(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、1)光素子固定材用組成物、2)光素子固定材用組成物の使用方法、及び、3)光素子封止体、に項分けして詳細に説明する。
1)光素子固定材用組成物
本発明の光素子固定材用組成物は、
(A)式(1):CH(R
1)(X
0)−D−Si(OR
2)
p(X
1)
3−pで表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、
式(2):R
3Si(OR
4)
q(X
2)
3−qで表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び、式(3):Si(OR
5)
r(X
3)
4−rで表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物であって、
前記シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とシラン化合物(3)とを、モル比で[シラン化合物(1)+シラン化合物(2)]:[シラン化合物(3)]=100:15〜100:85となる割合で含有するもの
を縮合させて得られるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、
(C)硬化剤、並びに
(D)硬化触媒
を含有することを特徴とする。
【0016】
(A)シラン化合物共重合体
本発明の光素子固定材用組成物は、(A)成分として、特定のシラン化合物共重合体(以下、「シラン化合物共重合体(A)」ということがある。)を含有する。
本発明に用いるシラン化合物共重合体(A)は、式(1):CH(R
1)(X
0)−D−Si(OR
2)
p(X
1)
3−pで表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、式(2):R
3Si(OR
4)
q(X
2)
3−qで表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び、式(3):Si(OR
5)
r(X
3)
4−rで表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られるものである。
【0017】
(i)シラン化合物(1)
シラン化合物(1)は、式(1):CH(R
1)(X
0)−D−Si(OR
2)
p(X
1)
3−pで表される化合物である。シラン化合物(1)を用いることにより、硬化後においても透明性、接着力が良好なシラン化合物共重合体を得ることができる。
【0018】
式中、R
1は水素原子又は炭素数1〜6(以下、C1〜6と略すことがある)のアルキル基を表し、水素原子が好ましい。
R
1のC1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0019】
X
0は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;又は式:OGで表される基;を表す。
【0020】
Gは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、特に制約はなく、水酸基の保護基として知られている公知の保護基が挙げられる。例えば、アシル系の保護基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル系の保護基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−2−イル基等のアセタール系の保護基;t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル系の保護基;メチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等のエーテル系の保護基;等が挙げられる。これらの中でも、Gとしては、アシル系の保護基が好ましい。
【0021】
アシル系の保護基は、具体的には、式:−C(=O)R
6で表される基である。式中、R
6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のC1〜6アルキル基;又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0022】
R
6の置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、X
0としては、入手容易性、及び、高い接着力を有する固定材が得られることから、塩素原子、式:OG’で表される基(式中、G’はアシル系の保護基を表す。)、及びシアノ基が好ましく、塩素原子、アセトキシ基及びシアノ基がより好ましく、アセトキシ基が特に好ましい。
【0024】
Dは単結合又は連結基を表す。
連結基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)と置換基を有していてもよいアリーレン基との組み合わせ等が挙げられる。
【0025】
置換基を有していてもよいアルキレン基のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等のC1〜10のアルキレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニレン基のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等のC2〜10のアルキレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキニレン基のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
【0026】
前記アルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0027】
前記アリーレン基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキレン基又はアリーレン基の任意の位置に結合していてよく、同一若しくは相異なって複数個が結合していてもよい。
【0028】
置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)と置換基を有していてもよいアリーレン基との組み合わせとしては、前記置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)の少なくとも一種と、前記置換基を有していてもよいアリーレン基の少なくとも一種とが直列に結合した基が挙げられる。具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、Dとしては、高い接着力を有する固定材が得られることから、C1〜6のアルキレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0031】
R
2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC1〜6のアルキル基を表す。
【0032】
X
1はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
pは0〜3の整数を表す。
pが2以上のとき、OR
2同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−p)が2以上のとき、X
1同士は同一であっても相異なっていてもよい。
【0033】
シラン化合物(1)の具体例としては、クロロメチルトリメトキシシラン、ブロモメチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリプロポキシシラン、2−ブロモエチルトリブトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3−クロロプロピルトリブトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリプロポキシシラン、3−ブロモプロピルトリブトキシシラン、3−フルオロプロピルトリメトキシシラン、3−フルオロプロピルトリエトキシシラン、3−フルオロプロピルトリプロポキシシラン、3−フルオロプロピルトリブトキシシラン、3−アイオドプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、4−クロロブチルトリプロポキシシラン、5−クロロペンチルトリプロポキシシラン、2−クロロプロピルトリメトキシシラン、o−(2−クロロエチル)フェニルトリプロポキシシラン、m−(2−クロロエチル)フェニルトリメトキシシラン、p−(2−クロロエチル)フェニルトリエトキシシラン、p−(2−フルオロエチル)フェニルトリメトキシシラン等の、X
0がハロゲン原子であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0034】
クロロメチルトリクロロシラン、ブロモメチルブロモジメトキシシラン、2−クロロエチルジクロロメトキシシラン、2−ブロモエチルジクロロエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリブロモシラン、3−クロロプロピルジクロロメトキシシラン、3−クロロプロピルジクロロエトキシシラン、3−クロロプロピルクロロジメトキシシラン、3−クロロプロピルクロロジエトキシシラン、3−ブロモプロピルジクロロエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリブロモシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルクロロジメトキシシラン、3−フルオロプロピルトリクロロシラン、3−フルオロプロピルクロロジメトキシシラン、3−フルオロプロピルジクロロメトキシシラン、3−フルオロプロピルクロロジエトキシシラン、3−アイオドプロピルトリクロロシラン、4−クロロブチルクロロジエトキシシラン、3−クロロ−n−ブチルクロロジエトキシシラン等の、X
0がハロゲン原子であるハロゲノシラン化合物類;
【0035】
シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、1−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリプロポキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリプロポキシシラン、3−シアノプロピルトリブトキシシラン、4−シアノブチルトリメトキシシラン、5−シアノペンチルトリメトキシシラン、2−シアノプロピルトリメトキシシラン、2−(シアノメトキシ)エチルトリメトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルトリメトキシシラン、o−(シアノメチル)フェニルトリプロポキシシラン、m−(シアノメチル)フェニルトリメトキシシラン、p−(シアノメチル)フェニルトリエトキシシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルトリメトキシシラン等の、X
0がシアノ基であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0036】
シアノメチルトリクロロシラン、シアノメチルブロモジメトキシシラン、2−シアノエチルジクロロメトキシシラン、2−シアノエチルジクロロエトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、3−シアノプロピルトリブロモシラン、3−シアノプロピルジクロロメトキシシラン、3−シアノプロピルジクロロエトキシシラン、3−シアノプロピルクロロジメトキシシラン、3−シアノプロピルクロロジエトキシシラン、4−シアノブチルクロロジエトキシシラン、3−シアノ−n−ブチルクロロジエトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルブロモジエトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルジクロロプロポキシシラン、o−(2−シアノエチル)フェニルトリクロロシラン、m−(2−シアノエチル)フェニルメトキシジブロモシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルジメトキシクロロシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルトリブロモシラン等の、X
0がシアノ基であるハロゲノシラン化合物類;
【0037】
3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリプロポキシシラン、3−アセトキシプロピルトリブトキシシラン、3−プロピオニルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリブトキシシラン、2−トリメチルシリルオキシエチルトリメトキシシラン、3−トリエチルシリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)プロピルトリプロポキシシラン、3−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)プロピルトリブトキシシラン、3−メトキシメチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メトキシエトキシメチルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(1−エトキシエチルオキシ)プロピルトリプロポキシシラン、3−(t−ブトキシカルボニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−t−ブトキシプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−トリフェニルメトキシプロピルトリエトキシシラン等の、X
0が前記式:OGで表される基であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0038】
3−アセトキシプロピルトリクロロシラン、3−アセトキシプロピルトリブロモシラン、3−アセトキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−アセトキシプロピルジクロロエトキシシラン、3−アセトキシプロピルクロロジメトキシシラン、3−アセトキシプロピルクロロジエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリクロロシラン、3−トリメチルシリルオキシプロピルクロロジメトキシシラン、3−トリエチルシリルオキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)プロピルクロロジエトキシシラン、3−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)プロピルジクロロエトキシシラン、3−メトキシメチルオキシプロピルトリブロモシラン、3−メトキシエトキシメチルオキシプロピルトリクロロシラン、3−(1−エトキシエチルオキシ)プロピルクロロジメトキシシラン、3−t−ブトキシカルボニルオキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−t−ブトキシプロピルクロロジエトキシシラン、3−トリフェニルメトキシプロピルジクロロエトキシシラン、3−ベンジロキシプロピルトリブロモシラン等の、X
0が前記式:OGで表される基であるハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。
これらのシラン化合物(1)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
これらの中でも、シラン化合物(1)としては、より優れた接着性を有する接着剤が得られることから、X
0がハロゲン原子であるトリアルコキシシラン化合物類、X
0がシアノ基であるトリアルコキシシラン化合物類、又はX
0が前記式:OGで表される基であるトリアルコキシシラン化合物類が好ましく、3−クロロプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類、2−シアノアルキル基を有するトリアルコキシシラン化合物類、3−アセトキシプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類がより好ましく、3−アセトキシプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類がさらに好ましい。
【0040】
(ii)シラン化合物(2)
シラン化合物(2)は、式(2):R
3Si(OR
4)
q(X
2)
3−qで表される化合物である。
式中、R
3は、C1〜20アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R
3のC1〜20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0041】
R
3の置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0042】
R
3の置換基を有していてもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0043】
R
4は、前記R
2と同様のC1〜6アルキル基を表す。
X
2は、前記X
1と同様のハロゲン原子を表す。
qは0〜3のいずれかの整数を表す。
qが2以上のとき、OR
4同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−q)が2以上のとき、X
2同士は同一であっても相異なっていてもよい。
【0044】
シラン化合物(2)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、i−オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、メチルジメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物類;
メチルクロロジメトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、n−プロピルクロロジメトキシシラン、n−プロピルジクロロメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン、n−プロピルトリクロロシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;
【0045】
フェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−クロロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−メトキシフェニルトリエトキシシラン、フェニルジメトキシエトキシシラン、フェニルジエトキシメトキシシラン等の置換基を有していてもよいフェニルトリアルコキシシラン化合物類;
フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、フェニルクロロメトキシエトキシシラン、フェニルクロロジエトキシシラン、フェニルジクロロエトキシシラン等の置換基を有していてもよいフェニルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
フェニルトリクロロシラン、フェニルトリブロモシラン、4−メトキシフェニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、2−エトキシフェニルトリクロロシラン、2−クロロフェニルトリクロロシラン等の置換基を有していてもよいフェニルトリハロゲノシラン化合物;が挙げられる。
これらのシラン化合物(2)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらの中でも、シラン化合物(2)としては、より優れた接着性を有する接着剤が得られることから、フェニルトリアルコキシシラン化合物類が好ましい。
【0047】
(iii)シラン化合物(3)
シラン化合物(3)は、式(3):Si(OR
5)
r(X
3)
4−rで表される化合物である。シラン化合物(3)を用いることにより、高い硬度を有する硬化物を得ることができる。
【0048】
式中、R
5は、前記R
2と同様のC1〜6アルキル基を表す。
X
3は、X
1と同様のハロゲン原子を表す。
rは0〜4のいずれかの整数を表す。
rが2以上のとき、OR
5は同一であっても相異なっていてもよい。また、(4−r)が2以上のとき、X
3は同一であっても相異なっていてもよい。
【0049】
シラン化合物(3)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラs−ブトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシメトキシシラン等の式(3)においてrが4であるシラン化合物;
トリメトキシクロロシラン、トリメトキシブロモシラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシブロモシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリn−プロピルブロモシラン等の式(3)においてrが3であるシラン化合物;
ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジn−プロポキシジクロロシラン、ジイソプロポキシジクロロシラン、ジt−ブトキシジクロロシラン、ジメトキシジブロモシラン、ジエトキシジブロモシラン、ジn−プロポキシジブロモシラン、ジイソプロポキシジブロモシラン、ジt−ブトキシジブロモシラン等の式(3)においてrが2であるシラン化合物;
【0050】
メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、n−プロポキシトリクロロシラン、イソプロポキシトリクロロシラン、t−ブトキシトリクロロシラン、メトキシトリブロモシラン、エトキシトリブロモシラン、n−プロポキシトリブロモシラン、イソプロポキシトリブロモシラン、t−ブトキシトリブロモシラン等の式(3)においてrが1であるシラン化合物;
テトラフルオロシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラアイオドシラン、トリクロロブロモシラン、ジクロロジブロモシラン、クロロトリブロモシラン等の式(3)においてrが0であるシラン化合物;等が挙げられる。
【0051】
シラン化合物(3)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
これらの中でも、シラン化合物(3)としては、より優れた接着性を有する接着剤が得られることから、rが4であるシラン化合物が好ましい。
【0053】
(iv)シラン化合物共重合体
シラン化合物共重合体(A)は、前記シラン化合物(1)の少なくとも一種、シラン化合物(2)の少なくとも一種、及びシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られる。
【0054】
シラン化合物の混合物としては、シラン化合物(1)、シラン化合物(2)及びシラン化合物(3)のみからなる混合物であっても、さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、シラン化合物(1)、シラン化合物(2)及びシラン化合物(3)に加えて、その他のシラン化合物をさらに含む混合物であってもよいが、シラン化合物(1)、シラン化合物(2)及びシラン化合物(3)のみからなる混合物が好ましい。
【0055】
シラン化合物(1)、シラン化合物(2)及びシラン化合物(3)の使用割合は、[シラン化合物(1)+シラン化合物(2)]:[シラン化合物(3)]のモル比で、100:15〜100:85であり、100:17〜100:70がより好ましく、100:19〜100:55が特に好ましい。
【0056】
また、シラン化合物(1)とシラン化合物(2)の使用割合は、本発明の目的とする光素子固定剤用組成物を得る観点から、[シラン化合物(1)]:[シラン化合物(2)]のモル比で、20:80〜80:20であるのが好ましい。
【0057】
前記シラン化合物の混合物を縮合させる方法としては、特に制限はないが、シラン化合物(1)、シラン化合物(2)、シラン化合物(3)、及び所望によりその他のシラン化合物の溶媒溶液に、所定量の触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法が挙げられる。
【0058】
用いる触媒は、酸触媒及び塩基触媒のいずれであってもよい。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルロロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;等が挙げられる。
【0059】
塩基触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アニリン、ピコリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール等の有機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機塩水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
【0060】
触媒の使用量は、前記シラン化合物の混合物に含まれるシラン化合物の総モル量に対して、通常、0.1mol%〜10mol%、好ましくは1mol%〜5mol%の範囲である。
【0061】
用いる溶媒は、シラン化合物の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0062】
これらの中でも、水、芳香族炭化水素類、及びこれらの混合溶媒が好ましく、水とトルエンの混合溶媒が特に好ましい。水とトルエンを用いる場合、水とトルエンの比率(容積比)は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは7:3〜3:7である。
【0063】
溶媒の使用量は、溶媒1リットルあたり、シラン化合物の総モル量が、通常0.1mol〜10mol、好ましくは0.5mol〜10molとなる量である。
【0064】
シラン化合物を縮合(反応)させるときの温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは20℃〜100℃の範囲である。反応温度があまりに低いと縮合反応の進行が不十分となる場合がある。一方、反応温度が高くなりすぎるとゲル化抑制が困難となる。反応は、通常30分から20時間で完結する。
【0065】
反応終了後は、酸触媒を用いた場合は、反応溶液に炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、塩基触媒を用いた場合は、反応溶液に塩酸等の酸を添加することにより中和を行い、その際に生じる塩をろ別又は水洗等により除去し、目的とするシラン化合物共重合体を得ることができる。
【0066】
本発明に用いるシラン化合物共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜30,000、好ましくは1,500〜6,000の範囲である。重量平均分子量(Mw)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
また、シラン化合物共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0好ましくは1.1〜2.0の範囲である。
シラン化合物共重合体(A)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
(B)エポキシ化合物
本発明の光素子固定材用組成物は、(B)成分としてエポキシ化合物を含有する。
本発明の光素子固定材用組成物は、(B)成分を含有するため、耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
【0068】
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であればよいが、本発明においては、エポキシ基を2個以上有する化合物が好ましい。
【0069】
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビフェニルなどのフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのカルボン酸のグリシジルエステル;炭素−炭素二重結合を有する脂環式構造を含む化合物の該二重結合を酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環式エポキシ化合物;
【0070】
グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、DPP(ジ−n−ペンチルフタレート)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、含ケイ素エポキシ樹脂、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル、多塩基酸のポリグリシジルエステルなどのエポキシ樹脂;及びこれらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や核水素添加物等のエポキシ樹脂;等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
これらの中でも、高温においても高い接着力を有する固定材が得られる観点から、脂環式エポキシ化合物を用いるのが好ましい。
脂環式エポキシ化合物としては、分子内に脂環式構造を有し、エポキシ環を2個以上有する化合物が挙げられる。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルキン構造などが挙げられる。
【0072】
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、下記式(a)で表される3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド等が挙げられる。これらの中でも、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルが特に好ましい。
【0074】
(C)硬化剤
本発明の光素子固定材用組成物は、(C)成分として、硬化剤(以下、「硬化剤(C)」ということがある。)を含む。本発明の光素子固定材用組成物は(C)成分を含有するため、耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
【0075】
硬化剤(C)としては、エポキシ化合物(B)と反応しうる官能基を分子中に有する化合物であれば特に限定されない。例えば、脂肪族アミン系硬化剤、脂環式アミン系硬化剤、第2級もしくは第3級アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール化合物、脂環式酸無水物等が挙げられる。
硬化剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
これらの中でも、耐熱性に優れる光素子固定材が得られることから、脂環式酸無水物が好ましい。
脂環式酸無水物は、分子内に、環式構造を有する酸無水物である。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルキン構造などが挙げられる。
脂環式酸無水物としては、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物等が挙げられる。
これらの中でも、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物が特に好ましい。
【0077】
(D)硬化触媒
本発明の光素子固定材用組成物は、(D)成分として、硬化触媒(以下、「硬化触媒(D)」ということがある。)を含む。本発明の光素子固定材用組成物は、前記(B)、(C)成分に加えて(D)成分を含むため、より耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
【0078】
硬化触媒(D)としては、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド等の4級ホスホニウム塩;ジメチルベンジルアミン等の3級アミン類;4級アンモニウム塩;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の双環式アミジン類及びその誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;カルボキシル基を有する脂環式酸無水物;等が挙げられる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
本発明においては、前記硬化剤(C)として脂環式酸無水物を用いる場合、硬化触媒(D)としてはカルボキシル基を有する脂環式酸無水物を用いるのが好ましい。このような組合せで用いることにより、高温においてもより高い接着力を有する光素子固定材を得ることができる。
【0080】
カルボキシル基を有する脂環式酸無水物は、前記脂環式酸無水物の脂環式構造の任意の位置にカルボキシル基が置換した化合物である。
脂環式構造に置換するカルボキシル基の数や置換位置は特に限定されない。
【0081】
なかでも、ヘキサヒドロ無水フタル酸にカルボキシル基が置換した、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−酸無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−酸無水物が好ましく、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−酸無水物が特に好ましい。この化合物には、立体異性体が存在し得るが、いずれの異性体であってもよく、異性体混合物であってもよい。
【0082】
本発明の光素子固定材用組成物においては、前記(A)〜(D)成分の含有割合が、(A)と〔(B)+(C)+(D)〕との質量比で、(A):〔(B)+(C)+(D)〕=100:2〜100:55であるのが好ましく、100:6〜100:45であるのがさらに好ましく、100:9〜100:35であるのが特に好ましい。
【0083】
このような割合で(A)〜(D)成分を用いることにより、長期にわたって透明性、耐熱性により優れ、高温においても高い接着力を有する硬化物が得られる光素子固定材用組成物を得ることができる。
【0084】
また、本発明の光素子固定材用組成物は、前記(B)、(C)、(D)成分を、(B)と〔(C)+(D)〕の質量比で、(B):〔(C)+(D)〕=95:5〜40:60の割合で含有することが好ましく、(C)と(D)成分を、(C)と(D)の質量比で、(C):(D)=95:5〜70:30の割合で含有することが好ましい。
【0085】
本発明の光素子固定材用組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A)〜(D)成分以外に、さらに他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、希釈剤等が挙げられる。
【0086】
酸化防止剤は、加熱時の酸化劣化を防止するために添加される。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
【0087】
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類;が挙げられる。
【0088】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類;が挙げられる。
【0089】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0090】
これら酸化防止剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、本発明の光素子固定材用組成物は、(B)成分を含有しているため、特に酸化防止剤がなくても、加熱時の酸化劣化は起きにくい。酸化防止剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)100重量部に対して、通常0〜10重量部である。
【0091】
紫外線吸収剤は、得られる固定材の耐光性を向上させる目的で添加される。
紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン類;等が挙げられる。
【0092】
これらの紫外線吸収剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)100重量部に対して、通常0〜10重量部である。
【0093】
光安定剤は、得られる固定材の耐光性を向上させる目的で添加される。
光安定剤としては、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
【0094】
これらの光安定剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
光安定剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)100重量部に対して、通常0〜10重量部である。
【0095】
希釈剤は、得られる固定材用組成物の粘度を調整するため添加される。
希釈剤としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド等が挙げられる。
これらの希釈剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
本発明の光素子固定材用組成物は、前記(A)〜(D)成分、及び、所望により他の成分を所定割合で配合して、公知の方法により混合、脱泡することにより得ることができる。
【0097】
以上のようにして得られる本発明の光素子固定材用組成物によれば、用いる光素子が、発光ピークが短波長であって、高輝度のものであっても、光素子から発生する高エネルギーの光や高熱によって着色して透明性が低下したりすることがなく、長期にわたって優れた透明性を有し、かつ、高温においても高い接着力を有する硬化物を得ることができる。
よって、本発明の光素子固定材用組成物は、後述するように、光素子用接着剤、光素子用封止剤として好適に用いることができる。
【0098】
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は、高い接着力を有する。本発明の光素子固定材用組成物の硬化物が高い接着力を有することは、例えば、次のように接着力を測定し、それが高いことから確認することができる。シリコンチップのミラー面に光素子固定材用組成物を塗布し、塗布面を被着体(銀メッキ銅板)の上に載せ圧着し、加熱処理して硬化させる。これを、予め所定温度(例えば、25℃、100℃)に調節したボンドテスターの測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から20μmの高さの位置より、接着面に対し水平方法(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着力を測定する。
【0099】
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の25℃における接着力は、通常90N/2mm□以上、好ましくは95N/2mm□以上である。
また、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は、100℃という高温に置かれた場合であっても、高い接着力を有する。本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の100℃における接着力は、通常50N/2mm□以上、好ましくは55N/2mm□以上である。
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の100℃における接着力は、25℃における接着力の50%以上であることが好ましい。
【0100】
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は透明性に優れる。本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の波長450nmでの光透過率は、通常85%以上、好ましくは89%以上である。
また、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物が長期にわたって耐熱性に優れることは、例えば、高温下に長時間置かれた場合であっても、透明性が大きく低下しないことから確認することができる。
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は、150℃の加熱下に300時間置かれた後の波長450nmでの光透過率が、加熱前の光透過率(初期透過率)に比して、85%以上のものであることが好ましい。
【0101】
2)光素子固定材用組成物の使用方法
本発明の第2は、本発明の光素子固定材用組成物を、光素子用接着剤又は光素子用封止剤として使用する方法である。
光素子としては、LED、LD等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等が挙げられる。
【0102】
〈光素子用接着剤〉
本発明の光素子固定材用組成物は、光素子用接着剤として好適に使用することができる。
光素子を接着するための主な基板材料としては、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラス等のガラス類;セラミックス;鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン及びこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等の金属類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂;等が挙げられる。
【0103】
本発明の光素子固定材用組成物を光素子用接着剤として使用する方法としては、接着の対象とする材料(光素子とその基板等)の一方又は両方の接着面に該組成物を塗布し、圧着した後、加熱硬化させ、接着の対象とする材料同士を強固に接着させる方法が挙げられる。
【0104】
加熱硬化させる際の加熱温度は、用いる光素子固定材用組成物等にもよるが、通常、100〜200℃である。加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
【0105】
〈光素子用封止剤〉
本発明の光素子固定材用組成物は、光素子封止体の封止剤として好適に用いることができる。
本発明の光素子固定材用組成物を光素子用封止剤として使用する方法としては、例えば、該組成物を所望の形状に成形して、光素子を内包した成形体を得た後、そのものを加熱硬化させることにより光素子封止体を製造する方法等が挙げられる。
本発明の光素子固定材用組成物を所望の形状に成形する方法としては、特に限定されるものではなく、通常のトランスファー成形法や、注型法等の公知のモールド法を採用できる。
【0106】
加熱硬化する際の加熱温度は、用いる光素子固定材用組成物等にもよるが、通常、100〜200℃である。加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
【0107】
得られる光素子封止体は、本発明の光素子固定材用組成物を用いているので、光素子に、白色や青色発光LED等の、発光のピーク波長が400〜490nmと短波長のものを用いても、熱や光により着色劣化することがない透明性、耐熱性に優れるものである。
【0108】
3)光素子封止体
本発明の光素子封止体は、光素子が、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物によって封止されてなるものである。
本発明の光素子封止体は、例えば、本発明の、光素子固定材用組成物を光素子用封止材として使用する方法により製造することができる。
【0109】
本発明の光素子封止体は、光素子を本発明の光素子固定材用組成物の硬化物を用いて封止しているので、光素子に、白色や青色発光LED等の、発光のピーク波長が350〜490nmと短波長のものを用いても、熱や光により着色劣化することがなく、耐熱性に優れるものである。
【実施例】
【0110】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0111】
(重量平均分子量測定)
製造例で得たシラン化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置及び条件にて測定した。
【0112】
装置名:HLC−8220GPC、東ソー社製
カラム:TSKgelGMHXL→TSKgelGMHXL→TSKgel2000HXL
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
【0113】
(IRスペクトルの測定)
製造例で得たシラン化合物共重合体のIRスペクトルは、以下の装置を使用して測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計(Spectrum100、パーキンエルマー社製)
【0114】
(製造例1)
500mlのナス型フラスコに、シラン化合物(1)として3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン(アヅマックス社製)(以下、「AcTMS」と記載する。)14.22g(64mmol)、シラン化合物(2)としてフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「PhTMS」と記載する。)19.04g(96mmol)、シラン化合物(3)としてテトラエトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「TEOS」と記載する。)13.33g(64mmol)、並びに、溶媒としてトルエン224ml及び蒸留水112mlを仕込んだ後、全容を攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.40g(4.08mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
【0115】
反応終了後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。しばらく静置した後、トルエン及び水を除去し、残留物を蒸留水にて2回洗浄した。得られた残留物を酢酸エチル200mlに溶解させ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別後、ろ液を多量のn−ヘキサン中に滴下して沈殿させ、沈殿物をデカンテーションにより分離した。得られた沈殿物をメチルエチルケトンに溶解して回収し、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、シラン化合物共重合体(A1)21.6gを得た。
【0116】
シラン化合物共重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は3100、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
【0117】
シラン化合物共重合体(A1)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm
−1,742cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CO:1738cm
−1
【0118】
(製造例2)
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、6.67g(32mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A2)を19.8g得た。
シラン化合物共重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は3000、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。
【0119】
シラン化合物共重合体(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm
−1,741cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CO:1738cm
−1
【0120】
(製造例3)
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、20.00g(96mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A3)を22.9g得た。
シラン化合物共重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は3200、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
【0121】
シラン化合物共重合体(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm
−1,742cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CO:1737cm
−1
【0122】
(製造例4)
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、26.66g(128mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A4)を24.5g得た。
シラン化合物共重合体(A4)の重量平均分子量(Mw)は3500、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。
【0123】
シラン化合物共重合体(A4)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm
−1,741cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CO:1738cm
−1
【0124】
(製造例5)
製造例1において、シラン化合物(1)としてのAcTMSを使用せず、シラン化合物(2)としてのPhTMSの使用量を31.73g(160mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A5)を20.8g得た。
シラン化合物共重合体(A5)の重量平均分子量(Mw)は2800、分子量分布(Mw/Mn)は1.38であった。
【0125】
シラン化合物共重合体(A5)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:697cm
−1,740cm
−1,Si−O:1133cm
−1
【0126】
(製造例6)
製造例1において、シラン化合物(1)としてのAcTMSの使用量を35.55g(160mmol)とし、シラン化合物(2)としてのPhTMSを使用しない以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A6)を24.1g得た。
シラン化合物共重合体(A6)の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分布(Mw/Mn)は1.43であった。
【0127】
シラン化合物共重合体(A6)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−O:1105cm
−1,−CO:1739cm
−1
【0128】
(製造例7)
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSを使用しない以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A7)を18.8g得た。
シラン化合物共重合体(A7)の重量平均分子量(Mw)は2600、分子量分布(Mw/Mn)は1.71であった。
【0129】
シラン化合物共重合体(A7)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm
−1,741cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CO:1738cm
−1
【0130】
(製造例8)
製造例1において、シラン化合物(2)としてのPhTMSの使用量を15.87g(80mmol)とし、シラン化合物(3)としてのTEOSを使用せず、さらに、シラン化合物(1)のAcTMS14.22g(64mmol)の代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(下記第1表中、「GlyTMS」と記載する。)を18.89g(80mmol)用いた以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A8)を19.0g得た。
シラン化合物共重合体(A8)の重量平均分子量(Mw)は2800、分子量分布(Mw/Mn)は1.82であった。
【0131】
シラン化合物共重合体(A8)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm
−1,742cm
−1,Si−O:1132cm
−1,エポキシ基:1254cm
−1
【0132】
(製造例9)
500mlのナス型フラスコに、シラン化合物(1)として2−シアノエチルトリメトキシシラン(アズマックス社製)(以下、「CNTMS」と記載する。)3.75g(21.4mmol)、シラン化合物(2)としてPhTMS 9.9g(50mmol)、シラン化合物(3)としてTEOS 5.94g(28.5mmol)、並びに、溶媒としてアセトン120ml、及び、蒸留水30mlを仕込んだ後、全容を攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.15g(1.5mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
【0133】
反応終了後、エバポレーターにて50mlまで濃縮し、酢酸エチル100mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。しばらく静置した後、水を除去し、有機層を蒸留水にて2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別後、ろ液をエバポレーターにて50mlまで濃縮し、これを多量のn‐ヘキサン中に滴下して再沈殿させ、沈殿物をデカンテーションにより分離した。得られた沈殿物をメチルエチルケトンに溶解して回収し、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、シラン化合物重合体(A9)17.3gを得た。
シラン化合物重合体(A9)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.62であった。
【0134】
シラン化合物重合体(A9)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CN:2259cm
−1
【0135】
(製造例10)
製造例9において、CNTMSの使用量を、4.4g(25mmol)とし、PhTMSの使用量を、11.6g(58.3mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A10)15.2gを得た。
シラン化合物重合体(A10)の重量平均分子量(Mw)は1,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.45であった。
【0136】
シラン化合物重合体(A10)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CN:2259cm
−1
【0137】
(製造例11)
製造例9において、CNTMSの使用量を1.9g(10.7mmol)とし、PhTMSの使用量を12.0g(60.7mmol)とし、TEOSの使用量を6.0g(28.6mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A11)14.9gを得た。
シラン化合物重合体(A11)の重量平均分子量(Mw)は2,000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.39であった。
【0138】
シラン化合物重合体(A11)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CN:2259cm
−1
【0139】
(製造例12)
製造例9において、CNTMSの使用量を2.2g(12.5mmol)とし、PhTMSの使用量を14.0g(70.8mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A12)14.9gを得た。
シラン化合物重合体(A12)の重量平均分子量(Mw)は1,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.57であった。
【0140】
シラン化合物重合体(A12)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,−CN:2259cm
−1
【0141】
(製造例13)
製造例9において、シラン化合物(1)としてのCNTMSの代わりに、クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「ClTMS」と記載する。)4.25g(21.4mmol)を使用し、PhTMSの使用量を9.9g(50mmol)とし、TEOSの使用量を5.94g(28.5mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A13)15.0gを得た。
シラン化合物重合体(A13)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.98であった。
【0142】
シラン化合物重合体(A13)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,C−Cl:1445cm
−1
【0143】
(製造例14)
製造例13において、ClTMSの使用量を4.96g(25mmol)とし、PhTMSの使用量を11.6g(58.3mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A14)14.6gを得た。
シラン化合物重合体(A14)の重量平均分子量(Mw)は2,200、分子量分布(Mw/Mn)は、1.46であった。
【0144】
シラン化合物重合体(A14)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,C−Cl:1445cm
−1
【0145】
(製造例15)
製造例13において、ClTMSの使用量を2.12g(10.7mmol)とし、PhTMSの使用量を12.0g(60.7mmol)とし、TEOSの使用量を6.0g(28.6mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A15)15.3gを得た。
シラン化合物重合体(A15)の重量平均分子量(Mw)は2,100、分子量分布(Mw/Mn)は、1.35であった。
【0146】
シラン化合物重合体(A15)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,C−Cl:1445cm
−1
【0147】
(製造例16)
製造例13において、ClTMSの使用量を2.48g(12.5mmol)とし、PhTMSの使用量を14.0g(70.8mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A16)15.4gを得た。
シラン化合物重合体(A16)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.86であった。
【0148】
シラン化合物重合体(A16)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:698cm
−1,740cm
−1,Si−O:1132cm
−1,C−Cl:1445cm
−1
【0149】
(実施例1)
製造例1で得たシラン化合物共重合体(A1)10gに、エポキシ化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(シグマアルドリッチ社製)0.15g、硬化剤(C)として、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成社製)0.135g、及び、硬化触媒(D)として、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−酸無水物(三菱瓦斯化学社製)0.015gを加え、全容を十分に混合、脱泡(120℃、真空)し、光素子固定材用組成物(1)を得た。
【0150】
(実施例2〜23)
シラン化合物共重合体(A)の種類、並びに、シラン化合物共重合体(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び硬化触媒(D)の使用割合を、下記第1表に示すものとし、実施例1と同様にして、光素子固定材用組成物(2)〜(23)を得た。
なお、実施例5においては、酸化防止剤として、リン系酸化防止剤(IRGAFOS168(チバ・ジャパン社製)0.003gを添加した。
【0151】
(比較例1〜9)
シラン化合物共重合体(A)の種類、並びに、シラン化合物共重合体(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び硬化触媒(D)の使用割合を、下記第1表に示すものとし、実施例1と同様にして、光素子固定材用組成物(1r)〜(9r)を得た。
【0152】
【表1】
【0153】
実施例1〜23及び比較例1〜9で得た光素子固定材用組成物の硬化物につき、下記のようにして、接着力、初期透過率及び加熱後透過率を測定し、接着耐熱性、初期透明性、耐熱性(加熱後透明性)を評価した。
【0154】
(接着力試験)
2mm角のシリコンチップのミラー面に、光素子固定材用組成物のそれぞれを厚さが約2μmになるよう塗布し、塗布面を被着体(銀メッキ銅板)の上に載せ圧着した。その後、180℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、予め所定温度(25℃、100℃)に加熱したボンドテスター(シリーズ4000、デイジ社製)の測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から50μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方法(せん断方向)に応力をかけ、25℃及び100℃における、試験片と被着体との接着力を測定した(N/2mm□)。測定結果を下記第2表に示す。
【0155】
接着力試験において、100℃における接着力が、25℃における接着力の50%以上である場合を「○」、50%未満である場合を「×」と評価した(高温下接着力)。但し、25℃における接着力が50N/2mm□以下の場合は、評価対象から外した。評価結果を下記第2表に示す。
【0156】
(初期透過率の測定)
光素子固定材用組成物のそれぞれを、長さ25mm、幅20mm、厚さ1mmとなるように鋳型に流し込み、140℃で6時間加熱して硬化させ、試験片をそれぞれ作製した。得られた試験片につき、分光光度計(MPC−3100、島津製作所社製)にて、波長450nmの初期透過率(%)を測定した。測定結果を下記第2表に示す。
【0157】
初期透過率測定において、450nmの透過率が85%以上の場合を「○」、85%未満の場合を「×」と評価した(初期透明性)。評価結果を下記第2表に示す。
【0158】
(加熱後の透過率の測定)
初期透過率を測定した各試験片を150℃のオーブンに300時間投入し、再度、波長450nmの透過率(%)を測定した。測定結果を下記第2表に示す。参考値として、オーブンに100時間投入後の透過率の測定結果も、下記第2表に併せて示す。
【0159】
300時間加熱後の透過率が、初期透過率の85%以上であれば「○」、85%未満であれば「×」と評価した〔耐熱性(加熱後透明性)〕。評価結果を下記第2表に示す。
【0160】
【表2】
【0161】
第2表から、実施例1〜23の光素子固定材用組成物1〜23の硬化物は、25℃において97.9N/2mm□以上の高い接着力を有し、高温(100℃)においても、25℃における接着力の50%以上の接着力を保持し、接着耐熱性に優れていた。また、波長450nmの初期透過率、加熱後透過率がいずれも高く、初期透明性、耐熱性(透明性)に優れるものであった。
【0162】
一方、成分(B)、(C)及び(D)を用いなかった比較例1〜4及び比較例8、9の光素子固定剤用組成物1r〜4r及び8r、9rは、いずれも接着力に劣っていた。特に比較例1の光素子固定剤用組成物1rは、前述の評価方法による接着条件では、接着しなかった。
シラン化合物(3)を用いなかった比較例5の光素子固定剤用組成物5rは、接着性、初期透明性、耐熱性(透明性)のいずれも劣っていた。
シラン化合物(1)を使用しない比較例6の6r、シラン化合物(2)をしない比較例7の7rも接着性に劣っていた。