(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記履歴再生部は、前記平面図とともに前記時刻情報と前記平面図上における前記監視センサの設置位置とを表示しているときに、前記操作部にて前記平面図上で何れかの前記監視センサの設置位置が選択されると当該設置位置に対応する監視センサの当該時刻の前記検知情報を前記表示部に表示する請求項1または2に記載の監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表示装置は、火災など監視対象の異常事態が現在発生しているときに、その異常事態を火災感知器やビデオカメラの情報から参照できるものの、過去に発生した異常事態について、それらの情報を参照することまで考慮されていない。
【0006】
過去に発生した異常事態を確認する方法としては、監視装置で受信した監視情報(異常情報や画像データ)を対応付けて記録しておき、後に履歴情報として用いることが考えられる。しかし、個々の履歴情報それ自体はある異常事態に関連する一つの断片的な情報に過ぎない。そのため、そのような履歴情報(断片的な情報)から、監視物件に発生した異常事態の規模や被害の推移などを推定するには、監視員としてある程度の経験が必要である。したがって、経験の少ない監視員にとって、単なる履歴情報から過去の異常事態の状況(異常事態の規模や被害の推移など)を把握することは困難であった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、監視装置の履歴情報から監視物件に過去に発生した異常事態を確認する場合に、経験値の少ない監視者であっても、容易に異常事態の規模や被害の推移などの状況を把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の監視装置は、監視センサが設置された複数の監視領域を遠隔から監視する監視装置であって、前記監視センサが出力する検知情報を受信する監視情報受信部と、前記受信した検知情報を出力元の前記監視センサと対応させて時刻情報とともに履歴情報として記憶する履歴記憶部と、前記監視領域ごとに当該監視領域内に設置された前記監視センサの識別情報を記憶するとともに、当該監視領域における前記監視センサの設置位置を示した平面図を記憶する記憶部と、利用者の操作入力を受ける操作部と、前記利用者に映像を表示する表示部と、前記操作部から履歴再生指示の入力があると、前記履歴再生指示にて指定された前記平面図を前記表示部に表示するとともに、前記履歴再生指示にて指定された過去の時点の前記履歴情報を抽出して、当該時点の時刻情報と当該時点に検知情報を出力した前記監視センサの前記平面図上における設置位置とを識別可能に前記表示部に表示する履歴再生部と、を備えている。
【0009】
これにより、利用者が操作部から履歴再生指示を入力して所望の平面図と過去の時点とを指定すると、監視装置の表示部に、その平面図が表示されるとともに、その過去の時点の時刻情報とその時点で検知情報を出力した監視センサの平面図上における設置位置が識別可能に表示される。そのため、ある時点で検知状態にある1又は複数の監視センサの位置関係を視認でき、経験の少ない利用者であっても、過去に発生した異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況を、容易に把握することができる。
【0010】
また、本発明の監視装置では、前記監視情報受信部は、前記監視領域に設置された監視カメラが出力する映像情報を受信し、前記記憶部は、前記監視領域ごとに当該監視領域内に設置された前記監視カメラの識別情報を記憶するとともに、当該監視領域における前記監視カメラの設置位置を示した前記平面図を記憶し、前記監視装置は、さらに、前記受信した映像情報を出力元の前記監視カメラと対応させて時刻情報とともに記憶する映像記憶部と、前記履歴再生部が前記平面図とともに前記時刻情報と前記平面図上における前記監視センサの設置位置とを前記表示部に表示しているときに、前記操作部にて前記平面図上で何れかの前記監視カメラの設置位置が選択されると当該設置位置に対応する監視カメラの当該時刻の前記映像情報を前記表示部に表示する映像表示制御部と、を備えてもよい。
【0011】
これにより、履歴再生指示を入力(所望の平面図と過去の時点とを指定)することによって、監視装置の表示部に履歴再生の表示(その平面図とともに、時刻情報と平面図上における監視センサの設置位置の表示)がされているときに、利用者がその平面図上で監視カメラの設置位置を選択すると、その過去の時点における監視カメラの映像情報が表示される。そのため、利用者は、異常状態が発生した時点における監視カメラの映像を容易に確認することができる。したがって、その異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況の把握が、さらに容易になる。
【0012】
また、本発明の監視装置では、前記履歴再生部は、前記平面図とともに前記時刻情報と前記平面図上における前記監視センサの設置位置とを表示しているときに、前記操作部にて前記平面図上で何れかの前記監視センサの設置位置が選択されると当該設置位置に対応する監視センサの当該時刻の前記検知情報を前記表示部に表示してもよい。
【0013】
これにより、履歴再生指示を入力(所望の平面図と過去の時点とを指定)することによって、監視装置の表示部に履歴再生の表示(その平面図とともに、時刻情報と平面図上における監視センサの設置位置の表示)がされているときに、利用者がその平面図上で監視センサの設置位置を選択すると、その過去の時点における監視センサの検知情報が表示される。そのため、利用者は、異常状態が発生した時点における監視センサの検知内容を容易に確認することができる。したがって、その異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況の把握が、さらに容易になる。
【0014】
また、本発明の監視装置では、前記履歴再生部は、前記平面図とともに前記時刻情報と前記平面図上における前記監視センサの設置位置とを表示した後、当該時刻情報に所定値を加算した時刻情報により新たな過去の時点を指定して前記履歴情報を参照し、当該新たな過去の時点における時刻情報と検知情報の出力元である前記監視センサの前記平面図上における設置位置とを識別可能に表示してもよい。
【0015】
これにより、履歴再生指示を入力(所望の平面図と過去の時点とを指定)することによって、ある時刻(過去の時点)における平面図上の検知位置を履歴再生として表示した後に、その時刻に所定値(例えば1分など)を加算した時刻(新たな過去の時点)における新たな履歴再生の表示が行われる。このようにして、履歴再生の表示を連続的に行うことが可能になる(連続再生が可能になる)。したがって、経験の少ない利用者であっても、異常状態(監視センサで検知した異常状態)の推移を、容易に把握することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、監視センサが設置された複数の監視領域を遠隔から監視する監視装置で実行されるプログラムであって、前記監視装置には、前記監視センサから受信した検知情報を出力元の前記監視センサと対応させて時刻情報とともに履歴情報として記憶する履歴記憶部と、前記監視領域ごとに当該監視領域内に設置された前記監視センサの識別情報を記憶するとともに、当該監視領域における前記監視センサの設置位置を示した平面図を記憶する記憶部と、が備えられており、前記プログラムは、前記監視装置の履歴再生部に、前記監視装置の操作部から履歴再生指示の入力があると、前記操作部にて指定された前記平面図を前記監視装置の表示部に表示するとともに、前記操作部にて指定された過去の時点の前記履歴情報を抽出して、当該時点の時刻情報と当該時点に検知情報を出力した前記監視センサの前記平面図上における設置位置とを識別可能に前記表示部に表示する処理を実行させる。
【0017】
このプログラムによっても、上記と同様に、経験の少ない利用者であっても、過去に発生した異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況を、容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、監視装置の履歴情報から監視物件に過去に発生した異常事態を確認する場合に、経験値の少ない監視者であっても、容易に異常事態の規模や被害の推移などの状況を把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の監視装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視システム等に用いられる監視装置の場合を例示する。この監視装置は、監視装置の履歴情報から監視物件に過去に発生した異常事態を確認する場合に、経験値の少ない監視者であっても、容易に異常事態の規模や被害の推移などの状況を把握できる機能を備えている。この機能は、監視装置のHDDやメモリなどに格納されるプログラムによって実現される。
【0021】
<監視システム>
まず、本実施の形態の監視システムの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の監視システム1では、一つの監視区画に複数の監視領域が設定されている。監視区画は、例えば、事業所などの監視対象の物件(監視物件)であり、監視領域は、監視物件の各フロア(1階、2階・・・)である。本実施の形態の監視システム1では、複数の監視区画から各監視領域の監視情報(映像情報や検知情報)を遠隔の監視センタにて受信することで、遠隔からの集中監視が行われる。監視センタは、例えば、複数の事業所を統括的に監視する管理本部などである。
【0022】
図1に示すように、監視システム1は、監視領域を撮像して画像データを取得する監視カメラ2と、監視領域における扉開閉や人体の存在を検知する監視センサ3と、各監視領域の監視カメラ2及び監視センサ3と通信網(インターネット網)を介して接続されて複数の監視区画を遠隔から監視する監視装置4と、を備えている。監視カメラ2や監視センサ3は、監視区画の各監視領域に設置され、監視装置4は、遠隔の監視センタに設置される。
【0023】
なお、本実施形態では、監視手段として監視カメラ2及び監視センサ3の両方が設置される例について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、監視領域には少なくとも監視カメラ2と監視センサ3の何れかが設置されていれば良い。
【0024】
また、本実施形態では、通信網が、インターネット網で構成される例について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、通信網は、公衆電話網や携帯電話網など適宜利用可能なものを選択してよい。また、本実施形態では、通信プロトコル、交換設備、インターネットサービスプロバイダの設備などは、一般的な技術(詳細な説明は省略する)を使用することができる。
【0025】
<監視カメラ>
つぎに、本実施の形態の監視カメラ2について説明する。監視カメラ2は、監視領域の各所(適宜な場所)に設置され、監視領域内の画像(監視画像)を撮影する。監視カメラ2には、予め各監視カメラ2を識別するための識別情報が設定されている。監視カメラ2の識別情報は、撮影された画像データと設置場所と関連付けられ、監視カメラ2に内蔵されたメモリ5に記憶されている。また、監視カメラ2には、監視装置4と通信するための通信アドレスが設定されている。そして、監視カメラ2は、各設置場所にて撮影した画像データをデジタル符号化し、通信網を介して監視装置4に画像データと識別情報とを送信する。
【0026】
ここで、
図2を参照して、監視カメラ2の構成について詳しく説明しておく。
図2に示すように、監視カメラ2は、メモリ5を内蔵しており、このメモリ5には、予め各監視カメラ2を識別する識別情報と通信アドレスが記憶されている。また、このメモリ5には、撮影間隔(フレームレート)と画質などの撮影情報が記憶される。撮影情報は、監視装置4から撮影間隔と画質を指定する信号を受信して設定される。画質は、解像度とデータサイズとで決定される。
【0027】
また、監視カメラ2は、レンズなどで構成される光学系6と、光学系6からの入射光を受光する撮像素子7と、撮像素子7から入力される画像のアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタルコンバータ8(A/D)と、画像のデジタル信号から圧縮符号化データ(画像データ)を生成する画像圧縮回路9を備えている。アナログ/デジタルコンバータ8は、撮像素子7から入力される画像信号(アナログ信号)を、メモリ5に記憶された撮影情報の撮影間隔(フレームレート)でデジタル信号に変換する。画像圧縮回路9は、メモリ5に記憶された撮影情報の画質に対応するパラメータに従って圧縮符号化データを生成する。圧縮符号化データは、画像圧縮符号化方式としてH.264/AVC規格に準拠した画像データである。
【0028】
なお、画像圧縮符号化方式としては、JPEG規格やMPEG2Video規格など他の規格であってよい。また、異なる画像圧縮符号化方式の監視カメラ2が監視領域に混在してもよいし、一つの監視カメラ2が画像圧縮符号化方式を切り替えてもよい。
【0029】
監視カメラ2は、このようにして生成された画像データを監視装置4に送信する通信部10を備えている。通信部10から監視装置4に送信される画像データには、監視カメラ2の識別情報が含まれる。なお、監視カメラ2は、マイクから入力される音声信号を圧縮符号化し、画像データに多重化して、通信部10から出力してもよい。
【0030】
また、監視カメラ2は、SDカードや不揮発性メモリで構成される画像記憶部11を備えている。画像記憶部11には、所定時間分の過去の撮像画像が常に記録保持されている。
【0031】
更に、監視カメラ2は、監視カメラ2の撮像方向が変化したことを検知する向き変化検知部12と、監視カメラ2の撮像視野が隠蔽されたことを検知するマスク検知部13を備えている。監視カメラ2は、撮像方向の変化や撮像視野の隠蔽を検知すると、検知した状態情報を示す検知信号を通信部10から監視装置4に送信する。また、監視カメラ2は、撮像方向の変化や撮像視野の隠蔽が復旧したことを検知すると、状態情報として復旧したことを示す検知信号を通信部10から監視装置4に送信する。
【0032】
このとき監視カメラ2から送信される検知信号には、監視カメラ2の識別情報が含まれる。向き変化検知部12は、監視カメラ2の撮像方向が変化したことを検知する機能を備えており、ジャイロセンサや加速度センサなどにより構成される。また、マスク検知部13は、監視カメラ2の撮像視野が隠蔽されたことを検知する機能を備えており、例えば、撮像画像の輝度変化を検出することにより撮像視野の隠蔽が検出される。このような向き変化検知部12やマスク検知部13は、従来から知られている種々の方法(詳細な説明は省略する)が利用可能である。
【0033】
<監視センサ>
次に、本実施の形態の監視センサ3について説明する。
図3に示すように、監視センサ3は、扉や窓の開閉や人体の存在を検知する検知部14を備えている。検知部14は、例えば、監視領域の扉又は窓枠に設置されたマグネットとの離隔/近接により扉や窓の開閉を検知する開閉センサや、熱線などにより人体の存在を検知する人体センサで構成されている。また、監視センサ3は、メモリなどで構成される記憶部15と、監視装置4との通信を行う通信部16を備えている。監視センサ3の記憶部15には、予め各監視センサ3を識別する識別情報と通信アドレスが記憶されている。
【0034】
監視センサ3は、検知部14により検知対象(扉開や人体の存在検知)を検知すると、検知した状態情報を示す検知信号を通信部16から監視装置4に送信する。また、監視センサ3は、検知部14により検知対象の状態が復旧したこと(扉閉や人体未検知)を検知すると、状態情報として復旧したことを示す検知信号を通信部16から監視装置4に送信する。このとき監視センサ3から送信される検知信号には、監視センサ3の識別情報が含まれる。
【0035】
なお、監視センサ3は、検知信号を必ずしも監視装置4に直接送信する必要はない。例えば、監視センサ3は、監視区画或いは監視領域に設置された警備装置(図示せず)に検知信号を入力し、その警備装置から監視装置4に検知信号を送信する構成としてもよい。
【0036】
<監視装置>
続いて、本実施の形態の監視装置4について説明する。監視装置4は、各監視区画の状態を集中管理する監視センタに設置される画像監視用の装置であり、専用の端末や汎用のパソコンなどで構成される。監視装置4は、例えば、利用者である監視員が監視区画のモニタリングを所望するときに起動され、モニタリングが終わると終了される。
【0037】
監視装置4は、監視員により操作され、所望する監視カメラ2に通信網を介して画像データの要求信号を送信し、これに応答して監視カメラ2から受信する画像データを表示出力する機能を備えている。また、監視装置4は、監視カメラ2や監視センサ3から検知信号を受信して、これを記録するとともに識別可能に表示出力する機能を備えている。
【0038】
監視員は、画像データを参照することにより監視区画を監視するとともに検知信号に含まれる状態情報を参照して、監視区画が正常か否かを判別する。そして、監視員は、監視区画の異常事態を判断すると、対応する監視区画の管理者に対する確認処理、警備員への対処指示などの必要な措置をとる。
【0039】
ここで、
図4を参照して、監視装置4の構成について詳しく説明しておく。
図4に示すように、監視装置4は、通信部17と、表示部18と、操作部19を備えている。また、この監視装置4は、制御部20と、画像記録部21と、記憶部22を備えている。制御部20は、通信制御部23と、映像表示制御部24と、記録処理部25と、異常検出部26と、履歴再生部27を含んでいる。
【0040】
通信部17は、インターネット網に接続された通信インターフェースである。監視装置4は、通信部17により各監視区画に設置された監視カメラ2及び監視センサ3と接続される。
【0041】
表示部18は、LCD等のディスプレイ及びスピーカより構成され、監視カメラ2から受信する画像(監視画像)をモニタリングする機能を備えている。
【0042】
操作部19は、キーボードやポインティグデバイスなどから構成される。操作部19は、監視員により操作がなされて、各種情報の表示要求や監視カメラ2に対する画像の受信要求や画像受信の停止要求などが入力される。具体的には、各監視区画および監視区画内の監視領域を指定する操作がなされて、監視区画や監視領域の情報の表示要求が入力される。また、監視カメラ2を指定する操作がなされて、その監視カメラ2に対する画像の受信要求が入力される。この入力操作はGUI(Graphical User Interface)により実現されてよい。
【0043】
画像記録部21は、DVD−RやHDDなどの記憶媒体で構成される。画像記録部21には、記録処理部25(後述する)により書き込み制御されて監視カメラ2から受信する画像データを、撮影した時刻情報及び監視カメラ2の識別情報とともに記録する。
【0044】
記憶部22は、ROM/RAM、HDDなどで構成される。記憶部22には、各監視区画を構成する監視領域と監視カメラ2及び監視センサ3の情報である監視区画情報と、各監視領域における間取りなどのレイアウト情報を示した平面図の情報である図面情報と、表示部18に表示された画像データや状態情報の表示履歴の情報である表示履歴情報と、監視カメラ2及び監視センサ3から受信した状態情報や監視領域の状態の情報である状態記憶情報が記憶される。この記憶部22では、状態記憶情報として、監視カメラ2及び監視センサ3から受信した状態情報(検知情報)が、出力元の監視カメラ2や監視センサ3と対応させて時刻情報とともに記憶されている。したがって、状態記憶情報は、本発明の履歴情報に相当し、記憶部22は、本発明の履歴記憶部に相当する。
【0045】
監視区画情報としては、各監視区画を構成する監視領域の識別情報と、各監視領域に設置された監視カメラ2及び監視センサ3の識別情報とが、互いに対応付けて記憶される。監視領域の識別情報には、監視区画における階床情報(例えば、1階フロア)やエリア情報(例えば、介護エリア)などが含まれる。また、監視区画情報として、監視領域における監視カメラ2及び監視センサ3の通信アドレスと設置位置の情報も記憶される。監視区画情報としては、監視対象物件である監視区画の住所や緯度経度などの位置情報が記憶されてもよい。
【0046】
図面情報としては、地図上で監視物件の所在をアイコンで示した平面図(物件マップ)と、監視領域のレイアウト配置とともに当該監視領域に設置された監視カメラ2及び監視センサ3の設置位置に対応する位置に監視カメラ2又は監視センサ3を示すアイコンを重畳表示した平面図(フロアマップ)が、記憶されている。
【0047】
表示履歴情報としては、表示部18に表示された画像データや状態情報の入力元となる監視カメラ2や監視センサ3の識別情報が、表示時刻と対応させて識別可能に順次記憶されている。表示履歴情報には、例えば、ある表示時刻(13時10分から13時30分など)に、ある監視カメラ2(カメラAなど)の画像データが表示部18に表示されていたことを示す情報が記憶される。
【0048】
制御部20は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、監視装置4の種々の制御を行う。制御部20は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、通信制御部23と、映像表示制御部24と、記録処理部25と、異常検出部26と、履歴再生部27を有している。
【0049】
通信制御部23は、複数の監視カメラ2及び監視センサ3との間の通信を制御する機能を備えており、複数機器との同時セッションが可能に構成されている。通信制御部23は、HTTP等のプロトコルを用いて監視カメラ2から画像データを受信し、更に、監視カメラ2や監視センサ3から送信された検知信号を受信する機能を備えている。
【0050】
また、通信制御部23は、操作部19から画像データの受信要求が入力されると、該当する監視カメラ2に対して画像要求信号を送信し、これに応答して監視カメラ2から送信される画像データを受信する機能を備えている。画像データは、ストリーミング配信としての動画データのパケット伝送であってよく、静止画として連続的に伝送されてもよい。また、通信制御部23は、操作部19から画像受信の停止要求が入力されると、該当する監視カメラ2に通信終了要求信号を送信し、画像データの受信を停止する。
【0051】
なお、通信帯域が十分に確保されている場合には、通信制御部23は、全ての監視カメラ2とのセッションを常時保持して常に画像データを受信する構成であってよい。その場合、操作部19から画像データの受信要求が入力されてから停止要求が入力されるまでの間、該当する監視カメラ2の画像データを映像表示制御部24に出力する。
【0052】
また、通信制御部23は、監視カメラ2や監視センサ3から検知信号を受信すると、この検知信号から状態情報と識別情報を抽出して、現在時刻と対応づけて記憶部22の状態記憶情報に記憶する機能を備えている。
【0053】
異常検出部26は、監視カメラ2や監視センサ3から受信した画像データや検知信号から監視領域に発生した異常を検出する機能を備えている。監視カメラ2の画像データや監視センサ3の検知信号から異常事態の発生を検出する手法としては、従来から知られている種々の方法が利用可能である。例えば、監視領域が無人である時間帯に画像データに変動が生じたり、監視センサ3から検知信号が入力されると、異常検出部26は当該監視領域が異常と判定する。また、監視カメラ2の検知信号から撮像方向の変化や撮像視野の隠蔽が生じたことを検出すると、異常検出部26は当該監視領域が異常と判定する。
【0054】
なお、本実施の形態では、監視装置4の側で異常検出の処理を行うようにしているが、監視区域の側(監視カメラ2や監視センサ3の側)で異常検出の処理が実行されてもよい。その場合、監視カメラ2や監視センサ3で異常の発生を検出したことを示すフラグ(異常フラグ)が付された監視情報が、監視カメラ2や監視センサ3から送信されてよい。
【0055】
異常検出部26は、監視領域の異常を検出すると、記憶部22の状態記憶情報に当該監視領域が異常であること、及び、以上と判定された検知信号を出力した監視カメラ2又は監視センサ3の識別情報を、現在時刻と対応づけて記録する。また、異常検出部26は、検知信号から異常と判定した状態が復旧したことを検知すると、状態記憶情報に当該監視領域が異常から復旧したことを記憶する。
【0056】
映像表示制御部24は、
図5に示すように、表示部18を、画像データ表示領域、状態情報表示領域、図面表示領域に分割して、各領域ごとに該当する情報を表示制御する。画像データ表示領域には、監視カメラ2の画像データが表示される。なお、画像データ表示領域は、複数の小領域に分割されて、複数の監視カメラ2の画像を同時に表示してよい。
図5の例では、4つの小領域に分割されて、4つの監視カメラ2(カメラA〜D)の画像を同時に表示できるようになっている。また、状態情報表示領域には、監視カメラ2や監視センサ3から送信される状態情報が表示される。さらに、図面表示領域には、地図上で監視物件の所在がアイコンで示された平面図(物件マップ)や、監視領域のレイアウト配置を示す平面図上の位置に監視カメラ2又は監視センサ3を示すアイコンを重畳表示した平面図(フロアマップ)が表示される。また、詳しくは後述するが、図面表示領域には、履歴再生部27による履歴再生処理により平面図上に過去時点の検知状態を表示する履歴再生表示が行われる。
【0057】
映像表示制御部24は、操作部19から監視カメラ2を指定する指定要求や、記憶部22に記録された監視領域の図面参照要求があると、監視者が所望する監視領域の平面図を読み出して表示部18に表示する。平面図(フロアマップ)には、監視カメラ2又は監視センサ3の設置位置にこれら監視手段(監視カメラ2や監視センサ3)を示すアイコンが重畳表示されており、操作部19よりアイコンが選択操作されると、監視カメラ2の画像データの受信要求や監視センサ3の状態情報表示要求として受け付けられる。
【0058】
映像表示制御部24は、画像データの受信要求や状態情報表示の要求入力を受け付けると通信制御部23または記憶部22から該当の画像データや状態情報を抽出し、伸張して表示部18に表示出力する。また、操作部19より表示中の画像データが選択操作されると画像データの受信停止要求として受け付けられ、当該画像データの表示を終了させる。また、映像表示制御部24は、監視装置4が起動すると、表示履歴情報を参照し、前回監視装置4が終了されたときに表示部18に表示中であった画像データや状態情報、図面情報を読み出して、該当する画像データの受信要求を行い、前回終了時に表示されていた状態を再現する。
【0059】
記録処理部25は、映像表示制御部24が画像データや状態情報を表示部18に表示出力すると、表示された画像データや状態情報の入力元となる監視カメラ2や監視センサ3の識別情報を、現在時刻と対応させて記憶部22の表示履歴情報に記憶する。同様に、記録処理部25は、画像データや状態情報を表示終了させた場合にも、表示終了させた画像データや状態情報の入力元となる監視カメラ2や監視センサ3の識別情報を、現在時刻と対応させて表示履歴情報に記憶する。また、記録処理部25は、映像表示制御部24が図面表示領域に平面図(フロアマップ)を表示すると、当該表示された平面図に対応する監視領域の識別情報を、現在時刻と対応させて識別可能に表示履歴情報に記憶する。
【0060】
また、記録処理部25は、操作部19から表示中の画像データが指定されて画像の記録要求が入力されると、監視カメラ2から受信する画像データを、監視カメラ2の識別情報と撮影時刻に対応させて画像記録部21に記録する。この画像データの記録は、操作部19から時刻と監視カメラ2とを指定して設定される記録スケジュールにより、自動的に受信し、記録するようにしてもよい。
【0061】
履歴再生部27は、操作部19から履歴再生指示の入力があると起動して処理を開始する。履歴再生指示は、画面上に表示されたボタン押下を検知するGUIにて入力されてよい。
図6に示すように、履歴再生部27は、操作部19から再生時刻となる過去の時刻(例えば、2010年4月10日23時11分00秒)が入力され、再生対象領域となる監視領域(フロア)が指定されると、当該監視領域の平面図(フロアマップ)を表示部の図面表示領域に表示し、記憶部22の状態記憶情報から履歴情報(再生時刻の履歴情報)を抽出する。そして、当該時刻の履歴情報において、この監視領域内で異常を検知している(検知対象を検知し、未だ復旧していない)監視センサ3または監視カメラ2があるか調べ、該当する監視センサ3または監視カメラ2のアイコンを平面図上に異なる色で表示する履歴再生表示を行う。
【0062】
また、
図6に示すように、履歴再生部27は、図面表示領域に「再生表示ボタン、一時停止ボタン、逆再生ボタン」を表示し、再生表示ボタンの選択操作が検出されると再生時刻に正の所定値(例えば1分)を加算して、新たな再生時刻(例えば、2010年4月10日23時12分00秒)の履歴情報を記憶部22から抽出し、平面図(フロアマップ)上において異常を検知している監視センサ3または監視カメラ2のアイコン表示を更新する。履歴再生部27は、一時停止ボタンの選択操作が検出されるまで、所定の更新間隔おきに順次再生時刻を加算し、平面図上のアイコン表示を更新する処理を繰り返す。なお、逆再生の場合は、負の所定値を加算して、同様の処理を行う。
【0063】
映像表示制御部24は、履歴再生部27が履歴再生表示として平面図(フロアマップ)を表示しているときに平面図上の監視カメラアイコンが選択操作されると、履歴再生部27に再生時刻の加算を停止させて(一時停止の状態)、当該時点の再生時刻と選択された監視カメラの識別情報で画像記録部21を検索し、対応する画像データの有無を調べる。対応する画像データがあれば、当該画像を表示部18の画像データ表示領域に表示する。
【0064】
また、映像表示制御部24は、履歴再生部27が履歴再生表示として平面図(フロアマップ)を表示しているときに平面図上において異常を検知している(異なる色で表示されている)監視センサ3または監視カメラ2のアイコンが選択操作されると、上記と同様に履歴再生部27を一時停止の状態とし、当該時点の再生時刻と選択された監視センサ3または監視カメラ2の識別情報で状態記憶情報を検索して状態情報を抽出し、伸張して表示部18の状態情報表示領域に表示出力する。
【0065】
以上のように構成された監視装置について、
図7および
図8のフロー図を参照してその動作を説明する。
【0066】
図7に示すように、監視装置4は、利用者によって操作部19から監視領域(フロア)の指定が入力されると(S1)、その監視領域の平面図(フロアマップ)を表示部18の図面表示領域に表示する(S2)。この監視領域の平面図(フロアマップ)の表示により、利用者は、現在の監視領域(フロア)の様子を確認し、画像を表示させたい監視カメラ2の選択操作などを行うことができる。
【0067】
一方、利用者によって操作部19から監視領域(フロア)の指定が入力されずに、履歴再生の指示が入力されると(S3)、監視装置4では履歴再生処理が実行される(S4)。この履歴再生の表示により、利用者は、過去の時点の監視領域(フロア)の様子を確認することができる。履歴再生指示には、履歴再生を行う監視領域(フロア)の指定と、履歴再生を開始する過去の時点(時刻)が含まれる。
【0068】
ここで、
図8を参照しながら、この履歴再生処理について詳しく説明しておく。
図8に示すように、履歴再生処理が開始されると、まず、履歴再生を開始する時刻(再生時刻)と履歴再生を行う対象の監視領域(再生対象領域)が決定され(S10)、その再生時刻の情報とその再生対象領域の平面図(フロアマップ)が表示部18の図面表示領域に表示される(S11)。
【0069】
そして、その再生対象領域において再生時刻に検知状態(検知対象を検知し、未だ復旧していない状態)の監視センサ3や監視カメラ2を抽出する処理が行われ(S12)、該当する監視センサ3や監視カメラ2(再生時刻に検知状態の監視センサ3や監視カメラ2)があれば(S13)、
図6に示すように、平面図(フロアマップ)上で対応するセンサアイコンを識別表示する(S14)。
【0070】
その後、再生ボタンの押下がなされると(S15)、再生時刻に所定値(例えば、1分)を加算して新たな再生時刻を決定する(S16)。なお、逆再生ボタンの押下がなされた場合には(S15)、再生時刻から所定値(例えば、1分)を減算(負の所定値を加算)して新たな再生時刻を決定する(S16)。そして、再生対象領域においてその再生時刻(新たな再生時刻)に検知状態の監視センサ3や監視カメラ2を抽出する処理が行われ(S17)、該当する監視センサ3や監視カメラ2(新たな再生時刻に検知状態の監視センサ3や監視カメラ2)があれば、
図6に示すように、平面図(フロアマップ)上のセンサアイコンの識別表示を更新する(S18)。この処理は、一時停止ボタンの押下がなされるまで(S19)、所定の更新間隔で繰り返される。
【0071】
一時停止ボタンの押下がなされた後に(S19)、終了操作がなされると(S20)、履歴再生処理が終了する。また、再生ボタン(または逆再生ボタン)の押下がなされずに(S15)、終了操作がなされた場合も(S20)、履歴再生処理が終了する。
【0072】
ここで、履歴再生処理の流れを
図6の例で説明しておく。
図6に示すように、履歴再生処理が開始されると、履歴再生指示で指定された時刻(2010年4月10日23時11分00秒)とその時刻における再生対象領域の平面図(フロアマップ)が、表示部18の図面表示領域に表示される。この場合、利用者は、履歴再生指示を入力するにあたり、再生するフロアを選択し、再生を開始する時刻を設定する。そして、その再生対象領域において再生時刻に検知状態の監視センサ3があれば、その監視センサ3のセンサアイコン(
図6の例では、右上のセンサアイコン)が平面図上で識別表示されて、履歴再生表示が行われる。
【0073】
つぎに、再生ボタンのクリック(押下)がなされると、再生時刻に所定値を加算して新たな再生時刻(2010年4月10日23時12分00秒)における再生対象領域の平面図(フロアマップ)が表示部18の図面表示領域に表示される。そして、その新たな再生時刻に再生対象領域において検知状態の監視センサ3があれば、その監視センサ3のセンサアイコン(
図6の右下のセンサアイコン)が平面図上で識別表示される。このように、再生ボタンをクリックすることにより、時間経過がスタートして連続再生が行われる。そして、連続再生中の所定の時刻において、ある監視センサ3に反応があった場合、その監視センサ3のセンサアイコンが識別表示(センサ感知状態を表す強調表示)される。
【0074】
なお、
図6のように、その再生時刻に画像の変化又は向き変化や撮像視野の隠蔽があった監視カメラ2があれば、その監視カメラ2のカメラアイコン(
図6の例では、右上のカメラアイコン)が平面図上で識別表示されてもよい。
【0075】
また、この履歴再生中に、利用者によって平面図(フロアマップ)上でカメラアイコンがクリックされた場合、その監視カメラ2のカメラ画像を、そのクリックが行われた過去の時点の時刻から再生表示してもよい。なお、監視カメラ2のカメラ画像は、表示部18の画像データ表示領域に表示される。
【0076】
同様に、履歴再生中に、利用者によって平面図(フロアマップ)上でセンサアイコンがクリックされた場合、そのクリックが行われた過去の時点の時刻においてその監視センサ3で検知された情報(検知情報)を、表示部18の状態情報表示領域に表示してもよい。
【0077】
このような本実施の形態の監視装置4によれば、監視装置4の記憶部22に記録された履歴情報から監視物件に過去に発生した異常事態を確認する場合に、経験値の少ない監視者であっても、異常事態の規模や被害の推移などの状況(例えば、火災がどのように拡がっていったのか、あるいは、不審者がどのようなルートで逃走したのか等)を容易に把握することができる。
【0078】
すなわち、本実施の形態では、利用者が操作部19から履歴再生指示を入力して所望の平面図(フロアマップ)と過去の時点(時刻)とを指定すると、監視装置4の表示部18に、その平面図が表示されるとともに、その過去の時点の時刻情報とその時点で検知情報を出力した監視センサ3の平面図上における設置位置(センサアイコン)が識別可能に表示される。そのため、経験の少ない利用者であっても、過去に発生した異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況を、容易に把握することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、表示部18の図面表示領域に、履歴再生の表示(平面図とともに、時刻情報と平面図上における監視センサ3のセンサアイコンの表示)がされているときに、利用者がその平面図上で監視カメラ2の設置位置(カメラアイコン)を選択すると、その過去の時点における監視カメラ2の映像情報が、表示部18の画像データ表示領域に表示される。そのため、利用者は、異常状態が発生した時点における監視カメラ2の映像を容易に確認することができる。したがって、その異常状態(監視センサで検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況の把握が、さらに容易になる。
【0080】
また、本実施の形態では、表示部18の図面表示領域に、履歴再生の表示(平面図とともに、時刻情報と平面図上における監視センサ3のセンサアイコンの表示)がされているときに、利用者がその平面図上で監視センサ3の設置位置(センサアイコン)を選択すると、表示部18の状態情報表示領域に、その過去の時点における監視センサ3の検知情報が表示される。そのため、利用者は、異常状態が発生した時点における監視センサ3の検知内容を容易に確認することができる。したがって、その異常状態(監視センサ3で検知した異常状態)の規模や被害の推移などの状況の把握が、さらに容易になる。
【0081】
また、本実施の形態では、再生ボタンのクリック(押下)がなされると、ある時刻(過去の時点)における履歴再生の表示が行われた後に、その時刻に所定値(例えば1分など)を加算した時刻(新たな過去の時点)における履歴再生の表示が行われる。このようにして、履歴再生の表示を連続的に行うことが可能になる(連続再生が可能になる)。したがって、経験の少ない利用者であっても、異常状態の推移(監視センサで検知した異常状態の推移)を、容易に把握することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。