特許第5779377号(P5779377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779377
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】固形状油性クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20150827BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20150827BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150827BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20150827BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20150827BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20150827BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20150827BHJP
   C11D 17/00 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   A61K8/31
   A61Q1/14
   A61K8/37
   A61K8/86
   C11D3/18
   C11D3/20
   C11D1/66
   C11D17/00
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-73318(P2011-73318)
(22)【出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2012-206974(P2012-206974A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】恩田 英里子
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−084229(JP,A)
【文献】 特開2001−213726(JP,A)
【文献】 特開2005−298387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有する固形状油性クレンジング化粧料。
(A)融点が60〜120℃である炭化水素油 化粧料全量中に5〜15質量%
(B)エステル油を液状油全量に対して45〜90質量%含有し、かつ、前記エステル油が、炭素数8〜20の一価の高級脂肪酸と炭素数2〜20の一価のアルコールのエステル油及び炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油から選択される1種又は2種以上を、エステル油全量に対して80質量%以上含有する液状油
(C)HLB値が5〜13のノニオン性界面活性剤 化粧料全量中に5〜30質量%
【請求項2】
(A)成分と(B)成分の組成物中における含有質量比(B/A)が、4〜18である請求項1に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項3】
(B)成分中のエステル油が、エステル油全量に対して、炭素数8〜20の一価の高級脂肪酸と炭素数2〜20の一価のアルコールのエステル油及び炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油から選択される1種又は2種以上を90質量%以上含有する請求項1又は2に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項4】
(B)成分中のエステル油が、(B1)炭素数8〜20の一価の高級脂肪酸と炭素数2〜20の一価のアルコールのエステル油と、(B2)炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油とを含み、(B1)と(B2)の含有質量比率が2:1〜1:2である請求項1〜のいずれか1項記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項5】
(B)成分中のエステル油が、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソパルミチン酸エチルヘキシル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル及びトリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルから選択される1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項6】
(B)成分中のエステル油が、(B1)パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル及びイソパルミチン酸エチルヘキシルから選択される1種又は2種以上と、(B2)トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル及びトリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルから選択される1種又は2種以上を含有する請求項4に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項7】
(C)成分が、HLB値が7〜12.5のノニオン性界面活性剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項8】
(A)成分が、融点が70〜110℃である炭化水素油である請求項1〜7のいずれか1項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形の油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐水、耐油性に優れたメイクアップ化粧料が開発され、化粧持ちが著しく向上している。そのため、メイクアップ化粧料とのなじみが良く、汚れ落ちに優れた油性クレンジング化粧料が用いられている。この油性クレンジング化粧料のうち、液状油をベースとした液状油性クレンジング化粧料は、メイクアップ化粧料とのなじみが特に優れ、クレンジング効果が高いことが知られている。しかしながら、液状油性クレンジング化粧料は、粘度が低く、使用時のたれ落ちや、メイクアップ化粧料となじませる時のマッサージがしにくいという問題があった。また、使用中の塗擦動作が直接肌に伝わりやすく、肌への負担又は刺激が強く感じられるという問題もあった。
【0003】
そこで、液状油性クレンジング化粧料のたれ落ちを改善するために、油ゲル化剤を用いて液状油を増粘させた油性クレンジング化粧料が提案されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、これらのクレンジング化粧料は、洗浄後にべたつき感が強く感じられ、塗擦により粘度が低くなり、たれ落ちの問題が生じる場合があった。
【0004】
また、高融点の固形油と液状油と非イオン性界面活性剤を併用することで、固形化したクレンジング化粧料も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−136114号公報
【特許文献2】特開2005−194290号公報
【特許文献3】特開2001−213726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらのクレンジング化粧料は、たれ落ちこそしにくいものの、メイクアップ化粧料とのなじみが悪く、クレンジング効果も十分でないという問題があった。
【0007】
従って、本発明は、クレンジング化粧料のたれ落ちがなく、塗擦による肌への負担が少ない固形の油性クレンジング化粧料でありながら、メイクアップ化粧料とのなじみ性が良く、汚れ落ちに優れ、かつ洗浄後のさっぱり感に優れる固形状油性クレンジング化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、固形でありながら、メイクアップ化粧料とのなじみ性が良く、汚れ落ちに優れ、かつ洗浄後のさっぱり感に優れる油性クレンジング化粧料を開発すべく種々検討した結果、特定の融点を有する固形の炭化水素油と、液状油と、特定のHLBのノニオン性界面活性剤を含有する固形状油性クレンジング化粧料において、液状油中のエステル油含有量を35質量%以上とすることにより、メイクアップ化粧料とのなじみが良く、クレンジング効果に優れ、さらに洗浄後のさっぱり感など使用感も向上することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする固形状油性クレンジング化粧料を提供するものである。
(A)融点が60〜120℃である炭化水素油 化粧料全量中に5〜15質量%
(B)エステル油を液状油全量に対して35質量%以上含有する液状油
(C)HLB値が5〜13のノニオン性界面活性剤 化粧料全量中に5〜30質量%
【発明の効果】
【0010】
本発明の固形状油性クレンジング化粧料は、固形であることから、クレンジング化粧料のたれ落ちがなく、塗擦による肌への負担が少ない。また、メイクアップ化粧料とのなじみ性が良く、汚れ落ちに優れる。さらに洗浄後のさっぱり感に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いられる(A)炭化水素油は、成型性と経時安定性の点から、融点が60〜120℃である炭化水素油であり、好ましくは融点が70〜110℃である炭化水素油である。
具体的には、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレン共重合体、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、フィッシャートロプシュワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス等の炭化水素が挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
【0012】
前記(A)成分の化粧料全量中における含有量は、使用感、とれやすさの点から、5〜15質量%であり、好ましくは7〜12質量%、さらに好ましくは7〜10質量%である。
【0013】
本発明で用いられる(B)液状油としては、常温(25℃)で流動性を有する油剤であれば、特に制限されない。例えば、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、オクタン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸2−ヘキシルデシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソプロピルミリステート、2−オクチルドデシルオレエート、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキシルパルミテート、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、ドデシルオレエート、オレイン酸オレイル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリグリセリン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸へキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、コハク酸ジオクチル、フッ素変性エステル油、トリオクタノイン、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等のエステル油;アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、ヒマワリ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、牛脚脂、肝油等の動植物油;α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、ポリブテン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン、アミノ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油等のシリコーン油;オレイン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ホホバアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0014】
本発明においては、(B)液状油全量に対してエステル油を35質量%以上含有させることが必要であり、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45〜90質量%、最も好ましくは55〜85質量%含有させる。当該範囲内であれば、メイクアップ化粧料とのなじみがよく、成型性、保存安定性が良好となり、マッサージ時の摩擦感が少なく、洗浄後のさっぱり感に優れる。
【0015】
これらの液状油のうち好ましくは、メイクアップ化粧料とのなじみがよく、汚れ落ちに優れる点から、エステル油としては、(B1)一価の高級脂肪酸と一価のアルコールのエステル油及び(B2)炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましく、特に液状油中のエステル油全量に対して、(B1)一価の脂肪酸と一価の高級アルコールのエステル油及び(B2)炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油から選択される1種又は2種以上を80質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
【0016】
(B1)一価の高級脂肪酸と一価のアルコールのエステル油としては、例えば炭素数8〜20の脂肪酸と炭素数2〜20のアルコールのエステル油が挙げられ、具体的には2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸エチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸エチルヘキシル等が挙げられ、市場での入手のしやすさ、使用感の点から、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソパルミチン酸エチルヘキシルが好ましい。また、炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油としては、例えば、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、天然のヤシ油等の植物油が挙げられ、メイクなじみ、使用感の点から、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルが好ましい。
【0017】
(B1)一価の高級脂肪酸と一価のアルコールのエステル油と、(B2)炭素数8〜12の直鎖脂肪酸とグリセリンとのトリエステル油とを併用する場合には、これらの液状油中の含有質量比率[(B1):(B2)]は、2:1〜1:2、好ましくは3:2〜2:3の範囲であれば、メイクアップ化粧料のなじみやすさ、汚れ落ちに優れる。
【0018】
(A)成分と(B)成分の組成物中における含有質量比(B/A)が、4〜18であることが好ましく、より好ましくは5〜13であり、さらに好ましくは7〜11である。当該範囲内であれば、たれ落ちがなく、とれやすく、成型性にも優れる。
【0019】
本発明で用いられる(C)成分はHLB値が5〜13のノニオン性界面活性剤であり、好ましくはHLB値が7〜12.5のノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤としては特に限定されるものではないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0020】
具体的には、ステアリン酸ポリグリセリル−2(HLB:5.0)、オレイン酸ポリグリセリル−2(HLB:5.5)、トリイソステアリン酸グリセリル−2(HLB:5.5)、ステアリン酸ポリグリセリル−4(HLB:6.0)、オレイン酸ポリグリセリル−4(HLB:6.0)、トリステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB:7.5)、トリオレイン酸ポリグリセリル−10(HLB:7.0)、パルミチン酸ソルビタン(HLB:6.7)、イソステアリン酸ソルビタン(HLB:5.0)、PEG−5水添ヒマシ油(HLB:6.0)、PEG−10水添ヒマシ油(HLB:6.5)、セテス−2(HLB:8.0)、ステアレス−2(HLB:8.0)、オレス−2(HLB:7.5)、ベヘネス−5(HLB:7.0)、(C12−14)パレス−3(HLB:8.0)、ジ(C12−15)パレス−2リン酸(HLB:6.5)、トリ(C12−15)パレス−2リン酸(HLB:7.0)、ジ(C12−15)パレス−6リン酸(HLB:8.0)、トリステアリン酸PEG−10グリセリル(HLB:5.0)、トリイソステアリン酸PEG−10グリセリル(HLB:5.0)、トリオレイン酸PEG−10グリセリル(HLB:5.0)、イソステアリン酸PEG−3グリセリル(HLB:6.0)、ジイソステアリン酸PEG−10グリセリル(HLB:7.0)、イソステアリン酸PEG−5グリセリル(HLB:8.0)、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル(HLB:8.0)、カプリン酸ポリグリセリン(HLB:9.5)、トリイソステアリン酸PEG−30グリセリル(HLB:10.0)、イソステアリン酸PEG−20グリセリル(HLB:12)などが挙げられる。
【0021】
これらのうち好ましくは、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルであり、さらに好ましくはトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである。特に、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルのエチレンオキシド付加モル数は、10〜30モルのものがさらに好ましい
【0022】
ここで、HLB(親水性−親油性バランス;Hydrophile−Lypophile Balance)値は、一般に界面活性剤の水及び油への親和性を示す値であり、グリフィン法により容易に求めることができる。
【0023】
前記(C)成分の化粧料全量中における含有量は、水洗時の洗い流しやすさ、水洗後のさっぱり感の点から、5〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。
【0024】
本発明の固形状油性クレンジング化粧料には、前記の必須成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、モンタンワックス、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ等のロウ類、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、トリオクタデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、硬化ヒマシ油等の固形油脂、粉体、油ゲル化剤、保湿剤、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防菌防腐剤、紫外線吸収剤、消炎剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、香料等を配合することができる。
【0025】
本発明の固形クレンジング化粧料の剤形は、常温(25℃)、常圧(1気圧)で流動性のないクレンジング化粧料であり、その形状は、棒状、板状及び容器への流し込み成型したもの等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。油性とは、化粧料中に実質的に水を含有していないものであり、好ましくは化粧料全量に対して、水の含有量が3質量%未満であり、より好ましくは1%質量未満である。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。尚、各成分の量は、質量%である。
また、実施例7は参考例であって、特許請求の範囲に包含されるものではない。
【0027】
実施例1〜10及び比較例1〜7
下記表1に示す組成の固形クレンジング化粧料を調製した。それらをメイクアップ化粧料とのなじみやすさ、たれ落ちやすさ、汚れ落ち、使用感(塗擦刺激の有無、洗浄後のさっぱり感の良さ)及び安定性に関して、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0028】
(メイクアップ化粧料とのなじみやすさ)
(1)官能試験
20名のパネラーを用いて、実施例及び比較例で示したクレンジング化粧料を使用して、「メイクアップ化粧料とのなじみやすさ」「たれ落ち」「汚れ落ち」「マッサージ時の摩擦感」「洗浄後のさっぱり感」について官能評価した。尚、評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
◎:非常に良好〔良いと答えた被験者が15名以上〕
○:良好 〔良いと答えた被験者が10名以上15名未満〕
△:やや悪い 〔良いと答えた被験者が5名以上10名未満〕
×:悪い 〔良いと答えた被験者が5名未満〕
【0029】
(2)成型性試験
実施例及び比較例のクレンジング化粧料を100gのプラスチック製ジャー容器に入れて静置し、6時間後に視覚判定により、下記の基準で評価を行った。
<評価基準>
◎:表面凹凸がなく、目立った傷がない
○:表面に凹凸がなく、側面にひびが見られる
△:表面に僅かに凹凸が見られる
×:表面に明らかに凹凸が見られる
【0030】
(3)保存安定性試験
実施例及び比較例のクレンジング化粧料を100gのプラスチック製ジャー容器に入れて密封し、往復恒温槽(5℃〜35℃のサイクル恒温槽)に2ヶ月保存後、視覚判定及び実際の使用により、下記の基準で評価を行った。
<評価基準>
◎:外観の変化が全くなく、香りや使用性の変化もない。
○:外観の変化はほとんどなく、香りや使用性に若干の変化を感じる。
△:僅かに発汗等が認められ、香りや使用性に変化を感じる。
×:明らかに発汗等が認められ、香りや使用性に明らかな変化を感じる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
(製造方法)
A.表1の成分(1)〜(3)を95〜100℃で混合溶解する。
B.Aを容器に流し込み、冷却固化して固形状油性クレンジング化粧料を得た。
【0034】
表1より明らかなように、本発明の必須成分を配合した実施例はいずれも優れた性能を示していた。一方、本発明の必須成分を1つでも欠く比較例のクレンジング化粧料は、いずれかの点で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0035】
以下に、本発明の処方例を示す。いずれも、使用感、成型性、保存安定性に優れた効果を期待できる固形状油性クレンジング化粧料である。
【0036】
処方例1 配合量
(A)パラフィンワックス 4.0
合成ワックス 2.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
(B)水添ポリデセン 25.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 30.0
パルミチン酸エチルへキシル 残 部
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5.0
ホホバ油 0.2
カロットオイル 0.2
マカデミアナッツ油 0.2
(C)トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル (HLB8.0) 10.0
メトキシケイヒ酸エチルへキシル 適 量
香料 適 量
【0037】
処方例2 配合量
(A)セレシンワックス 5.0
パラフィンワックス 5.0
(B)流動パラフィン 20.0
イソノナン酸イソデシル 25.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 残 部
(C)カプリン酸ポリグリセリン(HLB9.5) 11.0
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル 適 量
メトキシケイヒ酸エチルへキシル 適 量
トコフェロール 適 量
色素 適 量
香料 適 量
【0038】
上記処方例での香料の組成を表3に示す。
【0039】
【表3】