以下、これらを総称して単に単板という)の上面に接着剤を塗布可能な周知の転写ローラ32a(接着剤塗布ローラ)と、駆動モータ32bの駆動力を転写ローラ32aへ伝達する伝達機構32cとを備える。さらに、糊付け装置32は、転写ローラ32aを単板の上面に接触させる塗布位置と、単板の上面から離間させる非塗布位置とに位置調整可能な昇降機構32dとを備える。
【0035】
本実施例1では、糊付け後コンベヤ33は、その一部が仕組み装置40と兼用されている。このため、糊付け後コンベヤ33については後述する。
【0036】
クロス単板供給装置34は、LVBを製造するとき、積載装置34Cに段積みされたクロス単板200を1枚ずつ糊付け前コンベヤ31へ供給するものであり(
図4参照)、複数の吸引パッド34a(
図7では6個の場合を例示)を含みそれら吸引パッド34aを上下に昇降可能な昇降機構を有する本体部34Aと、クロス単板200を吸引した本体部34Aを積載位置34C上から糊付け前コンベヤ31上へ移動させるための一対のガイドレール34Bと、クロス単板200を吸引するための吸引力を発生させる吸引源34bと、本体部34Aをガイドレール34Bに沿って往復動させる駆動モータ34c及び伝達機構34dとを備える。
【0037】
単板検出センサ35は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、LVBを製造する場合に作動し、糊付け前コンベヤ31にて平行単板100の始端を検出すると、その検出信号を重ね合わせコントローラ37へ出力する。なお、単板検出センサ35を、例えば糊付け前コンベヤ31の長手方向や幅方向に沿って複数設けることにより、搬送される単板100の大きさが異なる場合でも、単板100の検出精度を高めることができる。
【0038】
単板検出センサ36は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、LVBを製造する場合に作動し、糊付け後コンベヤ33にて平行単板100の終端を検出すると、その検出信号を重ね合わせコントローラ37へ出力する。なお、単板検出センサ36を、例えば糊付け後コンベヤ33の長手方向や幅方向に沿って複数設けることにより、搬送される単板100の大きさが異なる場合でも、単板100の検出精度を高めることができる。
【0039】
重ね合わせコントローラ37は、CPU,ROM,RAM,入出力インターフェース回路などからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、例えばROMには重ね合わせ制御プログラムが格納・記憶されている。重ね合わせコントローラ37は、単板検出センサ35,36の検出信号に基づいて、クロス単板供給装置34の吸引源34bや駆動モータ34c、糊付け前コンベヤ31の駆動ローラ31aの駆動モータ31bやねじ駆動モータ31d、糊付け装置32の転写ローラ32aの駆動モータ32bや昇降機構32d、糊付け後コンベヤ33の駆動ローラ41aの駆動モータ41bなどを予め定められた順序に従って制御する。
【0040】
次に、仕組み装置40について説明する。
仕組み装置40は、
図9及び
図10に示されるように、糊付け後コンベヤ33、積載装置44、単板検出装置45,46、糊付後コンベヤコントローラ47などを備えている。糊付け後コンベヤ33は、糊付け装置32の下流側に配置され、糊付け後の単板を単板停止位置Y(
図12参照)、すなわち積載装置44における所定の仕組み位置Xの上方に対応する位置に向けて搬送するためのスライド伸縮式ローラコンベヤであり、固定フレーム43に設置された固定コンベヤ41及び可動コンベヤ42を備える。
【0041】
そして、糊付け後コンベヤ33は、可動コンベヤ42を固定コンベヤ41の内側から外側へ押し出すように前進(往動)させた伸長位置にある伸長状態と、可動コンベヤ42を固定コンベヤ41の外側から内側へ引き入れるように後退(復動)させた収縮位置にある収縮状態とに択一的に切り替え可能とされている。
【0042】
固定フレーム43には、可動コンベヤ42の外幅寸法とほぼ同じ内幅寸法に設定された一対のガイドレール43aが固定コンベヤ41の内側から外側にわたって敷設されている。可動コンベヤ42は、所定間隔に配置されたスライドブロック43bを介してガイドレール43aに沿ってスライド移動可能とされている。
【0043】
また、固定フレーム43には、単板停止位置Yに対応してストッパ部材43cが設けられている。ストッパ部材43cは、単板の始端側端縁に接触してその前進を阻止するものであり、固定フレーム43の中心線に対しての一側方(
図9中の図示下側)寄りに設けられている。
【0044】
固定コンベヤ41は、単板を固定コンベヤ41の長手方向へ送る複数の駆動ローラ41aと、駆動モータ41bの駆動力を各駆動ローラ41aへ伝達する伝達機構41cとを備える。なお、重ね合わせ単板300を製造する場合は、駆動モータ41bは重ね合わせコントローラ37により正転・逆転駆動を制御されることとなる。
【0045】
可動コンベヤ42は、その後部にて複数の駆動ローラ42aと、駆動モータ42bの駆動力を各駆動ローラ42aへ伝達する伝達機構42cと、可動コンベヤ42自身をガイドレール43aに沿って前進・後退させる駆動モータ43d及び伝達機構43eとを備える。
【0046】
可動コンベヤ42は、その前部にて複数の非駆動ローラ42d(本実施例1では5本の場合を例示)を備える。非駆動ローラ42d(誘導ローラ)は、搬送中の単板の始端部を可動コンベヤ42の基準面(定規)42e(一側部:
図9中の図示下側のフレーム)の内側面へ向けて誘導するよう、可動コンベヤ42の長手方向Lと直交する幅方向Wに対して所定角度(例えば2〜5°)だけ基準面(定規)42e寄りに傾斜して配置されている。
【0047】
これら駆動ローラ42a及び非駆動ローラ42dは、可動コンベヤ42の前方へ向かうに従って下側に位置するよう、可動コンベヤ42の長手水平方向Lhに対して下向きに傾斜して配置されている(
図10参照)。
【0048】
積載装置44は、伸長状態にある可動コンベヤ42の下方に設置され、単板停止位置Yから自然落下する単板を受け止めて段積みする。この単板の段積み位置が仕組み位置Xに該当する。積載装置44は、段積みされた仕組み単板Wを搬出ベルトコンベヤ48上に載置するように昇降可能な昇降機構44aを備え、段積みされた仕組み単板Wは搬出ベルトコンベヤ48により可動コンベヤ42の外側へ搬出される。
【0049】
単板検出センサ45は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、可動コンベヤ42上の単板の始端を検出すると、その検出信号を糊付後コンベヤコントローラ47へ出力する。なお、単板検出センサ45を、固定フレーム43の長手方向や幅方向に沿って複数設けることにより、搬送される単板の大きさが異なる場合でも、その検出精度を高めることができる。単板検出センサ45が本発明の単板検出手段に相当する。
【0050】
単板検出センサ46は、接触式又は透過型や反射型の非接触式の検出器であり、収縮位置に後退した可動コンベヤ42の前端を検出すると、その検出信号を糊付後コンベヤコントローラ47へ出力する。なお、単板検出センサ46を、固定フレーム43の長手方向や幅方向に沿って複数設けることにより、可動コンベヤ42の検出精度を高めることができる。
【0051】
糊付後コンベヤコントローラ47は、CPU,ROM,RAM,入出力インターフェース回路などからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、例えばROMには糊付後コンベヤ制御プログラムが格納・記憶されている。糊付後コンベヤコントローラ47は、固定コンベヤ41の駆動モータ41b、可動コンベヤ42の駆動モータ42bを駆動制御する。また、糊付後コンベヤコントローラ47は、単板検出センサ45,46の検出信号に基づいて、可動コンベヤ42を前進・後退させる駆動モータ43dを予め定められた順序に従って制御する。糊付後コンベヤコントローラ47が本発明のローラ制御手段、スライド制御手段に相当する。
【0052】
次に、上記のように構成されたレイアップ装置1の作動について説明する。ここで、レイアップ装置1を構成する搬入装置10、反転装置20、重ね合わせ装置30及び仕組み装置40のうち、仕組む対象となる単板の種類に応じて、反転装置20及び重ね合わせ装置30の一部の機能は実施されないことがある。したがって、最初に表裏を反転させることなく平行単板100を仕組む場合について説明する。
【0053】
反転コントローラ25、重ね合わせコントローラ37及び糊付後コンベヤコントローラ47は、単板の搬送に際して各種の情報を通信で相互にやり取りしている。これに加えて、反転装置20では、反転コントローラ25により方向切替式コンベヤ21の駆動モータ21bが連続的又は間歇的に正転駆動され、かつ駆動モータ21eが停止制御されるように予め設定されている。また、重ね合わせ装置30では、重ね合わせコントローラ37により糊付け前コンベヤ31の駆動モータ31bが連続的又は間歇的に正転駆動されるように予め設定されている。さらに、仕組み装置40では、糊付後コンベヤコントローラ47により固定コンベヤ41の駆動モータ41bが連続的又は間歇的に正転駆動され、可動コンベヤ42の駆動モータ42bが連続的に正転駆動されるように予め設定されている。
【0054】
このような構成により、平行単板100は、搬入装置10から方向切替式コンベヤ21、糊付け前コンベヤ31を経て糊付け装置32によりその上面に接着剤が塗布された後、糊付け後コンベヤ33へ搬送される。糊付け後コンベヤ33は通常、伸長状態にあり、単板は固定コンベヤ41上から可動コンベヤ42上へと連続的に搬送される(単板搬送工程)。この場合、糊付後コンベヤコントローラ47は、
図11のフローチャートで示される仕組み処理を示すプログラムを所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0055】
糊付後コンベヤコントローラ47は、単板検出センサ45からの検出信号を入力すると(S11:YES)、駆動モータ42bの正転駆動を維持した状態のまま、駆動モータ43dを逆転駆動する(S12:可動コンベヤ後退工程)。これにより、可動コンベヤ42は伸長位置から収縮位置へと後退する。その後、糊付後コンベヤコントローラ47は、単板検出センサ46からの検出信号を入力すると(S13:YES)、駆動モータ43dを正転駆動する(S14:可動コンベヤ前進工程)。これにより、可動コンベヤ42は収縮位置から伸長位置へと前進する。
【0056】
単板は可動コンベヤ42上を搬送される際、
図12(a)に示されるように、その始端部が非駆動ローラ42dにより基準面(定規)42eの内側面に向かうように進路を変える。これにより、単板の中心線が非駆動ローラ42dの中心線Lrとほぼ一致するようになる。
【0057】
可動コンベヤ42は駆動ローラ42aを正転させつつ後退するので、単板には中心線Lr方向に駆動ローラ42aによる駆動力Fが作用する。駆動力Fはコンベヤの長手方向Lの分力Fxと幅方向Wの分力Fyを有するので、単板は分力Fxによりストッパ部材43cに押し付けられ、かつ分力Fyによりストッパ部材43cの接触部を回転支点としてその後端部を可動コンベヤ42の基準面(定規)42eへ移動させる力のモーメントMを受ける。
【0058】
その結果、
図12(b),
図12(c)に示されるように、可動コンベヤ42の後退に伴い、単板はその長手端縁が可動コンベヤ42の基準面(定規)42eに沿うように寄せられ、基準となる直角方向で位置決めされた状態、すなわち始端側端縁がストッパ部材43cにより位置決めされ、かつ長手端縁が可動コンベヤ42の基準面(定規)42eにより位置決めされた状態のまま、可動コンベヤ42による支えを失った始端側から仕組み位置Xへ自然落下することとなる(
図10参照)。仕組み位置Xにて段積みされる仕組み単板Wは自動的に揃ったものとなる。
【0059】
次に表裏が反転された平行単板100を仕組む場合について説明する。LVLにおいて、表裏が反転された平行単板100を含ませることにより、曲げや反りを良好に防止することができる。平行単板100を反転する場合、反転コントローラ25は、
図13のフローチャートで示される反転処理を示すプログラムを実行する。
【0060】
反転コントローラ25は、単板検出センサ23からの検出信号を入力すると(S21:YES)、駆動モータ21bの駆動を停止し、駆動ローラ21aの回転を止める(S22、
図5参照)。続いて駆動モータ21gを正転駆動し、各ベルトコンベヤ21を原位置から作動位置へ回動させた後、駆動モータ21e,22dを正転駆動し、各ベルトコンベヤ21及び外側ベルト22gを正転させてユニットA内を通過させることで平行単板100の表裏を反転させる(S23、
図6参照)。
【0061】
反転コントローラ25は、単板検出センサ24からの検出信号を入力すると(S24:YES)、駆動モータ21eを所定時間だけ逆転駆動し、各ベルトコンベヤ21上に平行単板100が載置された状態とする(S25)。単板検出センサ23からの検出信号を入力すると(S26:YES)、駆動モータ21gを所定時間だけ逆転駆動し、各ベルトコンベヤ21を作動位置から原位置へ回動させ、駆動ローラ21a上に平行単板100が載置された状態とする(S27)。
【0062】
その後、反転コントローラ25は、駆動モータ21bを正転駆動し(S28)、平行単板100を重ね合わせ装置30の糊付け前コンベヤ31へ送る。以後は、表裏を反転させずに平行単板100を仕組む場合と同様、反転後の平行単板100は、糊付け装置32によりその上面、すなわち裏面に接着剤が塗付された後、仕組み装置40により仕組み位置Xにて段積みされることとなる。
【0063】
次に、クロス単板200を含む重ね合わせ単板300を仕組む場合について説明する。重ね合わせ単板300を製造する場合、重ね合わせコントローラ37は、
図14のフローチャートで示される重ね合わせ処理を示すプログラムを実行する。
【0064】
重ね合わせ処理を行う場合(S31:YES)、糊付け装置32により接着剤Bが塗付された平行単板100が糊付け後コンベヤ33の固定コンベヤ41へ送られると、重ね合わせコントローラ37は、単板検出センサ36からの検出信号の入力により(S32:YES)、駆動ローラ31a,41a及び転写ローラ32aを減速した後、駆動モータ31b,32b,41bの駆動を停止して平行単板100を糊付け後コンベヤ33の固定コンベヤ41上で待機させる(S33:平行単板待機工程、
図15A(a)参照)。
【0065】
続いて重ね合わせコントローラ37は、吸引源34bを吸引駆動し、昇降機構及び駆動モータ34cを駆動して積載装置34Cに段積みされたクロス単板200の1枚を糊付け前コンベヤ31へ移動させる(S34:クロス単板移動工程、
図15A(b)参照)。重ね合わせコントローラ37は、クロス単板200が糊付け前コンベヤ31上に載置されると、単板検出センサ35からの検出信号の入力により(S35:YES)、駆動モータ31dを正転駆動し、クロス単板200を糊付け前コンベヤ31の基準位置に位置決めする(S36:クロス単板位置決め工程、
図15A(c)参照)。その後、吸引源34bを吸引駆動し、昇降機構を駆動して位置決め後のクロス単板200を糊付け前コンベヤ31の上方位置にて待機状態とする(S37:クロス単板待機工程)。
【0066】
続いて重ね合わせコントローラ37は、糊付け装置32の昇降機構32dを駆動して転写ローラ32aを非塗布位置へ離間させた状態で、駆動モータ31b,41bを逆転駆動して待機状態にある平行単板100を固定コンベヤ41上から糊付け前コンベヤ31上へ戻す(S38:平行単板戻し工程、
図15B(d)参照)。単板検出センサ35からの検出信号を入力すると(S39:YES)、駆動モータ31dを正転駆動し、平行単板100を糊付け前コンベヤ31の基準位置に位置決めする(S40:平行単板位置決め工程、
図15B(e)参照)。
【0067】
その後、重ね合わせコントローラ37は、本体部34Aの昇降機構を駆動し、位置決めされた平行単板100の上に待機状態にあるクロス単板200を重ね合わせるように吸引源34bの駆動を停止する(S41:重ね合わせ工程、
図15B(f)参照)。その後、本体部34Aは積載位置34C上の原位置へ戻される。
【0068】
そして、重ね合わせコントローラ37は、糊付け装置32の昇降機構32dを駆動して転写ローラ32aを塗布位置へ移動させた後、駆動モータ31b,32b,41bを正転駆動し、重ね合わせ単板300におけるクロス単板200の上面に接着剤Bを塗付する(S42:重ね合わせ単板糊付け工程、
図15B(g)参照)。以後は、表裏を反転させずに平行単板100を仕組む場合や表裏を反転させた平行単板100を仕組む場合と同様、重ね合わせ単板300は、仕組み装置40により仕組み位置Xにて段積みされることとなる。
【0069】
以上の説明からも明らかなように、本実施例1において、可動コンベヤ42の前部には、単板の始端部を基準面(定規)42e(可動コンベヤ42の一側部)に向けて誘導するように可動コンベヤ42の長手方向Lと直交する幅方向Wに対して所定角度だけ基準面(定規)42e寄りに傾斜して配置される非駆動ローラ42d(誘導ローラ)が設けられ、駆動ローラ42aの正転駆動が維持された状態で、可動コンベヤ42が収縮方向へ後退するように設定されている。
【0070】
つまり、本実施例1では、糊付後コンベヤ33の伸長状態で、単板が固定コンベヤ41上から可動コンベヤ42上へと連続的に搬送されるように固定コンベヤ41の駆動モータ41b及び可動コンベヤ42の駆動モータ42bが正転駆動され(単板搬送工程)、単板がストッパ部材43cに接触したとき、可動コンベヤ42の駆動モータ42bの正転駆動を維持した状態で、伸長状態にある可動コンベヤ42を収縮方向へ後退させ(S12:可動コンベヤ後退工程)、可動コンベヤ42が後退位置に至った後、再度可動コンベヤ42を伸長方向へ前進させる(S14:可動コンベヤ前進工程)ように設定されている。
【0071】
したがって、単板にはストッパ部材43cに押し付ける向きの力Fxが作用し、可動コンベヤ42の基準面(定規)42eへ寄せる向きの力Fyが作用するため、その長手端縁が可動コンベヤ42の基準面(定規)42eに沿うように寄せられ、始端側端縁がストッパ部材43cにより位置決めされ、かつ長手端縁が可動コンベヤ42の基準面(定規)42eにより位置決めされた状態のまま、可動コンベヤ42による支えを失った始端側から仕組み位置Xへ自然落下することとなる。このように、糊付け後コンベヤ33のみを用いて、単板を仕組み位置Xにて自動的に揃えることができる。
【0072】
また、上記実施例1では、可動コンベヤ42の駆動ローラ42a及び非駆動ローラ42dは、可動コンベヤ42の前方へ向かうに従って下側に位置するよう、可動コンベヤの長手水平方向Lhに対して下向きに傾斜して配置されている。これにより、単板が仕組み位置Xへ自然落下する際、始端側から斜め下向きに落下しやすくなり、また仕組み位置Xまでの落差が小さくなって空気抵抗を受け難くなるので、より一層自動的に揃えやすくなる。
【0073】
なお、上記実施例1では、可動コンベヤ42の前部に位置する誘導ローラを非駆動ローラ42dとしたが、これに代えて、駆動ローラ(誘導駆動ローラ)としてもよい。この場合、可動コンベヤ42が収縮方向へ後退するとき、これらの誘導駆動ローラについては非駆動(フリー状態)としてもよいし、駆動ローラ42aと同様に正転駆動状態に維持するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施例1では、反転装置20は、大径のドラム22a(第1ドラム部材)と小径のドラム22b(第2ドラム部材)間に巻き掛けられた内側ベルト22c(第1ベルト)と、内側ベルト22cに押し付けられるように大径のドラム22aに巻き掛けられた外側ベルト22g(第2ベルト)と、外側ベルト22gを回転駆動する駆動モータ22d、伝達機構22e及び駆動ローラ22f(駆動手段)と、方向切替式コンベヤ21上の平行単板100を内側ベルト22cと外側ベルト22g間へ供給可能な複数のベルトコンベヤ21d(供給手段)と、を備え、各ベルトコンベヤ21dの同期回転により内側ベルト22cと外側ベルト22g間へ供給された平行単板100は、外側ベルト22gの回転に伴い外側ベルト22gとそれに追従する内側ベルト22cに挟まれた状態で大径のドラム22aの周面に沿って表裏が反転され、大径のドラム22aから小径のドラム22bへ向けて斜め下向きに延び出す下り傾斜状の内側ベルト22cに誘導されて各ベルトコンベヤ21d上に排出されるように構成されている。
【0075】
これにより、表裏が反転された平行単板100を各ベルトコンベヤ21d上に滑らかに排出することができ、落下等による破損を良好に防止することができる。
【0076】
また、上記実施例1では、重ね合わせ処理(
図14参照)は、糊付け装置32により糊付けされた平行単板100を糊付け後コンベヤ33上で待機させる平行単板待機工程(S33)と、クロス単板供給装置34の積載装置34Cからクロス単板200を1枚ずつ糊付け前コンベヤ31へ移動させるクロス単板移動工程(S34)と、クロス単板200を糊付け前コンベヤ31の基準位置に位置決めするクロス単板位置決め工程(S36)と、位置決め後のクロス単板200をその上方位置にて待機させるクロス単板待機工程(S37)と、待機状態にある平行単板100を糊付け前コンベヤ31上へ戻す平行単板戻し工程(S38)と、戻された平行単板100を糊付け前コンベヤ31の基準位置に位置決めする平行単板位置決め工程(S40)と、位置決めされた平行単板100の上に待機状態にあるクロス単板200を重ね合わせる重ね合わせ工程(S41)と、平行単板100の上のクロス単板200の上面に糊付けする重ね合わせ単板糊付け工程(S42)と、を含むように構成されている。
【0077】
これにより、平行単板100及びクロス単板200は、何れも糊付け前コンベヤ31の基準位置で位置決めされるため、平行単板100及びクロス単板200の対応する端縁同士がほぼ一致した重ね合わせ単板300を得ることができる。また、平行単板100の上にクロス単板200を重ね合わせた重ね合わせ単板300には、平行単板100に比して転写ローラ32a(接着剤塗布ローラ)により高いローラ圧と接着力が付与されるため、平行単板100とクロス単板200が馴染みやすく、相互の密着度合いが高いものとなる。また、転写ローラ32aを用いる接着方式の場合、ローラ軸が繊維方向に平行であると単板をローラに巻き込むおそれがあることから、従来はローラ軸が繊維方向と直交する向きとなるよう、平行単板100とクロス単板200のそれぞれに専用の転写ローラを用いることが多かった。しかし、上記実施例1のようにクロス単板200に接着剤Bを塗布する場合は、平行単板100の上にクロス単板200を重ね合わせた重ね合わせ単板300とすることで、重ね合わせ単板300はローラに巻き込まれ難いので、平行単板用の転写ローラ32aのみを用いることで足りる。その結果、設備の簡略化を図りつつ、クロス単板200の上面に良好に接着剤を塗布することができる。
【0078】
なお、上記実施例1では、平行単板待機工程の後に、クロス単板移動工程、クロス単板位置決め工程及びクロス単板待機工程をこの順に実施するように構成されていたが、これに代えて、例えば最初にクロス単板移動工程、クロス単板位置決め工程及びクロス単板待機工程をこの順に実施し、その後に平行単板に接着剤を塗布し終えたら、平行単板待機工程を実施することなく平行単板戻し工程を実施し、その後平行単板位置決め工程、重ね合わせ工程及び重ね合わせ単板糊付け工程をこの順に実施するように構成してもよい。この変形例によっても、上記実施例1と同様、平行単板100及びクロス単板200の対応する端縁同士がほぼ一致した重ね合わせ単板300を得ることができる。
【0079】
その他、本発明は上記実施例1等に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えた態様で実施することが可能である。