(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、触媒存在下、オレフィンと一酸化炭素及び水素とをヒドロホルミル化反応させてアルデヒドを製造させる方法であって、オレフィンを気体で反応器にフィードすることを特徴とする。
尚、本発明において、一酸化炭素及び水素の混合ガスをオキソガスと呼ぶ。
【0013】
<原料>
本発明において用いられるオレフィンとしては、通常、直鎖又は分岐鎖状のα−オレフィン又は内部オレフィンが用いられ、好ましくは炭素数2〜8個のオレフィンであり、具体的にはエチレン、プロピレン、並びに、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−テトラデセン等が挙げられ、より好ましくはエチレン、プロピレン、又は、1−ブテンである。特に好ましいオレフィンはプロピレンである。
【0014】
<触媒>
本発明で使用する触媒は、オレフィンをアルデヒドとし得る(以下、これをヒドロホルミル化と呼ぶことがある。)触媒であれば特に限定されるものではないが3価有機燐化合物を配位子とするロジウム触媒が好ましい。
3価有機燐化合物としては、単座配位子又は多座配位子としての能力を持つ3価有機燐化合物等が挙げられる。単座配位子となる有機燐化合物としては、下記一般式で表される第三トリオルガノホスフィンが挙げられる。
【0016】
(上記一般式中、Rはそれぞれ独立して、置換又は非置換の1価の炭化水素基を表す。)
1価の炭化水素基としては、通常炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のアリール基、炭素数6〜24のアルキルアリール基、炭素数6〜24のアリールアルキル基等が挙げられる。即ち、トリオルガノホスフィンは、例えばトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリシクロアルキルホスフィ
ン、アルキルアリールホスフィン、シクロアルキルアリールホスフィン、アルキルシクロアルキルホスフィン等である。
【0017】
1価の炭化水素基が有し得る置換基としては、限定されるものではないが、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
トリオルガノホスフィンの具体例としては、例えば、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、モノブチルジフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィンなどが挙げられる。最も好ましいトリオルガノホスフィンはトリフェニルホスフィンである。
【0018】
3価有機リン化合物のその他の例としては、例えば、下記の式(1)〜(10)で示される3価のホスファイト化合物を用いることができる。
【0020】
(式中、R
1〜R
3はそれぞれ独立して、置換されていてもよい1価の炭化水素基を示す。)
式(1)中、置換されていてもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基等が挙げられる。
式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、n−ブチルジエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリ−n−プロピルホスファイト、トリ−n−オクチルホスファイト、トリ−n−ドデシルホスファイト等のトリアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジメチルフェニルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイト、エチルジフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト等が挙げられる。また、例えば、特開平6−122642号公報に記載されているビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−ビフェニル)ホスファイト等を用いてもよい。これらの中で最も好ましいものはトリフェニルホスファイトである。
【0022】
(式中、R
4は置換されていてもよい2価の炭化水素基を示し、R
5は置換されていてもよい1価の炭化水素基を示す。)
式(2)中、R
4で示される置換されていてもよい2価の炭化水素基としては、炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子等を含んでいてもよいアルキレン基;炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子等を含んでいてもよいシクロアルキレン基;フェニレン、ナフチレン等の2価の芳香族基;2価の芳香環が直接又は中間にアルキレン基、酸素、窒素、硫黄等の原子を介して結合した2価の芳香族基;2価の芳香族基とアルキレン基とが直接又は中間
に酸素、窒素、硫黄等の原子を介して結合したもの等が挙げられる。R
5で示される置換されていてもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基等が挙げられる。
【0023】
式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、ネオペンチル(2,4,6−t−ブチル−フェニル)ホスファイト、エチレン(2,4,6−t−ブチル−フェニル)ホスファイト等の米国特許第3415906号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
【0025】
(式中、R
10は式(2)におけるR
5と同義であり、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基を示し、x及びyは、それぞれ独立して、0又は1を示し、Qは−CR
11R
12−,−O−,−S−,−NR
13−,−SiR
14R
15及び−CO−よりなる群から選ばれる架橋基であり、R
11及びR
12はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、トリル基又はアニシル基を示し、R
13、R
14及びR
15は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは0又は1を示す。)
式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト等の米国特許第4599206号公報に記載されている化合物、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル−(2−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスファイト等の米国特許第4717775号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
【0027】
(式中、R
6は環状又は非環状の置換されていてもよい3価の炭化水素基を示す。)
式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−エチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2,2,2]−オクタン等の米国特許第4567306号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
【0029】
(式中、R
7は式(2)におけるR
4と同義であり、R
8及びR
9はそれぞれ独立して置換されていてもよい炭化水素基を示し、a及びbはそれぞれ0〜6の整数を示し、aとbの和は2〜6であり、Xは(a+b)価の炭化水素基を示す。)
式(5)で表される化合物のうち好ましいものとしては、例えば、6,6’−[[3,3’,5,5’−テトラキス(1,1’−ジメチルエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサホスフェビン等の特開平2−231497号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
【0031】
(式中、Xはアルキレン、アリーレン及び−Ar
1−(CH
2)x−Qn−(CH
2)y−Ar
2−よりなる群から選ばれた2価の基を示し、R
16及びR
17は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素基を示す。Ar
1、Ar
2、Q、x、y、nは式(3)と同義である。)
式(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開昭62−116535号公報及び特開昭62−116587号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
【0033】
(式中、X、Ar
1、Ar
2、Q、x、y、nは式(6)と同義であり、R
18は式(2)におけるR
4と同義である。)
【0035】
(式中、R
19及びR
20はそれぞれ独立して芳香族炭化水素基を示し、かつ少なくとも一方の芳香族炭化水素基は、酸素原子が結合する炭素原子に隣接する炭素原子に炭化水素基を有しており、mは2〜4の整数を示し、各−O−P(OR
19)(OR
20)基は互
いに異なっていてもよく、Xは置換されていてもよいm価の炭化水素基を示す。)
式(8)で表される化合物の中では、例えば、特開平5−178779号公報に記載されている化合物や2,2’−ビス(ジ−1−ナフチルホスファイト)−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル等の特開平10−45776号公報に記載されている化合物等が好ましい。
【0037】
(式中、R
21〜R
24は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、これらは互いに独立したものであっても、R
21とR
22、R
23とR
24が互いに結合して環を形成していてもよく、Wは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、Lは置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
式(9)で表される化合物としては、例えば、特開平8−259578号公報に記載のものが用いられる。
【0039】
(式中、R
25〜R
28は、置換されていてもよい1価の炭化水素基を示し、R
25とR
26、R
27とR
28は互いに結合して環を形成していてもよく、A及びBはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、nは0又は1の整数を示す。)。
本発明において触媒を構成するロジウム源は、反応器外で一酸化炭素、水素及び3価有機燐化合物と共に、溶媒中で高められた温度、圧力の条件下で反応させて、あらかじめロジウム錯体触媒を調製しておくのが好ましい。
【0040】
触媒調製の際に使用する溶媒は、通常後述する反応溶媒の中から選ばれるが、必ずしも反応溶媒と同一の溶媒でなくてもよい。調製条件は、ロジウム濃度は通常1wtppm以上、好ましくは10wtppm以上であり、通常10wt%以下、好ましくは1wt%以
下、より好ましくは1000wtppm以下である。ロジウム濃度が低すぎると反応速度が遅くなり、十分な反応が行えない場合があり、また高すぎると高沸物をパージする時に同伴して抜き出される為、高価なロジウムのロスが多くなってしまう。また、3価有機燐化合物とロジウムとの比率は通常モル比でP/Rh=1〜10000、好ましくはP/Rh=1〜1000、より好ましくは1〜100である。3価有機燐化合物が少なすぎるとロジウムへの配位量が少なくなるため、ロジウムが十分に安定化されないことがあり、多すぎると反応系内での濃度が高くなり、高沸物をパージする時に同伴して抜き出される為、ロスが多くなってしまう。反応の温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常以下300℃、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。温度が低すぎると反応速度が遅くなってしまい、充分な反応が行えないことがある。また温度が高すぎると触媒が失活する恐れがある。反応の圧力は通常0.0001MPaG以上、好ましくは0.01MPaG以上、より好ましくは0.1
MPaG以上であり、通常20MPaG以下、好ましくは10MPaG以下、より好ましくは5MPaG以下である。圧力が低すぎると反応速度が遅くなり、充分な反応が行えない場合があり、高すぎると調整設備の設計圧力が高くなり、設備の費用が高くなってしまう。処理時間は通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、通常15時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下である。処理時間が短すぎると充分に反応が進行せず、活性が出ないことがある。また、長すぎると触媒の活性が低下してしまう。
【0041】
触媒調製の際の反応形式は回分式でも連続式でもよい。
<原料の供給方法>
本発明においては、オレフィンを気体で反応器にフィードすることを要件とする。
オレフィンを気体で反応器にフィードする方法は、限定されるものではなく、必要最低限の設備を用いて行われる。気体のオレフィンを反応器にフィードしてもよいし、液状のオレフィンを気化させて反応器にフィードしてもよい。
【0042】
液状のオレフィンを気化させて反応器にフィードする場合、原料オレフィンを気化するエネルギーとしては、例えばヒドロホルミル化反応時の反応熱(
図2)、熱交換器を介しての熱媒熱(
図1)、原料ガスである一酸化炭素及び水素の持つ熱エネルギー等を用いると経済的である。これら単独あるいは複数を組み合わせて同時に使用することも可能である。廃熱利用(経済性)という観点から、特に、ヒドロホルミル化反応時の反応熱を利用するのが好ましい。
【0043】
図面を用いて、より詳細に原料オレフィンの気化方法を説明する。
図1には、熱交換器を介して熱媒熱を利用し、原料オレフィンを反応器へ入る前に気化させる一般的な方法が示されており、また
図2には、熱交換器を介して反応器から反応熱を回収し、その熱を利用して原料オレフィンを反応器へ入る前に気化させる方法が示されている。
【0044】
尚、両図中、オキソガスとは、上述した通り、一酸化炭素及び水素の混合ガスを意味し、循環ガスとは、反応器から出る未反応オキソガスを含む生成物のガスを意味する。
<溶媒>
ヒドロホルミル化反応で使用し得る溶媒としては、生成アルデヒドの縮合物やヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ブタノール、オクタノール、ポリエチレングリコール等のアルコール類、トリグライム等のエーテル類、ジオクチルフタレート等のエステル類、水等の触媒を溶解し反応に影響を与えない溶媒を使用することができる。上記生成アルデヒドの縮合物としては、具体的にはアルデヒドの三量体や四量体等が挙げられる。また、原料オレフィンと同炭素数を有するパラフィン類を用いてもよい。反応生成物との分離の容易さ、
反応への影響の少なさの観点から、溶媒としてはトルエンや生成アルデヒドの縮合物が好ましい。
【0045】
<反応条件>
ヒドロホルミル化の反応条件としては、水素分圧は通常0.0001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。水素分圧が低すぎると反応速度が低下してしまい、高すぎると副生物の生成が増えてしまう。
【0046】
一酸化炭素分圧は通常0.0001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。一酸化炭素分圧が低すぎると反応が進行しなくなってしまい、高すぎるとオレフィンの分圧が下がる為、反応が進行しなくなってしまう。
全圧は通常0.0001MPaG以上、好ましくは0.01MPaG以上、より好まし
くは0.2MPaG以上であり、通常50MPaG以下、好ましくは30MPaG以下、より好ましくは20MPaG以下である。全圧が低すぎると反応速度が遅くなり、充分な反応が行えず、また高すぎると反応器の設計圧力が高くなり、装置の価格が高くなってしまう。
【0047】
水素分圧/一酸化炭素分圧比は通常0.1〜100、好ましくは0.1〜10、より好
ましくは1〜6である。この比が小さすぎると反応が充分に進まなくなってしまい、また高すぎても反応が十分に進まなくなったり、副生物の生成が増えたりする。
反応温度は通常20℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。反応温度が低すぎると反応が充分に進行せず、高すぎると副生物の生成が増えたり、触媒が失活したりする場合がある。
【0048】
Rh濃度は通常1wtppm以上、好ましくは10wtppm以上であり、通常10wt%以下、好ましくは1wt%以下、より好ましくは1000wtppm以下である。Rh濃度が低すぎると反応速度が遅くなり、充分な反応が行えず、高すぎると高沸物をパージする際に同伴して抜き出される為、高価なロジウムのロスが多くなってしまい経済的でない。
【0049】
P(遊離有機燐配位子)/Rhはモル比で通常0.1〜10000好ましくはP/Rh
=0.1〜1000、より好ましくは1〜100である。この値が低すぎるとロジウムが
充分に安定化されず、失活する恐れがあり、高すぎると反応系内での濃度が高くなり、高沸物をパージする時に同伴して抜き出される為、ロスが多くなってしまう。
反応時間は通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上であり、通常24時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。反応時間が短すぎると反応が充分に進行せず、長すぎると高沸化が進んでしまう。
【0050】
<反応器>
使用し得る反応器の種類としては、限定されるものではなく、攪拌槽型、気泡塔型、棚段塔型、管型又はガスストリッピング型等を用いることができる。通常連続式の反応器に原料であるオレフィン、オキソガス及び触媒液を連続的に供給し、上記ヒドロホルミル化反応条件下にて実施されるが、回分式の反応器を使用することもできる。また、反応の温度を一定に保つ為に、内部コイルやジャケット、外部熱交換器等を有していてもよい。本発明の効果である液面安定化の観点から、液面安定化により反応成績の向上が見込まれる攪拌槽型、気泡塔型、管型又はガスストリッピング型等の反応器が好ましい。特に、攪拌槽型、ガスストリッピング型の反応器を用いる場合には、液面の変動がある場合、その変動を許容できるだけの余裕を持たせた反応器サイズにする必要があり、液面が安定すれば
、最適なサイジングを行うことができるため、本発明を適用するのに適している。また、溢流式の気泡塔型、管型の反応器を用いる場合には、反応器内の気体の容積が変動することにより反応器より流出する生成物流の流量が変動する場合、反応器から出た生成物流の供給される気液分離器等の機器のサイズをその生成物流の流量の変動を許容できるだけの余裕を持たせて設計しておく必要があり、生成物流の流量が安定すれば、それらの機器の最適なサイジングを行うことができるため、本発明を適用するのに適している。一方、本発明のもう1つの効果である局所的な反応の抑制という観点から、内部コイル、ジャケット、外部熱交換器等の除熱設備を有して、等温反応を行う反応器が本発明の適用に適している。
【0051】
上記した通り、反応器へオレフィンを気体で供給することにより、反応器内で反応器温度までの加温によるオレフィンの急激な気化を抑え、反応器液面の変動を防止出来る。また局所反応が無くなり、安定した反応温度とすることができる。また、溢流式の反応器の場合には、反応器液面の変動を抑制することで、反応器以降の気液分離器等の機器への供給量の変動を抑制することができ、それらの機器の液面の安定化にもつながる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、下記実施例及び比較例において、転化率及び収率は、それぞれサンプリングした反応液を、ガスクロマトグラフィーにて分析し、内部標準法から求めた。
実施例1
窒素置換下の100Lの攪拌機付き反応器に酢酸ロジウム38.8g、トリフェニルホスフィン15kg、トルエン70Lを仕込んだ。攪拌機強度1kW/m
3で攪拌させながらオキソガス(H
2/CO=1.02)で反応器内の圧力1.7MPaG、熱媒などで反応液温度を70℃とした後、プロピレンのフィードを開始した。最初はプロピレン3.6kg/Hと反応に相当するオキソガスをフィードし、反応温度、液面の安定を確認した後プロピレンを1kg/Hずつ、及び反応に相当するオキソガスを増加させていった。所望のプロピレン7.2kg/H、及びオキソガス7700NL/Hまで反応液温度を100℃になるよう徐熱しながら段階的に反応器に供給した。
【0053】
尚、プロピレンは、直前の蒸発器で気化させた後、オキソガスのラインとは別配管で供給した。また、原料をフィードした後、反応器から出るプロセスガス(未反応オキソガスを含む生成物のガス)は随時循環供給した。所望のプロピレンフィード量時には3000L/Hまでに至った。
所要の量まで反応器液面、反応温度とも安定していた。1時間反応させた後、プロピレンの転化率及びアルデヒドの収率を求めたところ、転化率95%、アルデヒド収率93.5%であった。
【0054】
実施例2
気化させたプロピレンを、反応器へ供給する前にオキソガスと合流させた以外は、実施例1と同様に反応させた。
反応器液面、及び、反応温度とも安定していた。
比較例1
プロピレンを気化させない以外は、実施例1と同様に反応させたところ、プロピレン5kg/H付近で反応液面が急上昇し、その後急低下し、反応液面、圧力及び温度が共に不安定となったため、原料、及びオキソガスの供給を停止せざるを得なかった。
【0055】
比較例2
プロピレンを気化させない以外は、実施例2と同様に反応させたところ、高レートまで
順調にレートアップしたが、プロピレン6kg/H付近で反応液面が不安定となったため、原料、及びオキソガスの供給を停止せざるを得なかった。