特許第5779410号(P5779410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5779410車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5779410
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月16日
(54)【発明の名称】車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20150827BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20150827BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150827BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/24 N
   F01N3/24 P
   B01D53/90
   B01D53/86 222
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-126396(P2011-126396)
(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公開番号】特開2012-122469(P2012-122469A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2014年4月23日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0125531
(32)【優先日】2010年12月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玄 起 守
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0047260(US,A1)
【文献】 特開2007−315308(JP,A)
【文献】 特開2007−032472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 3/24
B01D 53/94
B01D 53/86 −53/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両排気ガスを処理する流れにおける選択的触媒還元(SCR)装置の上流で還元剤を噴射するための車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールであって、
前記排気ガスが流入する流入部と前記選択的触媒還元(SCR)装置と連結した連結部を有するドージング本体と、
前記ドージング本体に備えられたボス部材に装着されて、前記還元剤を前記ドージング本体内部に噴射するインジェクターと、
前記ドージング本体の内部に設置されて、前記流入部を通ってドージング本体に流入した排気ガスの流れを一定の経路にガイドするガイド部材と、を含み、
前記ガイド部材には、その面に複数の孔が形成され、
前記ドージング本体には、前記ガイド部材と結合して前記流入部を形成するバッフル部材が設置され、
前記バッフル部材は、前記ドージング本体に対して前記流入部を除く部分を覆うプレート形状でなり、
前記バッフル部材は、一端部が前記ドージング本体の端部より内側に入り込んだ傾斜に配置されて前記流入部を形成することを特徴とする車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記ドージング本体内部にあって前記流入部と前記連結部を区画するプレート形状でなることを特徴とする請求項1に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項3】
前記ガイド部材は、一端部が前記ドージング本体の内壁面に固定され、他端部側が半円形状に屈曲したラウンド部を有し、かつその端部が前記内壁面から離れて構成されることを特徴とする請求項2に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項4】
前記バッフル部材は、前記ガイド部材と前記ドージング本体の内壁面との間に排気ガスの流動通路を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項5】
前記インジェクターは、前記ボス部材に排気ガスの流動方向に沿って傾斜して装着されることを特徴とする請求項1に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項6】
前記インジェクターは、一端部が前記ドージング本体の内壁面に固定され、他端部側が半円形状に屈曲したラウンド部を有するガイド部材のラウンド部に向かって還元剤を噴射することを特徴とする請求項5に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【請求項7】
前記連結部は、前記選択的触媒還元(SCR)と互いに連結する連結通路を前記ドージング本体の下部に形成することを特徴とする請求項1に記載の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールに関するものであって、より詳細には、排気ガスの後処理のための選択的触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)〔以下、「SCR」と記す〕装置の上流部に設けられて還元剤と排気ガスの混合を改善したドージングモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンの排気システムは、排気ガス中に含まれている汚染物質であるディーゼル排気微粒子(PM)及び窒素酸化物(NOx)を減少させるために、ディーゼル用酸化触媒(DOC;Diesel Oxidation Catalyst)〔以下、「DOC」と記す〕、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF;Diesel Particulate Matter Filter)〔以下、「DPC」と記す〕、及び選択的触媒還元(SCR)などの排気ガス後処理装置を備えている〔例えば、特許文献1参照〕。
【0003】
このうち、SCRは、インジェクターにより排気ガスの流動方向に還元剤(尿素水溶液)を噴射し、これが排気ガスの熱によって加水分解されてアンモニア(NH)となり、排気ガス中の窒素酸化物と触媒反応して窒素ガス(N)と水(HO)にすることで、窒素酸化物を無害にするものである。
【0004】
DOC、DPF、及びSCRを採用した従来の技術による排気ガス後処理装置は、一例として、DOC及びDPFを排気ガスの流動方向に装着し、DPFの後端にSCRを装着している。そして、DPFとSCRとの間には還元剤を噴射するためのインジェクターを含むドージングモジュール(注入装置)を備えている。
【0005】
従来の技術によるドージングモジュールでは、排気ガス中の窒素酸化物濃度基準の強化に合わせてインジェクターからの還元剤の噴射圧を上げ、還元剤の噴射速度を増加させている。しかし、従来の技術では、還元剤の噴射速度を上げることによる直進性の増加によって排気ガス通路の空間で還元剤の一部が蒸発せずに排気ガス通路の内壁面に尿素固形物が堆積するウォールウェッティング(wall wetting)現象が発生する問題点がある。つまり、還元剤のウォールウェッティング現象は、SCRの触媒活性化及び窒素酸化物の浄化効率を低下させる要因として作用して、還元剤が排気ガス通路の内壁面で蒸発する場合、その還元剤が排気ガス通路の内壁面に付着した固形物として残って、結果的には還元剤の噴射量の制御が難しくなる問題点を誘発することになる。
【0006】
このようなウォールウェッティング現象を防止するために、インジェクターを通して噴射される還元剤を排気ガスと混合するためのミキサーを排気ガス通路に備える提案〔例えば、特許文献2参照〕がある。しかし、この場合、排気ガス通路にミキサーを設置するので、装置全体を構成するための材料費が増加し、耐久性の検証が必要である問題点がある。
【0007】
また、このウォールウェッティング現象を防止するために、排気ガス通路の曲管部位にインジェクターを装着して、その曲管部位を通過する排気ガスに還元剤を噴射する構成とする例〔例えば、特許文献3参照〕があるが、この場合、インジェクターを排気ガス通路の曲管部位に設置するので、還元剤(尿素水溶液)が排気ガスの熱によってアンモニア(NH)に加水分解されるようにする空間的距離の確保が必要である。したがって、距離の確保のための排気管の形状が要求され、全体的な後処理レイアウトが複雑になり、車両レイアウトにおいてインジェクターの設置が容易でない問題点がある。
【0008】
その他、尿素水添加装置に複数のインジェクタを備え、排気通路に設けたバイパス通路に尿素水を噴射すると共に、バイパス通路を加熱することでNOx浄化率を向上させるとする提案〔特許文献4参照〕もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−052679号公報
【特許文献2】特開2007−077957号公報
【特許文献3】特開2008−128046号公報
【特許文献4】特開2007−327377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、還元剤のウォールウェッティング現象を防止することができ、SCRの効率をより向上させることができるようにした車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車両排気ガスを処理する流れにおける選択的触媒還元(SCR)装置の上流で還元剤を噴射するための車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールであって、
前記排気ガスが流入する流入部と前記選択的触媒還元(SCR)装置と連結した連結部を有するドージング本体と、
前記ドージング本体に備えられたボス部材に装着されて、前記還元剤を前記ドージング本体内部に噴射するインジェクターと、
前記ドージング本体の内部に設置されて、前記流入部を通ってドージング本体に流入した排気ガスの流れを一定の経路にガイドするガイド部材と、を含み、
前記ガイド部材には、その面に複数の孔が形成され、
前記ドージング本体には、前記ガイド部材と結合して前記流入部を形成するバッフル部材が設置され、
前記バッフル部材は、前記ドージング本体に対して前記流入部を除く部分を覆うプレート形状でなり、
前記バッフル部材は、一端部が前記ドージング本体の端部より内側に入り込んだ傾斜に配置されて前記流入部を形成することを特徴とする。
【0012】
前記ガイド部材は、前記ドージング本体内部にあって前記流入部と前記連結部を区画するプレート形状でなり、一端部が前記ドージング本体の内壁面に固定され、他端部側が半円形状に屈曲したラウンド部を有し、かつその端部が前記内壁面から離れて構成されることを特徴とする。
【0013】
前記バッフル部材は、前記ガイド部材と前記ドージング本体の内壁面との間に排気ガスの流動通路を形成することを特徴とする。
【0014】
インジェクターは、ボス部材に排気ガスの流動方向に沿って傾斜して装着され、一端部が前記ドージング本体の内壁面に固定され、他端部側が半円形状に屈曲したラウンド部を有するガイド部材のラウンド部に向かって還元剤を噴射する。
【0015】
連結部は、SCRと互いに連結する連結通路をドージング本体の下部に形成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールは、車両レイアウトの制約を受けずに、排気ガスと還元剤噴霧の混合を促進し、均一度を高めて窒素酸化物の還元反応を活性化させてSCRの効率を増大させることができ、しかも還元剤のウォールウェッティング現象を防止することができる。曲管部位を設けて還元剤を噴射したり、排気管にミキサーを設置する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面は、本発明を実施形態を挙げて説明するために参照するためのものであって、本発明の技術的な思想を、添付した図面に限定して解釈してはならない。
図1】本発明の実施形態における車両の排気ガス後処理システムを概略的に示したブロック構成図である。
図2】本発明の実施形態における車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールを示した分解斜視図である。
図3図2の結合正面構成図である。
図4】本発明の車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールの作用を説明するための斜視図である。
図5図4を断面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照しつつ実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の
車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュールは、多様に異なる形態で実施できるものであり、ここに挙げた実施形態に限定されるものではない。
以下の説明では、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素については同じ符号を付け、説明に不必要な部分は省略していることを予め断っておく。また、図面では、部分的にある領域を拡大して示すなど、各構成部分の大きさ、厚さなど説明の便宜のために任意の大きさで示している。
【0019】
図1は、本発明の実施形態を適用した車両の排気ガス後処理システムを概略で示したブロック構成図である。この実施形態では、排気ガス後処理システム200により車両のディーゼルエンジンから排出された排気ガスを浄化している。ここで、排気ガス後処理システム200は、例えば排気ラインの途中に上流側からDOC1、DPF3、SCR5の順に並べて構成する。この場合、DOC1は、排気ガス中の炭化水素及び一酸化炭素を酸化させ、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させる機能を担い、DPF3は、排気ガス中に含まれている粒子を捕集する機能を担い、そして、SCR5は、排気ガス中に含まれていた、およびDOC1で生成した窒素酸化物を尿素水溶液などの還元剤を利用して窒素に還元する機能を担っている。つまり、SCR5は、還元剤が排気ガスの酸化熱によってアンモニアに転換されると同時に、触媒によりアンモニアと窒素酸化物の反応によって窒素ガスと水になっていく。
【0020】
本実施形態による排気ガス後処理システム200では、DPF3とSCR5との間にドージングモジュール100を有する構成とし、ドージングモジュール100で、SCR5の前方で排気ガスの流動方向に沿って還元剤を噴射する。このようなドージングモジュール100は、車両レイアウトの制約を受けずに、噴霧された還元剤を、排気ガスに速く、かつ均一に混合させており、SCR5における反応を活性化して反応効率を上げることができる。
【0021】
図2は、ドージングモジュールの概略分解斜視図であり、図3は、正面構成図である。
図面を参照すると、ドージングモジュール100は、ドージング本体10、インジェクター30、ガイド部材50、バッフル部材70を主要構成部としており、以下にこれらの構成部をそれぞれ説明する。
【0022】
ドージングモジュール100は、図1に示したように排気ガス後処理システム200においてDPF3とSCR5との間に位置しており、従って、ドージング本体10は、DPF3とSCR5のそれぞれに連結されている。
【0023】
ドージング本体10は、一側面が閉鎖され、他側面が開放された円筒形状で、DOC1とDPF3を経た排気ガスが流入する流入部11と、SCR5と連結された連結部13を有している。
【0024】
流入部11は、排気ガスが流入する入口であって、ガイド部材50とバッフル部材70によりドージング本体10の一側面に形成されている。
【0025】
連結部13は、ドージング本体10からの排気ガスの出口であって、ドージング本体10内部でガイド部材50を挟んで流入部11とは反対の空間に開放され、ドージング本体10の下部側外周面に溶接して形成される。連結部13には、連結通路12が形成され、連結通路12によりSCR5と互いにパイプ(図示していない)で連結される。連結通路12の断面積は、ドージング本体10の内部の断面積より小さい。
【0026】
インジェクター30は、ドージング本体10の内部に還元剤を噴射するためのものであって、ドージング本体10の上部側で外周面の上端真中央部から一方向に偏った位置に形成される。すなわち、インジェクター30は、排気ガスの流動方向に沿って傾斜して装着される。装着のために、ドージング本体10の内部空間に連通する開放部(図示していない)のあるボス部材15がドージング本体10の外周面に溶接して固定され、さらにその外側に装着ブラケット17が設置されて、インジェクター30が装着される。
【0027】
インジェクター30は、ボス部材15によってドージング本体10の上端部真中央から一方向に一定の距離で偏って装着されるので、ガイド部材50のラウンド部51に向かって還元剤を噴射することができる。
インジェクター30は、排気系統に装着される2次噴射装置であって公知であるので、本明細書では、その構成に対するより詳細な説明は省略する。
【0028】
ガイド部材50は、一端部側がなだらかに屈曲し、他端部側がほぼ半円形状に屈曲したラウンド部51を有するプレート形状で、なだらかに屈曲している側の端部がドージング本体10の内壁面に溶接固定され、ラウンド部のある側の端部がドージング本体10の内壁面から離れている。そして、ドージング本体10の内部における流入部11を区画し、ガイド部材50のラウンド部のある側端部とドージング本体10の内壁面との隙間を排気ガスの流動通路71としている。
【0029】
ガイド部材50は、ドージング本体10内部にあっては、流入部11の空間と連結部13のある空間とを区画していて、流入部11を通してドージング本体10内部に流入した排気ガスを一定の流路にガイドして、インジェクター30から噴射された還元剤を、排気ガスとの混合を促進させつつ、排気ガス中に均一に行き渡るようしている。
【0030】
また、ガイド部材50には、全領域に亘って多数の孔53が穿孔形成されている。これにより排気ガスは、ドージング本体10の閉鎖面とガイド部材50、さらに後述するバッフル部材70によって旋回流となって、流入部11から流動通路71を通って連結部13のある空間に流れると共に、一部の排気ガスはガイド部材50に穿孔された孔53を通って連結部13のある空間に流れていく。その結果、連結部13のある側の空間では、排気ガスは、ガイド部材50にある半円形状に屈曲したラウンド部51に沿う流れと、一部の排気ガスが多数の孔53を通って入り込む流れで、複雑な流れとなっており、ここにインジェクター30からの還元剤が注入される。この排気ガスの流れにより、還元剤は、排気ガス中への混合が促進され、均一に混合されていく。特に、インジェクター30から噴射された還元剤は、ガイド部材50のラウンド部51に向かって噴射されるため、還元剤が噴霧される場所ではラウンド部51により空間が狭まって排気ガスの流れが速くなり、さらに孔53を通った排気ガスが還元剤の噴霧と反対方向になることで、噴射された還元剤がガイド部材50に衝突して初期噴射時においてもウォールウェッティング現象を防止することになる。
【0031】
バッフル部材70は、ドージング本体10の内壁面及びガイド部材50に固定され、ドージング本体10に対して流入部11を除く部分を覆うプレート形状に構成されている。これにより、バッフル部材70で覆われない部分が、ガイド部材50とドージング本体10の閉鎖面および内壁面で排気ガスの流入部11を形成している。流入部11に入った排気ガスは、流れの向きを変え、ガイド部材50に誘導されて旋回するように流れて流動通路71を通り連結部13のある空間に流れていく。
一方、連結部13側の空間は、バッフル部材70とガイド部材50、さらにドージング本体10の閉鎖面と内壁面で囲まれており、流動通路71を通った排気ガスは、旋回流となって連結部13に向う流れになる。
【0032】
ここで、バッフル部材70は、一端部がドージング本体10の端部より内側に入り込んだ傾斜に配置されて流入部11を形成して、排気ガスの流動を流入部11側に誘導するようにするのが好ましい。このようにして、DOC1とDPF3を経た排気ガスは、ドージング本体10のバッフル部材70に誘導されて、流入部11に流入する。
【0033】
図4図5を参照して、本実施形態によるドージングモジュール100の作用を説明する。排気ガスは、流入部11に入り、ガイド部材50のラウンド部51に誘導されて旋回流となり、ガイド部材50とドージング本体10の内壁面との間の流動通路71を通って、さらに一部の廃棄ガスは、ガイド部材50に穿孔された孔53を通ってそれぞれ連結部13のある空間に流れていく。この空間では、排気ガスの流れの中に、インジェクター30から還元剤が噴射される。インジェクター30は、ボス部材15によってドージング本体10の上端部真中央から一方向に一定の距離で偏って装着されているため、還元剤は、ガイド部材50のラウンド部51に向かって噴射される。
【0034】
インジェクター30から噴射された還元剤は、ガイド部材50のラウンド部51に向かって排気ガス中に噴射される。このとき、排気ガスは、ガイド部材50、特にそのラウンド部51によって強い旋回流となり、一部の排気ガスは、ガイド部材50の孔53を通って流れてくる。これにより、噴射された還元剤は、排気ガスと良く混合され、かつ、ドージング本体10の壁面やガイド部材50に対して、初期噴射時においてもウォールウェッティングすることがない。
【0035】
上記したようにインジェクター30から噴射された還元剤は、高温のガイド部材50に衝突して還元剤の微粒化を促進することができ、排気ガスと還元剤の混合時間を充分長くとることができる。さらに、還元剤は、ガイド部材50の孔53を通して流入する排気ガスにより混合されて微粒化が促進される。そして、還元剤は、排気ガスの強い旋回流によって排気ガスとの混合が促進され、均一に分散するようになる。
【0036】
従って、ドージング本体10で還元剤が排気ガスの熱によってアンモニア(NH)に転換され、連結部13を通ってSCR5(図1参照)に流入するが、その連結部13のベンチュリ効果によってSCR5の全領域で窒素酸化物の還元反応が行われるようになる。
【0037】
本発明の実施形態による車両の排気ガス後処理システム用ドージングモジュール100は、曲管部位に還元剤を噴射したり、排気管にミキサーを設置しなくても、ウォールウェッティング現象を防止することができる。これによって、車両レイアウトの制約を受けず、排気ガスと還元剤噴霧の混合促進、均一性の向上、及び反応活性化によるSCR5の効率を増大させることができる。
【0038】
以上で、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0039】
1:DOC
3:DPF
5:SCR
10:ドージング本体
11:流入部
12:連結通路
13:連結部
15:ボス部材
17:装着ブラケット
30:インジェクター
50:ガイド部材
51:ラウンド部
53:孔
70:バッフル部材
71:流動通路
図1
図2
図3
図4
図5